JP4051538B2 - リソグラフィー用反射防止膜形成組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に塗布されたフォトレジスト層に該基板から露光照射光が反射することを軽減する新規な反射防止膜形成用組成物、さらに詳しくは、193nmの波長の露光照射光を効果的に吸収する樹脂を含有する反射防止膜形成組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が従来から行われている。前記微細加工は、シリコンウエハーの上にフォトレジスト組成物の薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、そして得られたレジストパターンを保護膜としてシリコンウエハーをエッチング処理することからなる加工法である。ところが、近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザー(248nm)からArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化される傾向にある。これに伴い、活性光線の基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題となった。そこでフォトレジストと基板との間に反射防止膜(Bottom Anti-Reflective Coating、BARC)を設ける方法が広く検討されるようになってきた。
【0003】
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等からなる無機反射防止膜、および吸光性物質と高分子化合物とからなる有機反射防止膜が知られている。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とするのに対し、後者は特別の設備を必要としない点で有利とされ数多くの検討が行われている。例えば、米国特許第5919599号明細書に記載の、架橋形成官能基であるヒドロキシル基と吸光基とを同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、米国特許第5693691号明細書に記載の、架橋形成官能基であるヒドロキシルキ基と吸光基を同一分子内に有するノボラック樹脂型反射防止膜等が挙げられる。
【0004】
0.13μm以下の微細度を持つLSIパターンルールでは、配線遅延がLSIの高速化に与える影響が多くなり、現状のLSIの製造技術によりLSIの高性能化を進展させていくことは難しくなってきている。そこで配線遅延を小さくするために、配線材Cuと低誘電率の層間絶縁膜とが用いられる。
【0005】
有機系反射防止膜用材料として望まれる物性としては、光や放射線に対して大きな吸光度を有すること、レジスト層とのインターミキシングが起こらないこと(レジスト溶剤に不溶であること)、塗布時または加熱乾燥時に反射防止膜材料から上塗りレジスト中への低分子拡散物がないこと、レジストに比べて大きなドライエッチング速度を有すること等があり、それらは例えばProc. SPIE, Vol.3679, 174-185(1999)や、Proc. SPIE, Vol.2195, 225-229(1994)にも記載されている。
【0006】
WO98/54619には、ブロック化されたイソシアネート基またはチオイソシアネート基を含むアクリル酸エステル構造単位を必須成分として含み、更にマレイミドまたはその誘導体を任意成分として含むことができる重合体を含有する反射防止膜形成組成物を開示している。この重合体でマレイミドまたはその誘導体を含有する場合は、モル分率で0.05〜0.50が好ましいとされる。
【0007】
特開平6−75378号は、少なくとも1つのアミノ芳香族発色団と、アンハイドライド基を含む重合体とのイミド反応生成物を含有する反射防止層形成用組成物を開示している。その反射防止層形成用組成物は、例えば、無水マレイン酸とメタクリル酸メチルとの共重合体が、アミノアントラセンおよびベンジルアミンと反応し、イミド結合を介して芳香族発色団が結合した重合体を含有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、反射防止膜として使用するために、特に193nmの波長の照射光を微細加工に使用する際に効果的に反射を防止し、更にその後の除去プロセスの際に迅速に取り除かれ得るリソグラフィー用反射防止膜を形成する組成物を提供することである。更に該反射防止膜は、反射光防止効果が高く、レジスト層とのインターミキシングが起こらず、優れたレジストパターンが得られ、レジストに比較して大きなドライエッチング速度を有することを必要とする。本発明の更なる目的は、該反射防止膜形成組成物を用いたレジストパターンの形成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1観点として、マレイミドまたはその誘導体からなる構造単位を含む樹脂を含有する、半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いる反射防止膜形成組成物であって、
前記樹脂は、式(2):
【化2】
(式中、各R1、R2およびR3はそれぞれ独立しており、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基またはベンゼン誘導体であり、R2は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基であり、R3は水素原子または置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基であり、xは1〜10300の数であり、そしてyは0〜12100の数である。)で示される構造単位を含み、また、重合体中に含まれるマレイミド構造単位(A)および(メタ)アクリレート構造単位(B)の合計に基づいて、マレイミド構造単位(A)が51〜95モル%、そして(メタ)アクリレート構造単位(B)が49〜5モル%である重合体である、反射防止膜形成組成物、第2観点として、式(2)で示される構造単位で、R1が水素原子、ハロゲン原子または置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基である、第1観点に記載の反射防止膜形成組成物、第3観点として、少なくとも2個の架橋形成官能基を有する架橋剤を更に含有する、第1観点又は第2観点に記載の反射防止膜形成組成物、第4観点として、第1観点ないし第3観点のいずれか一つに記載の反射防止膜形成組成物を基板上に塗布し、そして焼成することからなる、半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いる反射防止膜の形成方法、第5観点として、第1観点ないし第3観点のいずれか一つに記載の反射防止膜形成組成物を基板上に塗布し、焼成して反射防止膜を形成し、該反射防止膜上にフォトレジストを被覆し、該基板を露光し、現像し、エッチングにより基板上に画像を転写して集積回路素子を形成することからなる、半導体装置の製造方法、そして第6観点として、露光は193nmの波長の光により行われる、第5観点に記載の半導体装置の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、マレイミドまたはマレイミド誘導体からなる構造単位を含む樹脂を含有する、半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いる反射防止膜形成組成物に関する。この樹脂は、マレイミドまたはマレイミド誘導体からなる構造単位を主鎖または側鎖に含むものである。
【0011】
本発明の反射防止膜を形成する樹脂の分子量は、使用する塗布溶剤、溶液粘度、膜形状などにより変動するが、重量平均分子量として700〜1000000、好ましくは700〜100000、さらに好ましくは700〜50000である。
本発明の反射防止膜形成組成物中の固形分含有量は、0.1〜50重量%である。
【0012】
前記樹脂は式(2)で示される構造単位を含む重合体であることができる。式(2)で示される構造単位ではマレイミド、マレイミド誘導体またはそれらの組み合わせからなるマレイミド構造単位(A)が必須成分であり、それらにアクリル酸、ハロゲン化アクリル酸、メタクリル酸、該酸のエステルまたはそれら組み合わせからなる(メタ)アクリレート構造単位(B)を任意成分として加えることができる。双方の構造単位の割合は、重合体中に含まれるマレイミド構造単位(A)および(メタ)アクリレート構造単位(B)の合計に基づいて、マレイミド構造単位(A)が10〜100モル%、そして(メタ)アクリレート構造単位(B)が90〜0モル%である。
【0013】
ここでR1は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基またはベンゼン誘導体である。しかしR1がベンゼン誘導体等の芳香族基の場合は、R1が水素原子、ハロゲン原子または置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基である場合に比べてドライエッチング速度の点で劣る。従って、R1は水素原子、ハロゲン原子または置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素および臭素が挙げられる。またアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
【0014】
式(2)で示される構造単位を含む重合体を含有する本発明の組成物は、反射防止膜としたときに、マレイミド、マレイミド誘導体またはそれら組み合わせからなる構造単位(A)の導入量の増大に伴いドライエッチング速度が増加する。従って、マレイミド構造単位(A)が51〜95モル%、そして(メタ)アクリレート構造単位(B)が49〜5モル%であることが特に好ましい。
【0015】
マレイミド構造単位(A)と(メタ)アクリレート構造単位(B)との割合はモル%で標記されているが、式(2)で示される構造単位からなる重合体の、単位重量当たりに含まれるマレイミド構造単位(A)の含有量が(メタ)アクリレート構造単位(B)より多い方がドライエッチング速度を向上させる点で好ましいので、好ましい該割合の値は重量%で標記しても上記と同様の値となる。
反射防止膜形成組成物中の前記樹脂の含有量は、全組成物100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部である。
【0016】
式(2)で示される構造単位からなる重合体はマレイミド、マレイミド誘導体またはそれら組み合わせからなるモノマーと、アクリル酸、ハロゲン化アクリル酸、メタクリル酸、それらエステルまたは該酸の組み合わせからなるモノマーとを重合する方法で得られる。
本発明における樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体のいずれであってもよい。本発明の反射防止膜形成組成物は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの方法により合成することができる。その形態は溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合など種々の方法が可能である。
【0017】
本発明の反射防止膜形成組成物は、少なくとも2個の架橋形成官能基を有する架橋剤を更に含有することが出来る。その架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、エポキシ基を含有するポリマー系等が挙げられる。好ましくは、メトキシメチル化グリコウリルまたはメトキシメチル化メラミンなどの化合物であり、特に好ましくは、テトラメトキシメチルグリコールウリルまたはヘキサメトキシメチルメラミンである。架橋剤の添加量は、使用する塗布溶剤、使用する下地基板、要求される溶液粘度、要求される膜形状などにより変動するが、前記樹脂100重量部に対して0.001〜20重量部、好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。これら架橋剤と式(2)で示される構造単位を含む重合体との架橋反応は、R1およびR3の部分で起こる。R1が水素原子の場合やヒドロキシル基により置換されたアルキル基の場合は架橋剤と架橋反応を起こす事ができる。またR3が水素原子の場合やヒドロキシル基により置換されたアルキル基の場合も架橋剤と架橋反応を起こす事ができる。
【0018】
しかし、R1が架橋反応を形成することができない有機基の場合は、R3の部分で架橋反応を起こす必要があり、その場合はアクリル酸、ハロゲン化アクリル酸、メタクリル酸、該酸のエステルまたはそれら組み合わせからなる構造単位(B)が必要になる。従って、構造単位(A)もしくは構造単位(B)のいずれか一方、または両方に架橋反応を起こすことが可能な部分が存在することが好ましい。
【0019】
本発明の反射防止膜形成組成物に使用される樹脂では、構造単位(A)を形成するモノマーまたは構造単位(A)と(B)とを形成するモノマーに、更に非架橋性のモノマーを共重合させることも可能であり、これによりドライエッチング速度、反射率等の微調整が行える。このような共重合モノマーとしては以下のものが挙げられる。例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物である。
【0020】
アクリル酸エステル類としては、例えばアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルアクリレートが挙げられる。
メタクリル酸エステル類としては、例えばアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルメタクリレートが挙げられる。
【0021】
アクリルアミド類としては、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アリールアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアリールアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−(2−アセトアミドエチル)−N−アセチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0022】
メタクリルアミド類としては、例えばメタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N−アリールメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、N,N−ジアリールメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0023】
ビニルエーテル類としては、例えばアルキルビニルエーテル、ビニルアリールエーテルが挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えばビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテートが挙げられる。
スチレン類としては、例えばスチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲンスチレン、ヒドロキシスチレン、カルボキシスチレンが挙げられる。
【0024】
クロトン酸エステル類としては、例えばクロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、グリセリンモノクロトネート等のクロトン酸アルキルが挙げられる。
また、イタコン酸ジアルキル類、マレイン酸またはフマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等が挙げられる。その他、構造単位(A)を形成するモノマーまたは構造単位(A)と(B)を形成するモノマーと、一般に共重合可能である付加重合性不飽和化合物であれば用いる事が出来る。
【0025】
本発明の反射防止膜形成組成物には、前記以外に必要に応じて更なる吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0026】
レオロジー調整剤は、主に反射防止膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベーク工程において、ホール内部への反射防止膜形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジ(n−ブチル)アジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジ(n−ブチル)マレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはn−ブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、全組成物100重量部に対して通常30重量部未満の割合で配合される。
【0027】
接着補助剤は、主に基板あるいはレジストと反射防止膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてレジストが剥離しないようにする目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリン)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環状化合物や、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、全組成物100重量部に対して通常5重量部未満、好ましくは2重量部未満の割合で配合される。
【0028】
本発明の反射防止膜形成組成物には、ピンホールやストレーション等の発生がなく、表面むらに対する塗布性をさらに向上させるために、界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、F173(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明の全組成物100重量部当たり通常0.2重量部以下、好ましくは0.1重量部以下である。これらの界面活性剤は単独で添加しても良いし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0029】
本発明で、前記樹脂を溶解させる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトシキ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、シクロヘキサノン等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用され得る。
【0030】
さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。これらの溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチルおよびシクロヘキサノンがレベリング性の向上に対して好ましい。
【0031】
本発明における反射防止膜の上層に塗布されるレジストとしてはネガ型またはポジ型のいずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型レジスト、光酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーとからなる化学増幅型レジスト、アルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤と酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とからなる化学増幅型レジスト、光酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とからなる化学増幅型レジストなどがあり、例えば、住友化学社製、商品名PAR710が挙げられる。
【0032】
本発明の反射防止膜形成組成物を使用して形成したリソグラフィー用反射防止膜を有するポジ型フォトレジストの現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ(n−ブチル)アミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリの水溶液を使用することができる。さらに、前記アルカリの水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロオキシドおよびコリンである。
【0033】
次に本発明のレジストパターン形成方法について説明すると、精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板、ITO基板などの透明基板)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により反射防止膜形成組成物を塗布後、ベークして硬化させ反射防止膜を作成する。ここで、反射防止膜の膜厚としては0.01〜3.0μmが好ましい。また塗布後ベークする条件としては80〜250℃で1〜120分間である。その後フォトレジストを塗布し、所定のマスクを通して露光し、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストを得ることができる。必要に応じて露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)を行うこともできる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
合成例1
N−メチルマレイミド(東京化成(株)製)およびヒドロキシプロピルアクリレート(純正化学(株)製)を準備した。
前記N−メチルマレイミド33.9g(0.305モル)およびヒドロキシプロピルアクリレート66.1g(0.508モル)をテトラヒドロフラン350gに溶解させた後、フラスコ内を窒素にて置換し還流温度まで昇温した。還流開始後テトラヒドロフラン50gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1gを窒素加圧下添加し、24時間反応させた。反応溶液を冷却後、ジエチルエーテルに投入し、ポリマーを再沈殿、加熱乾燥して式(3)で示される構造単位を含む重合体を得た。重量平均分子量は5400であった。構造単位A1=37.5モル%、構造単位B1=62.5モル%、収率90%であった。
【化5】
【0035】
合成例2
N−エチルマレイミド(東京化成(株)製)およびヒドロキシプロピルメタクリレート(純正化学(株)製)を準備した。
前記、N−エチルマレイミド50g(0.400モル)およびヒドロキシプロピルメタクリレート50g(0.347モル)をテトラヒドロフラン350gに溶解させた後、フラスコ内を窒素にて置換し還流温度まで昇温した。還流開始後テトラヒドロフラン50gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル1gを窒素加圧下添加し、24時間反応させた。反応溶液を冷却後、ジエチルエーテルに投入し、ポリマーを再沈殿、加熱乾燥して式(4)で示される構造単位を含む重合体を得た。重量平均分子量は6200であった。構造単位A2=53モル%、構造単位B2=47モル%、収率90%であった。
【化6】
【0036】
合成例3
ヒドロキシエチルマレイミド(OGRGANIX社製)およびヒドロキシプロピルアクリレート(純正化学(株))を準備した。
前記、ヒドロキシエチルマレイミド55g(0.400モル)およびヒドロキシプロピルアクリレート50g(0.347モル)をテトラヒドロフラン350gに溶解させた後、フラスコ内を窒素にて置換し還流温度まで昇温した。還流開始後テトラヒドロフラン50gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル1gを窒素加圧下添加し、24時間反応させた。反応溶液を冷却後、ジエチルエーテルに投入し、ポリマーを再沈殿、加熱乾燥して式(5)で示される構造単位を含む重合体を得た。重量平均分子量は5100であった。構造単位A3=53モル%、構造単位B3=47モル%、収率90%であった。
【化7】
【0037】
合成例4
フェニルマレイミド(東京化成(株)製)およびヒドロキシプロピルアクリレート(純正化学(株)製)を準備した。
前記フェニルマレイミド50g(0.289モル)およびヒドロキシプロピルアクリレート50g(0.347モル)をテトラヒドロフラン350gに溶解させた後、フラスコ内を窒素にて置換し還流温度まで昇温した。還流開始後テトラヒドロフラン50gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル1gを窒素加圧下添加し、24時間反応させた。反応溶液を冷却後、ジエチルエーテルに投入し、ポリマーを再沈殿、加熱乾燥して式(6)で示される構造単位を含む重合体を得た。重量平均分子量は6600であった。構造単位A4=45.5モル%、構造単位B4=54.5モル%、収率90%であった。
【化8】
【0038】
合成例5
マレイミド(東京化成(株)製)およびヒドロキシプロピルメタクリレート(純正化学(株)製)を準備した。
前記マレイミド42.9g(0.442モル)およびヒドロキシプロピルメタクリレート57.1g(0.397モル)をテトラヒドロフラン350gに溶解させた後、フラスコ内を窒素にて置換し還流温度まで昇温した。還流開始後テトラヒドロフラン50gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル1gを窒素加圧下添加し、24時間反応させた。反応溶液を冷却後、ジエチルエーテルに投入し、ポリマーを再沈殿、加熱乾燥して式(7)で示される構造単位を含む重合体を得た。重量平均分子量は4400であった。構造単位A5=52.7モル%、構造単位B5=47.3モル%、収率90%であった。
【化9】
【0039】
合成例6
クレゾールノボラック樹脂(旭チバ(株)製品、商品名ECN1299、重量平均分子量3900、構造を次式(8)で示す。)を準備した。
【化10】
前記クレゾールノボラック樹脂10gをプロピレングリコールモノメチルエーテル80gに添加し溶解させた。溶解液に、9−アントラセンカルボン酸9.7gとベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.26gを添加した後、105℃で24時間反応させた。得られた高分子のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5600であった。得られた重合体の構造を次式(9)で示す。
【化11】
【0040】
実施例1
前記合成例1で得た重合体16gを有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液80gに、架橋剤としてヘキサメトキシメチルメラミン4gと、硬化剤としてp−トルエンスルホン酸0.4gを混合し、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテル316gに溶解させ5.1%溶液とした後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。この溶液をスピナーを用い、シリコンウエファー上に塗布した。ホットプレート上で205℃にて1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.11μm)を形成した。この反射防止膜を分光エリプソメーターで測定した結果、193nmでの屈折率nは1.71であり、光学吸収係数kは0.19であった。
【0041】
実施例2
前記合成例2で得た重合体16gを有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液80gに、架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル4gと、硬化剤としてピリジウムp−トルエンスルホン酸0.4gを混合し、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテル316gに溶解させ5.1%溶液とした後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。この溶液をスピナーを用い、シリコンウエファー上に塗布した。ホットプレート上で205℃にて1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.11μm)を形成した。この反射防止膜を分光エリプソメーターで測定した結果、193nmでの屈折率nは1.69であり、光学吸収係数kは0.23であった。
【0042】
実施例3
前記合成例3で得た重合体16gを有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液80gに、架橋剤としてヘキサメトキシメチルメラミン4gと、硬化剤としてp−トルエンスルホン酸0.4gを混合し、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテル316gに溶解させ5.1%溶液とした後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。この溶液をスピナーを用い、シリコンウエファー上に塗布した。ホットプレート上で205℃にて1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.11μm)を形成した。この反射防止膜を分光エリプソメーターで測定した結果、193nmでの屈折率nは1.70であり、光学吸収係数kは0.20であった。
【0043】
実施例4
前記合成例4で得た重合体16gを有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液80gに、架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル4gと、硬化剤としてピリジウムp−トルエンスルホン酸0.4gを混合し、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテル316gに溶解させ5.1%溶液とした後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。この溶液をスピナーを用い、シリコンウエファー上に塗布した。ホットプレート上で205℃にて1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.11μm)を形成した。この反射防止膜を分光エリプソメーターで測定した結果、193nmでの屈折率nは1.74であり、光学吸収係数kは0.33であった。
【0044】
実施例5
前記合成例5で得た重合体16gを有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液80gに、架橋剤としてヘキサメトキシメチルメラミン4gと、硬化剤としてp−トルエンスルホン酸0.4gを混合し、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテル316gに溶解させ5.1%溶液とした後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。この溶液をスピナーを用い、シリコンウエファー上に塗布した。ホットプレート上で205℃にて1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.15μm)を形成した。この反射防止膜を分光エリプソメーターで測定した結果、193nmでの屈折率nは1.74であり、光学吸収係数kは0.31であった。
【0045】
比較例1
前記合成例6で得た重合体2gを有する溶液10gに、架橋剤としてヘキサメトキシメチルメラミン0.53gと、硬化剤としてp−トルエンスルホン酸0.05gを混合し、溶媒の乳酸エチル14.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.13gおよびシクロヘキサノン2.61gに溶解させ9%溶液とした後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、その後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜形成組成物を調製した。この溶液をスピナーを用い、シリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.23μm)を形成した。この反射防止膜を分光エリプソメーターで測定した結果、193nmでの屈折率nは1.60であり、光学吸収係数kは0.47であった。
【0046】
実施例6
実施例1〜5および比較例1で得た組成物をスピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.23μm)を形成した。この反射防止膜をレジストに使用する溶剤、例えば乳酸エチル、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、その溶剤に不溶であることを確認した。
【0047】
実施例7
実施例1〜5および比較例1で得た組成物をスピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、反射防止膜(膜厚0.23μm)を形成し、その膜厚を測定した。このリソグラフィー用反射防止膜の上層に、市販のフォトレジスト溶液(住友化学(株)製、商品名PAR710)をスピナーにより塗布した。ホットプレート上で90℃にて1分間加熱し、レジストを露光後、ポストイクスポージャベークを90℃にて1.5分間行った。レジストを現像させた後、反射防止膜の膜厚を測定し、実施例1〜5および比較例1で得たリソグラフィー用反射防止膜とレジスト層とのインターミキシングが起こらないことを確認した。
【0048】
実施例8
実施例1〜5および比較例1で得た組成物から実施例6および実施例7と同様に形成した反射防止膜について、同一条件下でドライエッチングを行った。ドライエッチング選択性は、フォトレジストのドライエッチング速度を1.00とした時の、反射防止膜のドライエッチング速度として示したものである。
【表1】
実施例1〜5の反射防止膜形成組成物から得られた反射防止膜のエッチング特性は、比較例1の既存の反射防止膜に比較して高く、特に実施例2〜3および実施例5ではマレイミドの導入量の増大に伴いエッチングの速度が増加することが確認された。
実施例の反射防止膜は193nmの露光光において、実用的な屈折率と光学吸光係数を維持しながら、大きなドライエッチング速度を有している。
【0049】
【発明の効果】
本発明の反射防止膜形成組成物は、高ドライエッチングレートを有する反射防止膜を形成する為の組成物である。得られた反射防止膜は、基板の反射防止効果だけでなく、下地基板のドライエッチングプロセス時における迅速な除去に有効である。
【0050】
本発明により、レジスト層と比較して大きなドライエッチング速度を有し、反射光防止効果が高く、更にレジスト層とのインターミキシングが起こらず、加熱乾燥時にレジスト中への拡散物がなく、高解像力およびレジスト膜厚依存性に優れた反射防止膜材料用組成物を得ることができ、かつ優れたレジストパターン形成方法を提供することができる。
Claims (6)
- マレイミドまたはその誘導体からなる構造単位を含む樹脂を含有する、半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いる反射防止膜形成組成物であって、
前記樹脂は、式(2):
- 式(2)で示される構造単位で、R1が水素原子、ハロゲン原子または置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基である、請求項1に記載の反射防止膜形成組成物。
- 少なくとも2個の架橋形成官能基を有する架橋剤を更に含有する、請求項1又は2に記載の反射防止膜形成組成物。
- 請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項に記載の反射防止膜形成組成物を基板上に塗布し、そして焼成することからなる、半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いる反射防止膜の形成方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の反射防止膜形成組成物を基板上に塗布し、焼成して反射防止膜を形成し、該反射防止膜上にフォトレジストを被覆し、該基板を露光し、現像し、エッチングにより基板上に画像を転写して集積回路素子を形成することからなる、半導体装置の製造方法。
- 露光は193nmの波長の光により行われる、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
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