JP4050863B2 - 組電池の充電方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の単位二次電池を直列に接続して成る組電池の充電方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の組電池は、大容量出力が要求される電気自動車用の電源として用いられている。そして、最近は、小形軽量化のためエネルギー密度の高いリチウムイオン電池を単位二次電池とする組電池が用いられるようになっている。ここで、Ni−Cd電池やNi−MH電池では、満充電時に電圧降下するため、過充電に対する特別の対策は不要であるが、リチウムイオン電池では満充電時に電圧降下する現象が無く、そのため、リチウムイオン電池を単位二次電池とする組電池の充電に際しては、各単位二次電池が過充電にならないように管理することが必要になる。
【0003】
ところで、組電池では、その製造時に各単位二次電池の容量のばらつきを生じたり、種々の放電状態での使用や、経時劣化等によって個々の単位二次電池の容量のばらつきを生ずることがある。そして、各単位二次電池の容量のばらつきを生じている組電池に単純に充電すると、各単位二次電池の容量(電圧)が当初のばらつきを保ったまま上昇することになり、当初の容量が小さかった単位二次電池が満充電されたときには、当初の容量が大きかった単位二次電池が過充電になってしまう。
【0004】
かかる不具合を解消した組電池の充電方法として、従来、特開平8−213055号公報に記載のものが知られている。このものでは、各単位二次電池の電圧を検出する手段と、各単位二次電池に並列の開閉自在な分流回路とを備える充電装置を用い、組電池を構成する全ての単位二次電池の電圧を比較して、各時点で電圧の最も低い単位二次電池を除く他の単位二次電池の分流回路を閉成することにより当該他の単位二次電池に流れる充電電流を減少させながら、各単位二次電池の検出電圧が略満充電電圧に達するまで定電流充電を行い、その後単位二次電池の満充電電圧に単位二次電池の個数を乗算した組電池の満充電電圧に相当する電圧で定電圧充電を行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例のものでは、定電流充電時に電圧の最も低い単位二次電池の電圧上昇速度が他の単位二次電池の電圧上昇速度より大きくなって、単位二次電池相互の電圧のばらつきが減少するが、電気自動車用の組電池の単位二次電池の個数は数10個となって、電圧の最も低い単位二次電池以外の他の単位二次電池の電圧も個々の単位二次電池でばらつくため、全ての単位二次電池の電圧を均等化するには、各単位二次電池の分流回路に分流する電流を電圧の最も低い単位二次電池と他の各単位二次電池との電圧差に応じて細かく制御することが必要になり、そのため制御系が複雑になってコストが高くなる。
【0006】
また、全ての単位二次電池の電圧を均等化するといっても多少のばらつきは残る。そして、定電圧充電では、電圧が満充電電圧より低い単位二次電池が有ると、何れかの単位二次電池の電圧が満充電電圧よりも高くなるため、単位二次電池の過充電を生ずる可能性がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、全ての単位二次電池に均等に満充電し得るようにし、且つ、過充電も確実に防止できるようにした低コストの充電方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、複数の単位二次電池を直列に接続して成る組電池に、各単位二次電池の電圧を検出する手段と、各単位二次電池に並列の開閉自在な分流回路とを備える充電装置を用いて充電する方法において、各分流回路を対応する単位二次電池の検出電圧が満充電に相当する第1設定電圧を上回っている間閉成すると共に、組電池に定電流で充電する充電工程を、何れかの単位二次電池の検出電圧が過充電にならない範囲で第1設定電圧よりも高く設定した第2設定電圧に達したときを停止時期、第2設定電圧に達した単位二次電池の検出電圧が第1設定電圧に低下したときを再開時期として繰返し行い、充電工程中に全ての単位二次電池の検出電圧が第1設定電圧以上になった充電工程の回数が所定数になったところで、組電池の充電を終了するようにしている。
【0009】
本発明によれば、充電工程中に何れかの単位二次電池の検出電圧が第1設定電圧を上回ると、当該単位二次電池に流れていた充電電流の一部が分流回路に分流され、電圧上昇速度が他の単位二次電池に比し低下して、単位二次電池相互の電圧差が次第に減少する。また、何れかの単位二次電池の検出電圧が第2設定電圧に達して充電工程が停止されると、当該単位二次電池の電圧が分流回路を介しての放電で低下し、この電圧が第1設定電圧まで低下したところで充電工程が再開される。そして、充電工程を繰返すことにより、何回目かの充電工程中に全ての単位二次電池が第1設定電圧以上に充電され、この充電工程の停止後、各単位二次電池を各分流回路を介して電圧が第1設定電圧に低下するまで放電することにより、全ての単位二次電池が第1設定電圧で均等に満充電された状態になる。また、充電工程は何れかの単位二次電池の検出電圧が第2設定電圧に達したところで停止されるから、何れの単位二次電池も過充電されることはない。
【0010】
ところで、単位二次電池の検出電圧は、単位二次電池の内部抵抗に単位二次電池に流れる充電電流を乗算した内部抵抗分の電圧を電池本来の電圧に上乗せした値になる。そして、何回目かの充電工程中に初めて全ての単位二次電池の検出電圧が第1設定電圧以上になった場合には、検出電圧が第1設定電圧ぎりぎりの単位二次電池が存在して、充電工程の停止後の内部抵抗分の電圧降下により検出電圧が第1設定電圧を下回ってしまうことがある。一方、その次の充電工程では全ての単位二次電池の検出電圧が余裕を持って第1設定電圧を上回るようになり、充電工程の停止後に検出電圧が第1設定電圧を下回るような単位二次電池は存在しなくなる。従って、充電工程中に全ての単位二次電池の検出電圧が第1設定電圧以上になった充電工程の回数が2以上になったところで、組電池の充電を終了することが望ましい。また、充電時間を短くするには、充電電流を高くすべきであるが、これでは単位二次電池の検出電圧に含まれる内部抵抗分の電圧による誤差が大きくなる。この場合、2回目以降の充電工程での充電電流を1回目の充電工程での充電電流よりも低くすれば、全ての単位二次電池の検出電圧が第1設定電圧以上になった充電工程の数が2以上になったとき、その充電工程では必ず充電電流が低くなっており、そのため、内部抵抗分の電圧による検出誤差が小さくなり、組電池の充電完了時期を適正に判別できる。
【0011】
また、単位二次電池の異常で充電中にその発火や破損を生ずることを防止するため、各単位二次電池の温度を検出し、何れかの単位二次電池の検出温度が過熱設定温度以上になったとき前記充電工程を中止することが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、リチウムイオン電池から成る単位二次電池1の複数個を直列に接続して構成した組電池2に充電する充電装置を示している。尚、図1では図面簡略化のため単位二次電池1を3個しか示していないが、実際には数10個の単位二次電池1を直列接続して組電池2を構成する。
【0013】
充電装置は、組電池2に接続される充電器3と、組電池2の各単位二次電池1に並列に接続される複数の分流回路4と、各単位二次電池1の電圧Veを検出する複数の電圧検出器5と、各単位二次電池1の温度Tを検出する複数の温度検出器6と、組電池2に流れる電流Iを検出する電流検出器7と、コントローラ8とで構成されている。
【0014】
充電器3は、比較的高い電流Ia(例えば1.0C相当電流)を発生する高電流発生部30と、比較的低い電流Ib(例えば0.2C相当電流)を発生する低電流発生部31と、高電流発生部30と低電流発生部31とを切替える、コントローラ8で制御される切替部32と、充電とその停止とを行う、コントローラ8で制御される充電スイッチ33とを備えている。また、各分流回路4には、所定の抵抗値(例えば34Ω)の抵抗器40と、コントローラ8で制御される分流スイッチ41とが直列に介入されている。コントローラ8には、各電圧検出器5と各温度検出器6と電流検出器7とからの信号が入力されており、これら信号に基づいて切替部32と充電スイッチ33と分流スイッチ41とを制御する。
【0015】
この制御の詳細は図2に示す通りであり、先ず、S1のステップで切替部32を高電流発生部30側に切替えて充電スイッチ33をオンすることにより高電流Iaでの定電流充電を開始する。次に、異常診断のためのS2のステップに進み、全ての単位二次電池1の検出温度Tが過熱設定温度YT未満であるか否かを判別すると共に、電流検出器7で検出した充電電流Iが規格値YI内であるか否かを判別し、何れかの単位二次電池1の検出温度TがT≧YTになったときや、I>YIになったときは、S3のステップでアラーム信号を出力して充電を中止する。
【0016】
異常がなければ、S4のステップに進み、各電圧検出器5で検出した各単位二次電池1の検出電圧Veと満充電に相当する第1設定電圧YV1(例えば、4.12V)とを比較して、Ve>YV1になった単位二次電池1が有るか否かを判別し、Ve>YV1の単位二次電池1が有れば、S5のステップでこの単位二次電池1に並列の分流回路4をこれに介入した分流スイッチ41をオンして閉成する。これによれば、充電電流の一部が分流回路4に分流されて、Ve>YV1の単位二次電池2の電圧上昇速度が他の単位二次電池2の電圧上昇速度に比して低くなり、単位二次電池2相互の電圧(容量)のばらつきが減少する。
【0017】
次に、S6のステップに進み、過充電にならない範囲で第1設定電圧YV1より高く設定した第2設定電圧YV2(例えば4.2V)と各単位二次電池1の検出電圧Veとを比較して、VeがYV2に到達した単位二次電池1が有るか否かを判別し、このような単位二次電池1が有れば、S7のステップで全ての単位二次電池1の検出電圧Veが第1設定電圧YV1以上になっているか否かを判別し、判別結果が「NO」であれば、S8のステップで充電スイッチ33をオフして充電を停止する。ここで、充電停止後もVe>YV1の単位二次電池1に並列の分流回路4の分流スイッチ41はオンされており、分流回路4を介しての単位二次電池1の放電でVeは徐々に低下する。そして、S9のステップでVeがYV1に低下したと判別されたとき、S10のステップで分流スイッチ41をオフして放電を停止する。
【0018】
また、充電停止後、S11のステップでVeがYV2に到着した単位二次電池1のVeがYV1に低下したと判別されたとき、S12のステップで切替部32を低電流発生部31側に切替えると共に充電スイッチ33をオンすることにより低電流Ibでの定電流充電を開始し、S2以下のステップに戻って上記と同様の制御を行う。かくて、何れかの単位二次電池1のVeがYV2に達したときを停止時期、VeがYV2に達した単位二次電池1のVeがYV1に低下したときを再開時期として、組電池2に定電流で充電する充電工程が繰返し行われる。そして、1回目の充電工程では、充電時間を短くするため、高電流Iaでの充電が行われるが、2回目以降の充電工程では低電流Ibでの充電が行われ、単位二次電池1の検出電圧Veに含まれる内部抵抗分の電圧(=内部抵抗×充電電流)による検出誤差が小さくなる。
【0019】
上記の如く充電工程を繰返すと、単位二次電池1相互の電圧差(容量差)が次第に減少し、何回目かの充電工程中に全ての単位二次電池1のVeがYV1以上になって、S7のステップで「YES」と判定される。このときは、S13のステップでフラグFが「1」にセットされているか否かを判別する。フラグFは当初「0」にリセットされており、S7のステップでの判定結果が初めて「YES」になったときは、S13のステップで「NO」と判定され、この場合はS14のステップでフラグFを「1」にセットしてからS8のステップに戻る。そして、次の充電工程中に再び全ての単位二次電池1のVeがYV1以上になって、S7のステップからS13のステップに進むと、F=1と判別される。このときは、S15のステップに進んで充電スイッチ33をオフすると共に、S16のステップで各単位二次電池1のVeがYV1に低下したか否かを判別し、S17のステップでVeがYV1に低下した単位二次電池1に並列の分流回路4の分流スイッチ41をオフし、全ての分流スイッチ41がオフされたときに組電池の充電作業を完了する。
【0020】
かくて、充電工程中に全ての単位二次電池1のVeがYV1以上になった充電工程の回数が2になったところで、組電池2の充電が終了する。ここで、充電工程中に初めて全ての単位二次電池1のVeがYV1以上になった場合には、VeがYV1ぎりぎりの単位二次電池1が存在して、充電工程の停止後の単位二次電池1の内部抵抗分の電圧降下によりVeがYV1を下回ってしまうことがあるが、次の充電工程中に再び全ての単位二次電池1のVeがYV1以上になった場合は、全ての単位二次電池1のVeが余裕を持ってYV1を上回り、また、Veに含まれる単位二次電池1の内部抵抗分の電圧誤差が低電流Ibでの充電で小さくなるため、充電工程の停止でVeがYV1を下回ってしまうようなことはない。そして、充電工程停止後、VeがYV1に低下するまで各分流回路4を介して各単位二次電池1の放電を行うことにより、全ての単位二次電池1がYV1の電圧で均等に満充電された状態になる。
【0021】
また、充電工程は何れかの単位二次電池1のVeがYV2に達したところで停止されるから、何れの単位二次電池1も過充電されることはない。更に、各分流回路4についての制御は、各単位二次電池1のVeとYV1との比較による分流スイッチ41のオンオフ制御を行うだけで良く、各単位二次電池の電圧と最低電圧の単位二次電池の電圧との偏差に応じた分流電流の制御が必要となる従来例のものに比し、制御が簡単になる。
【0022】
尚、上記実施形態では、充電工程中に全ての単位二次電池1のVeがYV1以上になった充電工程の回数が2になったところで、組電池の充電を終了するようにしたが、この回数は2に限るものではなく、例えば3或いはその以上に設定しても良い。但し、この回数を3以上に設定すると、充電終了までにかかる時間が長くなるため、この回数は2に設定することが望ましい。また、本発明は、リチウムイオン電池以外の電池を単位二次電池とする組電池の充電にも適用できる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、全ての単位二次電池を均等に満充電できると共に、過充電も確実に防止でき、更に、制御も簡単でコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の実施に用いる充電装置の一例を示すブロック回路図
【図2】 組電池の充電制御プログラムを示すフローチャート
【符号の説明】
1 単位二次電池 2 組電池
3 充電器 30 高電流発生部
31 低電流発生部 32 切替部
33 充電スイッチ 4 分流回路
41 分流スイッチ 5 電圧検出器
6 温度検出器 8 コントローラ

Claims (4)

  1. 複数の単位二次電池を直列に接続して成る組電池に、各単位二次電池の電圧を検出する手段と、各単位二次電池に並列の開閉自在な分流回路とを備える充電装置を用いて充電する方法において、
    各分流回路を対応する単位二次電池の検出電圧が満充電に相当する第1設定電圧を上回っている間閉成すると共に、
    組電池に定電流で充電する充電工程を、何れかの単位二次電池の検出電圧が過充電にならない範囲で第1設定電圧よりも高く設定した第2設定電圧に達したときを停止時期、第2設定電圧に達した単位二次電池の検出電圧が第1設定電圧に低下したときを再開時期として繰返し行い、
    充電工程中に全ての単位二次電池の検出電圧が第1設定電圧以上になった充電工程の回数が所定数になったところで、組電池の充電を終了する、
    ことを特徴とする組電池の充電方法。
  2. 前記所定数を2以上とすることを特徴とする請求項1に記載の組電池の充電方法。
  3. 2回目以降の充電工程での充電電流を1回目の充電工程での充電電流よりも低くすることを特徴とする請求項2に記載の組電池の充電方法。
  4. 各単位二次電池の温度を検出し、何れかの単位二次電池の検出温度が過熱設定温度以上になったとき前記充電工程を中止することを特徴とする請求項1又は2に記載の組電池の充電方法。
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