JP4051755B2 - 跳ね上げ式門扉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車庫等の出入口に用いて好適な跳ね上げ式門扉に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
この種の門扉としては、特開平7−279564号公報等に記載のような、支柱と、一端で支柱に回動自在に支持されたアームと、アームの他端に取り付けられた扉とを具備したものが知られている。
【0003】
上記公報記載の類いの跳ね上げ式門扉において、手動開扉に代えて電動モータを用いて自動開閉とする場合には、扉と地面との間に操作者等の人が挟まれたりした際に、電動モータの作動を直ちに停止させ、危険を回避する手段を設けることが好ましい。
【0004】
危険回避手段には、通常、扉と地面との間の異物を検出する光電検出器のような検出器が設けられるが、光電検出器は、その発光面及び受光面等に埃、泥等が付着すると、その本来の機能を達成することが困難となり、誤検出が生じたりし、必ずしも信頼性に優れたものであるといえない。特に、跳ね上げ式門扉は、屋外に晒されて配されるために、その虞は特に大きいのであって、これを避けるには、定期的な保守を必要とし、使い勝手が極めて悪い。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、扉と地面との間に操作者等の人が挟まれても、重大な危険に至ることなしに、扉の開閉を停止することができ、安全性に優れフェールセーフな跳ね上げ式門扉を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の跳ね上げ式門扉は、支柱と、この支柱に対して一端を中心として垂直面内で回動自在に配されたアーム手段と、このアーム手段の他端に取り付けられた扉と、アーム手段の回動を行うアーム回動手段とを具備しており、アーム回動手段が、電動モータと、この電動モータの出力回転軸の回転をアーム手段に伝達する伝達手段とを具備しており、その過負荷によりアーム手段に対する回動を停止するようになっている。
【0007】
本発明においては、伝達手段は、電動モータの出力回転軸に連結された回転軸と、この回転軸にその回転と共に回転するように装着されたウォームと、このウォームに噛み合っており、アーム手段に連結されたウォームホイールとを具備していてもよい。ここで、ウォームが、回転軸に、その軸方向に移動自在となるように、弾性的にフローティング支持されて装着されており、過負荷において、回転軸に対して弾性的なフローティング支持力に抗してその軸方向に移動するようになっていても、これに代えて又はこれと共に、回転軸が、電動モータの出力回転軸に、その軸方向に移動自在となるように、弾性的にフローティング支持されて連結されており、伝達手段が、過負荷において、ウォームと共に回転軸を弾性的なフローティング支持力に抗して軸方向に移動させるように、回転軸とウォームとを係合させる係合手段を具備していてもよく、後者の場合、伝達手段が、電動モータの出力回転軸と回転軸とを連結する連結手段を具備しており、この連結手段が、回転軸の一定以上の軸方向移動において、電動モータの出力回転軸の回転を回転軸に伝達しないようになっていてもよい。
【0008】
本発明ではまた、アーム回動手段は、ウォームの一定以上の軸方向移動を検出する検出手段と、この検出手段からの検出信号により電動モータの作動を停止させる制御手段とを具備していてもよい。
【0009】
本発明の跳ね上げ式門扉は、上記の門扉において更に、扉及びアーム手段の自重に抗して扉の跳ね上げ方向に弾性力をアーム手段に付与する弾性力付与手段と、アーム手段の回動に抗する粘性剪断抵抗力をアーム手段に付与する粘性剪断抵抗力付与手段とを具備している。ここで、粘性剪断抵抗力付与手段は、好ましい例では、アーム手段の回動と共に回転するようにアーム手段に連結された一方の隙間形成体と、この一方の隙間形成体との間で隙間を形成すると共に、当該一方の隙間形成体に対して相対的に回転自在に配されて、支柱に支持された他方の隙間形成体と、隙間に充填された粘性体とを具備しており、ここで、隙間形成体の相対回転中心とアーム手段の回動中心とが同心上に配されているとよい。
いる。
【0010】
弾性力付与手段としては、ガススプリング及びコイルスばね手段のうちの少なくとも一方を具備して構成してもよく、弾性力付与手段にコイルばね手段を用いる場合には、当該コイルばね手段を同心に配された一対のコイルばねから構成して、この一対のコイルばねの弾性係数を互いに異ならせると、大部分の跳ね上げ力を一方のコイルばねに担当させ、他方のコイルばねを微調整用として用いることができ、好ましい。
【0011】
本発明では、他方の隙間形成体は、支柱に対して回転しないように、当該支柱に固着して支持されていてもよいが、これに代えて、一方向クラッチを介して支柱に支持されていてもよい。この一方向クラッチは、アーム手段の一方の方向の回動において、他方の隙間形成体の支柱に対する回転を阻止し、アーム手段の他方の方向の回動において、他方の隙間形成体の支柱に対する回転を許容するようになっている。ここで、好ましい例では、アーム手段の一方の方向の回動が閉扉動作における回動であるが、本発明は、これに限定されないのである。
【0012】
粘性剪断抵抗力付与手段を具備する場合、本発明では伝達手段は、好ましい例では、電動モータの出力回転軸の回転をアーム手段に粘性剪断抵抗力付与手段の隙間形成体を介して伝達するようになっている。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に何等限定されないのである。
【0014】
【実施例】
図1から図8において、本例の跳ね上げ式門扉1は、支柱2及び3と、一端4及び5で支柱2及び3のそれぞれに垂直面内で回動自在、すなわちR方向に回動自在に支持された一対のアーム手段6及び7と、アーム手段6及び7のそれぞれの他端8及び9に取り付けられた扉10と、扉10及びアーム手段6及び7の自重に抗して扉10の跳ね上げ方向に弾性力をアーム手段6及び7のそれぞれに付与する弾性力付与手段11及び12と、アーム手段6及び7の回動を行うアーム回動手段13と、アーム手段6及び7の回動に抗する粘性剪断抵抗力をアーム手段6及び7のそれぞれに付与する粘性剪断抵抗力付与手段14及び15とを具備している。
【0015】
本例では、支柱2側に弾性力付与手段11、アーム回動手段13及び粘性剪断抵抗力付与手段14が、支柱3側に弾性力付与手段12及び粘性剪断抵抗力付与手段15がそれぞれ設けられているが、この逆であってもよく、また、支柱3側にも、アーム回動手段13を設けて、両アーム回動手段を同期して作動させるようにしてもよく、更には、支柱2及び3側のうちいずれか一方にのみに弾性力付与手段及び粘性剪断抵抗力付与手段を設けて構成してもよく、この場合、他方にのみアーム回動手段を設けて構成してもよく、また、支柱2及び3側のうちいずれか一方に弾性力付与手段を、他方に、粘性剪断抵抗力付与手段を設けて構成してもよい。以下、弾性力付与手段、粘性剪断抵抗力付与手段については、支柱2側について説明し、支柱3側は、同様に構成されているので説明を省略する。
【0016】
支柱2は本例では中空体からなり、この中空体の中に、弾性力付与手段11、粘性剪断抵抗力付与手段14及び後述する伝達手段70が収容されている。支柱2には、ブラケット17、18、19及び20が取り付けられている。
【0017】
アーム手段6は、断面矩形状のアーム部材21を具備しており、アーム部材21の一端22(アーム手段6の一端4でもある)には孔23が形成されている。本例では、アーム手段6は、一本のみのアーム部材21を具備して構成されているが、これに代えて、特開平7−279564号公報に記載のような複数本のアーム部材を具備して構成されてもよい。なお、扉10とアーム部材21との間には、補強部材24が取り付けられている。
【0018】
本例の扉10は、目隠し用の多数の横格子25を有した扉本体26と、扉本体26の下縁に取り付けられた脚27とを具備しており、閉扉の際には脚27が地面に当接するようになっている。なお、本発明の扉は、横格子25を有したものに限定されず、縦格子を取り付けたもの等その他のものであってもよい。
【0019】
弾性力付与手段11は、カム板31と、カム板31にピン32を介してピストンロッド33の一端34が回動自在に連結され、シリンダ35の下端36が、ブラケット17にピン38を介して回動自在に連結されたガススプリング39と、カム板31にピン40を介して一端41が連結され、中間42がカム板31のカム縁43に当接して曲げ案内され、他端44にピン45を介して回動自在に連結された連結具46を有したチェーン47と、それぞれの一端51及び52が連結具46の孔53に引っかけられ、それぞれの他端54及び55が、ブラケット18に取り付けられた連結具57の孔58に引っかけられた一対のコイルばね59及び60からなるコイルばね手段61とを具備しており、同心に配された一対のコイルばね59及び60は、互いにその弾性係数が異なるものからなっている。カム縁43は、後述する隙間形成体131の回転中心63を中心とした円弧縁64と、円弧縁64に連続した直線縁65とを具備している。
【0020】
連結具57は、ねじ部66を有しており、ねじ部66にばね力調整用のナット67が螺合されて、ブラケット18に取り付けられており、ナット67のねじ部66への螺合量を変えることにより、コイルばね59及び60によって生起される弾性力を調整することができる。また、本例では、コイルばね手段61が一対のコイルばね59及び60を具備しているため、大部分の跳ね上げ力を一方のコイルばね59に担当させ、他方のコイルばね60を微調整用として用いることができる。ガススプリング39並びにコイルばね59及び60は、それぞれの弾性力によって、図2において時計回りのR方向にカム板31を回転させるようになっている。
【0021】
アーム回動手段13は、支柱2に取り付けられた回動力発生源としての可逆電動モータ68と、電動モータ68の出力回転軸69の回転をアーム手段6に伝達する伝達手段70と、扉10の完全開扉直前及び完全閉扉直前を夫々検出する検出手段71と、扉10の開扉において、アーム手段6のR方向の一定量以上の回動を阻止する回動阻止手段72と、アーム回動手段13の起動、停止を行わせる起動、停止手段73と、伝達手段70のウォーム74の一定以上の軸方向移動を検出する検出手段75と、検出手段71及び75からの検出信号により電動モータ68の作動を停止させると共に、起動、停止手段73からの信号により電動モータ68の作動を起動、停止させる制御手段76とを具備している。
【0022】
伝達手段70は、電動モータ68の出力回転軸69に連結された回転軸78と、回転軸78にその回転と共に回転すると共に、その軸方向に移動自在となるようにスプライン連結して装着されたウォーム74と、ウォーム74に噛み合っており、粘性剪断抵抗力付与手段14を介してアーム手段6に連結されたウォームホイール80と、電動モータ68の出力回転軸69と回転軸78とを連結する連結手段81と、アーム回動手段13の過負荷においてウォーム74と共に回転軸78を弾性的なフローティング支持力に抗して軸方向に移動させるように、回転軸78とウォーム74とを係合させる係合手段82とを具備している。
【0023】
連結手段81は、筒状部材85と、筒状部材85の孔86の一端側に挿入された出力回転軸69を回転しないように固着する止めピン87とを具備しており、筒状部材85の孔86の他端側は、平端面88が形成された回転伝達用の孔部89と、円形に形成された回転非伝達用の孔部90とからなり、この他端側には、平端面91が形成された回転軸78の一端がその軸方向に移動自在に挿入されている。
【0024】
連結手段81は、平端面91が平端面88に当接するように回転軸78の一端が孔部89まで挿入されている通常の場合には、出力回転軸69が回転されると、それによりそのまま回転軸78を回転させて、電動モータ68の出力回転軸69の回転を回転軸78に伝達する一方、回転軸78の一定以上の軸方向移動により平端面91が平端面88に当接しないように回転軸78の一端が孔部90までしか挿入されなくなる場合には、出力回転軸69が回転されると、回転軸78に対して空回りし、電動モータ68の出力回転軸69の回転を回転軸78に伝達しないようになっている。
【0025】
回転軸78は、ブラケット19及び20にブッシュ95及び96を介して回転自在に且つその軸方向に移動自在となるように支持されていると共に、筒状部材85の孔86の段部と回転軸78の上端面との間及びブラケット20の有低孔97の底面と回転軸78の下端面との間のそれぞれに装着されたコイルばね98及び99によりその軸方向に弾性的に付勢されて、フローティング支持されている。而して、回転軸78は、電動モータ68の出力回転軸69に、その軸方向に移動自在となるように、弾性的にフローティング支持されて連結手段81を介して連結されている。
【0026】
回転軸78にスプライン連結して装着されウォーム74は、回転軸78に一体形成された上方鍔101とウォーム74の上端面との間及び回転軸78に一体形成された下方鍔102とウォーム74の下端面との間のそれぞれに装着されたコイルばね103及び104により軸方向に弾性的に付勢されて、フローティング支持されている。而して、ウォーム74は、回転軸78に、その軸方向に移動自在となるように、弾性的にフローティング支持されて装着されている。
【0027】
コイルばね103及び104の弾性力は、コイルばね98及び99のそれよりも小さく、コイルばね103及び104が一定量伸縮してからコイルばね98及び99が伸縮するようになっている。
【0028】
ウォームホイール80は、粘性剪断抵抗力付与手段14の隙間形成体131に固着されており、その回転で当該隙間形成体131を回転中心63を中心として回転させるようになっている。
【0029】
係合手段82は、回転軸78に一体形成された鍔105からなり、ウォーム74が回転軸78に対して軸方向において下方に一定量以上移動されると、当該ウォーム74の下端面に当接して、ウォーム74と共に回転軸78を同じく軸方向において下方に移動させるようになっている。
【0030】
伝達手段70は、電動モータ68の出力回転軸69の回転による連結手段81を介する回転軸78の回転で、ウォーム74を回転させて、ウォーム74の回転で、ウォームホイール80を回転させて、これにより隙間形成体を介して電動モータ68の出力回転軸69の回転をアーム手段6のアーム部材21に伝達する。したがって、電動モータ68の作動により、アーム部材21がR方向に回動され、跳ね上げ式門扉1は、開閉扉されるようになっている。
【0031】
検出手段71は、ウォームホイール80に固着された突起111と、完全閉扉直前、例えば、閉扉動作においてアーム部材21の回動角が完全閉扉手前となる位置において突起111を検出するように、支柱2に取り付けられた検出器としてのリミットスイッチ112と、扉10の完全開扉直前、例えば、開扉動作においてアーム部材21の回動角が完全開扉手前となる位置において突起111を検出するように、支柱2に取り付けられた検出器としてのリミットスイッチ113とを具備している。リミットスイッチ112及び113の夫々は、制御手段76に電気的に接続されている。
【0032】
検出手段71は、リミットスイッチ112及び113の夫々の突起111の検出で、検出信号を制御手段76に送出し、制御手段76は、これにより電動モータ68への電力の供給を停止する。
【0033】
回動阻止手段72は、カム板31に一体的に形成された折り曲げ突起115と、扉10の開扉動作において突起115に当接して、カム板31のそれ以上の回転を阻止し、これにより同じくアーム手段6のそれ以上の回動を阻止するストッパ116とを具備しており、ストッパ116は、支柱2に取り付けられている。
【0034】
回動阻止手段72は、突起115のストッパ116への当接により、アーム手段6が図2において時計周りのR方向にそれ以上回動しないようにする。
【0035】
起動、停止手段73は、それぞれ支柱2に手動操作可能に取り付けられた開扉押しボタンスイッチ121、閉扉押しボタンスイッチ122及び停止スイッチ123を具備しており、スイッチ121、122及び123の夫々は、制御手段76に電気的に接続されており、スイッチ121を押下することにより、扉10を開放させるように、電動モータ68を作動させることができ、スイッチ122を押下することにより、扉10を閉鎖させるように、電動モータ68を作動させることができ、電動モータ68の作動中、スイッチ123を押下することにより、電動モータ68の作動を停止させることができるようになっている。
【0036】
検出手段75は、ウォーム74に近接して支柱2に取り付けられた検出器としての一対のリミットスイッチ125及び126を具備しており、リミットスイッチ125は、ウォーム74の軸方向において上方の一定以上の移動を検出し、リミットスイッチ126は、ウォーム74の軸方向において下方の一定以上の移動を検出する。リミットスイッチ125及び126の夫々は、制御手段76に電気的に接続されており、リミットスイッチ125又は126から検出信号が発せられると、制御手段76は、電動モータ68の作動を停止するように、当該電動モータ68への電力の供給を停止する。
【0037】
以上のアーム回動手段13は、扉10の完全閉扉位置又は途中開扉位置で開扉押しボタンスイッチ121が押下されることにより、電動モータ68を作動させて伝達手段70を介してアーム部材21を図2において時計周りのR方向に回転させ、リミットスイッチ113からの突出部111の検出信号又は停止スイッチ123からの押下信号により電動モータ68を非作動にさせ、扉10の完全開扉位置又は途中開扉位置で閉扉押しボタンスイッチ122が押下されることにより、電動モータ68を作動させて伝達手段70を介してアーム部材21を図2において反時計周りのR方向に回転させ、リミットスイッチ112からの突出部111の検出信号又は停止スイッチ123からの押下信号により電動モータ68を非作動にさせる。
【0038】
また、アーム回動手段13では、アーム部材21を図2において反時計周りのR方向の回転させている際に、扉10と地面との間に人が挟まってアーム部材21の回転が困難となり、当該アーム部材21に対する回転に過負荷が加わって、ウォームホイール80の回転が困難となると、ウォームホイール80に噛み合うウォーム7がコイルばね104の弾性力に抗して回転軸78に対してその軸方向の下方に移動して、リミットスイッチ126によりその移動が検出され、リミットスイッチ126から検出信号が送出されて、これにより電動モータ68への電力の供給が停止されるようになっている。このようにアーム回動手段13は、その過負荷によりアーム手段6に対する回動を停止するようになっている。
【0039】
更に、アーム回動手段13では、アーム部材21の図2において反時計周りのR方向の回転させている際に、電気系統の故障などの何らかの原因により、リミットスイッチ126からの検出信号でも電動モータ68への電力の供給が停止されない場合には、ウォーム74がコイルばね104の弾性力に抗して更に下方に移動して、その下端面が鍔105に当接し、この結果、ウォーム74と共に回転軸78もコイルばね99の弾性力に抗してその軸方向の下方に移動される。このように回転軸78が下方に移動されると、平坦面91の平坦面88への当接が解除されて、連結手段81の筒状部材85が回転軸78に対して空回りし、電動モータ68の出力回転軸69の回転が回転軸78に伝達されなくなる。こうしてアーム回動手段13では、過負荷において、回転軸78を、その弾性的なフローティング支持力に抗してその軸方向に移動するようになっている。
【0040】
なお、アーム回動手段13では、アーム部材21を図2において時計周りのR方向に回転させている際にも、何らかの原因でアーム部材21の回転が困難となると、ウォームホイール80に噛み合うウォーム7がコイルばね103の弾性力に抗して回転軸78に対してその軸方向の上方に移動して、リミットスイッチ125によりその移動が検出され、リミットスイッチ125から検出信号が送出されて、これにより電動モータ68への電力の供給が停止されるようになっている。
【0041】
粘性剪断抵抗力付与手段14は、アーム部材21の一端22に固着された一方の隙間形成体131と、隙間形成体131との間で円筒状の隙間132を形成すると共に、隙間形成体131に対して相対的にR方向に回転自在に配されて、支柱2に支持された他方の隙間形成体133と、隙間132に充填された粘性体134と、一方向クラッチ135とを具備しており、隙間形成体131及び133の相対回転中心63とアーム手段6の回動中心63とは同心上に配されている。
【0042】
隙間形成体131は、環状のフランジ部141及び円筒部142を一体的に有した一方の半割ハウジング143と、環状のフランジ部144、円筒部145及び軸部146を一体的に有した他方の半割ハウジング147とを具備しており、半割ハウジング143と147とは、フランジ部141と144とで突き合わされて、フランジ部141と144とにおいてリベットなどにより互いに固着されており、隙間形成体131は、円筒部145においてブッシュ148を介して支柱2にR方向に回転自在に支持されており、軸部146がアーム部材21の一端22の孔23に嵌合されて、これによりアーム手段6は、一端4で支柱2にR方向に回転自在に支持されている。
【0043】
隙間形成体131において、そのフランジ部144には、カム板31がボルトなどにより固着されており、その円筒部142には、ウォームホイール80が固着されている。本例では、ウォームホイール80が隙間形成体131の円筒部142に固着されている結果、伝達手段70は、電動モータ68の出力回転軸69の回転をアーム手段6に粘性剪断抵抗力付与手段14の隙間形成体131を介して伝達するようになっている。
【0044】
隙間形成体133は、円柱状の本体151と、本体151の両端面に一体的に形成された軸部152及び153とを具備しており、一方の軸部152において軸受154を介して円筒部145にR方向に回転自在に支持されており、他方の軸部153において一方向クラッチ135を介して支柱2に支持されている。
【0045】
粘性体134が充填された隙間132は、円筒部142及び円筒部145の夫々の内周面と本体151の外周面との間に形成されている。半割ハウジング143と147との間及び隙間形成体131と133との間の夫々には、粘性体134の漏出を阻止するシール156が嵌装されている。
【0046】
粘性剪断抵抗力付与手段14は、隙間形成体131に対する隙間形成体133のR方向の回転により、粘性体134に粘性剪断抵抗力を発生させて、この発生した粘性剪断抵抗力に基づいて、アーム回転手段13によるアーム手段6の回動に粘性剪断抵抗力を付与する。
【0047】
一方向クラッチ135は、アーム手段6の一方の方向、本例では閉扉動作におけるR方向の回動において、隙間形成体133の支柱2に対する当該R方向の回転を阻止し、アーム手段6の他方の方向、本例では開扉動作におけるR方向の回動において、隙間形成体133の支柱2に対する当該R方向の回転を許容するようになっている。
【0048】
一方向クラッチ135により、閉扉動作において隙間形成体133に対して隙間形成体131が相対的にR方向に回転される結果、粘性体134が剪断されて、その回転に抗する粘性剪断抵抗力が発生する一方、開扉動作において隙間形成体133も隙間形成体131と共にR方向に回転される結果、粘性体134の剪断が生じなくなり、その回転に抗する粘性剪断抵抗力が生じなくなる。
【0049】
以上のように形成された跳ね上げ式門扉1では、扉10の完全閉鎖の状態で、スイッチ121が押下されると、電動モータ68が作動されて、その出力回転軸69の回転で、ウォーム74、ウォームホイール80及び粘性剪断抵抗力付与手段14を介してアーム部材21が回動される。アーム部材21の回動で扉10が持ち上げられると共にカム板31も同様に回転される。この回転において、コイルばね59及び60の弾性引っ張り力及びガススプリング39の空気弾性伸張力により、扉10等の自重が適宜打ち消されて、開扉が困難なく行えるようになっており、したがって、電動モータ68は、それほど大きな出力を有したものを用いなくてよく、小型の小出力のものでもよいことになる。
【0050】
扉10が更に持ち上げられて、突起111がリミットスイッチ113により検出されると、リミットスイッチ113からの検出結果に基づいて、電動モータ68の作動が停止されて、出力回転軸69の回転が停止され、これにより扉10は全開状態に維持される。
【0051】
扉10の全開状態でスイッチ122が押下されると、再び電動モータ68が作動されて、その出力回転軸69の前記とは逆の回転で、ウォーム74、ウォームホイール80及び粘性剪断抵抗力付与手段14を介してアーム部材21が逆回動される。アーム部材21の逆回動で扉10が下げられると共にカム板31も同様に前記と逆に回転される。扉10が下げられて、突起111がリミットスイッチ112により検出されると、リミットスイッチ112からの当該検出結果に基づいて、電動モータ68の作動が停止されて、その出力回転軸69の回転が停止され、これにより扉10は、完全閉鎖状態に維持される。
【0052】
更に、跳ね上げ式門扉1では、閉扉において隙間形成体133に対する隙間形成体131のR方向の相対回転が生じ、これにより粘性体134の粘性剪断に基づく粘性剪断抵抗力が隙間形成体131に付与されることになる。したがって、閉扉動作において、リミットスイッチ112からの検出結果に基づく電動モータ68の作動停止後、慣性によりアーム部材21が更にある程度の速度で回転されようとしても、隙間形成体131に付与される粘性剪断抵抗力によりこれが阻止され、而して、地面への扉10の激突が防止されることになる。
【0053】
また、温度などの変動でアーム手段6及び扉10の自重と弾性力付与手段11の弾性引っ張り力との微妙なバランスが崩れて、電動モータ68の作動停止後に、弾性力付与手段11の弾性引っ張り力によりアーム部材21が更にある程度の速度で回転されようとしても、上記と同様にして、隙間形成体131に付与される粘性剪断抵抗力によりこれが阻止され、而して、地面への扉10の激突が防止されることになる。粘性体134により生じる粘性剪断抵抗力の大きさは、隙間形成体133に対する隙間形成体131の相対回転速度に比例するため、上記の効果を効果的に生じさせることができる。
【0054】
加えて、跳ね上げ式門扉1では、アーム部材21をR方向の回転させている際に、アーム部材21に対する回転に過負荷が加わって、ウォームホイール80の回転が困難となると、電動モータ68への電力の供給が停止されるようになっているため、扉10と地面との間に操作者等の人が挟まっても、扉10により人が押し潰されるようなことを避けることができ、更に、電動モータ68への電力の供給が停止できない場合でも、連結手段81の筒状部材85が回転軸78に対して空回りし、電動モータ68の出力回転軸69の回転が回転軸78に伝達されなくなるため、確実に上記の危険を回避でき、安全性に優れたフェールセーフなもとなる。
【0055】
上記の例では、弾性力付与手段11をガススプリング39並びにコイルばね59及び60により具体化したが、いずれか一つのみで弾性力付与手段11を具体化してもよい。
【0056】
また上記の例において、アーム手段6の開扉動作におけるR方向の回動において、隙間形成体133の支柱2に対する当該R方向の回転を阻止し、アーム手段6の閉扉動作におけるR方向の回動において、隙間形成体133の支柱2に対する当該R方向の回転を許容するように一方向クラッチ135を設定して配してもよく、更には、一方向クラッチ135を用いることなしに、軸部153を回転しないように支柱2に固着してもよく、このようにすると開扉時における突起115のストッパ116への激突を効果的に回避し得る。
【0057】
更に、粘性剪断抵抗力付与手段14を図9に示すように構成してもよい。図9に示す粘性剪断抵抗力付与手段14は、隙間形成体131に対応する隙間形成体211と、隙間形成体133に対応する隙間形成体212と、隙間132に対応する隙間213に充填された粘性体134と、一方向クラッチ135(図4参照)とを具備している。隙間形成体211は、フランジ部141及び144に対応するフランジ部214と、円筒部142及び145に対応する円筒部215と、軸部146に対応する軸部216とを一体的に具備しており、円筒部215の内周面には、複数の環状の凹所217が形成されており、隙間形成体212は、本体151に対応する本体221と、本体221の両端面に一体的に形成された軸部152及び153に対応する軸部222及び223とを具備しており、本体221の外周面には、隙間213を形成するように凹所217の夫々に配された複数の環状の突起224が一体的に形成されている。図9に示す粘性剪断抵抗力付与手段14によれば、より効果的に粘性剪断抵抗力を発生することができ、より小型の粘性剪断抵抗力付与手段を得ることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、扉と地面との間に操作者等の人が挟まれても、重大な危険に至ることなしに、扉の開閉を停止することができ、安全性に優れフェールセーフな跳ね上げ式門扉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一実施例の斜視図である。
【図2】図1に示す実施例の支柱上部の側面説明図である。
【図3】図1に示す実施例の支柱下部の側面説明図である。
【図4】図1に示す実施例の支柱上部の正面説明図である。
【図5】図1に示す実施例のアーム回動手段の詳細説明図である。
【図6】図5に示す実施例の回転軸の一端部の拡大説明図である。
【図7】図5に示すVII−VII線断面図である。
【図8】図5に示すVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明の粘性剪断抵抗力付与手段の他の好ましい例の断面図である。
【符号の説明】
1 跳ね上げ式門扉
2 支柱
6 アーム手段
10 扉
13 アーム回動手段
68 電動モータ
70 伝達手段
Claims (11)
- 支柱と、この支柱に対して一端を中心として垂直面内で回動自在に配されたアーム手段と、このアーム手段の他端に取り付けられた扉と、アーム手段の回動を行うアーム回動手段とを具備しており、アーム回動手段は、電動モータと、この電動モータの出力回転軸の回転をアーム手段に伝達する伝達手段とを具備しており、アーム回動手段の過負荷によりアーム手段に対する回動を停止するようになっており、伝達手段は、電動モータの出力回転軸に連結された回転軸と、この回転軸にその回転と共に回転するように装着されたウォームと、このウォームに噛み合っており、アーム手段に連結されたウォームホイールとを具備しており、ウォームは、回転軸に、その軸方向に移動自在となるように、弾性的にフローティング支持されて装着されており、アーム回動手段の過負荷において、回転軸に対して弾性的なフローティング支持力に抗してその軸方向に移動するようになっている跳ね上げ式門扉。
- 回転軸は、電動モータの出力回転軸に、その軸方向に移動自在となるように、弾性的にフローティング支持されて連結されており、伝達手段は、アーム回動手段の過負荷において、ウォームと共に回転軸を弾性的なフローティング支持力に抗して軸方向に移動させるように、回転軸とウォームとを係合させる係合手段を具備している請求項1に記載の跳ね上げ式門扉。
- 伝達手段は、電動モータの出力回転軸と回転軸とを連結する連結手段を具備しており、連結手段は、回転軸の一定以上の軸方向移動において、電動モータの出力回転軸の回転を回転軸に伝達しないようになっている請求項2に記載の跳ね上げ式門扉。
- アーム回動手段は、ウォームの一定以上の軸方向移動を検出する検出手段と、この検出手段からの検出信号により電動モータの作動を停止させる制御手段とを具備している請求項1から3のいずれか一項に記載の跳ね上げ式門扉。
- 扉及びアーム手段の自重に抗して扉の跳ね上げ方向に弾性力をアーム手段に付与する弾性力付与手段と、アーム手段の回動に抗する粘性剪断抵抗力をアーム手段に付与する粘性剪断抵抗力付与手段とを更に具備しており、粘性剪断抵抗力付与手段は、アーム手段の回動と共に回転するようにアーム手段に連結された一方の隙間形成体と、この一方の隙間形成体との間で隙間を形成すると共に、当該一方の隙間形成体に対して相対的に回転自在に配されて、支柱に支持された他方の隙間形成体と、隙間に充填された粘性体とを具備している請求項1から4のいずれか一項に記載の跳ね上げ式門扉。
- 弾性力付与手段は、ガススプリング及びコイルばね手段のうちの少なくとも一方を具備している請求項5に記載の跳ね上げ式門扉。
- 他方の隙間形成体は、一方向クラッチを介して支柱に支持されている請求項5又は6に記載の跳ね上げ式門扉。
- 一方向クラッチは、アーム手段の一方の方向の回動において、他方の隙間形成体の支柱に対する回転を阻止し、アーム手段の他方の方向の回動において、他方の隙間形成体の支柱に対する回転を許容するようになっている請求項7に記載の跳ね上げ式門扉。
- アーム手段の一方の方向の回動が閉扉動作における回動である請求項8に記載の跳ね上げ式門扉。
- 隙間形成体の相対回転中心とアーム手段の回動中心とが同心上に配されている請求項5から9のいずれか一項に記載の跳ね上げ式門扉。
- 伝達手段は、電動モータの出力回転軸の回転をアーム手段に粘性剪断抵抗力付与手段の隙間形成体を介して伝達するようになっている請求項5から10のいずれか一項に記載の跳ね上げ式門扉。
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- 1998-04-09 JP JP09794998A patent/JP4051755B2/ja not_active Expired - Fee Related
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