JP4056837B2 - う蝕リスク検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のアミノ酸配列から成るタンパクを抗原とし、この抗原に対するヒトの唾液中に含まれる分泌型免疫グロブリンA(sIgA)の抗体価を免疫学的方法により測定して行うう蝕リスクの検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヒトの口腔内に存在するミュータンス連鎖球菌の存在とう蝕の発生との間には密接な関係があることが知られており、多くの研究が報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。このヒトの唾液中に存在するミュータンス連鎖球菌とは、菌種ではストレプトコッカス・ミュータンス及びストレプトコッカス・ソブリヌス(以後それぞれ、「S.mutans」及び「S.sobrinus」と記す)の総称である。
【0003】
ヒトの唾液中に存在するミュータンス連鎖球菌の数が多いほど将来新たなう蝕が多く生じることが報告されてから(例えば、非特許文献2参照。)、ヒトの唾液中のミュータンス連鎖球菌を簡易に定量する試みが数多く行われてきた。例えばS.mutansに特異的に反応するモノクロ−ナル抗体を応用して定量しようとするもの(例えば、特許文献1,2参照。)、簡易培養キットで増殖した菌体そのものを目視により定量するものなどがある(例えば、非特許文献3参照。)。しかし、ヒトの唾液中のミュータンス連鎖球菌の量を測定することでう触のリスクを検査することには次のような問題が存在している。先ず、ヒトの唾液中のミュータンス連鎖球菌の量が常に一定ではないということである。例えば、唾液中のミュータンス連鎖球菌の量の検査を行う直前に被験者が歯をきれいに磨いてしまうと、一時的にミュータンス連鎖球菌の量が低下するので、う触のリスクは低いと判断されてしまう。
【0004】
また、ヒトによってミュータンス連鎖球菌の量の増加の仕方が異なっていることが解っているが、この増加の仕方の差を予め検査することが可能となればミュータンス連鎖球菌の実際の増加や量と関係無くう触のリスクを知ることが可能となる。そこで、ミュータンス連鎖球菌の量を直接測定する以外にう触のリスクを検査する方法として、特定の感染症に罹患しているか否かを判定するために体内に特定の感染源に起因する抗体が含まれているか否かを検査する方法が注目されてきた。即ち、抗体は特定の感染源に対抗するために作られるのであるから、例えばヒトの唾液中にミュータンス連鎖球菌に対する抗体が多く含まれていればミュータンス連鎖球菌の量が多いのではないかという仮定が成り立つ。現に、ヒトはミュータンス連鎖球菌に感染すると、ミュータンス連鎖球菌に対する抗体を唾液中に分泌することが解っており、ヒトに死菌体としてのS.mutansを経口投与すると唾液中のS.mutansに対する免疫グロブリンの抗体価が顕著に上昇するという報告もある(例えば、非特許文献3,4参照。)。
【0005】
しかし、唾液が含有するミュ−タンス連鎖球菌に対する唾液の抗体価の多少をう蝕のリスク判定に使用しようとした研究では、得られた抗体価とう蝕の罹患状況や唾液中のミュ−タンス連鎖球菌の量などとの間に有意な相関が見付からず、う触のリスク検査への応用には成功していなかった。
【0006】
近年、ミュータンス連鎖球菌の一種であるS.mutansの菌体表層物質の中で、分子量約19万のPAc(Protein Antigen serotype C)と呼ばれるタンパク質抗原がミュータンス連鎖球菌の歯面への初期付着に関連があることがそれを抗原としたモノクローナル抗体を利用した研究から確認された。このような確認に基づいて、ミュータンス連鎖球菌の代わりにその菌体表層物質の一部であるPAcを抗原として血漿の抗体価を測定すれば、う蝕リスクとの関連性が見出せるのではないかとの期待が持たれた。しかしながら、この場合もう蝕の罹患状況や唾液中のミュ−タンス連鎖球菌の量などとの間に有意な相関が見付からず、リスク判定の指標とすることはできなかった。
【0007】
ミュータンス連鎖球菌又はPAcを用いた抗体価とミュータンス連鎖球菌の量との間に相関がない理由は、ミュータンス連鎖球菌の表面は勿論、PAcにも多様な抗原構造があるので他の抗原を認識するために産生されたヒト免疫グロブリンがたまたまミュータンス連鎖球菌のある部分と結合してしまったと考えられた。即ち、ミュータンス連鎖球菌やPAcを認識するために産生されたものではないヒト免疫グロブリンがミュータンス連鎖球菌やPAcと交差反応を生じたためであると考えられるのである。
【0008】
そこで、交差反応を避けるためにPAcの中で純粋にミュータンス連鎖球菌の歯面への初期付着に関連がある部分を特定する研究が進められ、PAc中のα螺旋構造を持つA領域(アミノ酸配列:216-464の部分)は、S.mutansによる歯面上のコロニー化と接着に強い影響があることが確認されていること(非特許文献5,6,7参照)、更に進んで、このPAcのA領域の中でより重要な配列が何であるかに関してを本発明者の一人である泉福等が解明したのである(非特許文献8参照)。その後、PAcのA領域の中で抗原としてヒトの免疫系に強く作用する配列は、Y---L--Y(ヒトのB細胞エピトープ)、及びL--V-K--A(ヒトの様々なHLA-DR分子と反応する部位)であることが確認され(非特許文献9,10参照)、この結果からPAcの特定アミノ酸配列[NAKATYEAALKQYEADLAAVKKANAA{PAc(361-386)}]が導き出された。しかし、このPAc(361-386)は、モデルマウスを用いた実験からこのペプチドを用いてヒト型の抗PAc(361-386)抗体を誘導できることが確認されたり(非特許文献11参照)、ヒト血漿中の抗体価からう触経験との相関は確認されたものの(非特許文献12参照)、口腔内のミュータンス連鎖球菌の量との相関は得られていない。従って、特定抗原を用いてその抗原に対するヒト免疫グロブリンの抗体価の違いからう蝕リスクを正確に検査することができるう触リスク検査方法は未だ確立されていないのが現状である。
【0009】
【特許文献1】
特開平2−177898号公報
【特許文献2】
特開平10−36400号公報
【特許文献3】
米国特許5374538号公報
【非特許文献1】
Anders Thylstrup and Ole Fejerskov,“Textbook of clinical caliology”(Denmark), Munksgaard社, 1996, 2nd edition, p.405
【非特許文献2】
Zickert I, Emilson CG, Krasse B. “Effect of caries preventive measures in children highly infected with the bacterium Streptococcus mutans” Arch Oral Biol, (USA), Oxford Pergamon Press, 1982, 27, p.861-8
【非特許文献3】
McGhee J. R. et al, Adv. Esp. Med. Biol. (USA), Plenum Press, 1978, 107, p.177-184
【非特許文献4】
Krasse B, L. et al, Adv. Exp. Med. Biol. (USA), Plenum Press, 1978, 107, p.349-354
【非特許文献5】
Takahashi I. et al,“Immunogenicity and protective effect against oral colonization by Streptococcus mutans of synthetic peptides of a streptococcal surface protein antigen”, J. Immunol, (USA), 1991, 146, p.332-6
【非特許文献6】
Takahashi I. Infect Immun (USA), Baltimore Md. American Associaton of Immunologists, 1992, 60, p.623-629
【非特許文献7】
Okahashi N, et al, Mol. Microbiol. (USA) ,Blackwell Scienctific Publications, 1993, 3, p.221-228
【非特許文献8】
Senpuku H, et al,“An antigenic peptide inducing cross-reacting antibodies inhibiting the interaction of Streptococcus mutans PAc with human salivary components” Infect Immun (USA), Baltimore Md. American Associaton of Immunologists, 1995, 63, p.4695-703
【非特許文献9】
Senpuku et al, “Identification of Streptococcus mutans Pan peptide motif binding with human MHC class II molecules (DRBI*0802,*1101,*1401 and *1405) Immunology (England), Blackwell Scientific Publications, 1998, 95, p.322-330
【非特許文献10】
Senpuku et al, “Inhibitory Effects of MoAbs against a Surface Protein Antigen in Real-Time Adherence In vitro and Recolonization In vivo of Streptococcus mutans” Scand. J. Immunol. (England), Oxford Blackwell Scientific Publications, 2001, 54, p.109-116
【非特許文献11】
Y. TSUHA, MD. A. SALAM, N. HANADA, N. KUROSAKI,and H. SENPUKU, 2800 Identification of peptide vaccine candidate to induce hu-antibody against S.mutans PAc,IADR Poster, 2002/03/08
【非特許文献12】
金子昇,泉福英信,花田信弘,宮崎秀夫、80歳高齢者における血漿中抗PAc(361-386)抗体価とDMFTとの関連、口腔衛生学会雑誌、Vol52, P450-451, 2002
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定のアミノ酸配列から成る合成タンパクを抗原とし、その抗原に対するヒト免疫グロブリンの抗体価の違いからう蝕リスクを正確に且つ短時間で検査することができるう触リスク検査方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討をした結果、PAc(361-386)と血漿中の抗体価から口腔内のミュータンス連鎖球菌の量を求めることは抗体の性質上難しく、また相関が得られたとしても血漿を用いた試験は操作時間が数時間から数日必要となり臨床的に利用可能なう触リスク検査方法はできないと考えた。そこで、粘膜免疫は通常の免疫系と異なる動きをすることに着目し、S.mutansのPAc(361-386)のアミノ酸配列のみの合成タンパクを抗原としてミュータンス連鎖球菌の歯面への付着の防御として機能しているヒトの口腔粘膜から分泌される分泌型免疫グロブリンA(sIgA)の抗体価を測定すれば、う触リスクの検査を正確に且つ短時間で行えることを究明して本発明を完成したのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
即ち本発明は、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列から成る合成タンパクを抗原とし、該抗原に対するヒトの唾液中の分泌型免疫グロブリンAの抗体価を測定することによりヒトのう蝕リスクを検査することを特徴とするう蝕リスク検査方法である。
【0014】
本発明において抗原として使用する配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列から成る合成タンパクを得るには、このようなアミノ酸配列を得ることができる手法であれば特に限定されないが、一般的にはアミノ酸シンセサイザーを用いるのが便利である。合成タンパクの合成に際しては配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列以外に余計なアミノ酸配列を有していないことが重要である。余計なアミノ酸配列部位があると、本来ミュ−タンス連鎖球菌に関連しない免疫グロブリンの抗体価も測定することになり検査の精度が低下してしまう。
【0015】
本発明方法においては、検体にはヒト唾液を用い、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列から成る合成タンパクを抗原としてヒトの唾液が含有する分泌型免疫グロブリンAの抗体価を測定する。実際には、検体は生理食塩水,燐酸緩衝食塩水などで任意の倍率に希釈して検査に用いられる。検体の希釈倍率が高くても抗原抗体反応が得られた検体を有していた人は、う蝕の発症リスクが低いという判定もできる。
【0016】
抗原抗体反応の定量には、ヒトの唾液が有する分泌型免疫グロブリンAに反応する標識された抗体を使用する。この抗体を標識するための標識物質としては入手や標識の容易さから、ホースラデイシュパーオキシダーゼ,アルカリフォスファターゼなどの酵素,フルオレセインイソチオシアネートなどの蛍光物質,金コロイド,ラテックスビーズなどを使うのがよい。
【0017】
本発明方法では、通常の酵素抗体法(ミュータンス連鎖球菌に対する抗体価測定法の一つ、Enzyme Linked immunosorbent Assay,以下「ELISA」と記す)を用いても十分実用可能な感度が得られるが、抗原抗体反応で得られる測定値の感度向上のために一般的に用いられる技術、例えば唾液中の分泌型免疫グロブリンAを一旦ビオチン化抗ヒト免疫グロブリンAなどと反応させ定量時の測定感度を増すこともできる。抗体価の測定には一般的な抗原抗体反応に基づく手法がそのまま応用できる。その他にも、イムノクロマト,イムノコンセントレ−ション,ラテックス凝集法などがいずれも好適に使用できる
【0018】
本発明方法においては、唾液を検体とすることが重要であり、ヒトの血漿を用いてもミュータンス連鎖球菌の量を定量することはできない。
【0019】
本発明方法におけるヒトの唾液中の分泌型免疫グロブリンAの抗体価の測定方法は、免疫学で従来から用いられている測定方法を使用することができる。例えば、ELISA,イムノクロマト,イムノコンセントレーション,ラテックス凝集法などがいずれも好適に使用できる。
【0020】
抗体価の測定に当っては配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列から成る合成タンパクを固体表面に固相化し、これに任意に希釈した検体と標識した抗体とを反応させればう蝕リスク診断を行うことができる。
【0021】
固相化に当っては測定時のバックグラウンドの低下や固相化物質の安定化などのために、特定の抗体と反応しないタンパクを共存させておくことができる。このようなタンパクには通常よく用いられるウシ血清アルブミンやスキムミルクを使用することができ、ウシ血清アルブミンよりもスキムミルクを用いた方が低バックグラウンドになることが多くより好適である。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、特に記述がない限り操作は室温行い、pHは20〜25℃におけるpHを示す。タンパク量は280nmの吸光度からその濃度を算出した。
【0023】
<実施例1>
<ELISAによる唾液分泌抗体の測定>
(1)抗原としての合成タンパクの合成
配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列から成る合成タンパクをステップワイスの固相ペプチド合成法から得た。合成器には、Model 350 Multiple Peptide Synthesizer(製品名:Advanced Chemitech, Louisville社製)を使用し、TSK-GEL カラム(30×1)を用いた逆相の高速液体クロマトグラフィー法(10〜45%アセトニトリルをカラムとし、グラジエントを0.1%TFA)にて合成ペプチドの確認を行った。最終精製度は95%以上であった。
【0024】
(2)唾液分泌抗体の測定
A)抗体の固相化
前記の方法で合成した合成タンパクを50mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH:9.6)で10μg/mLの濃度になるように希釈し、96穴マイクロプレート(Sumitomo Bakelite社製)の各wellに100μLになるように添加した。これを4℃で一晩静置し合成タンパクとwellとを結合させた。
【0025】
B)ブロッキング
前記の方法で固相化したマイクロプレートをマイクロプレートウオッシャー(製品名:Model 1575,バイオラット社製)を用い、PBS(Phosphate buffered saline pH:7.4)に0.1重量%の中性界面活性剤(商品名:TWEEN20,SIGMA社製)を含有させた液(以下、PBSTと言う)にて3回洗浄を行う。洗浄後、1%スキムミルク含有PBSをウエル当り200μL注入し、1時間37℃でブロッキングを行った。ブロッキング後、PBSTで3回洗浄し、余計なブロッキング剤を洗浄した。
【0026】
C)唾液の調整
パラフィンワックスを3分間噛むことにより分泌される刺激唾液を検体とした。唾液検体は回収後、測定開始まで氷中で保存した。実験には、唾液を0.5%スキムミルク含有PBSで2、4、8、16、32、64、128、256、512、1024倍に希釈したものを作製し、上記のプレートに各100μL添加した。添加後、37℃で1時間静置した後、PBSTで洗浄した。
【0027】
D)標識抗体
アルカリフォスファターゼ標識(商品名:Anti-Human-IgA,Chemicon International社製)を0.5重量%スキムミルク含有PBSにて0.3μg/mLの濃度に調整し、各wellに100μL添加し、1時間37℃で反応させた。
【0028】
E)発色
PBSTにて洗浄後、アルカリフォスファターゼの発色基質であるP−ニトロフェノールリン酸二ナトリウム6水和物0.1重量%含有ジエタノールアミンバッファーを各wellに100μL添加し、37℃で30分静置した後、波長405nmの吸光度を測定した。尚、ジエタノールアミンバッファーは以下の処方で調整した。
ジエタノールアミン 48.5mL
MgCL2・6H2O 50.0mg
NaN3 100mg
2O 400mL
最終pH 9.8
【0029】
5人の被験者(A,B,C,D,E)の唾液中の免疫グロブリンAの合成タンパクに対する抗体価をELISAで計測し、結果を図1に示す。その結果、今回の試験条件が抗体価を評価するのに適した条件で行われたことが確認できた。即ち、このような条件の設定により抗体価が高いグループ(A,C,E)と低いグループ(B,D)の2つのグループに分けて他の被験者をグループ単位で高低の評価で検査したり、抗体価の実際の数値によりう触リスクを検査することもできる。今回は口腔内の実際のミュータンス連鎖球菌の量と抗体価の高低とによるグループ間において触リスク検査方法の精度を確認した。
【0030】
<ミュータンス連鎖球菌の測定>
A)唾液の調整
パラフィンワックスを3分間噛むことにより分泌された刺激唾液を検体とした。唾液検体は回収後、直ちに以下の培養に使用し、残りは抗体価の測定まで冷凍保存した。
【0031】
B)測定
唾液中のミュータンス連鎖球菌は、MSB(ミティスサリバリウスバシトラシン培地)を用いて測定した。方法は、無菌的条件で唾液をPBSで希釈し、50μLを培地に塗布し、37℃、嫌気条件下で3日間培養を行い、コロニー数の計測からミュータンス連鎖球菌量(cfu/mL)を算出した。
【0032】
本発明方法で抗体価を測定したものと、唾液中のミュータンス連鎖球菌の量をコロニーから測定した場合とを比較した(表1)。
【0033】
【表1】
Figure 0004056837
【0034】
上記結果から、ヒトの唾液中の分泌型免疫グロブリンAの合成タンパクに対する抗体価とミュータンス連鎖球菌の量とには相関があることが確認され、う触リスクの検査が行えることが確認できた。
【0035】
<実施例2>
<免疫クロマトグラフィーによる抗体価の測定方法>
A)捕捉抗体を塗布した多孔質膜の調整
多孔質膜としてニトロセルロースメンブレン(商品名:SXHF,日本ミリポア社製)を用いた。この膜を5mm×40mmの長方形に切り出し、膜中央部にPBSにて500μg/mLに調整した合成タンパク1μLを帯状に塗布した。これを37℃にて2時間乾燥し、使用直前までデシケーター中に保管した。
【0036】
B)唾液の調整
被験者から3分間パラフィンワックスを噛むことによって得られた刺激唾液をプラスチック容器に回収し、これらを直ちにPBSTで4倍希釈したものを検体として使用した。
【0037】
C)測定
96穴マイクロプレートのwellに、抗ヒトIgAに金標識されたもの(商品名:BA. GAHA40,British Biocell International社製)をPBSにて5倍希釈したものを50μL添加し、更にその希釈唾液検体100μLを添加し混和した。先に調整した捕捉抗体を塗布した多孔質膜の片端にクリップで40mm×40mmのろ紙を四折にして固定し、ろ紙がついていないもう片端5mm×40mmをwellに浸漬させ試験液を染み込ませて抗体反応の有無を観察した。
【0038】
D)ミュータンス連鎖球菌数の測定
実施例1に記載した方法でミュータンス連鎖球菌の量を測定した。
【0039】
結果を表2に示す。捕捉抗体を塗布した多孔質膜上の合成タンパク塗布部が赤く染まったものを「反応あり」とした。
【0040】
【表2】
Figure 0004056837
【0041】
反応あり(n=25)群よりも反応なし(n=42)群のミュータンス連鎖球菌量の平均の方が有意(p=0.05)に高かった。この試験法で反応なしとされた者のう蝕リスクは高いと判定できた。
【0042】
<比較例1>
合成タンパクの代わりに、培養したS.mutansを固相化した以外は実施例1に示したELISAと同様の方法で唾液の抗体価を検査した。ミュータンス連鎖球菌量と抗体価との間には相関が認められなかった。
【0043】
<比較例2>
合成タンパクの代わりに、遺伝子組み換えされたS.mutansの培養上清をサンプルとして精製PAcを得た。具体的な精製方法はOkahashi N. et al,“Cloning of Surface protein antigen gene from serotype c Streptococcus mutans” Mol Microbiol, (USA), Blackwell Scienctific Publications, 1989, 3. p.221‐8及びKoga T. et al, “Surface hydrophobicity, adherence, and aggregation of cell surface protein antigen mutants of Streptococcus mutans serotype c”, Infect Immun, (USA), Baltimore Md American Associaton of Immunologists, 1990, 58. p.289-96に従った。上記精製PAcを抗原として用いた他は実施例2に示したのと同じ手順で検査を行った。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0004056837
【0045】
反応あり群と反応なし群とのミュータンス連鎖球菌量の平均に有意差はなかった(P=0.05)。このため、比較例2からう蝕リスクの多少を判定することはできない。
【0046】
【発明の効果】
以上に詳述したように本発明に係るう触リスク検査方法は、特定抗原であるミュータンス連鎖球菌に特有な配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列から成る合成タンパクを抗原として用い、その抗原に対するヒトの唾液中の分泌型免疫グロブリンAの抗体価の違いからう蝕リスクを正確にしかも短時間で検査することができるう触リスク検査方法であり、歯科医療に貢献する価値の大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】5人の被験者(A,B,C,D,E)の唾液中の免疫グロブリンAの合成タンパクに対する抗体価をELISAで計測した結果を示す図である。

Claims (1)

  1. 配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列から成る合成タンパクを抗原とし、該抗原に対するヒトの唾液中の分泌型免疫グロブリンAの抗体価を測定することによりヒトのう蝕リスクを検査することを特徴とするう蝕リスク検査方法。
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