JP4049029B2 - 多気筒エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多気筒エンジンの燃料噴射制御装置、特に始動時制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
多気筒エンジンの始動時に一部の気筒への燃料供給を休止して触媒の早期活性化を実現するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−311139号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジン始動時のHC排出量を一層低減することが求められている。
【0005】
ここで、吸気ポートに臨んで燃料噴射弁を備える多気筒エンジンの始動時を考えてみると、始動に際してはクランキングによるポンピング作用により吸気絞り弁下流の吸気管圧力が大気圧より低い圧力へと変化してゆく。このとき燃料噴射を、吸気絞り弁下流の吸気管圧力が十分低い圧力へと変化する前に行う場合には、特に冷間始動時において燃料噴射弁から噴かれた燃料の気化が悪く、燃料噴霧が吸気弁の傘裏部や吸気ポート壁に付着し、これら付着燃料はやがて液状のまま壁を伝って流れる壁流を形成する。こうした壁流は吸気中を漂って燃焼室内に吸入される燃料よりも燃焼室への流入が遅れ、燃料噴射弁から噴かれた燃料の全てを応答よく燃焼室に供給できないため、その分が燃料供給量として不足し燃焼が不安定となる。
【0006】
そこで、吸気絞り弁下流の吸気通路より分岐して各気筒への空気分配を行う分岐吸気管に燃料噴射弁を気筒別に備えるエンジンにおいて、始動時に確実に燃焼させるためにはこの壁流分だけ多く燃料を噴射しなければならず、完爆後にはその壁流が燃焼室内に遅れて流れ込み、始動直後のエンジン回転速度の上昇後に未燃燃料であるHC排出量の発生が多くなる。
【0007】
従って、エンジン始動時に多く発生するこのHC排出量の低減のためには、始動時に燃料噴射弁から噴かれた燃料の気化を促進することが得策であり、そのためには吸気絞り弁下流の吸気管圧力を大気圧より低い圧力へと早期に導いてやればよい。
【0008】
この場合に、始動時の供給燃料を増量してやればそれだけ始動時のエンジン回転速度が急上昇して吸気絞り弁下流の吸気管圧力が早期に大気圧より低い圧力へと導かれるともいえるが、この方法によれば完爆(自立回転開始)後にはエンジン自身の発生トルクにより始動時のピーク回転速度が過上昇し、音振性能の悪化を招いてしまう。
【0009】
そこでこのようなはね返りを生じさせずに吸気絞り弁下流の吸気管圧力を早期に大気圧より低い圧力へと導くため、本発明は、エンジンの始動初期に一部の気筒の燃料噴射を休止することにより、エンジン始動時のHC排出量を低減するようにした。
【0010】
なお、上記従来装置は、始動時に一部気筒への燃料供給を休止することにより当該一部気筒を介して燃料分を含まない空気を触媒コンバータへと供給し、触媒によるHC、COの酸化反応を促進して触媒の早期活性化を図ろうとする技術思想であり、始動時に一部気筒への燃料供給を休止することにより吸気絞り弁下流の吸気管圧力が大気圧より低い所定値にまで低下していない状態における全体としての壁流燃料分を減らし、燃料の気化が悪いことに伴う未燃HCの発生を抑制しエンジン出口でのHC排出量の低減を目的とする本発明とは技術的思想が異なる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吸気絞り弁と、この吸気絞り弁下流の吸気通路より分岐して各気筒への空気分配を行う分岐吸気管と、この分岐吸気管に気筒別に設けられる燃料噴射弁とを備え、各燃料噴射弁より気筒別に燃料噴射を行うようにした多気筒エンジンの燃料噴射制御装置において、エンジンの始動時にポンピング作用により前記吸気絞り弁下流の分岐吸気管圧力が大気圧より低い所定値に低下するまで一部の気筒の燃料噴射弁からの燃料噴射を休止し、残りの気筒の燃料噴射弁で燃料噴射を行うように構成する。
【0012】
【発明の効果】
始動前には吸気絞り弁下流の吸気通路に大気圧の空気が存在し始動時にこの吸気絞り弁下流に存在する空気が各気筒のシリンダに大量に流れ込むことから、燃料噴射量の与え方によっては全開相当のトルクを発生させることすら可能である。このため、多気筒エンジンにおいては全気筒で燃料噴射を行わせなくとも初爆より完爆へと導くことができる。すなわち、本発明によればエンジンの始動時にポンピング作用により吸気絞り弁下流の分岐吸気管圧力が大気圧より低い所定値に低下するまで一部の気筒を除く残りの気筒の燃料噴射弁から燃料噴射を行うことで始動時に必要十分なトルクが得られるようにしてあり、かつエンジンの始動時に吸気絞り弁下流の分岐吸気管圧力が大気圧より低い所定値に低下するまで当該一部の気筒の燃料噴射弁からの燃料噴射を休止することで全体としての燃料壁流分を従来より減らしており、これにより始動時に必要十分なトルクを得つつ始動時のエンジン出口でのHC排出量を大幅に低減することができる。
【0013】
また、吸気絞り弁下流の分岐吸気管圧力が大気圧より低い所定値に低下するまでの間、燃料噴射を休止している当該一部の気筒が実質的に酸素供給気筒となり、上記従来装置と同様にHCの排気管内での後燃えを促進することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態(最良の実施形態)のV型6気筒ガソリンエンジンの概略構成図を示している。図1において、1は左右の各バンク1A、1Bを有するエンジン本体で、吸気絞り弁2により調量された空気は吸気通路3を介して吸気マニホールドのコレクタ部4に一旦蓄えられ、このコレクタ部4より分岐して各気筒への空気分配を行う分岐管5(分岐吸気管)を経て各気筒の燃焼室6に流入する。
【0016】
分岐管5の下流端(吸気ポート)には気筒別に燃料噴射弁7を備える。燃料噴射弁7はエンジンコントローラ11からの噴射信号により所定の時期に開かれて燃料を気筒別に噴射供給する。
【0017】
POSセンサ(ポジションセンサ)12、左右の各バンクに1つずつ設けられるPHASEセンサ(フェーズセンサ)13A、13Bからの信号、エアフローメータ14からの吸入空気流量の信号、水温センサ15からのエンジン冷却水温の信号等が、イグニッションスイッチからの信号と共に入力されるエンジンコントローラ11では、これらの信号に基づいて始動時であるか否かを判定し、始動時にはほぼ理論空燃比に近い空燃比となるなるように燃料噴射パルス幅を算出し、基本的には各気筒の排気行程でこの算出した燃料噴射パルス幅の期間だけ燃料噴射弁7を開くシーケンシャル噴射を実行する。
【0018】
各気筒の燃焼室6に流入した燃料は気化しつつ空気と混合して可燃混合気を作り、点火プラグ8により燃焼した後、排気管9へと排出される。排気管は下流で1つにまとめられ、その1つにまとめられた排気管に三元触媒10が設けられている。
【0019】
こうしたエンジンを前提として、本発明ではエンジンの始動時に圧力センサ16により検出される吸気絞り弁2下流の分岐管5内の圧力(この圧力を以下「吸入圧力」という。)が大気圧より低い所定値に低下するまで一部の気筒の燃料噴射弁7からの燃料噴射を休止し、当該一部の気筒を除く残りの気筒の燃料噴射弁7で燃料噴射を行う。また、吸入圧力が大気圧より低い所定値にまで低下した後には、当該一部の気筒の燃料噴射弁7からの燃料噴射の休止を解除し全気筒の燃料噴射弁7からの燃料噴射を行う。すなわち、本実施形態では燃料噴射弁7からの燃料噴射を始動時に休止させる一部の気筒と、休止させない残りの気筒とが存在し、始動時に燃料噴射弁7からの燃料噴射を休止させる一部の気筒は#2、#4、#6気筒の半数気筒である。なお、点火順序は#1−#2−#3−#4−#5−#6の順である。
【0020】
これについてさらに説明すると、図2〜図5は始動時シーケンシャル噴射をどのように行っているのかを経時的に示している。ここで、図2、図3は本発明に先立つ考え方を、これに対して図4、図5は本発明の考え方をそれぞれ示し、両者の考え方の違いがよく分かるように本発明のほうには燃料噴射を休止するところに×印を記載している。図3は図2の、図5は図4の一部拡大図である。
【0021】
まず、2つの考え方に共通するクランク角信号の取り扱いについて説明し、その後に本発明に先立つ考え方、本発明の考え方の順に説明する。
【0022】
図2〜図5において上段よりPOS信号、左バンクのPHASE信号、右バンクのPHASE信号を示す。なお、図4、図5においてはさらにその上にイグニッションスイッチ、スタータスイッチの各信号を示している。
【0023】
ここで、POSセンサ12用シグナルプレートには基本的にクランク角10°毎に歯を形成しているのであるが、各気筒の20°ATDCと30°ATDCの歯を欠いており、従ってクランクシャフト1回転(360°)で30個のPOS信号が生成される。なお、図において下向き矢印はパルス波形の立ち下がり点を基準にしていることを表す。
【0024】
左右各バンク1A、1BのPHASEセンサ13用シグナルプレートは、各バンク1A、1Bの吸気カムシャフトの後端に取り付けられ、そのシグナルプレート周囲に所定数の凹部が設けられている。PHASE信号はPOS信号に比べればまばらな信号であり、気筒判定を行わせる必要があるため所定のタイミングで生成されるようにしている。
【0025】
これらPOS信号と左右各バンクの2つのPHASE信号とが入力されるエンジンコントローラ11では、各気筒の110°BTDCを基準点として、その直前に読みとったPHASE信号数の組み合わせにより次の気筒を判別するようにロジックが組まれている。このため、図2〜図5に示すモデルでは、図3、図5に示したようにPOSセンサ12用シグナルプレートの歯欠けの位置によりt1(70°BTDC)で基準REF信号の判定が開始され、t2(20°BTDC)で初回気筒(図では#4気筒)が判別されている。また、t3(110°BTDC)で制御REF信号の判定が開始され、その後は各気筒の110°BTDC毎に気筒判別値CYLCNTが切換わってゆく。
【0026】
このようにして、基準REF信号の判定が開始されたタイミングであるt1、初回気筒が判別されたタイミングであるt2、制御REF信号がの判定が開始されたタイミングであるt3の3つの代表点が定まる。
【0027】
次に、本発明に先立つ考え方を説明すると、次のように始動時シーケンシャル噴射を実行する。
【0028】
(1)全ての気筒について初回の燃料噴射を終了するまで
なお、この(1)と後述する(2)でいう「初回」は初回の全気筒同時噴射を除いて数えている。以下同様である。
【0029】
(a)基準REF信号の判定が開始されたタイミング(t1);気筒判別が行われる前であるので、とりあえず全気筒同時に初回の燃料噴射を行う。これはともかく早く噴きたい要求満たすためである。
【0030】
(b)初回気筒が判別されたタイミング(t2);初回気筒(#4気筒)の判別が可能となることから、このとき吸気行程噴射を行うことができる気筒を探し、その気筒で吸気行程噴射を行い、吸気行程噴射を行った気筒の次の点火順序にある気筒からは排気行程噴射を行わせる。これは、燃焼するまでに燃料の霧化時間を稼げる排気行程噴射が原則であるところ、そうはいっても全気筒同時噴射の後の初めての燃料噴射は吸気行程で行い、早期の燃焼に結びつけるためである。すなわち、図2、図3に示したように#1気筒で吸気行程噴射を行い、残り#2〜#6気筒で排気行程噴射をシーケンシャルに行っている。
【0031】
また、全ての気筒について初回の燃料噴射を終了するまでは、噴射時期制御上、基準REF信号を基準とする噴き始め管理を行う。このとき#2気筒については初回気筒が判別されたタイミングで既に排気行程に入っているので、即座に排気行程噴射を行う必要がある。このため初回気筒が判別されたタイミングでは、吸気行程(#1気筒)及び排気行程(#2気筒)のグループ噴射が行われる。
【0032】
#3気筒〜#6気筒では、原則通り基準REF信号を基準とする噴き始め管理が行われることから、基準REF信号から所定の遅れクランク角VDINJ1#の後に燃料噴射が行われている。
【0033】
(2)各気筒の2回目以降の燃料噴射
各気筒毎に排気行程噴射をシーケンシャルに行う。
【0034】
ただし、各気筒の2回目以降の燃料噴射は噴き終わり管理である。すなわち、全ての気筒について初回の燃料噴射を終了したタイミングで噴き始め管理より噴き終わり管理に移行する。
【0035】
さて、本発明に先立つ考え方によれば、初回の全気筒同時噴射を除いて全気筒でシーケンシャル噴射を実行している。この場合に、始動に際してはクランキングによるポンピング作用により吸入圧力が大気圧より低い圧力へと変化してゆく。吸入圧力が大気圧より低い圧力へと変化する前に燃料噴射を行う場合には、特に冷間始動時において燃料噴射弁7から噴かれた燃料の気化が悪く、燃料噴霧が吸気弁傘裏部や吸気ポート壁に付着して壁流のまま流れる。こうした壁流は吸気中を漂って燃焼室6内に吸入される燃料よりも燃焼室6への流入が遅れるのであり、燃料噴射弁7から噴かれた燃料の全てを応答よく燃焼室6に供給できないため、その分が燃料供給量として不足し、燃焼が不安定となる。
【0036】
ここで、始動時に燃焼室6内で確実に燃焼させるためにはこの壁流分だけ多く燃料を噴射しなければならず、完爆後にはその壁流分が燃焼室6内に遅れて流れ込み、始動直後のエンジン回転速度の上昇後に未燃燃料であるHCの発生が多くなる。
【0037】
この場合、始動時にはコレクタ部4内の空気が大量に燃焼室6内に流れ込むため燃料供給の与え方によっては全開相当のトルクを発生させることも可能であるから、全気筒で燃料噴射を行わなくとも初爆から完爆へと誘導することが可能である。
【0038】
そこで本実施形態では、図4の下から第2段目に示したように、始動後に吸入圧力Boostが大気圧より低い所定値(図では「噴射許可Boost」)に低下するt6のタイミングまで、一部の気筒である#2、#4、#6気筒の燃料噴射弁7からの燃料噴射を休止し(×印参照)、残りの気筒である#1、#3、#5気筒の燃料噴射弁7で燃料噴射を行う。また、吸入圧力が大気圧より低い所定値にまで低下した後、つまりt6以降は前記一部の気筒である#2、#4、#6気筒の燃料噴射弁7からの燃料噴射の休止を解除し、#1〜#6気筒の全気筒の燃料噴射弁7からの燃料噴射を行う。すなわち、図4の下2段に始動からの吸入圧力とエンジン回転速度の各変化を示し、エンジン回転速度はt4のタイミングより上昇するものの、吸入圧力はその後も大気圧のままであり、t5を経過した当たりでやっと小さくなってゆき、t6で吸入圧力が所定値である「噴射許可Boost」に達している。従って、このt6のタイミングまでは#2気筒、#4気筒、#6気筒の初回の噴射と、#2気筒の2回目の噴射とが休止されている。
【0039】
ここで、いずれの気筒の燃料噴射弁7からの燃料噴射を休止するのか、また、燃料噴射を休止する気筒の数はどうするのかについては、図4、図5に示すモデルに限られるものでなく、様々な態様が考えられる。例えば、休止気筒数は1〜5の範囲で考えられ、始動時のHC排出量の低減のためには休止気筒数が多いほど有利であるが、その反面、気筒間で偏った燃料噴射が行われるとエンジン回転速度の上昇が不安定となる。従って、実際のエンジン回転速度の上昇の程度をみながら、どの気筒の燃料噴射を休止するのかを決定する。
【0040】
エンジンコントローラ11により行われるこの始動時制御の内容を図6のフローチャートを参照しながら詳述する。
【0041】
図6は始動時シーケンシャル噴射を行わせるためのもので、所定のクランク角毎に実行する。
【0042】
ステップ1ではPOS信号、2つのPHASE信号に基づいて初爆気筒の前のタイミングにあるか否かを判定する。初爆気筒の前のタイミングであるか否かをみるのは、全ての気筒で初回噴射を終了しているか否かをみるためである。初爆気筒か否かは基準REF信号よりよりわかっている。
【0043】
初爆気筒の前のタイミング、つまり全ての気筒で初回噴射を終了していないときにはステップ2に進み初回気筒判別時であるか否かをみる。初回気筒判別時であるときにはステップ3に進みその判別された初回気筒について吸気行程噴射を実行する。図4、図5のモデルでは初回気筒は#1気筒である。
【0044】
初回気筒判別時でない、つまり初回気筒判別後になるとステップ2よりステップ4に進み残りの気筒のうち燃料噴射休止気筒について基準REF信号を基準として排気行程噴射を実行する。図4、図5のモデルでは#2気筒、#4気筒、#6気筒の3つの気筒を燃料噴射休止気筒に指定しているので、燃料噴射休止気筒でない気筒は#3気筒と#5気筒の2つの気筒であり、#3気筒と#5気筒についてだけ基準REF信号を基準として排気行程噴射を実行する。
【0045】
これを上記本発明に先立つ考え方と比較すると、この考え方によれば図2、図3で前述したように初回気筒判別位置において#1気筒及び#2気筒で吸気行程および排気行程のグループ噴射となっていたのであるが、本実施形態では#2気筒が燃料噴射休止気筒であるため、#1気筒だけの吸気行程噴射となっている。
【0046】
一方、初爆気筒の前のタイミングでない、つまり全ての気筒で初回噴射を終了したときにはステップ1よりステップ5に進んで水温センサ15により検出されるエンジン水温Twとエンジン回転速度Neを読み込み、ステップ6でこれらから要求トルクを演算する。例えばエンジン水温Twから図7を内容とするテーブルを検索することにより基本要求トルクを求め、またエンジン回転速度Neから図8を内容とするテーブルを検索することにより要求トルク回転速度補正係数を求める。そして、要求トルク回転速度補正係数を基本要求トルクに乗算した値を要求トルクとして算出する。
【0047】
要求トルクはエンジンが安定して回転するのに必要なトルクのことで、図7に示したように基本要求トルクはエンジン水温Twが低くなるほど多くなる値である。また、図8のように要求トルク回転速度補正係数もエンジン回転速度Neが低くなるほど大きくなる値である。
【0048】
このようにして演算した要求トルクと発生トルクとをステップ7で比較する。始動時には発生トルクが要求トルクを上回るように燃料噴射量を定めている。従って、通常始動時であればステップ8以降に進むことになる。
【0049】
ここで、発生トルクはエンジンコントローラ11内で推定されている。この発生トルクの推定方法は公知であるので、簡単に説明すると、POS信号に基づいて特定のクランク角度における2つのPOS間周期(T1、T2)から角速度変化量Δωを次式により演算する。
【0050】
ただし、K;計測角度、
そして、この角速度変化量Δωから図9を内容とするテーブルを検索することにより発生トルクを求める。
【0051】
ステップ8では圧力センサ16により検出される吸入圧力Boostを読み込み、これと所定値P0とをステップ9で比較する。ここで、所定値P0は図4で示した「噴射許可Boost」つまり吸入圧力が大気圧より十分低くなり燃料噴射休止気筒(#2、#4、#6気筒)について燃料噴射を許可してもよい圧力である。吸入圧力Boostが所定値P0を超えているときには、吸入圧力が十分低くなっていないと判断しステップ4の操作を実行する。このため、図4、図5のモデルでは#2気筒について2回目の燃料噴射タイミングになっても燃料噴射が休止されている。
【0052】
やがて吸入圧力Boostが所定値P0以下になると、ステップ9よりステップ10に進み燃料噴射休止気筒(#2、#4、#6気筒)について燃料噴射を許可し、全気筒について排気行程噴射を実行する。
【0053】
また、初爆気筒の後のタイミングにおいて発生トルクが要求トルクを下回るときにはエンジンが不安定状態にあると判断し、即座にステップ7よりステップ10に進んで全気筒について排気行程噴射を実行する。
【0054】
ここで、本実施形態の作用を説明する。始動前には吸気絞り弁2下流のコレクタ部5に大気圧の空気が存在し始動時にこのコレクタ部5に存在する空気が各気筒の燃焼室6に大量に流れ込むことから、燃料噴射量の与え方によっては全開相当のトルクを発生させることすら可能である。このため、多気筒エンジンにおいては全気筒で燃料噴射を行わせなくとも初爆より完爆へと導くことができる。すなわち、本実施形態(請求項1に記載の発明)によればエンジンの始動時にポンピング作用により吸入圧力Boostが所定値P0に低下するまで一部の気筒(#2、#4、#6気筒)を除く残りの気筒(#1、#3、#5気筒)の燃料噴射弁7から燃料噴射を行うことで始動時に必要十分なトルクが得られるようにしてあり、かつエンジンの始動時に吸入圧力Boostが所定値P0に低下するまで当該一部の気筒(#2、#4、#6気筒)の燃料噴射弁7からの燃料噴射を休止することで全体としての燃料壁流分を従来より減らしており、これにより始動時に必要十分なトルクを得てエンジン回転速度の上昇の程度を、本発明に先立つ考え方の場合よりも急激にならないようにしつつ(図4最下段参照)、始動時のエンジン出口でのHC排出量を大幅に低減することができる。
【0055】
また、吸入圧力Boostが所定値P0に低下するまでの間、燃料噴射を休止している一部の気筒(#2、#4、#6気筒)が実質的に酸素供給気筒となり、上記従来装置と同様にHCの排気管9内での後燃えを促進することができる。
【0056】
実施形態では、多気筒エンジンとしてV型6気筒ガソリンエンジンで説明したが、これに限られるものでなく、例えば直列4気筒ガソリンエンジン、V型8気筒ガソリンエンジンなどにも適用できる。
【0057】
実施形態では発生トルクと要求トルクとの比較により吸入圧力Boostが所定値P0にまで低下したか否かを判定する場合で説明したが、エンジン回転速度Neが所定回転速度(つまり図4最下段においてt6のタイミングでのエンジン回転速度)に到達したとき吸入圧力Boostが所定値P0にまで低下したと判定するようにしてもかまわない(請求項5に記載の発明)。
【0058】
請求項1に記載の一部気筒燃料噴射休止手段の機能は図6のステップ2、4により果たされている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のV型6気筒ガソリンエンジンの概略構成図。
【図2】本発明に先立つ考え方による始動時シーケンシャル噴射の噴射パターンを示すモデル図。
【図3】図2の一部拡大図。
【図4】本発明による始動時シーケンシャル噴射の噴射パターンを示すモデル図。
【図5】図4の一部拡大図。
【図6】始動時シーケンシャル噴射を説明するためのフローチャート。
【図7】基本要求トルクの特性図。
【図8】要求トルク回転速度補正係数の特性図。
【図9】発生トルクの特性図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 吸気絞り弁
3 排気通路
5 分岐管(分岐吸気管)
7 燃料噴射弁
11 エンジンコントローラ
16 圧力センサ
Claims (5)
- 吸気絞り弁と、
この吸気絞り弁下流の吸気通路より分岐して各気筒への空気分配を行う分岐吸気管と、
この分岐吸気管に気筒別に設けられる燃料噴射弁と
を備え、各燃料噴射弁より気筒別に燃料噴射を行うようにした多気筒エンジンの燃料噴射制御装置において
エンジンの始動時にポンピング作用により前記吸気絞り弁下流の分岐吸気管圧力が大気圧より低い所定値に低下するまで一部の気筒の燃料噴射弁からの燃料噴射を休止し、残りの気筒の燃料噴射弁で燃料噴射を行う一部気筒燃料噴射休止手段
を備えることを特徴とする多気筒エンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記吸気絞り弁下流の分岐吸気管圧力が大気圧より低い所定値にまで低下したとき、前記一部の気筒の燃料噴射弁からの燃料噴射の休止を解除し、全気筒の燃料噴射弁からの燃料噴射を行うことを特徴とする請求項1に記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御装置。
- 要求トルクを演算する要求トルク演算手段と、エンジンの実際の発生トルクを推定する発生トルク推定手段とを備え、この発生トルクと前記要求トルクとの比較により前記吸気絞り弁下流の分岐吸気管圧力が大気圧より低い所定値にまで低下したか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御装置。
- 前記吸気絞り弁下流の分岐吸気管圧力が大気圧より低い所定値にまで低下する前に前記発生トルクが前記要求トルクを下回っているとき、前記一部の気筒の燃料噴射弁からの燃料噴射の休止を解除し全気筒の燃料噴射弁からの燃料噴射を行うことを特徴とする請求項3に記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御装置。
- エンジン回転速度が所定回転速度に到達したとき前記吸気絞り弁下流の分岐吸気管圧力が大気圧より低い所定値にまで低下したと判定することを特徴とする請求項2に記載の多気筒エンジンの燃料噴射制御装置。
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