JP4056344B2 - Led信号電球及び鉄道用信号機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄道用信号電球として用いられるLED信号電球に関し、詳しくは、発光部を多数の発光ダイオードで構成しつつもフィラメント式の信号電球を代替できるようにしたLED信号電球に関する。このようなLED信号電球は、鉄道用I形電球等を装着可能な鉄道用信号機に適合している。
また、この発明は、そのような信号電球を装着する灯箱を複数備えた鉄道用信号機に関し、詳しくは、それらのうち直列接続されている信号電球とそうでない信号電球とが同じ電圧で駆動される鉄道用信号機に関する。このような鉄道用信号機には、鉄道用の中継信号機や、入換信号機の他、入換標識も、該当する。
【0002】
【背景の技術】
図5は、鉄道用信号機の一例である中継信号機10の一般的な構成を示し、(a)が要部である信号灯部分の正面図、(b)がその回路図、(c)及び(d)が電圧印可状態説明図である。この中継信号機10には(図5(a)参照)、鉄道用I形信号電球を装着可能な灯箱が多数設けられており、図示しない上位の制御装置によって点灯制御されるようになっている。また(図5(b)参照)、それらの灯箱のうち灯箱11(第1灯箱)と灯箱12(第2灯箱)は、直列に接続されており、その直列回路に対して例えばリレー信号HRに応じた所定電圧Vin(BX−CX間電圧)の印可・不印可が行われるようになっている。さらに、残りの灯箱のうち灯箱13は、抵抗14と直列に接続されており、その直列回路に対して例えばリレー信号HRや他の信号に応じた同じ電圧Vinの印可・不印可が行われるようになっている。
【0003】
そして(図5(c)参照)、灯箱11,12の直列回路に電圧Vinが印可されると、灯箱11の分圧V1も、灯箱12の分圧V2も、電圧Vinの半分(Vin/2)になる。その電圧(Vin/2)がI形信号電球の定格電圧となっており、灯箱11,12に装着された信号電球は、その電圧(Vin/2)で駆動されたとき適切に発光する。また(図5(d)参照)、灯箱13と抵抗14との直列回路に電圧Vinが印可されたときも、灯箱13にフィラメント式のI形信号電球が装着されていれば、灯箱13の分圧V3と抵抗14の分圧Vrが、共に、電圧Vinの半分(Vin/2)になる。抵抗14がそのようなフィラメント式の鉄道用信号電球に対応しているからである。具体的には、抵抗14の抵抗値が発光時のフィラメントの抵抗値とほぼ同じになっているのである。
【0004】
【従来の技術】
上述した灯箱11〜13に装着される鉄道用信号電球として、規格品であるフィラメント式I形信号電球20(図6(a)参照)の他、それとの互換性を持ったLED信号電球30(図6(b)の回路図および特許文献1を参照)やLED信号電球40(図6(c)のブロック図および特許文献2を参照)も知られている。
詳述すると、信号電球20は、口金21にて支持された少なくとも一対の端子22(接続用接触部)と硝子球体封入のフィラメント23(発光部)とを備えたものであり、鉄道用の規格に則って中継信号機10の灯箱11〜13等の受座に着脱しうるようになっている。
【0005】
LED信号電球30は、装着互換性のため着脱部には上述の口金21及び端子22が設けられているが、その発光部には、フィラメント23に代えて多数のLED(複数の発光ダイオード)が設けられている。このLED発光部32は、多数のLEDが直並列に接続されていて同時に駆動される点灯回路になっている。また、端子22,22からLED発光部32に至る給電路には、トランスと整流回路31と電流制限回路33とが、その順に、介挿接続されている。整流回路31は、ダイオードスタック等からなり、交流を直流に変換する。電流制限回路33は、定電流用ダイオード等からなり、点灯時の印加電圧(Vin/2)の変動によるLED発光部32の供給電流の不所望な影響を緩和・減衰させて、発光状態を安定させるようになっている。
【0006】
LED信号電球40も、LED信号電球30同様に端子22,22と整流回路31とLED発光部32とを具えたものであるが、整流回路31とLED発光部32との間に平滑回路及び定電流制御回路43が設けられている。また、その平滑回路からLED発光部32への供給電流についてその有無を検知する電流有無検知回路44(検知手段)と、その検知結果に基づき端子22,22の通電量についてその大小を切り替える通電量切替回路45も、設けられている。このようなLED信号電球40は、2灯直列で使用時に一方が断線故障で滅灯したとき他方も滅灯するものとなっている。
【0007】
【特許文献1】
登録実用新案公報第3068502号公報 (第1頁、図2)
【特許文献2】
特開2002−173028号公報 (第1−2頁、図5)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のLED信号電球では、着脱部の機械的構造や駆動電圧に関してフィラメント式の信号電球との互換性が確保されるとともに、長寿命化や、消費電力の節減が図られている。また、検知手段や通電量切替手段を具備した後者のLED信号電球では、直列使用時の断線故障で共に滅灯するという性質に関しても、フィラメント式の信号電球との互換性が得られている。
ところで、消費電力の節減という利点を獲得した代わりに、電流については互換性が維持されず、LED信号電球の電流値はフィラメント式信号電球のそれの約1/10と小さくなっている。換言すれば、LED信号電球の等価抵抗はフィラメント式の鉄道用信号電球に対応していない。
【0009】
このため、例えば、上述した中継信号機10の灯箱11〜13にLED信号電球30又はLED信号電球40を装着した場合、灯箱11,12については(図5(c)参照)、灯箱11のLED信号電球の分圧V1も灯箱12のLED信号電球の分圧V2も適切な定格電圧(Vin/2)になるが、灯箱13については(図5(d)参照)、抵抗14の分圧Vrが電流の減少に応じて桁違いに小さくなるので、灯箱13のLED信号電球の分圧V3は、定格電圧を大きく超えて、電圧Vinに近づき、不所望なものとなる。
【0010】
そして、これを回避する直截的な対策としては、LED信号電球の電流についてもフィラメント式信号電球との互換性をとることや、鉄道用信号機において灯箱と直列接続されている抵抗についてその抵抗値を下げるための交換を行うことが考えられる。
しかしながら、前者の電流互換は、コストを掛けて重要な利点を喪失することになるという手法であり、後者の抵抗交換は、手間を掛けて鉄道用信号機とフィラメント式信号電球との適合性を一部喪失することになるという手法であり、何れも難がある。定格電圧の異なる2種類のLED信号電球を用意するのも、コストアップを招来するうえ生産管理や在庫管理の煩雑化も伴うので、避けたい。
【0011】
そこで、フィラメント式信号電球対応の抵抗と単独の1灯との直列接続回路を2灯直列と同じ電圧で駆動する鉄道用信号機に同種のLED信号電球を複数装着しても、鉄道用信号機は抵抗交換等せずにそのまま使用でき、而もLED信号電球の消費電力も少ないままで済むよう、LED信号電球の構成等に工夫を凝らすことが技術的な課題となる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、2灯直列でも1灯単体でも抵抗器交換等を行うことなく同電圧で使用しうるLED信号電球及び鉄道用信号機を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために発明されたLED信号電球は、出願当初の請求項1に記載の如く、鉄道用信号灯の灯箱の受座に着脱可能な口金に加えて少なくとも一対の接続用接触部を有する着脱部と、同時駆動可能に接続された複数の発光ダイオードを有するLED発光部と、前記接続用接触部から前記発光ダイオードに至る給電路に介挿された整流回路とを備えたLED信号電球において、前記発光ダイオードを2群に分ける接続がなされており、且つ、その2群を直列接続状態にするか並列接続状態にするかを切換可能な直列並列切換回路が設けられている、というものである。
【0013】
また、出願当初の請求項2に記載の如く、前記給電路の電流を前記発光ダイオードの許容範囲に抑制する電流制御回路も備えている場合、前記発光ダイオードに加えて前記電流制御回路も2群に分ける接続がなされ、その2群が前記直列並列切換回路の切換対象とされる。
さらに、出願当初の請求項3に記載の如く、前記整流回路と前記発光ダイオードとの間に平滑回路が設けられ、この平滑回路から前記発光ダイオードへの供給電流についてその有無を検知する検知手段と、その検知結果に基づき前記接続用接触部の通電量についてその大小を切り替える通電量切替手段も備えている場合、前記発光ダイオードに加えて前記検知手段も2群に分ける接続がなされ、その2群が前記直列並列切換回路の切換対象とされる。
【0014】
このようなLED信号電球にあっては、直列並列切換回路を並列側に切り換えておけば、定格電圧が従来と同じなので、従来のLED信号電球を使用できたところには、従来通り使用することができる。これに対し、直列並列切換回路を直列側に切り換えると、定格電圧が並列側のときの約2倍になる。電流は、並列側のとき従来のLED信号電球と同じで、直列側のときには更にその半分しかなく、いずれにしても、フィラメント式の鉄道用信号電球より桁違いに小さい。
【0015】
そこで、何れも鉄道用信号電球を装着可能な第1灯箱と第2灯箱とが直列に接続されており、フィラメント式の鉄道用信号電球に対応した抵抗が第3灯箱と直列に接続されており、それらが同じ電圧で駆動される鉄道用信号機に装着して用いる場合には次のようにする。すなわち、出願当初の請求項4に記載の如く、第1灯箱,第2灯箱に装着のLED信号電球については、何れも、その直列並列切換回路を並列接続状態に切り換え、第3灯箱に装着のLED信号電球については、その直列並列切換回路を直列接続状態に切り換えておく。そうすれば、小電流下では抵抗の電圧が小さくて無視できるので、鉄道用信号機の抵抗交換を行わなくても、総てのLED信号電球が定格電圧で点灯駆動されることとなる。
【0016】
このように電球内部のLED2群の直並列を切り換えられるようにしたことにより、LED信号電球を1灯点灯と2灯直列点灯とに共用することができる。しかも、低消費電力という利点が損なわれることが無く、1灯点灯に伴うフィラメント式信号電球に対応した抵抗から不所望な影響を受けることも無い。
したがって、この発明によれば、2灯直列でも1灯単体でも抵抗器交換等を行うことなく同電圧で使用しうるLED信号電球及び鉄道用信号機を実現することができる。
【0017】
また、2群分割および直並列切換を電流制御回路にも適用した場合には、LEDに関して印可電圧の変動が電流に及ぼす影響が緩和・抑制されて発光状態が安定になるという利点も、維持される。
さらに、2群分割および直並列切換を検知手段にも適用した場合には、2灯直列で使用時に一方が断線故障で滅灯したとき他方も滅灯するという機能も、維持される。この機能は2灯直列での使用が有り得ることを前提に付加されたものであるから、この機能も兼備することにより、実用性が一段と高まる。
【0018】
【発明の実施の形態】
このような解決手段で達成された本発明のLED信号電球及び鉄道用信号機について、その具体的な実施形態を、図面を引用して説明する。図1は、LED信号電球50の構造を示し、(a)が回路図、(b)が外観図である。図2は、LED信号電球50を装着した中継信号機10(鉄道用信号機)の要部の回路図である。なお、それらの図示に際し従来と同様の構成要素には同一の符号を付して示したので、また、図5を参照して背景の技術の欄で述べたことは、この実施形態や以下の各実施例についても共通するので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。すなわち、中継信号機10は抵抗14も含めて変更が無いので、以下、LED信号電球50の改造点を詳述する。
【0019】
LED信号電球50は、従来のLED信号電球30,40と同様、装着互換性のため着脱部には既述の口金21及び端子22が設けられ、発光部のLED(発光ダイオード)への給電のために整流回路31も給電路に介挿接続されているが、従来と異なり、LED発光部32(複数の発光ダイオード)をLED群52aとLED群52bとの2群に分ける接続がなされるとともに、その2群を直列接続状態にするか並列接続状態にするかを切り換えるための直列並列切換回路56が追加されている。一対の端子22から整流回路31と直列並列切換回路56とを経てLED群52a,52bに至る給電路に流れる電流をそのLEDの許容範囲に抑制するための回路も、LED群52aに係る電流制御回路51aと、LED群52bに係る電流制御回路51bとに分割して設けられている。
【0020】
LED群52a,52bは、何れも、直並列接続された複数のLEDを含んでいて、LEDの直列段数がLED発光部32のそれと同じで、LEDの並列数がLED発光部32の半分であり、一対の給電線を介して駆動できるようにまとめられている。その給電線は何れも直列並列切換回路56に至り、図示の例ではそこに電流制御回路51a,51bが介挿されているが、これらは給電線の分岐先に分散設置されてそれぞれ該当するLED群52a,52bと一緒に纏められることもある。電流制御回路51a,51bは、後述するように既述のLED信号電球30の電流制限回路33やLED信号電球40の定電流制御回路43と同様のもので良いが、2分割されているので、それぞれの制御目標となる電流値も半分になっている。
【0021】
直列並列切換回路56は、例えば、2連の手動操作式切替スイッチを主体に構成される。配線によって、整流回路31の正電圧出力端子(+)から出た給電線をそのまま電流制御回路51a及びLED群52aの正電圧側給電線とし、整流回路31の負電圧出力端子(−)から出た給電線をそのまま電流制御回路51b及びLED群52bの負電圧側給電線とする他、スイッチによって、LED群52a等の負電圧側給電線およびLED群52b等の正電圧側給電線の接続先を切り換えるようになっている。
【0022】
具体的には、2連のうち一方のスイッチは、可動片常時接続端子がLED群52aの負電圧側給電線に接続され、一方の接点がLED群52bの正電圧側給電線に接続され、他方の接点が他方のスイッチの可動片常時接続端子に接続される。また、他方のスイッチは、可動片常時接続端子がLED群52bの正電圧側給電線にも接続され、一方の接点がLED群52aの正電圧側給電線に接続され、他方の接点が開放されている。
さらに、その2連スイッチ操作子56aは、切換操作が容易に行えるよう、LED信号電球50の背面等に一部露出して取り付けられている。
【0023】
このようなLED信号電球50及び中継信号機10について、その使用態様及び動作を説明する。ここでは3個のLED信号電球50を中継信号機10の3個の灯箱11〜13に装着したときの動作を中心に述べる。
【0024】
灯箱11にLED信号電球50を装着するとき、その2連スイッチ操作子56aを手動操作して、LED群52aの負電圧側給電線がLED群52bの負電圧側給電線に接続されるとともに、LED群52bの正電圧側給電線がLED群52aの正電圧側給電線に接続されるようにしておく。
灯箱12にLED信号電球50を装着するときも同じである。
【0025】
これに対し、灯箱13にLED信号電球50を装着するときは、その2連スイッチ操作子56aを手動操作して、LED群52aの負電圧側給電線がLED群52bの負電圧側給電線から離れてLED群52bの正電圧側給電線に接続されるとともに、LED群52bの正電圧側給電線がLED群52aの正電圧側給電線から離れるようにしておく。
抵抗14については何もしない。
【0026】
そうすると、どのLED信号電球50についても、2連スイッチ操作子56aの操作に拘わらず、LED群52aの正電圧側給電線には整流回路31の正電圧出力端子が接続されるとともに、LED群52bの負電圧側給電線には整流回路31の負電圧出力端子が接続されているので、灯箱11装着のLED信号電球50および灯箱12装着のLED信号電球50では、LED群52a,52bが並列接続状態となり、灯箱13装着のLED信号電球50では、LED群52a,52bが直列接続状態となる。
【0027】
この状態で、灯箱11,12の直列回路に電圧Vinが印可されると、灯箱11の分圧V1も、灯箱12の分圧V2も、電圧Vinの半分(Vin/2)になる。その電圧(Vin/2)がLED群52a,52b双方の適正電圧なので、灯箱11,12に装着されたLED信号電球50は適切に発光する。電流制御回路51a,51bも、その電圧(Vin/2)近傍であれば、電流制御能力を発揮する。
【0028】
また、灯箱13と抵抗14との直列回路に電圧Vinが印可されると、フィラメント式信号電球装着時のときと異なり、電流が約1/20であることから、抵抗14の分圧Vrが微小値(Vin/40程度)になるので、灯箱13の分圧V3は全電圧Vinに近い値となる。そして、それが灯箱13装着のLED信号電球50内で直列のLED群52a,52bに均等分割されるので、ここでもLED群52a,52bが共に適正電圧近傍(ほぼVin/2)下で適切に発光する。さらに、この程度の僅かな電圧の違いは電流制御回路51a,51bによって緩和され、LED群52a,52bの電流は適正電圧(Vin/2)下と同じに保たれるので、どの灯箱11〜13のLED信号電球50も適切な光度で点灯する。
【0029】
こうして、このLED信号電球50及び中継信号機10にあっては、中継信号機10へのLED信号電球50の装着に際して、2灯直列のときはLED群52a,52bが並列になるよう、また同じ電源電圧下で1灯単体のときはLED群52a,52bが直列になるよう、2連スイッチ操作子56aをセッティングすることで、容易に、同一構造のLED信号電球50を使い分けることができる。その結果、LED信号電球について、低消費電力等の利点を損なうことなく、フィラメント式信号電球に対する互換性が更に高まることとなる。
【0030】
【第1実施例】
図3に回路図を示したLED信号電球50が上述した実施形態のものと相違するのは、端子22と整流回路31との間にトランスTRが介挿接続されている点と、その一次側にサージアブソーバSAが付加接続され二次側にフューズFLが介挿接続されている点である。これらの追加により、LED信号電球50は、サージ耐性が向上して、実用的なものとなっている。
【0031】
また、整流回路31には、ダイオードスタックからなる全波整流器が採用され、電流制御回路51a,51bには、電流制限回路33同様に、多数個の定電流用ダイオードが採用され、それらがLED群52a,52bに分散して組み込まれている。
このようなLED信号電球50は、従来のLED信号電球30(図6(b)の回路図および特許文献1を参照)に本発明を適用して改良したものとなっている。
【0032】
【第2実施例】
図4に回路図を示したLED信号電球50が上述した実施形態のものと相違するのは、サージ耐性向上等のために避雷器ArやフューズPTCが導入されて端子22,22及び第3の端子FGに接続されている点と、その直後にノイズ除去回路57が追加されている点と、整流回路31の一次側に通電量切替回路55が設けられている点と、LED群52aと直列並列切換回路56との間に電流有無検知回路54aと平滑回路及び定電流制御回路53aとが設けられている点と、LED群52bと直列並列切換回路56との間に電流有無検知回路54bと平滑回路及び定電流制御回路53bとが設けられている点である。
【0033】
このようなLED信号電球50は、従来のLED信号電球40(図6(c)の回路図および特許文献2を参照)に本発明を適用して改良したものであり、平滑回路及び定電流制御回路53a,53bは、それぞれ、平滑回路及び定電流制御回路43と同様の回路構成となっている。もっとも、LEDの2分割に対応して、平滑回路及び定電流制御回路53aのうちの定電流制御回路部分が電流制御回路51aに該当し、平滑回路及び定電流制御回路53bのうちの定電流制御回路部分が電流制御回路51bに該当している。
【0034】
また、電流有無検知回路54aは、電流有無検知回路44と同様に、LED群52aの給電線に介挿接続されたリレーR1のコイル部からなり、電流有無検知回路54bも、やはりリレーR2のコイル部からなるが、こちらはLED群52bの給電線に介挿接続されている。
さらに、通電量切替回路55は、基本的には通電量切替回路45と同様に、電圧印加にてオンオフを繰り返す断続リレー等からなる開閉回路と、交流動作形の電磁リレーR3とを具えて、端子22,22から整流回路31への通電量を大小切り替えるものであるが、電流有無検知回路が分割されて複数54a,54bになったのに対応して、リレーR1,R2が共に励磁されているときは通電量を大にし、リレーR1,R2の何れか一方又は双方が非励磁のときには通電量を小にするようになっている。
【0035】
このようなLED信号電球50にあっては、LED群52a,52bのどちら側に断線が生じても、通電量切替回路55によって整流回路31への通電量が小さくされるので、LED群52a,52bが共に滅灯する。また、このLED信号電球50と直列に接続されている他のLED信号電球50への通電量も同時に小さく絞り込まれる。これにより、2灯直列で使用時に一方が断線故障で滅灯したとき他方も滅灯するというLED信号電球40の機能がLED信号電球50にも引き継がれる。しかも、直列並列切換回路56によるLED群52a,52bの直並列切換機能も兼備している。
【0036】
【その他】
なお、上記の実施形態や各実施例では、直列並列切換回路56を2連の手動操作式スイッチで構成したが、直列並列切換回路56の具体化は、それに限られるものでなく、例えば、リレーや,トランジスタ,SSR等を用いた半導体回路で構成し、入力電圧の値から直列並列切換を自動的に行う回路を利用するのも良い。
また、通電量切替回路や電流有無検知回路をリレー回路で具現化したが、これに限られるものでなく、それらの回路は、半導体回路にて構成しても良い。例えば、電流有無検知回路は、電流電圧変換用抵抗やスイッチングトランジスタ等を用いて具現化し、通電量切替回路は、パルス発生回路や,ダイオード等利用の波形整形回路,パワートランジスタ,SSR,トライアック等のうち適宜なもの或いはその他の適宜な半導体素子やIC等を用いて具現化しても良い。
さらに、発光用のLED群52aは、多数個の直並列接続に限られる訳でなく、同時駆動可能であって光量が足りれば、直列接続だけでも、並列接続だけでも良い。LED群52bも同じである。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のLED信号電球及び鉄道用信号機にあっては、電球内部のLED2群の直並列を切り換えられるようにしたことにより、総てのLED信号電球が定格電圧で点灯駆動されることとなって、2灯直列でも1灯単体でも抵抗器交換等を行うことなく同電圧で使用しうるLED信号電球及び鉄道用信号機を実現することができたという有利な効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態について、LED信号電球の構造を示し、(a)が回路図、(b)が外観図である。
【図2】 鉄道用信号機の要部の回路図である。
【図3】 本発明のLED信号電球の第1実施例の回路図である。
【図4】 本発明のLED信号電球の第2実施例の回路図である。
【図5】 鉄道用信号機の一般的な構成を示し、(a)が要部の正面図、(b)が要部の回路図、(c)及び(d)が電圧印可状態説明図である。
【図6】 従来の信号電球の構成を示し、(a)がフィラメント式I形信号電球の正面図、(b)がLED信号電球の回路図、(c)が他のLED信号電球の回路ブロック図である。
【符号の説明】
10 中継信号機(鉄道用信号機)
11,12,13 灯箱(信号電球の装着箇所)
14 抵抗(値がフィラメント式の鉄道用信号電球に対応)
20 信号電球(I形信号電球、フィラメント式の鉄道用信号電球)
21 口金(灯箱の受座への着脱部、I形電球ソケット)
22 端子(灯箱の受座への着脱部、接続用接触部)
23 フィラメント(発光部)
30 LED信号電球(I形互換の鉄道用信号電球)
31 整流回路(ダイオードスタック、全波整流器)
32 LED発光部(点灯回路、複数の発光ダイオード)
33 電流制限回路(定電流用ダイオード、電流制御回路)
40 LED信号電球(I形互換の鉄道用信号電球)
43 平滑回路及び定電流制御回路(電流制御回路)
44 電流有無検知回路(検知手段)
45 通電量切替回路(断続リレー、パルス発生+スイッチ回路)
50 LED信号電球(I形互換の鉄道用信号電球)
51a,51b 電流制御回路(電流制限回路、定電流制御回路)
52a,52b LED群(複数の発光ダイオードを2群に分けたもの)
53a,53b 平滑回路及び定電流制御回路
54a,54b 電流有無検知回路(2群に分かれた検知手段)
55 通電量切替回路(断続リレー、パルス発生+スイッチ回路)
56 直列並列切換回路
56a 2連スイッチ操作子
57 ノイズ除去回路

Claims (3)

  1. 何れも鉄道用信号電球を装着可能な第1灯箱と第2灯箱とが直列に接続されており、フィラメント式の鉄道用信号電球に対応した抵抗が第3灯箱と直列に接続されており、それらが同じ電圧で駆動される鉄道用信号機において、
    鉄道用信号灯の灯箱の受座に着脱可能な口金に加えて少なくとも一対の接続用接触部を有する着脱部と、同時駆動可能に接続された複数の発光ダイオードを有するLED発光部と、前記接続用接触部から前記発光ダイオードに至る給電路に介挿された整流回路とを備えたLED信号電球において、前記発光ダイオードを2群に分ける接続がなされており、且つ、その2群を直列接続状態にするか並列接続状態にするかを切換可能な直列並列切換回路が設けられているLED信号電球が、前記第1灯箱と前記第2灯箱と前記第3灯箱との何れにも装着されており、
    前記第1灯箱に装着のLED信号電球および前記第2灯箱に装着のLED信号電球は何れもその直列並列切換回路が並列接続状態に切り換えられており、
    前記第3灯箱に装着のLED信号電球はその直列並列切換回路が直列接続状態に切り換えられている
    ことを特徴とする鉄道用信号機。
  2. 前記LED信号電球のうち何れか一個又は複数個は、前記給電路の電流を前記発光ダイオードの許容範囲に抑制する電流制御回路を備えていて、前記発光ダイオードに加えて前記電流制御回路も2群に分ける接続がなされており、且つ、その2群も前記直列並列切換回路の切換対象になっている、ことを特徴とする請求項1記載の鉄道用信号機。
  3. 前記LED信号電球のうち何れか一個又は複数個は、前記整流回路と前記発光ダイオードとの間に設けられた平滑回路と、この平滑回路から前記発光ダイオードへの供給電流についてその有無を検知する検知手段と、その検知結果に基づき前記接続用接触部の通電量についてその大小を切り替える通電量切替手段とを備えていて、前記発光ダイオードに加えて前記検知手段も2群に分ける接続がなされており、且つ、その2群も前記直列並列切換回路の切換対象になっている、ことを特徴とする請求項2記載の鉄道用信号機。
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