JP4055950B2 - コモンレールの分岐継手構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にディーゼル内燃機関における高圧燃料多岐管或いはブロック・レール等のようなコモンレールの分岐継手構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の分岐管の継手構造としては、例えば図3に示すように、本管レール11側の周壁部に設けた内部の流通路11−1に通ずる貫孔11−2部を外方に開口する受圧座面11−3となし、該受圧座面部を囲む直径を有する外ねじ方式の筒状のスリーブニップル14を使用し、このスリーブニップル14の基端部を前記受圧座面11−3の本管レール11の外周壁に溶接あるいはろう付けし、その内部に前記流通路11−1に通ずる流路13−1を有してその端部にほぼ先細り円錐状の挫屈成形等による拡径した接続頭部13−2を設けた分岐管13側の当該接続頭部13−2のなす押圧座面(シート面)13−3を本管レール側の受圧座面11−3に当接係合せしめ、前記スリーブニップル14に螺合する袋ナット15を締着することによりスリーブワッシャ16を介して接続構成するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術による継手構造では、以下に記載する問題があった。
すなわち、図3に示すような外側周面を押圧座面(シート面)13−3とする截頭円錐状(または截頭円弧状)となした接続頭部13−2の成形方法としては、厚肉鋼管の端部を外方からのパンチ部材による軸芯方向への押圧による挫屈加工によって成形されるのが一般的である。この成形方法によって成形される接続頭部は、押圧による挫屈加工に伴う周壁の外側への拡がりによって、該頭部内側に環状ポケット17を生ぜしめて構成され、かかる状態で使用に供されてきたが、配設使用時の高圧流体に起因して該環状凹部17付近に発生するキャビテーションエロージョンにより、接続頭部13−2に環状ポケット17を起点に径方向の亀裂が放射状に生じたり、環状ポケットの周囲に円周方向の亀裂が生じるという問題があった。
【0004】
一方、特許文献2には、挫屈加工による前記ポケット部を有しない接続頭部を有する分岐管を採用した分岐継手構造が開示されている。この分岐継手構造は、図4に示すように、本管レール21側の周壁部に設けた内部の流通路21−1に通ずる貫孔21−2を外方に開口する受圧座面21−3となし、該受圧座面付近の本管レールの外周部を囲繞するリング状の螺子孔付き継手金具23を使用し、分岐管22側の外周端部付近に螺子面を設けたほぼストレート状の接続頭部22−2のなす押圧座面22−3を本管レール側の受圧座面21−3に当接係合せしめ、分岐管22側に組込んだ内外周に逆螺子面を有するナット24を分岐管22側の螺子面と継手金具23の螺子孔に螺合することにより分岐管22を締着して接続構成したものである。
しかしながら、この継手構造の場合は、リング状の継手金具23の使用により接続部での製品重量を著しく増すこととなり、製品重量を軽減できないという難点があり、また、前記継手金具は本管レール21に単に外嵌されている構造となっているので、位置決めに時間がかかるのみならず、振動や衝撃等により該継手金具が管軸方向に位置ずれする可能性があり、かつこの位置ずれが緩みを招いて洩れを誘発してその接続を不安定となすことや、分岐管22を外した時継手金具23が管軸方向に移動して本管レール21外表面に付着したゴミが継手金具23との間に侵入する可能性がある等の問題を有する。
【0005】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消するためになされたもので、スリーブニップルからなる継手金具が本管レールに溶接された構造のコモンレールにおいて、接続頭部に亀裂が生じることがない上、長期に亘って相互の接続部での緩みによる洩れやゴミの侵入をなくし、確実にして安定した分岐継手構造を提供することを目的とするものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−213044号公報
【特許文献2】
実公平5−33832号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るコモンレールの分岐継手構造は、軸芯内部に流通路を有する本管レールの軸方向の周壁部に間隔を保持して複数の貫孔を設け、かつ該貫孔の周面部にそれぞれ前記流通路に通ずる流路を有する分岐管を連接する外方への開口する受圧座面を形成して該分岐管の端部に設けた、外周面をねじ面とする接続頭部のなす押圧座面部を当接係合せしめ、本管レールに溶接またはろう付けにて接続した外ねじ方式の筒状のスリーブニップルと予め分岐管側に組込んだ袋ナットとの螺合による前記接続頭部での押圧に伴って、前記接続頭部に螺着したスリーブワッシャを介して締着して接続してなる分岐継手構造であって、前記スリーブニップルと袋ナット間のねじと、前記接続頭部とスリーブワッシャ間のねじとを逆ねじとなしたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、軸芯内部に流通路を有する本管レールの軸方向の周壁部に間隔を保持して複数の貫孔を設け、かつ該貫孔の周面部にそれぞれ前記流通路に通ずる流路を有する分岐管を連接する外方への開口する受圧座面を形成して該分岐管の端部に設けた、外周面をねじ面とする接続頭部のなす押圧座面部を当接係合せしめ、本管レールに溶接またはろう付けにて接続した外ねじ方式の筒状のスリーブニップルおよび、前記外周面をねじとなす接続頭部と、予め分岐管側に組込んだ袋ナットとの螺合による前記接続頭部での押圧に伴って締着して接続してなる分岐継手構造であって、前記スリーブニップルと袋ナット間のねじと、前記接続頭部と袋ナット間のねじとを逆ねじとなしたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の請求項1に対応するコモンレールの分岐継手構造例を示す縦断側面図、本発明の請求項2に対応するコモンレールの分岐継手構造例を示す縦断側面図であり、1はコモンレール本体としての本管レール、2は受圧座面、3は分岐管、4は外ねじ方式の筒状のスリーブニップル、5−1、5−2は袋ナット、6はスリーブワッシャである。
【0010】
コモンレールとしての本管レール1は、例えば管径20m/m、肉厚6m/m程度の比較的厚肉で細径の金属管であって、その軸芯内部を流通路1−1となして軸方向の周壁部に間隔を保持して複数からなる外方に開口する周面を受圧座面2となす貫孔1−2を流通路1−1に連通して設けてなるものである。
【0011】
図1において、分岐管3は、分岐枝管あるいは分岐接続体からなるものであって、その内部に前記流通路1−1に通ずる流路3−1を有してその端部が僅かに拡径した接続頭部3−2のなす押圧座面3−3を設けてなり、さらに該接続頭部3−2の外周面に雄ねじ3−4を有している。
外ねじ方式の筒状のスリーブニップル4は、前記受圧座面2部を囲む直径を有し、本管レール1の前記受圧座面2を囲むように該受圧座面2と同心にその基端部を溶接あるいはろう付けされている。4−1は前記分岐管3の接続頭部の雄ねじ3−4と逆の雄ねじである。
袋ナット5−1は、その内周面に前記スリーブニップル4の雄ねじ4−1と螺合する雌ねじ5−1aが設けられている。
スリーブワッシャ6は、その内周面に前記分岐管3側の接続頭部に設けられた雄ねじ3−4と螺合する雌ねじ6−1が設けられている。
【0012】
図1に示す分岐継手構造の場合は、分岐管3側の接続頭部3−2のなす押圧座面3−3を本管レール1側の受圧座面2に当接係合せしめ、予め分岐管3側に組込んだスリーブワッシャ6を接続頭部3−2に螺合した後、前記スリーブニップル4に螺合する袋ナット5−1を締着して接続構成するものである。
【0013】
すなわち、図1に示す本発明の請求項1に対応するコモンレールの分岐継手構造は、前記スリーブニップル4と袋ナット5−1間のねじ4−1、5−1aと、前記接続頭部3−2とスリーブワッシャ6間のねじ3−4、6−1とが逆ねじとなっているので、剛性の低いスリーブニップル4が本管レール1に溶接あるいはろう付けされたコモンレールであっても、相互の継手部での緩みを生じることがない。
【0014】
また、図2に示す本発明の請求項2に対応する分岐継手構造は、前記と同様スリーブニップル4を受圧座面2付近の本管レール1の外周壁に該受圧座面部を囲むように受圧座面2と同心に溶接またはろう付けし、前記スリーブワッシャ6に対応する部分を袋ナット5−1に一体に設けて筒状部5−1bとなし、この筒状部5−1bの内周面に、分岐管3側の接続頭部3−2の外周面に設けた雄ねじ3−4と螺合する雌ねじ5−1b´を設けて構成したもので、この場合は、筒状部5−1aと分岐管3側の接続頭部3−2間のねじ5−1b´、3−4が前記スリーブニップル4と袋ナット5−1間のねじ4−1、5−1aと逆ねじとなっている。
したがって、図2に示す分岐継手構造の場合も、剛性の低いスリーブニップル4が本管レール1に溶接あるいはろう付けされたコモンレールであっても、相互の継手部での緩みを生じることがない。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によるコモンレールの分岐継手構造は、挫屈加工によるポケット部を有しない接続頭部を有する分岐管を採用したことによる亀裂の問題を解消できるのみならず、剛性の低いスリーブニップルが本管レールに溶接あるいはろう付けされたコモンレールであっても、相互の継手部での緩みを生じることがないため、長期に亘って相互の接続部での緩みによる洩れやゴミの侵入をなくし、確実にして安定した継手が得られるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1に対応するコモンレールの分岐継手構造例を示す縦断側面図である。
【図2】本発明の請求項2に対応するコモンレールの分岐継手構造例を示す縦断側面図である。
【図3】従来のコモンレールの分岐継手構造例を示す縦断正面図である。
【図4】従来の他のコモンレールの分岐継手構造例を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1 本管レール
1−1 流通路
1−2 貫孔
2 受圧座面
3 分岐管
3−1 流路
3−2 接続頭部
3−3 押圧座面
3−4、4−1 雄ねじ
4 外ねじ方式の筒状のスリーブニップル
5−1、5−2 袋ナット
5−1b 筒状部
5−1a、5−1b´、6−1 雌ねじ
6 スリーブワッシャ

Claims (2)

  1. 軸芯内部に流通路を有する本管レールの軸方向の周壁部に間隔を保持して複数の貫孔を設け、かつ該貫孔の周面部にそれぞれ前記流通路に通ずる流路を有する分岐管を連接する外方への開口する受圧座面を形成して該分岐管の端部に設けた、外周面をねじ面とする接続頭部のなす押圧座面部を当接係合せしめ、本管レールに溶接またはろう付けにて接続した外ねじ方式の筒状のスリーブニップルと予め分岐管側に組込んだ袋ナットとの螺合による前記接続頭部での押圧に伴って、前記接続頭部に螺着したスリーブワッシャを介して締着して接続してなる分岐継手構造であって、前記スリーブニップルと袋ナット間のねじと、前記接続頭部とスリーブワッシャ間のねじとを逆ねじとなしたことを特徴とするコモンレールの分岐継手構造。
  2. 軸芯内部に流通路を有する本管レールの軸方向の周壁部に間隔を保持して複数の貫孔を設け、かつ該貫孔の周面部にそれぞれ前記流通路に通ずる流路を有する分岐管を連接する外方への開口する受圧座面を形成して該分岐管の端部に設けた、外周面をねじ面とする接続頭部のなす押圧座面部を当接係合せしめ、本管レールに溶接またはろう付けにて接続した外ねじ方式の筒状のスリーブニップルおよび、前記外周面をねじ面とする接続頭部と、予め分岐管側に組込んだ袋ナットとの螺合による前記接続頭部での押圧に伴って締着して接続してなる分岐継手構造であって、前記スリーブニップルと袋ナット間のねじと、前記接続頭部と袋ナット間のねじとを逆ねじとなしたことを特徴とするコモンレールの分岐継手構造。
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