JP3633503B2 - 階層化された移動ネットワークの位置管理システムおよびその方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する、階層化された移動ネットワークの位置管理システムおよびその方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
移動するコンピュータの端末ないしはルータの位置を検出し、移動先にデータ転送を行う方法として、ＩＥＴＦ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｅｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇ Ｔａｓｋ Ｆｏｒｃｅ：インターネット技術標準化委員会）においてインターネットの標準文書であるＲＦＣ（Ｒｅｑｕｅｓｔ ｆｏｒ Ｃｏｍｍｅｎｔ）２００２の”ＩＰ Ｍｏｂｉｌｉｔｙ Ｓｕｐｐｏｒｔプロトコル：移動対応ＩＰ（ｆｔｐ：／／ｆｔｐ．ｉｓｉ．ｅｄｕ／ｉｎ−ｎｏｔｓ／ｒｆｃ２００２．ｔｘｔ）”として規定されているモバイルＩＰがある。
【０００３】
図８に示すように、モバイルＩＰは、移動対象の端末である移動ノード（ホスト）８１と、移動ノード８１の位置を管理するホームエージェント８２と、外部エージェント８３から構成されている。
このような構成を有するモバイルＩＰの位置管理は次のように行われる。すなわち、まず移動ノード８１は自分の位置を検出する。外部エージェント８３は一定間隔で自分の存在を自らのネットワークに広告メッセージとして告知している（ステップＥ１）。広告メッセージには外部エージェント自身のアドレスが含まれる。移動ノード８１が本来自分が所属するホームリンク８４から移動した場合、自分の知らない外部エージェントの広告メッセージを受信することにより、外部Ｎｅｔ（外部ネットワーク）８５へ移動したことを認識する。
外部Ｎｅｔ８５に移動したことを認識した移動ノードは、自らのアドレスを外部エージェント８３へ知らせ（ステップＥ２）、外部エージェント８３は移動ノード８１のアドレスと自分のアドレスをホームエージェント８２へ知らせる（ステップＥ３）。
【０００４】
モバイルＩＰにおける移動ノード宛てのデータ配送は、次のように行われる。すなわち、図９に示すように、移動ノード９１宛てのパケットはホームリンク９４へ送られる（ステップＦ１）。このパケットはホームエージェント９２によって捕獲され、送信先を移動ノード９１の存在する外部エージェント９３に、また送信元をホームエージェント９２としてカプセル化されて、外部エージェント９３へ転送される（ステップＦ２）。
外部エージェント９３は、カプセル化されたパケットから本来のパケットを取り出し（ステップＦ４）、移動ノード９１へ転送する（ステップＦ５）。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術によれば、図７に示す階層化されたネットワークにおいてそれぞれの階層のネットワークが個別に移動するような場合（詳細は図５、図６で説明）にモバイルＩＰを適用すると、移動した分だけデータの転送が繰り返され、データ転送の効率が悪くなるという問題がある。
その理由は、モバイルＩＰでは移動する端末やルータの位置を管理し、移動先にデータを転送する方法について規定されているが、移動対象が１つの場合しか規定されておらず、階層化されたネットワークにおける位置管理およびデータ転送方法については規定されていないためである。
【０００６】
階層化されたネットワークへモバイルＩＰを適用した場合の動作例を、図５および図６をもとに説明する。
図５に示すネットワーク構成においてネットワーク（Ｎｅｔ）は３階層で構成される。Ｎｅｔ１、Ｎｅｔ２およびＮｅｔ３は第１層に、Ｎｅｔ２１およびＮｅｔ２２は第２層に、Ｎｅｔ２２１およびＮｅｔ２２２は第３層に含まれる。各ネットワークはそれぞれ親子関係を構成し、Ｎｅｔ２１およびＮｅｔ２２はＮｅｔ２の子ネットワークとなり、またＮｅｔ２２１およびＮｅｔ２２２はＮｅｔ２２の子ネットワークとなっている。従って、Ｎｅｔ２１、Ｎｅｔ２２、Ｎｅｔ２２１、Ｎｅｔ２２２はＮｅｔ２のサブネットワークとして構成される。
【０００７】
ここでＮｅｔ２２およびその配下のネットワークがＮｅｔ２から移動してＮｅｔ３へ加入し、その後Ｎｅｔ２２１だけが再度移動し、Ｎｅｔ２１に加入する場合を考える。
各ネットワークには移動ルータが存在し、移動ルータが自分の位置を検出するものとする。Ｎｅｔ２２の移動ルータは、Ｎｅｔ３の外部エージェントＥＥ３からの広告メッセージを受信することによりＮｅｔ３へ移動したことを認識し、自ネットワークのアドレスである２．２．０．０／１６（この場合は３２ビットで構成されるアドレスのうち、上位１６ビットがネットワークアドレスであるとする）を外部エージェントＥＥ３とＮｅｔ２のホームエージェントＨＥ２へ知らせる（ステップＣ１）。ホームエージェントＨＥ２は、Ｎｅｔ２２のアドレスとその位置を自分のルーティングテーブルに登録する（ステップＣ２）。
【０００８】
次にＮｅｔ２２２がＮｅｔ２１へ移動すると、Ｎｅｔ２２２の移動ルータはＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１からの広告メッセージを受信することによりＮｅｔ２１へ移動したことを認識し、ネットワークのアドレス（この場合は２．２．２．０／２４）をＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１とＮｅｔ２２のホームエージェントＨＥ２２へ通知する（ステップＣ３）。
ホームエージェントＨＥ２２は、Ｎｅｔ２２２のアドレスとその位置をルーティングテーブルに登録する（ステップＣ４）。
【０００９】
ここで、Ｎｅｔ２２２の端末宛てのデータが外部から送られてきた場合のデータ転送は、次のように行われる。
図６に示すように、Ｎｅｔ２２２の端末宛てのパケット６１は、まずＮｅｔ２へ送られる（ステップＤ１）。Ｎｅｔ２のホームエージェントＨＥ２は、このパケットを捕獲し、カプセル化してＮｅｔ３の外部エージェントＥＥ３へ転送する（ステップＤ２）。外部エージェントＥＥ３はカプセル化されたパケット６２から本来のパケット６３を取り出し、Ｎｅｔ２２へ転送する（ステップＤ３）。
【００１０】
次に、Ｎｅｔ２２のホームエージェントＨＥ２２がこのパケットを捕獲し、再びカプセル化して今度はＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１へ転送する（ステップＤ４）。外部エージェントＥＥ２１はカプセル化されたパケット６４から本来のパケット６５を取り出し、Ｎｅｔ２２２への転送が実現する（ステップＤ５）。
すなわち、Ｎｅｔ２２２宛てのパケットはＮｅｔ３およびＮｅｔ２２を経由して再びＮｅｔ２に戻り、ようやくＮｅｔ２１へ送られることにより、無駄なルーティングが行われる上に、２度のパケットのカプセル化処理が必要となり、データ転送の効率が悪くなる。
【００１１】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、階層化されたネットワークにおいて、移動したネットワークに対する位置情報を上位のネットワークが管理することにより移動ネットワークへのデータ転送を行う、階層化された移動ネットワークの位置管理システムおよびその方法を提供することを目的とする。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する階層化された移動ネットワークの位置管理システムであって、任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づきネットワークが移動したか否かを判断する位置把握手段と、前記位置情報を告知するとともに、前記移動ネットワークの位置を前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知する位置広告手段と、前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知する位置管理手段とを備えたことを特徴とする。
【００１３】
また、本発明において、前記位置管理手段は、前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉して前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ転送し、前記位置広告手段は、前記転送されたデータを前記移動ネットワークへ転送することを特徴とする。
【００１４】
上記構成において、移動ネットワークの位置把握手段は、まず、移動先の親ネットワークの位置広告手段から告知される位置情報に基づいて自ネットワークが移動したか否かを判断して自ネットワークのアドレスを親ネットワークの位置広告手段へ通知する。親ネットワークの位置広告手段はこのアドレスを移動ネットワークが所属する移動ネットワークの位置管理手段へ通知する。そこでこの位置管理手段は、通知された移動ネットワークの位置を管理すると共に、自分が所属するネットワークへ移動ネットワークの位置を通知する。そして、上記した一連の処理を再帰的に繰り返す。
また、移動ネットワーク宛てのデータを移動ネットワークのホームネットワークである移動ネットワークで受信した場合、その移動ネットワークの位置管理手段はこのデータを捕捉し、先の移動先の親ネットワークである移動ネットワークへ転送する。この移動ネットワークの位置広告手段は、転送されたデータを移動ネットワークのホームネットワークである移動ネットワークへ転送する。
このことにより、階層化されたネットワークにおいて、冗長な転送を招くことなく、移動ネットワーク宛てに送信されたデータの転送を可能とする。
【００１５】
なお、ホームネットワークとは、移動ノードのホームアドレスのネットワークと等しいネットワークアドレスを持つネットワークをいい、ホームアドレスとは、移動ノードがどこからインターネットに接続していても変わらないＩＰアドレスであって、移動ノードが所属するホームネットワークのＩＰアドレスをいう。
【００１７】
上記した課題を解決するために本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する、階層化された移動ネットワークの位置管理方法であって、前記移動ネットワークの位置情報を、所属するホームネットワークの他にその上位階層に含まれるホームネットワークで管理し、前記移動ネットワークの位置情報の管理は、任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づいてネットワークの移動を把握して前記移動ネットワークのアドレスを前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知し、前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知することを特徴とする。
【００１８】
また、本発明において、前記上位階層に含まれるホームネットワークで前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉し、前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ直接転送することを特徴とする。
【００１９】
上記した課題を解決するために本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する、階層化された移動ネットワークの位置管理システムに用いられる移動ネットワークの位置管理プログラムであって、任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づきネットワークが移動したか否かを判断する第１のステップと、前記位置情報を告知するとともに、前記移動ネットワークの位置を前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知する第２のステップと、前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知する第３のステップと、をコンピュータに実行させるための移動ネットワークの位置管理プログラムである。
【００２０】
また、本発明において、前記第３のステップは、前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉するステップと、前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ転送するステップを含み、前記第２のステップは、前記転送されたデータを前記移動ネットワークへ転送するステップを含むことを特徴とする。
【００２１】
上記した課題を解決するために本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する階層化された移動ネットワークの位置管理システムに用いられる移動ネットワークの位置管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づきネットワークが移動したか否かを判断する第１のステップと、前記位置情報を告知するとともに、前記移動ネットワークの位置を前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知する第２のステップと、前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知する第３のステップと、をコンピュータに実行させるための移動ネットワークの位置管理プログラムを記録した記録媒体である。
【００２２】
また、本発明において、前記第３のステップは、前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉するステップと、前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ転送するステップを含み、前記第２のステップは、前記転送されたデータを前記移動ネットワークへ転送するステップを含むことを特徴とする。
【００２３】
【発明の実施の形態】
図１は、本発明における階層化された移動ネットワークの位置管理システムの一実施形態を示すブロック図である。
ここでは、ｎ層に階層構成された移動ネットワーク１〜５により構成され、各移動ネットワーク１〜５は、自ネットワークの現在位置を把握する位置把握手段１１（２１、３１、４１、５１）と、位置情報を告知する位置広告手段１２（２２、３２、４２、５２）と、自ネットワークのサブネットワークの位置を管理する位置管理手段１３（２３、３３、４３、５３）とを含む。図１では、３階層分の階層化ネットワークが示されており、第ｎ層は移動ネットワーク１、第ｎ＋１層は移動ネットワーク２および５、第ｎ＋２層は移動ネットワーク３および４から成る。
各階層の移動ネットワークは、一階層上位の移動ネットワークに所属し、所属先の移動ネットワークをホームネットワークと呼ぶ。この所属関係は移動後も変わらないものとする。
【００２４】
図２は、図１に示す本発明一実施形態の概略動作を説明するために引用した動作フローチャートである。上記した移動ネットワーク１〜５が内蔵する各手段１１〜５３の概略動作につき図２に示すフローチャートを参照しながら簡単に説明する。
移動対象となる移動ネットワーク３の位置把握手段３１は、親ネットワークの位置広告手段５２から告知される位置情報に基づいて自ネットワークの位置を把握し（ステップＳ２１）、移動したか否かを判断する（ステップＳ２２）。移動したことが認識された場合は、自ネットワークのアドレスを加入先の親ネットワークである移動ネットワーク５の位置広告手段５２へ通知する（ステップ２３）。
【００２５】
位置広告手段５２は、自分の位置情報を常に送出する（ステップ２４）。また、もし自ネットワークに移動ネットワークが加入した場合には、移動ネットワークから通知されたアドレスから、その移動ネットワークが所属するホームネットワークのアドレスを検出し（ステップＳ２５）、ホームネットワークの位置管理手段２３に移動ネットワークの現在位置を通知する（ステップＳ２６）。
ここでは、移動ネットワーク３の位置把握手段３１からの通知をもとに、移動ネットワーク５の位置広告手段５２が移動ネットワーク３のホームネットワーク（移動ネットワーク２）のアドレスを検出し、移動ネットワーク２へ移動ネットワーク３の現在位置を通知する。
【００２６】
ホームネットワークの位置管理手段２３は、自分のサブネットワークである移動ネットワークの現在位置を登録するとともに（ステップＳ２７）、自分が所属するホームネットワークへ先の移動ネットワークの現在位置を通知する（ステップＳ２８）。上位階層のホームネットワークの位置管理手段１３は、サブネットワークの位置管理手段２３から通知された移動ネットワークの現在位置を同様に登録し（ステップＳ２９）、更に、自分の所属するホームネットワークへ通知する（ステップＳ３０）。
【００２７】
この動作は最上位のホームネットワークに至るまで再帰的に繰り返される。この例では、移動ネットワーク２が自分のサブネットワークである移動ネットワーク３の現在位置を登録するとともに、自分のホームネットワークである移動ネットワーク１の位置管理手段１３へ移動ネットワーク３の現在位置を通知する。
同様に、移動ネットワーク１は、移動ネットワーク３の現在位置を登録すると共に、自分のホームネットワークへ移動ネットワーク３の現在位置を通知する。
【００２８】
また、位置管理手段１３は、登録された移動ネットワーク宛てのデータを受信すると、このデータを捕捉し（ステップＳ３１）、登録された位置情報に基づいて移動ネットワークの加入先ネットワークにある位置広告手段５２へデータを転送する（ステップＳ３２）。図１に示す例では、移動ネットワーク１が移動ネットワーク３宛てのデータを捕捉し、移動ネットワーク５の位置広告手段５２へデータを転送する。
位置広告手段５２は、自ネットワークに加入している移動ネットワーク宛てのデータを受信すると（ステップＳ３３）、移動ネットワークへデータを送信する（ステップＳ３４）。この例では、移動ネットワーク５が転送されてきた移動ネットワーク３宛てのデータを受信すると、移動ネットワーク３へそのデータを送信する。
【００２９】
次に、図３及び図４に示す動作概念図を参照して図１に示す本発明一実施形態の全体動作について詳細に説明する。
動作説明に先立ち用語の定義を行なう。ホームネットワークとは、移動ノードのホームアドレスのネットワークと等しいネットワークアドレスを持つネットワークをいい、ホームアドレスとは、移動ノードがどこからインターネットに接続していても変わらないＩＰアドレスであって、移動ノードが所属するホームネットワークのＩＰアドレスをいう。
また、モバイルエージェントとは、移動ノードにモバイルＩＰ通信をサービスするノードで主にルータを指し、ホームエージェントと外部エージェントの２種類がある。ホームエージェントとは、移動ノードのホームネットワークに接続されているモバイルエージェントをいい、外部エージェントとは、ホームネットワークを離れた移動ノードが現在接続しているネットワークにつながっているモバイルエージェントをいう。
なお、図３、図４中、○印はルータ、□印はハブ等を示すものとする。
【００３０】
図３に示すネットワーク構成において、ネットワークは３階層で構成される。Ｎｅｔ１、Ｎｅｔ２およびＮｅｔ３は第１層に、Ｎｅｔ２１およびＮｅｔ２２は第２層に、Ｎｅｔ２２１およびＮｅｔ２２２は第３層に含まれる。各ネットワークは親子関係を構成し、Ｎｅｔ２１およびＮｅｔ２２はＮｅｔ２の子ネットワークとなり、またＮｅｔ２２１およびＮｅｔ２２２はＮｅｔ２２の子ネットワークとなっている。従って、Ｎｅｔ２１、Ｎｅｔ２２、Ｎｅｔ２２１、Ｎｅｔ２２２はＮｅｔ２のサブネットワークとして構成される。
【００３１】
ここでＮｅｔ２２およびその配下のネットワークがＮｅｔ２から移動してＮｅｔ３へ加入し、その後Ｎｅｔ２２１だけが再度移動し、Ｎｅｔ２１に加入する場合を考える。
各ネットワークには移動ルータが存在し、移動ルータが自分の位置を検出するものとする。Ｎｅｔ２２の移動ルータは、Ｎｅｔ３の外部エージェントＥＥ３からの広告メッセージを受信することによりＮｅｔ３へ移動したことを認識し、自ネットワークのアドレスである２．２．０．０／１６（この場合は３２ビットで構成されるアドレスのうち、上位１６ビットがネットワークアドレスであるとする）を外部エージェントＥＥ３とＮｅｔ２のホームエージェントＨＥ２へ知らせる（ステップＡ１）。ホームエージェントＨＥ２は、Ｎｅｔ２２のアドレスとその位置を自分のルーティングテーブルに登録する（ステップＡ２）。
【００３２】
次にＮｅｔ２２２がＮｅｔ２１へ移動すると、Ｎｅｔ２２２の移動ルータはＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１からの広告メッセージを受信することによりＮｅｔ２１へ移動したことを認識し、ネットワークのアドレス（この場合は２．２．２．０／２４）をＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１とＮｅｔ２２のホームエージェントＨＥ２２へ通知する（ステップＡ３）。ホームエージェントＨＥ２２は、Ｎｅｔ２２２のアドレスとその位置をルーティングテーブルに登録する（ステップＡ４）。
ホームエージェントＨＥ２２は、Ｎｅｔ２２２のアドレスとその位置を、自分のホームエージェントであるＮｅｔ２のホームエージェントＨＥ２へ通知する（ステップＡ５）。ホームエージェントＨＥ２は、Ｎｅｔ２２２のアドレスとその位置を自分のルーティングテーブルに登録する（ステップＡ６）。
【００３３】
ここで、Ｎｅｔ２２２の端末宛てのデータが外部から送られてきた場合のデータ転送は、次のように行われる。
図４に示すように、Ｎｅｔ２２２の端末宛てのパケット６１は、まずＮｅｔ２へ送られる（ステップＢ１）。Ｎｅｔ２のホームエージェントＨＥ２は、このパケットを捕獲し、カプセル化して、ルーティングテーブルに基づきＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１へ転送する（ステップＢ２）。外部エージェントＥＥ２１はカプセル化されたパケット６２から本来のパケット６３を取り出し、Ｎｅｔ２２２へ転送する（ステップＢ３）。
なお、移動ルータは移動端末であっても構わない。
【００３４】
以上説明のように本発明は、移動ネットワークの位置情報を、所属するホームネットワークの他にその上位階層に含まれるホームネットワークで管理することを特徴とするものであり、移動対象となるネットワークは、告知される位置情報に基づいてネットワークの移動を把握して移動ネットワークのアドレスを当該移動ネットワークが所属するネットワークへ通知し、移動ネットワークの位置を管理するとともに自分が所属するネットワークに対して移動ネットワークの位置を通知するものである。また、上位階層に含まれるホームネットワークで移動ネットワーク宛てのデータを捕捉し、移動ネットワークが加入しているネットワークへ直接転送するものであり、このことにより、階層化されたネットワークにおいて、冗長な転送を招くことなく、移動ネットワーク宛てに送信されたデータの転送を可能とする。
【００３５】
なお、図１、図２における、移動ネットワーク１〜５および移動ネットワーク１〜５を構成する位置把握手段１１（２１、３１、４１、５１）、位置広告手段１２（２２、３２、４２、５２）、位置管理手段１３（２３、３３、４３、５３）が持つ機能を実現するためのプログラムを、それぞれコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを、本システムを構成するコンピュータシステムに読み込ませ、当該コンピュータが上記プログラムを逐次読み出し実行することによって、本発明における階層化された移動ネットワークの位置管理システムが構築される。また、ここでいうコンピュータシステムとは、ＯＳや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【００３６】
更に、コンピュータシステムは、ＷＷＷシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境（あるいは表示環境）も含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ＲＯＭ、ＣＤ−ＲＯＭ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらにコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ（ＲＡＭ）のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【００３７】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク（通信網）や電話回線等の通信回線（通信線）のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル（差分プログラム）であっても良い。
【００３８】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【００３９】
【発明の効果】
以上説明のように本発明によれば、階層化された移動ネットワークにおいて、ネットワークの位置情報を、所属するホームネットワークだけでなく、その上位のホームネットワークにおいて管理し、上位のネットワークでデータを捕捉して直接移動先のネットワークに転送するため、移動ネットワーク宛てに送信されたデータの冗長な転送を回避することができる。
また、ホームネットワークやその上位階層のネットワークが移動している場合、移動ネットワーク宛てのデータを最初に受信した上位のネットワークから直接移動ネットワークへデータが転送されるため、途中の移動ネットワークに対して転送が繰り返されることがなく、従って、ネットワークのトラフィックを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明における階層化された移動ネットワークの位置管理システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図２】図１に示す本発明一実施形態の概略動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図３】図１に示す本発明一実施形態の全体動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図４】図１に示す本発明一実施形態の全体動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図５】従来の移動ネットワークの対応方法の具体例を説明するために引用した動作概念図である。
【図６】従来の移動ネットワークの対応方法の具体例を説明するために引用した動作概念図である。
【図７】階層化された移動ネットワークの構成例を説明するために引用した図である。
【図８】従来の移動ネットワークの対応方法の動作を説明するために引用した図である。
【図９】従来の移動ネットワークの対応方法の動作を説明するために引用した図である。
【符号の説明】
１，２，３，４，５…移動ネットワーク
１１，２１，３１，４１，５１…位置把握手段
１２，２２，３２，４２，５２…位置広告手段
１３，２３，３３，４３，５３…位置管理手段
６１，６２，６３…パケット
【発明の属する技術分野】
本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する、階層化された移動ネットワークの位置管理システムおよびその方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
移動するコンピュータの端末ないしはルータの位置を検出し、移動先にデータ転送を行う方法として、ＩＥＴＦ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｅｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇ Ｔａｓｋ Ｆｏｒｃｅ：インターネット技術標準化委員会）においてインターネットの標準文書であるＲＦＣ（Ｒｅｑｕｅｓｔ ｆｏｒ Ｃｏｍｍｅｎｔ）２００２の”ＩＰ Ｍｏｂｉｌｉｔｙ Ｓｕｐｐｏｒｔプロトコル：移動対応ＩＰ（ｆｔｐ：／／ｆｔｐ．ｉｓｉ．ｅｄｕ／ｉｎ−ｎｏｔｓ／ｒｆｃ２００２．ｔｘｔ）”として規定されているモバイルＩＰがある。
【０００３】
図８に示すように、モバイルＩＰは、移動対象の端末である移動ノード（ホスト）８１と、移動ノード８１の位置を管理するホームエージェント８２と、外部エージェント８３から構成されている。
このような構成を有するモバイルＩＰの位置管理は次のように行われる。すなわち、まず移動ノード８１は自分の位置を検出する。外部エージェント８３は一定間隔で自分の存在を自らのネットワークに広告メッセージとして告知している（ステップＥ１）。広告メッセージには外部エージェント自身のアドレスが含まれる。移動ノード８１が本来自分が所属するホームリンク８４から移動した場合、自分の知らない外部エージェントの広告メッセージを受信することにより、外部Ｎｅｔ（外部ネットワーク）８５へ移動したことを認識する。
外部Ｎｅｔ８５に移動したことを認識した移動ノードは、自らのアドレスを外部エージェント８３へ知らせ（ステップＥ２）、外部エージェント８３は移動ノード８１のアドレスと自分のアドレスをホームエージェント８２へ知らせる（ステップＥ３）。
【０００４】
モバイルＩＰにおける移動ノード宛てのデータ配送は、次のように行われる。すなわち、図９に示すように、移動ノード９１宛てのパケットはホームリンク９４へ送られる（ステップＦ１）。このパケットはホームエージェント９２によって捕獲され、送信先を移動ノード９１の存在する外部エージェント９３に、また送信元をホームエージェント９２としてカプセル化されて、外部エージェント９３へ転送される（ステップＦ２）。
外部エージェント９３は、カプセル化されたパケットから本来のパケットを取り出し（ステップＦ４）、移動ノード９１へ転送する（ステップＦ５）。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術によれば、図７に示す階層化されたネットワークにおいてそれぞれの階層のネットワークが個別に移動するような場合（詳細は図５、図６で説明）にモバイルＩＰを適用すると、移動した分だけデータの転送が繰り返され、データ転送の効率が悪くなるという問題がある。
その理由は、モバイルＩＰでは移動する端末やルータの位置を管理し、移動先にデータを転送する方法について規定されているが、移動対象が１つの場合しか規定されておらず、階層化されたネットワークにおける位置管理およびデータ転送方法については規定されていないためである。
【０００６】
階層化されたネットワークへモバイルＩＰを適用した場合の動作例を、図５および図６をもとに説明する。
図５に示すネットワーク構成においてネットワーク（Ｎｅｔ）は３階層で構成される。Ｎｅｔ１、Ｎｅｔ２およびＮｅｔ３は第１層に、Ｎｅｔ２１およびＮｅｔ２２は第２層に、Ｎｅｔ２２１およびＮｅｔ２２２は第３層に含まれる。各ネットワークはそれぞれ親子関係を構成し、Ｎｅｔ２１およびＮｅｔ２２はＮｅｔ２の子ネットワークとなり、またＮｅｔ２２１およびＮｅｔ２２２はＮｅｔ２２の子ネットワークとなっている。従って、Ｎｅｔ２１、Ｎｅｔ２２、Ｎｅｔ２２１、Ｎｅｔ２２２はＮｅｔ２のサブネットワークとして構成される。
【０００７】
ここでＮｅｔ２２およびその配下のネットワークがＮｅｔ２から移動してＮｅｔ３へ加入し、その後Ｎｅｔ２２１だけが再度移動し、Ｎｅｔ２１に加入する場合を考える。
各ネットワークには移動ルータが存在し、移動ルータが自分の位置を検出するものとする。Ｎｅｔ２２の移動ルータは、Ｎｅｔ３の外部エージェントＥＥ３からの広告メッセージを受信することによりＮｅｔ３へ移動したことを認識し、自ネットワークのアドレスである２．２．０．０／１６（この場合は３２ビットで構成されるアドレスのうち、上位１６ビットがネットワークアドレスであるとする）を外部エージェントＥＥ３とＮｅｔ２のホームエージェントＨＥ２へ知らせる（ステップＣ１）。ホームエージェントＨＥ２は、Ｎｅｔ２２のアドレスとその位置を自分のルーティングテーブルに登録する（ステップＣ２）。
【０００８】
次にＮｅｔ２２２がＮｅｔ２１へ移動すると、Ｎｅｔ２２２の移動ルータはＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１からの広告メッセージを受信することによりＮｅｔ２１へ移動したことを認識し、ネットワークのアドレス（この場合は２．２．２．０／２４）をＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１とＮｅｔ２２のホームエージェントＨＥ２２へ通知する（ステップＣ３）。
ホームエージェントＨＥ２２は、Ｎｅｔ２２２のアドレスとその位置をルーティングテーブルに登録する（ステップＣ４）。
【０００９】
ここで、Ｎｅｔ２２２の端末宛てのデータが外部から送られてきた場合のデータ転送は、次のように行われる。
図６に示すように、Ｎｅｔ２２２の端末宛てのパケット６１は、まずＮｅｔ２へ送られる（ステップＤ１）。Ｎｅｔ２のホームエージェントＨＥ２は、このパケットを捕獲し、カプセル化してＮｅｔ３の外部エージェントＥＥ３へ転送する（ステップＤ２）。外部エージェントＥＥ３はカプセル化されたパケット６２から本来のパケット６３を取り出し、Ｎｅｔ２２へ転送する（ステップＤ３）。
【００１０】
次に、Ｎｅｔ２２のホームエージェントＨＥ２２がこのパケットを捕獲し、再びカプセル化して今度はＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１へ転送する（ステップＤ４）。外部エージェントＥＥ２１はカプセル化されたパケット６４から本来のパケット６５を取り出し、Ｎｅｔ２２２への転送が実現する（ステップＤ５）。
すなわち、Ｎｅｔ２２２宛てのパケットはＮｅｔ３およびＮｅｔ２２を経由して再びＮｅｔ２に戻り、ようやくＮｅｔ２１へ送られることにより、無駄なルーティングが行われる上に、２度のパケットのカプセル化処理が必要となり、データ転送の効率が悪くなる。
【００１１】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、階層化されたネットワークにおいて、移動したネットワークに対する位置情報を上位のネットワークが管理することにより移動ネットワークへのデータ転送を行う、階層化された移動ネットワークの位置管理システムおよびその方法を提供することを目的とする。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する階層化された移動ネットワークの位置管理システムであって、任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づきネットワークが移動したか否かを判断する位置把握手段と、前記位置情報を告知するとともに、前記移動ネットワークの位置を前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知する位置広告手段と、前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知する位置管理手段とを備えたことを特徴とする。
【００１３】
また、本発明において、前記位置管理手段は、前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉して前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ転送し、前記位置広告手段は、前記転送されたデータを前記移動ネットワークへ転送することを特徴とする。
【００１４】
上記構成において、移動ネットワークの位置把握手段は、まず、移動先の親ネットワークの位置広告手段から告知される位置情報に基づいて自ネットワークが移動したか否かを判断して自ネットワークのアドレスを親ネットワークの位置広告手段へ通知する。親ネットワークの位置広告手段はこのアドレスを移動ネットワークが所属する移動ネットワークの位置管理手段へ通知する。そこでこの位置管理手段は、通知された移動ネットワークの位置を管理すると共に、自分が所属するネットワークへ移動ネットワークの位置を通知する。そして、上記した一連の処理を再帰的に繰り返す。
また、移動ネットワーク宛てのデータを移動ネットワークのホームネットワークである移動ネットワークで受信した場合、その移動ネットワークの位置管理手段はこのデータを捕捉し、先の移動先の親ネットワークである移動ネットワークへ転送する。この移動ネットワークの位置広告手段は、転送されたデータを移動ネットワークのホームネットワークである移動ネットワークへ転送する。
このことにより、階層化されたネットワークにおいて、冗長な転送を招くことなく、移動ネットワーク宛てに送信されたデータの転送を可能とする。
【００１５】
なお、ホームネットワークとは、移動ノードのホームアドレスのネットワークと等しいネットワークアドレスを持つネットワークをいい、ホームアドレスとは、移動ノードがどこからインターネットに接続していても変わらないＩＰアドレスであって、移動ノードが所属するホームネットワークのＩＰアドレスをいう。
【００１７】
上記した課題を解決するために本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する、階層化された移動ネットワークの位置管理方法であって、前記移動ネットワークの位置情報を、所属するホームネットワークの他にその上位階層に含まれるホームネットワークで管理し、前記移動ネットワークの位置情報の管理は、任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づいてネットワークの移動を把握して前記移動ネットワークのアドレスを前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知し、前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知することを特徴とする。
【００１８】
また、本発明において、前記上位階層に含まれるホームネットワークで前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉し、前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ直接転送することを特徴とする。
【００１９】
上記した課題を解決するために本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する、階層化された移動ネットワークの位置管理システムに用いられる移動ネットワークの位置管理プログラムであって、任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づきネットワークが移動したか否かを判断する第１のステップと、前記位置情報を告知するとともに、前記移動ネットワークの位置を前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知する第２のステップと、前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知する第３のステップと、をコンピュータに実行させるための移動ネットワークの位置管理プログラムである。
【００２０】
また、本発明において、前記第３のステップは、前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉するステップと、前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ転送するステップを含み、前記第２のステップは、前記転送されたデータを前記移動ネットワークへ転送するステップを含むことを特徴とする。
【００２１】
上記した課題を解決するために本発明は、それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する階層化された移動ネットワークの位置管理システムに用いられる移動ネットワークの位置管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づきネットワークが移動したか否かを判断する第１のステップと、前記位置情報を告知するとともに、前記移動ネットワークの位置を前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知する第２のステップと、前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知する第３のステップと、をコンピュータに実行させるための移動ネットワークの位置管理プログラムを記録した記録媒体である。
【００２２】
また、本発明において、前記第３のステップは、前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉するステップと、前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ転送するステップを含み、前記第２のステップは、前記転送されたデータを前記移動ネットワークへ転送するステップを含むことを特徴とする。
【００２３】
【発明の実施の形態】
図１は、本発明における階層化された移動ネットワークの位置管理システムの一実施形態を示すブロック図である。
ここでは、ｎ層に階層構成された移動ネットワーク１〜５により構成され、各移動ネットワーク１〜５は、自ネットワークの現在位置を把握する位置把握手段１１（２１、３１、４１、５１）と、位置情報を告知する位置広告手段１２（２２、３２、４２、５２）と、自ネットワークのサブネットワークの位置を管理する位置管理手段１３（２３、３３、４３、５３）とを含む。図１では、３階層分の階層化ネットワークが示されており、第ｎ層は移動ネットワーク１、第ｎ＋１層は移動ネットワーク２および５、第ｎ＋２層は移動ネットワーク３および４から成る。
各階層の移動ネットワークは、一階層上位の移動ネットワークに所属し、所属先の移動ネットワークをホームネットワークと呼ぶ。この所属関係は移動後も変わらないものとする。
【００２４】
図２は、図１に示す本発明一実施形態の概略動作を説明するために引用した動作フローチャートである。上記した移動ネットワーク１〜５が内蔵する各手段１１〜５３の概略動作につき図２に示すフローチャートを参照しながら簡単に説明する。
移動対象となる移動ネットワーク３の位置把握手段３１は、親ネットワークの位置広告手段５２から告知される位置情報に基づいて自ネットワークの位置を把握し（ステップＳ２１）、移動したか否かを判断する（ステップＳ２２）。移動したことが認識された場合は、自ネットワークのアドレスを加入先の親ネットワークである移動ネットワーク５の位置広告手段５２へ通知する（ステップ２３）。
【００２５】
位置広告手段５２は、自分の位置情報を常に送出する（ステップ２４）。また、もし自ネットワークに移動ネットワークが加入した場合には、移動ネットワークから通知されたアドレスから、その移動ネットワークが所属するホームネットワークのアドレスを検出し（ステップＳ２５）、ホームネットワークの位置管理手段２３に移動ネットワークの現在位置を通知する（ステップＳ２６）。
ここでは、移動ネットワーク３の位置把握手段３１からの通知をもとに、移動ネットワーク５の位置広告手段５２が移動ネットワーク３のホームネットワーク（移動ネットワーク２）のアドレスを検出し、移動ネットワーク２へ移動ネットワーク３の現在位置を通知する。
【００２６】
ホームネットワークの位置管理手段２３は、自分のサブネットワークである移動ネットワークの現在位置を登録するとともに（ステップＳ２７）、自分が所属するホームネットワークへ先の移動ネットワークの現在位置を通知する（ステップＳ２８）。上位階層のホームネットワークの位置管理手段１３は、サブネットワークの位置管理手段２３から通知された移動ネットワークの現在位置を同様に登録し（ステップＳ２９）、更に、自分の所属するホームネットワークへ通知する（ステップＳ３０）。
【００２７】
この動作は最上位のホームネットワークに至るまで再帰的に繰り返される。この例では、移動ネットワーク２が自分のサブネットワークである移動ネットワーク３の現在位置を登録するとともに、自分のホームネットワークである移動ネットワーク１の位置管理手段１３へ移動ネットワーク３の現在位置を通知する。
同様に、移動ネットワーク１は、移動ネットワーク３の現在位置を登録すると共に、自分のホームネットワークへ移動ネットワーク３の現在位置を通知する。
【００２８】
また、位置管理手段１３は、登録された移動ネットワーク宛てのデータを受信すると、このデータを捕捉し（ステップＳ３１）、登録された位置情報に基づいて移動ネットワークの加入先ネットワークにある位置広告手段５２へデータを転送する（ステップＳ３２）。図１に示す例では、移動ネットワーク１が移動ネットワーク３宛てのデータを捕捉し、移動ネットワーク５の位置広告手段５２へデータを転送する。
位置広告手段５２は、自ネットワークに加入している移動ネットワーク宛てのデータを受信すると（ステップＳ３３）、移動ネットワークへデータを送信する（ステップＳ３４）。この例では、移動ネットワーク５が転送されてきた移動ネットワーク３宛てのデータを受信すると、移動ネットワーク３へそのデータを送信する。
【００２９】
次に、図３及び図４に示す動作概念図を参照して図１に示す本発明一実施形態の全体動作について詳細に説明する。
動作説明に先立ち用語の定義を行なう。ホームネットワークとは、移動ノードのホームアドレスのネットワークと等しいネットワークアドレスを持つネットワークをいい、ホームアドレスとは、移動ノードがどこからインターネットに接続していても変わらないＩＰアドレスであって、移動ノードが所属するホームネットワークのＩＰアドレスをいう。
また、モバイルエージェントとは、移動ノードにモバイルＩＰ通信をサービスするノードで主にルータを指し、ホームエージェントと外部エージェントの２種類がある。ホームエージェントとは、移動ノードのホームネットワークに接続されているモバイルエージェントをいい、外部エージェントとは、ホームネットワークを離れた移動ノードが現在接続しているネットワークにつながっているモバイルエージェントをいう。
なお、図３、図４中、○印はルータ、□印はハブ等を示すものとする。
【００３０】
図３に示すネットワーク構成において、ネットワークは３階層で構成される。Ｎｅｔ１、Ｎｅｔ２およびＮｅｔ３は第１層に、Ｎｅｔ２１およびＮｅｔ２２は第２層に、Ｎｅｔ２２１およびＮｅｔ２２２は第３層に含まれる。各ネットワークは親子関係を構成し、Ｎｅｔ２１およびＮｅｔ２２はＮｅｔ２の子ネットワークとなり、またＮｅｔ２２１およびＮｅｔ２２２はＮｅｔ２２の子ネットワークとなっている。従って、Ｎｅｔ２１、Ｎｅｔ２２、Ｎｅｔ２２１、Ｎｅｔ２２２はＮｅｔ２のサブネットワークとして構成される。
【００３１】
ここでＮｅｔ２２およびその配下のネットワークがＮｅｔ２から移動してＮｅｔ３へ加入し、その後Ｎｅｔ２２１だけが再度移動し、Ｎｅｔ２１に加入する場合を考える。
各ネットワークには移動ルータが存在し、移動ルータが自分の位置を検出するものとする。Ｎｅｔ２２の移動ルータは、Ｎｅｔ３の外部エージェントＥＥ３からの広告メッセージを受信することによりＮｅｔ３へ移動したことを認識し、自ネットワークのアドレスである２．２．０．０／１６（この場合は３２ビットで構成されるアドレスのうち、上位１６ビットがネットワークアドレスであるとする）を外部エージェントＥＥ３とＮｅｔ２のホームエージェントＨＥ２へ知らせる（ステップＡ１）。ホームエージェントＨＥ２は、Ｎｅｔ２２のアドレスとその位置を自分のルーティングテーブルに登録する（ステップＡ２）。
【００３２】
次にＮｅｔ２２２がＮｅｔ２１へ移動すると、Ｎｅｔ２２２の移動ルータはＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１からの広告メッセージを受信することによりＮｅｔ２１へ移動したことを認識し、ネットワークのアドレス（この場合は２．２．２．０／２４）をＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１とＮｅｔ２２のホームエージェントＨＥ２２へ通知する（ステップＡ３）。ホームエージェントＨＥ２２は、Ｎｅｔ２２２のアドレスとその位置をルーティングテーブルに登録する（ステップＡ４）。
ホームエージェントＨＥ２２は、Ｎｅｔ２２２のアドレスとその位置を、自分のホームエージェントであるＮｅｔ２のホームエージェントＨＥ２へ通知する（ステップＡ５）。ホームエージェントＨＥ２は、Ｎｅｔ２２２のアドレスとその位置を自分のルーティングテーブルに登録する（ステップＡ６）。
【００３３】
ここで、Ｎｅｔ２２２の端末宛てのデータが外部から送られてきた場合のデータ転送は、次のように行われる。
図４に示すように、Ｎｅｔ２２２の端末宛てのパケット６１は、まずＮｅｔ２へ送られる（ステップＢ１）。Ｎｅｔ２のホームエージェントＨＥ２は、このパケットを捕獲し、カプセル化して、ルーティングテーブルに基づきＮｅｔ２１の外部エージェントＥＥ２１へ転送する（ステップＢ２）。外部エージェントＥＥ２１はカプセル化されたパケット６２から本来のパケット６３を取り出し、Ｎｅｔ２２２へ転送する（ステップＢ３）。
なお、移動ルータは移動端末であっても構わない。
【００３４】
以上説明のように本発明は、移動ネットワークの位置情報を、所属するホームネットワークの他にその上位階層に含まれるホームネットワークで管理することを特徴とするものであり、移動対象となるネットワークは、告知される位置情報に基づいてネットワークの移動を把握して移動ネットワークのアドレスを当該移動ネットワークが所属するネットワークへ通知し、移動ネットワークの位置を管理するとともに自分が所属するネットワークに対して移動ネットワークの位置を通知するものである。また、上位階層に含まれるホームネットワークで移動ネットワーク宛てのデータを捕捉し、移動ネットワークが加入しているネットワークへ直接転送するものであり、このことにより、階層化されたネットワークにおいて、冗長な転送を招くことなく、移動ネットワーク宛てに送信されたデータの転送を可能とする。
【００３５】
なお、図１、図２における、移動ネットワーク１〜５および移動ネットワーク１〜５を構成する位置把握手段１１（２１、３１、４１、５１）、位置広告手段１２（２２、３２、４２、５２）、位置管理手段１３（２３、３３、４３、５３）が持つ機能を実現するためのプログラムを、それぞれコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを、本システムを構成するコンピュータシステムに読み込ませ、当該コンピュータが上記プログラムを逐次読み出し実行することによって、本発明における階層化された移動ネットワークの位置管理システムが構築される。また、ここでいうコンピュータシステムとは、ＯＳや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【００３６】
更に、コンピュータシステムは、ＷＷＷシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境（あるいは表示環境）も含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ＲＯＭ、ＣＤ−ＲＯＭ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらにコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ（ＲＡＭ）のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【００３７】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク（通信網）や電話回線等の通信回線（通信線）のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル（差分プログラム）であっても良い。
【００３８】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【００３９】
【発明の効果】
以上説明のように本発明によれば、階層化された移動ネットワークにおいて、ネットワークの位置情報を、所属するホームネットワークだけでなく、その上位のホームネットワークにおいて管理し、上位のネットワークでデータを捕捉して直接移動先のネットワークに転送するため、移動ネットワーク宛てに送信されたデータの冗長な転送を回避することができる。
また、ホームネットワークやその上位階層のネットワークが移動している場合、移動ネットワーク宛てのデータを最初に受信した上位のネットワークから直接移動ネットワークへデータが転送されるため、途中の移動ネットワークに対して転送が繰り返されることがなく、従って、ネットワークのトラフィックを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明における階層化された移動ネットワークの位置管理システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図２】図１に示す本発明一実施形態の概略動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図３】図１に示す本発明一実施形態の全体動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図４】図１に示す本発明一実施形態の全体動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図５】従来の移動ネットワークの対応方法の具体例を説明するために引用した動作概念図である。
【図６】従来の移動ネットワークの対応方法の具体例を説明するために引用した動作概念図である。
【図７】階層化された移動ネットワークの構成例を説明するために引用した図である。
【図８】従来の移動ネットワークの対応方法の動作を説明するために引用した図である。
【図９】従来の移動ネットワークの対応方法の動作を説明するために引用した図である。
【符号の説明】
１，２，３，４，５…移動ネットワーク
１１，２１，３１，４１，５１…位置把握手段
１２，２２，３２，４２，５２…位置広告手段
１３，２３，３３，４３，５３…位置管理手段
６１，６２，６３…パケット
Claims (8)
- それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する階層化された移動ネットワークの位置管理システムであって、
任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づきネットワークが移動したか否かを判断する位置把握手段と、
前記位置情報を告知するとともに、前記移動ネットワークの位置を前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知する位置広告手段と、
前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知する位置管理手段とを備えたことを特徴とする移動ネットワークの位置管理システム。 - 前記位置管理手段は、前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉して前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ転送し、
前記位置広告手段は、前記転送されたデータを前記移動ネットワークへ転送することを特徴とする請求項１記載の移動ネットワークの位置管理システム。 - それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する、階層化された移動ネットワークの位置管理方法であって、
前記移動ネットワークの位置情報を、所属するホームネットワークの他にその上位階層に含まれるホームネットワークで管理し、
前記移動ネットワークの位置情報の管理は、
任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づいてネットワークの移動を把握して前記移動ネットワークのアドレスを前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知し、
前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知することを特徴とする移動ネットワークの位置管理方法。 - 前記上位階層に含まれるホームネットワークで前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉し、前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ直接転送することを特徴とする請求項３に記載の移動ネットワークの位置管理方法。
- それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する、階層化された移動ネットワークの位置管理システムに用いられる移動ネットワークの位置管理プログラムであって、
任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づきネットワークが移動したか否かを判断する第１のステップと、
前記位置情報を告知するとともに、前記移動ネットワークの位置を前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知する第２のステップと、
前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知する第３のステップと、をコンピュータに実行させるための移動ネットワークの位置管理プログラム。 - 前記第３のステップは、前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉するステップと、前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ転送するステップを含み、前記第２のステップは、前記転送されたデータを前記移動ネットワークへ転送するステップを含むことを特徴とする請求項５記載の移動ネットワークの位置管理プログラム。
- それぞれの階層に含まれるネットワークが個別に移動する階層化された移動ネットワークの位置管理システムに用いられる移動ネットワークの位置管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
任意の階層の前記移動ネットワークの上位階層に含まれるネットワークから告知される位置情報に基づきネットワークが移動したか否かを判断する第１のステップと、
前記位置情報を告知するとともに、前記移動ネットワークの位置を前記移動ネットワークが加入した上位階層のネットワークから当該移動ネットワークが所属する上位階層のネットワークへ通知する第２のステップと、
前記移動ネットワークが加入した自分と同じ階層の前記ネットワークまたは自分に所属する下位階層のネットワークから前記移動ネットワークの位置の通知を受けて内部に登録するとともに、自分が所属する上位階層のネットワークに対して受信した前記移動ネットワークの位置を通知する第３のステップと、をコンピュータに実行させるための移動ネットワークの位置管理プログラムを記録した記録媒体。 - 前記第３のステップは、前記移動ネットワーク宛てのデータを捕捉するステップと、前記移動ネットワークが加入しているネットワークへ転送するステップを含み、前記第２のステップは、前記転送されたデータを前記移動ネットワークへ転送するステップを含むことを特徴とする請求項７記載の移動ネットワークの位置管理プログラムを記録した記録媒体。
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