JP4051064B2 - ホームエージェント装置,移動通信システムおよび負荷分散方法 - Google Patents
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Description
本発明は、例えば移動端末に対して動的にIP(Internet Protocol)アドレスを割り当ててアドレスを管理するモバイルIPプロトコルを用いたIPネットワークに用いて好適な、ホームエージェント装置(ホームエージェント,Home Agent:以下、ホームエージェントと称する。),移動通信システムおよび負荷分散方法に関する。
移動通信技術の発展にともない、ユーザが携帯端末又はノート型パーソナルコンピュータ(パソコン)などの移動端末(モバイルノード:Mobility Node:MN)を用いてIPネットワークに接続するサービスが広く提供されている。従来、IPネットワークに接続する装置は、ワークステーション,パソコンなどの固定装置であって、IPネットワークに接続するポイントは固定され、また、アドレス(IPアドレス)も固定的に付与されていた。これに対して、移動端末は、複数の異なるポイントからIPネットワークに接続する。
このため、移動端末にアドレスを割り当てるために、各種のモバイルIPプロトコルが規定されている。このモバイルIPプロトコルは、IPネットワークにおいて移動端末に対してアドレスを動的な割り当て手順と、アドレスの枯渇が生じないアドレスの割り当て手順とを主に規定している。
ここで、アドレスを動的な割り当て手順が必要な理由は、第1に、移動端末が位置情報をいずれかのサブネットに設けられたホームエージェントに登録した後に他のサブネットに移動した場合、移動端末はその最初に位置情報を登録したサブネットと接続できなくなるからである。
また、第2の理由は、パソコンなどの固定装置が、移動端末を指定して通信できることが要請されているからである。
なお、移動通信用の種々のIPプロトコルが検討されて標準化されており、例えば、モバイルIPv4プロトコル(Mobile Internet Protocol Version 4 protocol)などが知られている。
次に、モバイルIPプロトコルの規定は、アドレスの枯渇を回避するために、長いアドレスを割り当てる必要がある。このため、モバイルIPプロトコルは、固定端末について規定するIPv6プロトコル(Internet Protocol Version 6 protocol)を基礎にして検討されている。
ここで、IPv6プロトコルは、階層化アドレスを用いたものであり、アドレスを表すビット数は、通常、128ビットである。具体的には、階層化アドレスは、128ビットのうちの前半と後半と(各64ビット)が、それぞれ、ネットワークプレフィックス(ネットワーク識別子)とホストID(Host Identifier)とを表す。
そして、モバイルIPv6プロトコルは、この階層化アドレスを採用し、IPv6ネットワークにおいて、移動端末の移動に対応して継続的な通信ができるように規定されており、例えば、モバイルIPの基本仕様はIETF(Internet Engineering Task Force:米国の標準化団体)にて規定されている(IPv4,IPv6のそれぞれについて例えば、非特許文献1,2参照)。
このため、モバイルIPv6プロトコルは、移動端末の移動を管理するホームエージェントを規定している。このホームエージェントは、移動端末の移動先(訪問先)においてパケット(IPパケット)を送受信するための気付アドレス(Care−of Address:移動先アドレス。以下、CoAと称する。)を保持(記憶,記録又は登録)している。
図15は従来の移動通信システムの構成図である。この図15に示す移動通信システム400は、IPネットワーク60と、サブネットワーク(ドメイン[Domain1−5])61〜64と、IPネットワーク60およびサブネットワーク61〜64間を接続する複数のルータ65とをそなえ、各サブネットワーク61〜64に属する移動端末#1〜#3が、ルータ65,IPネットワーク60をそれぞれ介して移動通信を行なえるようになっている。
ここで、サブネットワーク61〜64のうちのサブネットワーク61は、各移動端末#1〜#3が通常接続するホームネットワークと呼ばれ、このサブネットワーク61には、移動端末#1〜#3のそれぞれのCoA「b」,「c」,「d」を保持するn台(nは2以上の自然数)のホームエージェント72a,72b,…,72cが設けられている。
ここで、移動端末#1〜#3のCoA「b」,「c」,「d」は、それぞれ、ホームアドレスに対応付けられたバインディングキャッシュ(BC:Binding Cache)としてホームエージェント72aに保持されている。
ホームアドレスとCoAとを概説する。ホームアドレスとは、移動端末#1〜#3が、本来存在するホームネットワークにおけるアドレスであって、例えば図15に示すネットワーク61におけるアドレスである。ホームアドレスの一例は、「100::10」と表され、これらの「100」,「10」がそれぞれネットワークプレフィックス,ホストIDに対応する。
また、CoA「b」,「c」,「d」は、それぞれ、移動端末#1〜#3が、移動先ネットワークにおいて使用するアドレスである。例えばCoA「b」は、移動端末#1がネットワーク62に移動した場合に移動端末#1が使用するアドレスである。
移動端末#3が、他のネットワーク62に移動している移動端末#1に対してパケットを送信する場合、移動端末#3は、移動端末#1のホームアドレス宛にパケットを送信する。移動端末#3は移動端末#1が移動したことを知らないので、移動端末#1がネットワーク61にいるものとして動作する。そして、ホームエージェント72aがそのパケットをインタセプトし代理受信する。ホームエージェント72aは、移動端末#1を保持しているバインディングキャッシュを検索し、移動端末#1の移動先におけるCoAを抽出する。そして、ホームエージェント72aは、抽出したCoA宛に代理受信したパケットをカプセル化して送信する。
図16は従来のホームエージェントの要部を示すブロック図である。この図16に示すホームエージェント72aは、送受信部(送信部および受信部)90と、受け付け処理部(受付処理部)91と、データ保持部300と、主制御部111とをそなえて構成されている。ホームエージェント72b〜72cの構成も同様である。
ここで、受け付け処理部91は、移動端末#1から送信された正常な位置登録要求メッセージ(BU:Binding Update)を受信するとその受け付け処理をするものであって、バインディングキャッシュBC001を生成するBC生成部92を有する。
そして、移動端末#1は、移動端末#1自身のCoAをホームエージェント72aに登録する。また、移動端末#1は、サブネットワーク61(図15参照)からサブネットワーク62に移動すると、再度、ホームエージェント72aに対して新たなCoA「b1」を通知し、ホームエージェント72aは、BC001に新たなCoA「b1」を書き込む。
具体的には、移動端末#1〜#3のCoAが変更された場合、BC001に保持されているCoA「b」は、CoA「b1」によって上書きされる。例えば、ホームアドレス「H」とCoA「b」との対応関係が、ホームアドレス「H」とCoA「b1」との対応関係になると、BC001に保持されるデータイメージは、移動前の「H+b」から、移動後の「H+b1」に遷移する。
また、例えばサブネットワーク64の移動端末#3又は固定端末64aが、移動端末#1のホームアドレスを書き込みしたパケットをホームエージェント72aに対して送信すると、ホームエージェント72aがそのパケットを代理受信(インタセプト)し、BC001を検索してCoA「b1」を抽出する。このインタセプトされたときのパケットは、例えば図18(a)に示すIPヘッダにCoA「b」が書き込まれている。そして、ホームエージェント72aは、この図18(a)に示すパケットの外側に移動端末#1の移動先にて使用するCoA「b1」をパケットに挿入(又は付与)する。CoA「b1」が挿入されたパケットを図18(b)に示す。ホームエージェント72aは、サブネットワーク62に対して、図18(b)に示すパケットフォーマットのパケットをトンネリングし、これにより、移動端末#1と移動端末#3との通信が開始され、メールデータなどが送受信される。
従って、移動端末#3は、移動端末#1の移動先におけるCoAを知る必要はなく、移動端末#1のホームアドレスのみを知っていればよい。換言すれば、ホームエージェント72aは、移動端末#1〜#3のホームネットワーク(サブネットワーク61)に設けられたルータとして機能している。
また、移動端末#2,#3についても移動端末#1の通信方法と同様の方法を用いており、ホームエージェント72b,72cについても同様である。
このように、各移動端末#1〜#3がホームネットワーク61から他のサブネットワーク62などに移動した後においても、ホームエージェント72aの中継機能によって、移動端末#1〜#3は通信を続行できる。
また、加入者数の増加に対応する場合、通信事業者は、ネットワークにおいて、多数の移動端末#1〜#3を管理するホームエージェントの数を増加させることができる。
さらに、モバイルIPv4およびモバイルIPv6の両プロトコルが動作するネットワークに接続された移動端末対応ルータが提案されている(例えば特許文献1)。
この特許文献1記載の移動端末対応ルータは、移動端末宛パケットのカプセル化処理および移動端末に関するモバイルIPメッセージ処理の処理時間を短縮することにより、端末の通信品質劣化の原因となるパケット遅延やパケット廃棄を防ぐ。
特開2002−368790号公報 IP Mobility Support(Mobile IP)http://www.ietf.org/rfc/rfc2002.txt Mobile IPv6
このため、移動端末にアドレスを割り当てるために、各種のモバイルIPプロトコルが規定されている。このモバイルIPプロトコルは、IPネットワークにおいて移動端末に対してアドレスを動的な割り当て手順と、アドレスの枯渇が生じないアドレスの割り当て手順とを主に規定している。
ここで、アドレスを動的な割り当て手順が必要な理由は、第1に、移動端末が位置情報をいずれかのサブネットに設けられたホームエージェントに登録した後に他のサブネットに移動した場合、移動端末はその最初に位置情報を登録したサブネットと接続できなくなるからである。
また、第2の理由は、パソコンなどの固定装置が、移動端末を指定して通信できることが要請されているからである。
なお、移動通信用の種々のIPプロトコルが検討されて標準化されており、例えば、モバイルIPv4プロトコル(Mobile Internet Protocol Version 4 protocol)などが知られている。
次に、モバイルIPプロトコルの規定は、アドレスの枯渇を回避するために、長いアドレスを割り当てる必要がある。このため、モバイルIPプロトコルは、固定端末について規定するIPv6プロトコル(Internet Protocol Version 6 protocol)を基礎にして検討されている。
ここで、IPv6プロトコルは、階層化アドレスを用いたものであり、アドレスを表すビット数は、通常、128ビットである。具体的には、階層化アドレスは、128ビットのうちの前半と後半と(各64ビット)が、それぞれ、ネットワークプレフィックス(ネットワーク識別子)とホストID(Host Identifier)とを表す。
そして、モバイルIPv6プロトコルは、この階層化アドレスを採用し、IPv6ネットワークにおいて、移動端末の移動に対応して継続的な通信ができるように規定されており、例えば、モバイルIPの基本仕様はIETF(Internet Engineering Task Force:米国の標準化団体)にて規定されている(IPv4,IPv6のそれぞれについて例えば、非特許文献1,2参照)。
このため、モバイルIPv6プロトコルは、移動端末の移動を管理するホームエージェントを規定している。このホームエージェントは、移動端末の移動先(訪問先)においてパケット(IPパケット)を送受信するための気付アドレス(Care−of Address:移動先アドレス。以下、CoAと称する。)を保持(記憶,記録又は登録)している。
図15は従来の移動通信システムの構成図である。この図15に示す移動通信システム400は、IPネットワーク60と、サブネットワーク(ドメイン[Domain1−5])61〜64と、IPネットワーク60およびサブネットワーク61〜64間を接続する複数のルータ65とをそなえ、各サブネットワーク61〜64に属する移動端末#1〜#3が、ルータ65,IPネットワーク60をそれぞれ介して移動通信を行なえるようになっている。
ここで、サブネットワーク61〜64のうちのサブネットワーク61は、各移動端末#1〜#3が通常接続するホームネットワークと呼ばれ、このサブネットワーク61には、移動端末#1〜#3のそれぞれのCoA「b」,「c」,「d」を保持するn台(nは2以上の自然数)のホームエージェント72a,72b,…,72cが設けられている。
ここで、移動端末#1〜#3のCoA「b」,「c」,「d」は、それぞれ、ホームアドレスに対応付けられたバインディングキャッシュ(BC:Binding Cache)としてホームエージェント72aに保持されている。
ホームアドレスとCoAとを概説する。ホームアドレスとは、移動端末#1〜#3が、本来存在するホームネットワークにおけるアドレスであって、例えば図15に示すネットワーク61におけるアドレスである。ホームアドレスの一例は、「100::10」と表され、これらの「100」,「10」がそれぞれネットワークプレフィックス,ホストIDに対応する。
また、CoA「b」,「c」,「d」は、それぞれ、移動端末#1〜#3が、移動先ネットワークにおいて使用するアドレスである。例えばCoA「b」は、移動端末#1がネットワーク62に移動した場合に移動端末#1が使用するアドレスである。
移動端末#3が、他のネットワーク62に移動している移動端末#1に対してパケットを送信する場合、移動端末#3は、移動端末#1のホームアドレス宛にパケットを送信する。移動端末#3は移動端末#1が移動したことを知らないので、移動端末#1がネットワーク61にいるものとして動作する。そして、ホームエージェント72aがそのパケットをインタセプトし代理受信する。ホームエージェント72aは、移動端末#1を保持しているバインディングキャッシュを検索し、移動端末#1の移動先におけるCoAを抽出する。そして、ホームエージェント72aは、抽出したCoA宛に代理受信したパケットをカプセル化して送信する。
図16は従来のホームエージェントの要部を示すブロック図である。この図16に示すホームエージェント72aは、送受信部(送信部および受信部)90と、受け付け処理部(受付処理部)91と、データ保持部300と、主制御部111とをそなえて構成されている。ホームエージェント72b〜72cの構成も同様である。
ここで、受け付け処理部91は、移動端末#1から送信された正常な位置登録要求メッセージ(BU:Binding Update)を受信するとその受け付け処理をするものであって、バインディングキャッシュBC001を生成するBC生成部92を有する。
そして、移動端末#1は、移動端末#1自身のCoAをホームエージェント72aに登録する。また、移動端末#1は、サブネットワーク61(図15参照)からサブネットワーク62に移動すると、再度、ホームエージェント72aに対して新たなCoA「b1」を通知し、ホームエージェント72aは、BC001に新たなCoA「b1」を書き込む。
具体的には、移動端末#1〜#3のCoAが変更された場合、BC001に保持されているCoA「b」は、CoA「b1」によって上書きされる。例えば、ホームアドレス「H」とCoA「b」との対応関係が、ホームアドレス「H」とCoA「b1」との対応関係になると、BC001に保持されるデータイメージは、移動前の「H+b」から、移動後の「H+b1」に遷移する。
また、例えばサブネットワーク64の移動端末#3又は固定端末64aが、移動端末#1のホームアドレスを書き込みしたパケットをホームエージェント72aに対して送信すると、ホームエージェント72aがそのパケットを代理受信(インタセプト)し、BC001を検索してCoA「b1」を抽出する。このインタセプトされたときのパケットは、例えば図18(a)に示すIPヘッダにCoA「b」が書き込まれている。そして、ホームエージェント72aは、この図18(a)に示すパケットの外側に移動端末#1の移動先にて使用するCoA「b1」をパケットに挿入(又は付与)する。CoA「b1」が挿入されたパケットを図18(b)に示す。ホームエージェント72aは、サブネットワーク62に対して、図18(b)に示すパケットフォーマットのパケットをトンネリングし、これにより、移動端末#1と移動端末#3との通信が開始され、メールデータなどが送受信される。
従って、移動端末#3は、移動端末#1の移動先におけるCoAを知る必要はなく、移動端末#1のホームアドレスのみを知っていればよい。換言すれば、ホームエージェント72aは、移動端末#1〜#3のホームネットワーク(サブネットワーク61)に設けられたルータとして機能している。
また、移動端末#2,#3についても移動端末#1の通信方法と同様の方法を用いており、ホームエージェント72b,72cについても同様である。
このように、各移動端末#1〜#3がホームネットワーク61から他のサブネットワーク62などに移動した後においても、ホームエージェント72aの中継機能によって、移動端末#1〜#3は通信を続行できる。
また、加入者数の増加に対応する場合、通信事業者は、ネットワークにおいて、多数の移動端末#1〜#3を管理するホームエージェントの数を増加させることができる。
さらに、モバイルIPv4およびモバイルIPv6の両プロトコルが動作するネットワークに接続された移動端末対応ルータが提案されている(例えば特許文献1)。
この特許文献1記載の移動端末対応ルータは、移動端末宛パケットのカプセル化処理および移動端末に関するモバイルIPメッセージ処理の処理時間を短縮することにより、端末の通信品質劣化の原因となるパケット遅延やパケット廃棄を防ぐ。
http://www.ietf.org/internet−drafts/draft−ietf−mobileip−ipv6−19.txt
しかしながら、ホームエージェント72aなどの数を増加させた場合においても、例えば位置登録などにおいて、特定のホームエージェント72aに、その位置登録の処理が集中する可能性が依然として残る。この理由は、位置情報の登録は、移動端末#1〜#3の主導によって行なわれるからであり、また、移動端末#1〜#3が登録先を決定するからである。
具体的には、n台のホームエージェントのうちの特定のホームエージェント72aが位置登録を開始すると、ホームエージェント72aと移動端末#1〜#3との間における位置登録処理が行なわれる。
ここで、ホームアドレスの割り当て方法は、固定的に移動端末#1〜#3に割り当てる方法のほかに、DHCPクライアント機能を有する端末に対して自動的にアドレスなどを割り当て可能なDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバなどが、各移動端末#1〜#3に対して自動的に割り当てるようにもできる。
CoAの割り当て方法は、移動先ネットワークのFA(Foreign Agent:移動してきた移動端末を管理するサーバ)が割り当てるか、又はIPv6プロトコルの場合は、移動端末#1〜#3自身が自動的に生成するようにもできる。
さらに、位置登録の処理は、ホームエージェントが、移動端末#1〜#3からCoAとホームアドレスとを通知されたものを、バインディングキャッシュ(BC)として登録するだけである。また、CoAおよびホームアドレスは、いずれも、頻繁に送信されるものでもない。従って、一時的に多数の呼がホームエージェント72aに集中した場合においても、その集中による負荷は大きいものではない。
換言すれば、ホームエージェント72aにおける負荷増大の原因は、位置登録処理にあるのではなく、位置登録が同一のホームエージェントに集中した状態において、移動端末#1〜#3に対して送信されるパケット量が増加した場合に、ホームエージェントによる、パケットのインタセプトからパケットのトンネリングまでの各処理が増加するためである。この負荷集中がパケット処理遅延およびパケットロスなどを引き起こすという課題がある。
さらに、図17はパケット転送負荷が局所的に集中する状態を説明するための図である。この図17に示すサブネットワーク61に設けられたホームエージェント72aに対して多数の移動端末#1〜#3が集中して接続する場合と、位置登録が同一のホームエージェントに集中した状態において移動端末#1〜#3へのパケット量が増加した場合とのそれぞれにおいて、やはり、ホームエージェント72aが行なうパケットインタセプトおよびパケットトンネリングなどの各処理が増加する。従って、この処理の増加が、ホームエージェント72aの処理能力を超え、ホームエージェント72aは、パケット処理遅延およびパケットロスなどが発生するという課題がある。
さらに、上記特許文献1記載の技術は、送信元ノードCNが移動端末MNに対してパケットを送信する場合、パケットは、必ず移動端末MNが登録されているホームエージェントを経由し、このホームエージェントにおいてパケットがカプセル化されなければならず、ホームエージェントの負荷が上昇することがある。
しかしながら、ホームエージェント72aなどの数を増加させた場合においても、例えば位置登録などにおいて、特定のホームエージェント72aに、その位置登録の処理が集中する可能性が依然として残る。この理由は、位置情報の登録は、移動端末#1〜#3の主導によって行なわれるからであり、また、移動端末#1〜#3が登録先を決定するからである。
具体的には、n台のホームエージェントのうちの特定のホームエージェント72aが位置登録を開始すると、ホームエージェント72aと移動端末#1〜#3との間における位置登録処理が行なわれる。
ここで、ホームアドレスの割り当て方法は、固定的に移動端末#1〜#3に割り当てる方法のほかに、DHCPクライアント機能を有する端末に対して自動的にアドレスなどを割り当て可能なDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバなどが、各移動端末#1〜#3に対して自動的に割り当てるようにもできる。
CoAの割り当て方法は、移動先ネットワークのFA(Foreign Agent:移動してきた移動端末を管理するサーバ)が割り当てるか、又はIPv6プロトコルの場合は、移動端末#1〜#3自身が自動的に生成するようにもできる。
さらに、位置登録の処理は、ホームエージェントが、移動端末#1〜#3からCoAとホームアドレスとを通知されたものを、バインディングキャッシュ(BC)として登録するだけである。また、CoAおよびホームアドレスは、いずれも、頻繁に送信されるものでもない。従って、一時的に多数の呼がホームエージェント72aに集中した場合においても、その集中による負荷は大きいものではない。
換言すれば、ホームエージェント72aにおける負荷増大の原因は、位置登録処理にあるのではなく、位置登録が同一のホームエージェントに集中した状態において、移動端末#1〜#3に対して送信されるパケット量が増加した場合に、ホームエージェントによる、パケットのインタセプトからパケットのトンネリングまでの各処理が増加するためである。この負荷集中がパケット処理遅延およびパケットロスなどを引き起こすという課題がある。
さらに、図17はパケット転送負荷が局所的に集中する状態を説明するための図である。この図17に示すサブネットワーク61に設けられたホームエージェント72aに対して多数の移動端末#1〜#3が集中して接続する場合と、位置登録が同一のホームエージェントに集中した状態において移動端末#1〜#3へのパケット量が増加した場合とのそれぞれにおいて、やはり、ホームエージェント72aが行なうパケットインタセプトおよびパケットトンネリングなどの各処理が増加する。従って、この処理の増加が、ホームエージェント72aの処理能力を超え、ホームエージェント72aは、パケット処理遅延およびパケットロスなどが発生するという課題がある。
さらに、上記特許文献1記載の技術は、送信元ノードCNが移動端末MNに対してパケットを送信する場合、パケットは、必ず移動端末MNが登録されているホームエージェントを経由し、このホームエージェントにおいてパケットがカプセル化されなければならず、ホームエージェントの負荷が上昇することがある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、複数のホームエージェント装置が設けられたIPネットワークにおいて、リソースの有効利用および低コスト化が図れ、また、負荷分散と、ホームエージェント装置の性能を維持してネットワーク信頼性を向上させることとが可能な、ホームエージェント装置,移動通信システムおよび負荷分散方法を提供することを目的とする。
このため、本発明のホームエージェント装置は、移動端末の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを移動端末に対して転送する複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置であって、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域を有する第1保持部と、上記の第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第1負荷情報とに基づいて、複数のホームエージェント装置のうちの第2ホームエージェント装置と複数の領域のうちの転送用の領域とを選択する選択部と、選択部にて選択された転送用の領域を第2ホームエージェント装置に対して送信するとともに、移動端末に対して第2パケットを送信する送信部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、ホームエージェント装置の処理能力を最大限まで引き出し、リソースの有効利用が図れるため、移動通信システムを低コストで実現できる。
ここで、選択部は、バインディングキャッシュ負荷情報に基づいて転送用の領域を選択するバインディングキャッシュ選択制御部と、第2ホームエージェント装置を選択するホームエージェント選択制御部とをそなえて構成されてもよく、このようにすれば、特定のホームエージェント装置に対する負荷集中が回避され、ネットワークに対する信頼性が向上する。
また、バインディングキャッシュ選択制御部は、第2パケットを移動端末に対してトンネリングしているときのパケット転送量の履歴に基づいて複数の領域を選択するように構成されてもよく、このようにすれば、保守又は管理する場合、特定のホームエージェント装置を停止させた状態で作業が可能になり、保守作業が容易になる。
さらに、ホームエージェント選択制御部は、ホームエージェント負荷情報を、自局の負荷増大の監視と、バインディングキャッシュ受け入れ依頼信号の受信時に受け入れ可能又は受け入れ不可能の判定と、受け入れ可能な該バインディングキャッシュ負荷情報の算出とに用いるように構成されてもよく、あるいは、第1ホームエージェント装置の転送用の領域を含む分散処理依頼について第2ホームエージェント装置が第1ホームエージェント装置に対して送信した折り返し信号に基づいて、第2ホームエージェント装置を選択するように構成されてもよく、このようにすれば、特定のホームエージェント装置に対する負荷集中を回避でき、ネットワークの信頼性が向上し、また、特定のホームエージェント装置を停止する保守が容易になる。
また、第1保持部は、転送状態として、第1ホームエージェント装置が第2ホームエージェント装置に対して変換データを転送している転送中状態,第2ホームエージェント装置が変換データを保持している受信中状態,第1ホームエージェント装置が第2ホームエージェント装置から受信完了を受信した転送後状態および通常状態を少なくとも含むように構成されてもよく、このようにすれば、移動端末のホームエージェント装置が他のホームエージェント装置に切り替えられるときに、送信元ノードと移動端末との間の通信切断時間が抑制される。
また、本発明のホームエージェント装置は、上記の第2ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持するバインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第2負荷情報を収集する収集部と、複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置から送信された変換データの処理についての分散処理依頼を受信する受信部と、受信部にて受信された分散処理依頼に含まれる第1負荷情報と、収集部にて収集された第2負荷情報とに基づいて、分散処理依頼の受け入れ可否を判定する判定部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、各ホームエージェント装置のメモリなどのリソースの有効利用が図られ、低コスト化を促進できる。
ここで、収集部は、第2負荷情報を保持する保有データ部を有し、判定部が、保有データ部に保持された第2負荷情報に基づいて、分散処理依頼の受け入れ可否を判定するように構成されてもよく、このようにすれば、ホームエージェント装置の切り替え時において通信切断が回避される。
また、判定部は、受信部にて受信された分散処理依頼の優先度が高い場合は、バインディングキャッシュ負荷情報に基づいて、受け入れ可能なパケット転送量を計算するように構成されてもよく、このようにすれば、ホームエージェント装置は、緊急時の対応が可能となり、自己診断により動作が不安定であることを判断でき、確実な通信が確保できる。
さらに、本発明のホームエージェント装置は、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域を有する第1保持部と、複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置から送信された変換データの処理についての分散処理依頼を受信する受信部と、上記の第2ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持するバインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第2負荷情報を収集する収集部と、上記の第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第1負荷情報とに基づいて、複数のホームエージェント装置のうちの第2ホームエージェント装置と複数の領域のうちの転送用の領域とを選択する選択部と、受信部にて受信された分散処理依頼に含まれる第1負荷情報と、収集部にて収集された第2負荷情報とに基づいて、分散処理依頼の受け入れ可否を判定する判定部と、選択部にて選択された転送用の領域を第2ホームエージェント装置に対して送信するとともに、移動端末に対して第2パケットを送信する送信部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、切り替え対象の移動端末の選択にあたり、複数のホームエージェント装置は、いずれも、自分自身以外の切り替え先のホームエージェント装置の負荷に応じて柔軟に選択できる。
そして、本発明のホームエージェント装置は、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データを用いて移動端末側又は他のホームエージェント装置側とパケットを送受信する送受信部と、第1保持部にて保持された複数の変換データと、複数の変換データのそれぞれについての転送処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けた各領域を複数有する保持部と、ホームエージェント装置自身の第1負荷情報と他のホームエージェント装置の第2負荷情報とに基づいて、他のホームエージェント装置から依頼された複数の領域BCを受け入れる分散処理受け入れ部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、特定のホームエージェント装置が負荷の増大によって、ダウンすることが回避され、安定した通信環境が確保される。
加えて、上記の第1ホームエージェント装置と第2ホームエージェント装置との各送信部は、複数の領域に保持されたバインディングデータを保持したまま転送状態を変更してパケット転送を制御するように構成されてもよく、このようにすれば、移動端末のホームエージェント装置が他のホームエージェント装置に切り替えられるときに生じる可能性がある送信元ノードと移動端末との間の通信切断時間が抑制される。
さらに、本発明の移動通信システムは、複数のホームエージェント装置をそなえた移動通信システムであって、複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置が、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域を有する第1保持部と、上記の第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第1負荷情報とに基づいて、複数のホームエージェント装置のうちの第2ホームエージェント装置と複数の領域のうちの転送用の領域とを選択する選択部と、選択部にて選択された転送用の領域を第2ホームエージェント装置に対して送信するとともに、移動端末に対して第2パケットを送信する送信部とをそなえ、さらに、複数のホームエージェント装置のうちの第2ホームエージェント装置が、上記の第2ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持するバインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第2負荷情報を収集する収集部と、複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置から送信された変換データの処理についての分散処理依頼を受信する受信部と、受信部にて受信された分散処理依頼に含まれる第1負荷情報と、収集部にて収集された第2負荷情報とに基づいて、分散処理依頼の受け入れ可否を判定する判定部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、ホームエージェント装置が複数台設けられたときにおいて、各ホームエージェント装置は、いずれも、自律的に負荷分散が可能となり、また、各ホームエージェント装置の能力は、いずれも、最大限まで引き出すことができる。
また、本発明の負荷分散方法は、複数のホームエージェント装置間における負荷分散方法であって、第1ホームエージェント装置において、受け入れ可否を判定する第1判定部が、第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報の許容量の超過を検出する許容量超過ステップと、許容量超過ステップにて超過が検出されると選択部が、第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報とバインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第1負荷情報とに基づいて、第2ホームエージェント装置とバインディングデータを保持する複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択ステップと、第1ホームエージェント選択制御部が、第2ホームエージェント装置に対して受け入れ依頼を送信する送信ステップとをそなえ、第2ホームエージェント装置において、第2ホームエージェント選択制御部が、送信ステップにて送信された受け入れ依頼から転送用のバインディングキャッシュ負荷情報を抽出する抽出ステップと、受け入れ可否を判定する第2判定部が、抽出した転送用のバインディングキャッシュ負荷情報と第1ホームエージェント装置のホームエージェント負荷情報とに基づいて受け入れを判定する受け入れ判定ステップと、受け入れ判定ステップにて受け入れ可能と判定された場合、第2ホームエージェント選択制御部が、第1ホームエージェント装置に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号を送信する応答信号送信ステップとをそなえ、第1ホームエージェント装置において、応答信号送信ステップにて送信されたバインディングキャッシュ受け入れ応答信号を受信すると、第1ホームエージェント選択制御部が、第2ホームエージェント装置に対してバインディングキャッシュを転送する転送ステップとをそなえたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、一時的に多数の呼が特定のホームエージェント装置に集中した場合において、その特定のホームエージェント装置は、負荷がBC処理能力を超えることを事前に認識し、BCを転送するので、ホームエージェント装置に対する負荷集中が回避される。
また、第1ホームエージェント装置において、送信制御部がバインディングキャッシュ送信信号を第2ホームエージェント装置に転送し転送用の各バインディングキャッシュの各状態を設定する状態設定ステップと、第2ホームエージェント装置において、受信制御部が、送信信号に含まれる転送を登録し、また、転送の複数の状態のうちの1個の状態に変更処理をする状態変更処理ステップと、受信制御部が、第1ホームエージェント装置に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号を送信する応答信号送信ステップと、第1ホームエージェント装置において、送信制御部が、応答信号を受信する応答信号受信ステップと、送信制御部が、1又は複数の転送バインディングキャッシュ削除する削除ステップと、第1ホームエージェント装置において、受信制御部が、削除ステップにおける削除の確認応答を受信する応答受信ステップとをそなえてもよく、このようにすれば、負荷集中の回避によって、パケット処理遅延およびパケットロスの発生を防止できる。
このため、本発明のホームエージェント装置は、移動端末の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを移動端末に対して転送する複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置であって、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域を有する第1保持部と、上記の第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第1負荷情報とに基づいて、複数のホームエージェント装置のうちの第2ホームエージェント装置と複数の領域のうちの転送用の領域とを選択する選択部と、選択部にて選択された転送用の領域を第2ホームエージェント装置に対して送信するとともに、移動端末に対して第2パケットを送信する送信部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、ホームエージェント装置の処理能力を最大限まで引き出し、リソースの有効利用が図れるため、移動通信システムを低コストで実現できる。
ここで、選択部は、バインディングキャッシュ負荷情報に基づいて転送用の領域を選択するバインディングキャッシュ選択制御部と、第2ホームエージェント装置を選択するホームエージェント選択制御部とをそなえて構成されてもよく、このようにすれば、特定のホームエージェント装置に対する負荷集中が回避され、ネットワークに対する信頼性が向上する。
また、バインディングキャッシュ選択制御部は、第2パケットを移動端末に対してトンネリングしているときのパケット転送量の履歴に基づいて複数の領域を選択するように構成されてもよく、このようにすれば、保守又は管理する場合、特定のホームエージェント装置を停止させた状態で作業が可能になり、保守作業が容易になる。
さらに、ホームエージェント選択制御部は、ホームエージェント負荷情報を、自局の負荷増大の監視と、バインディングキャッシュ受け入れ依頼信号の受信時に受け入れ可能又は受け入れ不可能の判定と、受け入れ可能な該バインディングキャッシュ負荷情報の算出とに用いるように構成されてもよく、あるいは、第1ホームエージェント装置の転送用の領域を含む分散処理依頼について第2ホームエージェント装置が第1ホームエージェント装置に対して送信した折り返し信号に基づいて、第2ホームエージェント装置を選択するように構成されてもよく、このようにすれば、特定のホームエージェント装置に対する負荷集中を回避でき、ネットワークの信頼性が向上し、また、特定のホームエージェント装置を停止する保守が容易になる。
また、第1保持部は、転送状態として、第1ホームエージェント装置が第2ホームエージェント装置に対して変換データを転送している転送中状態,第2ホームエージェント装置が変換データを保持している受信中状態,第1ホームエージェント装置が第2ホームエージェント装置から受信完了を受信した転送後状態および通常状態を少なくとも含むように構成されてもよく、このようにすれば、移動端末のホームエージェント装置が他のホームエージェント装置に切り替えられるときに、送信元ノードと移動端末との間の通信切断時間が抑制される。
また、本発明のホームエージェント装置は、上記の第2ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持するバインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第2負荷情報を収集する収集部と、複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置から送信された変換データの処理についての分散処理依頼を受信する受信部と、受信部にて受信された分散処理依頼に含まれる第1負荷情報と、収集部にて収集された第2負荷情報とに基づいて、分散処理依頼の受け入れ可否を判定する判定部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、各ホームエージェント装置のメモリなどのリソースの有効利用が図られ、低コスト化を促進できる。
ここで、収集部は、第2負荷情報を保持する保有データ部を有し、判定部が、保有データ部に保持された第2負荷情報に基づいて、分散処理依頼の受け入れ可否を判定するように構成されてもよく、このようにすれば、ホームエージェント装置の切り替え時において通信切断が回避される。
また、判定部は、受信部にて受信された分散処理依頼の優先度が高い場合は、バインディングキャッシュ負荷情報に基づいて、受け入れ可能なパケット転送量を計算するように構成されてもよく、このようにすれば、ホームエージェント装置は、緊急時の対応が可能となり、自己診断により動作が不安定であることを判断でき、確実な通信が確保できる。
さらに、本発明のホームエージェント装置は、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域を有する第1保持部と、複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置から送信された変換データの処理についての分散処理依頼を受信する受信部と、上記の第2ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持するバインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第2負荷情報を収集する収集部と、上記の第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第1負荷情報とに基づいて、複数のホームエージェント装置のうちの第2ホームエージェント装置と複数の領域のうちの転送用の領域とを選択する選択部と、受信部にて受信された分散処理依頼に含まれる第1負荷情報と、収集部にて収集された第2負荷情報とに基づいて、分散処理依頼の受け入れ可否を判定する判定部と、選択部にて選択された転送用の領域を第2ホームエージェント装置に対して送信するとともに、移動端末に対して第2パケットを送信する送信部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、切り替え対象の移動端末の選択にあたり、複数のホームエージェント装置は、いずれも、自分自身以外の切り替え先のホームエージェント装置の負荷に応じて柔軟に選択できる。
そして、本発明のホームエージェント装置は、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データを用いて移動端末側又は他のホームエージェント装置側とパケットを送受信する送受信部と、第1保持部にて保持された複数の変換データと、複数の変換データのそれぞれについての転送処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けた各領域を複数有する保持部と、ホームエージェント装置自身の第1負荷情報と他のホームエージェント装置の第2負荷情報とに基づいて、他のホームエージェント装置から依頼された複数の領域BCを受け入れる分散処理受け入れ部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、特定のホームエージェント装置が負荷の増大によって、ダウンすることが回避され、安定した通信環境が確保される。
加えて、上記の第1ホームエージェント装置と第2ホームエージェント装置との各送信部は、複数の領域に保持されたバインディングデータを保持したまま転送状態を変更してパケット転送を制御するように構成されてもよく、このようにすれば、移動端末のホームエージェント装置が他のホームエージェント装置に切り替えられるときに生じる可能性がある送信元ノードと移動端末との間の通信切断時間が抑制される。
さらに、本発明の移動通信システムは、複数のホームエージェント装置をそなえた移動通信システムであって、複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置が、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域を有する第1保持部と、上記の第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第1負荷情報とに基づいて、複数のホームエージェント装置のうちの第2ホームエージェント装置と複数の領域のうちの転送用の領域とを選択する選択部と、選択部にて選択された転送用の領域を第2ホームエージェント装置に対して送信するとともに、移動端末に対して第2パケットを送信する送信部とをそなえ、さらに、複数のホームエージェント装置のうちの第2ホームエージェント装置が、上記の第2ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報と、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持するバインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第2負荷情報を収集する収集部と、複数のホームエージェント装置のうちの第1ホームエージェント装置から送信された変換データの処理についての分散処理依頼を受信する受信部と、受信部にて受信された分散処理依頼に含まれる第1負荷情報と、収集部にて収集された第2負荷情報とに基づいて、分散処理依頼の受け入れ可否を判定する判定部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、ホームエージェント装置が複数台設けられたときにおいて、各ホームエージェント装置は、いずれも、自律的に負荷分散が可能となり、また、各ホームエージェント装置の能力は、いずれも、最大限まで引き出すことができる。
また、本発明の負荷分散方法は、複数のホームエージェント装置間における負荷分散方法であって、第1ホームエージェント装置において、受け入れ可否を判定する第1判定部が、第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報の許容量の超過を検出する許容量超過ステップと、許容量超過ステップにて超過が検出されると選択部が、第1ホームエージェント装置自身のホームエージェント負荷情報とバインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報とからなる第1負荷情報とに基づいて、第2ホームエージェント装置とバインディングデータを保持する複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択ステップと、第1ホームエージェント選択制御部が、第2ホームエージェント装置に対して受け入れ依頼を送信する送信ステップとをそなえ、第2ホームエージェント装置において、第2ホームエージェント選択制御部が、送信ステップにて送信された受け入れ依頼から転送用のバインディングキャッシュ負荷情報を抽出する抽出ステップと、受け入れ可否を判定する第2判定部が、抽出した転送用のバインディングキャッシュ負荷情報と第1ホームエージェント装置のホームエージェント負荷情報とに基づいて受け入れを判定する受け入れ判定ステップと、受け入れ判定ステップにて受け入れ可能と判定された場合、第2ホームエージェント選択制御部が、第1ホームエージェント装置に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号を送信する応答信号送信ステップとをそなえ、第1ホームエージェント装置において、応答信号送信ステップにて送信されたバインディングキャッシュ受け入れ応答信号を受信すると、第1ホームエージェント選択制御部が、第2ホームエージェント装置に対してバインディングキャッシュを転送する転送ステップとをそなえたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、一時的に多数の呼が特定のホームエージェント装置に集中した場合において、その特定のホームエージェント装置は、負荷がBC処理能力を超えることを事前に認識し、BCを転送するので、ホームエージェント装置に対する負荷集中が回避される。
また、第1ホームエージェント装置において、送信制御部がバインディングキャッシュ送信信号を第2ホームエージェント装置に転送し転送用の各バインディングキャッシュの各状態を設定する状態設定ステップと、第2ホームエージェント装置において、受信制御部が、送信信号に含まれる転送を登録し、また、転送の複数の状態のうちの1個の状態に変更処理をする状態変更処理ステップと、受信制御部が、第1ホームエージェント装置に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号を送信する応答信号送信ステップと、第1ホームエージェント装置において、送信制御部が、応答信号を受信する応答信号受信ステップと、送信制御部が、1又は複数の転送バインディングキャッシュ削除する削除ステップと、第1ホームエージェント装置において、受信制御部が、削除ステップにおける削除の確認応答を受信する応答受信ステップとをそなえてもよく、このようにすれば、負荷集中の回避によって、パケット処理遅延およびパケットロスの発生を防止できる。
図1は本発明の一実施形態に係る移動通信システムの構成図である。
図2は本発明の一実施形態に係るホームエージェントのブロック図である。
図3は本発明の一実施形態に係るHA負荷情報の生成および負荷判定処理を説明するための図である。
図4は本発明の一実施形態に係るBC負荷情報の収集処理を説明するための図である
図5は本発明の一実施形態に係るBCの受け入れ判定処理を説明するための図である。
図6は本発明の一実施形態に係る緊急時における受け入れ判定処理を説明するための図である。
図7(a)は本発明の一実施形態に係るBCの領域を説明するための図である。
図7(b)は本発明の一実施形態に係るBC負荷情報が保有するデータ例を示す図である。
図7(c)は本発明の一実施形態に係るホームエージェント負荷情報が保有するデータ例を示す図である。
図8(a)は本発明の一実施形態に係るBC受け入れ依頼信号のフォーマットを示す図である。
図8(b)は本発明の一実施形態に係るBC緊急受け入れ依頼信号のフォーマットを示す図である。
図9(a),図9(b)はいずれも本発明の一実施形態に係るBC受け入れ応答信号のフォーマットを示す図である。
図9(c)は本発明の一実施形態に係るBC緊急受け入れ応答信号のフォーマットを示す図である。
図10(a)は本発明の一実施形態に係るBC送信信号のフォーマットを示す図である。
図10(b)は本発明の一実施形態に係るBC受信確認信号のフォーマットを示す図である。
図10(c)は本発明の一実施形態に係るBC削除通知信号のフォーマットを示す図である。
図10(d)は本発明の一実施形態に係るBC転送完了信号のフォーマットを示す図である。
図11は本発明の一実施形態に係る受け入れ先があるときのBC選択制御方法を説明するためのフローチャートである。
図12は本発明の一実施形態に係る受け入れ先がないときのBC選択制御方法を説明するためのフローチャートである。
図13は本発明の一実施形態に係る緊急時の転送BCの選択方法を説明するためのフローチャートである。
図14は本発明の一実施形態に係る転送先ホームエージェント決定後のBCの転送処理を説明するためのフローチャートである。
図15は従来の移動通信システムの構成図である。
図16は従来のホームエージェントの要部を示すブロック図である。
図17はパケット転送負荷が局所的に集中する状態を説明するための図である。
図18(a)は受信パケットの概略的なフォーマットを示す図である。
図18(b)は受信パケットの外側に気付アドレスを挿入されたパケットのフォーマットを示す図である。
図19は従来の移動通信システムにおけるパケットの転送方法を説明するための図である。
図20は本発明の一実施形態に係るパケットの転送方法を説明するための図である。
図2は本発明の一実施形態に係るホームエージェントのブロック図である。
図3は本発明の一実施形態に係るHA負荷情報の生成および負荷判定処理を説明するための図である。
図4は本発明の一実施形態に係るBC負荷情報の収集処理を説明するための図である
図5は本発明の一実施形態に係るBCの受け入れ判定処理を説明するための図である。
図6は本発明の一実施形態に係る緊急時における受け入れ判定処理を説明するための図である。
図7(a)は本発明の一実施形態に係るBCの領域を説明するための図である。
図7(b)は本発明の一実施形態に係るBC負荷情報が保有するデータ例を示す図である。
図7(c)は本発明の一実施形態に係るホームエージェント負荷情報が保有するデータ例を示す図である。
図8(a)は本発明の一実施形態に係るBC受け入れ依頼信号のフォーマットを示す図である。
図8(b)は本発明の一実施形態に係るBC緊急受け入れ依頼信号のフォーマットを示す図である。
図9(a),図9(b)はいずれも本発明の一実施形態に係るBC受け入れ応答信号のフォーマットを示す図である。
図9(c)は本発明の一実施形態に係るBC緊急受け入れ応答信号のフォーマットを示す図である。
図10(a)は本発明の一実施形態に係るBC送信信号のフォーマットを示す図である。
図10(b)は本発明の一実施形態に係るBC受信確認信号のフォーマットを示す図である。
図10(c)は本発明の一実施形態に係るBC削除通知信号のフォーマットを示す図である。
図10(d)は本発明の一実施形態に係るBC転送完了信号のフォーマットを示す図である。
図11は本発明の一実施形態に係る受け入れ先があるときのBC選択制御方法を説明するためのフローチャートである。
図12は本発明の一実施形態に係る受け入れ先がないときのBC選択制御方法を説明するためのフローチャートである。
図13は本発明の一実施形態に係る緊急時の転送BCの選択方法を説明するためのフローチャートである。
図14は本発明の一実施形態に係る転送先ホームエージェント決定後のBCの転送処理を説明するためのフローチャートである。
図15は従来の移動通信システムの構成図である。
図16は従来のホームエージェントの要部を示すブロック図である。
図17はパケット転送負荷が局所的に集中する状態を説明するための図である。
図18(a)は受信パケットの概略的なフォーマットを示す図である。
図18(b)は受信パケットの外側に気付アドレスを挿入されたパケットのフォーマットを示す図である。
図19は従来の移動通信システムにおけるパケットの転送方法を説明するための図である。
図20は本発明の一実施形態に係るパケットの転送方法を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A)本発明の一実施形態の説明
図1は本発明の一実施形態に係る移動通信システムの構成図である。この図1に示す移動通信システム9は、移動端末#1〜#3の本拠地を表すホームアドレス付きのパケット(IPパケット)を代理受信しホームアドレスに対応付けられたCoA(気付アドレス)付きのパケットを移動端末#1〜#3に対して転送するn台のホームエージェント装置(ホームエージェント)#1〜#nをそなえたものであって、送信元ノード(Correspondent Node:CN,相手ノード,ピアノード)#1〜#3と、IPネットワーク60と、サブネットワーク10,62〜64と、移動端末#1〜#3と、複数のルータ65とをそなえて構成されている。
(1)移動通信システム9の構成
移動通信システム9は、例えばモバイルIPv6プロトコルを用いており、移動端末#1〜#3は、いずれも、一定期間変更されないホームアドレスを割り当てられている。各移動端末#1〜#3は、それぞれ、固定的にホームネットワーク配下となるアドレスが割り当てられている。
移動端末#1〜#3は、それぞれ、ホームネットワーク(後述する例えばサブネットワーク10)のホームエージェントに対して位置登録を行なう。ホームアドレスは、固定的に移動端末#1〜#3自身が予めもっている場合と、移動端末#1〜#3が最初に接続したサブネットワークに設けられたDHCPサーバによって割り当てられる場合との各場合において得られる。また、移動端末#1〜#3は、DHCPサーバによってホームアドレスが割り当てられた場合、その割り当てられたDHCPサーバが属するサブネットワークに属する。
これにより、移動端末#1〜#3は、いずれも、ホームネットワーク(サブネットワーク10)に属する。以下の説明においては、移動端末#1〜#3のホームネットワークはサブネットワーク10であるものとして説明する。
なお、移動端末#1〜#3が位置登録を行なうホームエージェントは、ホームネットワークに属するいずれかのホームエージェントを用いてもよい。
(1−1)送信元ノード#1〜#3
送信元ノード#1〜#3は、いずれも、移動端末#1〜#3と通信するものであって、例えば企業,学校又は官庁などに設けられたホストサーバ、ユーザが電話回線を介してアクセスする通信事業者(サービス提供者)に設けられたサーバ、又はアドレスを用いてパケット転送するルータである。
そして、例えば、ユーザが送信元ノード#1を用いて電子メールデータ(メールデータ)又はファイルデータを移動端末#1〜#3に対して送信すると、そのメールデータなどは、ルータ65を介して、サブネットワーク10に転送される。
(1−2)サブネットワーク10,62〜64
サブネットワーク10,62〜64は、例えば企業,官庁などの私的又は専用のネットワークであって、サブネットワーク10,62〜64におけるパケットの転送と、IPネットワーク60とのパケットの中継転送とを行なうものである。これらのサブネットワーク10,62〜64は、いずれも、複数のパソコン,ワークステーション,LAN(Local Area Network)およびルータを有する。
(1−3)ホームネットワークとしてのサブネットワーク10
サブネットワーク10は、移動端末#1〜#3のホームネットワークとして機能するほかに、サブネットワーク62〜64のそれぞれと同一機能を有する。各移動端末#1〜#3は、いずれも、固定的にホームネットワーク配下となるアドレスが割り当てられている。例えば、ユーザが特定の部屋にいるとき、又はユーザがサブネットワーク10の通信圏内において移動するときなどは、サブネットワーク10に接続し続ける。そして、このサブネットワーク10は、移動端末#1〜#3のそれぞれのCoA(気付アドレス)として例えば「b」,「c」,「d」を保持するホームエージェント#1〜#nをn台有する。
(1−4)転送元ホームエージェントおよび転送先ホームエージェント
ホームエージェント#1〜#nは、いずれも、同一構成であり、転送元のホームエージェント(転送元ホームエージェント)としての機能と、転送先のホームエージェント(転送先ホームエージェント)としての機能とを有する。
(1−4−1)転送元ホームエージェント
ホームエージェント#1が実際に移動させるものは、BCデータであり、処理自体の移動はデータの移動に付随して行なわれる。処理の一例は、ホームアドレスからCoAへの変換又はトンネリング処理などである。例えばホームエージェント#1は、ホームエージェント#1自身の負荷のうちの例えば大きい負荷についての処理をホームエージェント#2〜#nの一部又は全部に対して、ホームアドレスとCoAとの変換処理(BC処理)を依頼するメッセージ信号(分散処理依頼。なお、特に断らない限り、BC受け入れ依頼信号と呼ぶ。)を送信する機能を有する。
そして、ホームエージェント#1は、BC処理の受け入れを依頼するために、ホームエージェント#2〜#nのうちのいずれかのホームエージェント#i(iは2以上n以下の自然数を表す。)を、BC負荷情報(バインディングキャッシュ負荷情報)およびHA負荷情報に基づいて選択する。例えば、ホームエージェント#1は、転送用のBC領域を含むBC受け入れ依頼信号を、ホームエージェント#2に対して送信する。
ここで、ホームエージェント#2は、そのBC受け入れ依頼信号について受け入れが可能か否かを判定し、その判定結果をホームエージェント#1に対して送信する。ホームエージェント#1は、転送先ホームエージェント#2からの折り返し信号(応答結果)が受け入れ可能であるときは、ホームエージェント#2を転送先ホームエージェント#2として確定する。
さらに、ホームエージェント#1は、全てのホームエージェント#2〜#nから送信されたn個の折り返し信号を受信すると、その折り返し信号に含まれる受け入れ可能なBC領域の大きさを抽出し、その抽出したBC領域により表された負荷とホームエージェント#1自身の依頼済みの負荷とを比較して、転送先ホームエージェントを決定する。すなわち、各ホームエージェント#1〜#nは、それぞれ、自分以外のホームエージェント#1〜#nに対してBC受け入れ依頼信号を送信し、また、送信したホームエージェント#1〜#n以外の別個のホームエージェント#1〜#nから送信された応答結果に基づいて転送先ホームエージェントを選択するのである。
(1−4−2)転送先ホームエージェント
一方、ホームエージェント#1〜#nは、いずれも、転送先ホームエージェントとして動作し、BC受け入れ依頼信号を受信して処理する機能をも有する。
例えばホームエージェント#1は、ホームエージェント#2〜#nの一部又は全部から送信された負荷処理の依頼について、受諾又は拒否を示す応答メッセージを他のホームエージェント#2〜#nに送信する。さらに詳述すると、ホームエージェント#1は、ホームエージェント#2〜#nからのBC受け入れ依頼信号を受信すると、そのBC受け入れ依頼信号に含まれる、処理依頼するBC負荷情報とホームエージェント#1自身のHA負荷情報とを比較し、転送先ホームエージェントとして動作可能か否かを表す応答メッセージをBC受け入れ応答信号に含め、このBC受け入れ応答信号をホームエージェント#2〜#nに対して送信する。ここで、負荷情報は、転送先ホームエージェントの後述するホームエージェント負荷測定部(収集部)100にて測定された情報に基づいて計算される。
従って、転送先ホームエージェント#2は、転送元ホームエージェント#1が転送先ホームエージェントを選択するための情報を提供している。
一方、ホームエージェント#2〜#nは、いずれも、転送元ホームエージェントおよび転送先ホームエージェントの両機能を有する。
(1−4−3)ホームエージェント#2
ホームエージェント#2は、ホームアドレスとCoAとを変換する複数の変換データを用いて移動端末#1〜#3側又は他のホームエージェント側とパケットを送受信する送受信部90aと、BC001にて保持された複数の変換データと、複数の変換データのそれぞれについての転送処理状態とを対応付けた各BC領域を複数有する保有データ部(保持部)300と、ホームエージェント#1自身の第1負荷情報(002,003)とホームエージェント#2の第2負荷情報(002,003)とに基づいて、ホームエージェント#2から依頼された複数の領域BCを受け入れる分散処理受け入れ部100とをそなえて構成されている。ここで、実際に受け入れられるものは、BCデータであって、このBCデータの移動に付随して分散処理が受け入れられる。
以下、ホームエージェント#1,#2は、それぞれ、転送元ホームエージェント,転送先ホームエージェントとして機能するものとして説明する。
このように、複数のホームエージェント#1〜#nが設けられた場合において、各ホームエージェント#1〜#nの能力は、最大限まで引き出すことが可能となる。
さらに、各ホームエージェント#1〜#nのメモリなどのリソースの有効利用が図られ、低コスト化を促進できる。
(1−4−4)位置登録
移動端末#1がホームネットワーク10からサブネットワーク61,62に移動する場合を例として、位置登録を説明する。
移動端末#1は、サブネットワーク61に設けられた無線通信機能を有するアクセスルータ(図示省略)からのサブネットワーク61自身の識別情報を含むルータ広告メッセージを受信し、これにより、移動端末#1の移動先(訪問先)のサブネットワーク61を検出又は認識する。ここで、ルータ広告メッセージは、周期的又は移動端末#1からの位置登録要求に対して応答するときに送信される。
移動端末#1の新たなCoA(例えば、「b」)は、移動端末#1が自ら生成する方法と、ネットワーク側のサブネットワークが生成したCoA「b」を含むルータ広告メッセージから抽出する方法とのいずれかによって取得する。
移動端末#1は、接続しているサブネットワークが変更されたことを認識すると、ホームエージェント#1に対して、位置登録要求メッセージ(BU)を送信する。ホームエージェント#1は、その位置登録要求メッセージに含まれるCoA「b」を抽出し、CoA「b」をBC(Binding Cache:BC)001に保持し、これにより、位置登録が完了する。
次に、移動端末#1が、サブネットワーク61からサブネットワーク62に移動すると、移動端末#1は、ホームエージェント#1に対して新たなCoA「b1」を通知し、ホームエージェント#1は、BC001に保持されたCoA「b」を新たなCoA「b1」に更新する。また、ホームエージェント#1は、バインディング応答パケットを移動端末#1に送信し、これにより、移動端末#1は、位置登録の完了を認識する。
(1−5)ホームエージェント#1
(1−5−1)ホームエージェント#1の機能
本発明のホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられたCoA付きの第2パケットを移動端末#1〜#3に対して転送するn台のホームエージェント#1〜nのうちの1つである。このホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3との通信機能と、他のホームエージェント#2〜#nのそれぞれと、以下に詳述する負荷情報(BC負荷情報およびHA負荷情報)を通信する機能とを有する。
移動端末#1〜#3と通信する機能として、ホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3の位置登録データ(移動端末#1〜#3のホームアドレスおよび移動端末#1〜#3のCoA:位置情報とも呼ぶ。)の保持と、この位置登録データに基づいて、移動端末#1〜#3に対して、例えば送信元ノード#1から送信されたパケットを代理受信(インタセプト)し、そのパケットを移動端末#1に対して転送する。
また、ホームエージェント#1は、他のホームエージェント#2〜#nのそれぞれと、HA負荷情報およびBC負荷情報からなる負荷情報をメッセージの交換により交換する。ホームエージェント#1は、ホームエージェント#1自身のHA負荷情報およびBC負荷情報を他のホームエージェント#2〜#nに対して送信し、また、他のホームエージェント#2〜#nから送信された各ホームエージェント#2〜#n自身のHA負荷情報およびBC負荷情報を受信する。
ここで、ホームエージェント#1と他のホームエージェント#2〜#nとの通信データは、情報データおよび制御データの両データである。この情報データは、以下に示すバインディングキャッシュ(Binding Cache:BC)に保持されたデータであり、また、制御データはホームエージェント#1がホームエージェント#1自身が測定した負荷に関する情報(負荷情報,負荷状態又は負荷状況)を含むデータである。
従って、本発明のホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3と通信する通常機能に加えて、他のホームエージェント#2〜#nとも通信できるようになっている。なお、ホームエージェント#1の構成については、図2などを参照して後述する。
(1−5−2)BC(バインディングキャッシュ)001
BC001は、移動端末#1〜#3のホームアドレス,CoAおよび登録の有効時間などを保持するメモリ(バッファ)であって、ホームエージェント#1が移動端末#1〜#3からバインディング要求メッセージを受信したときに作成される。そして、BC001が作成された後に、移動端末#1がホームネットワーク10以外の他のサブネットワーク62などに移動した場合、移動端末#1は移動端末#1自身で新たなCoAを生成し、又は移動端末#1と接続されているサブネットワーク62又はこのサブネットワーク62の上位のサブネットワークから送信されたCoAを取得し、その取得したCoAをホームエージェント#1に対して送信する。ホームエージェント#1はこのCoAを受信すると、BC001に記録した移動端末#1のCoAを更新する。また、BC001の登録の有効時間が経過した後は、CoAのバインディングキャッシュは削除され、これにより、メモリ,リソースが効率的に利用されるようになっている。
(1−6)IPネットワーク60およびルータ65
IPネットワーク60は、パケットを転送するネットワークであって、多数のパソコン,ワークステーション,LANなどのネットワークノード(例えばサーバ)と、パケットの最適な経路を選択して転送するルータとが相互に接続されたものである。パケットのフォーマットは、情報データと、この情報データについて送信元ノード#1〜#3のアドレスおよび転送先ノードのアドレスを含むヘッダとの各領域を有する。そして、IPネットワーク60内部又は外部から転送されたパケットは、ネットワークノード又はルータにおいてアドレスを参照され、複数の経路を転送されて転送先ノード(移動端末#1)に送信される。
また、ルータ65は、IPネットワーク60と各サブネットワーク62〜64との接続ポイントに設けられた転送装置であってゲートウェイ機能を有する。例えばサブネットワーク10に接続されたルータ65のゲートウェイ機能は、サブネットワーク10から受信したパケットのうちの予め設定したアドレスを有するものだけをIPネットワーク60に転送し、また、IPネットワーク60から受信したパケットについても予め設定したアドレスを有するものだけをサブネットワーク10に対して転送する機能である。各ルータ65は、アドレステーブルを有し、学習テーブル(いずれも図示省略)を用いることが望ましい。
なお、サブネットワーク62〜64のゲートウェイ機能もサブネットワーク10のそれと同一なので重複した説明を省略する。
(1−7)移動端末#1〜#3
移動端末#1〜#3は、携帯電話,携帯端末であって、通常、サブネットワーク10に接続し、ホームアドレスを付与されている。ここで、ユーザが他のサブネットワーク62〜64のいずれかに移動した場合は、移動端末#1は、サブネットワーク10のホームエージェント#1〜#nのうちの1台のホームエージェント(例えばホームエージェント#1)に対してCoAを登録するために通知(登録メッセージ)する。
なお、モバイルIPv6プロトコルおよびモバイルIPv4プロトコルのようなモバイルIPプロトコルは、同一のBCが複数のホームエージェント#1〜#nに存在しないように規定している。この理由は、通常のモバイルIPプロトコルは、BCが生成される契機は、移動端末#1〜#3がホームエージェント#1,#2に通知する契機でのみ行なわれ、移動端末#1〜#3は複数のホームエージェント#1,#2に対してBUを送信しないからである。
そして、ホームエージェント#1は、位置登録要求メッセージ又はバインディング要求メッセージを受信すると、BC001を生成し、送信元ノードが送信したパケットのヘッダの「転送先アドレス」に、BC001に記録されたCoAを書き込む。
移動端末#1〜#3は、音声又はデータの送受信機能と、ハンドオーバが発生したときに新たにCoAを作成しその直後にハンドオーバの発生直前の旧CoAを保持する機能と、移動通信システム9に対して旧CoA宛てのパケットを新CoAに転送することを要求するバインディング要求メッセージおよび位置登録要求メッセージの送信機能とを有する。
(2)ホームエージェント#1の構成
図1に示すホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3のCoAを管理するとともに、各ホームエージェント#1〜#n間において、それぞれ、ホームエージェント#1自身の負荷情報およびBC転送に要するメッセージ転送などを行なう。
また、ホームエージェント#2〜#nは、それぞれ、移動端末#1〜#3以外の他の移動端末(図示省略)が登録したCoAを保持し管理するようになっており、詳細な構成は以下に述べるホームエージェント#1の構成と同一である。
さらに、移動端末#1〜#3のそれぞれが、以前と異なるネットワークのホームエージェントに対して位置登録することができるのは、移動端末#1〜#3のホームアドレスも、以前と異なるネットワーク配下になった場合である。すなわち、ホームアドレスとホームエージェントとが同一ネットワークの配下になった場合に、各移動端末#1〜#3は以前と異なるネットワークのホームエージェントに位置登録できる。
図2は本発明の一実施形態に係るホームエージェントのブロック図である。この図2に示すホームエージェントは、主制御部11と、送受信部(送信部および受信部)90と、ホームエージェント負荷測定部(収集部)100と、BC転送制御部200(Binding Cache:BC)と、データ保持部300とをそなえて構成されている。また、ホームエージェントの機能は、例えばワークステーションによって実現される。
(2−1)主制御部11
主制御部11は、ホームエージェント#1自身の負荷情報に関する情報の収集又は測定と、ホームエージェント#1に設けられた各モジュールの動作制御と、メモリデータの読み書きと、入出力インターフェースの管理とを行なうものである。この主制御部11の機能は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置),ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などにより実現される。
(2−2)送受信部90
送受信部90は、パケットを送受信するものであって、受信部90aと送信部90bとを有する。受信部90aは、ホームエージェント#1〜#nのうちの転送元ホームエージェント#1から送信された変換データの処理についてのBC受け入れ依頼信号を受信するものである。
送信部90bは、BC選択制御部201およびHA選択制御部202のそれぞれにおいて選択された転送用の領域を転送先ホームエージェント#2に対して送信するとともに、移動端末#1〜#3に対して登録先変更通知を送信するものである。また、移動端末#1〜#3が移動先のサブネットワークにおいても送信元ノード(CN)#1〜#3からのパケットを受信できるようになる。
これにより、受信部90aにおいて、パケットの受信,そのパケットに含まれるデータの抽出およびパケット種別の判定などが行なわれる。また、送信部90bにおいて、CoAを書き込まれた登録先変更通知が移動端末#1〜#3に対して送信される。
なお、送受信部90の機能は、例えばワークステーションの物理的な入出力ポート(図示省略)と、パケットの主に送受信処理に用いる送受信バッファと、入出力ポートを動作させるソフトウェアアプリケーション(例えばデバイスドライバ)とがそれぞれ協働することにより実現される。
(2−3)ホームエージェント負荷測定部100
転送元ホームエージェント#1は、転送先ホームエージェント#2に対して、ホームエージェント#1自身のBC負荷情報を送信する。
(2−3−1)負荷情報の測定(負荷情報の収集)
ホームエージェント負荷測定部100は、HA負荷情報003およびBC負荷情報002からなる第2負荷情報を測定するものである。ここで、HA負荷情報003は、上記の転送先ホームエージェント#2自身のHA負荷情報である。そして、BC負荷情報002は、ホームアドレスとCoAとを変換する例えば5個の変換データと、各変換データの処理状態を表す5種類の状態とを対応付けたバインディングデータを保持する5個のBC領域1〜5に保持されたバインディングデータのパケット転送量の履歴に基づいて作成した情報である。
また、BC負荷情報002は、BCを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報であり、具体的には、トンネリングを行なったパケットの転送量を表す。BC負荷情報002は、ホームエージェントにおいてBCを転送する必要の有無の判定と、転送用BCの選択と、受け入れ可能なBC転送量の算出とを行なうために用いられる。
(2−3−2)ホームエージェント負荷測定部100の構成
ホームエージェント負荷測定部100は、ホームエージェント#1自身の負荷情報の測定機能に加えて、パケットの外側にCoAを挿入して転送(トンネリング)しその転送したパケットについてBC001に記録されたCoA毎のパケット転送量の測定と、BC001に新規に記録可能な記憶領域の有無の判定(受け入れ可能か否かの判定)との各機能を有する。このホームエージェント負荷測定部100は、ホームエージェント負荷抽出部101と、BC負荷測定部102と、許容判定部(判定部)103とをそなえて構成されている。
ここで、ホームエージェント負荷抽出部101は、ホームエージェント#1の負荷情報を測定および記録(以下、測定/記録と表記する。)するものである。この負荷情報の一例は、CPU使用率,送受信バッファおよびワークステーションが稼働中に使用されている全てのメモリの使用率(メモリ使用率)、又は例えばハードディスクなどの記録用デバイスの空き容量である。また、これらの負荷情報は、主制御部11によって収集される。主制御部11は、ホームエージェント負荷抽出部101,HA負荷情報003(後述する図7(c)参照)および許容判定部103のそれぞれと協働して、ホームエージェント#1の負荷測定および許容判定を行なうようになっている。
なお、これらのCPU使用率,メモリ使用率又は空き容量の各測定は、それぞれ、ワークステーションが有するCPU,メモリなどの使用状況をモニタリングするアプリケーションプログラムが用いられている。
また、BC負荷測定部102は、BC001毎のパケット転送量を測定/記録するものである。
さらに、許容判定部103は、受信部90aにて受信されたBC受け入れ依頼信号に含まれる第1負荷情報(002,003)と、HA負荷情報測定部100にて収集された第2負荷情報(002,003)とに基づいて、BC受け入れ依頼信号の受け入れ可否を判定するものであって、判定部として機能している。
また、許容判定部103は、予め保守者により設定された閾値に基づいてホームエージェントの負荷が許容量を超えているか否かを判定するとともに、その判定時点においてBC001の処理に要するBC001の許容負荷量を算出するようになっている。
これにより、ホームエージェント#1は、常時、ホームエージェント#1自身の負荷情報を監視し、また、他のホームエージェント#2〜#5に対して負荷情報を通知する。この負荷情報は、各ホームエージェント#1〜#5間において送受信されるBC転送に関するメッセージに挿入され、処理能力に余裕があるホームエージェント#1〜#5のうちの一部又は全部において、ホームエージェント#1の負荷が分散される。
(2−4)HA負荷情報の生成および負荷判定処理
図3は本発明の一実施形態に係るHA負荷情報の生成および負荷判定処理を説明するための図である。この図3に示すホームエージェント負荷測定部101は定期的に主制御部11に対してトリガを通知し、主制御部11はホームエージェント#1の負荷情報(CPU使用率,メモリ使用率およびデバイス空き容量など)を測定する。主制御部11は、この測定した負荷情報をデータ保持部300に書き込み、これにより、HA負荷情報003が生成される。そして、許容判定部103は、データ保持部300の負荷情報を読み込み、ホームエージェント#1の負荷の程度を判定し、判定結果を出力する。
なお、ホームエージェント#2〜#nの負荷判定も、ホームエージェント#1の負荷判定とほぼ同様である。従って、ホームエージェント#2〜#nの各負荷情報は定期的に更新され、各ホームエージェント#1〜#nは、それぞれ、更新された負荷情報を共有できる。
(2−5)BC負荷情報
図4は本発明の一実施形態に係るBC負荷情報の収集処理を説明するための図である。ホームエージェント#1は、受信したパケットを保持しているBC001の状態(例えば図7(a)参照)を読み込む。ここで、各状態は、収集および転送の各処理段階におけるホームエージェント#1の動作を表す。例えば、状態「転送中」は、BC自身を他のホームエージェントに転送しようとしているときの状態を表す。この転送している間に、BC負荷測定部102は、パケット転送量を測定し、その測定結果をBC負荷情報002に書き込む。また、ホームエージェント#2〜#nのBC負荷情報の収集処理についてもホームエージェント#1のそれとほぼ同様である。
このように、トンネリングされている間は、パケット転送量が負荷情報のデータとして測定され、そして、BC負荷情報002が生成される。
(2−6)BC001の受け入れ判定処理
図5は本発明の一実施形態に係るBC001の受け入れ判定処理を説明するための図である。なお、この図5に示すもので上述したものと同一符号を有するものは、それらと同一のものを表す。
ここで、ホームエージェント#1のHA選択制御部202(図2参照)が、他のホームエージェント#2〜#nからBC受け入れ依頼信号を受信した場合、ホームエージェント#1の許容判定部103は、他のホームエージェント#2〜#nから送信されたBC受け入れ依頼信号に含まれる転送BC負荷情報002と、ホームエージェント#1自身のHA負荷情報003とに基づいて、依頼されたBC001の処理を受け入れ可能か否かを判定し判定結果を出力する。また、ホームエージェント#1の許容判定部103は、判定結果が「受け入れ不可」である場合は、マージンを考慮し通常の受け入れ可能BC転送量をも算出する。
(2−7)緊急時における受け入れ判定処理
図6は本発明の一実施形態に係る緊急時における受け入れ判定処理を説明するための図である。ホームエージェント#1は、BC緊急受け入れ依頼信号を受信すると、受け入れ可能なBC転送量を算出する。具体的には、許容判定部103は、HA負荷情報003に保持されたデータを読み込み、このデータに基づいて、ホームエージェント#1が受け入れ可能な最大のBC転送量(受け入れ可能BC転送量)を算出する。
これにより、ホームエージェント#1〜#nは、自己診断により動作が不安定であることを判断した場合に、BCを転送させることができ、確実な通信が確保できる。
(2−8)BC転送制御部200(図2参照)
BC転送制御部200は、BC001を他のホームエージェント#2〜#nに転送するための各種制御と、ホームエージェント#2〜#nから送信されたBC001の受け入れに関する制御とを行なうものであって、BC選択制御部201およびHA選択制御部202とをそなえた選択部200aと、BC送信制御部203と、BC受信制御部204とをそなえて構成されている。
ここで、BC選択制御部201は、BC負荷情報002に基づいて転送用のBC領域を選択するものであり、また、BC受信制御部204は、HA負荷情報003に基づいて転送先ホームエージェント#2を選択するものである。この選択部200aについてさらに詳述する。
(2−9)BC選択制御部201
BC選択制御部201は、ホームエージェント#1が管理する各移動端末#1〜#3についての5個のBC001(図7(a)参照)のうちの他のホームエージェント#2〜#nに対して転送するBC001を選択するものである。この選択は、ホームエージェント負荷測定部100にて測定された負荷情報(BC負荷情報002)とHA負荷情報003とに基づく。
(2−10)HA選択制御部202
HA選択制御部202は、ホームエージェント#2〜#nのうちのBC001を転送する転送先ホームエージェント#2を選択するものであって、具体的にはホームエージェント#2〜#nのうちの処理可能なホームエージェントを選択する。HA選択制御部202における転送先ホームエージェントの選択方法は、転送元HA500と転送先HA501とにおいて異なる。
(2−11)選択部200a
選択部200aの機能は、BC選択制御部201およびHA選択制御部202が協働することにより発揮される。
転送元ホームエージェントは、他のホームエージェントに対してBC受け入れ依頼を送信し、その応答結果から、転送元ホームエージェントは、転送先エージェントを決定する。この応答結果には、受け入れ可又は受け入れ不可の情報、又は受け入れ可能なBCの負荷限度がある。そして、依頼を受けたホームエージェントは、ここで、ホームエージェント自身のHA負荷情報を見て、依頼のあったBCを受け入れられるか否かを判定する。
(2−12)BC送信制御部203およびBC受信制御部204
BC送信制御部203は、BC001を転送先ホームエージェント#2に対して送信する処理手続きを行なうものである。この処理手続きの具体例は、まず、転送元ホームエージェント#1が、転送するためのBC001と転送先ホームエージェント#2とのそれぞれを決定する。次に、転送先ホームエージェント#1は、転送元ホームエージェント#2に対してBC001の転送と、BC001の転送に必要なメッセージなどを送受信する。さらに、転送先ホームエージェント#1は、転送先ホームエージェント#1自身が保有するBC001の状態を変更し、また、BC001を削除する。
また、BC受信制御部204は、転送元ホームエージェント#1からのBC001を受信し、この受信に必要なメッセージなどを送受信するものである。さらに、BC受信制御部204は、受信したBC001を登録し、状態を変更する。ホームエージェントは、全ての移動端末#1〜#3に通知せずに、転送されたBCと関連している移動端末1台のみである。
BC送信制御部203およびBC受信制御部204間において送受信されるメッセージは、例えば後述する図14に示す4種類の信号メッセージ(BC送信信号055,BC受信信号OK056,BC削除通知信号057およびBC転送完了信号059)である。転送元ホームエージェント#1は、BC001の処理を例えばホームエージェント#2に依頼する場合、最初に転送元ホームエージェント#1が転送先(候補)ホームエージェント#2に送信する信号は、BC受け入れ依頼信号051である。転送先ホームエージェント#2がこのBC受け入れ依頼信号051を受信すると、BC送信制御部203が転送先ホームエージェント#2のBC受信制御部204に対して、BC送信信号055を送信する。
ここで、転送先ホームエージェント#2がこのBC送信信号055を受信すると、BC送信信号055の転送量とその時点における転送先ホームエージェント#2の負荷の大きさとを考慮して受け入れ可又は受け入れ不可を判定する。転送先ホームエージェント#2が受け入れ不可と判定すると、「受け入れ不可」を表すメッセージを転送元ホームエージェント#1に対して送信する。
なお、受け入れ不可であっても、転送先(候補)ホームエージェントは、受け入れ可能なBC転送量を返すので、全候補が受け入れ不可の場合、転送BCを変更して選択し直すこともある。
一方、転送先ホームエージェント#2が、BC送信信号055のデータを処理できると判定した場合には、「受け入れ可」を表すメッセージを転送元ホームエージェント#1に対して送信する。また、転送先ホームエージェントが受け入れ信号に対して応答した後に、転送先ホームエージェントがBC送信信号055を送信し、BCを転送先ホームエージェントに対して送信する。なお、移動端末#1〜#3には、このBC送信信号055は送信されない。
従って、移動端末#1〜#3に対して送信されるBC送信信号055のデータは、転送先ホームエージェント#2において処理される。転送元ホームエージェント#1は、転送先ホームエージェント#2のBC送信信号で送信したBCと同一のBC送信信号055を保持しており、また、このBC送信信号055は不要となる。BC送信システムは通知又は送信のためだけであり、実際に保持されているのはBCだけである。
このため、転送元ホームエージェント#1は、BC送信信号055を削除する契機として、転送先ホームエージェント#2からのBC受信OK信号056の受信時を用いている。そして、転送元ホームエージェント#1がBC削除通知信号057を受信して、BC送信信号055を削除すると、転送先ホームエージェント#2に対してBC送信信号055の削除完了を通知する。
これにより、切り替え対象の移動端末#1〜#3の選択にあたり、ホームエージェント#1〜#nは、いずれも、自分自身以外の切り替え先のホームエージェント#1〜#nの負荷に応じて柔軟に選択できる。
従って、特定のホームエージェント#iが負荷の増大によって、ダウンすることが回避され、安定した通信環境が確保される。
(2−13)BC転送におけるメッセージ交換
図14は本発明の一実施形態に係る転送先ホームエージェント決定後のBC001の転送処理を説明するためのフローチャートである。この図14に示す転送元ホームエージェント#1のBC送信制御部203は、決定した転送BC600,601,602をBC送信信号055に含めてそれぞれ転送先ホームエージェント#2に転送し(ステップC1)、また、転送BC600,601,602の各状態を「転送中」とする(ステップC2)。
一方、転送先ホームエージェント#2のBC受信制御部204は、BC送信信号055を受信すると(ステップC7)、転送BC600,601,602を抽出し、この転送BC600,601,602の状態を「受信中」として(ステップC8)、転送BC600,601,602を転送先ホームエージェント自身のBC001として登録し、BC受信OK信号056を転送元ホームエージェント#1に送信する(ステップC9)。
次に、転送元ホームエージェント#1のBC送信制御部203は、BC受信OK信号056を受信すると(ステップC3)、転送BC600,601,602を削除し、(ステップC4)、転送先ホームエージェント#2にBC削除通知信号057を送信する(ステップC5)。
さらに、転送先ホームエージェント#2のBC受信制御部204は、BC削除通知信号057を受信し(ステップC10)、その後、登録した転送BC600,601,602の状態を「転送後」にする(ステップC11)。また、BC受信制御部204は、BC転送完了通知058を転送元ホームエージェント#1に送信する(ステップC12)。
ここで、転送元ホームエージェント#1のBC送信制御部203は、BC転送完了信号058を受信すると、一連の転送処理を終了する(ステップC6)。
また、転送先ホームエージェント#2のBC受信制御部204は、バインディングキャッシュBCのライフタイムが期限切れに近づくと、転送BC600,601,602のCoAを有する移動端末#1〜#3に対してバインディング要求(Binding Request:BR)を送信し(ステップC13)、一定期間、応答信号を受信しない場合(三角形で表した部分参照)は、移動端末#1〜#3にホームエージェントの更新(バインディングキャッシュのリフレッシュ)を通知し、転送BC600,601,602の各状態を「通常」にする(ステップC14)。
従って、BC転送時において、転送元ホームエージェント#1と転送先ホームエージェント#2との両方が、ともに、BCを保持したまま「状態」を変更してトンネリングを制御する。そして、転送元ホームエージェント#1が、転送成功を確認してから、転送元ホームエージェント#1自身が保持するBCを削除する。
これにより、移動端末#1のホームエージェント#1がホームエージェント#2に切り替えられるときに、送信元ノード#1と移動端末#1との間の通信切断時間が抑制される。
なお、転送元ホームエージェント#1の処理手続きは、例えばデータにホームエージェント#1自身のアドレスと、他のホームエージェント#2〜#nのアドレスとを含むヘッダを生成する。また、転送先ホームエージェント#2〜#nの処理手続きは、例えば他のホームエージェント#2〜#nから送信されたパケットから転送元アドレスおよび転送先アドレスを抽出しデータを保持することも含む。
(3)データ保持部300
データ保持部300は、CoAと、負荷情報とを保持するメモリであって、BC001と、BC負荷情報002と、ホームエージェント負荷情報003とを有する。
(3−1)BC001
次に、図7(a)〜図7(c)を参照してBC001が保有するデータについて説明する。
図7(a)は本発明の一実施形態に係るBC001の領域を説明するための図である。この図7(a)に示すBC001の領域は、移動端末#1〜#3を含む5台の移動端末のそれぞれに割り当てられた領域BC1〜BC5を有する。各領域BC1〜BC5は、それぞれ、ホームアドレスとCoAとを対応付けた既存の変換テーブル(図示省略)を有するとともに、この変換テーブルに記録された変換データと、各変換データについての転送状態(以下、状態と略称する。)とを保持している。
この「状態」とは、ホームエージェント#1と他のホームエージェント#2〜#nとの間において交換(送受信)されるBC001の処理状態を表し、例えば「転送中」,「受信中」,「転送後」および「通常」の各処理状態を表す。
ここで、「転送中」とは、その状態において、BC001が転送対象として現在転送されていることを表す。
「受信中」とは、ホームエージェント#1が他のホームエージェント#2〜#nから受信したBC001について、他のホームエージェント#2〜#nが受信したBC001を未だ削除していない状態を表す。この削除があったか否かの判断は、転送元ホームエージェント#1が、転送元ホームエージェント#1からのBC削除通知信号を受信することによってBC001が削除されたと判断することにより行なわれる。
さらに、「転送後」とは、ホームエージェント#1が他のホームエージェント#2〜#nからのBC001の受信を完了した直後の状態である。そして、BCの状態が「転送後」の場合、BC転送後の一定時間は、転送BCがBC選択制御部201の選択対象外にされるようになっている。
従って、同一のBCが頻繁に選択対象となることが防止され、移動端末#1が属するホームエージェント#1が頻繁に切り替えられることが回避される。換言すれば、転送対象のBCを表す移動端末#1は、接続対象のホームエージェント#1の不要な切り替えが抑止されるので、安定した通信を維持することができる。
また、「通常」とは、BC001が転送処理の対象ではない状態である。また、「通常」とは「転送中」,「受信中」,「転送後」の各状態以外の状態でもある。すなわち、「通常」状態においては、既存のIPv6プロトコルおよびモバイルIPv6プロトコルに規定される状態と同様の状態を意味する。「転送中」のBCは、同一のBCが、ホームエージェント#1〜#nに存在する状態になることができる。これに対して、「通常」を定義することにより、同一のBCが、2台以上のホームエージェント#1〜#nに存在する可能性を除去したのである。
従って、BC001は、状態として、転送元ホームエージェント#1が転送先ホームエージェント#2に対して変換データを転送している「転送中」状態,転送先ホームエージェント#2が変換データを保持している「受信中」状態,転送元ホームエージェント#1が転送先ホームエージェント#2から受信完了を受信した「転送後」状態および「通常」状態を含む。
一方、送信元ノード#1〜#3は、応答パケットを受信すると、移動端末#1〜#3のバインディングデータ(通信相手情報)を記録する。そして、送信元ノード#1〜#3は、それぞれ、この記録に基づいてホームエージェント#1を経由せずに、直接、所望の移動端末#2,#3と通信する。ここで、送信元ノード#1〜#3から出力されるパケットの宛先はホームアドレスを挿入し、さらに、パケットを中継するルータ(図示省略)に対して移動端末#1〜#3のCoAを挿入する。
これにより、パケットはホームエージェント#1を介さずに、直接、移動端末#2,#3に転送され、ホームエージェント#1の処理負荷が軽減する。
このように、BC001は、ホームアドレスとCoAとを変換する例えば5個の変換データと、各変換データの処理状態を表す5個の状態とを対応付けたバインディングデータを保持するBC領域1〜5を有する移動端末#1〜#3毎の位置情報を保持する。
従って、ホームエージェント#1〜#5は、通常のホームアドレスおよびCoAを相互に変換出力するとともに、各変換データについて状態を用いて管理し、個別に処理状態が常時監視され信頼性の高い転送処理が可能となる。
なお、これらに加えて、移動通信システム9が、モバイルIPv6プロトコルを発展させて、例えばモバイルIPv4アドレスおよびモバイルIPv6アドレスのようなモバイルIPプロトコルなどを用いた階層化モバイルIPアドレスをもサポートする場合は、BC001が保持するデータは、階層化アドレスのための他の情報データをも保持することもできる。
(3−2)BC001の状態を用いた管理
状態が「通常」の場合、モバイルIPv6プロトコルによれば、同一のBC001がn台のホームエージェント#1〜#nに保持されることはない。なぜならば、移動通信システム9において、仮に同一のBC001が複数のホームエージェント#3〜#nに保持されていると、ホームエージェント#3〜#nが同一パケットについてトンネリング処理を行なうので、そのBC001を受信する移動端末#1〜#3が複数の同一パケットを受信するからである。すなわち、移動端末#1〜#3が複数の同一パケットを受信する状況はない。
換言すれば、BC001の状態が「転送中」の場合、同一のBC001がホームエージェント#1〜#nに保持されることがある。この一方、「通常」は同一のBC001がホームエージェント#1〜#nに保持されることはない。この場合、状態は、既存のモバイルIPv6プロトコルにて定められた状態と同様になる。
また、状態が、「転送中」,「受信中」の場合、ホームエージェント#1〜#nは、同一のBC001を用いて対応する。ここで、ホームエージェント#1〜#nは、「転送中」のBC001についてのトンネリングを行なう一方、「受信中」のBC001についてのトンネリングを行なわない。
さらに、状態が、「転送後」の場合、ホームエージェント#1〜#nは、そのBC001がBC選択制御部201の選択対象外とし、受信後、一定時間の経過後に状態を「通常」にする。
これにより、同一のBCが頻繁に選択対象となることが防止され、移動端末#1が属するホームエージェント#1が頻繁に切り替えられることが回避される。
(3−3)BC負荷情報002
BC負荷情報002は、各BC001について、トンネリングしているときの転送量データである。
図7(b)は本発明の一実施形態に係るBC負荷情報002が保有するデータ例を示す図である。この図7(b)に示すBC負荷情報1〜5は、それぞれ、BC001の領域BC001〜BC005に対応して保持され、各BC001についてそれぞれ負荷情報が記録されている。ここで、BC001〜BC005についての負荷情報は、図7(b)に示す転送量の履歴を用いて表されるようになっている。BC001についての履歴は、例えば1秒毎に記録され、最も新規に(現時刻)転送された場合の転送量「1」などと、1秒前の転送量,…,m秒前(mは自然数を表す。)の転送量とが、全て記録されるようになっている。
この転送量の測定間隔(例えば1秒)は、各サブネットワーク10,62〜64の負荷の大きさと、ネットワーク機能又はネットワークの設置目的などに基づいて、通信事業者(管理者又は保守者)によって決定される。ここで、負荷の平均値が例えば1パケット/秒などの極端に低い場合、通信事業者は、転送量の測定間隔を1分にし、また、負荷の平均値が例えば1万パケット/秒などの場合、通信事業者は、1秒以内の測定間隔が必要と判断する。
これにより、バインディングキャッシュ選択制御部201は、パケットを移動端末#1〜#3に対してトンネリングしているときのパケット転送量の履歴に基づいて例えば5個のBC領域1〜5を選択する。
そして、BC負荷情報002は、BC001に記録された個々の負荷情報を取得する。この負荷情報の取得方法は、例えばt1秒間の転送量を継続的に記録し、各転送量を過去p1回分保持する(p1は自然数)。
(3−4)ホームエージェント負荷情報003
ホームエージェント負荷情報003は、各ホームエージェント#1〜#nの負荷情報である。
図7(c)は本発明の一実施形態に係るホームエージェント負荷情報003が保有するデータ例を示す図である。この図7(c)に示すホームエージェント負荷情報の保持領域は、1秒毎のホームエージェント#1の負荷情報を記録する領域を設けており、また、各ホームエージェント負荷情報は、それぞれ、CPU使用率,メモリ使用率および記録用のデバイス(例えばハードディスク)の空き容量のそれぞれを対応付けられている。すなわち、HA選択制御部202は、ホームエージェント負荷情報003を、自局の負荷増大の監視と、バインディングキャッシュ受け入れ依頼信号の受信時に受け入れ可能又は受け入れ不可能の判定と、受け入れ可能なバインディングキャッシュ負荷情報002の算出とに用いるようになっている。そして、転送元ホームエージェント#1は、BC受け入れ依頼に対する応答の内容により、転送先を決定する。
そして、ホームエージェント負荷情報収集部100は、第2負荷情報(002,003)を保持する保有データ部002,003を有し、許容判定部103が、保有データ部002,003に保持された第2負荷情報(002,003)に基づいて、BC受け入れ依頼信号051の受け入れ可否を判定する。
これにより、ホームエージェント負荷情報003は、t2秒毎にホームエージェント#1自身の負荷情報を測定し、それを過去p2回分保持する(p2は自然数)。
また、このように、BC001が保持するデータは、移動端末#1〜#3毎のBC001と、既存のモバイルIPv4プロトコルおよびモバイルIPv6プロトコルによって規定されるデータと、BC001の転送時に使用するBC001の状態などとを有する。
また、ホームエージェント#1〜#nの負荷が増大して、動作不能の可能性が生じたときにおいても、各ホームエージェント#1〜#nは、自分自身が保持する全てのBC001を自分以外の他のホームエージェント#1〜#nに転送できる。
これにより、パケット処理遅延およびパケットロスの発生が回避される。
(4)信号フォーマット
図2,図8(a),図8(b)および図11を参照して、ホームエージェントの各モジュール間を送受信する信号について説明する。
(4−1)BC受け入れ依頼信号051
図8(a)は本発明の一実施形態に係るBC受け入れ依頼信号のフォーマットを示す図である。この図8(a)に示すBC受け入れ依頼信号051は、ホームエージェント#1のHA選択制御部(第1ホームエージェント選択制御部)202によって送信され、ホームエージェント#2のHA選択制御部(第2ホームエージェント選択制御部)202によって受信される。具体的には、負荷の大きくなった例えばホームエージェント#1が、他のホームエージェント#2〜#nに対して、ホームエージェント#1自身のBC001のうちの処理を依頼するBC001のBC負荷情報002を含めて転送先ホームエージェント#2〜#nを探すために送信する。
この図8(a)に示す送信先アドレスは、BC受け入れ依頼信号051の送信先ホームエージェントのアドレスである。送信元アドレスは、BC受け入れ依頼信号051の送信元ホームエージェントのアドレスである。種別は、送信する信号種別を表す情報であって、転送先ホームエージェントが受信信号種別をBC受け入れ依頼信号051と認識するためのものである。転送BC負荷情報は、転送を依頼するBC001のBC負荷情報002である。
(4−2)BC緊急受け入れ依頼信号052
図8(b)は本発明の一実施形態に係るBC緊急受け入れ依頼信号052のフォーマットを示す図である。この図8(b)に示すBC緊急受け入れ依頼信号052は、例えば、ホームエージェント#1自身がサービス提供の継続を保証できないと判断した場合に、受け入れ可能な転送量を各ホームエージェント#2〜#nに問い合わせるために送信される。
また、図8(b)に示す送信先アドレスは、BC緊急受け入れ依頼信号052の送信先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは、BC緊急受け入れ依頼信号052を送信したホームエージェントのアドレスである。また、種別は、送信する信号種別が、BC緊急受け入れ依頼信号052を表す。
(4−3)BC受け入れ応答信号053
図9(a),図9(b)はいずれも本発明の一実施形態に係るBC受け入れ応答信号053のフォーマットを示す図であって、それぞれ、BC001の受け入れが可能な場合と、不可能の場合とのそれぞれが表示されている。このBC受け入れ応答信号053は、BC送信元候補のホームエージェント選択制御部202によって送信され、BC送信先ホームエージェント選択制御部202によって受信される。
具体的には、他のホームエージェント#2〜#nは、BC受け入れ依頼信号051(図8(a)参照)を受信すると、他のホームエージェント#2〜#n自身のホームエージェント負荷情報003と、BC受け入れ依頼信号051に含まれる転送BC負荷情報との両方を用いて、そのBC001を受け入れ可能か否かを判定し、判定結果が「受け入れ可」の場合は、図9(a)に示すBC受け入れ応答信号053に受け入れ可を表すデータを書き込む。
また、「受け入れ不可」は、他のホームエージェント#2〜#n自身が受け入れ可能な受け入れ可能BC001の転送量をも含めるようになっている。
ここで、転送先アドレスは、BC受け入れ応答信号053の送信先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは、BC受け入れ応答信号053を送信したホームエージェントのアドレスである。種別は、送信する信号種別である。結果は、依頼されたBC001の受け入れ可/不可を表す。受け入れ可能BC転送量は、他のホームエージェントが受け入れ可能なBC001の転送量に関する情報である。この転送量は結果が受け入れ不可の時のみ挿入される。
(4−4)BC緊急受け入れ応答信号054
図9(c)は本発明の一実施形態に係るBC緊急受け入れ応答信号054のフォーマットを示す図であって、この図9(c)に示すBC緊急受け入れ応答信号054は、ホームエージェント選択制御部202によって送信され、ホームエージェント選択制御部202によって受信される。具体的には、他のホームエージェントは、BC緊急受け入れ依頼信号052を受信すると、他のホームエージェント自身のホームエージェント負荷情報003から、受け入れ可能な最大の受け入れ可能BC転送量を含めて送信する。
ここで、転送先アドレスは、BC緊急受け入れ応答信号054の送信先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは、BC緊急受け入れ応答信号054を送信したホームエージェントのアドレスである。種別は、送信する信号種別である。受け入れ可能BC転送量は、受け入れ可能なBC001の転送量情報を表す。
(4−5)BC送信信号055
図10(a)は本発明の一実施形態に係るBC送信信号055のフォーマットを示す図である。この図10(a)に示すBC送信信号055は、転送先ホームエージェントに転送する情報データを有するBC001を含み、BC送信制御部203によって送信され、BC受信制御部204において受信されるものである。
転送先アドレスは、本信号の転送先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは、本信号を送信したホームエージェントのアドレスであり、また、種別は、BC送信信号である。
(4−6)BC受信確認信号(受信OK信号)056
図10(b)は本発明の一実施形態に係るBC受信確認信号056のフォーマットを示す図である。この図10(b)に示すBC受信確認信号056は、BC送信信号055の応答として他のホームエージェント#2〜#nが送信するものであって、BC受信制御部204によって送信され、BC送信制御部203において受信される。
また、転送先アドレスは本信号の送信先ホームエージェントのアドレスであり、BCの転送先でもある。送信元アドレスは本信号を送信したホームエージェントのアドレスであり、そして、種別は送信する信号種別を表す。
(4−7)BC削除通知信号057
図10(c)は本発明の一実施形態に係るBC削除通知信号057のフォーマットを示す図である。この図10(c)に示すBC削除通知信号057は、BC送信側が送信したBC001を削除したことを転送先に通知するものであって、BC送信制御部203によって送信され、BC受信制御部204において受信される。
転送先アドレスは本信号の転送先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは本信号を送信したホームエージェントのアドレスであり、そして、種別は送信する信号種別である。
(4−8)BC転送完了信号058
図10(d)は本発明の一実施形態に係るBC転送完了信号058のフォーマットを示す図である。この図10(d)に示すBC転送完了信号058は、BC削除通知信号057に対し、受信したBC001を有効にしたことを通知するためのものであって、BC受信制御部204によって送信され、BC送信制御部203が受信される。
転送先アドレスは本信号の送信先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは本信号を送信したホームエージェントのアドレスであり、そして、種別は送信する信号種別を表す。
従って、図8(a)〜図10(d)に示す各信号を用いて各ホームエージェントが相互に通信し、負荷の依頼メッセージおよび負荷の受け入れメッセージを用いてn台のホームエージェントが処理可能になる。
このように、特定のホームエージェントに対する負荷集中が回避され、ネットワークに対する信頼性が向上し、また、保守者は特定のホームエージェントを停止して保守作業が容易になる。
(5)ホームエージェント#3
図1に示すホームエージェント#3も、ホームエージェント#1,#2のそれぞれとほぼ同一構成である。
ホームエージェント#3は、ホームアドレスとCoAとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域BCを有するBC001と、ホームエージェント#1〜#nのうちのホームエージェント#1から送信された変換データの処理についてのBC受け入れ依頼信号051を受信する受信部90aと、ホームエージェント#2自身のHA負荷情報003と、ホームアドレスとCoAとを変換する例えば5個の変換データと、各変換データの処理状態を表す5個の状態とを対応付けたバインディングデータを保持する5個の領域BCに保持されたバインディングデータの転送量に起因するBC負荷情報002とからなる第2負荷情報(002,003)を収集するホームエージェント負荷測定部100と、ホームエージェント#1自身のHA負荷情報003と、その領域BCを使用してトンネリングされたパケットの転送量に起因するBC負荷情報002とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、ホームエージェント#1〜#nのうちのホームエージェント#2と5個の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択部200aと、受信部90aにて受信されたBC受け入れ依頼信号051に含まれる第1負荷情報(002,003)と、ホームエージェント負荷測定部100にて収集された第2負荷情報(002,003)とに基づいて、BC受け入れ依頼信号051の受け入れ可否を判定する許容判定部103と、選択部200aにて選択された転送用の領域BCをホームエージェント#2に対して送信するとともに、移動端末#1に対して登録先変更通知を送信する送信部90bとをそなえて構成されている。
上述したものと同一符号を有するものは、それらと同一のもの又は同一機能を有するものである。
(6)移動通信システム9
さらに、移動通信システム9は、ホームアドレスとCoAとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する例えば5個のBC領域1〜5を有するBC001と、上記の転送元ホームエージェント#1自身のホームエージェント負荷情報003と、例えばBCを用いてトンネリングされたパケットの転送量に起因するBC負荷情報002とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、n台のホームエージェント#1〜nのうちの転送先ホームエージェント#2と例えば5個のBC領域1〜5のうちの転送用のBC領域とを選択するBC選択制御部201と、BC選択制御部201にて選択された転送用のBC領域を転送先ホームエージェント#2に対して送信するとともに、移動端末#1〜#3に対して登録先変更通知を送信する送信部90bとをそなえている。
さらに、移動通信システム9は、n台のホームエージェント1〜nのうちの第2ホームエージェント2が、上記の第2ホームエージェント2自身のホームエージェント負荷情報003と、ホームアドレスとCoAとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持するBC領域1〜5を用いてトンネリングされたパケットの転送量に起因するBC負荷情報002とからなる第2負荷情報(002,003)を収集する収集部100と、n台のホームエージェント1〜nのうちの第1ホームエージェント1から送信された変換データの処理についてのBC受け入れ依頼信号051を受信する受信部90aと、受信部90aにて受信されたBC受け入れ依頼信号051に含まれる第1負荷情報(002,003)と、収集部100にて収集された第2負荷情報(002,003)とに基づいて、BC受け入れ依頼信号051の受け入れ可否を判定する判定部103とをそなえて構成されている。
これにより、ホームエージェントが複数台設けられたときにおいて、各ホームエージェント#1〜#nは、いずれも、自律的に負荷分散が可能となり、また、各ホームエージェント#1〜#nの能力は、いずれも、最大限まで引き出すことができる。
従って、一時的に多数の呼がホームエージェント#1に集中した場合において、ホームエージェント#1は、負荷がBC処理能力を超えることを事前に認識し、BCを転送するので、ホームエージェント#1に対する負荷集中が回避される。
また、負荷集中の回避によって、パケット処理遅延およびパケットロスの発生を防止できる。
(7)動作説明
上述の構成によって、本発明のBC選択制御方法について、図11〜図14を参照して詳述する。
以下に述べる図11〜図13においては、転送元ホームエージェント#1の負荷が上昇し、負荷をホームエージェント#1以外の他のホームエージェント#2,#3に対して分散してもらうように、転送先ホームエージェント#2が依頼をする場合の処理を表している。ここで、転送元ホームエージェント#1の負荷が上昇するパターンとして2種類のパターンについて説明する。
すなわち、第1のパターンは、転送元ホームエージェント#1が、複数の移動端末#1〜#3からのトンネリングの処理の増加を処理しているうちに負荷が上昇するパターン(図11,図12)であり、BC001の転送先のホームエージェントがないとき(図11)と、転送先のホームエージェントがあるとき(図12)とがある。
また、第2のパターンは、緊急時において、転送元ホームエージェント#1が転送先ホームエージェント#2に対して負荷処理を依頼する場合のパターン(図13)である。
なお、図11〜図13に示す長方形(例えば「許容判定103」と表示されたもの)は処理を表し、丸角の長方形(例えばホームエージェント負荷情報003)は、入力されるデータ又は出力されるデータを表す。
(7−1)BC転送制御(転送先ホームエージェントの存在時)
図11は本発明の一実施形態に係る受け入れ先があるときのBC選択制御方法を説明するためのフローチャートであって、転送先ホームエージェントが存在するときのものである。また、このフローチャートの処理は、通常時において負荷上昇に起因するBC001の選択処理が発生した場合のものである。この図11に示すフローチャートは、転送元のホームエージェントと転送先のホームエージェントとの間における処理を表している。
転送元ホームエージェントの許容判定部103は、ホームエージェント負荷情報003を読み込み、このホームエージェント負荷情報003が、許容量を超えているか否かを判定する(ステップA1a)。ここで、許容量を超えていない場合は、Nルートを通り、既存の処理能力に従って選択制御が行なわれる(ステップA1c)。
一方、ステップA1aにおいて、ホームエージェント負荷情報003が許容量を超えている場合は、Yルートを通り、ステップA2aにおいて、BC選択制御部201がBC負荷情報002とBC001とを読み込みし、ルート「1」を通り、複数のBC001のうちの負荷の大きいBC001を通常の転送BC600として選択する(ステップA2b)。さらに、BC選択制御部201は、ルート「3」を通り、転送BC負荷情報610を抽出して生成する(ステップA2c)。そして、BC選択制御部201は、ルート「2」を通り、ホームエージェント選択制御部202に対して転送BC負荷情報610の制御を渡す。
ここで、ルート1は、BC選択制御部201にて転送するBC001として転送BC600が選択されたことを表す。ルート2は、BC選択制御部201の後にホームエージェント選択制御部202の処理を表したものであり、また、ルート3は、BC選択制御部201が転送BC負荷情報610を抽出し、抽出した転送BC負荷情報610をホームエージェント選択制御部202に入力する。
次に、ホームエージェント選択制御部202は、転送先ホームエージェントのBC001に基づいて、BC001を選択制御する(ステップA3)。ホームエージェント選択制御部202は、転送先ホームエージェント#2に対して、「BC受け入れ依頼信号051」を、転送BC600の転送BC負荷情報610に含めて送信する。
一方、転送先ホームエージェント#2のホームエージェント選択制御部202は、BC受け入れ依頼信号051を受信する(ステップA5a)。ここで、ホームエージェント選択制御部202は、「1」と付されたルートを通り、BC受け入れ依頼信号051の転送BC負荷情報610を抽出する(ステップA5b)。そして、転送先ホームエージェント#2は、「2」と付されたルートを通り、この抽出した転送BC負荷情報610とホームエージェント#1自身のホームエージェント負荷情報003とを読み込み、許容判定する(ステップA6)。なお、ステップA6の三角形は分岐処理を表す。
このステップA6において、許容判定部103は、ホームエージェント負荷情報003に基づいて、依頼されたBC001の処理を受け入れ可能か否かを判定しその判定結果を出力する。判定結果が転送BC600を許容できる場合は、「受け入れ可」と付されたルートを通り、ステップA7において、ホームエージェント選択制御部202が転送元ホームエージェント#1に対してBC受け入れ応答信号053を受け入れ可として送信する。また、ステップA7における処理が終了すると、転送先ホームエージェント#2は、BC001の転送受け入れ処理を開始する(2と付した部分参照)。
一方、転送元ホームエージェント#1のホームエージェント選択制御部202は、BC受け入れ応答信号053を受信し、受け入れ可を送信した転送先ホームエージェント#2がある場合はその転送先ホームエージェント#2のうちの適切なものを選択し、また、転送BC600と転送先ホームエージェント#2との組み合わせを決定する(ステップA4)。また、このステップA4が終了すると、転送元ホームエージェント#1は、BC001の転送処理を開始する(1と付した部分参照)。
また、ステップA6において、受け入れできない場合は、ステップA8において、「受け入れ不可」を送信元ホームエージェントに対して送信する。なお、ステップA3において、ホームエージェント選択制御部202は、ホームエージェントの選択制御を行なう。
このように、BC転送制御部200は、BC001を他のホームエージェントに転送するための各種の制御と、他のホームエージェントから送信されたBC001の受け入れに関する制御とを行なう。
(7−2)BC転送制御(転送先ホームエージェントが存在しない時)
図12は本発明の一実施形態に係る受け入れ先がないときのBC選択制御方法を説明するためのフローチャートであって、転送先ホームエージェントが存在しないときのものである。このフローチャートの処理は、通常時において負荷上昇に起因するBC001の選択処理が発生した場合のものである。なお、図12に示すステップのうちの図11にて説明したステップと同一のものは、同一処理を表す。
ここで、図12に示すステップA6における許容判定処理において、許容できない場合は、ステップA20aにおいて、許容判定部103がホームエージェント負荷情報003を読み込み、ステップA20bにおいて、受け入れ可能BC転送量620を算出し、ステップA21において、ホームエージェント選択制御部202が転送元ホームエージェント#1に対して、「受け入れ不可」をBC受け入れ応答信号053に含め、かつ受け入れ可能BC転送量620をその応答信号053に含めて送信する。
一方、転送元ホームエージェント#1のホームエージェント選択制御部202は、BC受け入れ応答信号053を受信し(ステップA22)、「受け入れ可」を送信した転送先ホームエージェント#2がない場合は、BC選択制御部201がBC受け入れ応答信号053内の各受け入れ可能BC転送量を参照して(ステップA23)、ステップA24において、もっとも適切な転送先ホームエージェント#2と、新たにBC001より抽出した転送BC600との組み合わせを選択する。
このように、BC転送制御方法は、転送先ホームエージェントが存在するときと、存在しないときとのそれぞれについて行なわれる。
なお、転送元ホームエージェント#1のステップA23における処理後の1と付した部分と、転送先ホームエージェント#2のステップA21における処理後の2と付した部分とのそれぞれは、いずれも、図14に示すBC001の転送受け入れ処理を表す。
このように、特定の建造物に多数の人が訪問したり、特定の場所に多数の人が集中したような場合において、全ての移動端末#1〜#3が、大量のデータ通信を行なうことにより、大量のトンネリングが発生することを防止できる。
従って、n台のホームエージェントが協働することにより、特定のホームエージェントの輻輳が回避され、この結果、各ユーザは、常時、安定な通信回線を利用することができ、また、通信回線に対する信頼性が向上する。
(7−3)本発明の負荷分散方法
本発明の負荷分散方法は、移動端末#1〜#3の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられたCoA付きの第2パケットを移動端末#1〜#3に対して転送するn台のホームエージェント#1〜#n間における負荷分散方法である。
まず、ホームエージェント#1〜nのうちの転送元ホームエージェント#1において、許容判定部103が、転送元ホームエージェント#1自身のHA負荷情報の許容量の超過を検出し(許容量超過ステップ)、許容量超過ステップにて超過が検出されると転送元ホームエージェント#1のHA選択制御部202は、ホームエージェント#1自身のHA負荷情報とBCを使用してトンネリング処理したときに発生するBC負荷情報とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、転送先ホームエージェント#2とバインディングデータを保持する複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択し(選択ステップ)、そして、HA選択制御部202が、転送先ホームエージェント#2に対してBC受け入れ依頼信号を送信する(送信ステップ)。
次に、転送先ホームエージェント#2において、転送先ホームエージェント#2のHA選択制御部202は、送信ステップにて送信されたBC受け入れ依頼信号から転送用のBC負荷情報を抽出し(抽出ステップ)、許容判定部103が、抽出した転送用のBC負荷情報と転送元ホームエージェント#1自身のHA負荷情報とに基づいて受け入れを判定する(受け入れ判定ステップ)。
そして、受け入れ判定ステップにて受け入れ可能と判定された場合、HA選択制御部202は、転送元ホームエージェント#1に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号053を送信する(応答信号送信ステップ)。
一方、転送元ホームエージェント#1においては、応答信号送信ステップにて送信されたBC受け入れ応答信号053を受信すると、HA選択制御部202が、転送先ホームエージェント#2に対してバインディングキャッシュ(BC)を転送する(転送ステップ)。
このように、負荷分散が行なわれる。さらに、ホームエージェント#1,#2間におけるメッセージ送受信について詳述する。
また、本発明の負荷情報方法は、転送元ホームエージェント#1における送信制御部203がバインディングキャッシュ送信信号を転送先ホームエージェント#2に転送し転送用の各バインディングキャッシュの各状態を設定する(状態設定ステップ)。
続いて、転送先ホームエージェント#2における受信制御部204が、BC送信信号055に含まれる転送BCを登録し、また、転送BCの複数の状態のうちの1個の状態に変更処理をし(状態変更処理ステップ)、転送元ホームエージェント#1に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号を送信する(応答信号送信ステップ)。
そして、転送元ホームエージェント#1における送信制御部203は、応答信号を受信し(応答信号受信ステップ)、1又は複数の転送バインディングキャッシュ削除する(削除ステップ)。
また、転送元ホームエージェント#1における受信制御部204が、削除ステップにおける削除の確認応答を受信する(応答受信ステップ)。
(7−4)緊急時の転送BC選択
図13は本発明の一実施形態に係る緊急時の転送BC001の選択方法を説明するためのフローチャートである。この図13に示す転送元ホームエージェント#1は、サービス提供の継続の可否を判定し(ステップB1の三角形で表した部分参照)、サービス提供の継続を困難と判断した場合は(ステップB1)、ホームエージェント選択制御部202が転送先ホームエージェント#2に対してBC緊急受け入れ依頼信号052を送信する(ステップB2)。
ここで、転送先ホームエージェント#2のホームエージェント選択制御部202は、BC緊急受け入れ依頼信号052を受信すると(ステップB7)、許容判定部103は、転送先ホームエージェント#2自身のホームエージェント負荷情報003を読み込み(ステップB8)、許容可能な最大の受け入れ可能BC転送量621を算出し(ステップB9)、ホームエージェント選択制御部202は、BC緊急受け入れ応答信号054に、最大の受け入れ可能BC転送量621を含めて転送元ホームエージェント#1に送信する(ステップB10)。
一方、転送元ホームエージェント#1のホームエージェント選択制御部202は、BC緊急受け入れ応答信号052を受信すると(ステップB3)、その応答信号052に含まれる受け入れ可能BC転送量を参照し(ステップB4)、BC選択制御部は、BC001を参照し(ステップB5)、この転送量に基づいて転送BC602と転送先ホームエージェント#2との組み合わせを決定する(ステップB6)。
なお、図13に示すステップB5,ステップB10のそれぞれの処理が終了すると、図14に示すBC001の転送処理(1,2と付された部分参照)が開始される。
このように、緊急時においても、転送BC001は確実に選択できる。さらに、緊急時の処理機能が予め各ホームエージェントに付与されているので、より一層、通信回線の安定性が向上する。
(7−5)BC001の転送先ホームエージェントへの転送
図11〜図13のそれぞれに示した1又は2と付された部分におけるBC001の転送処理は、図14に示すフローチャートに基づき、その詳細については重複するので省略する。
このように、本発明の負荷分散方法は、BC転送時において、転送元ホームエージェント#1と転送先ホームエージェント#2との両方が、ともに、BCを保持したまま「状態」を変更してトンネリングを制御する。そして、転送元ホームエージェント#1が、転送成功を確認してから、転送元ホームエージェント#1自身が保持するBCを削除する。
従って、移動端末#1のホームエージェント#1がホームエージェント#2に切り替えられるときに、送信元ノード#1と移動端末#1との間の通信切断時間が抑制される。
また、従来の負荷分散方法は、BC転送時において転送元ホームエージェント#1が転送の対象となるBCを削除した後に、保持したBCを転送先ホームエージェント#2に転送するようになっていたので、ホームエージェント#1からホームエージェント#2に変更されるときに、通信が切断されることが回避される。
(8)発明の効果の一例
さらに、上記特許文献1記載の技術は、送信元ノードCNが移動端末MNに対してパケットを送信する場合、パケットは、必ず移動端末MNが登録されているホームエージェントを経由し、このホームエージェントにおいてパケットがカプセル化されなければならず、ホームエージェントの負荷が上昇することがある。
本発明は、ホームエージェントの負荷を軽減するために、従来型のルータに、ホームエージェントの機能を設けて移動端末対応ルータとなっており、BCの保持と、移動端末MN宛のパケットのカプセル化とが可能になっている。これにより、送信元ノード#1から移動端末MN宛のパケットは、移動端末対応型ルータにおいてカプセル化されて、移動端末MNに対して送信されるため、ホームエージェントの負荷を軽減することができる。
図19および図20を参照して、本発明の移動通信システム9と従来の移動通信システム400との相違点について説明する。これらの図19および図20に示すもののうちの、上述したものと同一符号を有するものは同一機能を有するので更なる説明を省略する。
図19は従来の移動通信システム400におけるパケットの転送方法を説明するための図であり、この図19に示すホームエージェント(HA)#1,#2のうちのホームエージェント#1は、移動端末(MN)#1,#2の両方を登録されており、MN1およびMN2からのBCの受信のために待ち受けしており、移動端末#1,#2に対するパケットは、全てホームエージェント#1にてカプセル化される。
これにより、図19に示す移動通信システム400は、ホームエージェントに対する負荷を軽減するために、2台のホームエージェント#1,#2を用意して、登録される移動端末MN#1,#2の負荷を分散させるようにしている。
ここで、移動端末MN#1,MN#2の位置情報について両端末とも登録されている場合は、移動端末MN#1,MN#2宛のパケットは全てホームエージェント#1にてカプセル化されるため、ホームエージェント#1のみに負荷が集中し、かつホームエージェント#2はほとんど動作していない。
従って、ホームエージェント#1が、ホームエージェント#2よりも過大な負荷を処理しなければならない。すなわち、ホームエージェント#1のみに負荷が集中して、ホームエージェント#2は、負荷に対して働いていない。
一方、図20は本発明の一実施形態に係るパケットの転送方法を説明するための図である。この図20に示すホームエージェント#1は、登録済みの複数のBCのうちの移動端末#2のものをホームエージェント#2に対して移動又は転送させ、かつ移動端末#2の管理を、ホームエージェント#2に任せ、これにより、各ホームエージェント#1などの負荷が分散される。
また、本発明は、ホームエージェント#1〜#nの負荷の原因となるBCを過剰に保持することを回避するために、ホームエージェント#1〜#n毎のBC保有量のバランスを取るようにしている。
このため、ホームエージェント#1〜#n間においてBCの相互転送機能が設けられているのである。
また、このように、自律的な負荷分散が可能で、その能力を最大限まで引き出せる。
(B)その他
本発明は上述した実施態様及びその変形態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
例えば、移動通信システム9が用いるプロトコルは、モバイルIPv4プロトコルおよびモバイルIPv6プロトコルのほかに、モバイルIPv6プロトコルを改良したモバイルプロトコル又はモバイルIPv6の上位互換のモバイルプロトコルを用いることもできる。
各ネットワークは、パケットに仮想識別子(ラベル)を付与して仮想的に転送可能な高品質な転送サービスを提供するネットワークを用いることができる。
また、BC緊急受け入れ依頼信号は、高い優先度を表すように設定されている。この優先度は複数のレベルを設けてもよい。換言すれば、許容判定部103が、受信部90aにて受信されたBC受け入れ依頼信号051の優先度が高い場合は、BC負荷情報002に基づいて、受け入れ可能なパケット転送量を計算するように構成されてもよい。
これにより、ホームエージェント#1〜#nは、緊急時の対応が可能となり、自己診断により動作が不安定であることを判断でき、確実な通信が確保できる。
また、本発明のホームエージェント機能は、ルータ(転送装置)65に設けることもできる。すなわち、各ルータ65にホームエージェント機能を設けることもできる。
従って、本発明の転送装置(65)は、移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを移動端末(#1〜#3)に対して転送する機能を有する転送装置(65)であって、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域BCを有する第1保持部と、上記の第1ホームエージェント装置(1)自身のホームエージェント負荷情報(003)と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第2ホームエージェント装置(2)と複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択部(200a)と、選択部(200a)にて選択された転送用の領域BCを第2ホームエージェント装置(2)に対して送信するとともに、移動端末(#1〜#3)に対して登録先変更通知を送信する送信部(90b)とをそなえて構成されてもよい。
さらに、本発明の転送装置(65)は、移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを移動端末(#1〜#3)に対して転送する機能を有する第1保持部と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第2負荷情報(002,003)を収集する収集部(100)と、複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第1ホームエージェント装置(1)から送信された変換データの処理についての分散処理依頼(051)を受信する受信部(90a)と、受信部(90a)にて受信された分散処理依頼(051)に含まれる第1負荷情報(002,003)と、収集部(100)にて収集された第2負荷情報(002,003)とに基づいて、分散処理依頼(051)の受け入れ可否を判定する判定部(103)とをそなえて構成されてもよい。
(A)本発明の一実施形態の説明
図1は本発明の一実施形態に係る移動通信システムの構成図である。この図1に示す移動通信システム9は、移動端末#1〜#3の本拠地を表すホームアドレス付きのパケット(IPパケット)を代理受信しホームアドレスに対応付けられたCoA(気付アドレス)付きのパケットを移動端末#1〜#3に対して転送するn台のホームエージェント装置(ホームエージェント)#1〜#nをそなえたものであって、送信元ノード(Correspondent Node:CN,相手ノード,ピアノード)#1〜#3と、IPネットワーク60と、サブネットワーク10,62〜64と、移動端末#1〜#3と、複数のルータ65とをそなえて構成されている。
(1)移動通信システム9の構成
移動通信システム9は、例えばモバイルIPv6プロトコルを用いており、移動端末#1〜#3は、いずれも、一定期間変更されないホームアドレスを割り当てられている。各移動端末#1〜#3は、それぞれ、固定的にホームネットワーク配下となるアドレスが割り当てられている。
移動端末#1〜#3は、それぞれ、ホームネットワーク(後述する例えばサブネットワーク10)のホームエージェントに対して位置登録を行なう。ホームアドレスは、固定的に移動端末#1〜#3自身が予めもっている場合と、移動端末#1〜#3が最初に接続したサブネットワークに設けられたDHCPサーバによって割り当てられる場合との各場合において得られる。また、移動端末#1〜#3は、DHCPサーバによってホームアドレスが割り当てられた場合、その割り当てられたDHCPサーバが属するサブネットワークに属する。
これにより、移動端末#1〜#3は、いずれも、ホームネットワーク(サブネットワーク10)に属する。以下の説明においては、移動端末#1〜#3のホームネットワークはサブネットワーク10であるものとして説明する。
なお、移動端末#1〜#3が位置登録を行なうホームエージェントは、ホームネットワークに属するいずれかのホームエージェントを用いてもよい。
(1−1)送信元ノード#1〜#3
送信元ノード#1〜#3は、いずれも、移動端末#1〜#3と通信するものであって、例えば企業,学校又は官庁などに設けられたホストサーバ、ユーザが電話回線を介してアクセスする通信事業者(サービス提供者)に設けられたサーバ、又はアドレスを用いてパケット転送するルータである。
そして、例えば、ユーザが送信元ノード#1を用いて電子メールデータ(メールデータ)又はファイルデータを移動端末#1〜#3に対して送信すると、そのメールデータなどは、ルータ65を介して、サブネットワーク10に転送される。
(1−2)サブネットワーク10,62〜64
サブネットワーク10,62〜64は、例えば企業,官庁などの私的又は専用のネットワークであって、サブネットワーク10,62〜64におけるパケットの転送と、IPネットワーク60とのパケットの中継転送とを行なうものである。これらのサブネットワーク10,62〜64は、いずれも、複数のパソコン,ワークステーション,LAN(Local Area Network)およびルータを有する。
(1−3)ホームネットワークとしてのサブネットワーク10
サブネットワーク10は、移動端末#1〜#3のホームネットワークとして機能するほかに、サブネットワーク62〜64のそれぞれと同一機能を有する。各移動端末#1〜#3は、いずれも、固定的にホームネットワーク配下となるアドレスが割り当てられている。例えば、ユーザが特定の部屋にいるとき、又はユーザがサブネットワーク10の通信圏内において移動するときなどは、サブネットワーク10に接続し続ける。そして、このサブネットワーク10は、移動端末#1〜#3のそれぞれのCoA(気付アドレス)として例えば「b」,「c」,「d」を保持するホームエージェント#1〜#nをn台有する。
(1−4)転送元ホームエージェントおよび転送先ホームエージェント
ホームエージェント#1〜#nは、いずれも、同一構成であり、転送元のホームエージェント(転送元ホームエージェント)としての機能と、転送先のホームエージェント(転送先ホームエージェント)としての機能とを有する。
(1−4−1)転送元ホームエージェント
ホームエージェント#1が実際に移動させるものは、BCデータであり、処理自体の移動はデータの移動に付随して行なわれる。処理の一例は、ホームアドレスからCoAへの変換又はトンネリング処理などである。例えばホームエージェント#1は、ホームエージェント#1自身の負荷のうちの例えば大きい負荷についての処理をホームエージェント#2〜#nの一部又は全部に対して、ホームアドレスとCoAとの変換処理(BC処理)を依頼するメッセージ信号(分散処理依頼。なお、特に断らない限り、BC受け入れ依頼信号と呼ぶ。)を送信する機能を有する。
そして、ホームエージェント#1は、BC処理の受け入れを依頼するために、ホームエージェント#2〜#nのうちのいずれかのホームエージェント#i(iは2以上n以下の自然数を表す。)を、BC負荷情報(バインディングキャッシュ負荷情報)およびHA負荷情報に基づいて選択する。例えば、ホームエージェント#1は、転送用のBC領域を含むBC受け入れ依頼信号を、ホームエージェント#2に対して送信する。
ここで、ホームエージェント#2は、そのBC受け入れ依頼信号について受け入れが可能か否かを判定し、その判定結果をホームエージェント#1に対して送信する。ホームエージェント#1は、転送先ホームエージェント#2からの折り返し信号(応答結果)が受け入れ可能であるときは、ホームエージェント#2を転送先ホームエージェント#2として確定する。
さらに、ホームエージェント#1は、全てのホームエージェント#2〜#nから送信されたn個の折り返し信号を受信すると、その折り返し信号に含まれる受け入れ可能なBC領域の大きさを抽出し、その抽出したBC領域により表された負荷とホームエージェント#1自身の依頼済みの負荷とを比較して、転送先ホームエージェントを決定する。すなわち、各ホームエージェント#1〜#nは、それぞれ、自分以外のホームエージェント#1〜#nに対してBC受け入れ依頼信号を送信し、また、送信したホームエージェント#1〜#n以外の別個のホームエージェント#1〜#nから送信された応答結果に基づいて転送先ホームエージェントを選択するのである。
(1−4−2)転送先ホームエージェント
一方、ホームエージェント#1〜#nは、いずれも、転送先ホームエージェントとして動作し、BC受け入れ依頼信号を受信して処理する機能をも有する。
例えばホームエージェント#1は、ホームエージェント#2〜#nの一部又は全部から送信された負荷処理の依頼について、受諾又は拒否を示す応答メッセージを他のホームエージェント#2〜#nに送信する。さらに詳述すると、ホームエージェント#1は、ホームエージェント#2〜#nからのBC受け入れ依頼信号を受信すると、そのBC受け入れ依頼信号に含まれる、処理依頼するBC負荷情報とホームエージェント#1自身のHA負荷情報とを比較し、転送先ホームエージェントとして動作可能か否かを表す応答メッセージをBC受け入れ応答信号に含め、このBC受け入れ応答信号をホームエージェント#2〜#nに対して送信する。ここで、負荷情報は、転送先ホームエージェントの後述するホームエージェント負荷測定部(収集部)100にて測定された情報に基づいて計算される。
従って、転送先ホームエージェント#2は、転送元ホームエージェント#1が転送先ホームエージェントを選択するための情報を提供している。
一方、ホームエージェント#2〜#nは、いずれも、転送元ホームエージェントおよび転送先ホームエージェントの両機能を有する。
(1−4−3)ホームエージェント#2
ホームエージェント#2は、ホームアドレスとCoAとを変換する複数の変換データを用いて移動端末#1〜#3側又は他のホームエージェント側とパケットを送受信する送受信部90aと、BC001にて保持された複数の変換データと、複数の変換データのそれぞれについての転送処理状態とを対応付けた各BC領域を複数有する保有データ部(保持部)300と、ホームエージェント#1自身の第1負荷情報(002,003)とホームエージェント#2の第2負荷情報(002,003)とに基づいて、ホームエージェント#2から依頼された複数の領域BCを受け入れる分散処理受け入れ部100とをそなえて構成されている。ここで、実際に受け入れられるものは、BCデータであって、このBCデータの移動に付随して分散処理が受け入れられる。
以下、ホームエージェント#1,#2は、それぞれ、転送元ホームエージェント,転送先ホームエージェントとして機能するものとして説明する。
このように、複数のホームエージェント#1〜#nが設けられた場合において、各ホームエージェント#1〜#nの能力は、最大限まで引き出すことが可能となる。
さらに、各ホームエージェント#1〜#nのメモリなどのリソースの有効利用が図られ、低コスト化を促進できる。
(1−4−4)位置登録
移動端末#1がホームネットワーク10からサブネットワーク61,62に移動する場合を例として、位置登録を説明する。
移動端末#1は、サブネットワーク61に設けられた無線通信機能を有するアクセスルータ(図示省略)からのサブネットワーク61自身の識別情報を含むルータ広告メッセージを受信し、これにより、移動端末#1の移動先(訪問先)のサブネットワーク61を検出又は認識する。ここで、ルータ広告メッセージは、周期的又は移動端末#1からの位置登録要求に対して応答するときに送信される。
移動端末#1の新たなCoA(例えば、「b」)は、移動端末#1が自ら生成する方法と、ネットワーク側のサブネットワークが生成したCoA「b」を含むルータ広告メッセージから抽出する方法とのいずれかによって取得する。
移動端末#1は、接続しているサブネットワークが変更されたことを認識すると、ホームエージェント#1に対して、位置登録要求メッセージ(BU)を送信する。ホームエージェント#1は、その位置登録要求メッセージに含まれるCoA「b」を抽出し、CoA「b」をBC(Binding Cache:BC)001に保持し、これにより、位置登録が完了する。
次に、移動端末#1が、サブネットワーク61からサブネットワーク62に移動すると、移動端末#1は、ホームエージェント#1に対して新たなCoA「b1」を通知し、ホームエージェント#1は、BC001に保持されたCoA「b」を新たなCoA「b1」に更新する。また、ホームエージェント#1は、バインディング応答パケットを移動端末#1に送信し、これにより、移動端末#1は、位置登録の完了を認識する。
(1−5)ホームエージェント#1
(1−5−1)ホームエージェント#1の機能
本発明のホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられたCoA付きの第2パケットを移動端末#1〜#3に対して転送するn台のホームエージェント#1〜nのうちの1つである。このホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3との通信機能と、他のホームエージェント#2〜#nのそれぞれと、以下に詳述する負荷情報(BC負荷情報およびHA負荷情報)を通信する機能とを有する。
移動端末#1〜#3と通信する機能として、ホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3の位置登録データ(移動端末#1〜#3のホームアドレスおよび移動端末#1〜#3のCoA:位置情報とも呼ぶ。)の保持と、この位置登録データに基づいて、移動端末#1〜#3に対して、例えば送信元ノード#1から送信されたパケットを代理受信(インタセプト)し、そのパケットを移動端末#1に対して転送する。
また、ホームエージェント#1は、他のホームエージェント#2〜#nのそれぞれと、HA負荷情報およびBC負荷情報からなる負荷情報をメッセージの交換により交換する。ホームエージェント#1は、ホームエージェント#1自身のHA負荷情報およびBC負荷情報を他のホームエージェント#2〜#nに対して送信し、また、他のホームエージェント#2〜#nから送信された各ホームエージェント#2〜#n自身のHA負荷情報およびBC負荷情報を受信する。
ここで、ホームエージェント#1と他のホームエージェント#2〜#nとの通信データは、情報データおよび制御データの両データである。この情報データは、以下に示すバインディングキャッシュ(Binding Cache:BC)に保持されたデータであり、また、制御データはホームエージェント#1がホームエージェント#1自身が測定した負荷に関する情報(負荷情報,負荷状態又は負荷状況)を含むデータである。
従って、本発明のホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3と通信する通常機能に加えて、他のホームエージェント#2〜#nとも通信できるようになっている。なお、ホームエージェント#1の構成については、図2などを参照して後述する。
(1−5−2)BC(バインディングキャッシュ)001
BC001は、移動端末#1〜#3のホームアドレス,CoAおよび登録の有効時間などを保持するメモリ(バッファ)であって、ホームエージェント#1が移動端末#1〜#3からバインディング要求メッセージを受信したときに作成される。そして、BC001が作成された後に、移動端末#1がホームネットワーク10以外の他のサブネットワーク62などに移動した場合、移動端末#1は移動端末#1自身で新たなCoAを生成し、又は移動端末#1と接続されているサブネットワーク62又はこのサブネットワーク62の上位のサブネットワークから送信されたCoAを取得し、その取得したCoAをホームエージェント#1に対して送信する。ホームエージェント#1はこのCoAを受信すると、BC001に記録した移動端末#1のCoAを更新する。また、BC001の登録の有効時間が経過した後は、CoAのバインディングキャッシュは削除され、これにより、メモリ,リソースが効率的に利用されるようになっている。
(1−6)IPネットワーク60およびルータ65
IPネットワーク60は、パケットを転送するネットワークであって、多数のパソコン,ワークステーション,LANなどのネットワークノード(例えばサーバ)と、パケットの最適な経路を選択して転送するルータとが相互に接続されたものである。パケットのフォーマットは、情報データと、この情報データについて送信元ノード#1〜#3のアドレスおよび転送先ノードのアドレスを含むヘッダとの各領域を有する。そして、IPネットワーク60内部又は外部から転送されたパケットは、ネットワークノード又はルータにおいてアドレスを参照され、複数の経路を転送されて転送先ノード(移動端末#1)に送信される。
また、ルータ65は、IPネットワーク60と各サブネットワーク62〜64との接続ポイントに設けられた転送装置であってゲートウェイ機能を有する。例えばサブネットワーク10に接続されたルータ65のゲートウェイ機能は、サブネットワーク10から受信したパケットのうちの予め設定したアドレスを有するものだけをIPネットワーク60に転送し、また、IPネットワーク60から受信したパケットについても予め設定したアドレスを有するものだけをサブネットワーク10に対して転送する機能である。各ルータ65は、アドレステーブルを有し、学習テーブル(いずれも図示省略)を用いることが望ましい。
なお、サブネットワーク62〜64のゲートウェイ機能もサブネットワーク10のそれと同一なので重複した説明を省略する。
(1−7)移動端末#1〜#3
移動端末#1〜#3は、携帯電話,携帯端末であって、通常、サブネットワーク10に接続し、ホームアドレスを付与されている。ここで、ユーザが他のサブネットワーク62〜64のいずれかに移動した場合は、移動端末#1は、サブネットワーク10のホームエージェント#1〜#nのうちの1台のホームエージェント(例えばホームエージェント#1)に対してCoAを登録するために通知(登録メッセージ)する。
なお、モバイルIPv6プロトコルおよびモバイルIPv4プロトコルのようなモバイルIPプロトコルは、同一のBCが複数のホームエージェント#1〜#nに存在しないように規定している。この理由は、通常のモバイルIPプロトコルは、BCが生成される契機は、移動端末#1〜#3がホームエージェント#1,#2に通知する契機でのみ行なわれ、移動端末#1〜#3は複数のホームエージェント#1,#2に対してBUを送信しないからである。
そして、ホームエージェント#1は、位置登録要求メッセージ又はバインディング要求メッセージを受信すると、BC001を生成し、送信元ノードが送信したパケットのヘッダの「転送先アドレス」に、BC001に記録されたCoAを書き込む。
移動端末#1〜#3は、音声又はデータの送受信機能と、ハンドオーバが発生したときに新たにCoAを作成しその直後にハンドオーバの発生直前の旧CoAを保持する機能と、移動通信システム9に対して旧CoA宛てのパケットを新CoAに転送することを要求するバインディング要求メッセージおよび位置登録要求メッセージの送信機能とを有する。
(2)ホームエージェント#1の構成
図1に示すホームエージェント#1は、移動端末#1〜#3のCoAを管理するとともに、各ホームエージェント#1〜#n間において、それぞれ、ホームエージェント#1自身の負荷情報およびBC転送に要するメッセージ転送などを行なう。
また、ホームエージェント#2〜#nは、それぞれ、移動端末#1〜#3以外の他の移動端末(図示省略)が登録したCoAを保持し管理するようになっており、詳細な構成は以下に述べるホームエージェント#1の構成と同一である。
さらに、移動端末#1〜#3のそれぞれが、以前と異なるネットワークのホームエージェントに対して位置登録することができるのは、移動端末#1〜#3のホームアドレスも、以前と異なるネットワーク配下になった場合である。すなわち、ホームアドレスとホームエージェントとが同一ネットワークの配下になった場合に、各移動端末#1〜#3は以前と異なるネットワークのホームエージェントに位置登録できる。
図2は本発明の一実施形態に係るホームエージェントのブロック図である。この図2に示すホームエージェントは、主制御部11と、送受信部(送信部および受信部)90と、ホームエージェント負荷測定部(収集部)100と、BC転送制御部200(Binding Cache:BC)と、データ保持部300とをそなえて構成されている。また、ホームエージェントの機能は、例えばワークステーションによって実現される。
(2−1)主制御部11
主制御部11は、ホームエージェント#1自身の負荷情報に関する情報の収集又は測定と、ホームエージェント#1に設けられた各モジュールの動作制御と、メモリデータの読み書きと、入出力インターフェースの管理とを行なうものである。この主制御部11の機能は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置),ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などにより実現される。
(2−2)送受信部90
送受信部90は、パケットを送受信するものであって、受信部90aと送信部90bとを有する。受信部90aは、ホームエージェント#1〜#nのうちの転送元ホームエージェント#1から送信された変換データの処理についてのBC受け入れ依頼信号を受信するものである。
送信部90bは、BC選択制御部201およびHA選択制御部202のそれぞれにおいて選択された転送用の領域を転送先ホームエージェント#2に対して送信するとともに、移動端末#1〜#3に対して登録先変更通知を送信するものである。また、移動端末#1〜#3が移動先のサブネットワークにおいても送信元ノード(CN)#1〜#3からのパケットを受信できるようになる。
これにより、受信部90aにおいて、パケットの受信,そのパケットに含まれるデータの抽出およびパケット種別の判定などが行なわれる。また、送信部90bにおいて、CoAを書き込まれた登録先変更通知が移動端末#1〜#3に対して送信される。
なお、送受信部90の機能は、例えばワークステーションの物理的な入出力ポート(図示省略)と、パケットの主に送受信処理に用いる送受信バッファと、入出力ポートを動作させるソフトウェアアプリケーション(例えばデバイスドライバ)とがそれぞれ協働することにより実現される。
(2−3)ホームエージェント負荷測定部100
転送元ホームエージェント#1は、転送先ホームエージェント#2に対して、ホームエージェント#1自身のBC負荷情報を送信する。
(2−3−1)負荷情報の測定(負荷情報の収集)
ホームエージェント負荷測定部100は、HA負荷情報003およびBC負荷情報002からなる第2負荷情報を測定するものである。ここで、HA負荷情報003は、上記の転送先ホームエージェント#2自身のHA負荷情報である。そして、BC負荷情報002は、ホームアドレスとCoAとを変換する例えば5個の変換データと、各変換データの処理状態を表す5種類の状態とを対応付けたバインディングデータを保持する5個のBC領域1〜5に保持されたバインディングデータのパケット転送量の履歴に基づいて作成した情報である。
また、BC負荷情報002は、BCを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報であり、具体的には、トンネリングを行なったパケットの転送量を表す。BC負荷情報002は、ホームエージェントにおいてBCを転送する必要の有無の判定と、転送用BCの選択と、受け入れ可能なBC転送量の算出とを行なうために用いられる。
(2−3−2)ホームエージェント負荷測定部100の構成
ホームエージェント負荷測定部100は、ホームエージェント#1自身の負荷情報の測定機能に加えて、パケットの外側にCoAを挿入して転送(トンネリング)しその転送したパケットについてBC001に記録されたCoA毎のパケット転送量の測定と、BC001に新規に記録可能な記憶領域の有無の判定(受け入れ可能か否かの判定)との各機能を有する。このホームエージェント負荷測定部100は、ホームエージェント負荷抽出部101と、BC負荷測定部102と、許容判定部(判定部)103とをそなえて構成されている。
ここで、ホームエージェント負荷抽出部101は、ホームエージェント#1の負荷情報を測定および記録(以下、測定/記録と表記する。)するものである。この負荷情報の一例は、CPU使用率,送受信バッファおよびワークステーションが稼働中に使用されている全てのメモリの使用率(メモリ使用率)、又は例えばハードディスクなどの記録用デバイスの空き容量である。また、これらの負荷情報は、主制御部11によって収集される。主制御部11は、ホームエージェント負荷抽出部101,HA負荷情報003(後述する図7(c)参照)および許容判定部103のそれぞれと協働して、ホームエージェント#1の負荷測定および許容判定を行なうようになっている。
なお、これらのCPU使用率,メモリ使用率又は空き容量の各測定は、それぞれ、ワークステーションが有するCPU,メモリなどの使用状況をモニタリングするアプリケーションプログラムが用いられている。
また、BC負荷測定部102は、BC001毎のパケット転送量を測定/記録するものである。
さらに、許容判定部103は、受信部90aにて受信されたBC受け入れ依頼信号に含まれる第1負荷情報(002,003)と、HA負荷情報測定部100にて収集された第2負荷情報(002,003)とに基づいて、BC受け入れ依頼信号の受け入れ可否を判定するものであって、判定部として機能している。
また、許容判定部103は、予め保守者により設定された閾値に基づいてホームエージェントの負荷が許容量を超えているか否かを判定するとともに、その判定時点においてBC001の処理に要するBC001の許容負荷量を算出するようになっている。
これにより、ホームエージェント#1は、常時、ホームエージェント#1自身の負荷情報を監視し、また、他のホームエージェント#2〜#5に対して負荷情報を通知する。この負荷情報は、各ホームエージェント#1〜#5間において送受信されるBC転送に関するメッセージに挿入され、処理能力に余裕があるホームエージェント#1〜#5のうちの一部又は全部において、ホームエージェント#1の負荷が分散される。
(2−4)HA負荷情報の生成および負荷判定処理
図3は本発明の一実施形態に係るHA負荷情報の生成および負荷判定処理を説明するための図である。この図3に示すホームエージェント負荷測定部101は定期的に主制御部11に対してトリガを通知し、主制御部11はホームエージェント#1の負荷情報(CPU使用率,メモリ使用率およびデバイス空き容量など)を測定する。主制御部11は、この測定した負荷情報をデータ保持部300に書き込み、これにより、HA負荷情報003が生成される。そして、許容判定部103は、データ保持部300の負荷情報を読み込み、ホームエージェント#1の負荷の程度を判定し、判定結果を出力する。
なお、ホームエージェント#2〜#nの負荷判定も、ホームエージェント#1の負荷判定とほぼ同様である。従って、ホームエージェント#2〜#nの各負荷情報は定期的に更新され、各ホームエージェント#1〜#nは、それぞれ、更新された負荷情報を共有できる。
(2−5)BC負荷情報
図4は本発明の一実施形態に係るBC負荷情報の収集処理を説明するための図である。ホームエージェント#1は、受信したパケットを保持しているBC001の状態(例えば図7(a)参照)を読み込む。ここで、各状態は、収集および転送の各処理段階におけるホームエージェント#1の動作を表す。例えば、状態「転送中」は、BC自身を他のホームエージェントに転送しようとしているときの状態を表す。この転送している間に、BC負荷測定部102は、パケット転送量を測定し、その測定結果をBC負荷情報002に書き込む。また、ホームエージェント#2〜#nのBC負荷情報の収集処理についてもホームエージェント#1のそれとほぼ同様である。
このように、トンネリングされている間は、パケット転送量が負荷情報のデータとして測定され、そして、BC負荷情報002が生成される。
(2−6)BC001の受け入れ判定処理
図5は本発明の一実施形態に係るBC001の受け入れ判定処理を説明するための図である。なお、この図5に示すもので上述したものと同一符号を有するものは、それらと同一のものを表す。
ここで、ホームエージェント#1のHA選択制御部202(図2参照)が、他のホームエージェント#2〜#nからBC受け入れ依頼信号を受信した場合、ホームエージェント#1の許容判定部103は、他のホームエージェント#2〜#nから送信されたBC受け入れ依頼信号に含まれる転送BC負荷情報002と、ホームエージェント#1自身のHA負荷情報003とに基づいて、依頼されたBC001の処理を受け入れ可能か否かを判定し判定結果を出力する。また、ホームエージェント#1の許容判定部103は、判定結果が「受け入れ不可」である場合は、マージンを考慮し通常の受け入れ可能BC転送量をも算出する。
(2−7)緊急時における受け入れ判定処理
図6は本発明の一実施形態に係る緊急時における受け入れ判定処理を説明するための図である。ホームエージェント#1は、BC緊急受け入れ依頼信号を受信すると、受け入れ可能なBC転送量を算出する。具体的には、許容判定部103は、HA負荷情報003に保持されたデータを読み込み、このデータに基づいて、ホームエージェント#1が受け入れ可能な最大のBC転送量(受け入れ可能BC転送量)を算出する。
これにより、ホームエージェント#1〜#nは、自己診断により動作が不安定であることを判断した場合に、BCを転送させることができ、確実な通信が確保できる。
(2−8)BC転送制御部200(図2参照)
BC転送制御部200は、BC001を他のホームエージェント#2〜#nに転送するための各種制御と、ホームエージェント#2〜#nから送信されたBC001の受け入れに関する制御とを行なうものであって、BC選択制御部201およびHA選択制御部202とをそなえた選択部200aと、BC送信制御部203と、BC受信制御部204とをそなえて構成されている。
ここで、BC選択制御部201は、BC負荷情報002に基づいて転送用のBC領域を選択するものであり、また、BC受信制御部204は、HA負荷情報003に基づいて転送先ホームエージェント#2を選択するものである。この選択部200aについてさらに詳述する。
(2−9)BC選択制御部201
BC選択制御部201は、ホームエージェント#1が管理する各移動端末#1〜#3についての5個のBC001(図7(a)参照)のうちの他のホームエージェント#2〜#nに対して転送するBC001を選択するものである。この選択は、ホームエージェント負荷測定部100にて測定された負荷情報(BC負荷情報002)とHA負荷情報003とに基づく。
(2−10)HA選択制御部202
HA選択制御部202は、ホームエージェント#2〜#nのうちのBC001を転送する転送先ホームエージェント#2を選択するものであって、具体的にはホームエージェント#2〜#nのうちの処理可能なホームエージェントを選択する。HA選択制御部202における転送先ホームエージェントの選択方法は、転送元HA500と転送先HA501とにおいて異なる。
(2−11)選択部200a
選択部200aの機能は、BC選択制御部201およびHA選択制御部202が協働することにより発揮される。
転送元ホームエージェントは、他のホームエージェントに対してBC受け入れ依頼を送信し、その応答結果から、転送元ホームエージェントは、転送先エージェントを決定する。この応答結果には、受け入れ可又は受け入れ不可の情報、又は受け入れ可能なBCの負荷限度がある。そして、依頼を受けたホームエージェントは、ここで、ホームエージェント自身のHA負荷情報を見て、依頼のあったBCを受け入れられるか否かを判定する。
(2−12)BC送信制御部203およびBC受信制御部204
BC送信制御部203は、BC001を転送先ホームエージェント#2に対して送信する処理手続きを行なうものである。この処理手続きの具体例は、まず、転送元ホームエージェント#1が、転送するためのBC001と転送先ホームエージェント#2とのそれぞれを決定する。次に、転送先ホームエージェント#1は、転送元ホームエージェント#2に対してBC001の転送と、BC001の転送に必要なメッセージなどを送受信する。さらに、転送先ホームエージェント#1は、転送先ホームエージェント#1自身が保有するBC001の状態を変更し、また、BC001を削除する。
また、BC受信制御部204は、転送元ホームエージェント#1からのBC001を受信し、この受信に必要なメッセージなどを送受信するものである。さらに、BC受信制御部204は、受信したBC001を登録し、状態を変更する。ホームエージェントは、全ての移動端末#1〜#3に通知せずに、転送されたBCと関連している移動端末1台のみである。
BC送信制御部203およびBC受信制御部204間において送受信されるメッセージは、例えば後述する図14に示す4種類の信号メッセージ(BC送信信号055,BC受信信号OK056,BC削除通知信号057およびBC転送完了信号059)である。転送元ホームエージェント#1は、BC001の処理を例えばホームエージェント#2に依頼する場合、最初に転送元ホームエージェント#1が転送先(候補)ホームエージェント#2に送信する信号は、BC受け入れ依頼信号051である。転送先ホームエージェント#2がこのBC受け入れ依頼信号051を受信すると、BC送信制御部203が転送先ホームエージェント#2のBC受信制御部204に対して、BC送信信号055を送信する。
ここで、転送先ホームエージェント#2がこのBC送信信号055を受信すると、BC送信信号055の転送量とその時点における転送先ホームエージェント#2の負荷の大きさとを考慮して受け入れ可又は受け入れ不可を判定する。転送先ホームエージェント#2が受け入れ不可と判定すると、「受け入れ不可」を表すメッセージを転送元ホームエージェント#1に対して送信する。
なお、受け入れ不可であっても、転送先(候補)ホームエージェントは、受け入れ可能なBC転送量を返すので、全候補が受け入れ不可の場合、転送BCを変更して選択し直すこともある。
一方、転送先ホームエージェント#2が、BC送信信号055のデータを処理できると判定した場合には、「受け入れ可」を表すメッセージを転送元ホームエージェント#1に対して送信する。また、転送先ホームエージェントが受け入れ信号に対して応答した後に、転送先ホームエージェントがBC送信信号055を送信し、BCを転送先ホームエージェントに対して送信する。なお、移動端末#1〜#3には、このBC送信信号055は送信されない。
従って、移動端末#1〜#3に対して送信されるBC送信信号055のデータは、転送先ホームエージェント#2において処理される。転送元ホームエージェント#1は、転送先ホームエージェント#2のBC送信信号で送信したBCと同一のBC送信信号055を保持しており、また、このBC送信信号055は不要となる。BC送信システムは通知又は送信のためだけであり、実際に保持されているのはBCだけである。
このため、転送元ホームエージェント#1は、BC送信信号055を削除する契機として、転送先ホームエージェント#2からのBC受信OK信号056の受信時を用いている。そして、転送元ホームエージェント#1がBC削除通知信号057を受信して、BC送信信号055を削除すると、転送先ホームエージェント#2に対してBC送信信号055の削除完了を通知する。
これにより、切り替え対象の移動端末#1〜#3の選択にあたり、ホームエージェント#1〜#nは、いずれも、自分自身以外の切り替え先のホームエージェント#1〜#nの負荷に応じて柔軟に選択できる。
従って、特定のホームエージェント#iが負荷の増大によって、ダウンすることが回避され、安定した通信環境が確保される。
(2−13)BC転送におけるメッセージ交換
図14は本発明の一実施形態に係る転送先ホームエージェント決定後のBC001の転送処理を説明するためのフローチャートである。この図14に示す転送元ホームエージェント#1のBC送信制御部203は、決定した転送BC600,601,602をBC送信信号055に含めてそれぞれ転送先ホームエージェント#2に転送し(ステップC1)、また、転送BC600,601,602の各状態を「転送中」とする(ステップC2)。
一方、転送先ホームエージェント#2のBC受信制御部204は、BC送信信号055を受信すると(ステップC7)、転送BC600,601,602を抽出し、この転送BC600,601,602の状態を「受信中」として(ステップC8)、転送BC600,601,602を転送先ホームエージェント自身のBC001として登録し、BC受信OK信号056を転送元ホームエージェント#1に送信する(ステップC9)。
次に、転送元ホームエージェント#1のBC送信制御部203は、BC受信OK信号056を受信すると(ステップC3)、転送BC600,601,602を削除し、(ステップC4)、転送先ホームエージェント#2にBC削除通知信号057を送信する(ステップC5)。
さらに、転送先ホームエージェント#2のBC受信制御部204は、BC削除通知信号057を受信し(ステップC10)、その後、登録した転送BC600,601,602の状態を「転送後」にする(ステップC11)。また、BC受信制御部204は、BC転送完了通知058を転送元ホームエージェント#1に送信する(ステップC12)。
ここで、転送元ホームエージェント#1のBC送信制御部203は、BC転送完了信号058を受信すると、一連の転送処理を終了する(ステップC6)。
また、転送先ホームエージェント#2のBC受信制御部204は、バインディングキャッシュBCのライフタイムが期限切れに近づくと、転送BC600,601,602のCoAを有する移動端末#1〜#3に対してバインディング要求(Binding Request:BR)を送信し(ステップC13)、一定期間、応答信号を受信しない場合(三角形で表した部分参照)は、移動端末#1〜#3にホームエージェントの更新(バインディングキャッシュのリフレッシュ)を通知し、転送BC600,601,602の各状態を「通常」にする(ステップC14)。
従って、BC転送時において、転送元ホームエージェント#1と転送先ホームエージェント#2との両方が、ともに、BCを保持したまま「状態」を変更してトンネリングを制御する。そして、転送元ホームエージェント#1が、転送成功を確認してから、転送元ホームエージェント#1自身が保持するBCを削除する。
これにより、移動端末#1のホームエージェント#1がホームエージェント#2に切り替えられるときに、送信元ノード#1と移動端末#1との間の通信切断時間が抑制される。
なお、転送元ホームエージェント#1の処理手続きは、例えばデータにホームエージェント#1自身のアドレスと、他のホームエージェント#2〜#nのアドレスとを含むヘッダを生成する。また、転送先ホームエージェント#2〜#nの処理手続きは、例えば他のホームエージェント#2〜#nから送信されたパケットから転送元アドレスおよび転送先アドレスを抽出しデータを保持することも含む。
(3)データ保持部300
データ保持部300は、CoAと、負荷情報とを保持するメモリであって、BC001と、BC負荷情報002と、ホームエージェント負荷情報003とを有する。
(3−1)BC001
次に、図7(a)〜図7(c)を参照してBC001が保有するデータについて説明する。
図7(a)は本発明の一実施形態に係るBC001の領域を説明するための図である。この図7(a)に示すBC001の領域は、移動端末#1〜#3を含む5台の移動端末のそれぞれに割り当てられた領域BC1〜BC5を有する。各領域BC1〜BC5は、それぞれ、ホームアドレスとCoAとを対応付けた既存の変換テーブル(図示省略)を有するとともに、この変換テーブルに記録された変換データと、各変換データについての転送状態(以下、状態と略称する。)とを保持している。
この「状態」とは、ホームエージェント#1と他のホームエージェント#2〜#nとの間において交換(送受信)されるBC001の処理状態を表し、例えば「転送中」,「受信中」,「転送後」および「通常」の各処理状態を表す。
ここで、「転送中」とは、その状態において、BC001が転送対象として現在転送されていることを表す。
「受信中」とは、ホームエージェント#1が他のホームエージェント#2〜#nから受信したBC001について、他のホームエージェント#2〜#nが受信したBC001を未だ削除していない状態を表す。この削除があったか否かの判断は、転送元ホームエージェント#1が、転送元ホームエージェント#1からのBC削除通知信号を受信することによってBC001が削除されたと判断することにより行なわれる。
さらに、「転送後」とは、ホームエージェント#1が他のホームエージェント#2〜#nからのBC001の受信を完了した直後の状態である。そして、BCの状態が「転送後」の場合、BC転送後の一定時間は、転送BCがBC選択制御部201の選択対象外にされるようになっている。
従って、同一のBCが頻繁に選択対象となることが防止され、移動端末#1が属するホームエージェント#1が頻繁に切り替えられることが回避される。換言すれば、転送対象のBCを表す移動端末#1は、接続対象のホームエージェント#1の不要な切り替えが抑止されるので、安定した通信を維持することができる。
また、「通常」とは、BC001が転送処理の対象ではない状態である。また、「通常」とは「転送中」,「受信中」,「転送後」の各状態以外の状態でもある。すなわち、「通常」状態においては、既存のIPv6プロトコルおよびモバイルIPv6プロトコルに規定される状態と同様の状態を意味する。「転送中」のBCは、同一のBCが、ホームエージェント#1〜#nに存在する状態になることができる。これに対して、「通常」を定義することにより、同一のBCが、2台以上のホームエージェント#1〜#nに存在する可能性を除去したのである。
従って、BC001は、状態として、転送元ホームエージェント#1が転送先ホームエージェント#2に対して変換データを転送している「転送中」状態,転送先ホームエージェント#2が変換データを保持している「受信中」状態,転送元ホームエージェント#1が転送先ホームエージェント#2から受信完了を受信した「転送後」状態および「通常」状態を含む。
一方、送信元ノード#1〜#3は、応答パケットを受信すると、移動端末#1〜#3のバインディングデータ(通信相手情報)を記録する。そして、送信元ノード#1〜#3は、それぞれ、この記録に基づいてホームエージェント#1を経由せずに、直接、所望の移動端末#2,#3と通信する。ここで、送信元ノード#1〜#3から出力されるパケットの宛先はホームアドレスを挿入し、さらに、パケットを中継するルータ(図示省略)に対して移動端末#1〜#3のCoAを挿入する。
これにより、パケットはホームエージェント#1を介さずに、直接、移動端末#2,#3に転送され、ホームエージェント#1の処理負荷が軽減する。
このように、BC001は、ホームアドレスとCoAとを変換する例えば5個の変換データと、各変換データの処理状態を表す5個の状態とを対応付けたバインディングデータを保持するBC領域1〜5を有する移動端末#1〜#3毎の位置情報を保持する。
従って、ホームエージェント#1〜#5は、通常のホームアドレスおよびCoAを相互に変換出力するとともに、各変換データについて状態を用いて管理し、個別に処理状態が常時監視され信頼性の高い転送処理が可能となる。
なお、これらに加えて、移動通信システム9が、モバイルIPv6プロトコルを発展させて、例えばモバイルIPv4アドレスおよびモバイルIPv6アドレスのようなモバイルIPプロトコルなどを用いた階層化モバイルIPアドレスをもサポートする場合は、BC001が保持するデータは、階層化アドレスのための他の情報データをも保持することもできる。
(3−2)BC001の状態を用いた管理
状態が「通常」の場合、モバイルIPv6プロトコルによれば、同一のBC001がn台のホームエージェント#1〜#nに保持されることはない。なぜならば、移動通信システム9において、仮に同一のBC001が複数のホームエージェント#3〜#nに保持されていると、ホームエージェント#3〜#nが同一パケットについてトンネリング処理を行なうので、そのBC001を受信する移動端末#1〜#3が複数の同一パケットを受信するからである。すなわち、移動端末#1〜#3が複数の同一パケットを受信する状況はない。
換言すれば、BC001の状態が「転送中」の場合、同一のBC001がホームエージェント#1〜#nに保持されることがある。この一方、「通常」は同一のBC001がホームエージェント#1〜#nに保持されることはない。この場合、状態は、既存のモバイルIPv6プロトコルにて定められた状態と同様になる。
また、状態が、「転送中」,「受信中」の場合、ホームエージェント#1〜#nは、同一のBC001を用いて対応する。ここで、ホームエージェント#1〜#nは、「転送中」のBC001についてのトンネリングを行なう一方、「受信中」のBC001についてのトンネリングを行なわない。
さらに、状態が、「転送後」の場合、ホームエージェント#1〜#nは、そのBC001がBC選択制御部201の選択対象外とし、受信後、一定時間の経過後に状態を「通常」にする。
これにより、同一のBCが頻繁に選択対象となることが防止され、移動端末#1が属するホームエージェント#1が頻繁に切り替えられることが回避される。
(3−3)BC負荷情報002
BC負荷情報002は、各BC001について、トンネリングしているときの転送量データである。
図7(b)は本発明の一実施形態に係るBC負荷情報002が保有するデータ例を示す図である。この図7(b)に示すBC負荷情報1〜5は、それぞれ、BC001の領域BC001〜BC005に対応して保持され、各BC001についてそれぞれ負荷情報が記録されている。ここで、BC001〜BC005についての負荷情報は、図7(b)に示す転送量の履歴を用いて表されるようになっている。BC001についての履歴は、例えば1秒毎に記録され、最も新規に(現時刻)転送された場合の転送量「1」などと、1秒前の転送量,…,m秒前(mは自然数を表す。)の転送量とが、全て記録されるようになっている。
この転送量の測定間隔(例えば1秒)は、各サブネットワーク10,62〜64の負荷の大きさと、ネットワーク機能又はネットワークの設置目的などに基づいて、通信事業者(管理者又は保守者)によって決定される。ここで、負荷の平均値が例えば1パケット/秒などの極端に低い場合、通信事業者は、転送量の測定間隔を1分にし、また、負荷の平均値が例えば1万パケット/秒などの場合、通信事業者は、1秒以内の測定間隔が必要と判断する。
これにより、バインディングキャッシュ選択制御部201は、パケットを移動端末#1〜#3に対してトンネリングしているときのパケット転送量の履歴に基づいて例えば5個のBC領域1〜5を選択する。
そして、BC負荷情報002は、BC001に記録された個々の負荷情報を取得する。この負荷情報の取得方法は、例えばt1秒間の転送量を継続的に記録し、各転送量を過去p1回分保持する(p1は自然数)。
(3−4)ホームエージェント負荷情報003
ホームエージェント負荷情報003は、各ホームエージェント#1〜#nの負荷情報である。
図7(c)は本発明の一実施形態に係るホームエージェント負荷情報003が保有するデータ例を示す図である。この図7(c)に示すホームエージェント負荷情報の保持領域は、1秒毎のホームエージェント#1の負荷情報を記録する領域を設けており、また、各ホームエージェント負荷情報は、それぞれ、CPU使用率,メモリ使用率および記録用のデバイス(例えばハードディスク)の空き容量のそれぞれを対応付けられている。すなわち、HA選択制御部202は、ホームエージェント負荷情報003を、自局の負荷増大の監視と、バインディングキャッシュ受け入れ依頼信号の受信時に受け入れ可能又は受け入れ不可能の判定と、受け入れ可能なバインディングキャッシュ負荷情報002の算出とに用いるようになっている。そして、転送元ホームエージェント#1は、BC受け入れ依頼に対する応答の内容により、転送先を決定する。
そして、ホームエージェント負荷情報収集部100は、第2負荷情報(002,003)を保持する保有データ部002,003を有し、許容判定部103が、保有データ部002,003に保持された第2負荷情報(002,003)に基づいて、BC受け入れ依頼信号051の受け入れ可否を判定する。
これにより、ホームエージェント負荷情報003は、t2秒毎にホームエージェント#1自身の負荷情報を測定し、それを過去p2回分保持する(p2は自然数)。
また、このように、BC001が保持するデータは、移動端末#1〜#3毎のBC001と、既存のモバイルIPv4プロトコルおよびモバイルIPv6プロトコルによって規定されるデータと、BC001の転送時に使用するBC001の状態などとを有する。
また、ホームエージェント#1〜#nの負荷が増大して、動作不能の可能性が生じたときにおいても、各ホームエージェント#1〜#nは、自分自身が保持する全てのBC001を自分以外の他のホームエージェント#1〜#nに転送できる。
これにより、パケット処理遅延およびパケットロスの発生が回避される。
(4)信号フォーマット
図2,図8(a),図8(b)および図11を参照して、ホームエージェントの各モジュール間を送受信する信号について説明する。
(4−1)BC受け入れ依頼信号051
図8(a)は本発明の一実施形態に係るBC受け入れ依頼信号のフォーマットを示す図である。この図8(a)に示すBC受け入れ依頼信号051は、ホームエージェント#1のHA選択制御部(第1ホームエージェント選択制御部)202によって送信され、ホームエージェント#2のHA選択制御部(第2ホームエージェント選択制御部)202によって受信される。具体的には、負荷の大きくなった例えばホームエージェント#1が、他のホームエージェント#2〜#nに対して、ホームエージェント#1自身のBC001のうちの処理を依頼するBC001のBC負荷情報002を含めて転送先ホームエージェント#2〜#nを探すために送信する。
この図8(a)に示す送信先アドレスは、BC受け入れ依頼信号051の送信先ホームエージェントのアドレスである。送信元アドレスは、BC受け入れ依頼信号051の送信元ホームエージェントのアドレスである。種別は、送信する信号種別を表す情報であって、転送先ホームエージェントが受信信号種別をBC受け入れ依頼信号051と認識するためのものである。転送BC負荷情報は、転送を依頼するBC001のBC負荷情報002である。
(4−2)BC緊急受け入れ依頼信号052
図8(b)は本発明の一実施形態に係るBC緊急受け入れ依頼信号052のフォーマットを示す図である。この図8(b)に示すBC緊急受け入れ依頼信号052は、例えば、ホームエージェント#1自身がサービス提供の継続を保証できないと判断した場合に、受け入れ可能な転送量を各ホームエージェント#2〜#nに問い合わせるために送信される。
また、図8(b)に示す送信先アドレスは、BC緊急受け入れ依頼信号052の送信先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは、BC緊急受け入れ依頼信号052を送信したホームエージェントのアドレスである。また、種別は、送信する信号種別が、BC緊急受け入れ依頼信号052を表す。
(4−3)BC受け入れ応答信号053
図9(a),図9(b)はいずれも本発明の一実施形態に係るBC受け入れ応答信号053のフォーマットを示す図であって、それぞれ、BC001の受け入れが可能な場合と、不可能の場合とのそれぞれが表示されている。このBC受け入れ応答信号053は、BC送信元候補のホームエージェント選択制御部202によって送信され、BC送信先ホームエージェント選択制御部202によって受信される。
具体的には、他のホームエージェント#2〜#nは、BC受け入れ依頼信号051(図8(a)参照)を受信すると、他のホームエージェント#2〜#n自身のホームエージェント負荷情報003と、BC受け入れ依頼信号051に含まれる転送BC負荷情報との両方を用いて、そのBC001を受け入れ可能か否かを判定し、判定結果が「受け入れ可」の場合は、図9(a)に示すBC受け入れ応答信号053に受け入れ可を表すデータを書き込む。
また、「受け入れ不可」は、他のホームエージェント#2〜#n自身が受け入れ可能な受け入れ可能BC001の転送量をも含めるようになっている。
ここで、転送先アドレスは、BC受け入れ応答信号053の送信先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは、BC受け入れ応答信号053を送信したホームエージェントのアドレスである。種別は、送信する信号種別である。結果は、依頼されたBC001の受け入れ可/不可を表す。受け入れ可能BC転送量は、他のホームエージェントが受け入れ可能なBC001の転送量に関する情報である。この転送量は結果が受け入れ不可の時のみ挿入される。
(4−4)BC緊急受け入れ応答信号054
図9(c)は本発明の一実施形態に係るBC緊急受け入れ応答信号054のフォーマットを示す図であって、この図9(c)に示すBC緊急受け入れ応答信号054は、ホームエージェント選択制御部202によって送信され、ホームエージェント選択制御部202によって受信される。具体的には、他のホームエージェントは、BC緊急受け入れ依頼信号052を受信すると、他のホームエージェント自身のホームエージェント負荷情報003から、受け入れ可能な最大の受け入れ可能BC転送量を含めて送信する。
ここで、転送先アドレスは、BC緊急受け入れ応答信号054の送信先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは、BC緊急受け入れ応答信号054を送信したホームエージェントのアドレスである。種別は、送信する信号種別である。受け入れ可能BC転送量は、受け入れ可能なBC001の転送量情報を表す。
(4−5)BC送信信号055
図10(a)は本発明の一実施形態に係るBC送信信号055のフォーマットを示す図である。この図10(a)に示すBC送信信号055は、転送先ホームエージェントに転送する情報データを有するBC001を含み、BC送信制御部203によって送信され、BC受信制御部204において受信されるものである。
転送先アドレスは、本信号の転送先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは、本信号を送信したホームエージェントのアドレスであり、また、種別は、BC送信信号である。
(4−6)BC受信確認信号(受信OK信号)056
図10(b)は本発明の一実施形態に係るBC受信確認信号056のフォーマットを示す図である。この図10(b)に示すBC受信確認信号056は、BC送信信号055の応答として他のホームエージェント#2〜#nが送信するものであって、BC受信制御部204によって送信され、BC送信制御部203において受信される。
また、転送先アドレスは本信号の送信先ホームエージェントのアドレスであり、BCの転送先でもある。送信元アドレスは本信号を送信したホームエージェントのアドレスであり、そして、種別は送信する信号種別を表す。
(4−7)BC削除通知信号057
図10(c)は本発明の一実施形態に係るBC削除通知信号057のフォーマットを示す図である。この図10(c)に示すBC削除通知信号057は、BC送信側が送信したBC001を削除したことを転送先に通知するものであって、BC送信制御部203によって送信され、BC受信制御部204において受信される。
転送先アドレスは本信号の転送先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは本信号を送信したホームエージェントのアドレスであり、そして、種別は送信する信号種別である。
(4−8)BC転送完了信号058
図10(d)は本発明の一実施形態に係るBC転送完了信号058のフォーマットを示す図である。この図10(d)に示すBC転送完了信号058は、BC削除通知信号057に対し、受信したBC001を有効にしたことを通知するためのものであって、BC受信制御部204によって送信され、BC送信制御部203が受信される。
転送先アドレスは本信号の送信先ホームエージェントのアドレスであり、送信元アドレスは本信号を送信したホームエージェントのアドレスであり、そして、種別は送信する信号種別を表す。
従って、図8(a)〜図10(d)に示す各信号を用いて各ホームエージェントが相互に通信し、負荷の依頼メッセージおよび負荷の受け入れメッセージを用いてn台のホームエージェントが処理可能になる。
このように、特定のホームエージェントに対する負荷集中が回避され、ネットワークに対する信頼性が向上し、また、保守者は特定のホームエージェントを停止して保守作業が容易になる。
(5)ホームエージェント#3
図1に示すホームエージェント#3も、ホームエージェント#1,#2のそれぞれとほぼ同一構成である。
ホームエージェント#3は、ホームアドレスとCoAとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域BCを有するBC001と、ホームエージェント#1〜#nのうちのホームエージェント#1から送信された変換データの処理についてのBC受け入れ依頼信号051を受信する受信部90aと、ホームエージェント#2自身のHA負荷情報003と、ホームアドレスとCoAとを変換する例えば5個の変換データと、各変換データの処理状態を表す5個の状態とを対応付けたバインディングデータを保持する5個の領域BCに保持されたバインディングデータの転送量に起因するBC負荷情報002とからなる第2負荷情報(002,003)を収集するホームエージェント負荷測定部100と、ホームエージェント#1自身のHA負荷情報003と、その領域BCを使用してトンネリングされたパケットの転送量に起因するBC負荷情報002とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、ホームエージェント#1〜#nのうちのホームエージェント#2と5個の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択部200aと、受信部90aにて受信されたBC受け入れ依頼信号051に含まれる第1負荷情報(002,003)と、ホームエージェント負荷測定部100にて収集された第2負荷情報(002,003)とに基づいて、BC受け入れ依頼信号051の受け入れ可否を判定する許容判定部103と、選択部200aにて選択された転送用の領域BCをホームエージェント#2に対して送信するとともに、移動端末#1に対して登録先変更通知を送信する送信部90bとをそなえて構成されている。
上述したものと同一符号を有するものは、それらと同一のもの又は同一機能を有するものである。
(6)移動通信システム9
さらに、移動通信システム9は、ホームアドレスとCoAとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する例えば5個のBC領域1〜5を有するBC001と、上記の転送元ホームエージェント#1自身のホームエージェント負荷情報003と、例えばBCを用いてトンネリングされたパケットの転送量に起因するBC負荷情報002とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、n台のホームエージェント#1〜nのうちの転送先ホームエージェント#2と例えば5個のBC領域1〜5のうちの転送用のBC領域とを選択するBC選択制御部201と、BC選択制御部201にて選択された転送用のBC領域を転送先ホームエージェント#2に対して送信するとともに、移動端末#1〜#3に対して登録先変更通知を送信する送信部90bとをそなえている。
さらに、移動通信システム9は、n台のホームエージェント1〜nのうちの第2ホームエージェント2が、上記の第2ホームエージェント2自身のホームエージェント負荷情報003と、ホームアドレスとCoAとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持するBC領域1〜5を用いてトンネリングされたパケットの転送量に起因するBC負荷情報002とからなる第2負荷情報(002,003)を収集する収集部100と、n台のホームエージェント1〜nのうちの第1ホームエージェント1から送信された変換データの処理についてのBC受け入れ依頼信号051を受信する受信部90aと、受信部90aにて受信されたBC受け入れ依頼信号051に含まれる第1負荷情報(002,003)と、収集部100にて収集された第2負荷情報(002,003)とに基づいて、BC受け入れ依頼信号051の受け入れ可否を判定する判定部103とをそなえて構成されている。
これにより、ホームエージェントが複数台設けられたときにおいて、各ホームエージェント#1〜#nは、いずれも、自律的に負荷分散が可能となり、また、各ホームエージェント#1〜#nの能力は、いずれも、最大限まで引き出すことができる。
従って、一時的に多数の呼がホームエージェント#1に集中した場合において、ホームエージェント#1は、負荷がBC処理能力を超えることを事前に認識し、BCを転送するので、ホームエージェント#1に対する負荷集中が回避される。
また、負荷集中の回避によって、パケット処理遅延およびパケットロスの発生を防止できる。
(7)動作説明
上述の構成によって、本発明のBC選択制御方法について、図11〜図14を参照して詳述する。
以下に述べる図11〜図13においては、転送元ホームエージェント#1の負荷が上昇し、負荷をホームエージェント#1以外の他のホームエージェント#2,#3に対して分散してもらうように、転送先ホームエージェント#2が依頼をする場合の処理を表している。ここで、転送元ホームエージェント#1の負荷が上昇するパターンとして2種類のパターンについて説明する。
すなわち、第1のパターンは、転送元ホームエージェント#1が、複数の移動端末#1〜#3からのトンネリングの処理の増加を処理しているうちに負荷が上昇するパターン(図11,図12)であり、BC001の転送先のホームエージェントがないとき(図11)と、転送先のホームエージェントがあるとき(図12)とがある。
また、第2のパターンは、緊急時において、転送元ホームエージェント#1が転送先ホームエージェント#2に対して負荷処理を依頼する場合のパターン(図13)である。
なお、図11〜図13に示す長方形(例えば「許容判定103」と表示されたもの)は処理を表し、丸角の長方形(例えばホームエージェント負荷情報003)は、入力されるデータ又は出力されるデータを表す。
(7−1)BC転送制御(転送先ホームエージェントの存在時)
図11は本発明の一実施形態に係る受け入れ先があるときのBC選択制御方法を説明するためのフローチャートであって、転送先ホームエージェントが存在するときのものである。また、このフローチャートの処理は、通常時において負荷上昇に起因するBC001の選択処理が発生した場合のものである。この図11に示すフローチャートは、転送元のホームエージェントと転送先のホームエージェントとの間における処理を表している。
転送元ホームエージェントの許容判定部103は、ホームエージェント負荷情報003を読み込み、このホームエージェント負荷情報003が、許容量を超えているか否かを判定する(ステップA1a)。ここで、許容量を超えていない場合は、Nルートを通り、既存の処理能力に従って選択制御が行なわれる(ステップA1c)。
一方、ステップA1aにおいて、ホームエージェント負荷情報003が許容量を超えている場合は、Yルートを通り、ステップA2aにおいて、BC選択制御部201がBC負荷情報002とBC001とを読み込みし、ルート「1」を通り、複数のBC001のうちの負荷の大きいBC001を通常の転送BC600として選択する(ステップA2b)。さらに、BC選択制御部201は、ルート「3」を通り、転送BC負荷情報610を抽出して生成する(ステップA2c)。そして、BC選択制御部201は、ルート「2」を通り、ホームエージェント選択制御部202に対して転送BC負荷情報610の制御を渡す。
ここで、ルート1は、BC選択制御部201にて転送するBC001として転送BC600が選択されたことを表す。ルート2は、BC選択制御部201の後にホームエージェント選択制御部202の処理を表したものであり、また、ルート3は、BC選択制御部201が転送BC負荷情報610を抽出し、抽出した転送BC負荷情報610をホームエージェント選択制御部202に入力する。
次に、ホームエージェント選択制御部202は、転送先ホームエージェントのBC001に基づいて、BC001を選択制御する(ステップA3)。ホームエージェント選択制御部202は、転送先ホームエージェント#2に対して、「BC受け入れ依頼信号051」を、転送BC600の転送BC負荷情報610に含めて送信する。
一方、転送先ホームエージェント#2のホームエージェント選択制御部202は、BC受け入れ依頼信号051を受信する(ステップA5a)。ここで、ホームエージェント選択制御部202は、「1」と付されたルートを通り、BC受け入れ依頼信号051の転送BC負荷情報610を抽出する(ステップA5b)。そして、転送先ホームエージェント#2は、「2」と付されたルートを通り、この抽出した転送BC負荷情報610とホームエージェント#1自身のホームエージェント負荷情報003とを読み込み、許容判定する(ステップA6)。なお、ステップA6の三角形は分岐処理を表す。
このステップA6において、許容判定部103は、ホームエージェント負荷情報003に基づいて、依頼されたBC001の処理を受け入れ可能か否かを判定しその判定結果を出力する。判定結果が転送BC600を許容できる場合は、「受け入れ可」と付されたルートを通り、ステップA7において、ホームエージェント選択制御部202が転送元ホームエージェント#1に対してBC受け入れ応答信号053を受け入れ可として送信する。また、ステップA7における処理が終了すると、転送先ホームエージェント#2は、BC001の転送受け入れ処理を開始する(2と付した部分参照)。
一方、転送元ホームエージェント#1のホームエージェント選択制御部202は、BC受け入れ応答信号053を受信し、受け入れ可を送信した転送先ホームエージェント#2がある場合はその転送先ホームエージェント#2のうちの適切なものを選択し、また、転送BC600と転送先ホームエージェント#2との組み合わせを決定する(ステップA4)。また、このステップA4が終了すると、転送元ホームエージェント#1は、BC001の転送処理を開始する(1と付した部分参照)。
また、ステップA6において、受け入れできない場合は、ステップA8において、「受け入れ不可」を送信元ホームエージェントに対して送信する。なお、ステップA3において、ホームエージェント選択制御部202は、ホームエージェントの選択制御を行なう。
このように、BC転送制御部200は、BC001を他のホームエージェントに転送するための各種の制御と、他のホームエージェントから送信されたBC001の受け入れに関する制御とを行なう。
(7−2)BC転送制御(転送先ホームエージェントが存在しない時)
図12は本発明の一実施形態に係る受け入れ先がないときのBC選択制御方法を説明するためのフローチャートであって、転送先ホームエージェントが存在しないときのものである。このフローチャートの処理は、通常時において負荷上昇に起因するBC001の選択処理が発生した場合のものである。なお、図12に示すステップのうちの図11にて説明したステップと同一のものは、同一処理を表す。
ここで、図12に示すステップA6における許容判定処理において、許容できない場合は、ステップA20aにおいて、許容判定部103がホームエージェント負荷情報003を読み込み、ステップA20bにおいて、受け入れ可能BC転送量620を算出し、ステップA21において、ホームエージェント選択制御部202が転送元ホームエージェント#1に対して、「受け入れ不可」をBC受け入れ応答信号053に含め、かつ受け入れ可能BC転送量620をその応答信号053に含めて送信する。
一方、転送元ホームエージェント#1のホームエージェント選択制御部202は、BC受け入れ応答信号053を受信し(ステップA22)、「受け入れ可」を送信した転送先ホームエージェント#2がない場合は、BC選択制御部201がBC受け入れ応答信号053内の各受け入れ可能BC転送量を参照して(ステップA23)、ステップA24において、もっとも適切な転送先ホームエージェント#2と、新たにBC001より抽出した転送BC600との組み合わせを選択する。
このように、BC転送制御方法は、転送先ホームエージェントが存在するときと、存在しないときとのそれぞれについて行なわれる。
なお、転送元ホームエージェント#1のステップA23における処理後の1と付した部分と、転送先ホームエージェント#2のステップA21における処理後の2と付した部分とのそれぞれは、いずれも、図14に示すBC001の転送受け入れ処理を表す。
このように、特定の建造物に多数の人が訪問したり、特定の場所に多数の人が集中したような場合において、全ての移動端末#1〜#3が、大量のデータ通信を行なうことにより、大量のトンネリングが発生することを防止できる。
従って、n台のホームエージェントが協働することにより、特定のホームエージェントの輻輳が回避され、この結果、各ユーザは、常時、安定な通信回線を利用することができ、また、通信回線に対する信頼性が向上する。
(7−3)本発明の負荷分散方法
本発明の負荷分散方法は、移動端末#1〜#3の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられたCoA付きの第2パケットを移動端末#1〜#3に対して転送するn台のホームエージェント#1〜#n間における負荷分散方法である。
まず、ホームエージェント#1〜nのうちの転送元ホームエージェント#1において、許容判定部103が、転送元ホームエージェント#1自身のHA負荷情報の許容量の超過を検出し(許容量超過ステップ)、許容量超過ステップにて超過が検出されると転送元ホームエージェント#1のHA選択制御部202は、ホームエージェント#1自身のHA負荷情報とBCを使用してトンネリング処理したときに発生するBC負荷情報とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、転送先ホームエージェント#2とバインディングデータを保持する複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択し(選択ステップ)、そして、HA選択制御部202が、転送先ホームエージェント#2に対してBC受け入れ依頼信号を送信する(送信ステップ)。
次に、転送先ホームエージェント#2において、転送先ホームエージェント#2のHA選択制御部202は、送信ステップにて送信されたBC受け入れ依頼信号から転送用のBC負荷情報を抽出し(抽出ステップ)、許容判定部103が、抽出した転送用のBC負荷情報と転送元ホームエージェント#1自身のHA負荷情報とに基づいて受け入れを判定する(受け入れ判定ステップ)。
そして、受け入れ判定ステップにて受け入れ可能と判定された場合、HA選択制御部202は、転送元ホームエージェント#1に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号053を送信する(応答信号送信ステップ)。
一方、転送元ホームエージェント#1においては、応答信号送信ステップにて送信されたBC受け入れ応答信号053を受信すると、HA選択制御部202が、転送先ホームエージェント#2に対してバインディングキャッシュ(BC)を転送する(転送ステップ)。
このように、負荷分散が行なわれる。さらに、ホームエージェント#1,#2間におけるメッセージ送受信について詳述する。
また、本発明の負荷情報方法は、転送元ホームエージェント#1における送信制御部203がバインディングキャッシュ送信信号を転送先ホームエージェント#2に転送し転送用の各バインディングキャッシュの各状態を設定する(状態設定ステップ)。
続いて、転送先ホームエージェント#2における受信制御部204が、BC送信信号055に含まれる転送BCを登録し、また、転送BCの複数の状態のうちの1個の状態に変更処理をし(状態変更処理ステップ)、転送元ホームエージェント#1に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号を送信する(応答信号送信ステップ)。
そして、転送元ホームエージェント#1における送信制御部203は、応答信号を受信し(応答信号受信ステップ)、1又は複数の転送バインディングキャッシュ削除する(削除ステップ)。
また、転送元ホームエージェント#1における受信制御部204が、削除ステップにおける削除の確認応答を受信する(応答受信ステップ)。
(7−4)緊急時の転送BC選択
図13は本発明の一実施形態に係る緊急時の転送BC001の選択方法を説明するためのフローチャートである。この図13に示す転送元ホームエージェント#1は、サービス提供の継続の可否を判定し(ステップB1の三角形で表した部分参照)、サービス提供の継続を困難と判断した場合は(ステップB1)、ホームエージェント選択制御部202が転送先ホームエージェント#2に対してBC緊急受け入れ依頼信号052を送信する(ステップB2)。
ここで、転送先ホームエージェント#2のホームエージェント選択制御部202は、BC緊急受け入れ依頼信号052を受信すると(ステップB7)、許容判定部103は、転送先ホームエージェント#2自身のホームエージェント負荷情報003を読み込み(ステップB8)、許容可能な最大の受け入れ可能BC転送量621を算出し(ステップB9)、ホームエージェント選択制御部202は、BC緊急受け入れ応答信号054に、最大の受け入れ可能BC転送量621を含めて転送元ホームエージェント#1に送信する(ステップB10)。
一方、転送元ホームエージェント#1のホームエージェント選択制御部202は、BC緊急受け入れ応答信号052を受信すると(ステップB3)、その応答信号052に含まれる受け入れ可能BC転送量を参照し(ステップB4)、BC選択制御部は、BC001を参照し(ステップB5)、この転送量に基づいて転送BC602と転送先ホームエージェント#2との組み合わせを決定する(ステップB6)。
なお、図13に示すステップB5,ステップB10のそれぞれの処理が終了すると、図14に示すBC001の転送処理(1,2と付された部分参照)が開始される。
このように、緊急時においても、転送BC001は確実に選択できる。さらに、緊急時の処理機能が予め各ホームエージェントに付与されているので、より一層、通信回線の安定性が向上する。
(7−5)BC001の転送先ホームエージェントへの転送
図11〜図13のそれぞれに示した1又は2と付された部分におけるBC001の転送処理は、図14に示すフローチャートに基づき、その詳細については重複するので省略する。
このように、本発明の負荷分散方法は、BC転送時において、転送元ホームエージェント#1と転送先ホームエージェント#2との両方が、ともに、BCを保持したまま「状態」を変更してトンネリングを制御する。そして、転送元ホームエージェント#1が、転送成功を確認してから、転送元ホームエージェント#1自身が保持するBCを削除する。
従って、移動端末#1のホームエージェント#1がホームエージェント#2に切り替えられるときに、送信元ノード#1と移動端末#1との間の通信切断時間が抑制される。
また、従来の負荷分散方法は、BC転送時において転送元ホームエージェント#1が転送の対象となるBCを削除した後に、保持したBCを転送先ホームエージェント#2に転送するようになっていたので、ホームエージェント#1からホームエージェント#2に変更されるときに、通信が切断されることが回避される。
(8)発明の効果の一例
さらに、上記特許文献1記載の技術は、送信元ノードCNが移動端末MNに対してパケットを送信する場合、パケットは、必ず移動端末MNが登録されているホームエージェントを経由し、このホームエージェントにおいてパケットがカプセル化されなければならず、ホームエージェントの負荷が上昇することがある。
本発明は、ホームエージェントの負荷を軽減するために、従来型のルータに、ホームエージェントの機能を設けて移動端末対応ルータとなっており、BCの保持と、移動端末MN宛のパケットのカプセル化とが可能になっている。これにより、送信元ノード#1から移動端末MN宛のパケットは、移動端末対応型ルータにおいてカプセル化されて、移動端末MNに対して送信されるため、ホームエージェントの負荷を軽減することができる。
図19および図20を参照して、本発明の移動通信システム9と従来の移動通信システム400との相違点について説明する。これらの図19および図20に示すもののうちの、上述したものと同一符号を有するものは同一機能を有するので更なる説明を省略する。
図19は従来の移動通信システム400におけるパケットの転送方法を説明するための図であり、この図19に示すホームエージェント(HA)#1,#2のうちのホームエージェント#1は、移動端末(MN)#1,#2の両方を登録されており、MN1およびMN2からのBCの受信のために待ち受けしており、移動端末#1,#2に対するパケットは、全てホームエージェント#1にてカプセル化される。
これにより、図19に示す移動通信システム400は、ホームエージェントに対する負荷を軽減するために、2台のホームエージェント#1,#2を用意して、登録される移動端末MN#1,#2の負荷を分散させるようにしている。
ここで、移動端末MN#1,MN#2の位置情報について両端末とも登録されている場合は、移動端末MN#1,MN#2宛のパケットは全てホームエージェント#1にてカプセル化されるため、ホームエージェント#1のみに負荷が集中し、かつホームエージェント#2はほとんど動作していない。
従って、ホームエージェント#1が、ホームエージェント#2よりも過大な負荷を処理しなければならない。すなわち、ホームエージェント#1のみに負荷が集中して、ホームエージェント#2は、負荷に対して働いていない。
一方、図20は本発明の一実施形態に係るパケットの転送方法を説明するための図である。この図20に示すホームエージェント#1は、登録済みの複数のBCのうちの移動端末#2のものをホームエージェント#2に対して移動又は転送させ、かつ移動端末#2の管理を、ホームエージェント#2に任せ、これにより、各ホームエージェント#1などの負荷が分散される。
また、本発明は、ホームエージェント#1〜#nの負荷の原因となるBCを過剰に保持することを回避するために、ホームエージェント#1〜#n毎のBC保有量のバランスを取るようにしている。
このため、ホームエージェント#1〜#n間においてBCの相互転送機能が設けられているのである。
また、このように、自律的な負荷分散が可能で、その能力を最大限まで引き出せる。
(B)その他
本発明は上述した実施態様及びその変形態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
例えば、移動通信システム9が用いるプロトコルは、モバイルIPv4プロトコルおよびモバイルIPv6プロトコルのほかに、モバイルIPv6プロトコルを改良したモバイルプロトコル又はモバイルIPv6の上位互換のモバイルプロトコルを用いることもできる。
各ネットワークは、パケットに仮想識別子(ラベル)を付与して仮想的に転送可能な高品質な転送サービスを提供するネットワークを用いることができる。
また、BC緊急受け入れ依頼信号は、高い優先度を表すように設定されている。この優先度は複数のレベルを設けてもよい。換言すれば、許容判定部103が、受信部90aにて受信されたBC受け入れ依頼信号051の優先度が高い場合は、BC負荷情報002に基づいて、受け入れ可能なパケット転送量を計算するように構成されてもよい。
これにより、ホームエージェント#1〜#nは、緊急時の対応が可能となり、自己診断により動作が不安定であることを判断でき、確実な通信が確保できる。
また、本発明のホームエージェント機能は、ルータ(転送装置)65に設けることもできる。すなわち、各ルータ65にホームエージェント機能を設けることもできる。
従って、本発明の転送装置(65)は、移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを移動端末(#1〜#3)に対して転送する機能を有する転送装置(65)であって、ホームアドレスと気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域BCを有する第1保持部と、上記の第1ホームエージェント装置(1)自身のホームエージェント負荷情報(003)と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第2ホームエージェント装置(2)と複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択部(200a)と、選択部(200a)にて選択された転送用の領域BCを第2ホームエージェント装置(2)に対して送信するとともに、移動端末(#1〜#3)に対して登録先変更通知を送信する送信部(90b)とをそなえて構成されてもよい。
さらに、本発明の転送装置(65)は、移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信しホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを移動端末(#1〜#3)に対して転送する機能を有する第1保持部と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第2負荷情報(002,003)を収集する収集部(100)と、複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第1ホームエージェント装置(1)から送信された変換データの処理についての分散処理依頼(051)を受信する受信部(90a)と、受信部(90a)にて受信された分散処理依頼(051)に含まれる第1負荷情報(002,003)と、収集部(100)にて収集された第2負荷情報(002,003)とに基づいて、分散処理依頼(051)の受け入れ可否を判定する判定部(103)とをそなえて構成されてもよい。
以上、詳述したように、本発明のホームエージェント装置,移動通信システムおよび負荷分散方法によれば、各ホームエージェント装置のリソースを有効利用でき、かつ低コスト化を図ることができる。また、各ホームエージェント装置の負荷が分散され、かつホームエージェント装置の性能が維持され、最大限までホームエージェント装置の能力を引き出すことができ、これにより、ネットワーク性能を向上させることができる。
Claims (15)
- 移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信し該ホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを該移動端末(#1〜#3)に対して転送する複数のホームエージェント装置(1〜n:nは2以上の自然数を表す)のうちの第1ホームエージェント装置(1)であって、
該ホームアドレスと該気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域BCを有する第1保持部(001)と、
上記の第1ホームエージェント装置(1)自身のホームエージェント負荷情報(003)と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第2ホームエージェント装置(2)と該複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択部(201,202)と、
該選択部(201,202)にて選択された該転送用の領域BCを該第2ホームエージェント装置(2)に対して送信するとともに、該移動端末(#1〜#3)に対して登録先変更通知を送信する送信部(90b)とをそなえて構成されたことを特徴とする、ホームエージェント装置。 - 該選択部(201,202)が、
該バインディングキャッシュ負荷情報(002)に基づいて該転送用の領域BCを選択するバインディングキャッシュ選択制御部(201)と、
該第2ホームエージェント装置(2)を選択するホームエージェント選択制御部(202)とをそなえて構成されたことを特徴とする、請求の範囲第1項記載のホームエージェント装置。 - 該バインディングキャッシュ選択制御部(201)が、
該第2パケットを該移動端末(#1〜#3)に対してトンネリングしているときのパケット転送量の履歴に基づいて該複数の領域BCを選択するように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第2項記載のホームエージェント装置。 - 該ホームエージェント選択制御部(202)が、
該ホームエージェント負荷情報(003)を、自局の負荷増大の監視と、バインディングキャッシュ受け入れ依頼信号の受信時に受け入れ可能又は受け入れ不可能の判定と、受け入れ可能な該バインディングキャッシュ負荷情報(002)の算出とに用いるように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第2項記載のホームエージェント装置。 - 該ホームエージェント選択制御部(202)が、
該第1ホームエージェント装置(1)の該転送用の領域BCを含む分散処理依頼(051)について該第2ホームエージェント装置(2)が該第1ホームエージェント装置(1)に対して送信した折り返し信号に基づいて、該第2ホームエージェント装置(2)を選択するように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第2項記載のホームエージェント装置。 - 該第1保持部(001)が、
該転送状態として、該第1ホームエージェント装置(1)が該第2ホームエージェント装置(2)に対して該変換データを転送している転送中状態,該第2ホームエージェント装置(2)が該変換データを保持している受信中状態,該第1ホームエージェント装置(1)が該第2ホームエージェント装置(2)から受信完了を受信した転送後状態および通常状態を少なくとも含むことを特徴とする、請求の範囲第1項記載のホームエージェント装置。 - 移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信し該ホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを該移動端末(#1〜#3)に対して転送する複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第2ホームエージェント装置(2)であって、
上記の第2ホームエージェント装置(2)自身のホームエージェント負荷情報(003)と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第2負荷情報(002,003)を収集する収集部(100)と、
該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第1ホームエージェント装置(1)から送信された該変換データの処理についての分散処理依頼(051)を受信する受信部(90a)と、
該受信部(90a)にて受信された分散処理依頼(051)に含まれる第1負荷情報(002,003)と、該収集部(100)にて収集された該第2負荷情報(002,003)とに基づいて、該分散処理依頼(051)の受け入れ可否を判定する判定部(103)とをそなえて構成されたことを特徴とする、ホームエージェント装置。 - 該収集部(100)が、該第2負荷情報(002,003)を保持する保有データ部(002,003)を有し、
該判定部(103)が、該保有データ部(002,003)に保持された該第2負荷情報(002,003)に基づいて、該分散処理依頼(051)の受け入れ可否を判定するように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第7項記載のホームエージェント装置。 - 該判定部(103)が、
該受信部(90a)にて受信された該分散処理依頼(051)の優先度が高い場合は、該バインディングキャッシュ負荷情報(002)に基づいて、受け入れ可能なパケット転送量を計算するように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第8項記載のホームエージェント装置。 - 移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信し該ホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを該移動端末(#1〜#3)に対して転送する複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第3のホームエージェント装置(3)であって、
該ホームアドレスと該気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域BCを有する第1保持部(001)と、
該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第1ホームエージェント装置(1)から送信された該変換データの処理についての分散処理依頼(051)を受信する受信部(90a)と、
上記の第2ホームエージェント装置(2)自身のホームエージェント負荷情報(003)と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第2負荷情報(002,003)を収集する収集部(100)と、
上記の第1ホームエージェント装置(1)自身のホームエージェント負荷情報(003)と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第2ホームエージェント装置(2)と該複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択部(201,202)と、
該受信部(90a)にて受信された分散処理依頼(051)に含まれる第1負荷情報(002,003)と、該収集部(100)にて収集された該第2負荷情報(002,003)とに基づいて、該分散処理依頼(051)の受け入れ可否を判定する判定部(103)と、
該選択部(201,202)にて選択された該転送用の領域BCを該第2ホームエージェント装置(2)に対して送信するとともに、該移動端末(#1〜#3)に対して登録先変更通知を送信する送信部(90b)とをそなえて構成されたことを特徴とする、ホームエージェント装置。 - 移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信し該ホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを該移動端末(#1〜#3)に対して転送するホームエージェント装置(1)であって、
該ホームアドレスと該気付アドレスとを変換する複数の変換データを用いて該移動端末(#1〜#3)側又は他のホームエージェント装置側とパケットを送受信する送受信部(90a)と、
該第1保持部(001)にて保持された該複数の変換データと、該複数の変換データのそれぞれについての転送処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けた各領域BCを複数有する保持部と、
該ホームエージェント装置(1)自身の第1負荷情報(002,003)と該他のホームエージェント装置(2)の第2負荷情報(002,003)とに基づいて、該他のホームエージェント装置(2)から依頼された複数の領域BCを受け入れる分散処理受け入れ部とをそなえて構成されたことを特徴とする、ホームエージェント装置。 - 該第1ホームエージェント装置(1)と該第2ホームエージェント装置(2)との各送信部(90b)が、
該複数の領域BCに保持されたバインディングデータを保持したまま該転送状態を変更してパケット転送を制御するように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第1項又は第11項記載のホームエージェント装置。 - 移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信し該ホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを該移動端末(#1〜#3)に対して転送する複数のホームエージェント装置(#1〜#n)をそなえた移動通信システム(9)であって、
該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第1ホームエージェント装置(1)が、
該ホームアドレスと該気付アドレスとを変換する複数の変換データと、各変換データの処理状態を表す複数の転送状態とを対応付けたバインディングデータを保持する複数の領域BCを有する第1保持部(001)と、
上記の第1ホームエージェント装置(1)自身のホームエージェント負荷情報(003)と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第2ホームエージェント装置(2)と該複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択部(201,202)と、
該選択部(201,202)にて選択された該転送用の領域BCを該第2ホームエージェント装置(2)に対して送信するとともに、該移動端末(#1〜#3)に対して登録先変更通知を送信する送信部(90b)とをそなえ、
さらに、
該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第2ホームエージェント装置(2)が、
上記の第2ホームエージェント装置(2)自身のホームエージェント負荷情報(003)と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第2負荷情報(002,003)を収集する収集部(100)と、
該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第1ホームエージェント装置(1)から送信された該変換データの処理についての分散処理依頼(051)を受信する受信部(90a)と、
該受信部(90a)にて受信された分散処理依頼(051)に含まれる第1負荷情報(002,003)と、該収集部(100)にて収集された該第2負荷情報(002,003)とに基づいて、該分散処理依頼(051)の受け入れ可否を判定する判定部(103)とをそなえて構成されたことを特徴とする、移動通信システム。 - 移動端末(#1〜#3)の本拠地を表すホームアドレス付きの第1パケットを代理受信し該ホームアドレスに対応付けられた気付アドレス付きの第2パケットを該移動端末(#1〜#3)に対して転送する複数のホームエージェント装置(#1〜#n)間における負荷分散方法であって、
該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第1ホームエージェント装置(1)において、
受け入れ可否を判定する第1判定部(103)が、該第1ホームエージェント装置(1)自身のホームエージェント負荷情報(003)の許容量の超過を検出する許容量超過ステップと、
該許容量超過ステップにて超過が検出されると、選択部(201,202)が、該第1ホームエージェント装置(1)自身のホームエージェント負荷情報(003)と、バインディングキャッシュを使用してトンネリング処理したときに発生するバインディングキャッシュ負荷情報(002)とからなる第1負荷情報(002,003)とに基づいて、該複数のホームエージェント装置(#1〜#n)のうちの第2ホームエージェント装置(2)とバインディングデータを保持する複数の領域BCのうちの転送用の領域BCとを選択する選択ステップと、
第1ホームエージェント選択制御部(202)が、該第2ホームエージェント装置(2)に対して受け入れ依頼を送信する送信ステップとをそなえ、
該第2ホームエージェント装置(2)において、
第2ホームエージェント選択制御部(202)が、該送信ステップにて送信された受け入れ依頼から該転送用のバインディングキャッシュ負荷情報(610)を抽出する抽出ステップと、
受け入れ可否を判定する第2判定部(103)が、抽出した転送用のバインディングキャッシュ負荷情報(610)と該第1ホームエージェント装置(1)のホームエージェント負荷情報(003)とに基づいて受け入れを判定する受け入れ判定ステップと、
該受け入れ判定ステップにて受け入れ可能と判定された場合、該第2ホームエージェント選択制御部(202)が、該第1ホームエージェント装置(1)に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号(053)を送信する応答信号送信ステップとをそなえ、
該第1ホームエージェント装置(1)において、
該応答信号送信ステップにて送信された該バインディングキャッシュ受け入れ応答信号(053)を受信すると、該第1ホームエージェント選択制御部(202)が、該第2ホームエージェント装置(2)に対してバインディングキャッシュを転送する転送ステップとをそなえたことを特徴とする、負荷分散方法。 - 該第1ホームエージェント装置(1)において、
送信制御部(203)が、バインディングキャッシュ送信信号を該第2ホームエージェント装置(2)に転送し転送用の各バインディングキャッシュの各状態を設定する状態設定ステップと、
該第2ホームエージェント装置(2)において、
受信制御部(204)が、バインディングキャッシュ送信信号(055)に含まれる転送バインディングキャッシュを登録し、また、該転送バインディングキャッシュの複数の状態のうちの1個の状態に変更処理をする状態変更処理ステップと、
該受信制御部(204)が、該第1ホームエージェント装置(1)に対してバインディングキャッシュ受け入れ応答信号(053)を送信する応答信号送信ステップと、
該第1ホームエージェント装置(1)において、
該送信制御部(203)が、該バインディングキャッシュ受け入れ応答信号(053)を受信する応答信号受信ステップと、
該送信制御部(203)が、1又は複数の転送バインディングキャッシュを削除する削除ステップと、
該第2ホームエージェント装置(2)において、
該受信制御部(204)が、該削除ステップにおける削除の確認応答を受信する応答受信ステップとをそなえたことを特徴とする、請求の範囲第14項記載の負荷分散方法。
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