JP4057073B2 - 回転ドラム型非磁性金属選別回収装置 - Google Patents

回転ドラム型非磁性金属選別回収装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム、銅等の導電性非磁性金属を処理物中より分離、回収するための回転ドラム型非磁性金属選別回収装置に関し、特に小口径の導電性非磁性金属片を回収するための回転ドラム型非磁性金属選別回収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題が注目される中、資源の再利用化も進んでおり、日常発生する廃棄物の中から、鉄はもとより非鉄金属類、紙、布類、木片、合成樹脂、ゴム、ガラス等広い範囲で資源回収が行われ、それに伴う回収システムにも新しい技術が採用されている。
非鉄金属の中でアルミニウムに代表される非磁性軽金属類を選別回収する装置は、都市ごみの中のアルミ缶、あるいは自動車廃車の裁断スクラップに含まれるアルミニウム等の回収再利用に多用されている。
非鉄金属を他の廃棄物と選別回収する手段として磁力を応用したものは従来より、移動交流磁界を応用したリニアモータ型、ロータリーキルン状回転円筒の外周に永久磁石を配設したインサイドドラム型、平滑斜面の下側に永久磁石を配列したスライディングセパレータ型、あるいはコンベアベルトが巻装されるドラムを二重構造のドラム型とし内部に永久磁石回転子を配設した回転ドラム型等、多数の構造が提案されている。
【0003】
上記の中で回転ドラム型が最も多く使用されており、その従来例を図6に示す。図6に示す回転ドラム型非磁性金属選別回収装置の構成および作用の概要は次の通りである。無端状のコンベアベルト10は一方の端部を駆動ローラ9に、他方の端部をドラム1に巻装されている。駆動ローラ9をモータ7によりVベルト8を介して矢印RRの方向に回転駆動することにより、コンベアベルト10を矢印RBの方向に走行させる。従って従動ローラであるドラム1は矢印RDで示す方向に回転する。また、ドラム1は非磁性材料で形成されており、ドラム1の内部にはドラム1と同心状に永久磁石回転子4が回転自在に配設されている。
【0004】
次に上記永久磁石回転子4の構成を図7に示す。円筒状のヨーク3の外周面上に磁石2と磁石2´が、円周方向に沿って等角度間隔で交互にN極とS極がドラム1側に位置するように、かつそれらの外表面がドラム1の内周面に近接するように固設されている。また、永久磁石回転子4はドラム1と同心で回転方向RDと同一方向RMに回転するが、回転速度(周速)が異なるように別のモータ6によりVベルト5を介して回転駆動する二重構造になっている。なお、永久磁石回転子4の回転速度は、ドラム1の回転速度よりも充分に大きくなるように設定されている。
【0005】
このようにして、磁石2のN極から流出した磁束Cは、ドラム1およびその上に巻装されたコンベアベルト10を通過して磁石2´のS極に流入するので、コンベアベルト10の表面に強力な磁界を発生させることになり、処理物(14あるいは15)に種々の影響を与える。さらにドラム1の前方下側には、コンベアベルト10から落下し選別される処理物を回収する容器18、19が配設され、容器18には紙、布類、木片、合成樹脂等の非金属片14、容器19にはアルミニウム、銅等の導電性非磁性金属片15がそれぞれ回収される。
【0006】
上記の回転ドラム型非磁性金属選別回収装置の作用は次の通りである。
まず、導電性非磁性金属片15、非金属片14が混在した処理物をホッパ13の上端開放部から投入すると、コンベアベルト10の表面に落下し、コンベアベルト10の走行と共にドラム1の中心軸を通る垂線の上部領域、すなわち最頂部へと搬送される。ここで、コンベアベルト10上の処理物はある程度の厚さを持ち層状となるが、理解を容易にするために図6では散在した状態で示す。
【0007】
処理物は、ドラム1の最頂部に達すると、ドラム1に内設された永久磁石回転子4の高速回転により、円筒状ヨーク3の外周面に固設された磁石2および磁石2´によって発生する高周波交番磁界の中を通過する。この時、導電性非磁性金属片15の内部にはファラデーの電磁誘導で説明される渦電流が発生し、この渦電流に起因して発生する磁束の向きと、永久磁石回転子4より発生する磁束の向きは、レンツの法則に従って相反するため、両者の相互作用により遠心方向の斥力(反発力)が生起される。さらにコンベアベルト10の搬送力が合成力として作用して、導電性非磁性金属片15はコンベアベルト10の走行方向から見てその前方でかつ上方に飛翔し、ドラム1のほぼ最頂部より放物線の軌跡aを描いて落下し、容器19へと選別回収される。
【0008】
また、処理物中の非金属片14は、磁石2および磁石2´の磁気作用を何等受けることが無いため、自重により自由落下して、bの軌跡に沿って容器18へ選別回収される。
【0009】
一般に、導電性非磁性金属片が永久磁石回転子より受ける斥力Fは次の式で表される。
F∝Bg2×f×σ×A/ρ…………(1)
ここでBg:磁束密度
f :周波数(=磁石ドラム極数×磁石ドラム回転数)
σ :導電率
A :処理物表面積
ρ :密度
選別回収の対象である導電性非磁性金属片15が小口径の場合、その表面積は小さくなり、斥力Fが小さくなることが式(1)から理解できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の回転ドラム型非磁性金属選別回収装置では、導電性非磁性金属片が小口径になると、永久磁石回転子より受ける斥力が小さくなり、確実な選別回収が困難であるという問題点があった。
また、導電性非磁性金属片の形状が一様ではないため、空気抵抗等の理由で自由落下の軌跡も一様にはならず、選別回収の精度が安定しないという問題点も生じていた。
本発明は、上記問題点を解消し、確実な選別回収が可能な回転ドラム型非磁性金属選別回収装置を提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、複数個の磁石を有し回転自在に配置された永久磁石回転子を内蔵した円筒状非磁性ドラムおよび駆動ローラに巻装された無端状のコンベアベルトと、前記永久磁石回転子の回転方向を前記コンベアベルトの進行方向と相対的に逆方向とする回転手段と、磁気浮上させた非磁性金属を回収する回収孔を有する仕切板と、前記仕切板の上部に、磁気浮上させた導電性非磁性金属を気体噴射によって分離除去する除去手段を設けるという技術的手段を採用した
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例に係る回転ドラム型非磁性金属選別回収装置の概略断面図である。ただし、従来例と同一部分は同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施例の回転ドラム型非磁性金属選別回収装置の基本的構造は、図6に示す従来例の構造と類似するが、永久磁石回転子4の回転方向をコンベアベルト10の進行方向と相対的に逆方向としたこと、すなわち従来例と逆方向の回転させる点と、非磁性ドラム近傍に仕切板21を設置した点で相違する。
本発明において、永久磁石回転子4の回転方向をコンベアベルト10の進行方向と相対的に逆方向とした理由について、図4および図5を用いて説明する。
【0013】
図4に従来例の状態、すなわち永久磁石回転子4の回転方向RMとコンベアベルト10の進行方向と相対的に同一方向である状態を示す。
図4では、コンベアベルト10の進行方向RBと同方向の搬送力FBと、永久磁石回転子4の電磁誘導から説明される斥力FMとの合力FTが作用するため、導電性非磁性金属片15は永久磁石回転子4の前方方向に飛翔する。従って、従来は、導電性非磁性金属片15を永久磁石回転子4の前方にできるだけ遠方に飛翔させることによって、選別精度の向上を図っている。
【0014】
図5に本発明の状態、すなわち永久磁石回転子4の回転方向RMとコンベアベルト10の進行方向と相対的に逆方向である状態を示す。
図5の場合も図4と同様に、コンベアベルト10の進行方向RBと同方向の搬送力FBと、永久磁石回転子4の電磁誘導から説明される斥力FMとの合力FTが作用するが、斥力FMは搬送力FBとは逆向きになり、上向きの合力FTが発生するため、導電性非磁性金属片15は永久磁石回転子4の鉛直上方方向に浮上する。
【0015】
上記により、導電性非磁性金属片15が永久磁石回転子4の鉛直上方方向に浮上する距離は、永久磁石回転子4の回転方向がコンベアベルト10の進行方向と相対的に逆方向、すなわち図5の状態の方が従来例の図4の状態よりも大きいことが判る。本発明はコンベアベルトの鉛直上方方向に磁気浮上した導電性非磁性金属片を除去する方式を採用しているため、図5の方式がより適していることは容易に理解できる。
【0016】
次に、磁気浮上した導電性非磁性金属片15の回収方法について、図1〜3を用いて説明する。
永久磁石回転子4から磁気作用を受けてコンベアベルト10の上方に浮上した導電性非磁性金属片15は、仕切板21の所定の位置に設けられた回収孔22を通過して仕切板21の上面に現出する。
仕切板21の上面に出た導電性非磁性金属片15は、例えば図2または図3に示すような手段により、仕切板21に沿って下方に搬送されることによって分離除去される。
図2は、浮上した導電性非磁性金属片15が、空気噴射装置20から噴射される空気(これ以外の気体でも良い)によって分離除去される例を示す。図3は、浮上した導電性非磁性金属片15が、羽根車23によって分離除去される例を示す。なお、羽根車23の代わりに他の回転部材(例えばブラシ)を使用しても良い。
【0017】
図1に示す本発明に係る装置と、図6に示す従来の装置をそれぞれ製作し、導電性非磁性金属片の選別回収効率を比較した結果について以下に記述する。
図1に示す本発明に係る装置の、各部の主要寸法、材質および仕様は以下の通りである。
ドラム1:φ200×300mm、FRP
Figure 0004057073
駆動ローラ9−受動ローラ11間距離:1000mm
駆動ローラ9−ドラム1間距離:600mm
コンベアベルト10の有効幅:240mm
コンベアベルト10の表面移動速度:51m/min
また従来の装置は、受動ローラ11および補助プーリ12を取外した以外は、本発明に係る装置と同様の構成である。
【0018】
比較試験に供した処理物は、概略形状φ5×10mmの樹脂ペレット5000cm3中に、φ10×0.5mmのアルミ片100枚を混入したものとし、コンベアベルト10への供給は振動フィーダを用いて、繰返し試験を行なった。比較試験結果を表1および表2に示す。
【0019】
【表1】
Figure 0004057073
【0020】
【表2】
Figure 0004057073
【0021】
表1および表2より平均回収率を比較すると、従来の装置が40.8%であるのに対し、本発明に係る装置は79.8%(空気噴射)および81.2%(羽根車)とどちらも高い値を示している。従って、小口径の導電性非磁性金属片の選別回収は、従来のものと比べて本発明に係る装置の方が格段に優れていることが明らかである。
【0022】
【発明の効果】
本発明は上記のような構成および作用を有するので、従来公知の回転ドラム型非磁性金属選別回収装置における問題点を解決し、特に処理物中に混在する小口径の導電性非磁性金属片を精度良く確実に選別回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る選別回収装置の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る分離除去手段を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る分離除去手段を示す断面図である。
【図4】従来の選別回収装置の導電性非磁性金属片に作用する力を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施例に係る選別回収装置の導電性非磁性金属片に作用する力を説明するための図である。
【図6】従来の選別回収装置の概略断面図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【符号の説明】
1…ドラム、2、2´…磁石、3…ヨーク、4…永久磁石回転子、
5、8…Vベルト、6、7…モータ、9…駆動ローラ、
10…コンベアベルト、11…受動ローラ、
13…ホッパ、14…非金属片、15…導電性非磁性金属片、
18、19…回収容器、20…空気噴射装置
21…仕切板、22…回収孔、23…羽根車

Claims (1)

  1. 複数個の磁石を有し回転自在に配置された永久磁石回転子を内蔵した円筒状非磁性ドラムおよび駆動ローラに巻装された無端状のコンベアベルトと、前記永久磁石回転子の回転方向を前記コンベアベルトの進行方向と相対的に逆方向とする回転手段と、磁気浮上させた非磁性金属を回収する回収孔を有する仕切板と、前記仕切板の上部に、磁気浮上させた導電性非磁性金属を気体噴射によって分離除去する除去手段を設けることを特徴とする回転ドラム型非磁性金属選別回収装置。
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