JP4053760B2 - 印刷機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に胴とドラムを含む複数の処理部と、いに噛み合っていて運転時に胴とドラムを駆動する歯車からなる歯車列とを備える印刷機、特に枚葉紙印刷機、ならびに、胴やドラムを含む少なくとも1つの処理部と、いに噛み合っていて運転時に胴およびドラムを駆動する歯車からなる歯車列とを備える印刷機、特に枚葉紙印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷機、特に枚葉紙印刷機の処理部では、たとえば、静止している枚葉紙を最初の胴に引き渡す揺動くわえづめを駆動する、特に歯車列によって駆動されるカム伝動装置によって引き起こされる、変化する妨害モーメントが歯車列に発生する。このような変化する妨害モーメントは、振動や、歯面の変化につながる可能性があり、このことは機械的な磨耗や、特に印刷技術上の問題、すなわち印刷品質の劣化、特に「ダブリ」につながるおそれがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した問題を回避するため、ドイツ特許出願公開明細書2347568A1は、印刷ユニットの揺動くわえづめを駆動するときに、印刷機の制御回路によって制御される油圧式の調節装置を揺動くわえづめ軸にピボット連結することを意図しており、それによって、揺動くわえづめでのモーメント補償を達成しようとしている。このことは、速度変化が起きたときに変化する目標値・実際値の設定を遠心力調節器によって行おうとする場合には、制御技術的な点ばかりでなく、機械的な点においても大きなコストがかかる。
【0004】
ドイツ特許明細書4101823C2は、歯車列において歯面同志が確実に当たるようにするために、同一方向に回転する2つの歯車の間に、位置が摩擦によってスライド可能な、別個にフレームに支持された引張り歯車を歯車列に備えることを意図している。
【0005】
さらに、欧州特許出願公開明細書613775B1によれば、歯車列の互いに噛み合う2つの歯車に作用する装置が提案されており、この装置では、第1の歯車が歯車列の駆動歯車と噛み合っており、第2の歯車は歯車列の被駆動歯車と噛み合っており、第1の歯車に対して相対的に弾性的に初期応力をかけられた、第2の歯車と噛み合う第3の歯車が、第1の歯車と同軸に設けられている。このような構成は、機構的に非常にコストが大きくなる。
【0006】
最後に、ドイツ特許出願明細書19616745によれば、枚葉紙印刷機の揺動する搬送くわえづめを運動させるため、通常運転のときには前述したモーメント変化を防止する、制御される独自の駆動装置が設けられ、追加的に制御されるこの駆動装置が停止した場合に備えた安全上の理由から、搬送くわえづめと主駆動列との間に機械的な連結が設けられるが、この連結は通常運転時には働かないので、主駆動列にモーメント変化を引き起こすこともない。このような解決策もコストが大きく、特に、比較的高価である。
【0007】
本発明の目的は、互いに噛み合う歯車からなる歯車列に生じる妨害モーメントを、簡単かつ低コストな手段で防止することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の目的は、本発明によれば、印刷機が、
胴およびドラムと、
前記胴およびドラムと連結され、これらを駆動する、互いに噛み合う複数の歯車で構成された歯車列と、
前記複数の歯車の第1の歯車に動作可能に接続された少なくとも1つの第1のヒンジと、
前記複数の歯車の第2の歯車に動作可能に接続された少なくとも1つの第2のヒンジと、
前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジにおいて関節連結された弾性のある少なくとも1つの連結器と、
を有し、
前記複数の歯車の前記第1および第2の歯車は同じ方向に回転し、
前記第1および第2のヒンジは前記複数の歯車の前記第1および第2の歯車の各回転軸に対して偏心して位置しており、
前記の弾性のある連結器は、周期的に変化するトルクを前記複数の歯車の前記第1の歯車から前記第2の歯車へ前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジを介して伝達する
ことによって達成される。
【0009】
本発明の他の印刷機は、
胴およびドラムを含む少なくとも1つの処理部と、
前記胴およびドラムに連結されてこれらを駆動する、相互に接続された複数の歯車が構成された少なくとも1つの歯車列と、
前記複数の歯車の1つに動作可能に接続され、かつ前記複数の歯車の前記1つ回転軸に対して偏心して配置された第1のヒンジと、
静止した第2のヒンジと、
前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジにおいて関節連結された弾性のある連結器と
有する
【0010】
本発明により、電気的な制御や調節がなくて部品の数が少ない、純粋に機械的な解決策が提案される。
【0011】
有利な実施態様によれば、両ヒンジの位置に関して、それらが接続されている歯車における角度方向の位置が互いに同じで、かつそれらが接続されている歯車の中心からの距離が等しいそれが接続されている歯車における角度方向の位置が互いに異なり、かつそれらが接続されている歯車の中心からの距離が等しいそれらが接続されている歯車における角度方向の位置が互いに同じで、かつそれらが接続されている歯車の中心からの距離が異なるそれらが接続されている歯車における角度方向の位置が互いに異なり、かつそれらが接続されている歯車の中心からの距離が異なる、が考えられる。
【0012】
弾性のある連結器が、緩和作用の特性も有していると有利である。たとえば連結器はエラストマー部品であってよく、あるいは、特に弾性と緩和作用の材料特性を有するポリマーの形態のエラストマーでできていてよい。あるいは、弾性のある連結器が少なくとも1つのばねを有していてもよく、この場合、特に弾性のある連結器は、シリンダケーシングと、シリンダケーシングの内部案内される支持板を備えるピストンロッドと、シリンダケーシングと支持板との間に配置されたねとを含んでいる。
【0013】
さらに、別の実施態様によれば、弾性のある連結器が、少なくとも1つの剛性のあるピストンロッドと、これと連結された板ばねとを含んでおり、ないしは、2つの剛性のあるロッドと、これらを連結する板ばねとを有する。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
枚葉紙7を処理する輪転印刷機は、給紙装置と、特に印刷ユニット1.1から1.4の形態の処理部と、排紙装置とを有している。枚葉紙7は枚葉紙パイル8から取り出され、ここで一例として設けられている紙さばき方式では、供給台9を介して、ずれ重なった状態で第1の印刷ユニット1.1へ供給される。
【0016】
枚葉紙パイル8は、制御されて上昇可能な紙載せ台10の上に載っている。枚葉紙7の取出しは、枚葉紙パイル8の上面から、特に、紙さばきのために複数の持上げ・引きずり用吸引器19,21を有している吸引ヘッド18によって行われる。さらに、上方の各層をほぐすための吹付け装置22と、パイルの動きを追跡するための検知部材23が設けられている。枚葉紙パイル、特に枚葉紙パイル8の上側の枚葉紙7を揃えるために、側方と後方の複数のストッパ24が設けられている。
【0017】
パイル8の一番上にある枚葉紙7は、持上げ吸引器19によって持ち上げられて、枚葉紙7を供給台9に供給する引きずり用吸引器21に渡される。供給台9の、給紙装置と反対を向いている方の端部には、枚葉紙7を供給台9から受け取って、くわえづめ装置を備える給紙胴12に引き渡す、揺動する搬送くわえづめ11が設けられている。給紙胴12の後には、ここでは一例としてオフセット方式で作動し、くわえづめ装置を備える胴やドラムによってそれぞれ後続する印刷ユニットへの枚葉紙の搬送を行う、枚葉紙を処理する相前後して並んだ印刷ユニット1.1から1.4が続いている。このような構成によれば、印刷ユニット1.1から1.4は、それぞれインキ装置1.1’から1.4’と、湿式オフセット方式で運転する場合には湿し装置と、版胴2、ブランケット胴3、および圧胴4の形態の印刷ユニット胴とを含んでいる。印刷ユニット1.1から1.4のうち先行する印刷ユニットと後続する印刷ユニットの間には、枚葉紙を先行する印刷ユニットの圧胴4から引き取る第1の搬送ドラム5と、枚葉紙を第1の搬送ドラム5から引き取る紙渡しドラム6と、枚葉紙を紙渡しドラム6から引き取り、各枚葉紙を後続する印刷ユニットの圧胴4に引き渡す第2の搬送ドラム13とが配置されている。このとき有利には、第1および第2の搬送ドラム5および13と紙渡しドラム6とで構成される少なくとも1つの枚葉紙搬送装置は、第1の動作状態から第2の動作状態に切換可能、かつ第2の動作状態から第1の動作状態に切換可能な反転装置として構成され、それによって第2の搬送ドラム13は、第1の動作状態のときには各枚葉紙をその先行する前端で、また第2の動作状態のときには枚葉紙の先行する後端で反転させて、それぞれ後続する圧胴4に引き渡す。
【0018】
最後の印刷ユニット(本例では印刷ユニット1.4)の圧胴4の後には、給紙ドラム12から第1の印刷ユニット1.1の圧胴4に引き渡された枚葉紙を輪転印刷機から排出してパイル16の上に積む、循環するくわえづめ装置15を駆動する紙取り胴14が続いている。
【0019】
印刷ユニット胴と、枚葉紙搬送装置の各ドラムと、インキ装置ローラおよび湿し装置ローラのうち摩擦によって駆動されない部品と、排紙胴と、給紙ドラムと、搬送くわえづめ11とを駆動するために、本例では主軸で互いに噛み合う歯車として図示されている連動する伝動装置が設けられており、それに対し、紙取り胴14の側におけるくわえづめ装置15のガイドスプロケットと、給紙ドラムの側における紙さばき装置とを駆動するためには、チェーン伝動装置を設けてもよい。
【0020】
互いに噛み合う歯車は、それぞれ各胴ないし各ドラムに付属する歯車として表されており、この場合、各胴ないし各ドラムと、これらに付属する歯車との間には、それぞれ回転不能な結合が成立しているので、図1では各歯車は、これに対応する胴ないし対応するドラムと同じように図示されている。
【0021】
前述した歯車の全体は、すべての印刷ユニットにわたって延びる主列と、それぞれ圧胴4の1つを駆動する歯車から分岐して、それぞれブランケット胴3の1つおよび版胴2の1つの形態の印刷ユニット胴、インキ装置1.1'から1.4'のインキ装置ローラ、および本例では湿し装置ローラを駆動する副列とを備える、1つの連動した歯車列を構成している。印刷ユニット1.2は、たとえばいわゆる駆動印刷ユニットを構成することができ、すなわちこの場合、輪転印刷機を作動させる、駆動トルクを伴う駆動出力の供給は、印刷ユニット1.2に付属する歯車を介して行われ、ここでは一例として、印刷ユニット1.2に後続する枚葉紙搬送装置の第1の搬送ドラム5と結合された歯車を介して行われる。
【0022】
つまり搬送ドラム5の歯車では、この歯車を介して輪転印刷機に供給される出力の流れが、排紙印刷ユニット1.4に向かう方向に流れる部分と、印刷ユニット1.1を通って流れ、最終的には特に搬送くわえづめ11に供給される部分とに分岐される。したがって、出力の流れを分岐させる、印刷ユニット1.2の搬送ドラム5の歯車は、図1からわかるように本例では互いに噛合う歯車の全体で構成される、前述した歯車列の構成要素である駆動輪をなしている。
【0023】
揺動する搬送くわえづめ11には、通常、歯車列で駆動されるカム伝動装置を介して運動が加えられる。これによって、変化するトルクが歯車列に発生する。このトルクを補償するために、本発明は、歯車列の同期する2つの歯車の間に弾性のある連結器31を設けており、この連結器31は、図示した実施形態では、上に述べたやり方で印刷ユニット1.1および1.2の圧胴4に付属する歯車に揺動可能に連結されている。
【0024】
この様子は図2に詳細に図示されている。符号4は、それぞれ印刷ユニット1.1および1.2の両圧胴であり、符号6は、これらの圧胴の間に配置された紙渡しドラムであり、紙渡しドラム6とそれぞれの圧胴との間に設けられた搬送ドラム5,13と、これらの搬送ドラム5,13に付属する歯車とは図示されていない。
【0025】
圧胴4に歯車4’および4’’が、また紙渡しドラム6には歯車6’が、それぞれ上に述べたようなやり方で堅固に結合されている。符号32は、印刷機のフレームないし枠組である。
【0026】
圧胴4の両歯車4'および4''は同じ方向に回転する。その意味で、一例としてこれらの歯車には、弾性のある連結器31の揺動連結部34',35' (ヒンジ)揺動可能に連結されている連結部34,35が、それぞれ付属している。図面で強調されている連結器31の部分33は、連結器31の弾性がさまざまなやり方で実現可能な弾性体であることを表している。
【0027】
連結部34,35は有利な実施形態に応じて、位相(連結部34,35が位置する、歯車4 ' および4 '' の半径が、基準となる、歯車4 ' および4 '' の半径となす角度、図の双方向矢印で示される角度)が同じで歯車中心からの距離が等しく、または歯車中心からの距離が等しく位相が異なるように、または歯車中心からの距離が等しくなく位相が同じで、または歯車中心からの距離が等しくなく位相が異なるように、それぞれ両方の歯車に関して配置される。
【0028】
図3(a)から図3(d)の実施形態では、連結区域36',38'はそれぞれの、連結部34,35とは反対を側の端部で、ばね作用と吸収作用のある材料特性を有する、引張と押圧を作用させることができるエラストマー44を介して互いに連結されている。このとき図3(a)は、連結部34,35の、位相が同じで歯車中心から等しい位置、図3(b)は、連結部34,35の、歯車中心からの距離が等しくて位相が異なる位置、図3(c)は、連結部34,35の、歯車中心からの距離が等しくなくて(R,R')位相が同じ位置、最後に図3(d)は、連結部34,35の、歯車中心からの距離が等しくなくて(R,R')位相が異なる位置を、それぞれ連結器36',38',44によって連結された歯車に関して示している。
【0029】
図4の実施形態では、連結部34に揺動可能に連結された連結区域36はシリンダケーシング37を備えているのに対し、連結部35に揺動可能に連結される連結区域38は、連結部35ないし揺動連結部35'と反対を向いている方の端部に、シリンダ37の内部で案内される支持板41を支持するピストンロッド39を有しており、支持板41にはその両側で、シリンダケーシング37に作用する圧縮ばね42,43が支持されている。
【0030】
図5の実施形態では、連結器31は、一方の端部が圧胴の歯車に連結部35で揺動可能に連結された剛性のある連結ロッド45を有しており、その一方で連結ロッド45は、他方の端部が板ばね46と結合されており、この板ばね46を介して、他方の圧胴の相応の歯車に連結部34で揺動可能に連結可能である。
【0031】
図6の実施形態では、弾性のある連結器31は、剛性のある2つの連結区域45.1,45.2と、これらをつなぐ板ばね46’とを有している。
【0032】
図7(a)から図7(d)は、位相が同じでなく、歯車中心からの距離が等しい状態で歯車4'および4''に対して配置された連結部34,35を例にとって、運動過程の瞬間位置を示しており、このとき連結器31は運転時に引張と押圧が周期的に加えられるので、図7(e)に定性的に図示するような、歯車4',4''の一方から他方に伝達される周期的に変化するトルクの推移が生じることになる。きわめて単純化されたこの図面では、たとえば連結器31の座屈を防ぐ止め具など、設計上の詳細は省略されている。
【0033】
連結器31の弾性は、ばね33によって図示されている。連結器31が、相応の胴ないし歯車の軸心4a、4bを結ぶ連結線51に対して最大の距離を有する位置にあるとき、連結器31はある程度の長さΔLだけ初期応力をかけられており(図7(a)、7(c))、しかも、第1の位置(図7(a))ではΔLだけ伸ばされているのに対し、歯車4’,4’’が180°回転した第2の位置にいるときには(図7(c))、連結器31はΔLだけ圧縮されている。上に挙げた各位置に対して90°だけずれた別の両方の位置にあるとき、連結器31は力をかけられていない(図7(b)および7(d))。
【0034】
この実施形態によれば、同じ方向に回転する歯車に連結器31の揺動連結部を設けることによって、これらの歯車には周期的に増大する連結トルクが生じ、この連結トルクは有利な実施形態では、こうした連結トルクがなければ妨害トルクによって引き起こされる歯面の変化を防止するために利用される。そのために配慮すべきことは、連結トルクの最大値が(連結器の相応の初期応力によって)妨害トルクの最大値よりも大きくなるようにすることと、連結トルクの位相位置に対する妨害トルクの位相位置に関して、歯面の変化が生じないように連結トルクが生じるようにすることである。
【0035】
各歯車に対する連結部34,35の位置の、上に挙げた別の変形例については、局所的な連結トルクの推移に関して容易に検証可能な関係が生じ、この場合、連結部34,35の、位相が同じで歯車中心からの距離が等しい特殊なケースでは、連結トルクの増大する推移の代わりに正弦波状の推移が生じ、連結器はその初期応力に応じて、揺動連結された状態で常に一定の引張力あるいは一定の押圧力を受ける。
【0036】
妨害トルクは、搬送くわえづめ11によって生じるだけではなく、たとえばくわえづめ装置15のくわえづめが周期的に開くことによって、印刷機の他の部位でも発生する。その意味では、印刷ユニットが多数ある場合、連続する2つの印刷ユニットだけを前述のように連結器で連結することに、本発明による印刷機の構成を限定しないのが有利である。相応の連結器を複数取り付けるときにはそれらの相互位置に注意すべきであり、また、当然ながらその都度の使用目的ごとに、相応の連結器の初期応力の方向に注意すべきであることは、言うまでもない。
【0037】
考えられる1つの使用目的は、歯車列の一区域の歯車を、ゼロよりも大きな一定の数値を下回らない連結トルクで引張させることである。
【0038】
そのために有利な実施形態では、歯車列の同一の歯車に、互いに位相ずれして配置された2つの連結器を付属させる。
【0039】
図2には、この場合に意図される付属の形式が模式的に図示されており、これによれば、歯車4'および4''への第1の連結器31の付属は、歯車4'および4''に連結部34および35を直接配置することによって変換されており、それに対して、歯車4'および4''への第2の連結器31の付属は、この連結器31を、歯車4'および4''と間接的に接続された連結部で揺動可能に連結することによって変動されている。このように間接的な揺動可能な連結をするために、前述したように歯車4'および4''と回転不能に結合された胴4の、歯車4'および4''と反対を向いているそれぞれの軸ピンでは、本実施形態ではそれぞれクランク47および48が対応する軸ピンと回転不能に結合されており、第2の連結器31はこれらのクランクの各連結部34および35に揺動可能に連結されている。
【0040】
それによって、両連結器31の各々によって生成される連結トルクからなる総合トルクが発生し、この場合総合トルクの時間的な推移には、特に両連結器の相互の位相位置によって、影響を与えることができる。このことは、総合トルクによって表される連結トルクの極値を、妨害トルクの極値と同時に発生するように調節することを容易にする。
【0041】
前述したように相互が位相ずれた、同じ歯車に作用する2つの連結器を備える有利な実施形態は、90°の位相ずれを意図している。それにより、ただ1つの連結器を使用した場合に比べてトルク変動が比較的小さくなり、連結器に相応の初期応力をかけた場合には、歯面の変化なしに印刷機の共振領域を通過できるようにトルク変動の最小値を設定可能である、連結トルクとして作用する総合トルクの推移が達成される。
【0042】
上述した実施形態において、連結器によって運転時に弾性のある連結器の伸長または圧縮という意味での仕事が行われる場合、この仕事は、供給される駆動出力を通じて印加される駆動トルクに対する反作用を必然的に有している。したがって、この駆動トルクには、特に、相応の連結トルクの極値の位相位置を適当に選択することで、特に駆動トルクの好ましくない周期的なピーク値を下げることが可能であるように、影響を与えることが可能である。
【0043】
歯車にして、駆動トルクの側からこの歯車に作用するトルクに加えて、周期的に変化する追加のトルクを加えるという発明思想をさらに発展させた実施形態が、図8に模式的に図示されている。
【0044】
これによれば、歯車(ここでは一例として歯車列の歯車4’)に、弾性のあるクランク31’が付属していて、このクランク31’が、周期的に変化するトルクをこの歯車に加えるようになっている。
【0045】
クランク31’は、図2の連結器31に準じて、クランク31の弾性がさまざまなやり方で具体化可能であることを表す、同じく図面で強調されている区域33とともに図示されている。
【0046】
歯車4'へのクランク31'の付属は、実施形態に応じて、歯車4'への直接的な揺動連結によって行うか、または歯車4'と間接的に結合された連結部への揺動連結によって行う。
【0047】
クランク31'は運転時に仕事をするので、この実施形態でも、特に駆動トルクの好ましくないピーク値を下げるようなやり方で、駆動出力によって歯車列に加えられる駆動トルクに対する的確な反作用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷機の概略的な様子を示す側面図である。
【図2】図1の印刷機の一部を示す平面図である。
【図3】同一方向に回転する歯車に、連結部のそれぞれ異なる位置で、本発明で設けられる連結部を付属させるさまざまな対案である。
【図4】本発明で設けられる連結部の一実施形態である。
【図5】板ばねを備える、本発明で設けられる連結部の別の実施形態である。
【図6】剛性のある2つの連結区域の間に配置された板ばねを備える、本発明で設けられる連結部のさらに別の実施形態である。
【図7】本発明により弾性のある連結部と連結される胴の位置(図7(a)から7(d))と、その結果生じるトルク(図7(e))である。
【図8】歯車に付属する、定置に揺動連結された弾性のあるクランクである。
【符号の説明】
1.1〜1.4 印刷ユニット
1.1'〜1.4' インキ装置
2 版胴
3 ブランケット胴
4 圧胴
4',4'' 歯車
4a,4b 軸
5 搬送ドラム
6 紙渡しドラム
7 枚葉紙
8 枚葉紙パイル
9 供給台
10 紙載せ台
11 搬送くわえづめ
12 給紙胴
13 搬送ドラム
14 紙取り胴
15 くわえづめ装置
16 パイル
18 吸引ヘッド
19 持上げ吸引器
21 前進用吸引器
22 吹付け装置
23 検知部材
24 ストッパ
31 連結器
33 区域
34,35 連結部
34',35' 揺動連結部
36,38 連結区域
37 シリンダ
39 ピストンロッド
36',38' 連結区域
41 受け板
42,43 圧縮ばね
44 連結器
45 連結ロッド
45.1,45.2 連結区域
46,46' 板ばね
47,48 クランク
51 連結線

Claims (17)

  1. 胴およびドラムと、
    前記胴およびドラムと連結され、これらを駆動する、互いに噛み合う複数の歯車で構成された歯車列と、
    前記複数の歯車の第1の歯車に動作可能に接続された少なくとも1つの第1のヒンジと、
    前記複数の歯車の第2の歯車に動作可能に接続された少なくとも1つの第2のヒンジと、
    前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジにおいて関節連結された弾性のある少なくとも1つの連結器と、
    を有し、
    前記複数の歯車の前記第1および第2の歯車は同じ方向に回転し、
    前記第1および第2のヒンジは前記複数の歯車の前記第1および第2の歯車の各回転軸に対して偏心して位置しており、
    前記の弾性のある連結器は、周期的に変化するトルクを前記複数の歯車の前記第1の歯車から前記第2の歯車へ前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジを介して伝達する
    印刷機。
  2. 前記両ヒンジは、それらが接続されている歯車における角度方向の位置が互いに同じで、かつそれらが接続されている歯車の中心からの距離が互いに等しい、請求項1記載の印刷機。
  3. 前記両ヒンジは、それらが接続されている歯車における角度方向の位置が互いに異なり、かつそれらが接続されている歯車の中心からの距離が互いに等しい、請求項1記載の印刷機。
  4. 前記両ヒンジは、それらが接続されている歯車における角度方向の位置が互いに同じで、かつそれらが接続されている歯車の中心からの距離が互いに異なる、請求項1記載の印刷機。
  5. 前記両ヒンジは、それらが接続されている歯車における角度方向の位置が互いに異なり、かつそれらが接続されている歯車の中心からの距離が互いに異なる、請求項1記載の印刷機。
  6. 前記連結器はばね作用と緩和作用をもつように構成されている、請求項1に記載の印刷機。
  7. 前記連結器がエラストマー部品を含む、請求項1に記載の印刷機。
  8. 前記連結器が、ばね作用と緩和作用をもつポリマーを含む、請求項1に記載の印刷機。
  9. 前記連結器がばねを含む、請求項1に記載の印刷機。
  10. 前記連結器が、シリンダケーシングと、該シリンダケーシングの内部を案内される支持板を備えるピストンロッドと、前記シリンダケーシングと前記支持板との間に配置されたばねを含む、請求項1に記載の印刷機。
  11. 前記連結器が、剛性のあるピストンロッドと、これと結合された板ばねとを含む、請求項1に記載の印刷機。
  12. 前記連結器が、板ばねによって連結された2つのロッドを有している、請求項1に記載の印刷機。
  13. 前記歯車列が枚葉紙印刷機の複数の処理部を互いに接続している、請求項1に記載の印刷機。
  14. 前記複数の歯車の前記第1の歯車と前記第2の歯車の間に作用して、周期的に変化するトルクを前記複数の歯車の前記第1の歯車から前記第2の歯車へ伝達する、弾性のある他の連結器を有し、
    前記連結器および前記他の連結器が前記印刷機の両側に配置されている、
    請求項1に記載の印刷機。
  15. 前記連結器および前記他の連結器の前記第1のヒンジの、該ヒンジが接続されている歯車における角度方向の位置と、前記連結器および前記他の連結器の前記第2のヒンジの、該ヒンジが接続されている歯車における角度方向の位置の少なくとも一方が互いに異なる、請求項14に記載の印刷機。
  16. 胴およびドラムを含む少なくとも1つの処理部と、
    前記胴およびドラムに連結されてこれらを駆動する、相互に接続された複数の歯車で形成された少なくとも1つの歯車列と、
    前記複数の歯車の1つに動作可能に接続され、かつ前記複数の歯車の前記1つの歯車の回転軸に対して偏心して配置された第1のヒンジと、
    静止した第2のヒンジと、
    前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジにおいて関節連結された弾性のある連結器と
    を有する印刷機。
  17. 前記処理部が枚葉紙印刷機の一部を構成している、請求項16に記載の印刷機。
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