JP4053486B2 - マイクロストリップアンテナ - Google Patents
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Description
本発明は、平面状のパッチアンテナエレメントとグランドを有するマイクロストリップアンテナに関するものである。
従来のマイクロストリップアンテナの一例を図４および図５を参照して説明する。図４は、従来のマイクロストリップアンテナの一例の構造を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図である。図５は、図４のマイクロストリップアンテナを正面から見た指向特性図である。
図４において、導電金属からなるグランド１０の上面に、誘電基板１２が載置され、この誘電体基板１２の上面に、平面状のパッチアンテナエレメント１４が載置され、グランド１０と誘電体基板１２を貫通してパッチアンテナエレメント１４に給電ケーブル１６の中心導体が電気的接続される。なお、パッチアンテナエレメント１４の給電点１８は、パッチアンテナエレメント１４の中心位置から偏寄した位置にある。
かかる構成のマイクロストリップアンテナにおいて、その指向特性は、図５に示すごとく、上方に高い利得が得られ、半値幅は狭い。
しかるに、上述のマイクロストリップアンテナをグランド１０より大きな面積を有する金属導体上に、電気的に離して配設すると、指向特性が大きく変化する、という不具合を生ずる。かかる配置の一例を図６および図７を参照して説明する。図６は、大きな面積を有する金属導体上に、電気的に離して配設した一例の構造を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図である。図７は、図６の一例を正面から見た指向特性図である。
図６に示すごとく、マイクロストリップアンテナの下側に、大きな面積を有する金属導体２０をグランド１０から電気的に離して配設した場合に、グランド１０と金属導体２０が電気的に係合し、図７に示すごとく、上方への利得が低下し、半値幅の大きな指向特性を示すようになる。実験によれば、グランド１０と金属導体２０の間の寸法ｇがλ／１０〜λ／１２（λは共振周波数の波長）の電気長で最も大きく、λ／８以上離れると、結合による影響はほとんど認められない。なお、寸法ｇが零で、グランド１０と金属導体２０が電気的接続されるならば、金属導体２０は大きな面積のグランド１０として作用し、指向特性が上方に向かうことは勿論である。
また、金属導体２０の形状が図６に示すごとくグランド１０の周り全体に拡がるように設けられたものに限られず、金属導体２０の形状が、長方形で、その短辺がグランド１０の寸法より短く、長辺がグランド１０の寸法よりも長い場合でも、指向特性に影響を与えることが、特開２００２−３１４３２３号公報に記載されている。
特開２００２−３１４３２３号公報
マイクロストリップアンテナは、例えば、ＧＰＳアンテナやＩＴＳ（Ｉｎｔｅｌｌｉｇｅｎｔ Ｔｒａｎｓｐｏｒｔ Ｓｙｓｔｅｍ：高度道路交通システム）用のアンテナとして用いられている。そして、かかるマイクロストリップアンテナを車に搭載した場合には、車体の金属板からなるルーフやダッシュボード上に配設されることとなり、そのルーフやダッシュボードが金属導体２０として作用し、その指向特性に影響を与え、配設具合によっては、所望の指向特性が得られてない虞がある。
本発明は、かかる従来技術の事情に鑑みてなされたものであり、金属導体の影響を受けずに安定した指向特性が得られるマイクロストリップアンテナを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明のマイクロストリップアンテナは、平面状のパッチアンテナエレメントとグランドを有するマイクロストリップアンテナで、前記グランドの下側に電気的に離して金属導体が配設される構造において、前記グランドの縁に、共振周波数のλ／４（λは共振周波数の波長）の奇数倍の電気長の金属棒の基端を電気的接続して、前記パッチアンテナエレメントを設けた側で前記グランドに垂直に立設し、しかも前記金属棒の相互間隔が前記共振周波数のλ／２以下の電気長となるようにして、前記グランドと前記金属導体が電気的に結合しないように構成されている。
さらに、前記グランドの隅に前記金属棒を立設して構成しても良い。
請求項１記載のマイクロストリップアンテナにあっては、グランドの縁に立設した金属棒に共振周波数の定在波が発生し、金属棒の基端は電圧が零となり、グランドの金属棒が立設された箇所の電圧が低くなされ、下側に電気的に離して配設された金属導体との電気的な結合が減少される。また、金属棒の相互間隔を共振周波数のλ／２以下とすることで、金属棒間を通過する電磁波が遮断され、これによっても結合が減少される。そこで、下側に電気的に離して配設された金属導体との電気的な結合が少なく、下側の金属導体の影響を僅かとすることができ、所定の指向特性が得られる。
さらに、請求項２記載のマイクロストリップアンテナにあっては、グランドの隅は高い電圧が生じ易いが、金属棒に生ずる共振周波数の定在波により電圧が大幅に減少され、下側の金属導体との結合が少なくなる。
本発明の第１実施例を図１および図２を参照して説明する。図１は、本発明のマイクロストリップアンテナの第１実施例の構造を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図である。図２は、図１に示すマイクロストリップアンテナを正面から見た指向特性図である。図１において、図４および図６と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
図１に示す本発明のマイクロストリップアンテナの第１実施例において、図４および図６に示す従来の構造と相違するところは、グランド１０の縁に、金属棒２２，２２…を、その基端を電気的接続して、パッチアンテナエレメント１４を設けた側で、グランド１０に垂直に立設したことにある。そして、金属棒２２，２２…の高さｈは、マイクロストリップアンテナの共振周波数のλ／４（λは共振周波数の波長）の電気長に設定される。また、金属棒２２，２２…の相互間隔ｄ１は、λ／２以下の電気長に設定される。なお、平面から見て四角のグランド１０の隅に、金属棒２２，２２…がまず立設され、隅に立設した金属棒２２，２２…の相互間隔がλ／２より長い電気長であれば、その間のグランド１０の縁にさらに金属棒２２，２２…が立設される。
かかる構成において、λ／４に設定された金属棒２２，２２…に、共振周波数の定在波が発生し、グランド１０に電気的接続された金属棒２２，２２…の基端は電圧が零となる。そこで、グランド１０の縁の電圧が減少され、下側の金属導体２０との電気的な結合が大幅に少なくなる。なお、金属棒２２，２２…が設けられない従来例では、グランド１０の隅に特に高い電圧が生ずる傾向にあるが、定在波が発生する金属棒２２，２２…をグランド１０の隅に立設することで、グランド１０の隅の電圧を大きく低減でき、もって結合が減少される。
さらに、金属棒２２，２２…の、相互間隔がλ／２以下であるために、金属棒２２，２２…の間を共振周波数の電磁波が通過できずに遮断され、この電磁波による下側の金属導体２０との結合が減少される。
この結果、図２に示すごとく、グランド１０の下側に電気的に離して金属導体２０が存在しているにもかかわらず、指向特性が上方に向けて大幅に改善され半値幅も小さくなる。そして、下側の金属導体２０の形状などにより指向特性が大きな影響を受けないことが実験で確認された。
次に、本発明の第２実施例を図３を参照して説明する。図３は、本発明のマイクロストリップアンテナの第２実施例の構造を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図である。図３において、図１と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
図３に示す第２実施例では、グランド３０は平面形状が円形とされている。そこで、グランド３０には第１実施例のごとき隅は存在せず、その縁に金属棒２２，２２…をその相互間隔ｄ２がλ／２以下となるように均等に立設される。図１に示す構造と同様に、下側の金属導体２０との結合が少なく、上方に高い利得の指向特性が得られる。
なお、上記実施例において、金属棒２２，２２…の高さｈは、共振周波数の定在波が発生するように設定されれば良く、λ／４に限られず、λ・３／４やλ・５／４などのλ／４の奇数倍であっても良いことは容易に理解されるであろう。また、パッチアンテナエレメント１４は、共振させるべき直線偏波信号または円偏波信号に応じて適宜に設定することは勿論である。さらに、誘電体基板１２に代えて誘電体としての空気層が用いられても良い。そしてまた、グランド１０，３０と金属導体２０の間は、空気層が介在するものに限られず、誘電体層および／または導電体が介在するものであっても良い。
１０，３０ グランド
１２ 誘電体基板
１４ パッチアンテナエレメント
２０ 金属導体
２２ 金属棒
１２ 誘電体基板
１４ パッチアンテナエレメント
２０ 金属導体
２２ 金属棒
Claims (2)
- 平面状のパッチアンテナエレメントとグランドを有するマイクロストリップアンテナで、前記グランドの下側に電気的に離して金属導体が配設される構造において、前記グランドの縁に、共振周波数のλ／４（λは共振周波数の波長）の奇数倍の電気長の金属棒の基端を電気的接続して、前記パッチアンテナエレメントを設けた側で前記グランドに垂直に立設し、しかも前記金属棒の相互間隔が前記共振周波数のλ／２以下の電気長となるようにして、前記グランドと前記金属導体が電気的に結合しないように構成したことを特徴とするマイクロストリップアンテナ。
- 請求項１記載のマイクロストリップアンテナにおいて、前記グランドの隅に前記金属棒を立設して構成したことを特徴とするマイクロストリップアンテナ。
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