JP4056696B2 - セメントスラリー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超高強度を発現するセメントスラリーに関し、特に、流動性が高く、かつ比較的硬化速度が大きいセメントスラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モルタルやコンクリートの製造において、セメントの配合割合を大きくし、必要に応じてシリカフュームのようなポゾラン質微粉末を添加し、更に、高性能AE減水剤等の減水剤を大量に使用して単位水量を大幅に低減することによって、圧縮強度が100MPa以上となるように超高強度化する技術が知られている。例えば、低熱ポルトランドセメントを使用し、水/セメント比が25重量%、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(固形分換算)/セメント比が1.0重量%、砂/セメント比が100重量%となるように各材料を配合したモルタルでは、120MPa程度の圧縮強度が発現する。また、水/セメント比が22重量%、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(固形分換算)/セメント比が1.0重量%、シリカフューム/セメント比が30重量%、砂/セメント比が100重量%となるように各材料を配合したモルタルでは、200MPa以上の圧縮強度が発現する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような減水剤の大量使用は、モルタルやコンクリートの凝結を著しく遅延させる。そのため、現場打ちで施工する場合には、脱型が遅くなって、工事期間が長期化し、製品工場においては、前養生時間が長くなり、生産性の低下を招くという問題がある。
そこで、本発明では、流動性が高く、かつ比較的硬化速度が大きい、超高強度を発現するセメントスラリーを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に記載のセメントスラリーは、中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメント 100 重量部、ポゾラン質微粉末5 〜 50 重量部、水10 〜 35 重量部、ポリカルボン酸系の高性能減水剤または高性能AE減水剤 0.5 〜 4.0 重量部(固形分換算)、及び、上記セメントに対して酸化カルシウム換算で0.02〜0.6重量%のカルシウム塩を含み、かつ、該カルシウム塩が、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、蟻酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、及び酢酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上のカルシウム塩であることを特徴とする。
このように特定量のカルシウム塩を含有させることによって、超高強度を発現するセメントスラリーにおいて、高流動性を保持したまま、硬化速度を大きくすることができる。
また、水/セメント比が上記範囲内であれば、流動性や分離抵抗性を良好にし、かつ、凝結時間の遅延や硬化体の強度の低下を防止することができる。
【0005】
上記セメントスラリーは、更に、石英粉末、石灰石粉末、炭化物、及び窒化物のいずれかからなる、平均粒径3〜20μmの無機粉末を、上記中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメント 100 重量部に対して 50 重量部以下の配合量で含むことができる(請求項2)。
無機粉末を含むことによって、流動性を向上させ、かつ、硬化後の充填密度や強度を高めることができる。
上記セメントスラリーは、更に、粒径2mm以下の骨材を、上記中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメント 100 重量部に対して 50 〜 250 重量部の配合量で含むことができる(請求項3)。
粒径2mm以下の骨材を含むことによって、より一層、セメントスラリーの流動性を高めることができるとともに、硬化後のクラックの発生に対する抵抗性を高めることができる。
上記セメントスラリーは、更に、セメントスラリーの体積の 4 %以下の配合量の金属繊維、及び/又は、セメントスラリーの体積の 10 %以下の配合量の有機質繊維を含むことができる(請求項4)。
金属繊維及び/又は有機質繊維を含むことによって、硬化後の曲げ強度を高めることができる。
【0006】
上記セメントスラリーに関し、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において15回の落下運動を行なわないで測定したフロー値は、好ましくは、200〜300mmである(請求項5)。
フロー値が上記範囲内であれば、成形等の作業性が良好になるとともに、材料分離が生じ難くなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のセメントスラリーは、中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメント 100 重量部、ポゾラン質微粉末5 〜 50 重量部、水10 〜 35 重量部、ポリカルボン酸系の高性能減水剤または高性能AE減水剤 0.5 〜 4.0 重量部(固形分換算)、及び、上記セメントに対して酸化カルシウム換算で0.02〜0.6重量%、好ましくは0.05〜0.55重量%のの、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、蟻酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、及び酢酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上のカルシウム塩を含む。
なお、本発明においては、セメントスラリーの流動性を向上させようとする観点から、中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメントが用いられる。
【0008】
ポゾラン質微粉末としては、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ等が挙げられる。それらの中でも、シリカフューム及びシリカダストは、平均粒径が1.0μm以下であり、粉砕等をする必要がないため、好ましく使用される。
ポゾラン質微粉末を添加することによって、マイクロフィラー効果及びセメント分散効果が生じて、セメントスラリーの流動性が向上するとともに、セメントスラリーの硬化後には、当該硬化体が緻密化し、圧縮強度が向上する。
【0009】
ポゾラン質微粉末の配合量は、セメント100重量部に対して5〜50重量部が好ましく、15〜45重量部がより好ましい。配合量が5重量部未満では、セメントスラリーの流動性が低くなり、また、硬化体の圧縮強度も小さくなるので、好ましくない。配合量が50重量部を超えると、セメントスラリーの流動性を確保するために単位水量を増大させる必要が生じ、また、硬化体の圧縮強度が低下するので、好ましくない。
【0010】
減水剤としては、ポリカルボン酸系の高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することができる。なお、高性能減水剤及び高性能AE減水剤は、減水効果が大きく、減水剤の配合量を少なくすることができるので、好ましく使用される。
減水剤の配合量は、セメント100重量部に対して、固形分換算で0.5〜4.0重量部が好ましく、0.5〜3.0重量部がより好ましい。配合量が0.5重量部(固定分換算)未満では、セメントスラリーの流動性が小さくなるので、好ましくない。配合量が4.0重量部(固定分換算)を超えると、セメントスラリーの凝結時間が遅くなり、硬化後の強度も小さくなるので、好ましくない。
なお、減水剤は、液状と粉末状のいずれも使用することができる。
【0011】
水は、水道水等を使用することができる。
水/セメント比は、好ましくは、10〜35重量%(セメント100重量部当たり、水10〜35重量部)、より好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは15〜25重量%である。水/セメント比が10重量%未満では、モルタルスラリーの流動性や分離抵抗性が劣るので、好ましくない。水/セメント比が35重量%を超えると、凝結時間が長くなり、硬化体の強度が低下するので、好ましくない。
【0012】
カルシウム塩としては、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、蟻酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、及び酢酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上のカルシウム塩が挙げられる。それらの中でも、入手の容易性や、セメントスラリーの作業性等の面から、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウムが好ましく使用される。
カルシウム塩の配合量は、セメントの重量(100重量%)に対し、酸化カルシウム換算で0.02〜0.6重量%であり、好ましくは0.05〜0.55重量%である。配合量が0.02重量%未満では、凝結を促進する効果がほとんどなくなるため、好ましくない。配合量が0.6重量%を超えると、セメントスラリーの流動性が急激に低下するため、好ましくない。
【0013】
本発明においては、流動性を向上させ、かつ硬化後の充填密度や強度を高めるために、セメントスラリーに平均粒径3〜20μm、より好ましくは平均粒径4〜10μmの無機粉末を配合することが好ましい。
無機粉末としては、例えば、石英粉末、石灰石粉末、炭化物、窒化物等が挙げられる。中でも、石英粉末は、コストや硬化後の品質安定性の点で好ましく用いられる。
石英粉末としては、石英や非晶質石英、オパール質やクリストバライト質のシリカ含有粉末等が挙げられる。
無機粉末の配合量は、セメントスラリーの流動性、硬化後の強度等の面から、セメント100重量部に対して50重量部以下が好ましく、20〜40重量部がより好ましい。
【0014】
本発明のセメントスラリーは、流動性の向上や、硬化後のクラックに対する抵抗性の向上のために、粒径2mm以下の骨材を含むことが好ましい。ここで、骨材の「粒径」とは、85%(重量)累積粒径、すなわち、粒径の小さいものから累積していった場合において、骨材全体の85重量%に達した時の粒径をいう。
骨材の粒径が2mmを超えると、硬化後の強度が低下するので、好ましくない。
なお、本発明においては、セメントスラリーの分離抵抗性や、硬化後の強度等の面から、最大粒径が2mm以下の骨材を用いることが好ましく、最大粒径が1.5mm以下の骨材を用いることがより好ましい。
骨材としては、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、又はこれらの混合物を使用することができる。
骨材の配合量は、セメントスラリーの流動性や分離抵抗性、硬化後の強度やクラックに対する抵抗性等から、セメント100重量部に対して50〜250重量部が好ましく、80〜180重量部がより好ましい。
【0015】
本発明においては、硬化後の曲げ強度を高めるために、セメントスラリーに金属繊維及び/又は有機質繊維を配合することが好ましい。
金属繊維としては、例えば、鋼繊維、アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、鋼繊維は、高強度であり、コストが安く、入手し易い等の点で、好ましい。金属繊維は、直径が0.01〜1.0mm、長さが2〜30mmの寸法を有するものが好ましい。金属繊維の直径が0.01mm未満では、繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなる。直径が1.0mmを超えると、単位重量当たりの本数が少なくなり、曲げ強度を向上させる効果が低下する。金属繊維の長さが2mm未満では、マトリックスに対する付着力が低下し、曲げ強度を向上させる効果が低下する。長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなる。
【0016】
金属繊維の配合量は、セメントスラリーの体積の4%以下が好ましく、3.5%以下がより好ましい。
なお、金属繊維の配合量は、成形時の流動性と、硬化後の曲げ強度という2つの面を考慮して定められる。すなわち、金属繊維の配合量が多くなると、硬化後の曲げ強度を増大させることができる反面、成形時の流動性を確保するために単位水量を増やす必要が生じて、硬化速度が低下するので、これら2つの物性(曲げ強度及び流動性)のバランスを考慮して、金属繊維の配合量を定めることが必要である。
【0017】
有機質繊維としては、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機質繊維は、直径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmの寸法を有するものが好ましい。
有機質繊維の直径が0.005mm未満では、繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなる。直径が1.0mmを超えると、単位重量当たりの本数が少なくなり、曲げ強度を向上させる効果が低下する。有機質繊維の長さが2mm未満では、マトリックスに対する付着力が低下し、曲げ強度を向上させる効果が低下する。長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなる。
有機質繊維の配合量は、成形時の流動性と、硬化後の曲げ強度を考慮すると、セメントスラリーの体積の10%以下が好ましく、7%以下がより好ましい。
なお、金属繊維と有機質繊維は、各々単独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0018】
本発明のセメントスラリーは、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行なわないで測定したフロー値が、200〜300mmが好ましく、210〜290mmがより好ましい。フロー値が200mm以上であることによって、自己充填性を有するか、または、簡易な振動機によって型枠に詰めることが可能になり、成形等の作業性が非常に優れたものとなる。フロー値が200mm未満では、成形等の際の作業性が劣り、好ましくない。フロー値が300mmを超えると、材料分離が生じ易くなるので、好ましくない。
【0019】
本発明においては、硬化後の靭性を高めるために、セメントスラリーに平均粒度が1mm以下の繊維状粒子及び/又は薄片状粒子を配合することが好ましい。ここで、粒子の粒度とは、その最大寸法の大きさ(特に、繊維状粒子ではその長さ)である。繊維状粒子としては、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が、薄片状粒子としては、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
なお、繊維状粒子と薄片状粒子は、各々単独で用いてもよいし、併用してもよい。
繊維状粒子及び/又は薄片状粒子の配合量(併用する場合は合計量)は、セメントスラリーの流動性や、硬化体の強度及び靭性等の面から、セメント100重量部に対して35重量部以下が好ましく、10〜25重量部がより好ましい。
なお、繊維状粒子においては、硬化体の靭性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものを用いるのが好ましい。
【0020】
本発明においては、セメントスラリーの混練方法は特に限定されるものではなく、全ての材料を一括してミキサに投入して混練してもよいし、あるいは、固体(粉体)材料を予め混合しておき、該混合物と水等をミキサに投入して混練してもよい。
また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを用いることができる。
【0021】
本発明のセメントスラリーの成形方法は、特に限定されるものではなく、流し込み成形等の慣用の成形方法を採用することができる。
また、養生方法も特に限定されるものではなく、常温養生や蒸気養生等を行なえばよい。
【0022】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
[使用材料]
(1) セメント: 低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製);
(2) ポゾラン質微粉末: シリカフューム(平均粒径0.7μm);
(3) 骨材: 珪砂4号と珪砂5号の2:1(重量比)の混合物(最大粒径2mm未満);
(4) 金属繊維: 鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm);
(5) 有機質繊維:ビニロン繊維(直径:0.3mm、長さ:12mm);
(6) 高性能AE減水剤: ポリカルボン酸系高性能AE減水剤;
(7) 水: 水道水;
(8) 無機粉末:石英粉(平均粒径7μm);
(9) 繊維状粒子: ウォラストナイト(平均長さ:0.3mm、長さ/直径の比:4)
(10) カルシウム塩: 亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、蟻酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、酢酸カルシウム(各々、市販試薬を使用)
【0023】
[実施例1、比較例1]
以下の配合条件及び混練方法でセメントスラリーを得た後、フロー値、凝結時間、圧縮強度を各々測定した。
(1)配合条件
(1) 低熱ポルトランドセメント: 100重量部;
(2) ポゾラン質微粉末: シリカフューム32.5重量部;
(3) 高性能AE減水剤: セメント100重量部に対して1.0重量部(固形分換算);
(4) 水/セメント比: 30%;
(5) カルシウム塩: セメントの重量に対して表1に示す割合(重量%)で添加した。なお、( )内は、CaO換算値(重量%)である。
(2)混練方法
二軸練りミキサに各材料を一括投入し、10分間混練した。
【0024】
(3)フロー値の試験方法
「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に準じて、フロー値を測定した。ただし、15回の落下運動は行なわずに測定した。
(4)凝結時間の測定方法
「JIS A 6204 (コンクリート用化学混和剤)附属書1 コンクリートの凝結時間測定方法」に準じて、凝結時間を測定した。表1中、凝結の始発時間及び終結時間を、時間−分(h-m)で表した。例えば、「16-40」は、16時間40分経過時を表す。
(5)圧縮強度の測定方法
混練物をφ50×100mmの型枠を用いて成形し、48時間前置きした後、90℃で48時間蒸気養生した。養生後の供試体について、「JIS R 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて圧縮強度を測定した。
結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
表1から、特定量の亜硝酸カルシウム(実施例1)または硝酸カルシウム(実施例2)を用いた場合には、カルシウム塩を用いない場合(比較例1)と比べて、流動性(フロー値)と圧縮強度の値がほぼ同等に維持されたまま、硬化速度が大幅に大きくなることがわかる。
【0026】
[実施例3〜6、比較例2]
配合条件を次のように変えた以外は、実施例1と同様にして、フロー値等を測定した。結果を表2に示す。
(配合条件)
(1) 低熱ポルトランドセメント: 100重量部;
(2) ポゾラン質微粉末: シリカフューム28重量部;
(3) 無機粉末: 石英粉35重量部
(4) 骨材: 110重量部
(5) 高性能AE減水剤: セメント100重量部に対して0.8重量部(固形分換算)
(6) 水/セメント比: 22%
(7) カルシウム塩: セメントの重量に対して、表2に示す割合(重量%)で添加した。
【0027】
【表2】
表2から、特定量のカルシウム塩を用いた場合(実施例3〜6)には、カルシウム塩を用いない場合(比較例2)と比べて、流動性(フロー値)と圧縮強度の値が一定以上に保持されるとともに、硬化速度が大幅に大きくなることがわかる。また、セメントスラリー中に無機粉末(石英粉)及び骨材を含むことによって、これらの材料を含まない実施例1、2よりも流動性及び圧縮強度が向上していることがわかる。
【0028】
[実施例7〜9、比較例3]
配合条件を次のように変えた以外は、実施例1と同様にして、フロー値等を測定した。結果を表3に示す。
(配合条件)
(1) 低熱ポルトランドセメント: 100重量部;
(2) ポゾラン質微粉末: シリカフューム32.5重量部;
(3) 骨材: 120重量部;
(4) 高性能AE減水剤: セメント100重量部に対して1.0重量部(固形分換算);
(5) 水/セメント比: 22%;
(6) カルシウム塩: セメントの重量に対して表3に示す割合(重量%)で添加した。なお、( )内は、CaO換算値(重量%)である。
【0029】
【表3】
表3から、特定量の蟻酸カルシウムを用いた場合(実施例7〜9)には、カルシウム塩を用いない場合(比較例3)と比べて、流動性(フロー値)と圧縮強度の値が一定以上に保持されるとともに、硬化速度が大幅に大きくなることがわかる。
【0030】
[実施例10〜16、比較例4]
配合条件を次のように変えた以外は、実施例1と同様にして、フロー値等を測定した。結果を表4に示す。
(配合条件)
(1) 低熱ポルトランドセメント: 100重量部;
(2) ポゾラン質微粉末: シリカフューム32.5重量部;
(3) 無機粉末: 石英粉30重量部;
(4) 骨材: 120重量部;
(5) ウォラストナイト: 24重量部;
(6) 高性能AE減水剤: セメント100重量部に対して1.0重量部(固形分換算);
(7) 水/セメント比: 22%;
(8) カルシウム塩: セメントの重量に対して表4に示す割合(重量%)で添加した。なお、( )内は、CaO換算値(重量%)である。
【0031】
【表4】
表4から、特定量のカルシウム塩を用いた場合(実施例10〜16)には、カルシウム塩を用いない場合(比較例4)と比べて、流動性(フロー値)と圧縮強度の値がほぼ同等に保持されるとともに、硬化速度が大幅に大きくなることがわかる。
【0032】
[実施例17〜21、比較例5]
配合条件を次のように変えた以外は、実施例1と同様にしてセメントスラリーを製造した。その後、実施例1と同様にしてフロー値を測定するとともに、下記のように圧縮強度を測定した。結果を表5に示す。
(1)配合条件
(1) 低熱ポルトランドセメント: 100重量部;
(2) ポゾラン質微粉末: シリカフューム32.5重量部;
(3) 無機粉末: 石英粉30重量部;
(4) 骨材: 120重量部;
(5) ウォラストナイト: 24重量部;
(6) 高性能AE減水剤: セメント100重量部に対して1.0重量部(固形分換算);
(7) 水/セメント比: 22%;
(8) 鋼繊維: スラリー中の容積割合で2%;
(9) カルシウム塩: セメントの重量に対して表5に示す割合(重量%)で添加した。なお、( )内は、CaO換算値(重量%)である。
(2)圧縮強度の測定法
混練物をφ50×100mmの型枠を用いて成形し、20℃で24時間気中養生した。養生後の供試体について、「JIS A 1216(土の一軸圧縮試験方法)」に準じて圧縮強度を測定した。
【0033】
【表5】
表5に示すように、特定量のカルシウム塩を用いた場合(実施例17〜21)には、24時間気中養生した後に脱型可能であり、圧縮強度を測定することができたのに対し、カルシウム塩を用いない場合(比較例5)には、脱型することができなかった。このように、特定量のカルシウム塩を用いることによって、早期に脱型することができる。
【0034】
[実施例22〜24、比較例6]
配合条件を次のように変えた以外は、実施例1と同様にしてセメントスラリーを製造した。その後、実施例1と同様にしてフロー値を測定するとともに、実施例17と同様にして圧縮強度を測定した。結果を表6に示す。
(1)配合条件
(1) 低熱ポルトランドセメント: 100重量部;
(2) ポゾラン質微粉末: シリカフューム32.5重量部;
(3) 無機粉末: 石英粉30重量部;
(4) 骨材: 120重量部;
(5) ウォラストナイト: 24重量部;
(6) 高性能AE減水剤: セメント100重量部に対して1.0重量部(固形分換算);
(7) 水/セメント比: 22%;
(8) ビニロン繊維: スラリー中の容積割合で4%;
(9) カルシウム塩: セメントの重量に対して表6に示す割合(重量%)で添加した。なお、( )内は、CaO換算値(重量%)である。
【0035】
【表6】
表6に示すように、特定量のカルシウム塩を用いた場合(実施例22〜24)には、24時間気中養生した後に脱型可能であり、圧縮強度を測定することができたのに対し、カルシウム塩を用いない場合(比較例6)には、脱型することができなかった。このように、特定量のカルシウム塩を用いることによって、早期に脱型することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明のセメントスラリーは、超高強度を発現させることができるとともに、流動性が高く、かつ硬化速度が大きいので、現場打ちの施工において、良好な作業性を確保しつつ工事期間を短縮化することができ、あるいは、製品工場において、生産効率を高めることができる。
Claims (5)
- 中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメント 100 重量部、ポゾラン質微粉末5 〜 50 重量部、水10 〜 35 重量部、ポリカルボン酸系の高性能減水剤または高性能AE減水剤 0.5 〜 4.0 重量部(固形分換算)、及び、上記セメントに対して酸化カルシウム換算で0.02〜0.6重量%のカルシウム塩を含み、かつ、該カルシウム塩が、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、蟻酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、及び酢酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上のカルシウム塩であることを特徴とするセメントスラリー。
- 更に、石英粉末、石灰石粉末、炭化物、及び窒化物のいずれかからなる、平均粒径3〜20μmの無機粉末を、上記中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメント 100 重量部に対して 50 重量部以下の配合量で含む請求項1に記載のセメントスラリー。
- 更に、粒径2mm以下の骨材を、上記中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメント 100 重量部に対して 50 〜 250 重量部の配合量で含む請求項1又は2に記載のセメントスラリー。
- 更に、セメントスラリーの体積の 4 %以下の配合量の金属繊維、及び/又は、セメントスラリーの体積の 10 %以下の配合量の有機質繊維を含む請求項1〜3のいずれかに記載のセメントスラリー。
- 「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において15回の落下運動を行なわないで測定したフロー値が200〜300mmである請求項1〜4のいずれかに記載のセメントスラリー。
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