JP4052093B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳細には機関スロットル弁の目標開度への駆動開始を遅延させて一定時間経過後の将来のスロットル弁開度を予測し、この予測値に基づいて将来の機関吸入空気量を正確に予測する内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転者のアクセルペダル操作量とは独立して開度を制御可能な、いわゆる電子制御スロットル弁を備え、アクセルペダル操作量から定まる目標スロットル弁開度にスロットル弁開度を制御する際に遅れ時間を設けることにより機関吸入空気量を正確に予測する内燃機関の制御装置が知られている。
【0003】
一般に、内燃機関では機関吸入空気量を実測し、この実測値に基づいて燃料噴射量を算出し、機関空燃比が最適な値になるように制御する、いわゆる空気量先行燃料量追従制御方式が採用されている。これらの機関では機関吸入空気量を正確に検出することが重要となるが、過渡運転等でスロットル弁開度や回転数の変化に伴って機関吸入空気量が変化している状態では、機関吸入空気量を正確に計測することは困難な場合がある。
【0004】
また、実際に機関の気筒内に吸入された空気量は各気筒の吸気弁閉弁時に確定するため、正確に燃料噴射量を設定するためには気筒吸気弁閉弁時の機関吸入空気量に基づいて燃料噴射量を設定する必要がある。ところが、一般に各気筒の燃料噴射量を算出するタイミングは吸気弁閉弁時より早い時期にある。従って、実際に気筒に吸入された空気量に基づいて正確な燃料噴射量を設定するためには、燃料噴射量算出時点で将来の吸気弁閉弁時点における機関吸入空気量を正確に予測する必要がある。
【0005】
機関吸入空気量はスロットル弁開度と機関回転数とに応じて変化する。また、過渡運転においては機関回転数の変化速度は相対的にスロットル弁開度の変化速度より遅いため、吸気弁閉弁時のスロットル弁開度を正確に予測できれば、吸気弁閉弁時の機関吸入空気量が予測可能となる。
【0006】
運転者のアクセルペダル操作とは独立して動作することが可能な電子制御スロットル弁を備えた機関では、スロットル弁の開閉駆動を所定の時間遅延させることにより、将来のスロットル弁開度を正確に予測し、この予測したスロットル弁開度に基づいて将来の機関吸入空気量(気筒吸気弁閉弁時の機関吸入空気量)を正確に推定する、いわゆる位相進み逆演算法が提案されている。
【0007】
この種の吸入空気量予測を行う内燃機関の制御装置の例としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1の装置は、現在のアクセルペダル操作量(踏込み量)に基づいて電子制御スロットル弁の目標開度を設定した後、直ちにスロットル弁を駆動して目標開度に制御する代わりに、一定の遅れ時間経過後にスロットル弁の駆動を開始するようにしている。
【0008】
一般に電子制御スロットル弁は制御上または機構上動作遅れが伴うため、目標開度が急激に(例えばステップ状に)変化したような場合でも、スロットル弁開度が実際に目標開度に到達するまでにはスロットル弁の動作特性から定まる遅れ時間が生じる。そこで、スロットル弁の動作特性を正確に把握していれば、例えばスロットル弁の目標開度がステップ状に変化したような場合にも、その後実際にスロットル弁が目標開度に到達するまでの各時点におけるスロットル弁開度を算出することが可能である。すなわち、理論的には目標開度がステップ状に変化した時点で、スロットル弁の動作特性に基づいて将来の各時点のスロットル弁開度を予測することが可能となる。
【0009】
ところが、実際の運転では運転者のアクセルペダル操作量が大きく、目標開度が連続して変化するような場合には、ある時点でスロットル弁動作特性に基づいて将来の各時点のスロットル弁開度を予測しても、予測値には予測時点以後の目標開度の変化は反映されないことになり、スロットル弁開度予測値の精度が低下する問題がある。
【0010】
特許文献1の装置は、目標開度設定後、実際に目標開度に応じてスロットル弁を駆動する動作を一定の遅延時間(運転者が遅れを体感しない程度の短い時間)だけ遅らせて開始するようにしたことにより、目標開度の変化を完全にスロットル弁開度予測値に反映させることを可能としている。
【0011】
すなわち、特許文献1の装置では、実際のスロットル弁の動作は目標開度の変化に対して上記遅延時間だけ遅れることになるが、このことは逆に言えば実際にスロットル弁が動作を開始する時点では、目標スロットル弁開度がその後どのように変化するかを完全に知ることができることになる。このため、目標開度の変化をスロットル弁開度の予測値に完全に反映させることが可能となり、実際のスロットル弁開度の変化を正確に予測することが可能となっている。特許文献1の装置では上述の方法により、燃料噴射量算出時点で吸気弁閉弁時におけるスロットル弁開度を正確に予測し、この予測に基づいて吸気弁閉弁時における機関吸入空気量を算出している。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−201998号公報
【特許文献2】
特開平10−169469号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の装置では、アクセルペダルの操作に対して実際のスロットル弁開度変化をわずかな時間だけ遅らせることにより、将来のスロットル弁開度を予測し、この予測値に基づいて将来の時点における機関吸入空気量を算出している。
【0014】
このため、将来の時点における機関吸入空気量を正確に算出するためには、スロットル弁開度の予測値を精度良く算出する必要がある。
ところが、特許文献1の装置ではスロットル弁開度予測値はアクセルペダルから定まる目標スロットル弁開度と、電子スロットル弁の作動特性とに基づいて、実際のスロットル弁開度とは関係なく計算のみによって求められる。このため、運転条件や電子スロットル装置のばらつき、特性変化などがあるとスロットル弁開度の予測値が実際のスロットル弁開度からのずれを生じる可能性がある。
【0015】
特許文献1の装置では、これを防止するためにスロットル弁の実際の開度を検出するスロットルセンサを設け、現在から所定時間将来までのスロットル弁開度変化と現在の実スロットル弁開度との和として将来のスロットル弁開度予測値を求めている。
すなわち、特許文献1の装置では、スロットル弁の駆動を遅らせることにより算出した将来の目標スロットル弁開度に基づいて、現在から所定時間将来までのスロットル弁開度の変化量の予測値を算出する。そして、スロットルセンサで実際に検出した現在のスロットル弁開度に上記スロットル弁開度変化量の予測値を加えることにより、所定時間将来のスロットル弁開度を予測している。
【0016】
ところが、上記のように現在の実スロットル弁開度に計算で求めた予測変化量を加えるようにしていると、予測変化量が微少量であった場合にも予測変化量が現在の実スロットル弁開度に加算されるようになる。ところが、スロットル弁開度変化量の予測値は計算から求められるため、実際の運転ではほとんど運転状態が定常でスロットル弁開度変化がない場合でも計算誤差のため予測変化量がゼロにならない場合がある。このため、実スロットル弁開度に予測変化量を加えてスロットル弁開度の予測値を求めていると誤差の累積が生じてしまい、逆に定常状態でスロットル弁開度の予測値と実際の値との間に定常的なずれが生じる可能性がある。
【0017】
本発明は上記問題に鑑み、現在から所定時間将来のスロットル弁開度を計算により求める場合に、スロットル弁開度予測値に含まれる誤差を修正し正確に所定時間経過後のスロットル弁開度を予測することを可能とする内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、現在のアクセルペダル操作量に基づいて、内燃機関のスロットル弁目標開度を設定し、実際のスロットル弁開度が前記目標開度になるように、予め定めた遅延時間経過後にスロットル弁の駆動を開始することにより、現在から所定時間経過後の将来におけるスロットル弁開度を予測するとともに、該予測スロットル弁開度に基づいて前記所定時間経過後の将来における機関吸入空気量予測値を算出する内燃機関の制御装置において、現在の実際のスロットル弁開度を検出するスロットル開度検出手段と、前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値と前記スロットル弁開度検出手段で検出した現在のスロットル弁開度検出値との相違が予め定めた判定値より小さい場合に、前記スロットル弁開度検出手段で検出した現在のスロットル弁開度検出値に基づいて前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値を補正する補正手段と、を備え、前記補正手段は、前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値と現在のスロットル弁開度検出値との相違が前記判定値より小さい場合には、所定時間経過後のスロットル弁開度予測値として現在のスロットル弁開度検出値を用いる、内燃機関の制御装置が提供される。
【0019】
すなわち、請求項1の発明ではスロットル弁の駆動開始を予め定めた遅延時間だけ遅らせることにより、現在から所定時間経過後の将来におけるスロットル弁開度予測値を算出している。また、本発明では補正手段が設けられており、算出されたスロットル弁開度予測値とスロットル弁開度検出手段により検出された現在における実際のスロットル弁開度検出値との相違判定値より小さい場合には、検出値に基づいて予測値を補正する操作を行う。
【0020】
本来、所定時間経過後のスロットル弁開度予測値と現在のスロットル弁開度検出値とは異なる時点のスロットル弁開度であるため、スロットル弁開度が変化しており両者を比較しても予測値算出誤差の正確な補正を行うことはできないはずである。
しかし、所定時間経過後のスロットル弁開度の予測値と現在のスロットル弁開度検出値との相違(例えば差の絶対値)がある小さな範囲内にある場合には、実際には現在から所定時間経過後までの間スロットル弁開度に変化がない、すなわち機関は定常運転中であると考えることができる。従って、この場合には現在から所定時間経過後の実際のスロットル弁開度は現在のスロットル弁開度検出値と同一であると考えることができる。
【0021】
このため、現在のスロットル弁開度検出値を用いて予測値を補正することが可能となり、予測値の定常状態における微少ずれや、誤差の蓄積が生じることが防止される。
【0023】
また、請求項1の発明では更に、補正手段はスロットル弁開度予測値と現在のスロットル弁開度検出値との間の相違が所定値より小さい場合には、算出された予測値を現在のスロットル弁開度検出値で置きかえる。これにより、吸入空気量の予測値の算出と、以後のスロットル弁開度予測値の算出とはスロットル弁開度検出手段で検出した現在の実際の値を用いて行われる。
【0024】
しかし、前述のように、所定時間経過後のスロットル弁開度の予測値と現在のスロットル弁開度検出値との相違が、ある小さな範囲内にある場合には、機関は定常運転中でありスロットル弁開度に変化がないため、現在から所定時間経過後の実際のスロットル弁開度も現在検出したスロットル弁開度と同一であると考えることができる。
【0025】
従って、この場合には算出された予測値を現在のスロットル弁開度検出値に一致させる補正を行っても、すなわち、予測値として現在のスロットル弁開度検出値を使用するようにしても制御上問題は生じない。また、このように、定常運転状態を利用してスロットル弁開度予測値を実際の検出値に一致させる補正を行うことにより、予測値の定常状態における微少ずれや、誤差の蓄積が生じることが防止される。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、現在のアクセルペダル操作量に基づいて、内燃機関のスロットル弁目標開度を設定し、実際のスロットル弁開度が前記目標開度になるように、予め定めた遅延時間経過後にスロットル弁の駆動を開始することにより、現在から所定時間経過後の将来におけるスロットル弁開度を予測するとともに、該予測スロットル弁開度に基づいて前記所定時間経過後の将来における機関吸入空気量予測値を算出する内燃機関の制御装置において、
現在の実際のスロットル弁開度を検出するスロットル開度検出手段と、
前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値と前記スロットル弁開度検出手段で検出した現在のスロットル弁開度検出値との相違が予め定めた判定値より小さい場合に、前記スロットル弁開度検出手段で検出した現在のスロットル弁開度検出値に基づいて前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値を補正する補正手段と、を備え、
前記補正手段は、前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値と現在のスロットル弁開度検出値との相違が前記判定値より小さい場合には、補正後のスロットル弁開度予測値が、補正前のスロットル弁開度予測値と現在のスロットル弁開度検出値との間の値になるようにスロットル弁開度予測値を補正する、内燃機関の制御装置が提供される。
【0027】
すなわち、請求項2の発明では、予測値と現在のスロットル弁開度検出値との相違が判定値より小さい場合には、現在のスロットル弁開度検出値で予測値を置きかえるのではなく、補正後の予測値が補正前の予測値と検出値との間になるように予測値の補正を行う。
【0028】
単に予測値を現在のスロットル弁開度検出値で置きかえる補正を行うと、補正前後で予測値が急激に変化することになる。この変化量は予測値と検出値との相違が判定値に近いほど大きくなり、算出される機関吸入空気量予測値も急激に変化する場合が生じる。このため、本発明では予測値と検出値との相違が判定値より小さい場合には、予測値を一挙に検出値まで変化させるのではなく、補正後の予測値が補正前の予測値と検出値との間の値になるようにする。これにより、補正実行による予測値の変化幅が低減され補正により予測値が急激に変化することが防止される。
【0029】
なお、上記判定値より小さい第2の判定値を設け、予測値と検出値との相違が上記判定値以下で、かつ第2の判定値以上である場合には補正後の予測値が補正前の予測値と検出値との間になるように補正し、予測値と検出値との相違が第2の判定値より小さくなった場合には、請求項1と同様に予測値を一挙に検出値まで変化させるようにすることも可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態の概略構成を説明する図である。
【0031】
図1において1は内燃機関本体、3は機関1の吸気通路、5は吸気通路3に設けられたスロットル弁である。
本実施形態では、スロットル弁5はステッパモータなどのアクチュエータ5aにより駆動され、運転者のアクセルペダル操作とは独立して開度を設定することができる、いわゆる電子スロットル弁とされている。
【0032】
また、スロットル弁5近傍にはスロットル弁開度を検出するスロットルセンサ50が設けられている。
【0033】
図1に30で示すのは、機関1の電子制御装置(ECU)である。ECU30は、ROM、RAM、CPU、AD変換器等を双方向バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータとされている。ECU30は機関1の燃料噴射制御、点火時期制御などの基本制御を行う他、本実施形態では運転者のアクセルペダル(図示せず)の操作に応じてスロットル弁5を駆動する際に、スロットル弁の駆動を一定時間遅延させることにより、スロットル弁開度の「先読み」を行い、このす先読みしたスロットル弁開度に基づいて位相進み逆演算法により機関の吸気量を予測する制御を行う。
【0034】
これらの制御のため、ECU30には図示しないそれぞれのセンサから機関1の回転数NE、アクセル開度(運転者のアクセルペダル操作量)ACなどが入力されている他、スロットルセンサ50から現在のスロットル弁開度に対応する信号が入力されている。また、ECU30は機関1の燃料噴射弁、点火プラグ(図示せず)に接続され、機関の燃料噴射と点火時期とを制御している他、スロットル弁5のアクチュエータ(ステッパモータ)5aに接続され、スロットル弁開度を制御している。
【0035】
次に、本実施形態の機関の燃料噴射量算出について説明する。
本実施形態においては、燃料噴射量(各燃料噴射弁の噴射時間)TAUは、各気筒の吸入空気量と機関回転数とに基づいて以下の式から算出される。
TAU=(KL/NE)×KINJ×α×FAF ……(1)
ここで、KLは、機関吸入空気量(流量)、NEは機関回転数を表す。後述するように、各気筒の吸入空気量は気筒吸気弁閉弁時に確定するため、本実施形態ではKLは気筒の吸気弁閉弁時における機関吸入空気量を使用する。通常、各気筒の燃料噴射量の算出タイミングは気筒吸気弁閉弁タイミングより早いため、TAUの算出時にはKLの実測値を使用することはできない。このため、本実施形態では後述する吸入空気量の先読み、すなわち位相進み逆演算法により求めた気筒吸気弁閉弁時の吸気量予測値が使用される。
【0036】
なお、KINJは機関空燃比を目標空燃比(例えば理論空燃比)にするための燃料量を算出するための換算定数、、αは機関の暖機状態や他の運転状態から決定される補正係数、FAFは機関排気通路に配置した空燃比センサで検出した排気空燃比(すなわち機関の燃焼空燃比)が目標空燃比になるように燃料噴射量をフィードバック制御するための補正係数である。
【0037】
次に、本実施形態の気筒吸入空気量KLの算出方法について説明する。
気筒の吸入空気量は気筒吸気弁が閉弁するときの吸気管圧力PMと気筒の充填効率KTPとにより定まる。また、機関が定常状態で運転されている場合(すなわち、機関回転数NEとスロットル弁開度TAが一定に維持されている場合)には、吸気管圧力PMと充填効率KTPとはスロットル弁開度TAと機関回転数NEとの関数となり、スロットル弁開度TAと機関回転数NEとが定まれば確定する。このため、気筒吸入空気量KLも、機関回転数NEとスロットル弁開度TAとの関数となり、吸気弁閉弁時の吸入空気量KLは吸気弁閉弁時の機関回転数NEとスロットル弁開度TAとから算出することができる。
【0038】
本実施形態では、予め実際の機関を用いて機関定常運転時に、機関回転数NEとスロットル弁開度TAとの各組合せ条件での機関吸入空気量KLを計測し、この吸入空気量KLの値をTAとNEとを用いたマップの形でECU30のROMに格納してある。機関運転中、ECU30はスロットル弁開度TAと機関回転数NEとを用いて、このマップから機関定常運転における機関吸入空気量を算出する。
【0039】
ところで、前述したように、実際に気筒内に吸入された空気量が確定するのは気筒の吸気弁が閉弁した時点である。このため、本実施形態では燃料噴射タイミング(吸気弁開弁中)における機関回転数NEとスロットル弁開度TAとを用いて吸気弁閉弁時の吸入空気量を予測しこの予測値に基づいて燃料噴射量TAUの算出操作を行う。以下の説明では、この吸気弁閉弁時の吸気量予測値をKLFWDと称する。
【0040】
以下、KLFWDの算出について説明する。
TAとNEとを用いてマップから読み出される、定常運転における吸入空気量をKLTAとすると、KLTAはスロットル弁開度TAまたは機関回転数NEが変化すれば直ちに変化するが、実際の吸入空気量KLはTA、NEが変化しても直ちに変化後の値KLTAにはならず、ある遅れ時間を持って変化する。
【0041】
図2は、TA、NE等の変化により吸入空気量のマップ値KLTAがステップ状に変化した場合の実際の吸入空気量KLの変化を説明する図である。図2に示すように、KLTAがステップ状に変化すると、KLは比較的緩やかに変化して、ある時間経過後に変化後のKLTAに到達する。このKLの挙動はKLTAの変化に対して一次遅れ応答系で近似することができる。このため、現在の吸入空気量(計算値)をKLCRTとすると、KLCRTは過去の吸入空気量と現在のKLTAとの値から一時遅れ応答モデルを用いて計算することができる。
【0042】
すなわち、KLCRTは以下の一時遅れ応答式を用いて表すことができる。
KLCRT=KLCRTi-1+(KLTA−KLCRTi-1)/N ……(2)
ここでKLCRTは現在の吸入空気量(計算値)、KLCRTi-1 は現在より時間Δt前の吸入空気量、KLTAは現在のスロットル弁開度TAと機関回転数NEとから定まる定常状態における吸入空気量(マップ値)である。
【0043】
また、Nは重み付け係数であり、一次遅れ応答の時定数Tと上記Δtとを用いて、N=T/Δtとして表される。時定数Tはスロットル弁開度TAと機関回転数NEとにより定まる値であり、実際の機関を用いて予め実験によりTAとNEとの関数として求めることができる。
【0044】
本実施形態では、機関始動時にKLCRT=KLTAの初期値を用いて上記の(2)式の計算を開始し、以後機関運転中時間Δt毎に上記(2)式の計算を繰り返すことにより、機関始動時からの逐次計算の結果として現在の吸入空気量KLCRTが算出される。なお、(2)式から明らかなように、機関定常運転(すなわちKLTAが一定の状態での運転)がある程度継続するとKLCRTの値はKLTAに一致するようになる。
【0045】
ところで、上記により算出されるKLCRTは現在の吸入空気量の値であるが、前述のように、実際に気筒に吸入される空気量を最も良く反映しているのは各気筒の吸気弁閉弁時の吸入空気量の値であるため、正確に吸入空気量KLを算出するためには吸気弁閉弁時の吸入空気量を用いて計算を行うことが好ましい。一方、吸入空気量の応答を図2に示したように一次遅れ応答系で近似して現在の吸入空気量KLCRTを算出したのであるから、仮にKLTAが変化後一定に維持されるとすれば同じ一次遅れ応答モデルを用いてさらに(2)式の逐次計算を繰り返すことにより、現在(KLCRT算出時点)より先の時点の吸入空気量を予測することが可能である。すなわち、KLCRTを算出後、同じKLTAの値を用いて(2)式の計算を1回実施すれば、現在からΔt経過後の吸入空気量が計算され、(2)式の計算を2回繰り返せば2×Δt経過後の吸入空気量が計算される。つまり、現在(KLCRT算出時点)から次にいずれかの気筒の吸気弁が閉弁するまでの時間をLとすると、算出したKLCRTの値を初期値として、現在のKLTAを用いて(2)式の計算をL/Δt回繰り返すことにより次にいずれかの気筒が閉弁するときの吸入空気量を計算することができる。
【0046】
すなわち、何れかの気筒の吸気弁閉弁時の吸入空気量KLFWDは、回転数NEとスロットル弁開度TAとが現在のものから変化しなければ(すなわち空気量計算値KLTAが一定であれば)、現在のNEとTAとを用いて(2)式の逐次計算を行うことにより予測することができる。
【0047】
ところで、上記逐次計算に使用したKLTAの値は現在のTAとNEとに基づくマップ値であるが、NEの値は短時間で大きく変化することはないため現在の回転数を用いて計算を行っても予測精度はそれほど低下しない。しかしTAの値は過渡運転時(急加速時、急減速時)などには短時間で大きく変化する場合がある。
【0048】
このため、KLFWDの予測精度を高めるためには、現在の吸入空気量KLCRTから上記逐次計算によりKLFWDを算出する場合には現在の値TAに基づいて空気量計算値KLTAを求めるのではなく吸気弁閉弁時のスロットル弁開度TAの値(将来のスロットル弁開度)に基づいてKLTAを求める必要がある。
【0049】
そこで、本実施形態では、前述した特開2002−201998号で提案された位相進み逆演算法により、吸気弁閉弁時のスロットル弁開度TAを正確に予測するようにしている。
【0050】
本実施形態では、独立したアクチュエータ5aを備え、アクセルペダルとは機械的に連結されていない電子制御スロットル弁5が用いられている。ECU30は、一定のタイミングで、アクセルペダル近傍に配置されたアクセル開度センサ(図示せず)からアクセルペダルの踏込み量を読み込み、アクセルペダル踏込み量に応じてスロットル弁目標開度を決定するとともに、アクチュエータ5aを駆動してスロットル弁5を目標開度に制御する操作を行っている。
【0051】
しかし、本実施形態ではECU30は更に、現在のアクセル開度に基づいてスロットル弁の目標開度TAGを設定後、ある遅れ時間Dだけ算出した目標開度の出力を遅延させ、遅れ時間D経過後にアクチュエータ5aに目標開度TAGを出力するスロットル弁の遅延駆動を行い、アクセルペダルの操作に対する実際のスロットル弁の動きを時間Dだけ遅らせるようにしている。
【0052】
以下、時間Dだけスロットル弁の作動を遅延させる理由について説明する。
図3(A)は、スロットル弁目標開度TAGと実際のスロットル弁の開度変化との関係を示す図である。スロットル弁目標開度TAGは、運転者のアクセルペダル踏込み量(アクセル開度)ACが急激に変化した場合にも、それに追従してアクセル開度変化と略同時に変化するように設定される。しかし、実際のスロットル弁開度はアクチュエータ5aの作動遅れや制御遅れなどにより、目標開度TAGに対して一定の特性の遅れを持って変化する。
【0053】
すなわち、図3(A)実線に示すように目標開度TAG(またはアクセル開度AC)が急激に変化した場合にも、実際のスロットル弁開度TAは点線に示すようにTAGの変化に対してほぼ一次遅れで近似できる変化をする。スロットル弁の作動特性は既知であるため、例えば、図3(A)のように時点t0で目標開度がステップ状に変化してその後変化がないときには現在から時間L経過後の実際のスロットル弁開度は式(2)で示したと同様な一次遅れ近似により、例えば以下の逐次計算を行うことにより正確に予測できる。
【0054】
TA=TAi-1+(TAG−TAi-1)/N ……(3)
ここでTAは現在のスロットル弁開度、TAi-1は現在より時間Δt前のスロットル弁開度、TAGは現在のアクセル開度から定まるスロットル弁開度目標値である。また、Nは(2)式の場合と同様な重み付け係数であり、電子スロットル装置の作動特性により定まる一次遅れ応答の時定数TとΔtとを用いて、N=T/Δtとして表される。
【0055】
上記(3)式を用いることにより、仮に目標開度が時点t0においてステップ状に変化してその後一定に維持されているのであれば、所定時間L経過後のスロットル弁開度TAは正確に求めることができる。
しかし、目標開度TAGの変化は実際にはステップ状ではなく、時点t0の後も目標開度TAGは変化を続ける。このため、時点t0における目標開度TAGに基づいて時間L経過後のスロットル弁開度を予測したのでは、時間L経過までの目標開度TAGの変化が全く予測に反映されず、特に目標開度TAが急激に変化するような場合にはスロットル弁開度の予測精度が大幅に低下する問題が生じる。
【0056】
そこで、本実施形態ではスロットル弁の作動を故意に時間Dだけ遅らせることにより、スロットル弁開度の予測精度を向上させている。図3(B)は図3(A)に対して、スロットル弁の作動を時間Dだけ遅らせた場合を示す図である。今アクセル開度ACが時点tiで変化を開始したとすると、アクセル開度ACの変化に対応した目標開度TAGがスロットル弁のアクチュエータに入力され、スロットル弁が作動を開始するのは時点tiから時間Dが経過した時点(図3(B)t0)になる。この時点t0では、時点ti以後時点t0までの目標開度TAGはすでに設定されており既知となっている。このことは、すなわち、時点t0を基準にして考えると、時点t0から時間Dだけ将来まで(図3(B)、時点t1まで)の目標開度TAGの変化が時点t0において判明していることになる。このため、時点t0から時点t1までの間のスロットル弁開度は、スロットル弁の作動特性と目標開度TAGの変化に基づいて正確に予測可能となる。
【0057】
このため、ある気筒の閉弁時期が時点t0から時間D内にある場合(すなわち、図3(B)の時点t1 より前の場合)には気筒閉弁時期におけるスロットル弁開度は略完全な精度で予測することができる。また、気筒の閉弁時期が時点t1より後になる場合には、時点t1を出発点として前述のKLCRTで用いたのと同様の逐次計算を行うことにより、吸気弁閉弁時のスロットル弁開度を極めて高精度に予測することが可能となる。
【0058】
なお、遅れ時間は運転者がスロットル弁の作動遅れを体感しないような短い時間(例えば20〜100ミリ秒程度)に設定されるため、スロットル弁の作動を遅延させることにより運転上の問題は生じない。
本実施形態では、上記により次の気筒の吸気弁閉弁時までのスロットル弁開度TA変化を正確に予測し、この予測値と現在の回転数NEとからマップを用いて吸入空気量の計算値KLTAを求める。そして、更にこのKLTAとKCRTとを用いて気筒閉弁時まで前述の(2)式の逐次計算を行うことにより、吸気弁閉弁時の吸入空気量KLFWDを予測している。
【0059】
上述のように、本実施形態では各時点におけるスロットル弁目標開度TAGを常に先読みすることにより、現在から所定時間経過後の(すなわちいずれかの気筒の吸気弁閉弁時の)スロットル弁開度TAを算出し、このスロットル弁開度TAに基づいて機関吸入空気量を算出している。
【0060】
しかし、ここで求められる吸気弁閉弁時のスロットル弁開度TAは機関始動時からの逐次計算により求められた値であり誤差を含んでいる可能性がある。そこで、以下に説明する実施形態ではスロットル弁5近傍に設けたスロットルセンサ50により検出した現在の実際のスロットル弁開度TASを用いてスロットル弁開度予測値TAEST(以下、予測値であることを明示するため、吸気弁閉弁時のスロットル弁開度予測値をTAESTと呼ぶ)を補正することにより計算誤差を排除している。
【0061】
1.第1の実施形態
本実施形態では、機関運転中に算出されたスロットル弁開度予測値TAESTと、スロットルセンサ50で検出した現在の実スロットル弁開度TASとを比較し、両者の相違(差の絶対値)|TAEST−TAS|が予め定めた判定値βより小さい場合には、TAESTの値をTASに変更する補正を行う。判定値βは、比較的小さい正の一定値とされる。
【0062】
ここで、予測値TAESTは計算により求めた、現在から所定時間将来の吸気弁閉弁時のスロットル弁開度である。また、検出値TASはスロットルセンサ50で検出した現在のスロットル弁開度であり、TAESTとは異なる時点におけるスロットル弁開度を表す。このため、本来は予測値TAESTと現在の検出値TASとの間に大きな相違があったとしても異常ではない。
【0063】
しかし、逆に将来のスロットル弁開度予測値TAESTと現在のスロットル弁開度検出値TASとの間に微少な差しかない場合には、現在機関が定常運転されていてスロットル弁開度が所定時間後まで一定に保持されていると考えられる。
すなわち、この場合にはTAESTとTASとの差はTAESTの計算誤差によるものと考えてもよい。そこで、本実施形態ではこの場合には計算値の代わりに現在のスロットル弁開度検出値を吸気弁閉弁時の予測スロットル弁開度TAESTとして用いて、吸気弁閉弁時の吸入空気量予測値を算出する。
【0064】
ここで、判定値βの値はスロットル弁開度変化による吸入空気量変化が無視できる程度に小さいスロットル弁の開度変化に相当する値である。
例えば、予測値TAESTは計算値であるため計算上最下位ビット(LSB)の処理による誤差が含まれる。また、予測値TAESTは前述の(3)式を用いた逐次計算により求められるため、これらの誤差の累積によりTAESTの誤差が増大する可能性がある。しかし、本実施形態では機関の定常運転を利用することにより、現在におけるスロットル弁開度の検出値に基づいて計算により求められたスロットル弁開度予測値を補正することが可能となるため、誤差の累積によるスロットル弁開度予測値の真値からのずれが生じることが防止される。
【0065】
図4は、本実施形態の上記補正操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU30により一定時間間隔で実行される。
図4において、操作がスタートすると、ステップ401ではスロットルセンサ50から現在の実際のスロットル弁開度TASが、ステップ403では吸気弁閉弁時のスロットル弁開度予測値TAESTが、それぞれ読み込まれる。
【0066】
そして、ステップ405ではTASとTAESTとの偏差が所定の判定値βより小さいか否かが判定される。
ステップ405で|TAEST−TAS|<βであった場合には、偏差は微少であり機関が定常運転されており現在から次の吸気弁閉弁時までにスロットル弁開度の変化がないと考えられる。このため、この場合にはステップ407に進みTAESTの値をTASに置換する補正が行われる。これにより、吸気弁閉弁時の予測吸気量の算出と次回以降のスロットル弁開度予測値の逐次計算には補正後のTAESTの値(=TAS)が使用されることになるが、前述したようにβはTAESTとTASとを置換しても吸気量にほとんど差が生じない小さな値に設定されているため、制御上問題は生じない。
【0067】
一方、ステップ405で|TAEST−TAS|≧βであった場合には、現在機関が過渡状態で運転されており、現在から吸気弁閉弁時までのスロットル弁開度変化が大きいため、補正は行わずTAESTの値はそのままに維持される。
上述のように、図4の補正操作を行うことにより機関が定常状態で運転される毎にスロットル弁開度の予測値の含む誤差が修正され、正確にスロットル弁開度の予測を行うことが可能となる。
【0068】
(2)第2の実施形態
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態においても、第2の実施形態と同様に機関の定常運転を利用して予測値の補正を行う。第2の実施形態では予測値と検出値との間の偏差が判定値以下である場合には、予測値TAESTの値を検出値TASに置きかえることにより補正を行っていた。前述したように、第2の実施形態における判定値は、TAESTをTASに置きかえても吸入空気量にほとんど差が生じない値に設定されている。しかし、その場合であってもスロットル弁開度の予測値はTASESTからTASに急激に変化することになり、わずかながら吸入空気量にステップ状の急激な変化が生じる。
【0069】
また、判定値βは微少な値に設定されているため、例えば計算により求められるTAESTの値の最下位ビット(LSB)の処理、或いはスロットルセンサ50で検出したTASの値をAD変換する際の解像度などにより、TAESTとTASとの間にβより小さい偏差が生じる場合がある。このような場合に、一律にTAESTの値をTASに置き換えていると、吸入空気量予測値のステップ状変化が繰り返されることとなり好ましくない。
【0070】
そこで、本実施形態ではTAESTとTASとの差が前述の判定値βより小さく、第2の判定値より大きい場合には、補正後のTAESTの値が補正前のTAESTとTASとの間の値になるようにTAESTの値を補正するようにしている。これにより、補正を実施する場合にもスロットル弁開度の予測値TAESTの変化を小さく抑えつつ計算値TAESTに含まれる誤差を補正することが可能となる。
【0071】
図5は、本実施形態の補正操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図5の操作では、図4の操作と同様にスロットルセンサ50で検出した現在の実際のスロットル弁開度TASと、吸気弁閉弁時のスロットル弁開度予測値TAESTとが、それぞれ読み込まれ(ステップ501、503)、ステップ505では、TAESTとTASとの偏差の絶対値|TAEST−TAS|が前述の判定値βより小さいか否かが判定される。
【0072】
ステップ505で|TAEST−TAS|<βであった場合には、現在機関が定常運転されており、スロットル弁開度が一定に維持されていると考えられるためステップ507と509で予測値TAESTの補正を行う。
本実施形態では、ステップ507では、TAEST−TASの値に応じて補正量δが予め定めた関係に基づいて設定され、ステップ509ではTAESTの値がTAS+δに修正される点が図4の実施形態と相違している。
【0073】
図6は、補正量δとTAEST−TAS=φとの関係を示す図である。
図6に示すように、δの値はφ=±βのときにそれぞれ±β、φ=±γのときに0となり、φ=γ〜β、または−γ〜−βの範囲では直線的に変化し|φ|≦γの領域ではδは0になる。γはβより小さい正の値の第2の判定値である。
図7は、図6の補正量δを使用して補正した場合の補正後のTAESTと補正前のTAESTとの値を示す図であり、横軸は補正前のTAESTを、縦軸は補正後のTAEST(=TAS+δ)の値を、それぞれ示している。
【0074】
図7に示すように、補正前TAEST(横軸)の値がTAEST=TAS±βの時にはTAESTは補正されず(TAEST=TAS+β)、補正前後で同一の値に保持されるが、TAESTの値が、γ<|TAEST−TAS|<βの範囲では、|TAEST−TAS|の値がγに近づくほど、補正後のTAESTの値は補正前のTAESTの値よりTASの値に近づくようになり、TAS−γ≦TAEST≦TAS+γの範囲では、TAESTの値はTASに一致するようになる。
【0075】
図7に示すように、本実施形態では|TAEST−TAS|の値が比較的大きいβ近傍である場合にも補正前後のTAESTの値の変化は小さくなり、補正による吸入空気量予測値の変化が極めて緩やかになる。なお、|TAEST−TAS|≦γの領域では、TAESTの値は補正前後で最大γだけ変化することになるが、第2の判定値γはβより更に小さい値であるため補正による吸入空気量予測値の変化は極めて小さくなる。
【0076】
なお、本実施形態では上記のように|TAEST−TAS|≦γではTAESTを一挙にTASに変化させる補正を行っているが、図6、図7に点線で示したようにγの値をγ≒0に設定して偏差がほぼゼロになるまで常に補正後のTAESTの値が補正前のTAESTとTASとの間になるようにすることも可能である。
【0077】
上述のように、本実施形態によれば、スロットル弁開度の予測値の含む誤差を修正する際に、スロットル弁開度予測値の急激な変化が生じることを防止しながら誤差を修正することが可能となる。
【0078】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、現在から所定時間将来のスロットル弁開度を計算により求める場合に、スロットル弁開度予測値に含まれる誤差を修正し正確に所定時間経過後のスロットル弁開度を予測することを可能とする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態の吸入空気量予測方法を説明する図である。
【図3】本実施形態の吸入空気量予測方法を説明する図である。
【図4】スロットル弁開度予測値の補正方法の一例を説明するフローチャートである。
【図5】スロットル弁開度開度予測値の補正方法の別の例を説明するフローチャートである。
【図6】図5で用いる補正量を説明する図である。
【図7】スロットル弁開度予測値の、図5の方法による補正前後の変化を示す図である。
【符号の説明】
1…内燃機関本体
3…吸気通路
5…スロットル弁
5a…アクチュエータ
30…電子制御ユニット(ECU)
50…スロットルセンサ
Claims (2)
- 現在のアクセルペダル操作量に基づいて、内燃機関のスロットル弁目標開度を設定し、実際のスロットル弁開度が前記目標開度になるように、予め定めた遅延時間経過後にスロットル弁の駆動を開始することにより、現在から所定時間経過後の将来におけるスロットル弁開度を予測するとともに、該予測スロットル弁開度に基づいて前記所定時間経過後の将来における機関吸入空気量予測値を算出する内燃機関の制御装置において、
現在の実際のスロットル弁開度を検出するスロットル開度検出手段と、
前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値と前記スロットル弁開度検出手段で検出した現在のスロットル弁開度検出値との相違が予め定めた判定値より小さい場合に、前記スロットル弁開度検出手段で検出した現在のスロットル弁開度検出値に基づいて前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値を補正する補正手段と、を備え、
前記補正手段は、前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値と現在のスロットル弁開度検出値との相違が前記判定値より小さい場合には、所定時間経過後のスロットル弁開度予測値として現在のスロットル弁開度検出値を用いる、内燃機関の制御装置。 - 現在のアクセルペダル操作量に基づいて、内燃機関のスロットル弁目標開度を設定し、実際のスロットル弁開度が前記目標開度になるように、予め定めた遅延時間経過後にスロットル弁の駆動を開始することにより、現在から所定時間経過後の将来におけるスロットル弁開度を予測するとともに、該予測スロットル弁開度に基づいて前記所定時間経過後の将来における機関吸入空気量予測値を算出する内燃機関の制御装置において、
現在の実際のスロットル弁開度を検出するスロットル開度検出手段と、
前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値と前記スロットル弁開度検出手段で検出した現在のスロットル弁開度検出値との相違が予め定めた判定値より小さい場合に、前記スロットル弁開度検出手段で検出した現在のスロットル弁開度検出値に基づいて前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値を補正する補正手段と、を備え、
前記補正手段は、前記所定時間経過後のスロットル弁開度予測値と現在のスロットル弁開度検出値との相違が前記判定値より小さい場合には、補正後のスロットル弁開度予測値が、補正前のスロットル弁開度予測値と現在のスロットル弁開度検出値との間の値になるようにスロットル弁開度予測値を補正する、内燃機関の制御装置。
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