JP4056919B2 - インジェクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置に使用されるインジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンにおいて、各気筒に共通のコモンレールに高圧燃料を蓄圧するコモンレール燃料噴射システムが知られている。コモンレール燃料噴射システム用のインジェクタは、例えば、噴孔を開閉するノズルニードルの背面に制御弁で圧力制御される制御室を設け、アクチュエータによって制御弁を駆動してノズルニードルを昇降するようになっている。この構成において、コモンレールからの燃料は、インジェクタの燃料通路に導入されて噴孔へ供給される一方で、ノズルニードルの後端面を室壁とする制御室に導入され、ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させる制御油として使用される。
【0003】
アクチュエータには、応答性の良好なピエゾアクチュエータを用いることができる(例えば、特許文献1等)。また、ピエゾアクチュエータは、変位が微小であることから、ピエゾアクチュエータの伸縮に伴い上下動する大径ピストンと、上記制御弁を駆動する小径ピストンを設けるとともに、これら大小ピストンの間に作動油を充填した変位拡大室を設けてなる変位拡大機構が提案されている。この変位拡大機構を用いると、ピエゾアクチュエータの伸長による変位が油圧に変換された後、大小ピストンの径差に応じて増幅されるので、上記制御弁を駆動するのに必要な変位量を効率よく得ることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−140727号公報
【0005】
制御弁としては、三方弁構造の制御弁が好適に用いられる。特許文献1に記載される三方弁は、低圧通路に至る低圧シートまたはコモンレールに至る高圧シートにそれぞれ着座し得る弁体を備え、着座位置によって制御室と低圧通路または高圧通路との連通を切換えている。三方弁を用いると、燃料噴射中は制御室と低圧シートが連通し、高圧シートは閉鎖されるので、高圧シートからの燃料リークを制限することができる。。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成のインジェクタにおいて、燃料を噴射するためには、ピエゾアクチュエータを駆動して三方弁を低圧シートから離座させて制御室の圧力を開放し、ノズルニードルを開弁する。また、噴射を終了するためにはアクチュエータの駆動を終了し、三方弁を高圧シートから離座させ、制御室圧を回復させる。しかしながら、この際、三方弁と高圧シートの間から高圧の燃料が非常に高速で流出するため、縮流流れとなってシート部周りの圧力が低下し、三方弁の作動を阻害するおそれがあった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、噴射終了時の三方弁の高圧側シート部における縮流流れによる圧力低下を抑制し、三方弁の作動の安定性を向上させることにより、エネルギ−効率に優れ、高性能で、信頼性の高いインジェクタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明請求項1記載のインジェクタは、ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させる制御室と、該制御室と高圧通路および低圧通路との連通・遮断を切換える三方弁と、ピエゾアクチュエータの伸縮に伴い上下動するピエゾピストンと上記三方弁に当接するバルブピストンとの間に変位拡大室を設けた油圧式変位拡大機構を備える。上記ピエゾアクチュエータを充電により伸長させ、その変位を上記変位拡大機構を介して伝達することで上記三方弁を駆動して上記低圧通路に至る低圧シートから離座させ、上記高圧通路に至る高圧シートに着座させると、上記制御室の圧力が開放され、上記ノズルニードルが開弁して燃料が噴射される。インジェクタは、上記三方弁に対して上記低圧シートを上記バルブピストン側に、上記高圧シートを上記ノズルニードル側に配置し、上記三方弁を上記高圧シートから離座させる方向に上記高圧通路の圧力を作用させる手段を有しており、かつ上記高圧シートと、これに対向し上記バルブピストン側へ向けて拡径するテーパ状とした上記三方弁の弁面との径方向の重なり幅を50μm以下とし、上記高圧シートとこれに対向する上記三方弁の弁面からなる高圧側シート部は、シート位置下流で流路が急拡大する形状として、上記高圧側シート部の開放時に縮流流れが生じないようになっている。
【0009】
従来構成では、噴射終了時に上記高圧側シート部から高圧の燃料が高速で噴出するために、シート部近傍の圧力が低下して上記三方弁の作動が不安定となることがあるが、本発明では、高圧側シート部を、シート位置下流で流路が急拡大する形状としたので、流れが直ちに減速し、縮流流れによる圧力低下を抑制することができる。よって、三方弁の安定した作動を確保し、エネルギー効率が良好で制御性に優れるインジェクタを実現する。具体的には、シート重なり部の幅を50μm以下と小さくすると、シート下流の流路が急拡大して流速が低下するので、縮流流れによる圧力低下を抑制する効果が得られる。
【0010】
請求項2記載の発明では、上記高圧シートを上記バルブピストン側へ向けて拡径するテーパ状としている。
【0012】
請求項3記載の発明では、上記高圧シートの傾斜角度とこれに対向する上記三方弁の弁面の傾斜角度の差を2°以上としている。
【0013】
あるいは、高圧シートと三方弁の弁面との角度差を2°以上と大きくすることによっても、下流の流路を急拡大させて流速を低下させ、縮流流れによる圧力低下を抑制する同様の効果が得られる。
【0014】
請求項4記載の発明では、上記低圧シートをフラットな面とし、対向する上記三方弁の弁面を外周縁部から内方へ下り傾斜する面として、着座時に上記弁面の外周縁部が上記低圧シートに当接する構成としている。
【0015】
2箇所のシートの一方をフラットな面とすると軸ずれを許容できるが、シート位置が不安定となるため、これに当接する上記三方弁の弁面を傾斜面として逃がしを設けるとよい。これによりシート位置が安定し、シート径を正確に設定できるので、開弁力の設定が容易になる。
【0016】
請求項5記載の発明では、上記低圧シートに着座する上記三方弁の弁面の下り傾斜角度を1°〜5°の範囲としている。
【0017】
好ましくは、上記三方弁の弁面の下り傾斜角度を1°〜5°の範囲とするとよく、シート位置が安定にする効果が得られる。
【0018】
請求項6記載の発明では、上記三方弁が、上記低圧シートおよび上記高圧シートの間を移動する弁部と、ボディに摺動可能に配設された摺動部とを有し、上記低圧シート径と上記高圧シート径および上記摺動部径を略等しい大きさとしてある。
【0019】
上記三方弁に、上記低圧シートおよび上記高圧シートを開閉する弁部と、摺動部とを設け、各部の径をほぼ等しくすれば、上記三方弁に作用する油圧力をキャンセルして圧力バランスさせることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の第1の実施形態を説明する。図3は本発明のインジェクタIの概略構成図、図1、2は要部拡大図である。本発明のインジェクタIは、例えば、ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射システム用として用いられ、エンジンの各気筒に対応して設けられて共通のコモンレールから燃料の供給を受けるようになっている。コモンレールには高圧サプライポンプにより圧送される燃料が噴射圧力に相当する所定の高圧で蓄えられる。
【0023】
図3において、インジェクタIは、図略の燃焼室壁に取付けられるボディ10を有し、ボディ10内にはインジェクタ各部の構成部品が収納されるとともに、図略のコモンレールに連通する高圧通路11、図略の燃料タンクに連通する低圧通路12等の通路が形成される。
【0024】
インジェクタIは、ボディ10の下端部内に形成した縦穴53に、段付きのノズルニードル51を摺動自在に保持している。ノズルニードル51の下半小径部の外周には環状の油溜まり室13が形成されており、油溜まり室13には常時高圧通路11を介してコモンレールからの高圧燃料が供給されている。縦穴53の下方には、これに連なってサック部15が形成され、サック部15形成壁を貫通して燃料噴射用の噴孔14が形成される。
【0025】
ノズルニードル51は下端位置にある時に、円錐形の先端部がサック部15と縦穴53の境界部に設けたシートに着座し、サック部15を閉じて油溜まり室13から噴孔14への燃料供給を遮断する。ノズルニードル51が上昇してシートから離座し、サック部15を開くと燃料が噴射される。
【0026】
ノズルニードル51の上端面および縦穴53の壁面により画成される空間は、ノズルニードル51に背圧を与える制御室5としてある。制御室5には、バランス三方弁4およびメインオリフィス61を介して、また、高圧通路11からサブオリフィス62を介して、制御油としての燃料が導入されており、ノズルニードル51の背圧を発生している。この背圧はノズルニードル51に下向きに作用して、制御室5内に収納されたスプリングニードル52とともにノズルニードル51を着座方向に付勢する。一方、油溜まり室13の高圧燃料がノズルニードル51の段差面に上向きに作用しノズルニードル51を離座方向に付勢している。
【0027】
ボディ10の上半部内に形成した縦穴内には、上側から順にピエゾアクチュエータとしてのピエゾスタック1、大径のピエゾピストン2、小径のバルブピストン3が同軸的に配設されている。ピエゾスタック1はPZT等の圧電セラミック層と電極層とを交互に積層してコンデンサ構造とした一般的なもので、積層方向すなわち上下方向を伸縮方向としており、図示しない駆動回路により充放電されるようになっている。ピエゾスタック1には、ピエゾピストン2の上端部外周に設けられたスプリングピエゾ21により一定の初期荷重が印加される。これにより、ピエゾピストン2はピエゾスタック1の伸縮に伴い、一体に上下動する。
【0028】
ピエゾピストン2とバルブピストン3は、縦穴に設けたシリンダ内に摺動自在に保持されている。バルブピストン3は、小径の下端部が三方弁4の上端に当接しており、ピエゾピストン2とバルブピストン4の間には、燃料が充填されて変位拡大室22を形成している。従って、ピエゾスタック1が伸長してピエゾピストン2を押圧すると、その押圧力が変位拡大室22の燃料を介してバルブピストン3に伝えられ、バルブピストン3が下方に付勢されて三方弁4を押圧するようになっている。
【0029】
ここで、バルブピストン3は、ピエゾピストン2よりも小径としてあるので、ピエゾスタック1の伸長量が拡大されてバルブピストン3の上下方向の変位に変換される。このように、大小2つのピストン2、3と変位拡大室22とは、油圧式変位拡大機構として機能する。
【0030】
バランス三方弁4(以下、三方弁4と称する)は、弁室44の天井面に開口する低圧シート45または底面に開口する高圧シート46に選択的に着座して、メインオリフィス61を介して弁室44と常時連通する制御室5の圧力を増減する。低圧シート45と高圧シート46は弁室44の天井面中央部と底面中央部の対向位置に設けられ、低圧シート45はスピル通路31を介して低圧通路12と連通し、高圧シート46は通路32を介して高圧通路11と連通している。
【0031】
図1(a)に拡大して示すように、三方弁4は、大径の弁部41と摺動部42を有する圧力バランス型構造で、弁部41となる上端部が弁室44内に位置し、下端部の摺動部42が高圧シート46に続くシリンダ内を摺動するようになっている。弁部41と摺動部42は細径部43にて連結され、細径部43の外周に形成される環状空間に高圧通路11へ至る通路32が開口している。
【0032】
三方弁4の弁部41が低圧シート45に着座する上端位置にある時には(図示の状態)、高圧シート46が開放されて5制御室5と高圧通路11が連通する。弁部41が高圧シート46に着座する下端位置にある時には、低圧シート45が開放されて制御室5と低圧通路12が連通する。このように三方弁4の作動状態が切り換わるのに伴い、弁室44に連通する制御室5の圧力、すなわちノズルニードル51の背圧が増減する。
【0033】
三方弁4は、低圧シート45、高圧シート46、摺動部42径をほぼ同一径とし、弁部41に上向き(高圧シート46から離座させる方向)に作用する油圧と摺動部42に下向き(低圧シート45から離座させる方向)に作用する油圧とをほぼバランスさせている。これにより、ピエゾスタック1を伸長させて三方弁4を下方変位させる際にピエゾスタック1に要求される駆動エネルギーを小さくできる。なお、低圧シート45径、高圧シート46径を共に摺動部42径より僅かに大きくし、三方弁4に上向きの油圧力が作用する構成とすると、噴射停止時に三方弁4が意図しない動作により低圧シート45を開弁することがなく、また、噴射終了時に三方弁4を高圧シート46から速やかに離座させることができ、三方弁4のより安定した作動が可能になる。
【0034】
本発明において、三方弁4の高圧側シート部(A部)は、図1(b)に拡大して示すように、シート位置の下流で流路が急拡大する形状としてある。具体的には、弁部41の下側の弁面41aおよびこれに対向する高圧シート46面をそれぞれ上方へ向けて拡径するテーパ面とし、これら弁面41aと高圧シート46面の重なり幅がごく小さくなるように,また、テーパ角度の差が大きくなるように構成する。これにより、シート下流部の縮流流れによる圧力低下を抑制して三方弁4の作動を安定にする効果が得られる。
【0035】
また、図2のように、三方弁4の低圧側シート部(B部)は、フラットな面からなる低圧シート45に対向する弁部41の上側の弁面41b外周部を、外周縁部から内方へ向けて僅かに下り傾斜する傾斜面として、逃がしを設けている。これにより、シート位置を安定させる効果が得られ、開弁力の設定が容易になる。三方弁4は、上側の弁面41b中央部を上方へ突出させるとともに、その端面を略球面状としてバルブピストン3に当接させている。これにより、軸のずれを吸収し、三方弁4に効率よく駆動力を伝達できる。
【0036】
この三方弁4の低圧側シート部(A部)および高圧側シート部(図1(b)B部)の構造は本発明の特徴部分であり、詳細については後述する。
【0037】
三方弁4の摺動部42下方には、スプリングバルブ7を収容するスプリング室71が設けてあり、三方弁4は、スプリングバルブ7によって上方に付勢されている。スプリング室71は、密室となってダンパ力が生じないように、連通路72を介してドレーン通路12に通じている(図3参照)。このようにすると、三方弁4の下方への移動が抑制されることがなく、噴射開始時に弁部41が低圧シート15から速やかに離座する。
【0038】
上記構成のインジェクタIの作動を説明する。図3において、ピエゾスタック1が放電状態で縮小している状態から、ピエゾスタック1に充電すると、ピエゾスタック1が伸長してピエゾピストン2を押し下げ、変位拡大室22の圧力を上昇させる。この油圧力によりバルブピストン3が下方に移動し、三方弁4を押し下げると、弁部41が低圧シート45から離座し、さらに下方変位して高圧シート46に着座する。これにより、低圧通路12に連通する低圧シート45が開放され、制御室5内の燃料がメインオリフィス61および弁室44を介して流出するために、制御室5の圧力が降下する。そして、ノズルニードル51の下向きの付勢力が上向きの付勢を下回ると、ノズルニードル51が離座して燃料噴射が開始される。
【0039】
一方、ピエゾスタック1を再び放電させると、ピエゾスタック1が収縮してピエゾピストン2が上方へ移動し、変位拡大室22の圧力が降下して三方弁4の押し下げ力が解除される。これにより、高圧通路11に連通する高圧シート46が開放され、制御室5に弁室44およびメインオリフィス61を介して流入する高圧燃料と、サブオリフィス62を介して流入する高圧燃料とにより、制御室5圧力が再び上昇する。そして、ノズルニードル51の下向きの付勢力が上向きの付勢を上回ると、ノズルニードル51が着座して噴射が終了する。
【0040】
なお、サブオリフィス62は、噴射開始時に制御室5の圧力降下を緩和し、噴射停止時には制御室5の圧力上昇を促進して、ノズルニードル51を緩やかに開弁し、迅速に閉弁させる機能を有する。サブオリフィス62を設けない構成とすることもできる。
【0041】
次に、本発明の特徴部分について説明する。上述したように、圧力バランス型の三方弁4では、油圧により発生する力が常にキャンセルされるため、ピエゾスタック1の駆動エネルギーが小さくできる一方、僅かな力で三方弁4が開閉弁するために、シート部構造が三方弁4の作動に大きく影響する。図4(a)、(b)は、従来のバランス三方弁4’構造を示す図で、弁部41’の弁面41a’と高圧シート46’面の隙間から弁室44へ向けて高圧の燃料が流出する際に、縮流流れとなりやすい。流体の持つエネルギーは、流体工学の見地から、図4(b)の状態1(高圧シート46’上流部)と状態2(高圧側シート部)において、下記式1が成立することがよく知られている。
【0042】
【式1】
Figure 0004056919
例えば、状態1は容積が大きい場合、40cc/s程度の流量であれば、v1 ≒0と考えてよい(図4の構成にも適合する)。この条件で、図4の構成においては、状態2ではv2 =204m/s程度の流速が生じるために、式1が成り立つためには、
1 =180MPa
ρ=830kg/cm3
とすると、
2 =10.7MPa
となる。状態2より下流部では、再度、容積が拡大しているため、状態1と同様に圧力が高くなる。従って、状態2では、周囲より圧力が低くなるために、弁部41’に下向きの力が作用し、三方弁4の挙動が安定しないおそれがある。
【0043】
そこで、本発明では図1(b)のように、高圧側シート部(A部)において縮流流れが生じないように、弁部41の下側の弁面41aと高圧シート46面との重なり幅を小さくする。図5は、縮流部の長さ(重なり幅)と、縮流流れによる圧力降下に伴う発生力低下の関係を示すもので、図示するように、概ね、縮流部長さが50μmを超えると油圧による発生力が大きく低下することがわかっている。従って、好ましくは、重なり幅を50μm以下とするのがよく、高圧側シート部を通過する燃料の流速を小さくして、縮流流れによる圧力降下を抑制することができる。
【0044】
また、高圧側シート部を構成する弁面41aと高圧シート46面のテーパ角度の差を大きくしても、燃料流れを減速させることができる。本発明者等の実験によれば、具体的には、図6において、三方弁4のテーパ角度と高圧シート46のテーパ角度との差を、概ね2°以上確保すると縮流流れによる圧力降下を抑制する効果が得られることがわかった。
【0045】
このように、縮流流れを回避するには、弁部41の弁面41aと高圧シート46面との重なり幅を小さくし、角度差を大きくするのがよい。例えば、重なりを小さくすると、高圧の燃料流れが速やかに弁室44に流出して減速する。また、角度差を2倍にすると流路面積は約2倍になるため、流速は半減することになり、縮流による圧力低下は1/√2になる。これにより、油圧力の影響を小さくでき、特に三方弁4が低圧シート45を閉鎖する燃料噴射停止時に安定した作動が可能になる。
【0046】
さらに、図2のように、本発明では三方弁4の低圧側シート部(B部)を構成する弁部41の上側の弁面41bを傾斜させて、弁面41bの外周端縁部がフラットな面からなる低圧シート45面に当接するようにしている。このように、弁面41bにわずかな逃がしを設けると、シート位置が安定しシート径を正確に設定できるので、開弁力の設定を厳密に行うことができ、誤開弁等を防止できる。この逃がしの角度は、シート部近傍で、例えば1〜5°程度とするのがよい。これにより、常に安定した三方弁4の動作が可能となる。
【0047】
図7に本発明の第2の実施形態を示す。本実施形態では、三方弁4の高圧側シート部において、弁部41が当接する高圧シート46をテーパ面とせず、エッジを有する形状として、該エッジ部に弁部41の弁面41aがシートする構成としている。その他の基本構成および作動は上記第1の実施形態と同様である。本実施形態のシート部構成によれば、シート位置下流で流路が急拡大する同様の効果が得られ、加工が容易で、シート位置が容易に設定可能である。
【0048】
図8に本発明の第3の実施形態を示す。本実施形態では、三方弁4の高圧側シート部において、弁部41の弁面41aを、略球面状としてある。その他の基本構成および作動は上記第1の実施形態と同様である。本実施形態のシート部構成によれば、シート位置下流で流路が急拡大する同様の効果が得られ、また、弁面41aが略球面であるため、三方弁4が傾いた場合でもシートが可能である。
【0049】
以上のように、本発明によれば、バランス三方弁を用いたインジェクタにおいて、シート部構成を最適化することにより、三方弁の作動を安定にし、アクチュエータの特性を有効に活用して、効率よい燃料噴射を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインジェクタの第1の実施形態を示し、(a)はバランス三方弁構成を示す拡大断面図、(b)は(a)のA部拡大断面図である。
【図2】第1の実施形態におけるバランス三方弁近傍の構成を示す要部拡大断面図である。
【図3】本発明のインジェクタの概略構成を示す全体断面図である。
【図4】(a)は従来のインジェクタにおけるバランス三方弁構成を示す拡大断面図、(b)は(a)のA部拡大断面図である。
【図5】縮流部長さと発生力の関係を示す図である。
【図6】第1の実施形態におけるバランス三方弁の低圧側シート部の構成を示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるインジェクタの全体概略断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態におけるインジェクタの全体概略断面図である。
【符号の説明】
I インジェクタ
1 ピエゾスタック(アクチュエータ)
10 ボディ
11 高圧通路
12 低圧通路
2 ピエゾピストン
21 スプリングピエゾ
22 変位拡大室
3 バルブピストン
31 スピル通路
32 通路
4 バランス三方弁(三方弁)
41 弁部
42 摺動部
43 細径部
44 弁室
45 低圧シート
46 高圧シート
5 制御室
51 ノズルニードル
52 スプリングニードル
61 メインオリフィス
62 サブオリフィス

Claims (6)

  1. ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させる制御室と、該制御室と高圧通路および低圧通路との連通・遮断を切換える三方弁と、ピエゾアクチュエータの伸縮に伴い上下動するピエゾピストンと上記三方弁に当接するバルブピストンとの間に変位拡大室を設けた油圧式変位拡大機構を備え、上記ピエゾアクチュエータを充電により伸長させ、その変位を上記変位拡大機構を介して伝達することで上記三方弁を駆動して上記低圧通路に至る低圧シートから離座させ、上記高圧通路に至る高圧シートに着座させることにより上記制御室の圧力を開放し、上記ノズルニードルを開弁させるインジェクタであって、
    上記三方弁に対して上記低圧シートを上記バルブピストン側に、上記高圧シートを上記ノズルニードル側に配置し、上記三方弁を上記高圧シートから離座させる方向に上記高圧通路の圧力を作用させる手段を有しており、かつ上記高圧シートと、これに対向し上記バルブピストン側へ向けて拡径するテーパ状とした上記三方弁の弁面との径方向の重なり幅を50μm以下とし、上記高圧シートとこれに対向する上記三方弁の弁面にて構成される高圧側シート部をシート位置下流で流路が急拡大する形状として、上記高圧側シート部の開放時に縮流流れが生じないようにしたことを特徴とするインジェクタ。
  2. 上記高圧シートを上記バルブピストン側へ向けて拡径するテーパ状とした請求項1記載のインジェクタ。
  3. 上記高圧シートの傾斜角度とこれに対向する上記三方弁の弁面の傾斜角度の差を2°以上とした請求項1または2記載のインジェクタ。
  4. 上記低圧シートがフラットな面であり、これに対向する上記三方弁の弁面を外周縁部から内方へ下り傾斜する面として、着座時に上記弁面の外周縁部が上記低圧シートに当接する構成とした請求項1ないし3のいずれか記載のインジェクタ。
  5. 上記低圧シートに着座する上記三方弁の弁面の下り傾斜角度を1°〜5°の範囲とした請求項4記載のインジェクタ。
  6. 上記三方弁が、上記低圧シートおよび上記高圧シートの間を移動する弁部と、ボディに摺動可能に配設された摺動部とを有し、上記低圧シート径と上記高圧シート径および上記摺動部径が略等しい請求項1ないし5のいずれか記載のインジェクタ。
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