JP4049212B2 - パラジウム粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規の結晶子サイズ及び粉末粒子の形状、BET比表面積を有する、金属パラジウム粉末に関するものである。更に、パラジウムイオンを含有する水溶液を、電解還元する工程において、特殊な陰極及び電解条件によって、前記の性状を有する金属パラジウム粉末を製造する方法に関するものである。この様にして得られたパラジウム粉末は電子部品材料、触媒及び、歯科用合金等に好適である。
【0002】
【従来の技術】
金属パラジウムは歯科用合金、電子部品の接点等の他、自動車触媒や燃料電池等の化学触媒としてのニーズが高まっている。これらの用途に用いられる金属パラジウムは、一旦溶解されセラミックやステンレス等の基材に塗布、焼結された状態で使用されている。このため酸で容易に溶解できる様に、表面積が大きい微粉状のパラジウムが適している。また、ペーストとして塗布する場合には、焼結時の酸化安定性に優れ高結晶性の金属パラジウム微粉末が要望されている。
【0003】
従来金属パラジウムの粉末を製造する方法としては、一般にパラジウム塩を焙焼し、得られたパラジウムスポンジを粉砕、分級して製造されている。しかし、この方法では焙焼時に塩素ガス、塩化アンモニウム等の白煙が多量に発生し、設備面、環境衛生面の対策が必要である。更に、後工程の粉砕、分級には時間、労力がかかる他、粉塵発生による収率の減少と共に人体への危害も問題視されている。
【0004】
また、特開平 10-130703号公報には、パラジウム錯塩を水中に懸濁させ、ヒドラジン、蟻酸或いはSBH(水素化ホウ素ナトリウム)等の還元剤を加えて、金属パラジウム粉末を製造する、湿式化学還元法が開示されている。しかし、この方法では厳密な pH 調整、液温調整に労力・時間を要し、また、添加する還元剤によっては毒性があるため人体への影響が懸念される。その他、還元剤として金属元素を含むSBHを使用すると、パラジウム純度が低下するおそれがある。
【0005】
更に、この様な化学還元法で得られた金属パラジウム粉末は、例えば、特開平8-325602 号に記載されている様に、X線回折による Pd (111) 回折線から求めら結晶子サイズが、 100Å前後と結晶化度が低く、加熱溶融時の耐酸化性が劣っている。耐酸化性改善するためには更に、熱処理によって結晶化度を高める必要があった。
【0006】
尚、金属パラジウムを歯科用合金、電子部品、自動車触媒、燃料電池或いは化学触媒等に使用する場合、最も好ましい形状は結晶子サイズが数 100Åであり、且つBET比表面積が数 m2/g 程度の粉末である。しかし、従来のスポンジ状金属パラジウムの機械的粉砕或いは、電解還元法では前述の様な性状の金属パラジウム粉末は得られていない。
【0007】
更に、パラジウムは希少金属の中でも高価な貴金属の1種であり、産出量も少ないから、最近使用量が急速に増加すると共に、一旦使用されたパラジウムを回収して循環再使用するための、回収技術の重要性が高まっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述の問題点にかんがみ、金属パラジウムを歯科用合金、電子部品、自動車触媒、燃料電池或いは化学触媒等に使用するために、最も好ましい形状である結晶子のサイズが数 100Åであり、且つBET比表面積が数 m2/g 程度の新規な金属パラジウム粉末を、製造する方法を開発して提供することである。更に、一旦使用された金属パラジウムをこの様な形状の金属パラジウム粉末として回収し、循環再使用するための回収技術を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記の問題点を解決するため、スポンジ状金属パラジウムの粉砕等の機械的方法よりも、均一な粒状物が得られ易い、パラジウムイオンを含む水溶液の湿式電解還元法に着目した。特に電解槽において金属パラジウムが析出する、電極表面の状態及び電極近傍における電解液の流動・攪拌状態と、金属パラジウムの析出する状態との関係について検討した。
【0010】
その結果、陰極表面がポリテトラフルオロエチレンまたは、アルミナ、酸化ケイ素、炭化ケイ等の非金属質微粉末を含有する、複合メッキで被覆され、且つ、電解液に超音波を照射しながら電解還元することによって、陰極表面に析出した金属パラジウムが均一な好ましい性状の粉末として、電解槽に沈澱することを見出した。
【0011】
或いは電解還元法において、陰極で発生するガス発生量が一定量以上である条件で、電解還元することによって、前述の場合と同様に金属パラジウムが均一な好ましい性状の粉末として、電解槽に沈澱することを見出した。ここで更に、電解液のアンモニア濃度及び電解電流の密度が一定の範囲内であることが好ましい。これらの知見に基づいて、電極近傍における現象と、析出する金属パラジウムの純度及び粒子の性状について更に検討した結果、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、X線回折法によって(111)結晶面における、回折線強度の半値幅から求められる結晶子サイズが400Å以上、700Å以下であり、且つBET(Brunauer,Emmet,Teller法)比表面積が0.05m/g以上、3m/g以下である金属パラジウム粉末である。ここで蒿密度が2.0g/cm以上、4.0g/cm以下であり、更に粒径1μ以下の金属パラジウムの微粒子が積み重なって枝葉状または杉の葉を舞茸状に集合させたような形状或いはブロッコリーの花の集合体のような形状に成長せしめた、純度が99.9%以上の金属パラジウム粉末である
【0013】
または、パラジウムイオンを含有した、アンモニア濃度が1%以上10%以下の水溶液から、電解還元法により金属パラジウム粉末を得る工程において、電流密度が0.01A/cm 以上1A/cm 以下で、電解ガス発生量が0.25ml/cm ・分以上であることを特徴とする請求項1記載の金属パラジウム粒子の製造方法である
【0014】
更に、パラジウムイオンを含有する水溶液を陰極表面がアルミナ及び酸化ケイ素炭化ケイ素からなる群より選ばれた少なくとも一つの成分の微粉末を含有する複合メッキ層で被覆され超音波を照射しながら電解還元することによってパラジウム粉末を得ることを特徴とする、請求項1記載の金属パラジウム粒子の製造方法。
【0015】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0016】
本発明の金属パラジウム粉末は、X線回折法によって(111)結晶面における、回折線強度から求められる結晶子サイズが400Å以上、700Å以下であり、且つBET比表面積が0.05m/g以上、3m/g以下である、金属パラジウム粉末である。ここ蒿密度が2.0g/cm以上、4.0g/cm以下であり、更に粒径1μ以下の金属パラジウムの微粒子が積み重なって枝葉状または杉の葉を舞茸状に集合させたような形状或いはブロッコリーの花の集合体のような形状に成長せしめた、純度が99.9%以上の金属パラジウム粉末である。
【0017】
本発明の金属パラジウム粉末は、従来の化学的還元法や、結晶化度の高い塊状あるいはスポンジ状金属パラジウムの粉砕等、機械加工によって得られるものとは性状が異なる、新規な金属パラジウム粉末である。化学的還元法では、X線回折による Pd (111) 面の回折線強度の、半値幅から求められる結晶子サイズは、100Å以下である。一方、塊状の金属パラジウムを粉砕して得られた粉末の結晶子サイズは、1000Å以上である。また、化学還元法で得られた粉末を熱処理した粒子の結晶子サイズは 800Åまたはそれ以上である。
【0018】
本発明の金属パラジウム粉末は、その中間程度の結晶子サイズである 400から700Åであることが特徴である。この様に適度な結晶性を有するため、加工時の耐酸化性に優れている。
【0019】
更に、BET法による比表面積は、 0.05 から3m2/gを示し、その平均粒子径から計算される真球とした場合の表面積の、 50 倍前後の比表面積を有している。このため酸等への溶解性にも優れ、蒿密度も 2.0から 4.0 g/cm3の範囲で、粒子が粗大過ぎず、同時に微粉過ぎず、各種加工に適した粒度分布を有する、取扱良好な、純度 99.9 %以上の高純度パラジウム粉末である。尚、比表面積は窒素、アルゴン、クリプトンガス等を吸着ガスとして、BET多点法により求めることができる。
【0020】
また、本発明の金属パラジウム粉末は、従来知られていない新規な電解還元法によって得られたものである。パラジウムイオンを含有する水溶液を、通常の電解法によって還元すると、金属パラジウムが電極表面に析出して全面を被覆して、膜状となるため、粉末状のパラジウムを得ることが困難であった。
【0021】
本発明者等は粉末状の金属パラジウムを得るため、金属パラジウムが析出する電極表面の状態及び電極近傍における電解液の流動・攪拌状態と、析出する金属パラジウムの形状との関係について検討した。その結果、ポリテトラフルオロエチレン微粒子を分散させた金属メッキ浴で電解して、電極の表面にポリテトラフルオロエチレン微粒子を含む、導電性複合メッキ表面層を有する電極を作製した。この電極を陰極とし、更に電解液に超音波を照射しながら、パラジウムイオンを含む水溶液を電解還元することにより、金属パラジウム粉末が得られることを見出した。
【0022】
本発明における複合メッキ表面層を有する電極は、チタン等の電極基材の表面を無機あるいはフッ素系化合物等の非金属質微粒子を含む、メッキ浴から電気メッキ法により作製された電極で、金属メッキ表面層にこれらの微粒子が分散されている。例えば、特開平 10-280183号や特開 2000-290790号に示された、複合表面層を有する電極を用いることができる。更にフッ素系微粒子としては、例えば、ダイキン工業(株)或いはセントラル硝子(株)製の、平均粒径5〜0.5 ミクロンのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0023】
また無機質微粒子としては、アルミナ〔アドマテック(株)製〕、酸化ケイ素〔アドマテック(株)製〕、酸化チタン〔テイカ(株)製〕、炭化ケイ素〔高純度化学(株)製〕、或いは更に、黒鉛〔(株)エスイーシー製〕等の微粉末を用いることができる。これらの微粒子或いは微粒子の混合物、更には平均粒径の異なる微粒子の混合物を、メッキ浴1リットル当たり50から200g程度添加し、界面活性剤と共に分散混合してメッキ浴に使用することができる。
【0024】
界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩やアルキル硫酸塩、好ましくは第4級パーフルオロアンモニウム塩、例えば大日本インキ工業(株)製を、前記微粒子1g当たり 10 〜 50 mg添加する。更には、ホモジナイザー等を用いて均一分散させたものを、メッキ浴として使用するのが好ましい。通常は白金或いはパラジウムメッキ浴に、前記の非金属質微粉末及び界面活性剤を添加して電解し、表面に複合メッキ層が形成された電極を作製する。
【0025】
この様にして得られた電極を陰極として使用し、陰極表面に超音波を照射しながら、パラジウムイオンを含有する水溶液を電解還元することにより、通常の電流密度、浴温範囲で、純度 99.9 %以上の金属パラジウム粉末が得られる。超音波の照射は市販されている超音波発振子を、電解槽に設置することにより可能である。超音波の周波数が大きいほど、得られる金属パラジウム粉末の粒子径が小さくなる傾向を示す。通常洗浄用として使用される、15、26、38、150 KHz 等の超音波発振子を陰極近傍に設置すれば良い。また、超音波発振子を直接陰極に接触させても同様の効果が得られる。
【0026】
金属パラジウム粉末の粒度については、電極表面の非金属質微粒子の大きさと分布量及び、超音波の照射エネルギーに依存していると考えられる。5から 0.5ミクロンの微粒子を 50 〜 200g/1含むメッキ浴を用いて作製した、表面に複合メッキ層を有する電極を用いて、前記の超音波を照射しながら、 0.01 から 1A/cm2の電流密度で金属パラジウム粉末を製造した場合、 500ミクロンから数 10 ミクロンの平均粒子径を有し、比表面積 0.1から 3m2/g 、蒿密度 2.0から 4.0g/cm3 の範囲の微粒子が得られる。
【0027】
本発明の金属パラジウム粉末を得られるその他の方法として、電解還元時に陰極からの気体発生量が 0.25 ml/cm2・分以上である様な状態に、電解槽を保持する方法がある。好ましくは、アンモニア濃度が 1%以上であり、且つ 10 %以下となる様に、アンモニア水を添加した、パラジウムイオンを含有する水溶液を、通常用いられるチタン板等を陰極として電解する。この際陰極では主としてアンモニアの電気分解による水素ガスが発生すると共に、金属パラジウム微粒子が析出される。
【0028】
陰極表面に発生するガスは、アンモニアや水が電気分解されて生成する水素ガスが主な成分であるが、アンモニア濃度が 1%以下では、ガスの発生量が 0.25 ml/cm2・分に達せず、電解還元された金属パラジウムは、陰極表面に膜状に析出するため陰極からの剥離回収が困難となる。ガスの発生量が 0.25 ml/cm2・分以上となる条件では、粉末状の金属パラジウムが生成するから、ガス発生量の上限はない。しかし、1.00 ml/cm2 ・分以上のガスを発生させても、生成する金属パラジウムの粒度等には余り差異が認められない。従って、ガスの発生量は 0.25 から 1.00 ml/cm2・分となる電解条件に保持することが好ましい。
【0029】
このためには、アンモニア濃度を1wt%以上、 5 wt %以下添加することが好ましく、多くても 10 wt%迄で充分である。アンモニア濃度を 10 wt%以上とするためには多量のアンモニア水を要するため不経済であり、得られる金属パラジウムの粒度が却って微細になり過ぎる傾向があるためである。
【0030】
この方法において、電流密度は 0.01 〜 1A/cm2の範囲が好ましい。電流密度が 0.01 A/cm2以下では、ガスの発生量が 0.25 ml/cm2・分以上とすることが困難な場合もあり、その時には金属パラジウムが電極表面に膜状に析出するので好ましくない。また 1A/cm2以上の高電流密度では、ガス発生量が 1.00 ml/cm2以上となり易く、金属パラジウム粉末の生成効率が低下するため好ましくない。
【0031】
電流密度がこの範囲にならない場合は、食塩、塩化アンモニウム等の電解質を添加することも、金属パラジウム粉末の性状に影響を及ばさない範囲で選択できる。この電流密度の範囲であれば、通常 1mm以下の粒径のパラジウム粉末が得られ、平均粒径は 500ミクロンから 10 数ミクロンであり、比表面積は 0.05 から3m2/g、蒿密度が 2.0から 4.0g/cm3 の範囲の粒子が得られる。
【0032】
ちなみに、前述の方法で得られた金属パラジウム粉末を、顕微鏡で 100〜 500倍の倍率で観察すると、何れも1ミクロン以下の微粒子が積み重なって枝葉状に成長しており、例えれば、杉の葉を舞茸状に集合させたような形状、或いは野菜の一種であるブロッコリーの先端の緑色の部分(花)が、茎を含む全体に及んだような形状を有するものである。
【0033】
尚、前述の本発明の湿式電解還元法を適用すれば、一旦使用された金属パラジウムも酸に溶解した後、金属パラジウム粉末として回収することが容易となり、パラジウムの循環再使用技術としての意義も大きい。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0035】
(実施例1)
メッキ浴として、平均粒子径 1ミクロンのPTFE微粒子〔セントラル硝子(株)製〕を 100g/1、第4級パーフルオロアンモニウム塩〔大日本インキ工業(株)製〕を 3g/1、塩化アンモニウム 60 g/1を含有する、パラジウム濃度 10 g/1のパラジウムメッキ液(pH 8.5) を調整した。このメッキ浴を攪拌しながら、電流密度は 0.1A/cm2、温度 30 ℃で、チタン板の表面に複合メッキを施した。得られたチタン板電極はパラジウムメッキの厚さが 10 ミクロン、PTFE 35 vol %を含有する表面層を有していた。
【0036】
純度 99.1 %のジクロロジアミンパラジウム塩含水物 40 Kgと、塩化アンモニウム 15 Kgを、純水 250リットルに溶解させた電解液を調整した。この電解液の陽極として、寸法安定不溶性電極〔TDK(株)製〕を、陰極に前記複合メッキ表面層を有するチタン板を用い、極間距離 10 cmの平行平板方式で、電流密度 0.1A/cm2の定電流条件下にて電解した。この際出力1KWの超音波発振動子2個を、電極近傍に設置し周波数 38 KHz の超音波を照射しながら電解を行った。
【0037】
この電解操作により電解槽の底に沈澱堆積した金属パラジウム粉末を、回収、洗浄、乾燥した。このようにして得られたパラジウム粉末は、目開き1mm(呼び寸法 1) のJIS試験篩をすべて通過し、粒度分布測定器SALD− 200V〔(株)島津製作所製〕を用いて測定した粒度分布を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004049212
【0039】
また、得られた金属パラジウム粉末のX線回折による(111)回折線の半値幅から求めた、シェラーの計算式による結晶子サイズは、 620Åであった。コールター社製SA 3100 を用いた窒素吸着法によるBET比表面積は 0.14m2/g であり、また蒿密度は、JISZ 2504 に準じて測定した結果、 3.2 g/cm3であった。粉末の金属パラジウム純度は 99.95%であった。
【0040】
(実施例2)
平均粒子径1ミクロンのアルミナ微粒子〔アドマテック(株)製〕を 150 g/1、第4級パーフルオロアンモニウム塩〔大日本インキ工業(株)製〕を3g/1、塩化アンモニウム 60 g/1を含有する、パラジウム濃度 10 g/1のパラジウムメッキ液(pH 8.5) を用い、電流密度は、 0.1A/cm2、温度 25 ℃で、攪拌しながらチタン板に複合メッキを施した。得られた電極はパラジウムメッキの厚さ 10 ミクロンで、アルミナ 30 vo1 %を含有する表面層を有していた。
【0041】
この電極を用い実施例1と同様にして金属パラジウム粉末を得た。この様にして得られた金属パラジウム粉末は、目開き1mm(呼び寸法 1) のJIS試験篩を総て通過し、平均粒子径は 140ミクロンであった。また結晶子サイズは 570Åで、BET比表面積は 1.2 m2/g 、蒿密度は 3.4 g/cm3であった。また、金属パラジウム粉末の純度は 99.95%であった。
【0042】
(実施例3)
平均粒子径 0.8ミクロンの酸化ケイ素微粒子〔アドマテック(株)製〕を 150g/1、第4級パーフルオロアンモニウム塩〔大日本インキ工業(株)製〕を3g/1、塩化アンモニウム 60 g/1を含有する、パラジウム濃度 10 g/1のパラジウムメッキ液(pH 8.5) を用い、電流密度 0.1A/cm2、温度 25 ℃で、攪拌しながらチタン板に複合メッキを施した。得られた電極はパラジウムメッキの厚さ 10 ミクロンで、酸化ケイ素 30 vo1 %を含有する表面層を有していた。
【0043】
この電極を用い実施例1と同様にして金属パラジウム粉末を得た。この様にして得られた金属パラジウム粉末は、目開き1mm(呼び寸法 1) のJIS試験篩を総て通過し、平均粒子径は 110ミクロンであった。また、結晶子サイズは 620Å、BET比表面積 1.9 m2/g 、また蒿密度は 3.4 g/cm3であった。金属パラジウム粉末の純度は 99.95%であった。
【0044】
(実施例4)
平均粒子径1.2ミクロンの炭化ケイ素微粒子〔高純度化学(株)製〕を150g/l、第4級パーフルオロアンモニウム塩〔大日本インキ工業(株)製〕を3g/l、塩化アンモニウム60g/lを、含有するパラジウム濃度10g/lのパラジウムメッキ液(pH8.5)を用い、電流密度0.1A/cm、温度25℃で、攪拌しながらチタン板に複合メッキ層を施した。得られた電極はパラジウムメッキの厚さ10ミクロンで、炭化ケイ素32vol%を含有する表面層を有していた。
【0045】
この電極を用い実施例1と同様にして金属パラジウム粉末を得た。この様にして得られた金属パラジウム粉末は、目開き1mm(呼び寸法 1) のJIS試験篩を総て通過し、平均粒径は 70 ミクロンであった。また、結晶子サイズは 600Å、BET比表面積 2.3 m2/g 、また蒿密度は 3.3 g/cm3であった。金属パラジウム粉末の純度は 99.95%であった。
【0046】
(実施例5)
実施例1で用いた電解液に 25 %アンモニア水 30 リットルを加え、アンモニア濃度 2.5%とし、陽極及び陰極共に寸法安定不溶性電極を用い、極間距離 10 cmの平行平板方式で、電流密度 0.1A/cm2 定電流条件下にて電解した。この際陰極からは微細なガスが通電中常時発生しており、そのガスを捕捉し定量したところ、平均 0.72 ml/cm2・分であった。
【0047】
この電解操作によって電解槽の底に沈澱堆積した金属パラジウム粉末を、回収、洗浄、乾燥した。この様にして得られた金属パラジウム粉末は、目開 1mm(呼び寸法 1) のJIS試験篩を総て通過し、粒度分布測定器SALD− 200V〔(株)島津製作所製〕を用いて測定した平均粒子径は、 180ミクロンであった。また、得られたパラジウム粉末のX線回折による(111)回折線の半値幅から求めた結晶子サイズは、 520Åであった。窒素吸着法によるBET比表面積は 0.18 m2/g、また蒿密度はJISZ 2504 に準じて測定した結果 3.3 g/cm3であった。金属パラジウム粉末の純度は 99.95%であった
【0048】
(比較例1)
実施例1で用いた電解液を、陽極・陰極共に寸法安定不溶性電極を用い、極間距離 10 cmの平行平板方式で、電流密度 0.1A/cm2の定電流条件下にて電解した。金属パラジウムは陰極表面に膜状に析出し、粉末状の金属パラジウムは得られなかった。
【0049】
(比較例2)
アンモニア濃度を 0.5%とした以外は、実施例5と同様にして電解した。陰極からのガス発生量は 0.22 ml/cm2・分であった。金属パラジウムは粒子状に微量生成し沈澱物として得られたが、大部分は凹凸のある膜状となって電極表面に析出して付着した状態であった。
【0050】
(比較例3)
アンモニア濃度2%、電流密度 0.005A/cm2とした以外は、実施例5と同様の条件で電解した。ガス発生量は 0.12 ml/cm2・分であった。この結果、金属パラジウムは膜状となって電極表面に析出して付着した状態であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の金属パラジウムは新規な結晶子サイズ及び、BET比表面積、蒿密度、純度を有する粉末であり、更にこの金属パラジウム粉末を製造し得る新規な湿式電解還元法である。金属パラジウムは電子部品の接点等の他、自動車触媒や燃料電池の化学触媒、歯科用合金等としてのニーズが高まっているが、本発明の金属パラジウム粉末は、これらの用途に最も適した性状を有するものである。更に、本発明の湿式電解還元法を適用すれば、一旦使用された金属パラジウムも酸に溶解した後、金属パラジウム粉末として回収することが容易となり、パラジウムの循環再使用技術としての意義も大きい。

Claims (3)

  1. X線回折法により(111)回折線から求められる、結晶子サイズが 400Å以上、 700Å以下、BET比表面積が 0.05 以上、3 m2/g 以下、蒿密度が 2.0 g/cm3以上、 4.0 g/cm3以下であり、更に顕微鏡により 100 500 倍で観察すると、粒径1μ以下の金属パラジウムの微粒子が積み重なって枝葉状、または杉の葉を舞茸状に集合させたような形状、或いはブロッコリーの花の集合体のような形状に成長せしめた、純度99.9%以上の金属パラジウム粉末。
  2. パラジウムイオンを含有した、アンモニア濃度が 1%以上、 10 %以下の水溶液から、電解還元法により金属パラジウム粉末を沈殿させて得る工程において、電流密度が 0.01 A/cm2 以上、1A/cm2 以下で、電解ガス発生量が、0.25 ml/ cm2・分以上であることを特徴とする、請求項1記載の金属パラジウム粉末の製造方法。
  3. パラジウムイオンを含有する水溶液を、表面がアルミナ及び、酸化ケイ素、炭化ケイ素からなる群より選ばれた、少なくとも一つの成分の微粉末を含有する複合メッキ層で被覆された陰極を用い、超音波を照射しながら電解還元することによって、パラジウム粉末を沈殿させて得ることを特徴とする、請求項1記載の金属パラジウム粉末の製造方法。
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