JP4047507B2 - 画像読み取り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、原稿の画像を読み取るのに用いられる画像読み取り装置に関する。なお、本明細書でいう原稿とは、画像読み取り対象物の意であり、シート状のものに限定されない。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像読み取り装置の一例としては、本願出願人が提案した特開平11−215301号公報に記載のものがある。この画像読み取り装置は、本願の図6に示すように、透明板90を上面部に装着しているケース91を白色の合成樹脂製とすることにより、このケース91内に設けられている照明用光路92の壁面92a〜92cを白色としたものである。照明用光路92の底部には、たとえばLEDからなる複数の光源93が主走査方向(紙面と直交する方向)に適当な間隔で列状に並べられている。透明板90の下方には、複数のレンズ94aを有するレンズアレイ94や複数の受光素子95が設けられている。複数の受光素子95は、黒色のカバー体97によって囲まれている。
【0003】
このような構成によれば、各光源93から発せられた光を白色の壁面92a〜92cによって高い反射率で反射させながら透明板90に向けて進行させることができる。透明板90の表面部分のうち、レンズアレイ94の正面(直上)部分が、ライン状の読み取り領域Seである。透明板90上に原稿(図示略)が載置されると、この原稿によって反射された光は、レンズアレイ94によって集束され、各受光素子95上には原稿の画像が結像する。すると、各受光素子95からはその受光量に対応した出力レベルの画像信号が出力される。各受光素子95は、光吸収率の高いカバー体97によって囲まれているために、各受光素子95の周囲において光が散乱反射しないようにすることができ、散乱光が各受光素子95によって受光されることも適切に防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した画像読み取り装置においては、レンズアレイ94をケース91内に組み込むための手段として、ケース91に設けた凹部96にレンズアレイ94を嵌め込む手段が採用されている。ただし、このような嵌め込み手段だけでは、レンズアレイ94が凹部96から抜け出る虞れがある。また、凹部96からレンズアレイ94が抜け出ない場合であっても、たとえばレンズアレイ94が温度変化などに起因して上方に反るように変形する虞れもある。このため、たとえば図7に示すように、ケース91には、レンズアレイ94の上方に位置する係合用凸部97を一体形成し、この係合用凸部97によってレンズアレイ94が上方へ移動または変形することを阻止することが望まれる。
【0005】
しかしながら、このようなケース91を樹脂成形する場合には、係合用凸部97の下方にこの係合用凸部97の下向き面97aを規定するための金型(図示略)を配置させる必要が生じる。したがって、この金型の存在により、凹部96は係合用凸部97の下方において底面を有しないものとなる。より具体的には、図6に示す構造においては、凹部96の下部に上向きの底面96aを形成することができるものの、図7に示すように、係合用凸部97を形成する場合には、その下方に底面96aを形成することが困難となる。このため、従来では、照明用光路92からレンズアレイ94と凹部96の側壁96bとの隙間内に進入した光が、係合用凸部97の下方において各受光素子95に向けて漏れ易くなる。ところが、このような現象を生じたのでは、上記光が各受光素子95によってノイズとして受光されることとなり、読み取り画像の質低下を招く。
【0006】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、レンズアレイをケースに固定させる場合に、ノイズとなる余分な光が受光素子によって受光されないようにし、読み取り画像の質を高めることができるようにすることをその課題としている。
【0007】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本願発明によって提供される画像読み取り装置は、光源から発せられた光をライン状の読み取り領域に向けて進行させるための照明用光路および上記読み取り領域に対向して開口するレンズアレイ保持用有底凹部を形成しているケースと、上記凹部に上方から嵌め込まれているレンズアレイと、このレンズアレイの上記読み取り領域寄りの上部にその長手方向について部分的に係合するように上記ケースに設けられた1以上の係合用凸部と、上記読み取り領域から進行してくる光を上記レンズアレイないし上記凹部の底部に設けたスリットを介して受光し、かつその受光量に対応した出力レベルの画像信号を出力する複数の受光素子と、これら複数の受光素子を囲むカバー体と、を備えている、画像読み取り装置であって、上記レンズアレイの下部は、上記係合用凸部の下方の箇所においては上記カバー体に設けた突起に接触させられ、それ以外の箇所においては上記凹部の底部に支持されていることを特徴としている。
【0009】
本願発明でいう「係合用凸部の下方」とは、レンズアレイの光軸方向両端部のうち、読み取り領域寄りの一端部を上部とし、かつその他端部を下部とするように、本願発明に係る画像読み取り装置を一定の姿勢に設定した場合における係合用凸部の下方を意味している。もちろん、本願発明に係る画像読み取り装置を実際に使用するときの姿勢は、上記した姿勢に限定されるものではない。
【0010】
本願発明に係る画像読み取り装置においては、上記ケースの凹部の側壁と上記レンズアレイとの間に光が進入し、上記係合用凸部の下方に向けてこの光が進行しても、上記カバー体に設けた突起と上記レンズアレイの下部とがその部分において接触していることにより、上記光がそれ以上進行しないようにすることができる。したがって、従来とは異なり、上記係合用凸部の下方において上記各受光素子に向けての不当な光の漏れが生じないようにすることができ、ノイズとなる余分な光が上記各受光素子によって受光されないようにすることができる。その結果、上記係合用凸部による上記レンズアレイの適正な位置決め固定を図りつつ、読み取り画像の質を高めることが可能となる。
【0011】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記カバー体は、黒または黒に近い暗色である。このような構成によれば、上記カバー体は、受けた光を高い吸収率で吸収することとなり、余分な光が上記各受光素子に向けて進行することをより確実に防止することが可能となる。
【0012】
本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイは、一定方向に延びるブロック状のホルダ内に複数のレンズが列状に並べられて保持されたものであり、かつ上記カバー体には、上記ホルダの側面に接触させるための第1の面と上記ホルダの下面に接触させるための第2の面とが繋がって形成されている。このような構成によれば、上記カバー体の第1の面を上記ホルダの側面に接触させていることによって、上記凹部の側壁と上記レンズアレイとの間を通過してきた光を遮ることができる。また、仮に上記第1の面と上記ホルダの側面との接触が不十分であって、それらの間を光が進行しても、この光はその後上記カバー体の第2の面に到達することとなり、この第2の面によって確実に遮断されることとなる。したがって、上記カバー体による光の遮断を確実なものにすることが可能となる。
【0013】
本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記ケースには、上記凹部に繋がり、かつ上記レンズアレイを固定するための接着剤が充填された穴部が下方に開放するようにして設けられているとともに、上記レンズアレイの下部における上記穴部と反対側の箇所は、その長手方向について上記穴部に対応する箇所においても上記カバー体に設けた突起に接触させられている。このような構成によれば、上記接着剤の接着作用により、上記レンズアレイの固定がより確実化される。また、上記接着剤が充填された穴部に長手方向について対応する箇所においても上記レンズアレイと上記凹部の側壁との間を光が不当に通過して上記各受光素子に向けて進行することを、上記レンズアレイの下部と上記カバー体に設けた突起との接触により適切に阻止することが可能となる。さらに、上記接着剤が充填された穴部は、上記照明用光路に向けて開口していないために、照明用光路の壁面の光の反射具合を各所均一に揃えることが可能となる。すなわち、上記穴部が上記照明用光路に向けて開口していたのでは、この開口部分とこれ以外の部分との光の反射具合が相違することとなり、たとえば上記読み取り領域の長手方向のうち、上記穴部に近い部分の照度が他の部分の照度よりも低くなるような虞れがある。これに対し、上記構成によればそのような虞れがなく、上記読み取り領域の長手方向各所の照度の均一化を図り、読み取り画像の質をより高めることが可能となる。
【0014】
本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0016】
図1は、本願発明に係る画像読み取り装置の一例を示す断面図である。図2は、その分解斜視図である。図3および図4は、図1に示す画像読み取り装置の他の部分の構造を示す断面図である。
【0017】
図1および図2によく表れているように、本実施形態の画像読み取り装置Aは、ケース1、透明板2、レンズアレイ3、カバー体4、基板5、光源としての複数のLEDチップ6、複数の受光素子7および一対のアタッチメント8を具備して構成されている。
【0018】
ケース1は、たとえばポリカーボネートに酸化チタンを含有させた白色の合成樹脂製であり、各所の表面は全て光反射率の高い白色面となっている。このケース1の全体形状は一定方向に延びる略直方体状である。ただし、このケース1には、後述するように、照明用光路14、凹部10および穴部17などが設けられている。
【0019】
透明板2は、たとえば長矩形の平板状であり、ガラス製または合成樹脂製である。この透明板2は、ケース1の上面部に装着されている。この透明板2の裏面2bには、白色の光反射面20がこの透明板2の長手方向に延びる帯状に設けられている。光反射面20は、透明板2の裏面2bの光の透過が可能な領域を一定の幅Lに狭めることにより、透明板2に向けて進行してきた光の多くが読み取り領域S以外の領域に向けて無駄に漏れ出ることを防止するのに役立つ。この光反射面20は、たとえば透明板2に白色塗装を施すことにより、あるいはテープ状またはフィルム状の白色部材を接着することにより設けられている。原稿Dは、透明板2の表面2a上に供給され、プラテンローラPの回転により表面2aに接触するようにして副走査方向(図1の左右方向)に搬送される。ただし、この画像読み取り装置Aをハンディスキャナとして用いる場合には、画像読み取り装置Aの全体が使用者により把持されて上下反転された姿勢にされるなどして、透明板2の表面2aが所望の原稿に対向配置される。
【0020】
レンズアレイ3は、合成樹脂製の一定方向に延びる細長なブロック状のホルダ30に、複数のレンズ31を列状に配列させて保持させたものであり、各レンズ31としては、たとえば原稿画像を正立等倍に結像可能なセルフォックレンズが用いられている。ただし、これ以外のレンズ、たとえば凸レンズあるいは複数の凸レンズを組み合わせたレンズを用いることもできる。このレンズアレイ3は、ケース1に設けられた凹部10に嵌め込まれていることにより、透明板2の裏面2bに対向するようにしてケース1に組み付けられている。透明板2の表面2aおよびこの表面2aに対面する空間領域のうち、各レンズ31の正面(直上)の領域が、ライン状の読み取り領域Sである。
【0021】
ケース1には、凹部10の上部開口縁に繋がった壁面15cが形成されており、この壁面15cには、図3によく表れているように、レンズアレイ3の固定を図るための複数の係合用凸部18が設けられている。各係合用凸部18は、凹部10にその上方からレンズアレイ3を嵌め込むことを許容する一方、レンズアレイ3を凹部10に嵌め込んだ後にはレンズアレイ3のホルダ30の上端に係合してその上昇を阻止できるように、凹部10の直上に位置している。金型を利用してケース1を樹脂成形する際には、各係合用凸部18の下面18aを金型によって規定する必要がある。このため、凹部10の長手方向各所のうち、各係合用凸部18が形成された箇所においては、図1に見られるような底面10aが設けられていない構成となっている。後述するように、この画像読み取り装置Aにおいては、この部分における光の漏れがカバー体4によって防止される構造となっている。図2によく表れているように、これら複数の係合用凸部18はケース1の長手方向に適当な幅を有するものであり、ケース1の長手方向に間隔を隔てて設けられている。図面においては、係合用凸部18を2箇所のみ設けた構成とされているが、その具体的な数は限定されない。ただし、係合用凸部18をケース1の長手方向に多く設けるほど、レンズアレイ3の固定を確実なものにすることができ、さらにはレンズアレイ3の反り変形を防止するのにも好ましいものとなる。
【0022】
図4によく表れているように、ケース1には、凹部10に繋がった穴部17も設けられており、この穴部17の上部にはレンズアレイ3の一側面に接着する接着剤39が充填されている。これにより、レンズアレイ3のより確実な固定が図られている。穴部17は、ケース1の底面部方向に開口するように設けられたものであり、この穴部17が形成された箇所においても、凹部10は、図1に見られるような底面10aを有しない構成となっている。穴部17は、各係合用凸部18の形成箇所を避けるようにして、たとえばレンズアレイ3の長手方向中央部に一箇所のみ設けられている。ただし、穴部17を複数箇所設けた構成とすることもできる。
【0023】
穴部17への接着剤39の充填作業は、たとえば図5に示すように、凹部10にレンズアレイ3が嵌め込まれたケース1を上下反転させて状態において、穴部17の上向きとされた開口部17aからその内部に接着剤39を流し込めばよい。接着剤39としては、たとえば紫外線硬化樹脂を用いることが可能である。紫外線硬化樹脂を用いれば、接着剤を短時間で硬化させることができるために、画像読み取り装置の生産速度を高めるのに有利となる。ただし、本願発明においては、接着剤39の具体的な種類もこれに限定されない。
【0024】
図1によく表れているように、複数の受光素子7は、基板5の表面(上面)に列状に並べられて実装されており、基板5がケース1の底面部に組み付けられていることにより、各レンズ31の直下に配置されている。各受光素子7は、光電変換機能を有しており、原稿Dの表面によって反射されて各レンズ31を通過してきた光を受けると、その受光量に対応した出力レベルの画像信号を出力するように構成されている。ケース1に対する基板5の組み付けは、各アタッチメント8の幅方向中央部を基板5の裏面に当接させるとともに、アタッチメント8の幅方向両端部をケース1に設けられている凸部12に係合させることにより行われている。
【0025】
カバー体4は、たとえば黒色のABS樹脂であり、各部の表面は光の反射率が低い黒色とされている。このカバー体4は、複数の受光素子7の周囲における光の散乱反射を防止するように複数の受光素子7を囲み込むようにしてケース1に装着されている。また、穴部17の開口部17aは、このカバー体4によって閉塞されている。カバー体4をケース1に位置決め装着するための手段としては、カバー体4の上部に設けられた複数の第1の突起40を、ケース1に設けられている複数の凹部13に嵌入させる手段を採用することができる。カバー体4には、読み取り領域Sから各レンズ31を透過してきた光を通過させるためのスリット41が設けられている。
【0026】
図2によく表れているように、カバー体4には、上向き状の複数対の第2の突起42および1つの第3の突起43も設けられている。図3によく表れているように、各係合用凸部18の下方には、凹部10に繋がった一対の凹部13aが設けられており、これら一対の凹部13aに一対の第2の突起42が嵌入している。各第2の突起42には、レンズアレイ3のホルダ30の下部側面に対面接触する第1の面42aと、ホルダ30の下面に対面接触する第2の面42bとが繋がって形成されており、一対の第2の突起42どうしの間にレンズアレイ3の下部が挟み込まれた構成となっている。第3の突起43は、図4によく表れているように、凹部10および穴部17のそれぞれに繋がって設けられた凹部13bに嵌入している。この第3の突起43には、レンズアレイ3の穴部17とは反対側の下部側面に対面接触する第1の面43aと、ホルダ30の下面に対面接触する第2の面43bとが繋がって形成されている。
【0027】
複数のLEDチップ6は、複数の受光素子7と平行な列状に適当なピッチで並べられて基板5の表面に実装されており、ケース1内の照明用光路14内の下部に配置されている。基板5には、外部から各LEDチップ6や各受光素子7に対して電力供給や各種の信号の入出力を行わせるための配線パターン(図示略)や、この配線パターンに導通するコネクタ60が設けられている(図2参照)。
【0028】
照明用光路14は、3つの壁面15a〜15cを含む複数の壁面によって規定されている。2つの壁面15a,15bは、ケース1の底面部分から上方に向けて立ち上がった壁面である。壁面15a〜15cは、いずれも光の反射率が高い白色のままである。読み取り領域Sの直下には、レンズアレイ3や複数の受光素子7が位置しており、この部分に重ねて各LEDチップ6を設けることはできないため、各LEDチップ6は読み取り領域Sに対して副走査方向に位置ずれして設けられている。したがって、壁面15a,15bは、ケース1の底部から上方へ進むにしたがって読み取り領域S寄りとなるようにその一部または全体が傾斜した形状とされている。
【0029】
壁面15bには、遮光部16が設けられている。この遮光部16は、たとえば壁面15bの一部を角張らせることにより設けられており、図1の符号n2で示すように、各LEDチップ6から読み取り領域Sに向けて光が直接進行することを阻止できるようになっている。この遮光部16は、壁面15a〜15cと同様に、主走査方向(複数の受光素子7の列方向)に一様に延びている。ただし、このような構成に代えて、各LEDチップ6に対応させて複数の遮光部を主走査方向に断続的に設けた構成とすることもできる。また、遮光部16をケース1とは別体の部材により構成することもできる。遮光部16の表面は、壁面15a〜15cと同様に、光の反射率が高い白色面である。
【0030】
次に、上記構成の画像読み取り装置Aの作用について説明する。
【0031】
まず、各LEDチップ6を発光させると、その光は壁面15a,15bによって高い反射率で反射されながら照明用光路14内を透明板2に向けて進行し、読み取り領域Sに位置する原稿Dの表面に照射される。壁面15bの遮光部16は、各LEDチップ6から読み取り領域Sに向けて光が直接進行することを阻止するために、読み取り領域Sの各LEDチップ6に対応する箇所の照度が他の部分の照度よりも高くならないようにすることができる。
【0032】
遮光部16に到達した光は反射されるために、この反射光については、その後照明用光路14内における反射を繰り返させることにより、最終的には読み取り領域Sに到達させることができる。したがって、各LEDチップ6から発せられた光を遮光部16によって遮ることに起因して、読み取り領域Sの照度が大きく低下することはない。この画像読み取り装置Aにおいては、各LEDチップ6から発せられる光束密度の高い光線が遮光部16によって高い反射率で反射され、これが読み取り領域Sの各所に到達するために、却って読み取り領域Sの全体の照度を高くすることが可能となる。
【0033】
読み取り領域Sに光が到達すると、この光は原稿Dの表面によって反射されることにより、レンズアレイ3の各レンズ31を透過して各受光素子7によって受光される。この場合、照明用光路14内を進行する光や原稿Dによって反射された光としては、凹部10の側壁10bとレンズアレイ3との隙間内を下方に向けて進行する光がある。ところが、このような光は、図3に示すように、各係合用凸部18が設けられている下方領域においては、カバー体4の各第2の突起42によって遮られ、かつ吸収される。とくに、各第2の突起42には、上記隙間内における光の進行方向に対して直交する第2の面42bが設けられているために、この第2の面42bの存在によって光の遮断が確実化される。
【0034】
また、図4に示すように、接着剤39が充填された穴部17が設けられた箇所においても、凹部10の側壁10bとレンズアレイ3との隙間内を下方に進行する光は、カバー体4の第3の突起43によって遮られ、かつ吸収される。この場合においても、光の進行方向に対して直交する第2の面43bが、上記光を確実に遮る。穴部17の上方から穴部17に向けて進行する光については、レンズアレイ3に密着している接着剤39によって遮ることが可能である。
【0035】
第2の突起42や第3の突起43が設けられていない図1に示す断面部分においては、既述したとおり、凹部10に底面10aが設けられているために、この底面10aが側壁10bとレンズアレイ3との隙間内を進行してくる光を適切に遮る。したがって、この画像読み取り装置Aにおいては、凹部10およびレンズアレイ3の全長域にわたって、それらの隙間内を光が不当に通過しないようにすることができ、この光が各受光素子7によって受光されないようにすることができる。その結果、各受光素子7から出力される読み取り画像信号にノイズが混入しないようにすることができ、読み取り画像の質を高めることが可能となる。
【0036】
照明用光路14内を上方に進行した光としては、壁面15cによって反射されてから読み取り領域Sに到達する光もある。これに対し、図4に示すように、穴部17は壁面15cに開口しないように設けられており、壁面15cは読み取り領域Sの長手方向に一様に延びている。したがって、壁面15cに穴部17を開口させた場合とは異なり、壁面15cの光の反射具合がその長手方向各所において不均一にならないようにすることができる。その結果、読み取り領域Sの照度に大きなバラツキを生じさせないようにすることもできる。
【0037】
本願発明に係る画像読み取り装置の各部の具体的な構成は、上述の実施形態に限定されず、種々に設計変更自在である。
【0038】
たとえば、上述の実施形態においては、カバー体4の長手方向の一部分のみをレンズアレイ3に接触させているが、本願発明はこれに限定されない。本願発明においては、たとえばカバー体4の長手方向の全長域または略全長域を、図3に示す構造のように、レンズアレイ3に接触させた構造にしてもかまわない。また、カバー体4をレンズアレイ3に接触させる場合の具体的な構造としては種々の態様が考えられ、本願発明はその具体的な態様はとくに限定されるものではない。係合用凸部18の下方においてカバー体4をレンズアレイ3に接触させる場合には、図3に示したように、カバー体4がレンズアレイ3の下部をその幅方向両側から挟み込む構造とすることが好ましいが、本願発明は必ずしもこれに限定されず、たとえばレンズアレイ3の幅方向片側のみにカバー体4の一部を接触させた構造にしてもかまわない。
【0039】
本願発明は、光源の種類もLED光源に限定されず、他の種類の光源、たとえば線状に延びる冷陰極管を用いることもできる。ケースとしては、白色樹脂製以外のものを用いることも可能である。照明用光路を規定する壁面を光の反射が可能な面とする手段としては、照明用光路の壁面にたとえば白色塗装を施すような手段を用いることもできる。また、本願発明でいう照明用光路とは、空洞状に形成されているものと、内部にプリズムなどの導光用部材が収容された非空洞状に形成されているものとのいずれをも含む。本願発明に係る画像読み取り装置は、プラテンローラに対向して設けられるタイプのもの、あるいはハンディスキャナタイプのものとして構成されるに限らず、たとえば原稿を上面に載置するための透明な原稿載置板の下方に、所定の部品が組み付けられているケースが配され、かつこのケースが副走査方向に水平移動するように設けられるいわゆるフラットベッド型の画像読み取り装置として構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る画像読み取り装置の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す画像読み取り装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示す画像読み取り装置の他の部分の構造を示す断面図である。
【図4】図1に示す画像読み取り装置の他の部分の構造を示す断面図である。
【図5】ケースに設けられた穴部に接着剤を充填する作業例を示す断面図である。
【図6】従来技術を示す断面図である。
【図7】従来技術を示す断面図である。
【符号の説明】
A 画像読み取り装置
S 読み取り領域
D 原稿
1 ケース
2 透明板
3 レンズアレイ
4 カバー体
6 LEDチップ(光源)
7 受光素子
10 凹部
14 照明用光路
15a〜15c 壁面
16 遮光部
17 穴部
18 係合用凸部
30 ホルダ
31 レンズ
39 接着剤
42a 第1の面
42b 第2の面
Claims (4)
- 光源から発せられた光をライン状の読み取り領域に向けて進行させるための照明用光路および上記読み取り領域に対向して開口するレンズアレイ保持用有底凹部を形成しているケースと、上記凹部に上方から嵌め込まれているレンズアレイと、このレンズアレイの上記読み取り領域寄りの上部にその長手方向について部分的に係合するように上記ケースに設けられた1以上の係合用凸部と、上記読み取り領域から進行してくる光を上記レンズアレイないし上記凹部の底部に設けたスリットを介して受光し、かつその受光量に対応した出力レベルの画像信号を出力する複数の受光素子と、これら複数の受光素子を囲むカバー体と、を備えている、画像読み取り装置であって、
上記レンズアレイの下部は、上記係合用凸部の下方の箇所においては上記カバー体に設けた突起に接触させられ、それ以外の箇所においては上記凹部の底部に支持されていることを特徴とする、画像読み取り装置。 - 上記カバー体は、黒または黒に近い暗色である、請求項1に記載の画像読み取り装置。
- 上記レンズアレイは、一定方向に延びるブロック状のホルダ内に複数のレンズが列状に並べられて保持されたものであり、かつ上記カバー体には、上記ホルダの側面に接触させるための第1の面と上記ホルダの下面に接触させるための第2の面とが繋がって形成されている、請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
- 上記ケースには、上記凹部に繋がり、かつ上記レンズアレイを固定するための接着剤が充填された穴部が下方に開放するようにして設けられているとともに、上記レンズアレイの下部における上記穴部と反対側の箇所は、その長手方向について上記穴部に対応する箇所においても上記カバー体に設けた突起に接触させられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像読み取り装置。
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