JP4051360B2 - 中空押出形材および鉄道車両用構体 - Google Patents

中空押出形材および鉄道車両用構体 Download PDF

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Description

本発明は、鉄道車両や建築物などに使用される中空押出形材に関し、特に軽量であり、接合部の剛性を高めた構造の中空押出形材およびその中空押出形材で構成した鉄道車両用構体に関する。
鉄道車両では、高速化の要請が大きく車体の軽量化が求められている一方で、例えばトンネルの出入りや対向車とのすれ違い時に車体室内と外との圧力差によって生じる荷重に耐え得る強度を必要とする。鉄道車両を構成する構体には、アルミなどの軽合金材料を押出し加工した中空押出形材が使用されている。鉄道車両用構体を構成する中空押出形材は、数百mm幅で車体長手方向に長いパネルであり、それらが幅方向に溶接して構体が構成されている。従って、中空押出形材で構成された高速鉄道車両の車体強度を確保するには、接合部分について剛性を高めることが重要である。
ここで、図11は、鉄道車両用構体を構成する中空押出形材の接合部を示した図である。中空押出形材100,110は、上面板101,111と下面板102,112とこれを接続する斜面板103,113とからなる。斜面板103,113はそれぞれ複数あり、トラス状に配置されている。斜面板103,113の傾斜の方向は交互である。そして、一方の中空押出形材100は、その端部に上面板101と下面板102とを連結する垂直な支持板104が形成され、その上下位置に突出片105が突設されている。その突出片105は、他方の中空押出形材110の端部に嵌まり込み、支持板104は中空押出形材110の端部を支えるようになっている。
中空押出形材100,110は、図11に示すように厚肉の自由端部106,116が形成され、それらが支持板104の上下の位置で突き当てられている。そして、2つの中空押出形材100,110の自由端部106,116が突き当てられた接合線に沿って回転工具200が移動することにより摩擦撹拌接合が行われる。
ところで、こうした中空押出形材100,110は、回転工具200の押し付け力が大きいため支持板104が設けられているが、その位置や厚肉幅の設定が難しく、設計上大きな制約を受けることになる。
かかる欠点を解消するためには、支持板104が無くても摩擦撹拌接合が行えるように、図12に示すようにボビンツールと呼ばれる被接合材を上下のショルダで挟み込む回転工具10が使用される。回転工具300によって接合される中空押出形材130は、平行な上面板131と下面板132の間には斜面板133が連結され、上面板131及び下面板132の両端部には側面板134が形成され、その側面板134を越えて上面板131及び下面板132の延長上に自由端部135が突設されている。
中空押出形材130同士の接合は、自由端部135を突き合わせ、その部分を図示するように、回転工具300のショルダ310,320で挟み込み、プローブ330が回転しながら接合線に沿って移動する。この回転工具300によれば、上下一対のショルダ310,320間で互いの反力を受けるので、摩擦撹拌接合を行うに際して、図11に示す支持板104や裏当金などが不要になる。そして、この回転工具300を使用して行う摩擦撹拌接合により、一対の中空押出形材130は、その自由端部135同士が突き当てられた部分が摩擦熱による塑性流動によって接合する。
特開2004−42115号公報(第3頁、第5頁、図1、図7)
ところで、図12に示した中空押出形材130は、接合部に側面板134が設けられているが、これは図11に示す回転工具200で摩擦撹拌接合を行う場合に押し付け力を支えるための支柱として機能するようなものである。従って、被接合材を上下のショルダ310,320で挟み込む回転工具300を使用する場合、側面板134は接合時に何ら機能するものではない。更に、接合後にこの中空押出形材130の接合部に作用するせん断力を考えると、側面板134は、後述するように接合部の剛性高めるものとしても十分に機能しない。
そうした側面板134は、長尺な中空押出形材130の長手方向の全長に渡って形成されているため、その中空押出形材130の重量を重くしてしまう。従って、中空押出形材130は鉄道車両用構体などに使用されるが、近年、鉄道車両の高速化に伴う車体軽量化にとって好ましいものではなかった。
そこで、図12に示すように回転工具300を使用して摩擦撹拌接合を行う場合には側面板134は無くしてもよく、それによって鉄道車両用構体を軽量化することができる。しかし、その場合にでも剛性は更に低くなってしまい、その点で好ましいものではなかった。
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、軽量であり、接合部の剛性を高めた構造の中空押出形材及びその中空押出形材で構成された鉄道車両用構体を提供することを目的とする。
本発明の中空押出形材は、上面板と下面板との間に複数の斜面板を張り渡し、その上面板、下面板及び斜面板によって押出方向に垂直な断面を三角形としたトラス構造からなるものであって、前記複数の斜面板のうち端部に位置する斜面板は、傾斜部と、前記上面板又は下面板にほぼ直交するように上下方向に屈曲した屈曲部とから形成され、その屈曲部とその屈曲部から上下に平行な面をもって前記上面板又は下面板の延長上に突き出して形成された自由端部とが、前記傾斜部よりも肉厚であることを特徴とする。
また、本発明の中空押出形材は、前記傾斜部の中心線の延長が、前記自由端部の端面と交わるようにしたものであることを特徴とする。
また、本発明の中空押出形材は、前記上面板、下面板及び傾斜板の傾斜部の板厚が1.8mmから3.5mmであって、前記傾斜部の中心線と、その傾斜部より肉厚である前記自由端部の端面との交点は、前記自由端部の上下方向外側面からみて0.3mmから、その自由端部の板厚の70パーセントの位置までにあることを特徴とする。
また、本発明の中空押出形材は、隣り合う前記斜面板の中心線の交点が、前記上面板又は下面板の上下方向外側面からみて0.3mmから、その自由端部の板厚の70パーセントの位置までにあることを特徴とする。
一方、本発明の鉄道車両用構体は、上面板と下面板との間に複数の斜面板を張り渡し、その上面板、下面板及び斜面板によって押出方向に垂直な断面を三角形としたトラス構造からなる中空押出形材であって、その中空押出形材同士の端面を突き合わせて、その突き合わせ部分を摩擦撹拌接合によって接合して構成したものであって、前記斜面板のうち前記中空押出形材の端に位置する斜面板は、傾斜部と、前記上面板又は下面板にほぼ直交するように上下方向に屈曲した屈曲部とから形成され、その屈曲部とその屈曲部から上下に平行な面をもって前記上面板又は下面板の延長上に突き出して形成された自由端部とが、前記傾斜部よりも肉厚であり、接合部を挟んだ屈曲部同士の距離が、一対のピンツールを攪拌ピンで連結した回転工具のピンツールが入り込む寸法だけ離れていることを特徴とする。
また、本発明の鉄道車両用構体は、前記傾斜部の中心線の延長が、前記自由端部の突き当てられた接合端面と交わるようにしたものであることを特徴とする。
また、本発明の鉄道車両用構体は、前記上面板、下面板及び傾斜板の傾斜部の板厚が1.8mmから3.5mmであって、前記傾斜部の中心線と、その傾斜部より肉厚である前記自由端部接合端面との交点は、前記自由端部の上下方向外側面からみて0.3mmから、その自由端部の板厚の70パーセントの位置までにあることを特徴とする。
また、本発明の鉄道車両用構体は、前記上面板、下面板及び斜面板の板厚が1.8mmから3.5mmであって、隣り合う前記斜面板の中心線の交点は、前記上面板又は下面板の上下方向外側面からみて0.3mmから、その自由端部の板厚の70パーセントの位置までにあることを特徴とする。
よって、本発明の中空押出形材では、摩擦撹拌接合の際にかかる荷重を支える支持板などがない構造であるため軽量化が可能になり、しかも斜面板を傾斜部と屈曲部とから形成し、自由端部及び屈曲部を厚肉にして剛性を高めて仮想トラスを構成することができるため、中空押出形材を突き合わせて摩擦撹拌接合した接合部は外的に安定した構造にすることで剛性を高めることが可能になる。
また、こうした中空押出形材から形成される本発明の鉄道車両用構体も、軽量化とともに剛性を高めることができた。
また、中空押出形材を接合して形成した本発明の鉄道車両用構体では、接合部を挟んだ屈曲部の距離が広く、摩擦撹拌接合に際して回転工具のピンツールが入るようにしたので、材料が削り取られて強度を低下させることもなくなる。
また、本発明の中空押出形材や、それによって形成された鉄道車両用構体では、斜面板の中心線の交点は、表面からの距離が0.3mmから上面板又は下面板の板厚の70パーセントの範囲内に設定したので、その交点と上面板又は下面板、或いは自由端部の板厚中心とを近づけることができ、せん断変形に対する剛性を向上させることが可能となる。
次に、本発明に係る中空押出形材の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施形態の中空押出形材について接合部を示した図である。
この中空押出形材1は、従来のものと同様に2枚の平行な上面板11と下面板12との間に、複数の斜面板13が交互に傾きの方向を変えて張り渡されたトラス状のパネルである。そして、本実施形態では、図面左右方向の両端部において上面板11の延長上に、厚肉の自由端部15,15が形成されている。
本実施形態の中空押出形材1は、鉄道車両用構体を構成するように数百mm幅で車体長手方向に長いパネルであって、それが図面左右の幅方向に溶接接合されている。ここで、図9は、中空押出形材で構成された鉄道車両用構体を示した外観図である。鉄道車両用構体80は、長手方向に対して左右の面を形成する側構体81と、車体長手方向に対して両端を閉鎖する面を形成する妻構体82と、屋根を形成する屋根構体83と、床面を形成する台枠84とから構成されている。そのうち、側構体81や屋根構体83は、所定幅で形成された長尺な中空押出形材1を幅方向に溶接してつくられている。
中空押出形材1同士を接合する場合、一対の中空押出形材1が横に並べられ、図1に示すように上面板11の延長上に厚肉に形成された自由端部15同士、下面板12同士がそれぞれ突き当てられる。そして、自由端部15と下面板12の各突き当て部分T1,T2が摩擦撹拌によって接合される。ここで、図2は、接合時の状態を示した図である。
摩擦撹拌接合には、前述した図12に示す場合と同様の回転工具50が使用される。この回転工具50は、被接合材である上面板11の自由端部15や下面板12を上下から挟むピンツール51,52が配置され、接合部を回転移動する撹拌ピン53がそのピンツール51,52と同軸に設けられている。一体に形成されたピンツール51,52及び撹拌ピン53は、不図示のモータによって回転するようになっている。
そこで、幅方向に突き当てられた中空押出形材1同士をこの回転工具50で接合する場合、突き当てた上面板11の自由端部15、或いは下面板12の接合部をそれぞれピンツール51,52で挟み込み、その突き当て部分T1,T2(図1参照)に回転する撹拌ピン53が押し付けられ、そのまま回転工具50が長手方向(図面を貫く方向)に沿って移動する。このとき、上面板11の自由端部15や下面板12の各突き当て部分T1,T2は、発熱および軟化し、塑性流動を引き起こして固相接合することになる。そして、中空押出形材1は、幅方向の突き当て部分T1,T2が長手方向の接合線に沿って摩擦撹拌接合される。
本実施形態の中空押出形材1は、このようにピンツール51,52で被接合材を挟み込む回転工具50を使用するので、接合時に図11に示す回転工具200のような押し付け力がかからない。そのため、図11及び図12に示す中空押出形材100,110,130のように端部に垂直な支持板が設けられていない。そして、この中空押出形材1は、前述したように2枚の平行な上面板11と下面板12との間に、複数の斜面板13が交互に傾きの方向を変えて張り渡されトラスが構成され、せん断力に対する剛性が高められている。従って、中空押出形材1同士が接合して構成された鉄道車両用構体は、側構体81や屋根構体83の断面が全て三角形のトラスを構成するようになっている。
しかしながら、接合部においても斜面板13によってトラスを構成しようとする場合、その接合部に回転工具50のピンツール51が入り込むだけのスペースを確保する必要があった。そうでなければ、ピンツール51が接合部を削り取ってしまい強度の低下を引き起こしてしまう。
例えば、図10は、本実施形態の中空押出形材と近似した構成の中空押出形材150の接合部を示している。この中空押出形材150も被接合材をピンツール51,52で挟み込む回転工具50によって接合するものである。
そこで、トラスを構成する斜面板153を見てみると、斜面板153aと153b、あるいは斜面板153b同士では、その厚さのほぼ中心を通る基準線Lの交点p1が上面板151や下面板152内に位置している。一方、接合部に位置する端部の斜面板153a同士では、その基準線Lの交点p2は上面板151の外側に位置している。すなわち、この接合部にできた斜面板153a、上面板151及び下面板152で囲まれた断面形状は三角形ではなく台形である。ところが、断面形状が台形では、上面板151及び下面板152に作用するせん断力に対して不安定であり剛性が低い。これは、図12に示す側面板134を有する中空押出形材130でも同様である。
一方、図10に示すものの場合、交点p2がその中空押出形材150内に入るか、より近づくように斜面板153aの角度を変えるなどすると、回転工具50のピンツール51の入るスペースが狭くなる。すると、前述したように上面板151同士の接合部分では、内側が斜面板153から上面板151にかけて破線で示すように曲面155になっているため、その曲面155部分が削り取られてしまう。これは、中空押出形材150の必要な強度を低下させることにもなるため好ましくはない。そして、削り取りを考慮して余分な肉厚で形成すると、押し出し加工の安定性が落ちたり、材料の無駄を多くしたり、重量増加になるなどの問題が生じることとなる。
そこで、本実施形態の中空押出形材1は、こうした点を考慮して、図1に示すような断面形状で構成されている。中空押出形材1は、前述したように上面板11と下面板12との間に、トラスを構成する複数の斜面板13が設けられているが、接合部を挟んで配置される端部の斜面板13aは、他の斜面板13bとは異なる断面形状をしている。すなわち、その斜面板13aを下面板12から上面板11にかけて見た場合、先ず下面板12から連続して薄肉の傾斜部21が形成され、更に上面板11に対してはほぼ直交するように曲げられた厚肉の屈曲部22が連続するように形成されている。
本実施形態では、こうして斜面板13aを傾斜部21と屈曲部22とから構成することにより、傾斜部21の傾きθをより大きくしながらも、回転工具50のピンツール51が入るように、屈曲部22,22の間のスペースを確保している。
次に、この中空押出形材1の接合部の斜面板13aと他の斜面板13bについて、その特徴を更に詳しく説明する。先ず、図3は、斜面板13bの一部を示した図であり、特に隣り合う斜面板13b同士が上面板11或いは下面板12とで構成するトラスの頂角部分を示した図である。ここでは、上面板11側にできた頂角部分を示しているが、下面板12側にできた場合も構成は同じである。
斜面板13bは、そのほぼ中心を通る基準線Lの交点p3が、上面板11或いは下面板12の上に位置するように形成されている。上面板11の厚さaは1.8mmであり(下面板12も同様)基準線Lの交点p3は、中空押出形材1の表面(上面板11又は下面板12の外側面)から0.5mmだけ内側に移動した位置にある。すなわち、中空押出形材1の表面表からの距離bの値が0.5mmである。本実施形態では、この交点p3の表面からの距離bを0.3mmから上面板11又は下面板12の板厚の70パーセントの範囲に位置するようにしている。
次に、図1に示す斜面板13a同士については接合部を見てみる。この斜面板13aは、傾斜部21の基準線L1同士の交点p4も上面板11(自由端部15)の上に位置するように形成されている。すなわち、中空押出形材1は、基準線L1が自由端部15の端面と交差する傾きθとなるように傾斜部21が形成されている。よって、この基準線L1と下面板12とを結んだ三角形は中空押出形材1内で閉じており、仮想的には外的に安定したトラスが形成されている。
中空押出形材1は、前述したように上面板11及び下面板12の厚さ、斜面板13bの厚さaは1.8mmであり、斜面板13aの傾斜部21は1.8mmの厚さから徐々に厚くなるように変化している。これに対して、上面板11の自由端部15の板厚cは4.0mmの厚みを有し、更に斜面板13aの屈曲部22の厚さdはそれよりも厚い4.5mmで形成されている。すなわち、斜面板13aの基準線L1によってつくられる仮想トラスに関し、現実に基準線L1が重なっていない部分の板厚が厚く形成され、仮想トラスの三角形頂部付近の剛性を高めている。なお、屈曲部22の厚さdは、本実施形態では自由端部15の板厚cの90〜130パーセントに設定されている。
更に、突き合わされた自由端部15は、両方に渡って幅eの寸法の平坦部と屈曲部22へのR隅部とから構成されている。ここで、自由端部15における接合部の長さf、すなわち屈曲部22,22間の距離は、平坦部の幅eは15mmにR隅部の曲率3.5mm(×2)を加えて22mmとなる。ところで、これは自由端部15の板厚cが4mmの場合であり、板厚cが3mm、5mmと変化すれば、それに応じて接合部の長さfが18mm、26mmに変えられる。そこで、自由端部15における接合部の板厚cと長さfに関し、図4に示すこの3つのパターンI〜IIIについて次のように考察した。
パターンIIをIと比較すると、接合部の長さfはパターンIがパターンIIの約82パーセントであり、板厚cは75パーセントになっている。中空押出形材1に作用するせん断力による変形量は(長さf/板厚c)に比例するため、長さfに比べ板厚cが薄いパターンIの場合の方が剛性は低くなる。同様にパターンIIをIIIと比較すると、接合部の長さfはパターンIIIがパターンIIの約18パーセント増であり、板厚cは25パーセント増になる。従って、板厚cの増加量が大きいパターンIIIの方が剛性は高くなる。しかし、パターンIIIの場合、剛性は高くなっても重量が増加してしまい、上面板11など他の構成部分の板厚(1.8〜3.5mm)に比べても差が大きくなってしまって軽量化の目的に反することになる。そこで、本実施形態では、前述したように自由端部15の板厚cは4.0mmとし、その接合部の長さfを22mmとした。
次に、斜面板13aの傾斜部21の基準線L1の交点p4は、中空押出形材1の表面から距離gの値がここでも0.5mmである。すなわち、交点p4の表面からの距離gは、前述した交点p3と同様に、表面を基準に0.3mmから上面板11又は下面板12の板厚の70パーセントの範囲内に設定される。
このように交点p3,p4を表面から距離b,g(オフセット量)だけ離した位置に設定したのは、交点p3やp4と上面板11又は下面板12、或いは自由端部15の板厚中心とを近づけることができ、中空押出形材1の断面内におけるせん断変形に対する剛性を向上させることができるからである。
ここで、図5及び図6は、交点P3のオフセット量に対する中空押出形材1の変形量をグラフにして示したものである。両図とも変形量は、交点p3を中空押出形材1の表面(オフセット量=0)に位置させた時の変形量を1とし、オフセット量を変化させたときの相対値を示している。そして、図5は、オフセット量を実際の寸法で表現した場合を示し、図6は、オフセット量を交点p3が位置する箇所の板厚における割合で表現した場合を示している。
両図は、ともに放物線を描いて変形量が変化した。すなわち、交点p3の位置が上面板11又は下面板12の外側表面から離れ、オフセット量が大きくなるに従って変形量は小さくなって最小値をとる。そして、更にオフセット量の値がそれ以上に大きくなると、変形量は逆に上昇する変化をとるようになった。交点p3やp4のオフセット量は、変形量が最小値をとるように設定するのが最も好ましい。
しかし、例えば交点p3が位置する斜面板13b同士、或いは斜面板13aと13bが交わる部分は、図1に示すように傾きθの角度が小さすぎたり、大きくなりすぎたりすると、R部分の肉厚が厚くなってしまい、中空押出形材1の押出し加工の際、上手く型から材料が抜けなくなってしまうことがある。従って、それには斜面板13a,13bの傾きθが所定範囲である必要があり、必ずしも図5及び図6に示す最小値に対応したオフセット量が最適とは限らない。そのため、ある所定の範囲で好ましいオフセット量を決定する必要がある。
その際、図6に示すような割合で決定したのでは、中空押出形材1の各部の板厚は本実施形態のものに限定されないため、自由端部15のような厚肉部分では交点p4のオフセット量が大きくなって、斜面板13aの傾きθによって反対側の交点p3側が影響を受け、前述したように抜けの問題が生じたりする。そこで、オフセット量の範囲の決定には、その下限を図5から実際の距離でとり、上限は図6に示す割合でとることとした。そこで、オフセット量(距離b,g)は、上面板11又は下面板12の表面から0.3mmの距離から上面板11(自由端部15を含む)又は下面板12の板厚の70パーセントの範囲内とした。なお、この範囲内であれば、せん断変形に対する剛性の変化はそれほど大きくないので、必ずしも斜面板13bの交点p3と上面板11又は下面板12の板厚中心を一致させる必要はない。
続いて、中空押出形材1の接合部の剛性実験について説明する。図7及び図8は、その剛性実験による実験結果を示した図である。ここでは、図1と図12に示した本実施形態と従来の中空押出形材1,130について比較を行った。試験は、接合部を挟んだ一対の斜面板13a,13aなどで切り取り、接合部分だけを抽出した接合試験形材30,40を使用した。接合試験形材30,40は、上面板と下面板の板厚やその間隔、そしてともに両端に同じ大きさのブロック31,32/41,42が固定されているが、その幅寸法も等しく形成されている。
そして、接合試験形材30,40は、一方のブロック31,41が剛性壁に固定されて水平に片持ち支持され、自由端部側のブロック32,42に垂直荷重Wが下方に与えられる。この剛性実験では、その垂直荷重Wによって接合試験形材30,40の評価位置Sがどれだけ垂直方向に変位したかを測定した。ここでは、分かりやすいように実際の変形量を100倍にして示した。そして、この実験結果から両者の変位量に差が生じた。垂直荷重Wが作用するブロック側の評価点Sで計測を行ったところ、本実施形態の接合試験形材30は従来例の接合試験形材40よりも65パーセント程度にその変位量が抑えられた。そこで、接合試験形材30,40の変形の違いについて考察する。
先ず、その変形形状を見た場合、接合試験形材40の変形が大きいのはp,q,r,s点で囲まれた台形形状部分が構造的には不安定になっているからと考えられる。そして、この台形形状部分の変形が大きくなっていることが側面板134の撓みに表れており、下面板32の撓みが大きくなった分だけ三角形状のトラスを構成する上面板31も大きく撓んでしまい、接合試験形材40全体の垂直方向変位が大きくなってしまっていると考えられる。
これに対して本実施形態の中空押出形材1からなる接合試験形材30は、垂直方向変位が小さかったが、これはh,i,j,k点で囲まれた台形近似形状部分の構造が安定しているからと考えられる。すなわち、図1に示すように、対向する斜面板13aの基準線L1の交点p4は自由端部15上にあり、またその交点p4は厚肉の自由端部15及び屈曲部22によって剛性が高いことにより仮想トラスの三角形頂部を構成している。
従って、実際にはh点とk点とを結ぶ辺などがあって三角形ではないが、自由端部15及び屈曲部22の変形は極めて僅かであるため、接合試験形材30の斜面板13aは、図1に示す基準線L1と重ねて考えることができ、h,i,j,k点で囲まれた台形近似形状部分は、外的に安定したトラス形状を構成している見ることができる。よって、斜面板13bや下面板12の撓み量が少ないため、上面板11の撓みも小さく、接合試験形材30全体の垂直方向変位が小さくなったと考えられる。
よって、本実施形態では、図11に示す中空押出形材110のように摩擦撹拌接合のために上面板101と下面板102とを連結する支持板104や、図12に示す中空押出形材130のように上面板131と下面板132を連結する側面板134がない構造になっているため、中空押出形材1を軽量化することができた。また、斜面板13aを傾斜部21と屈曲部22とから形成し、自由端部15及び屈曲部22を厚肉にして剛性を高めて仮想トラスを構成することにより、中空押出形材1を突き合わせて摩擦撹拌接合した接合部は外的に安定した構造になって剛性を高めることができた。更に、こうした中空押出形材1から形成される鉄道車両用構体も、軽量化とともに剛性を高めることができた。
また、中空押出形材1を接合して形成した鉄道車両用構体では、接合部を挟んだ屈曲部132の距離が広く、摩擦撹拌接合に際して回転工具50のピンツール51が入るようにしたので、図10に示す中空押出形材150のように材料が削り取られて強度を低下させることもなくなった。
また、本実施形態の中空押出形材1では、斜面板13による交点p3やp4の表面から距離b,gを0.3mmから上面板11又は下面板12の板厚の70パーセントの範囲内に設定したので、交点p3やp4と上面板11又は下面板12、或いは自由端部15の板厚中心とを近づけることができ、中空押出形材1の断面内におけるせん断変形に対する剛性を向上させることができた。
以上、本発明の中空押出形材やその中空押出形材からなる鉄道車両用構体について実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では鉄道車両用構体を構成する中空押出形材1を説明したが、こうした構成の中空押出形材1は、鉄道車両以外にも建築材として、或いは航空機などの別の分野で使用するものであってもよい。
中空押出形材の一実施形態について、その接合部を示した図である。 中空押出形材の一実施形態について、回転工具による接合状態を示した図である。 中空押出形材の一実施形態について、隣り合う斜面板同士が上面板或いは下面板とで構成するトラスの頂角部分を示した図である。 接合部の板厚と長さに関し3つのパターンI〜IIIを示した図である。 基準線の交点のオフセット量に対する中空押出形材の変形量を、実際の寸法で表現した場合のグラフにして示したものである。 基準線の交点のオフセット量に対する中空押出形材の変形量を、交点が位置する箇所の板厚における割合で表現した場合のグラフにして示したものである。 実施形態の中空押出形材によって形成した接合試験形材の剛性試験を示した図である。 従来の中空押出形材によって形成した接合試験形材の剛性試験を示した図である。 中空押出形材で構成された鉄道車両用構体を示した外観図である。 従来の中空押出形材について接合部を回転工具によって接合する状態を示した図である。 鉄道車両用構体を構成する中空押出形材の接合部を示した図である。 鉄道車両用構体を構成する他の中空押出形材の接合部を示した図である。
符号の説明
1 中空押出形材
11 上面板
12 下面板
13 斜面板
15 自由端部
21 傾斜部
22 屈曲部
50 回転工具
51,52 ピンツール
80 鉄道車両用構体
81 側構体
83 屋根構体

Claims (8)

  1. 上面板と下面板との間に複数の斜面板を張り渡し、その上面板、下面板及び斜面板によって押出方向に垂直な断面を三角形としたトラス構造からなる中空押出形材において、
    前記複数の斜面板のうち端部に位置する斜面板は、傾斜部と、前記上面板又は下面板にほぼ直交するように上下方向に屈曲した屈曲部とから形成され、その屈曲部とその屈曲部から上下に平行な面をもって前記上面板又は下面板の延長上に突き出して形成された自由端部とが、前記傾斜部よりも肉厚であることを特徴とする中空押出形材
  2. 請求項1に記載する中空押出形材において、
    前記傾斜部の中心線の延長が、前記自由端部の端面と交わるようにしたものであることを特徴とする中空押出形材
  3. 請求項2に記載する中空押出形材において、
    前記上面板、下面板及び傾斜板の傾斜部の板厚が1.8mmから3.5mmであって、前記傾斜部の中心線と、その傾斜部より肉厚である前記自由端部の端面との交点は、前記自由端部の上下方向外側面からみて0.3mmから、その自由端部の板厚の70パーセントの位置までにあることを特徴とする中空押出形材
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する中空押出形材において、
    隣り合う前記斜面板の中心線の交点は、前記上面板又は下面板の上下方向外側面からみて0.3mmから、その自由端部の板厚の70パーセントの位置までにあることを特徴とする中空押出形材
  5. 上面板と下面板との間に複数の斜面板を張り渡し、その上面板、下面板及び斜面板によって押出方向に垂直な断面を三角形としたトラス構造からなる中空押出形材であって、その中空押出形材同士の端面を突き合わせて、その突き合わせ部分を摩擦撹拌接合によって接合して構成した鉄道車両用構体において、
    前記斜面板のうち前記中空押出形材の端に位置する斜面板は、傾斜部と、前記上面板又は下面板にほぼ直交するように上下方向に屈曲した屈曲部とから形成され、その屈曲部とその屈曲部から上下に平行な面をもって前記上面板又は下面板の延長上に突き出して形成された自由端部とが、前記傾斜部よりも肉厚であり、接合部を挟んだ屈曲部同士の距離が、一対のピンツールを攪拌ピンで連結した回転工具のピンツールが入り込む寸法だけ離れていることを特徴とする鉄道車両用構体。
  6. 請求項5に記載する鉄道車両用構体において、
    前記傾斜部の中心線の延長が、前記自由端部の突き当てられた接合端面と交わるようにしたものであることを特徴とする鉄道車両用構体。
  7. 請求項6に記載する鉄道車両用構体において、
    前記上面板、下面板及び傾斜板の傾斜部の板厚が1.8mmから3.5mmであって、前記傾斜部の中心線と、その傾斜部より肉厚である前記自由端部接合端面との交点は、前記自由端部の上下方向外側面からみて0.3mmから、その自由端部の板厚の70パーセントの位置までにあることを特徴とする鉄道車両用構体。
  8. 請求項5又は請求項6に記載する鉄道車両用構体において、
    前記上面板、下面板及び斜面板の板厚が1.8mmから3.5mmであって、隣り合う前記斜面板の中心線の交点は、前記上面板又は下面板の上下方向外側面からみて0.3mmから、その自由端部の板厚の70パーセントの位置までにあることを特徴とする鉄道車両用構体。
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