JP4056368B2 - 金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物、それからなるフィルム及び金属蒸着フィルム - Google Patents

金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物、それからなるフィルム及び金属蒸着フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形加工性、透明性、剛性、引裂強度、ヒートシール性、耐ブロッキング性、表面傷付き性、蒸着膜の接着性、蒸着面への印刷性、蒸着面へのラミネート性に優れた金属蒸着フィルム、及びそれらを得ることが可能な金属蒸着用フィルム、金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレンランダム共重合体からなるフィルムは、強度、剛性、透明性、衝撃性等の物性バランスに優れることから、食品包装用のフィルムや容器などの分野で多く使用されている。それらのうち食品包装用フィルムは、ガス透過性を有するため、ガスバリヤー性を要求される用途には、フィルム表面に金属を蒸着したものが使用され、特に、アルミニウムを蒸着したアルミニウム蒸着フィルムが包装用途を中心に広範囲に使用されている。
【0003】
このようなプロピレンランダム共重合体には、一般に中和剤が添加され、フィルムの成形加工性、取扱い性のためにスリップ剤が配合されている。これら共重合体に添加されている中和剤、スリップ剤、酸化防止剤等がフィルム表面に移行したり、該フィルムを重ねたときにフィルム表面に移行した添加剤等が他のフィルム表面に転写したりする問題が挙げられている。このうち脂肪酸誘導体、特に、ポリマー中の触媒残さの酸性成分の中和剤として用いられるステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸金属塩、フィルムのスリップ剤として常用されているオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド等の脂肪酸誘導体は微量添加でも蒸着面の濡れ指数を低下させ、蒸着面への印刷や他のフィルム等の接着を著しく低下させる。しかしながら、これらを添加しないポリプロンフィルムはフィルム成形時又はフィルムの後加工の段階で多くの問題を発生する。
【0004】
例えば、前記のスリップ剤を添加しない場合、得られるフィルムの滑り性や耐ブロッキング性が極端に低下し、巻取ったフィルムにしわが入ったり、フィルムロ−ルが局部的に肥大するいわゆる巻こぶができたりして巻き姿が悪化し加工性を大幅に低下させる。特にプロピレンランダム共重合体を用いた場合には得られるフィルムの剛性が低く、粘着性が大きいためこれらの現象が顕著に現れ、フィルムの生産性や歩留まりが低下するのみならず、しわや巻こぶのない部分のみを選んで金属蒸着を行っても蒸着後のフィルムの巻き取り工程でしわや巻こぶが発生し、蒸着フィルムの加工性を一層悪化させる結果になる。この現象はプロピレンランダム共重合体の融点が低いほど顕著である。
【0005】
この問題点を解決するために、特定の高密度ポリエチレンを配合した組成物や、ゼオライト粉末を添加してなる組成物を用いて得られたフィルム面に金属を蒸着した金属蒸着ポリプロピレンフィルムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、該公報記載の金属蒸着フィルムは、蒸着膜接着性に優れ、金属面濡れ指数の低下の少ない蒸着フィルムにはなるが、耐傷付き性が悪化したり、フィルムの表面が粗面化し、美麗な金属光沢を有するフィルムが得られなくなったり、フィッシュアイやピンホールが発生するといった問題が生じた。
【0006】
一方、近年メタロセン触媒により製造された特定性状を有するプロピレンランダム共重合体を用いた蒸着フィルムが提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
しかしながら、本発明者等が検討した結果、メタロセン触媒により製造された特定性状を有するプロピレンランダム共重合体は、Tダイを用いてフィルムを成形した場合、引取方向への配向が小さく、引取方向に垂直な引裂強度が低いという問題や、スウィーパーロールの跡がフィルムに転写され、それによりしわや巻こぶが悪化するといった問題が判明した。
【0007】
上記に述べたように、成形加工性に優れ、透明性、剛性、引裂強度、ヒ−トシ−ル性、ブロッキング性、表面傷付き性に優れ、蒸着膜の接着性、蒸着面への印刷性、かつラミネート性の全てに満足できる金属蒸着プロピレン系樹脂フィルムは得られていないのが現状である。したがって、すべての観点から、成形加工性に優れ、剛性、ヒ−トシ−ル性、蒸着膜の接着性に優れ、かつ蒸着面への印刷性、ラミネート性に優れた金属蒸着プロピレン系樹脂フィルムが求められているのが実状である。
【0008】
【特許文献1】
特開昭59−25829号公報
【特許文献2】
特公昭61−16617号公報
【特許文献3】
特開平11−263812号公報
【特許文献4】
特開2002−128923号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形加工性、透明性、剛性、引裂強度、ヒートシール性、ブロッキング性、表面傷付き性に優れ、可溶分が少なく、さらに蒸着膜の接着性、蒸着面への印刷性、蒸着面へのラミネート性に優れた金属蒸着フィルム、及びそれらを得ることが可能な金属蒸着用フィルム、金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等が鋭意検討した結果、特定の性状を有するプロピレンランダム共重合体に、特定の複数種のポリエチレン樹脂、アンチブロッキング剤、酸化防止剤及びハイドロタルサイト類化合物を含有するプロピレン系樹脂組成物が上記課題を解決し、成形加工性、透明性、剛性、引裂強度、ヒートシール性、ブロッキング性、表面傷付き性に優れ、可溶分が少なく、さらに蒸着膜の接着性、蒸着面への印刷性、蒸着面へのラミネート性に優れた金属蒸着フィルムの製造に好適であることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)性状(a−1)〜(a−6)を有するプロピレンランダム共重合体100重量部に対し、
(a−1)プロピレン単位を88〜99.5モル%、エチレン及び/又はブテン単位を0.5〜12モル%含んでなり、
(a−2)示差走査熱量計(DSC)で求めた融点(Tp)が115〜150℃、
(a−3)メルトフローレート(MFRA)が1〜30g/10min、
(a−4)溶融粘弾性測定により求めたポリ分散指数(PI)が2.4〜4、
(a−5)クロス分別クロマトグラフ(CFC)法で測定した20℃以下の可溶分が1.5重量%以下であり、かつその可溶分の重量平均分子量が0.1×104〜6.0×104である。
(a−6)クロス分別クロマトグラフ(CFC)法で測定した40℃以下の可溶分が4.0重量%以下であり、かつその可溶分の重量平均分子量が0.1×104〜8.0×104である。
(B)密度が0.945〜0.980g/cm3、メルトインデックス(MIB)が1〜1000g/10min、かつMIBと上記MFRAとの比(MIB/MFRA)が1以上1000以下の高密度ポリエチレン樹脂を0.01〜5重量部、
(C)密度が0.910〜0.980g/cm3、メルトインデックス(MIC)が0.1〜30g/10min、かつMICと上記MFRAとの比(MIC/MFRA)が0.03以上1未満のポリエチレン樹脂を0.01〜5重量部、
(D)平均粒径が1.0〜5.0μm、細孔容積が0.45〜1.7ml/g、摩耗量が100mg以下のアンチブロッキング剤を0.01〜0.7重量部、
(E)分子量が500以上の酸化防止剤を0.01〜0.5重量部、
(F)ハイドロタルサイト類化合物を0.005〜0.5重量部
含有することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物は、前記金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物において、酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤であることを特徴とするものである。また、本発明の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物は、前記金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物において、プロピレンランダム共重合体が、メタロセン触媒によって製造されたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の金属蒸着用フィルムは、前記の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする。また、本発明の金属蒸着フィルムは、前記の金属蒸着用フィルムに金属及び/又はその酸化物を蒸着してなること特徴とする。
【発明の実施の形態】
1.金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物
(A)プロピレンランダム共重合体
本発明で用いるプロピレンランダム共重合体は、プロピレンとエチレン及び/又はブテンとのランダム共重合体である。具体的にはプロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン三元ランダム共重合体が挙げられる。このうちプロピレン・エチレンランダム共重合体が好適である
本発明で用いるプロピレンランダム共重合体は、プロピレン単位を88〜99.5モル%、好ましくは90〜99モル%、より好ましくは92〜98.5モル%、エチレン単位及び/又はブテン単位を0.5〜12モル%、好ましくは1〜10モル%、より好ましくは1.5〜8モル%を含有している必要がある。プロピレン単位が88モル%未満である場合、フィルムの剛性の低下ならびに好適な耐ブロッキング性が得られず、99.5モル%を越える場合は低温ヒートシール性が損なわれる。ここでプロピレン単位及びエチレン及び/又はブテン単位はフーリエ変換赤外分析法によって計測される値である。
【0014】
本発明で用いるプロピレンランダム共重合体は、融点(Tp)が115〜150℃、好ましくは120〜145℃、さらに好ましくは120〜140℃である。Tpが上記範囲より低い場合、剛性の低下ならびに好適な耐ブロッキング性が得られず、一方上記範囲より高い場合には低温ヒートシール性が損なわれる。ここで、Tpは示差走査型熱量計(DSC)により測定した値である。セイコー社製示差走査型熱量計を用い、サンプル約5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで冷却した。続いて10℃/分の昇温スピードで融解させたときに得られる融解熱量曲線からTpを得る。すなわち、融解熱量曲線の最大ピーク温度をTpとした。
【0015】
本発明で用いるプロピレンランダム共重合体は、メルトフローレート(MFRA(JIS−K6921−2、230℃、21.18N荷重))は1〜30g/10min、好ましくは2〜20g/10min、より好ましくは4〜15g/10minである。MFRAが上記範囲より低い場合、押出性が低下し好適な生産性が得られず、一方上記範囲より高い場合にはフィルムの強度が低下する。MFRAを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量など適宜調節する方法がとられる。
【0016】
本発明で用いるプロピレンランダム共重合体は、溶融粘弾性測定により求めたポリ分散指数(Polydispersity Index、以下「PI」という。)が、2.4〜4、好ましくは2.4〜3.5、特に好ましくは2.6〜3.5の範囲にあることが、スウィーパーロール跡の転写がより少なく成形加工性に優れ、フィルム物性、蒸着適正のバランスの観点から好ましい。PIが2.4未満の場合は、押出性が低下しフィルムの製膜が困難になる。一方、PIが4を超える場合は、フィルムの表面状態が悪化し、透明性が低下する。この規定は、分子量分布指数が特定の範囲にあることを意味し、メタロセン触媒による共重合体にあっては、従来特徴といわれている分子量分布の狭いものとは異なり、広い分子量分布を有することを意味するものである。PIは、高分子重合体の粘弾性特性を示す物理量の一つで、当業界に慣用されているものである。例えば、特開2000−336217号公報等に定義及び測定法が記載されており、本発明において定義するものもこれと同様である。以下、PIの測定法について簡単に説明する。
【0017】
PIは、分子量分布を表す指標であって、G.R.Zeichner等によって導入された(G.R.Zeichner and P.D.Patel,Pros.of the 2nd World Congress of Chem. Eng., Canada 1981)値である。
PIは、動的溶融粘弾性測定により得られる貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”とが等しくなるときの、測定条件(角周波数ω)における該弾性率をGCOとしたとき、PI=105/GCOで与えられる。具体的には、GCOの算出は以下のように行う。
まず、得られたG’,G”を角周波数ωに対してプロットした。G’>G”からG’<G”と大小が逆転する点に最も近い測定点を中心にしてそれぞれ3点ずつ測定点を選び出し、G’とG”の交点座標の計算に用いた。この3点をそれぞれ以下の2次関数に近似した。
lnG’=a(lnω)2+b(lnω)+c
lnG”=d(lnω)2+e(lnω)+f
ここで、定数a、b、c、d、e、fは最少二乗法により決定した。
このとき、交点のX座標は、下式
【0018】
【数1】
Figure 0004056368
で求められるので、GCO(=G’=G”)は、
CO=exp[aX2+bX+c]
となる。
なお、GCOの単位はパスカルであり、PIは無次元値を示す。
【0019】
PIは、サイズ排除クロマトグラフィー(Size Exclusion Chromatography、以下「SEC」という。)で測定される分子量分布の指標と比べ、SECでは測定しにくい分子量5000程度以下の低分子量成分やカラムの排除限界体積からの限界のためSECにはなじまない分子量1000000以上の高分子量成分を有する重合体の分子量分布の形態を表すのに適している。
ここで測定は、レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置RDA−IIを使用し、直径25mm、厚み1.8mmのパラレルプレートにて、温度200℃、歪み15%の条件で周波数スイープを行った。角周波数は500rad/sから0.05rad/sまで、1桁あたり5点の測定間隔で動的粘弾性(G’,G”)を測定した。
【0020】
本発明で用いるプロピレンランダム共重合体は、クロス分別クロマトグラフ(cross fractionation cromatography、以下「CFC」という。)法で測定した20℃以下の可溶分が1.5重量%以下、好ましくは1.2重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下であることが重要である。さらに、その可溶分の重量平均分子量が0.1×104〜6.0×104、好ましくは0.1×104〜5.0×104、より好ましくは0.1×104〜4.0×104である必要がある。20℃以下の可溶分が1.5重量%より多く、またその可溶分の重量平均分子量が6.0×104より大きいと、低結晶成分で揮発しにくいため、蒸着後に蒸着面に残存し、蒸着面への印刷性やラミネート性に悪影響を及ぼす。20℃以下の可溶分が1.5重量%より多く、またその可溶分の重量平均分子量が0.1×104より少ないと揮発しやすく成形時に発煙が多くなる。
【0021】
本発明で用いるプロピレンランダム共重合体は、CFC法で測定した40℃以下の可溶分が4.0重量%以下、好ましくは3.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下であることが重要である。さらに、その可溶分の重量平均分子量が0.1×104〜8.0×104、好ましくは0.1×104〜7.0×104、より好ましくは0.1×104〜6.0×104である必要がある。40℃以下の可溶分が4.0重量%より多く、またその成分の重量平均分子量が8.0×104より大きいと、フィルム保管時にフィルム表面に低結晶成分で揮発しにくい成分が残存し、耐ブロッキング性の低下や蒸着膜の接着性に悪影響を及ぼす。40℃以下の可溶分が4.0重量%より多く、またその成分の重量平均分子量が0.1×104より少ないと揮発しやすく成形時に発煙が多くなる。
【0022】
上記20℃可溶分又は40℃可溶分には、オリゴマーのような分子量の低い成分、アタクチックポリプロピレンのような立体規則性の低い成分、コモノマー含量が極端に高い成分等いわゆる低結晶成分を含む。ここでアタクチックポリプロピレンのような立体規則性の低い成分、コモノマー含量が極端に高い低結晶性成分は分子量が高いものであっても可溶分になりうる。本発明の効果を奏するためには、可溶分が少ないものであると同時に、該可溶分は分子量が高くないことを要求するものである。したがって、本発明に使用する共重合体を得るためには、立体規則性の低いポリプロピレンや、コモノマー含量が極端に高い低結晶性成分を含むことになる組成分布の広いポリプロピレンが得られる触媒を使用すること、重合方法を採用することは避けるべきである。
【0023】
ここで、CFC法とは、温度上昇溶離分別(TREF)法とゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)法を組み合わせたものであり、ポリマーの結晶性分布と分子量分布を同時に知ることができる。すなわち、ポリプロピレンを溶媒に完全に溶解させた高温の試料溶液を、ガラスビーズ等の不活性担体を充填したカラム内に注入し、カラムの温度を降下させて試料を充填剤表面に付着させた後、該カラム内にオルソジクロルベンゼンを流しながら、カラムの温度を徐々に上昇させ、各温度で溶出してくるポリプロピレンの濃度を検出し、同時に、各温度で溶出した成分をフラクションごとにオンラインでGPCに送り込み、そこで得られたクロマトグラムから各成分の分子量・分子量分布を計算するという方法である。溶出成分の結晶性が高いほど溶出温度も高くなるので、溶出温度とポリマーの溶出量(重量%)との関係を求めることによりポリマーの結晶性の分布を知ることができる。
【0024】
上記の方法において、カラム温度の降下速度は、試料のポリプロピレンに含まれる結晶性成分の各温度における結晶化に必要な速度に、また、カラムの温度の上昇速度は、各温度における溶出成分の溶解が完了し得る速度に調整されることが必要であり、このようなカラム温度の冷却速度及び昇温速度は、予備実験をして決定する。測定条件は次の通り。
・装置 : 三菱化学社製 CFC T150A型
・検出器: MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
・溶媒 : オルソジクロルベンゼン
・流速 : 1ml/min
・測定濃度:3mg/1mL
・TREFカラム:不活性担体(0.1mm径ガラスビーズ)
カラムサイズ 0.46cm径×15cm
・GPCカラム : 昭和電工社製AD806M/S 3本
(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリプロピレンの粘度式を用いてポリプロピレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリプロピレンはα=0.707、logK=−3.616)である。)
140℃に加熱したカラムに試料溶液0.4mLを注入した後、140℃/160分の速度で0℃まで冷却して、試料ポリマーを充填剤表面に吸着(析出)させた。この時点において充填剤表面に吸着せず、溶媒に溶解している成分を0℃以下可溶分として、オンラインでGPCカラムに送って分子量分別した後に溶出量を赤外検出器で検出した。20℃以下可溶分とは、0℃以下可溶分を含む20℃以下の可溶分合計量を意味し、各ステップ昇温毎に得られた結果を該温度まで積算することで求めた。同様に、40℃以下可溶分とは、0℃以下可溶分を含む40℃以下の可溶分合計量を意味し、各ステップ昇温毎に得られた結果を該温度まで積算することで求めた。
【0025】
本発明に用いるプロピレンランダム共重合体は、好ましくはメタロセン系触媒を使用して後記するような通常の条件で重合すればよい。メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と、助触媒、必要により有機アルミニウム化合物と、担体とからなる触媒である。好ましくは、特定のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を複数種併用することで、PIを容易に制御し、容易に製造することができる。
【0026】
ここで、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、そのシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1〜30の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも1種の置換基を有するものである。その置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また係る置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。置換基同士が互いに結合し形成された環が互いに置換基を有していてもよい。
【0027】
上記炭素数1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフイル基等のアラルキル基等が例示される。
置換基同士すなわち炭化水素同士が互いに結合して1又は2以上の環を形成する場合の置換シクロペンタジエニル基としては、インデニル基、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換ナフチル基、フルオレニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換フルオレニル基、アズレニル基、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換アズレニル基等が挙げられる。
【0028】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物について、その遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウムが好ましい。該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常1〜3個を有し、また2個以上有する場合は架橋基により互いに結合していてもよい。なお、係る架橋基としては炭素数1〜4のアルキレン基、ジアルキルシリレン基、ジアルキルゲルミレン基などが挙げられる。
【0029】
周期律表第IV族の遷移金属化合物において、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基などが挙げられる。
【0030】
上記シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。なお、これらの化合物は、単に化学的名称のみで示称されているが、その立体構造が本発明でいう非対称性を持つものであることはいうまでもない。また、ジルコニウム化合物のみ例示したが、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。
【0031】
ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロ−1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−フェナンスリル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−ジメチルボラノ−4−インドリル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4、5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
上記シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、1種又は二種以上の混合物を触媒成分とすることができる。一種では、本発明の要件であるPIを満足しない場合があるので、二種以上の混合物を使用することが好ましい。
【0032】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と組み合わせて使用される助触媒としては、前記周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、又は触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させうるものをいう。本発明において用いられる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状珪酸塩、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。
【0033】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、無機又は有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機又は有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、モンモリロナイト等のイオン交換性層状珪酸塩、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等又はこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
またさらに必要により使用される有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
【0035】
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク法、溶液法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法を採用することができる。
【0036】
(B)高密度ポリエチレン系樹脂
本発明に用いる高密度ポリエチレン樹脂は、エチレンの単独重合体又はエチレンを主成分(望ましくは90モル%以上含有する)とする炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体である。
【0037】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.945〜0.980g/cm3、好ましくは0.945〜0.970g/cm3、より好ましくは0.945〜0.965g/cm3である。密度が0.945g/cm3未満ではスウィーパーロール跡のフィルムへの転写抑制効果がなく、また剛性が低下する。密度が0.980g/cm3以上ではフィルムの衝撃強度が低下する。
【0038】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂は、メルトインデックス(MIB(JIS−K6922−2、190℃、21.18N荷重))が1〜1000g/10min、好ましくは5〜500g/10min、より好ましくは10〜100g/10minである。MIBが1g/10min未満ではフィルムの平滑性が著しく低下し蒸着面の光沢・輝度が失われ好ましくない。MIBが1000g/10minを超える場合は、フィルム表面に低分子量成分が溶出し、蒸着膜の接着性、蒸着後の印刷性、ラミネート性が著しく低下する。
【0039】
さらに高密度ポリエチレン樹脂のメルトインデックス(MIB)と上記(A)プロピレンランダム共重合体のMFRAとの比 MIB/MFRAが1以上1000以下、好ましくは1.4以上250以下、より好ましくは2以上25以下であることが重要である。MIB/MFRAが1未満の場合は、フィルムの平滑性が著しく低下し蒸着面の光沢・輝度が失われ好ましくない。MIB/MFRAが1000を超える場合は、フィルム表面に低分子量成分が溶出し、蒸着膜の接着性、蒸着後の印刷性、ラミネート性が著しく低下する。
【0040】
なお、高密度ポリエチレン樹脂は上記性状を有している限り、カルボン酸等によりグラフト変性されていてもよい。
【0041】
(C)ポリエチレン系樹脂
本発明に用いるポリエチレン樹脂は、エチレンの単独重合体又はエチレンを主成分(望ましくは90モル%以上含有する)とする炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体である。
【0042】
本発明のポリエチレン樹脂は、密度が0.910〜0.980g/cm3、好ましくは0.920〜0.965g/cm3、より好ましくは0.930〜0.950g/cm3である。密度が上記範囲外ではフィルムの引裂強度と透明性のバランスが悪い。
【0043】
本発明のポリエチレン樹脂は、メルトインデックス(MIC(JIS−K6922−2、190℃、21.18N荷重))が0.1〜30g/10min、好ましくは0.4〜15g/10min、より好ましくは0.8〜5g/10minである。MICが0.1g/10min未満ではフィルムの平滑性が著しく低下し蒸着面の光沢・輝度が失われ好ましくない。MICが30g/10minを超える場合は、フィルムの引取方向に垂直な引裂強度向上の改良効果が得られない。
【0044】
さらにポリエチレン樹脂のメルトインデックス(MIC)と上記(A)プロピレンランダム共重合体のMFRAとの比 MIC/MFRAが0.03以上1未満、好ましくは0.05以上0.7以下、より好ましくは0.1以上0.5以下であることが重要である。MIC/MFRAが0.03未満の場合は、フィルムの平滑性が著しく低下し蒸着面の光沢・輝度が失われ好ましくない。MIC/MFRAが1以上の場合は、フィルムの引取方向に平行な引裂強度向上の改良効果が得られない。
【0045】
なお、高密度ポリエチレン樹脂は上記性状を有している限り、カルボン酸等によりグラフト変性されていてもよい。
【0046】
本発明に使用される(B)高密度ポリエチレン樹脂及び(C)ポリエチレン樹脂の製造は、目的の性状を有する重合体を製造し得る限りその重合方法や触媒について特に制限はない。
触媒については、チーグラー型触媒(すなわち、担持又は非担持ハロゲン含有チタン化合物と有機アルミニウム化合物の組み合わせに基づくもの)、カミンスキー型触媒(すなわち、担持又は非担持メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物、特にアルモキサンの組み合わせに基づくもの)が挙げられる。
【0047】
(D)アンチブロッキング剤
本発明に用いられるアンチブロッキング剤は、平均粒子径が、1.0〜5.0μm、好ましくは1.5〜4.5μm、より好ましくは2.0〜4.0μmである。平均粒子径が1.0μm未満では、フィルム表面の凹凸が小さく、好適な耐ブロッキング性を得られず、巻き取ったフィルムにしわや巻こぶが発生する。一方、5.0μmを越えると、フィルム表面の凹凸が大きくなり、フィルム表面又は金属蒸着面に傷付きが発生し好ましくない。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値である。
【0048】
本発明に用いられるアンチブロッキング剤は、細孔容積が、0.45〜1.7ml/g、好ましくは0.8〜1.6ml/g、より好ましくは1.0〜1.6ml/gである。細孔容積が0.45ml/g未満ではアンチブロッキング剤が硬くなり、フィルム表面又は金属蒸着面に傷付きが発生し好ましくない。1.7ml/gを越えるとアンチブロッキング剤の分散性が低下し、フィルム外観が不良になる。細孔容積は、一次粒子の構造を示すものと考えられ、この値が大きければ一次粒子は高い表面エネルギーを有し、プロピレン重合体との混合時に凝集を生じやすい。ここで、細孔容積は窒素吸着法で測定した値である。
【0049】
また、本発明に用いられるアンチブロッキング剤は、プラスチックワイヤー摩耗量が100mg以下、好ましくは80mg以下、より好ましくは50mg以下である。100mgを越えると、フィルム表面又は金属蒸着面に傷付きが発生し好ましくない。プラスチックワイヤー摩耗量はアンチブロッキング剤の硬度を示す指標として用いられ、以下の方法にて測定される値である。
アンチブロッキング剤の試料サンプルを所定量のスラリーに調整し、日本フィルコン(株)製摩耗試験機を用いて下記の条件で3時間摩耗させた後、80℃で10分間乾燥し、ワイヤーの減量を測定した。
・スラリー濃度:2%、400g/20リットル
・流量:0.65リットル/min
・ロール:セラミックAロール、φ60mm
・ロール回転数:1500rpm
・接触角度:111°
・重錘:850g
・ワイヤー:プラスチックワイヤー(材質:ポリエステル)
【0050】
本発明に用いられるアンチブロッキング剤は、本発明の目的を損なわない範囲及び上記性状を有するものであれば特に限定されるものではなく、単独又は二種以上を併用して用いることができる。また、有機系のアンチブロッキング剤、無機系のアンチブロッキング剤のいずれも使用することができる。有機系のアンチブロッキング剤としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシリルトセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。無機系のアンチブロッキング剤としては、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム、シリカ、クレー、タルク、マイカ等が例示できる。アンチブロッキング剤の分散性、フィルムの透明性、耐ブロッキング性、フィルム表面又は金属蒸着面の傷付き性のバランスの点で無機系のアンチブロッキング剤が好ましく、特にシリカを使用することが好ましい。さらに好ましくは合成シリカが良好である。ここでシリカとは、その結晶構造に二酸化ケイ素が40重量%以上、好ましくは50〜100重量%含有するものである。ケイ素以外の元素として、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどの成分を、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムカルシウムなどの形で含有するものも含まれる。
【0051】
本発明に用いられるアンチブロッキング剤は、本発明の目的を損なわない範囲及び上記性状を満たす範囲において各種表面処理剤、例えば、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッ素樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩、pH調整剤、有機安定剤などによる処理を施すことでができる。処理方法は特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬等公知の方法を採用することができる。
【0052】
また、アンチブロッキング剤の微細形状は、いかなる形状であってもよく、球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状など任意の形状とすることができる。好ましくは、球状、不定形状のものが物性バランス、分散性が良い。特に好ましくは不定形状のものが良好である。
【0053】
(E)酸化防止剤
本発明で用いる酸化防止剤としては、分子量が500以上のものである。好ましくは分子量が600以上、より好ましくは分子量が700以上のものである。分子量が500未満であると移行・揮散しやすく、金属蒸着膜の接着性、蒸着面の印刷性、蒸着面とのラミネート性が低下し好ましくない。酸化防止剤はフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤など制限なく使用できる。好ましくはフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が良好であり、それぞれ単独で又は二種以上を併用して用いることができる。特に好ましくはフェノール系酸化防止剤を単独で使用することが良い。
【0054】
具体的には、分子量が500以上の酸化防止剤としては、例えばテトラキス―[メチレン―3―(3′,5′―ジ―t―ブチル―4′―ヒドロキシフエニル)プロピオネート]メタン、1,3,5―トリメチル―2,4,6―トリス(3,5―ジ―t―ブチル―4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9―ビス[2―{3―(3―t―ブチル―4―ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}―1,1―ジメチルエチル]―2,4,8,10―テトラオキスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5―トリス(4―t―ブチル―3―ヒドロキシ―2,6―ジメチルベンジル)イソシアヌレート、6―(4―ヒドロキシ―3,5―ジ―t―ブチルアミノ)―2,4―ビスnオクチルチオ―1,3,5―トリアジン、1,1,3―トリス(2―メチル―4―ヒドロキシ―5―t―ブチルフエニル)ブタン、トリス(3,5―ジ―t―ブチル―4―ヒドロキシベフエニル)イソシアヌレート、テトラキス(2,4―ジ―t―ブチルフエニル)4,4′―ビフエニレン―ジフオスフオナイト、トリス―(2,4―ジ―t―ブチルフエニル)フオスフアイト等が挙げられる。
【0055】
(F)ハイドロタルサイト類化合物
本発明で用いるハイドロタルサイト類化合物は天然鉱物塩であるハイドロタルク石群、及び合成ハイドロタルサイト類を挙げることができる。特に合成ハイドロタルサイトが分散性、中和効果の点から好ましい。ハイドロタルサイト類化合物としては、特に限定されるものではないが、Mg−Alハイドロタルサイト系化合物、Zn−Alハイドロタルサイト系化合物、Li−Alハイドロタルサイト系化合物などを挙げることができる。
【0056】
該ハイドロタルサイト類化合物としては、市販品、例えば、DHT−4A、DHT−4A−2、DHT−4C、ZHT−4A、ZHT−4D、アルカマイザー1、アルカマイザー2、キョーワード500、キョーワード1000、キョーワード2000、キョーワード2100、キョーワード2200(何れも協和化学工業株式会社製の商品名)、などを挙げることができる。
これらハイドロタルサイト類化合物の粒径は本発明に影響を及ぼさない範囲であればよく、特に限定されるものではないが、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、また、BET比表面積は1〜50m2/g、特に3〜20m2/gのものが分散性、中和効果、さらには得られるフィルムの外観、均一性の点で好ましい。
【0057】
以下に本発明の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物における、各成分の含有量について説明する。
(B)高密度ポリエチレン樹脂の含有量は、プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2.5重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。0.01重量未満ではスウィーパーロール跡のフィルムへの転写抑制効果がなく、また剛性も低いため好ましくない。5重量部を越えるとフィルムの表面荒れがひどくなり、フィルムにフィッシュアイ状の凹凸が発生したり、蒸着膜の輝度・光沢が著しく低下し金属感が失われ好ましくない。
【0058】
(C)ポリエチレン樹脂の含有量は、プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2.5重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。0.01重量部未満ではフィルムの引取方向に垂直な引裂強度向上の改良効果が得られない。5重量部を越えるとフィルムの表面荒れがひどくなり、フィルムにフィッシュアイ状の凹凸が発生したり、蒸着膜の輝度・光沢が著しく低下し金属感が失われ好ましくない。
【0059】
アンチブロッキング剤の含有量は、プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、0.01〜0.7重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.3重量部である。アンチブロッキング剤の含有量が0.01重量部未満では、フィルム表面の凹凸が少ないため好適な耐ブロッキング性が得られず、巻き取ったフィルムにしわや巻こぶが発生する。0.7重量部を越えると、フィルム表面の凹凸が多くなり、フィルム表面又は金属蒸着面に傷付きが発生しややすくなり好ましくない。
【0060】
酸化防止剤の含有量は、プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.03〜0.3重量部、より好ましくは0.04〜0.2重量部である。酸化防止剤の含有量が0.01重量部未満では酸化防止能力が不足し、フイルムに成形しにくい。0.5重量部を越えると蒸着膜の接着性、蒸着面への印刷性、蒸着面へのラミネート性が低下するため好ましくない。
【0061】
ハイドロタルサイト類化合物の含有量は、プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、0.005〜0.5重量部、好ましくは0.01〜0.3重量部、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。ハイドロタルサイト類化合物の含有量が0.005重量部未満では、樹脂中の塩酸などを中和する効果が劣るため樹脂の劣化腐食が生じたりフィルムが着色したりする。一方0.5重量部を超えると分散性が不良となり、フィルムの光沢などが落ちて良好な外観が得られなくなりいずれも好ましくない。
【0062】
本発明の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン樹脂組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、各種添加剤、例えば、造核剤、耐候安定剤、着色剤、エラストマー等を含有していてもよい。配合は、通常、溶融混練機を用いて190℃〜300℃で加熱溶融混練し、粒状に裁断されたペレット状態で成形材料として提供される。
【0063】
2.フィルム
本発明の金属蒸着用フィルムは、上記のような特定の成分を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を使用することにより、成形加工性、透明性、剛性、引裂強度、ヒートシール性、耐ブロッキング性、表面傷付き性、蒸着膜の接着性、蒸着面への印刷性、蒸着面へのラミネート性に優れたものとなる。
【0064】
2.1.フィルムの製造
本発明の金属蒸着用フィルムは、上記ポリプロピレン樹脂組成物を用い、押出成形してなる。本発明の組成物を用いてフィルムを成形する方法は、公知のTダイ法、チューブラー法等を用いることができる。溶融押出しされた組成物が70℃以下、好ましくは50℃以下で急冷されるような条件下で製膜するのが望ましい。70℃を越える温度で冷却すると、フィルムが著しく脆く、かつ、低温ヒートシール性も悪化する傾向がみられる。
【0065】
また、得られたフィルムは、望ましくは接着性改善のためにコロナ放電処理、火災処理、プラズマ処理等公知の方法で表面処理を施すことが好ましい。
この表面処理は、フィルムの成形後金属蒸着迄の適当な時期に行えば良いが、フィルム製造時に製膜と巻取の間で行うのが最も簡便である。この表面処理の度合いは、JIS K−6758の方法で測定した濡れ指数が37dyne/cm以上になるように処理するのが望ましく、39dyne/cm以上が特に望ましい。また、フィルムと金属との接着をより強固にするためにフィルムの処理面にポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂等の接着剤を薄くアンカーコーティングを施してもよい。
【0066】
2.2.フィルムへの金属蒸着
かくして得られたフィルムの処理面に真空下で金属蒸着を施して目的とする金属蒸着ポリプロピレンフィルムを得ることができる。
本発明の組成物からなるフィルムに金属及び/又はその酸化物を蒸着する方法は、真空蒸着法すなわち、フィルムの繰出部、蒸着部、巻取部等を備えた真空蒸着装置内で、装置内の気圧を10-4〜10-5Torr程度に減圧し、アルミニウム、ニッケル、金、銀等の目的の金属及び/又はその酸化物を付着させたフィラメントを加熱、該金属及び/又はその酸化物を溶解蒸発させ、蒸発分子を繰り出されたフィルム表面に連続的に蒸着させ巻取る方法が一般的であるが、その他に真空中で放電させたときに陰極を構成する金属及び/又はその酸化物が飛散する現像を利用したスパッタリング蒸着やイオン・プレーティング法によっても可能である。
【0067】
なお、蒸着に使用する金属としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、クロム、ゲルマニウム、チタン、セレン、スズ、亜鉛等が挙げられる。作業性、経済性、生産性等総合的にみてアルミニウムが特に望ましく、本発明の組成物は、このアルミニウムに特に有効であり蒸着加工性・生産性の改善のみならず、蒸着膜の接着性、輝度、蒸着膜の印刷、ラミネート適性等本発明の目的とする改善に最も有効である。
金属蒸着層の厚みは、その目的に応じて任意に変えられるが、フィルムの場合は通常数十ないし数百オングストローム(Å)程度、好ましくは200〜700オングストロームの範囲が接着性、耐久性の面で望ましい。
【0068】
本発明の組成物を一方の表面層として2層以上の積層フィルムとし、本発明の組成物からなる表面層又は他の組成物からなるもう一方の表面層のどちらかに金属蒸着する方法も非常に有効であり、特にもう一方の表面層として結晶融点が150℃より高い結晶性ポリプロピレン系樹脂からなる2層以上の共押出積層フィルムに金属蒸着する場合にも有用である。
【0069】
【実施例】
以下、実施例及び比較例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例におけるフィルム物性の試験法は下記の通りである。
フィルムの評価方法
(1)スウィーパーロール跡(SWR跡)の評価: スウィーパーロールの跡がフィルム上に転写されたかどうかを次の基準で評価した。
◎:スウィーパーロールの跡が全くない
○:スウィーパーロールの跡が多少あるが問題ない
×:スウィーパーロールの跡がはっきりとあり問題
(2)HAZE(単位:%): 得られた蒸着前の原反フィルムをJIS−K7136−2000に準拠して、ヘイズメータにて測定した。この値が小さい程透明性が優れていることを意味する。
【0070】
(3)フィルム外観: 得られた蒸着前の原反フィルムを目視にて外観評価した。評価基準は以下の通りである。
○(外観良好):細かなちらつき感がなく、アンチブロッキング剤が全体に均一に分散している。
×(外観不良):アンチブロッキング剤の分散不良による細かなちらつき感や、アンチブロッキング剤の凝集によるフィッシュアイが多くみられる。
【0071】
(4)耐ブロッキング性: 得られた蒸着前の原反フィルムより、2cm(幅)×15cm(長)の試料フィルムを採り、コロナ処理面同志をそれぞれ長さ5cmにわたり重ね(接触面積10cm2)、0.5N/cm2の荷重下で温度40℃の雰囲気下に24時間状態調整した後、それぞれの荷重を除き、23℃の温度に十分調整した後ショッパー型引張試験機を開いて500mm/分の速度で試料のせん断剥離に要する力(単位:N/10cm2)を求めた。この値が小さいほど耐ブロッキング性は良い。
【0072】
(5)引裂強度: 得られた蒸着前の原反フィルムの溶融押出しした方向と垂直の方向(TD方向)をJIS K7128−1−1998に準拠して測定した。引裂強度(単位:N/mm)の値が大きいほど引裂強度が優れていることを意味する。
【0073】
(6)ヒートシール性(HS性)
5mm×200mmのヒートシールバーを用い、得られた蒸着前の原反フィルムの未コロナ処理面同士を各温度設定においてヒートシール圧力0.2MPa、ヒートシール時間0.5秒の条件下でフィルムの溶融押出しした方向(MD方向)に垂直になるようにシールした試料から15mm幅のサンプルを取り、ショッパー型試験機を用いて引張速度500mm/分にてMD方向に引き離し、その荷重を読みとった。荷重が3Nになるシール温度(単位:℃)にてヒートシール性を評価した。この値が小さいほど低温ヒートシール性に優れていることを意味する。
【0074】
(7)フィルムの巻き姿
一定長の原反フィルム及び蒸着フィルムを連続して巻き取って得られたフィルムロールを肉眼で観察し評価した。評価基準は以下の通りである。
○(巻き姿最良):表面が平坦で、しわや肥厚(巻きこぶ)がない
×(巻き姿不良):しわや肥厚がある
【0075】
(8)耐傷付き性
得られたアルミニウム蒸着フィルムの蒸着面の光沢度をASTM−D523に定められた方法に準じて測定し、その値をG1とする。次に、ASTM−D1894に定められた方法に準じて、台側にアルミニウム蒸着フィルムの蒸着面を、そり側に非蒸着面をセットし、そりを滑らせる。(このとき、そりの荷重は22Nとする。)台側のアルミニウム蒸着フィルムのそりが通過した部分の光沢度を測定し、G2とする。さらに、次の式より△G(=G1−G2)(単位:%)を求め、その値で耐傷付き性を評価した。この値が小さいほど傷がつきにくいことを示しており、耐傷付き性が優れていることを示している。
【0076】
(9)蒸着膜の接着性
得られたアルミニウム蒸着フィルムの蒸着層に幅18mmのセロファン粘着テープ(セキスイセロテープR)を70mmの長さに貼りつけた後、手で素早く剥ぎ取り、粘着テープに付着せず試料フィルム面に残存する蒸着膜の面積率を求めて、下記ランク付けで評価した。
○(蒸着膜の接着性良):残存面積率90〜100%
×(蒸着膜の接着性不良):残存面積率90%未満
【0077】
(10)蒸着面への印刷性
得られたアルミニウム蒸着フィルムの蒸着面と非蒸着面を重ね合わせ、10N/100cm2の荷重をかけて、温度40℃、相対湿度95%の雰囲気下に72時間放置した後、蒸着面の濡れ指数(dyne/cm)を測定した。良好な印刷性と評価されるには濡れ指数35dyne/cm以上が必要である。
【0078】
(11)蒸着面へのラミネート適性
得られたアルミニウム蒸着フィルムにコロナ処理を施された二軸延伸したポリプロピレンフィルム(厚さ20μm)をドライラミネート(接着剤は東洋モートン製ポリエステル系、塗布量2.5g/m2、60℃、50N/cm2で圧着)して、40℃で48時間エージングし、接着剤が完全に乾固した後、引張試験機において界面での90°の剥離強度を測定した。
【0079】
<プロピレン重合体の製造例1>
(1)化学処理イオン交換性層状珪酸塩の調製
10リットルの攪拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を、洗浄液(ろ液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥し705gの化学処理珪酸塩を得た。
先に化学処理した珪酸塩を、キルン乾燥機によりさらに乾燥した。乾燥機の仕様、条件は以下の通りである。回転筒:円筒状、内径50mm、加湿帯550mm(電気炉)、かき上げ翼付き、 回転数:2rpm、 傾斜角;20/520、 珪酸塩の供給速度;2.5g/分、 ガス流速;窒素、96リットル/時間、向流、 乾燥温度:200℃(粉体温度)
【0080】
(2)触媒の調製
内容積13リットルの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.20kgとヘプタン(日石三菱社製ヘプタン)0.74リットルの混合物を導入し、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.04M)1.26リットルを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調製した。
(r)−ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド0.869g(1.20ミリモル)及び(r)−ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド1.23g(1.80ミリモル)にヘプタンを0.80リットル加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ミリリットル加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、ヘプタンを追加して5.0リットルに調製した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを100g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合した。予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒をヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.17リットル添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.60kgを得た。
【0081】
(3)重合
内容積270リットルの撹拌式オートクレーブに液状プロピレンを37kg/hr、エチレンを600g/hr、水素を0.3g/hr、及びトリイソブチルアルミニウム(TIBA)を9g/hrにて連続的に供給した。内温を70℃に保持し、上記予備重合触媒の流動パラフィン(東燃社製:ホワイトレックス335)スラリーを一定量連続的に供給し、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP1)を得た。
【0082】
<プロピレン重合体の製造例2>
プロピレン重合体の製造例1(3)において、内温を60℃、液状プロピレン供給量を41kg/hr、エチレン供給量を1.2kg/hr、水素供給量を0.4g/hrとした以外はプロピレン重合体の製造例1と同様の操作を行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP2)を得た。
【0083】
<プロピレン重合体の製造例3>
(1)触媒の調製
プロピレン重合体の製造例1(2)において、メタロセン化合物として(r)−ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクライド2.44g(3.30ミリモル)を単独で使用する以外はプロピレン重合体の製造例1(1)、(2)と同様に実施し、予備重合触媒を得た。
【0084】
(2)重合
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内に液化プロピレン45kgを導入した。これに、トリイソブチルアルミニウム24g、水素を0.4gを加え、60℃を維持した。その後上記予備重合触媒成分1.6gをアルゴンで圧入し、40分かけて75℃まで昇温し、3時間重合を行った。その後エタノール100ミリリットルを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン単独重合体(PP3)を得た。
【0085】
<プロピレン重合体の製造例4>
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブをプロピレンで十分に置換した後、脱水・脱酸素したヘプタン60リットルを導入し、ジエチルアルミニウムクロリド16g、三塩化チタン触媒(エム・アンド・エム社製)4.1gを50℃でプロピレン雰囲気下で導入した。さらに気相水素濃度を6.0容量%に保ちながら、50℃の温度で、プロピレン5.7kg/hr及びエチレン280g/hrの速度で4時間フィードした後、さらに1時間重合を継続した。その後、残ガスをパージし、生成物を濾過・乾燥して、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP4)を得た。
【0086】
<プロピレン重合体の製造例5>
(1)触媒の調製
十分に窒素置換したフラスコに脱水及び脱酸素したヘプタン200ミリリットルを導入し、次いでMgCl2を0.4モル、Ti(O−n−C494を0.8モル導入し、95℃に保ちながら2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルハイドロジェンポリシロキサン(20センチストークス)を48ミリリットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をヘプタンで洗浄した。次いで、十分に窒素置換したフラスコに精製したヘプタンを50ミリリットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で0.24モル導入した。さらに、n−ヘプタン25ミリリットルSiCl4を0.4モルを混合して30℃に保ちながら60分間かけてフラスコへ導入し、90℃で3時間反応させた。これに、さらにヘプタン25ミリリットルにフタル酸クロライド0.016モルを混合して、90℃に保ちながら30分間かけてフラスコに導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、ヘプタンで洗浄した。次いでこれらにSiCl4を0.24ミリモルを導入して、100℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで十分洗浄した。十分に窒素置換したフラスコに十分精製したヘプタン50ミリリットルを導入し、次いで上記で得た固体成分を5グラム導入し、さらに(CH33CSi(CH3)(OCH32を0.81ミリリットル、30℃で2時間接触させた。接触終了後、ヘプタンで洗浄した。さらに、プロピレンをフローさせて予備重合を実施し、固体触媒を得た。
【0087】
(2)重合
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、精製したn−ヘプタン60リットルを導入し、これにトリエチルアルミニウム15g、上述の固体触媒2.0g(予備重合ポリマーを除いた量として)を55℃でプロピレン雰囲気下に導入した。その後、60℃に昇温し、ここで気相部水素濃度を5.8容量%に保ちながらプロピレンを5.8kg/hrのフィード速度で導入した。さらに10分後、エチレンを240g/hrの速度で導入して6時間重合を実施した。その後、全モノマーの供給を停止し1時間重合を継続した。その後、ブタノールにより触媒を分解し、生成物の濾過・乾燥して、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP5)を得た。
【0088】
<プロピレン重合体の製造例6>
ジエチルアルミニウムクロリドの導入量を42g、触媒導入量を10.5gとし、気相部水素濃度を4.5容量%、プロピレン供給量を10.8kg/hr、エチレン供給量を180g/hrとし、さらに1−ブテンを2.0kg/hrで供給し、温度を65℃とした以外はプロピレン重合体の製造例4と同様の操作を行い、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(PP6)を得た。
【0089】
<プロピレン重合体の製造例7>
触媒の導入量を1.8g(予備重合ポリマーを除いた量として)とし、気相部水素濃度を6.0容量%、プロピレン供給量を5.8kg/hr、エチレン供給量を155g/hrとし、さらに1−ブテンを重合開始270分後まで570g/hrで供給した以外はプロピレン重合体の製造例5と同様の操作を行い、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(PP7)を得た。
【0090】
<プロピレン重合体の製造例8>
(1)触媒の調製
精製したトルエン400ミリリットルと有機金属化合物として0.5モル/リットルのトリイソブチルアルミニウムトルエン溶液14ミリリットルを混合し、1分間撹拌した後、助触媒成分としてシリカ担持メチルアルミノキサン(メチルアルモキサン含量26.6重量%)を14g添加した。次に、メタロセン化合物として(r)−ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリドの0.5ミリモル/リットル−トルエン溶液270ミリリットルを添加し、室温で30分間、65℃で30分間攪拌した。室温まで冷却後、トルエンを減圧下で留去し、ヘキサン670ミリリットルとトリイソブチルアルミニウムヘキサン溶液13ミリリットルを混合した溶液を添加し、5分間撹拌した。上澄み液を除去後、ヘキサン670ミリリットルとトリイソブチルアルミニウムヘキサン溶液13ミリリットルを混合した溶液を添加し、触媒スラリーを得た。
【0091】
(2)重合
200リットルのオートクレーブに0.5モル/リットルのトリイソブチルアルミニウムヘキサン溶液70ミリリットル、プロピレン45kg、水素0.32g及びエチレン700gを加え60℃に昇温した。その後、上記触媒の全量をオートクレーブ中に圧入し、60分間重合を行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP8)を得た。
【0092】
<実施例1>
プロピレン重合体としてPP1を100重量部に対し、密度が0.958g/cm3、メルトインデックスが20g/10minの高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製ノバテックHJ490パウダー)を1重量部、密度が0.955g/cm3、メルトインデックスが1g/10minのポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製ノバテックHY540パウダー)を1重量部、アンチブロッキング剤として平均粒子径が2.2μm、細孔容積が1.57ml/g、摩耗量が4mgのシリカ(水澤化学工業社製ミズカシルP707)を0.15重量部、酸化防止剤として分子量1178のフェノール系酸化防止剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製のイルガノックス1010)を0.10重量部、ハイドロタルサイト類化合物として協和化学工業社製DHT−4Aを0.03重量部配合した組成物をヘンシェルミキサーで750rpmにおいて1分間室温で高速混合した後、二軸押出機(池貝PCM30)により230℃で溶融、混練して冷却、カットしてペレット状樹脂組成物を得た。
【0093】
この樹脂組成物を原料とし、口径65mmφの押出機、幅700mmTダイ、エアナイフ、冷却ロール(径400mmφ)及びスウィーパーロール(ダイスからのフィルム工程距離650mmに設置)を具備したTダイ法フィルム製造装置を用いて、押出樹脂温度230℃、エアナイフ風速8m/sec、冷却ロール温度35℃の条件において、製膜引取速度20m/minで成形して、直ちに片面に濡れ指数が42dyne/cmになるようにコロナ処理を施し、巻き取って厚さ25μm、幅600mmのロール状の原反フィルムを得た。得られた原反フィルムからフィルムの特性を評価した。さらに得られた原反フィルムをスリッターで幅500mmに裁断した後、連続真空蒸着装置にセットし、フィルムを連続的に繰り出しながら、そのコロナ処理面に10 5Torrの真空下でアルミ蒸着を施して巻き取り、蒸着膜の厚みが約500オングストローム、長さ1000mロール状に巻き取った片面アルミニウム蒸着フィルムを得た。得られたアルミニウム蒸着フィルムを用いて蒸着フィルムの特性を評価した。結果は表2に示す。この結果から原反フィルムの透明性、引裂強度、耐ブロッキング性、低温HS性、巻き姿に優れ、蒸着膜の接着性、蒸着フィルムの傷付き性、蒸着面への印刷性、ラミネート性、巻き姿が良好であることが分かる。
【0094】
<実施例2〜6、比較例1〜11>
表1に示すようにプロピレンランダム共重合体、高密度ポリエチレン樹脂及びポリエチレン樹脂の配合量と性状を変える以外は実施例1に準じて評価を行った。評価結果を表2にまとめた。
【0095】
比較例1においては、高密度ポリエチレン樹脂の配合がないため、スウィーパーロールの跡がフィルムに転写し、良好な巻き姿の原反フィルムが得られない。またポリエチレン樹脂の配合がないため、引裂強度もやや低下している。
比較例2においては、高密度ポリエチレン樹脂の配合量が少ないため、スウィーパーロール跡のフィルム転写改良効果がなく、良好な巻き姿の原反フィルムが得られない。
比較例3においては、高密度ポリエチレン樹脂の配合量が多いため、透明性が著しく悪化し良好な原反フィルムが得られない。
比較例4においては、ポリエチレン樹脂の配合量が少ないため、フィルムの引裂強度低下の改良効果が得られていない。
比較例5においては、ポリエチレン樹脂の配合量が多いため、透明性が著しく悪化し良好な原反フィルムが得られない。
比較例6においては、高密度ポリエチレン樹脂のMIBが大きいため、原反フィルムの耐ブロッキング性の低下、好適な蒸着膜への接着性、蒸着フィルムにおける蒸着面の印刷性、ラミネート性が得られない。
比較例7においては、高密度ポリエチレン樹脂のMIBとプロピレン重合体のMFRAの比が小さいため、スウィーパーロール跡のフィルム転写改良効果がなく、良好な巻き姿の原反フィルムが得られない。
比較例8においては、高密度ポリエチレン樹脂の密度が小さいため、スウィーパーロール跡のフィルム転写改良効果がなく、良好な巻き姿の原反フィルムが得られない。
比較例9においては、ポリエチレン樹脂のMICとプロピレン重合体のMFRAの比が大きいため、フィルムの引裂強度の改良効果がみられない。
比較例10においては、ポリエチレン樹脂のMICとプロピレン重合体のMFRAの比が小さいため、透明性が悪化し、良好な原反フィルムが得られない。
比較例11においては、ポリエチレン樹脂の密度が小さいため、フィルムの引裂強度の改良効果がみられない。
【0096】
【表1】
Figure 0004056368
【0097】
【表2】
Figure 0004056368
【0098】
<実施例7、比較例12〜17>
表3に示すようにプロピレン重合体の性状を変える以外は実施例1に準じて評価を行った。評価結果を表4にまとめた。
【0099】
比較例12においては、使用したプロピレン・エチレンランダム共重合体の融点が高いため、ヒートシール温度が高く、良好な低温ヒートシール性が得られない。
比較例13においては、使用したプロピレン・エチレンランダム共重合体の20℃以下及び40℃以下の可溶分が多いため、原反フィルムの耐ブロッキング性の低下、好適な蒸着膜への接着性、蒸着フィルムにおける蒸着面の印刷性、ラミネート性が得られない。
比較例14においては、使用したプロピレン・エチレンランダム共重合体の40℃以下の可溶分が多く、重量平均分子量が高いため、原反フィルムの耐ブロッキング性の低下、好適な蒸着膜への接着性が得られない。
比較例15においては、使用したプロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体で製膜したフィルムの耐ブロッキング性、剛性が劣る。また、20℃以下の可溶分が多く、重量平均分子量が高いため、蒸着フィルムにおける蒸着面の印刷性、ラミネート性が悪い。さらに、40℃以下の可溶分も多く、重量平均分子量が高いため、蒸着膜の接着性も悪い。
比較例16においては、使用したプロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体の20℃以下可溶分の重量平均分子分子量が高いため、蒸着フィルムにおける蒸着面の印刷性、ラミネート性が悪い。
比較例17においては、使用したプロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体のPIが小さく、40℃可溶分の分子量が大きかったので、スウィーパーロール跡のフィルム転写が発生し、良好な巻き姿の原反フィルムが得られない。
【0100】
【表3】
Figure 0004056368
【0101】
【表4】
Figure 0004056368
【0102】
<実施例8〜10、比較例18〜23>
表5に示すようにアンチブロッキング剤の配合量と性状を変える以外は実施例1に準じて評価を行った。評価結果を表6にまとめた。
【0103】
比較例18においては、アンチブロッキング剤が無添加のため、ブロッキング性が非常に悪く、原反フィルムの巻き姿が不良となり、蒸着フィルムでの評価には至らなかった。
比較例19においては、使用したアンチブロッキング剤の添加量が多いため、原反フィルムの透明性、外観が悪い。また、それに伴い、蒸着フィルムの蒸着面の傷付き性が悪化した。
比較例20においては、使用したアンチブロッキング剤の細孔容積が大きく、分散性不良で原反フィルムの外観が悪い。
比較例21においては、使用したアンチブロッキング剤の細孔容積が小さいため、アンチブロッキング剤が硬く、蒸着フィルムの傷付き性が悪い。
比較例22においては、使用したアンチブロッキング剤が硬く、蒸着フィルムでの傷付き性が非常に悪い。
比較例23においては、アンチブロッキング剤の平均粒子径が大きいため、透明性が悪く、蒸着フィルムの傷付き性が悪い。
【0104】
【表5】
Figure 0004056368
【0105】
【表6】
Figure 0004056368
【0106】
<実施例11〜14、比較例24〜27>
表7に示すように酸化防止剤及び中和剤の配合量と性状を変える以外は実施例1に準じて評価を行った。評価結果を表8にまとめた。
【0107】
比較例24においては、使用したフェノール系酸化防止剤の添加量が多いため、表面にブリードし、蒸着膜の接着性、蒸着フィルムにおける蒸着面の印刷性、ラミネート性が劣る。
比較例25においては、使用したフェノール系酸化防止剤の分子量が小さく、表面にブリードしたため、蒸着膜の接着性、蒸着フィルムにおける蒸着面の印刷性、ラミネート性が劣る。
比較例26においては、使用したハイドロタルサイトの添加量が多く、原反フィルムでの透明性、フィルム外観が不良となった。また蒸着フィルムの傷付き性もやや悪い。
比較例27においては、使用したステアリン酸カルシウムが濡れ指数の低下を引き起こし、蒸着膜の接着性、蒸着フィルムの蒸着面の印刷性、ラミネート性を悪化させた。
【0108】
【表7】
Figure 0004056368
【0109】
【表8】
Figure 0004056368
【0110】
【発明の効果】
本発明の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる金属蒸着フィルムは、成形加工性、透明性、剛性、引裂強度、ヒートシール性、耐ブロッキング性、表面傷付き性、蒸着膜の接着性、蒸着面への印刷性、蒸着面へのラミネート性に優れている。このような金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる金属蒸着フィルム、特に、食品、医療品分野における包装用フィルムに好適である。

Claims (5)

  1. (A)性状(a−1)〜(a−6)を有するプロピレンランダム共重合体100重量部に対し、
    (a−1)プロピレン単位を88〜99.5モル%、エチレン及び/又はブテン単位を0.5〜12モル%含んでなり、
    (a−2)示差走査熱量計(DSC)で求めた融点(Tp)が115〜150℃、
    (a−3)メルトフローレート(MFRA)が1〜30g/10min、
    (a−4)溶融粘弾性測定により求めたポリ分散指数(PI)が2.4〜4、
    (a−5)クロス分別クロマトグラフ(CFC)法で測定した20℃以下の可溶分が1.5重量%以下であり、かつその可溶分の重量平均分子量が0.1×104〜6.0×104である。
    (a−6)クロス分別クロマトグラフ(CFC)法で測定した40℃以下の可溶分が4.0重量%以下であり、かつその可溶分の重量平均分子量が0.1×104〜8.0×104である。
    (B)密度が0.945〜0.980g/cm3、メルトインデックス(MIB)が1〜1000g/10min、かつMIBと上記MFRAとの比(MIB/MFRA)が1以上1000以下の高密度ポリエチレン樹脂を0.01〜5重量部、
    (C)密度が0.910〜0.980g/cm3、メルトインデックス(MIC)が0.1〜30g/10min、かつMICと上記MFRAとの比(MIC/MFRA)が0.03以上1未満のポリエチレン樹脂を0.01〜5重量部、
    (D)平均粒径が1.0〜5.0μm、細孔容積が0.45〜1.7ml/g、摩耗量が100mg以下のアンチブロッキング剤を0.01〜0.7重量部、
    (E)分子量が500以上の酸化防止剤を0.01〜0.5重量部、
    (F)ハイドロタルサイト類化合物を0.005〜0.5重量部
    含有することを特徴とする金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. (E)酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤である請求項1に記載の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. (A)プロピレンランダム共重合体が、メタロセン触媒によって製造されたものである請求項1又は2に1項に記載の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる金属蒸着用フィルム。
  5. 請求項4に記載の金属蒸着用フィルムに金属及び/又はその酸化物を蒸着してなること特徴とする金属蒸着フィルム。
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