JP4057299B2 - スキーブーツ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、スキー登山、もしくはテレマーク用のスキーブーツに関する。
【0002】
【従来の技術】
スキー登山用のブーツは、プラスチック材料からなるシェルと、ソール、並びに足首で前記シェルにヒンジ留めされたシャンク部とを有するものが知られている。
【0003】
スキー登山は、ダウンヒル(滑降)ポジションと、アップヒルもしくはウォーキングポジションをとることができるブーツを必要とする。前記ダウンヒルポジションにおいては、滑降用のスキーブーツを着用した場合、このブーツのつま先部とかかと部の両方の位置がスキー板に対して留められ、前記ブーツのシャンク部がシェルに固く固定されるポジションをとり、また、前記アップヒルもしくはウォーキングポジションにおいては、クロスカントリースキーの場合にスキーが雪上に引きずられ得るように、ブーツのつま先部だけがスキー板に留められ、かかと部は自由になっている、すなわちスキー板から上方へ離れるポジションをとる。
【0004】
このタイプのブーツの主要な欠点は、柔らかい雪のダウンヒルをスキーで滑るとき、ポジションの変化をさせることができないことである。
【0005】
この問題に対する解決手段によって、スキー登山用のブーツは、ダウンヒルを斜めに滑るとき、使用者の体重が前側へ移るようにシャンク部の前側へ回転し、ターンのとき、過剰な後側のポジションを妨げるシェルに対して、シャンク部の後側への回転を防止するメカニズムを有することが提案されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このタイプのブーツは、スキー板を制御するのを困難にさせ、かつ、けがの危険性を増大するシェルに対し、シャンクがわずかに回転するとしても、硬い雪もしくはスキートラック上のダウンヒルスキーをするのに十分に硬くはない。
【0007】
テレマークスキーは、通常のスキーにおいて固く留められているのとは対照的に、かかと部がスキーから上方へ離れた状態でターンすることが要求されるという類似の問題が課されている。公知のブーツは、通常、シェルに対してシャンク部が前後への回転が自由であり、かつシャンク部がロックされたダウンヒルポジションをとることができるスキーでなければ、アップヒルもしくはウォーキングポジションをとる。一方で、他の公知モデルは、シャンク部がシェル部に対して前側へわずかに回転することができる。
【0008】
したがってまた、このタイプのブーツは、雪の特定の種別に対してのみ設計されていることによって、オールラウンドの性能を提供することができない。
【0009】
本発明の目的は、上記の公知のブーツに典型的に付随する問題を解決するように設計された、特に、スキー登山、もしくはテレマーク用のプラスチック製スキーブーツを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に関し、底側部、2つの側壁、並びにつま先部を有し、プラスチックからなるシェルと、このシェルにヒンジ留めされたシャンク部と、ブーツの後部に位置され、前記シェルに対して前記シャンク部の傾斜を制御するための制御メカニズムと、
一方が前記シェルと一体的であり、他方が前記シャンク部と一体的である第1及び第2の保持部分と、
前記第1の保持部分にヒンジ留めされ、一端が、前記シャンク部の後側への回転を防止するように前記第2の保持部分に載置される作動位置と、解放位置との間で移動可能であるレバー部材と、
を具備するスキーブーツにおいて、
前記制御メカニズムは、前記第2の保持部分と一体的である第3の保持部分と、少なくとも、前記レバー部材をこの第3の保持部分に接続するロック位置と非ロック位置との間で移動可能な補助のロック部材と、を具備することを特徴とするスキーブーツを提供する。
【0011】
限定されないが、好ましい本発明の実施の形態は、図面を参照して実施例によって説明される。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1において、参照符号1は、スキーブーツ、特にスキー登山用のスキーブーツ全体を示している。
【0013】
ブーツ1は、プラスチック材料からなるシェル2と、ソール(靴底)3と、足首で前記シェル2にヒンジ留めされたシャンク部4とを実質的に有する。
【0014】
前記シェル2(図1)は、つま先部5と、公知の舌部7によって閉じられた前部の開口(図に示されていない)を形成する2つの側壁6と、底側部、すなわち前記シェルの底を閉じ、かかと部9aを突出して形成している内側ソール9とを一体的に有する。また、この内側ソール9は、前記つま先部5から突出し、公知の形式でスキー板への留め金(図示されていない)と協働するつま先フランジ9bを形成している。エラストマー材料からなる外側ソール10は、前記内側ソール9の底部に固定され、この内側ソール9と共にソール3を形成する。
【0015】
また、シェル2は、前記シェルに関して、前記ソール3の一端から他端へ横方向に延出し、ほぼ着用者の中足、すなわち前記シェル2のつま先部5の近くに位置されている可撓性部分11を有する。
【0016】
この可撓性部分11は、丸まった中間部12aによって分離された2つの溝12によって規定された波状に起伏した外形を有し、足の自然な曲げ軸に斜めに沿うように都合よく延出し、また、ブーツ1の外側にある他端に対して、前側に位置したブーツ1の内側にある一端を有する。
【0017】
前記シャンク部4は、前記足首のヒンジの横断軸に沿うそれぞれのヒンジ13によって、前記シェル2の2つの側壁6に接続され、ブーツ1は、このブーツ1の後側部分15で、前記かかと部のほぼ上方に位置され、前記シェル2に対してチャンク部4の傾斜を制御する制御メカニズム14を有する。
【0018】
この傾斜制御メカニズム14は、前記シャンク部4の後側の突出部23によって規定された第1の保持部分に、前記ブーツ1に関して横方向の水平軸Aを備えたピン21によってヒンジ留めされた第1の端22を備えたレバー20を有する。
【0019】
前記ブーツ1のシェル2は、前記シャンク部4の突出部23から、下方へ離間された後側の突出部24を有する。この突出部24は、前記レバー20に面する上面26によって規定され、後で詳細に説明されるほぼ水平なリセス28を備えた後面を有する。
【0020】
前記レバー20は、前記シャンク部4が前記シェル2に対して後側へ回転するのを防止するように、前記レバー20の第2の端25が前記突出部24の上面に当接している下部作動位置(図1)と、前記シャンク部4が前記シェル2から十分離されて持ち上げられた位置、すなわち非ロック位置(図5)との間で移動可能である。
【0021】
また、前記制御メカニズム14は、水平に延出した金属製のリング27を有し、このリング27のほぼ水平な部分(図示されていない)は、前記軸Aに平行な軸Bのまわりで前記レバー20にヒンジ留めされるように、このレバー20の第2の端25に形成された横方向の貫通孔の内側に収容されている。
【0022】
前記レバー20が前記作動位置にあるとき、前記リング27は、前記シェル2に対して前記シャンク部4の前側への回転をも防止するように前記リセス28に係合するロック位置へセットされることができる。
【0023】
前記シェル2は、前記レバー20に面し、このレバー20が前記作動位置にある状態のときに、キャビティ30を形成するように凹んだ後部29を有する。
【0024】
実際の使用において、前記リング27が前記リセス28から外されるとき、前記レバー20は、図1の作動位置から図5の持ち上げられた位置へ軸Aの周りに回転され得、また、前記シェル2に対して前記シャンク部4の後側への回転を可能とする。この位置は、通常、登山もしくはウォーキングのときに使用される。
【0025】
前記レバー20が作動位置にあるとき、前記端25は、上述のように前記シャンク部4の後側への回転を防止するように、前記後部突出部24の上面26に当接し、前記リング27は、上述の作動位置と、図3及び4に示されているように、前記キャビティ30の内側で、このリング27の移動経路から安全に収容された当接位置との両方にセットされることができる。
【0026】
図3及び4の位置は、前記シャンク部4の後側への回転を防止するだけであり、したがって、柔らかい雪のダウンヒルをスキーで滑るときに有用であるのに加え、図1の位置(前記レバー20が作動位置にあり、前記リング27がロック位置にある)は、前記シェル2に対して、前記シャンク4のいかなる回転も防止し、したがって、硬い雪のダウンヒルもしくはスキートラックをスキーで滑るときに特に有用である。
【0027】
【発明の効果】
本発明に係るブーツの効果は、前述の記載から明らかとなる。
【0028】
特に、前記シェルに対して、前記シャンク部の傾斜を制御するためのメカニズムは、前記ブーツが公知の典型的なブーツの設計上の制限に制約されないことによって、より汎用性があるように、動作される雪の種別や状態の相違に対して、前記シャンク部の保持を適応することを提供する。
【0029】
さらに、前記リング27が、前記シェル2と前記シャンク部4との間のキャビティ30の内側に安全に収容され得ることによって、衝撃もしくはもつれに対して保護される。
【0030】
本明細書中に記載されていないが、請求の範囲から逸脱しない変形が、明らかにブーツ1になされることができる。
【0031】
特に、前記レバー20は、前記シャンク部4ではなく、前記シェル2と一体的な第1の保持部分にヒンジ留めされ、前記シャンク部4と一体的な第2の保持部分と協働しても良い。また、前記リング27は、前記レバー20と、前記第2の保持部分に一体的な第3の保持部分との間で選択的に作用されるあらゆる補助のロック部材によって取り替えられることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に関するスキーブーツの側面図を示す。
【図2】図2は、第1の部分で、傾斜を制御する制御メカニズムを備えた図1のブーツの部分後面図を示す。
【図3】図3は、第2の部分で、傾斜を制御する制御メカニズムを備えた図1のブーツの部分後面図を示す。
【図4】図4は、第2の部分で、傾斜を制御する制御メカニズムを備えた図1のブーツの部分側面図を示す。
【図5】図5は、第3の部分で、傾斜を制御する制御メカニズムを備えた図2のブーツの部分後面図を示す。
【符号の説明】
1……ブーツ
2……シェル
4……シャンク部
14……制御メカニズム
20……レバー
27……リング
28……リセス
30……キャビティ
Claims (8)
- 登山スキー又はテレマークスキー用のスキーブーツであって、前記スキーブーツは、
底側部(9)、2つの側壁(6)、並びにつま先部(5)を有し、プラスチックからなるシェル(2)と、
前記シェル(2)にヒンジ留めされたシャンク部(4)と、
前記ブーツの後部(15)に位置され、前記シェルに関して前記シャンク部の傾斜を制御するための制御メカニズム(14)と、
第1の保持部分(23)と第2の保持部分(24)であって、それらのうち一方が前記シェル(2)と一体的であり、他方が前記シャンク部(4)と一体的である第1の保持部分(23)と第2の保持部分(24)と、
前記第1の保持部分(23)にヒンジ留めされ、一端(25)が、前記シャンク部(4)の後側への回転を防止するように前記第2の保持部分(24)に載置される作動位置と、解放位置との間で移動可能なレバー部材(20)と、
を備え、
前記制御メカニズム(14)は、前記第2の保持部分(24)に確定された第3の保持部分(28)と、
前記レバー部材(20)と前記第2の保持部分(24)の一方に担持される補助のロック部材(27)であって、前記レバー部材(20)を前記第3の保持部分(28)に接続するロック位置と、非ロック位置との間で移動可能である補助のロック部材(27)と、
を具備することを特徴とするスキーブーツ。 - 前記第1の保持部分(23)は、前記シャンク部(4)と一体的であり、また、前記第2の保持部分(24)は、前記シェル(2)と一体的であることを特徴とする請求項1に記載のスキーブーツ。
- 前記第1の保持部分(23)は、前記シャンク部(4)の後部突出部(23)によって形成され、前記第2の保持部分(24)は、前記レバー部材(20)に面する上面(26)によって規定された前記シェル(2)の後部突出部(24)によって形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスキーブーツ。
- 前記補助のロック部材(27)は、前記レバー部材(20)によって動かされることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスキーブーツ。
- 前記補助のロック部材(27)は、前記レバー部材(20)にヒンジ留めされていることを特徴とする請求項4に記載のスキーブーツ。
- 前記補助のロック部材(27)は、金属製のリング(27)により形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスキーブーツ。
- 前記第3の保持部分(28)は、前記シェルの後部突出部(24)に形成され、前記ロック位置で前記リング(27)を収容するための座部(28)であることを特徴とする請求項6に記載のスキーブーツ。
- 前記作動位置にある前記シェル(2)及び前記レバー部材(20)は、前記非ロック位置において、前記補助のロック部材(27)を収容するためのキャビティ(30)を形成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のスキーブーツ。
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