JP4047842B2 - 窒化珪素ウイスカーの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、窒化珪素ウイスカーの製造方法に関するものである。
窒化珪素は、耐熱性、耐薬品性、弾性率、高温強度等の点で優れた特性を有している。この窒化珪素を針状の単結晶に成長させたものが窒化珪素ウイスカーであるが、この窒化珪素ウイスカーは、微細できわめて欠陥の少ない単結晶であり、その機械的強度は理論強度に近いことから、プラスチックス、金属、セラミックス等の複合材料の強化材として注目されている。
窒化珪素ウイスカーの製造方法としては、
(1)シリカと炭素の混合物を窒素ガス気流中で加熱処理し、原料の空隙にウイスカーを生成させる方法(特許文献1)。
(2)二酸化珪素に金属珪素または炭素などの還元剤を混合した粉粒体を不活性ガス中で加熱して一酸化珪素ガス、または、一酸化珪素ガスと一酸化炭素ガスの混合ガスを発生させ、これらガスを窒素を含む雰囲気に搬出し、窒素と反応させウイスカーを生成させる方法(特許文献2)。
(3)四塩化珪素とアンモニアを反応させて得られたシリコンジイミドを、水素ガスとアンモニアガス、及び/または、窒素ガス中において高温下で熱分解させウイスカーを生成させる方法(特許文献3)。
(4)ヘキサハロゲノジシランとアンモニアを高温で反応させウイスカーを生成させる方法(特許文献4)。
などが知られている。しかしながら、これらの方法は、高純度のウイスカーが得られない、複雑な装置を必要とする、水素ガス或いはアンモニアガスを用いるため取り扱いが面倒であるなど、工業的、経済的に不利であるという問題点を有している。
(1)シリカと炭素の混合物を窒素ガス気流中で加熱処理し、原料の空隙にウイスカーを生成させる方法(特許文献1)。
(2)二酸化珪素に金属珪素または炭素などの還元剤を混合した粉粒体を不活性ガス中で加熱して一酸化珪素ガス、または、一酸化珪素ガスと一酸化炭素ガスの混合ガスを発生させ、これらガスを窒素を含む雰囲気に搬出し、窒素と反応させウイスカーを生成させる方法(特許文献2)。
(3)四塩化珪素とアンモニアを反応させて得られたシリコンジイミドを、水素ガスとアンモニアガス、及び/または、窒素ガス中において高温下で熱分解させウイスカーを生成させる方法(特許文献3)。
(4)ヘキサハロゲノジシランとアンモニアを高温で反応させウイスカーを生成させる方法(特許文献4)。
などが知られている。しかしながら、これらの方法は、高純度のウイスカーが得られない、複雑な装置を必要とする、水素ガス或いはアンモニアガスを用いるため取り扱いが面倒であるなど、工業的、経済的に不利であるという問題点を有している。
また、有機珪素高分子化合物を前駆体とする窒化珪素ウイスカーの製造方法も種々提案されている。たとえば、有機珪素高分子化合物であるポリカルボシランの粉末又は紡糸体をアンモニアガス雰囲気で1300℃以上で焼成する方法が提案されている(特許文献5)。しかしながら、この方法ではアンモニアガスを用いるため取り扱いが面倒であるという欠点がある。さらには、珪素含有有機高分子(特に、ポリカルボシラスチレン共重合体、ポリシラスチレン及び/又はその架橋構造物)を、高温下で微量の酸素を含有する窒素気流中で分解し、該珪素含有有機高分子の表層部に窒化珪素ウイスカーを形成させる方法が提案されている(特許文献6)。しかし、この方法では、酸素の存在量を数〜数百ppm程度に調整する必要があり、酸素の存在量の調整に多大な労力がかかるという問題点がある。また、窒化珪素ウイスカーは原料素材表層部に形成されるため、原料素材の比表面積が大きい方が好ましいが、この方法では、実質的には比表面積が数十m2/kg程度と非常に小さく、効率良く窒化珪素ウイスカーを得ることができないという欠点がある。
特公昭60−37078号公報
特開昭56−100115号公報
特開昭60−195099号公報
特開平2−34598号公報
特開昭61−295298号公報
特開平2−192497号公報
本発明は、前述した従来方法の欠点を解消し、有機珪素高分子化合物を前駆体として、高純度の窒化珪素ウイスカーを、簡単な操作で、極めて容易に製造することができる、窒素珪素ウイスカーの新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意検討を重ねた。その結果、有機珪素高分子化合物及び固体炭素を含有する成形体を、窒素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、上記課題を解決でき、高純度の窒化珪素ウイスカーを製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び/または、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物と、固体炭素を含有する成形体を、窒素ガス雰囲気中で加熱処理することを特徴とする窒化珪素ウイスカーの製造方法が提供され、また、好ましくは、前記成形体が、主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び/または、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、及び、重合開始剤を含有する組成物を重合させて得られた重合体であることを特徴とする前記窒化珪素ウイスカーの製造方法が提供され、また、好ましくは、前記成形体が、多孔質体であることを特徴とする前記窒化珪素ウイスカーの製造方法が提供され、また、好ましくは、前記多孔質体が、主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び/または、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、乳化剤、重合開始剤、及び、水を混合、撹拌して得られるW/O型エマルジョンを重合させた後、水を蒸発させて得られるものであることを特徴とする前記窒化珪素ウイスカーの製造方法が提供され、また、好ましくは、前記多孔質体が、主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び/または、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物を溶媒に溶解した後、固体炭素と混合、及び/または、固体炭素に含浸し、次いで、溶媒を除去することにより得られるものであることを特徴とする前記窒化珪素ウイスカーの製造方法が提供され、また、好ましくは、前記重合性不飽和化合物の主成分がスチレン系化合物であることを特徴とする前記窒化珪素ウイスカーの製造方法が提供され、また、好ましくは、前記固体炭素が繊維状炭素であることを特徴とする前記窒化珪素ウイスカーの製造方法が提供され、また、好ましくは、前記加熱処理を1100〜1600℃の温度領域で行うことを特徴とする窒化珪素ウイスカーの製造方法が提供される。
本発明によれば、反応ガスとして取り扱いにくい水素ガス、或いは、アンモニアガスを用いなくても、有機珪素高分子化合物、固体炭素を含有する成形体を、取り扱いが容易な窒素ガス雰囲気中で加熱するという簡単な操作で、窒化珪素ウイスカーを製造できる。更に、本発明によれば、窒化珪素ウイスカーは、加熱処理時に形成される加熱処理物の表面、及び/或いは、内部に生成するため、窒化珪素ウイスカーの生成に必要な反応ガスを別の空間まで搬出させる等といった複雑な製造装置を必要としない。また、本発明によって得られる窒化珪素ウイスカーは品質的に非常に安定したものである。このように、本発明によれば、高品質な窒化珪素ウイスカーの低コストでの供給が可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明における、主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び/または、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物(以下、有機珪素高分子化合物と略す)は、近年セラミックスの前駆体として知られるようになった高分子化合物である(YAJIMA et al:Chemistry Letter,PP.931-943,1975)。主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物としては、ジメチルジクロロシランとフェニルメチルジクロロシランから合成されるポリシラスチレンに代表されるポリシラン等が挙げられる。また、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物としては、テトラメチルシランの熱分解、ポリ(ジメチルシラン)のオートクレーブ中での熱分解、ポリ(ジメチルシラン)の常圧下での熱分解、ドデカメチルシクロヘキサシランのオートクレーブ中、加圧下での熱分解などにより得られるポリカルボシラン等が挙げられる。
これらの有機珪素高分子化合物のうち、その数平均分子量が500〜50000のもの、より好ましくは、数平均分子量が1000〜30000のものを使用するのが望ましい。数平均分子量が500未満であると該有機珪素高分子化合物のうち、加熱処理中に分解ガスとなって揮発してしまう部分が多くなり、ウイスカーの収率が低下するため好ましくない。また、逆に数平均分子量が50000を超えると、後述するような有機結合材、或いは、有機溶媒に対する溶解度が低くなるため、有機珪素高分子化合物と固体炭素とを均一に混合させるのが困難となったり、あるいは、有機溶媒に溶解させたときの溶液粘度が高くなるため、固体炭素に含浸させるのが困難となり、その結果、均質なウイスカーが得られなくなり好ましくない。
また、本発明における固体炭素は特に限定されるものではなく、例えば繊維状炭素である炭素繊維、黒鉛繊維など、或いは、粉末状炭素であるカーボンブラック、活性炭、木炭粉、コークス粉、黒鉛粉末などを用いることができる。なかでも繊維状炭素を用いると、繊維同士の絡み合いにより、成形体を加熱処理する際の収縮をより少なくすることができ、窒化珪素ウイスカーが生長するために必要な空間が十分得られるため特に好ましい。その際、繊維状炭素は糸状のものをそのまま使用しても差し支えないが、組成物中に均一に混合させるためには、短くチョップしたチョップド・ファイバー、或いは、ミリングしたミルド・ファイバーを用いるのが好ましい。これらの固体炭素は単独で、或いは、適宜組み合わせて用いることができる。これらの固体炭素は、大気中で加熱処理することにより簡単に燃焼除去できるため、生成した窒化珪素ウイスカーとの分離が容易である。本発明のごとく、成形体が固体炭素を含有することによって、より高品質の窒化珪素ウイスカーが得られるようになる。その機構は現在のところ明確ではないが、有機珪素高分子化合物と固体炭素との共存効果により、発生した有機珪素高分子化合物の分解ガスが窒化珪素単結晶の成長に適しており、その結果、欠陥の少ない単結晶が得られるためではないかと考えられる。
本発明における成形体は、成形体中に有機珪素高分子化合物と固体炭素とを効率的に包含できていること、そして、少なくとも実質的にウイスカーが生成し始める温度領域において、該成形体が多孔質構造体となっていることが望まれる。このような成形体を得るために、例えば、以下のような有機結合材が用いられ、また、それぞれ併記するような手段により成形体を形成させる。
(1)重合性不飽和化合物
有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合開始剤等と混合して得られる組成物を重合させる。
(2)熱可塑性合成樹脂
加熱により溶融させ、有機珪素高分子化合物、固体炭素等と混合した後、冷却固化せしめる。
(3)デンプン
水に分散後、加熱糊化させ、次いで、有機珪素高分子化合物、固体炭素等と混合した後、冷却する。
(4)ゼラチン
水に分散後、加熱溶解させ、次いで、有機珪素高分子化合物、固体炭素等と混合した後、冷却する。
これらの手段のうちでも、(1)の重合性不飽和化合物を用いる手段がより均質な成形体が得られる点でより好ましく用いられる。また、これらの有機結合材は、加熱処理により分解除去されやすく、加熱処理過程において、成形体に連続気孔構造をもたらす。
(1)重合性不飽和化合物
有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合開始剤等と混合して得られる組成物を重合させる。
(2)熱可塑性合成樹脂
加熱により溶融させ、有機珪素高分子化合物、固体炭素等と混合した後、冷却固化せしめる。
(3)デンプン
水に分散後、加熱糊化させ、次いで、有機珪素高分子化合物、固体炭素等と混合した後、冷却する。
(4)ゼラチン
水に分散後、加熱溶解させ、次いで、有機珪素高分子化合物、固体炭素等と混合した後、冷却する。
これらの手段のうちでも、(1)の重合性不飽和化合物を用いる手段がより均質な成形体が得られる点でより好ましく用いられる。また、これらの有機結合材は、加熱処理により分解除去されやすく、加熱処理過程において、成形体に連続気孔構造をもたらす。
次に、有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、重合開始剤を含有する組成物を重合させて得られる重合体について説明する。本発明において用いられる重合性不飽和化合物は、有機珪素高分子化合物を溶解し、分子中に二重結合を有し、ラジカル重合又はレドックス重合しうるものであれば特に限定しない。このような重合性不飽和化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸類〔但し、ここにおいて、(メタ)アクリルはアクリルまたはメタクリルを表すものとする〕、ジアリルフタレート、不飽和ポリエステル類等が挙げられる。これらは単独で、或いは、適宜組み合わせて用いることができる。中でも、スチレン系化合物を主成分とした前記重合性不飽和化合物は、有機珪素高分子化合物の溶解性が高く、さらには、重合後の重合物としての炭化率が低く、加熱処理過程でそのほとんどがガスとなって揮散し、ウイスカーが成長するために必要な空間が十分形成されるため特に好ましい。このような重合性不飽和化合物は、該有機珪素高分子化合物100重量部に対し100〜2000重量部、特に300〜1300重量部用いることが望ましい。
一方、重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤、レドックス重合開始剤が特に制限なく使用できる。これらの例として、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーオキシオクトエート、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジ−ミリスチルパーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどの過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系ラジカル重合開始剤、或いは、これらのラジカル重合開始剤とアミン系化合物、有機金属化合物とのレドックス重合開始剤等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、重合性不飽和化合物100重量部に対して0.05〜5重量部が望ましい。
更に、組成物を調製する際、粘度調整剤として重合性不飽和化合物に溶解し得る有機高分子化合物を含有させておくと、重合中に、固体炭素が沈降しないため、重合体中に固体炭素が均一に分散した重合体を得ることができ、その結果、均質なウイスカーが得られ好ましい。本発明で粘度調製剤として用いることのできる有機高分子化合物は、前述した重合性不飽和化合物に溶解し得るものであれば特に限定はされないが、ポリスチレン、石油樹脂、クマロン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メタクリル樹脂等を用いることができる。これらは単独で、或いは、適宜組み合わせて用いることができる。また、これらの有機高分子化合物は、重合性不飽和化合物と同様に、重合性不飽和化合物の重合後は固体炭素と有機珪素高分子化合物との有機結合材として作用する。
重合体の製造方法としては、まず、上記したような、有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、重合開始剤、そして必要により粘度調整剤を用いて組成物を調製する。その手順については特に制限はないが、有機珪素高分子化合物、粘度調整剤はあらかじめ重合性不飽和化合物に溶解させておくことが好ましい。次いで、得られた組成物を重合硬化させる。重合温度、重合時間は、用いた重合性不飽和化合物、重合開始剤の種類によって適宜設定される。
また本発明では、成形体が多孔質体であることが好ましい。成形体を多孔質体とすることにより、後述する理由により良好なウイスカーが得られる。成形体を多孔質体とするためには、発泡剤を用いる方法、撹拌、或いは、バブリング等の方法によって気体を混入させる方法、また、可溶性物質を混合しておき、成形の後、該可溶性物質を溶解除去する方法など、従来から広く知られている方法を利用することができる。
またさらに、多孔質体として、有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、乳化剤、重合開始剤、及び、水を混合、撹拌して得られるW/O型エマルジョンを重合させた後、水を蒸発させて得られた多孔質体、あるいは、有機珪素高分子化合物を溶媒に溶解した後、固体炭素と混合、及び/または、固体炭素に含浸し、次いで、溶媒を除去することにより得られたものであることが特に好ましい。特に、前者の多孔質体においては、多孔質体内には、均一な大きさをした球形の気孔が多孔質体全体に分布するため、該多孔質体の比表面積は概して数百〜数千m2/kgと非常に大きく、多孔質体全体に効率よく均質なウイスカーが生成するのに適している。また、後者の多孔質体においても、気孔は連続気孔であるため、多孔質体全体に効率よくウイスカーが生成するのに適している。
まず、有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、乳化剤、重合開始剤、及び、水を混合撹拌して得られるW/O型エマルジョンを重合させた後、水を蒸発させることによって得られる多孔質体について説明する。用いられる重合性不飽和化合物は、前記した有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物を含有する組成物を調製する際に用いられるものを使用することができる。すなわち、重合体有機珪素高分子化合物を溶解し、分子中に二重結合を有し、ラジカル重合又はレドックス重合しうるものであれば特に限定しない。このような重合性不飽和化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸類〔但し、ここにおいて、(メタ)アクリルはアクリルまたはメタクリルを表すものとする〕、ジアリルフタレート、不飽和ポリエステル類等が挙げられる。これらは単独で、或いは、適宜組み合わせて用いることができる。中でも、スチレン系化合物を主成分とした前記重合性不飽和化合物は、有機珪素高分子化合物の溶解性が高いため特に好ましい。
また、乳化剤としては、従来からよく知られ、広く一般に用いられているW/O型エマルジョンを生成する作用を有するものが用いられる。このような乳化剤としてはH.L.B.が3.5〜6.0程度の界面活性剤があり、例えばソルビタンセスキオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタンの高級脂肪酸エステル、グリセロールステアレート、ポリグリセロールオレートなどの高級脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは適宜組み合わせて用いることもできる。このような乳化剤は、重合性不飽和化合物100重量部に対し10〜50重量部、特に20〜30重量部使用することが好ましい。
重合開始剤としては、前記した有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物を含有する組成物の重合の際に用いられるものを使用することができる。即ち通常のラジカル重合開始剤、レドックス重合開始剤が特に制限なく使用できるが、W/O型エマルジョンの著しい相分離、水分の蒸発を避けるため100℃以下で作用するラジカル重合開始剤、レドックス重合開始剤を用いるのが好ましい。これらの例として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーオキシオクトエート、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジ−ミリスチルパーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどの過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系ラジカル重合開始剤、或いは、これらのラジカル重合開始剤とアミン系化合物、有機金属化合物からなるレドックス重合開始剤等が挙げられる。重合開始剤の添加量も、前記同様に、重合性不飽和化合物100重量部に対して0.05〜5重量部が好ましい。
次いで、上記したような、重合性不飽和化合物、乳化剤、重合開始剤と有機珪素高分子化合物、固体炭素、水を用いて多孔質体を製造する。その手順について説明する。まず、有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、乳化剤、重合開始剤、及び、水を混合、撹拌してW/O型エマルジョンを生成させる。この際、各原材料の添加順序については特に制限はないが、有機珪素高分子化合物はあらかじめ重合性不飽和化合物に溶解させておくことが好ましい。混合、攪拌には、かい十字型、プロペラ型、タービン型等の攪拌羽根を備えた攪拌機、ボールミル、コロイドミルなどの混合機、ニーダー、スクリュー押出機等の混練機を使用することができる。水の添加量は、得られる多孔質体の気孔率と極めて関係が深く、水の添加量が大きくなると気孔率は大きくなり、逆に添加量が小さくなると気孔率は小さくなる。
次いで、得られたW/O型エマルジョンを重合硬化させる。重合温度、重合時間は、W/O型エマルジョンの著しい相分離、水の蒸発を避けるため100℃以下で1〜48時間とするのが好ましい。このようにして得られた重合物を熱風乾燥、内部加熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の方法で乾燥して重合物中に分散した水を蒸発させることにより、有機珪素高分子化合物と固体炭素を含有する多孔質体が得られる。
次に、有機珪素高分子化合物を溶媒に溶解した後、固体炭素と混合、及び/または、固体炭素に含浸し、次いで、溶媒を除去することにより得られる多孔質体について説明する。有機珪素高分子化合物を溶解させうる溶媒としては、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等の脂肪族系ハロゲン化炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ヘキサン等の脂肪族系炭化水素溶媒等が挙げられる。このような溶媒を用いて、固体炭素に溶液状態で有機珪素高分子化合物を混合、及び/または、含浸した後、溶媒を揮発することにより、成形体は固体炭素を核、或いは、骨格とし、その間に有機珪素高分子化合物が固定された連続気孔を有する多孔質構造体とすることができる。またこの際、有機珪素高分子化合物は固体炭素同士の結合材としても作用する。
多孔質体の気孔率は特に限定するものではないが、多孔質体の気孔率は、35〜80%が好ましく、更には、40〜70%がより好ましい。気孔率が35〜80%であると、ウイスカーが生長するのに必要な空間が十分得られると同時に、多孔質体自身の十分な強度が得られるため、取り扱い時につぶれることがなく好ましい。
また、窒化珪素ウイスカーの生成を促進させる目的で、以上述べた成形体に、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、タングステン、アルミニウム、及びこれらの金属の酸化物、塩化物、硝酸塩、炭酸塩等の化合物を含有させてもよい。これらの金属及びこれらの金属の化合物が触媒の作用をし、窒化珪素ウイスカーの生成が促進される。
以上のようにして得られた成形体を、窒素ガス雰囲気中で加熱処理すると窒化珪素ウイスカーが生成する。
次に、加熱処理方法について詳細に説明する。
本発明の窒化珪素ウイスカーの製造において、窒素ガス雰囲気中での加熱処理温度は、1100〜1600℃、更には1300〜1500℃が好ましい。1100〜1600℃での加熱処理により、均質で良好な窒化珪素ウイスカーが得られる。なお、窒素ガスは、成形体を入れた炉内に単に充填しておいてもよいし、また、炉内を所望の流速で流すようにしてもよいが、炉内を所望の流速で流すようにした方が有機珪素高分子化合物の分解ガスと窒素ガスとの反応が効率よく行われるため好ましい。
本発明の窒化珪素ウイスカーの製造において、窒素ガス雰囲気中での加熱処理温度は、1100〜1600℃、更には1300〜1500℃が好ましい。1100〜1600℃での加熱処理により、均質で良好な窒化珪素ウイスカーが得られる。なお、窒素ガスは、成形体を入れた炉内に単に充填しておいてもよいし、また、炉内を所望の流速で流すようにしてもよいが、炉内を所望の流速で流すようにした方が有機珪素高分子化合物の分解ガスと窒素ガスとの反応が効率よく行われるため好ましい。
なお、成形体の加熱処理に先立ち、成形体中に含まれる有機結合材を分解除去するための予備加熱を行ってもよい。該予備加熱工程において用いられるガスとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素などの不活性ガスが単独で、或いは、混合ガスの状態で用いられる。予備加熱を行う温度は、有機結合材、有機珪素高分子化合物の種類によって異なるが、一般的には、500〜900℃の範囲、特に500〜600℃の範囲で行うことが好ましい。またその際、有機結合材の分解ガスにより成形体に膨れやクラックが生じないように昇温速度を調整することが望ましい。
[作用]
本発明において調製される成形体が、有機結合材あるいは粘度調整剤等の有機成分を含有する場合、該成形体を、窒素ガス雰囲気中で加熱処理すると、これらの有機成分は徐々に分解し始め、600℃までにそのほとんどがガスとなって分解除去される。その際、成形体が多孔質体であると有機結合材の分解ガスは多孔質体の気孔を通じて効率よく排出されるため、有機結合材の除去が容易である。またこの時点において、有機珪素高分子化合物も同様に側鎖の水素やメチル基がガスとなって分解し始めるものの、600℃付近ではまだその分解は激しくない。一方、成形体に含まれる固体炭素はほとんど分解作用を受けず、成形体は、固体炭素を核、或いは、骨格とし、その固体炭素間に有機珪素高分子化合物が固定された連続気孔を有する多孔質構造体となる。また、有機珪素高分子化合物を溶媒に溶解した後、固体炭素と混合、及び/または、固体炭素に含浸し、次いで、溶媒を除去することにより得られた成形体においては、既に成形体に形成されている多孔質構造が保たれたまま、加熱処理される。
本発明において調製される成形体が、有機結合材あるいは粘度調整剤等の有機成分を含有する場合、該成形体を、窒素ガス雰囲気中で加熱処理すると、これらの有機成分は徐々に分解し始め、600℃までにそのほとんどがガスとなって分解除去される。その際、成形体が多孔質体であると有機結合材の分解ガスは多孔質体の気孔を通じて効率よく排出されるため、有機結合材の除去が容易である。またこの時点において、有機珪素高分子化合物も同様に側鎖の水素やメチル基がガスとなって分解し始めるものの、600℃付近ではまだその分解は激しくない。一方、成形体に含まれる固体炭素はほとんど分解作用を受けず、成形体は、固体炭素を核、或いは、骨格とし、その固体炭素間に有機珪素高分子化合物が固定された連続気孔を有する多孔質構造体となる。また、有機珪素高分子化合物を溶媒に溶解した後、固体炭素と混合、及び/または、固体炭素に含浸し、次いで、溶媒を除去することにより得られた成形体においては、既に成形体に形成されている多孔質構造が保たれたまま、加熱処理される。
このようにして多孔質構造となった成形体(以下、加熱処理物と呼ぶ)を、引き続き窒素ガス雰囲気中で加熱処理すると、固体炭素との共存効果により発生した有機珪素高分子化合物の分解ガスは、その加熱処理物内の気孔内で窒素ガスと反応して窒化珪素ウイスカーとして析出する。その際、加熱処理物は連続気孔構造を有するため、有機珪素高分子化合物の分解ガスは局所的にとどまることがなく加熱処理物全体に拡散するとともに、該気孔を通して加熱処理物内に連続的に窒素ガスが供給されるため、有機珪素高分子化合物の分解ガスと窒素ガスとの反応が連続的に効率よく行われ、加熱処理物内全体に均質な窒化珪素ウイスカーが得られる。更に、有機珪素高分子化合物の分解ガスは気孔を通して加熱処理物の表面にも流出するため、加熱処理物の表面にも窒化珪素ウイスカーが析出し更に生長する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
なお、有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、乳化剤、粘度調整剤、重合開始剤として以下のものを用いた。
・有機珪素高分子化合物
ポリカルボシラン(数平均分子量 約2500、日本カーボン株式会社製)
ポリシラスチレン(数平均分子量 約2000、和光純薬工業株式会社製
・固体炭素
ミルド炭素繊維(ピッチ系、日本板硝子株式会社製)
チョップド炭素繊維(ピッチ系、株式会社ドナック製)
フェルト炭素繊維(ピッチ系、株式会社ドナック製)
・重合性不飽和化合物
スチレン
トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)
・乳化剤
ソルビタンセスキオレート
・粘度調整剤
ポリスチレン(石津製薬株式会社製)
石油樹脂(C5系石油樹脂、ハイレッツT−100X、三井石油化学工業株式会社製)
・重合開始剤
過酸化ベンゾイル(BPO)
過硫酸アンモニウム(APS)
なお、有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、乳化剤、粘度調整剤、重合開始剤として以下のものを用いた。
・有機珪素高分子化合物
ポリカルボシラン(数平均分子量 約2500、日本カーボン株式会社製)
ポリシラスチレン(数平均分子量 約2000、和光純薬工業株式会社製
・固体炭素
ミルド炭素繊維(ピッチ系、日本板硝子株式会社製)
チョップド炭素繊維(ピッチ系、株式会社ドナック製)
フェルト炭素繊維(ピッチ系、株式会社ドナック製)
・重合性不飽和化合物
スチレン
トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)
・乳化剤
ソルビタンセスキオレート
・粘度調整剤
ポリスチレン(石津製薬株式会社製)
石油樹脂(C5系石油樹脂、ハイレッツT−100X、三井石油化学工業株式会社製)
・重合開始剤
過酸化ベンゾイル(BPO)
過硫酸アンモニウム(APS)
窒化珪素ウイスカーの製造
(1)有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、重合開始剤を含有する組成物を重合して得られた成形体からの製造
(1)有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、重合開始剤を含有する組成物を重合して得られた成形体からの製造
ポリカルボシラン及びポリスチレンのスチレン溶液(ポリカルボシラン:100重量部、ポリスチレン:400重量部、スチレン:900重量部)1400重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)100重量部、ミルド炭素繊維500重量部、過酸化ベンゾイル(BPO)10重量部をポリエチレン製の容器に入れ、プロペラ型攪拌羽根で攪拌し組成物を得た。得られた組成物を型枠に移し込み、60℃で24時間重合硬化した後脱型し、成形体を得た。次いで、得られた成形体を雰囲気炉に挿入し、1350℃で窒素ガスを毎分1リットルの流量で流しながら5時間加熱処理を行なった。得られた加熱処理物を走査型電子顕微鏡により観察したところ、内部及び表面にウイスカー状のものが生成していた。次いで、大気中で650℃で4時間加熱処理して残留する炭素成分を燃焼除去した。得られた灰白色の生成物を走査型電子顕微鏡により観察したところ、表1に示すように、長さが10〜30μm、直径が0.3〜0.9μmのウイスカーであることが確認された。更に、このウイスカーのX線回折分析を行なったところ、図1に示すような回折線が得られ、α−Si3N4であることが確認された。
表1に示す組成からなる組成物を実施例1と同様にして重合硬化、成形し、成形体を作製した。次いで、実施例1と同様にして成形体を加熱処理して、灰白色の生成物を得た。得られた生成物を走査電子顕微鏡により観察したところ、表1に示すように、長さが10〜40μm、直径が0.5〜1.5μmのウイスカーであることが確認された。更に、このウイスカーのX線回折分析を行なったところ、図1に示したと同様な回折線が得られ、α−Si3N4であることが確認された。
表1に示す組成からなる組成物を実施例1と同様にして重合硬化、成形し、成形体を作製した。次いで、加熱処理温度を1450℃に変える以外は実施例1と同様にして成形体を加熱処理して、灰白色の生成物を得た。得られた生成物を走査電子顕微鏡により観察したところ、表1に示すように、長さが30〜50μm、直径が0.8〜2.0μmのウイスカーであることが確認された。更に、このウイスカーのX線回折分析を行なったところ、図1に示したと同様な回折線が得られ、α−Si3N4であることが確認された。
(2)有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、乳化剤、重合開始剤、及び、水を混合、撹拌して得られるW/O型エマルジョンを重合させた後、水を蒸発させて得られた多孔質体からの製造。
ポリカルボシランのスチレン溶液(ポリカルボシラン:100重量部、スチレン:270重量部)370重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)30重量部、ソルビタンセスキオレート(SSO)75重量部、ミルド炭素繊維470重量部をポリエチレン製の容器に入れ、プロペラ型攪拌羽根で攪拌し分散混合物を得た。次いで、これに、過硫酸アンモニウム(APS)3重量部を溶かした水970重量部を徐々に加えながら、更に激しく攪拌したところ安定なW/O型エマルジョンが得られた。得られたW/O型エマルジョンを型枠に流し込み、60℃で24時間重合硬化した後脱型し、60℃で乾燥してポリカルボシランと固体炭素を含む多孔質体を得た。次いで、得られた多孔質体を雰囲気炉に挿入し、1400℃で窒素ガスを毎分1リットルの流量で流しながら5時間加熱処理を行なった。得られた加熱処理物を走査型電子顕微鏡により観察したところ、内部及び表面にウイスカー状のものが生成していた。次いで、大気中で650℃で4時間加熱処理して残留する炭素成分を燃焼除去した。得られた灰白色の生成物を走査電子顕微鏡により観察したところ、表2に示すように長さが10〜20μm、直径が0.3〜0.6μmのウイスカーであることが確認された。更に、このウイスカーのX線回折を行なったところ、図2に示すような回折線が得られ、α−Si3N4であることが確認された。
表2に示す組成からなる分散混合物を実施例4と同様にして重合硬化、成形して多孔質体を作製した。次いで、加熱処理温度を1300℃に変える以外は実施例4と同様にして多孔質体を加熱処理して、灰白色の生成物を得た。得られた生成物を走査電子顕微鏡により観察した結果、表2に示すように、長さが10〜40μm、直径が0.3〜0.9μmのウイスカーであることが確認された。更に、このウイスカーのX線回折を行なったところ、図2に示したと同様な回折線が得られ、α−Si3N4であることが確認された。
表2に示す組成からなる分散混合物を実施例4と同様にして重合硬化、成形して多孔質体を作製した。次いで、加熱処理温度を1500℃に変える以外は実施例4と同様にして多孔質体を加熱処理して、灰白色の生成物を得た。得られた生成物を走査電子顕微鏡により観察した結果、表2に示すように、長さが20〜40μm、直径が0.3〜0.8μmのウイスカーであることが確認された。更に、このウイスカーのX線回折を行なったところ、図2に示したと同様な回折線が得られ、α−Si3N4であることが確認された。
[比較例1]
ミルド炭素繊維を使用しない以外は実施例4と全く同様にして多孔質体を得た。次いで、得られた多孔質体に対して実施例4と同様にして1400℃で窒素ガスを毎分1リットルの流量で流しながら5時間加熱処理を行なった。得られた加熱処理物を走査電子顕微鏡により観察したところ、内部には全くウイスカーは認められず、表面に極僅か毛玉状のウイスカーが生成しているだけであった。
ミルド炭素繊維を使用しない以外は実施例4と全く同様にして多孔質体を得た。次いで、得られた多孔質体に対して実施例4と同様にして1400℃で窒素ガスを毎分1リットルの流量で流しながら5時間加熱処理を行なった。得られた加熱処理物を走査電子顕微鏡により観察したところ、内部には全くウイスカーは認められず、表面に極僅か毛玉状のウイスカーが生成しているだけであった。
[比較例2]
ポリカルボシランのみを粉末のままで、実施例4と同様にして1400℃で窒素ガスを毎分1リットルの流量で流しながら5時間加熱処理を行なった。得られた生成物を走査電子顕微鏡により観察したがウイスカーの生成は全く認められなかった。
ポリカルボシランのみを粉末のままで、実施例4と同様にして1400℃で窒素ガスを毎分1リットルの流量で流しながら5時間加熱処理を行なった。得られた生成物を走査電子顕微鏡により観察したがウイスカーの生成は全く認められなかった。
(3)有機珪素高分子化合物を溶媒に溶解した後、固体炭素と混合、及び/または、固体炭素に含浸し、次いで、溶媒を除去することにより得られた多孔質体からの製造。
ポリシラスチレン100重量部とクロロホルム1000重量部をポリエチレン製の容器に入れ、プロペラ型攪拌羽根で攪拌し、ポリシラスチレンを完全に溶解した。次いで、これにミルド炭素繊維500重量部を加えた後、激しく攪拌して混合物を得た。得られた混合物を60℃で24時間乾燥してクロロホルムを完全に揮散させた。得られた組成物は多孔質状の固形でありハンドリングが容易であった。次いで、得られた多孔質体を雰囲気炉に挿入し、1350℃で窒素ガスを毎分1リットルの流量で流しながら5時間加熱処理を行なった。得られた加熱処理物を走査型電子顕微鏡により観察したところ、内部及び表面にウイスカー状のものが生成していた。次いで、大気中で650℃で4時間加熱処理して残留する炭素成分を燃焼除去した。得られた灰白色の生成物を走査型電子顕微鏡により観察したところ、表3に示すように長さが25〜40μm、直径が0.5〜1.5μmのウイスカー状であることが確認された。更に、このウイスカー状の生成物のX線回折を行なったところ、図3に示すような回折線が得られ、α−Si3N4であることが確認された。
表3に示す組成の混合物から実施例7と同様にして多孔質体を作製した。次いで、加熱処理温度を1450℃に変える以外は実施例7と同様にして組成物を加熱処理して、灰白色の生成物を得た。得られた生成物を走査電子顕微鏡により観察したところ、表3に示すように、長さが15〜25μm、直径が0.5〜1.0μmのウイスカーであることが確認された。更に、このウイスカーのX線回折を行なったところ、図3に示したと同様な回折線が得られ、α−Si3N4、であることが確認された。
表3に示す組成の混合物から実施例7と同様にして多孔質体を作製した。次いで、加熱処理温度を1350℃に変える以外は実施例7と同様にして組成物を加熱処理して、灰白色の生成物を得た。得られた生成物を走査電子顕微鏡により観察したところ、表3に示すように、長さが10〜20μm、直径が0.5〜1.0μmのウイスカーであることが確認された。更に、このウイスカーのX線回折を行なったところ、図3に示したと同様な回折線が得られ、α−Si3N4であることが確認された。
Claims (8)
- 主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び/または、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び、固体炭素を含有する多孔質体である成形体を、窒素ガス雰囲気中で加熱処理して窒化珪素ウイスカーを析出し生長させることを特徴とする窒化珪素ウイスカーの製造方法。
- 前記成形体が、主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び/または、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、及び、重合開始剤を含有する組成物を重合させて得られた重合体であることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素ウイスカーの製造方法。
- 前記成形体が、気孔率は、35〜80%の多孔質体であることを特徴とする請求項1又2に記載の窒化珪素ウイスカーの製造方法。
- 前記多孔質体が、主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び/または、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、固体炭素、重合性不飽和化合物、乳化剤、重合開始剤、及び、水を混合、撹拌して得られるW/O型エマルジョンを重合させた後、水を蒸発させて得られるものであることを特徴とする請求項3に記載の窒化珪素ウイスカーの製造方法。
- 前記多孔質体が、主鎖が珪素原子のみからなる有機珪素高分子化合物、及び/または、主鎖が珪素原子と炭素原子のみからなる有機珪素高分子化合物を溶媒に溶解した後、固体炭素と混合、及び/または、固体炭素に含浸し、次いで、溶媒を除去することにより得られるものであることを特徴とする請求項2に記載の窒化珪素ウイスカーの製造方法。
- 前記重合性不飽和化合物の主成分がスチレン系化合物であることを特徴とする請求項2又は4のいずれかに記載の窒化珪素ウイスカーの製造方法。
- 固体炭素が、繊維状炭素であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の窒化珪素ウイスカーの製造方法。
- 加熱処理を1100〜1600℃の温度領域で行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の窒化珪素ウイスカーの製造方法。
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