JP4047390B2 - ホウ素系化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明はホウ素系化合物の製造方法に関し、さらに詳しくは光重合開始剤あるいは光吸収性消色剤として有用なホウ素系化合物の製造方法に関する。
背景技術
光重合は、塗膜の硬化や平版印刷、樹脂凸版、プリント基板作成用、レジストまたはフォトマスク、白黒またはカラーの転写発色用もしくは発色シート作成などの多方面の用途にわたり使用されている。また、歯科技術の領域においても光重合性組成物が使用されている。
光重合性組成物は、エチレン性不飽和化合物および光重合開始剤からなり、通常は、紫外線を用いて重合が行なわれる。
例えば、光重合開始剤としてα−ケトカルボニル化合物を用い、N,N−ジメチルアニリンのようなアミン類の存在下で紫外線照射により硬化させる重合性組成物が知られており、歯牙充填物および歯牙封密物、歯冠および義歯橋の製造や合成義歯の製造に利用されている(特開昭63-99858号等)。また、紫外線硬化型インキの開発も盛んに行なわれている(特開平2-22370号等)。
しかし、これら紫外線を照射する光重合では紫外線のモノマーに対する透過性の悪さ、あるいは紫外線によるオゾン発生、皮膚刺激等の問題がある。
そこで、これらの問題のない光重合開始剤として、先に本出願人は可視光で重合を高感度で開始し得るホウ素系化合物(増感剤)と可視光領域に吸収を持つ(陽イオン性)有機染料とからなる特許出願(特開平5-59110号)、および近赤外光で重合を高感度で開始し得るホウ素系化合物と近赤外光吸収性陽イオン染料とからなる特許出願(特開平5-194619号)をしている。
また、色素とホウ素系化合物との近赤外光による反応で色素の色が消える現象を利用した消色剤が開発されており(特開平4-362935号)、記録材料の再利用が可能なトナーやインク等に応用されている。
上記の光重合開始剤あるいは消色剤では、ホウ素系化合物(増感剤)として、一般式(A)
Figure 0004047390
(式中、R1A、R2A、R3AおよびR4Aは、それぞれ独立してアルキル、アリール、アルカリール、アリル、アラルキル、アルケニル、脂環式基、または飽和もしくは不飽和複素環式等を表わし、R5A、R6A、R7AおよびR8Aはそれぞれ独立して水素原子、アルキル、アリール、アルカリール、アリル、アラルキル、アルケニル、脂環式基、または飽和もしくは不飽和複素環式等を表わす。)で示される化合物を使用しているが、これらの化合物の中でも、R1A、R2A、R3AおよびR4Aの少なくとも1つがアルキル基で、他がアリール基である化合物が好ましい。
この様な好ましいホウ素系化合物の1つであるテトラメチルアンモニウムメチルトリフェニルボレイト(R1A=メチル基、R2A=R3A=R4A=フェニル基,R5A=R6A=R7A=R8A=メチル基)の一般的製造方法として、従来、トリフェニルボランとメチルリチウムから得られるリチウムメチルトリフェニルボレイトをテトラメチルアンモニウムブロマイドでイオン交換する方法が知られている[例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイェテイ(Journal of the American Chemical Society),107巻,6710頁(1985年)]。
また、原料のトリフェニルボランの製造方法として、マグネシウムとボロントリフルオライドジエチルエーテレートとフェニルブロマイドをジエチルエーテル中で反応させる方法が一般に知られている[例えば、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),51巻,427頁(1986年)]。
上記テトラメチルアンモニウムメチルトリフェニルボレイトの場合、具体的には、フェニルブロマイドをジエチルエーテル中でマグネシウムと反応させ、グリニアール試薬を調製した後、これをボロントリフルオライドジエチルエーテレートをジエチルエーテルに溶かした溶液に滴下し、さらに数時間撹拌することにより、トリフェニルボランを得る。これを単離することなくメチルリチウムを加え、リチウムメチルトリフェニルボレイトとし、これにテトラメチルアンモニウムブロマイドを加え、イオン交換を行なうことによりテトラメチルアンモニウムメチルトリフェニルボレイトが得られる。
この様な従来の製造方法では、グリニアール反応やトリアリールボランあるいはトリアルキルボラン反応の溶媒としては専らジエチルエーテルが用いられている。これは、一般にジエチルエーテルよりも反応が起こり易いとされているテトラヒドロフランを使用した場合にはトリアリール(あるいはトリアルキル)ボランで反応が止まらず、テトラアリール(あるいはテトラアルキル)ボレイトにまで反応が進んでしまうことによる[例えば、ジャーナル・オブ・オーガニックケミストリー(Journal of Organic Chemistry),51巻,427頁(1986年)]。
しかしながら、使用するハロゲン化物によってはジエチルエーテル中ではグリニアール反応が起こりにくいため、製造に長時間を要し、また目的とするホウ素系化合物の最終収率が低くなるという問題がある。
発明の目的
本発明の目的は、このような従来の製造方法における諸問題を解消し、光重合開始剤あるいは光吸収性消色剤として有用な高純度のホウ素系化合物を高収率で短時間で得ることが可能な製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明者等は上記の問題を解消すべく鋭意研究した結果、特定の出発物質、反応溶媒および特定の反応工程を用いて反応を行なうことにより課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1)一般式(4)
Figure 0004047390
(式中、R1およびR2は互いに異なり、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、または置換基を有してもよい脂環基を表わし、Mはリチウムまたはマグネシウムを表わし、Mがリチウムの時はnは1であり、Mがマグネシウムの時はnは2である。)で示されるボレイト金属塩に、一般式(5)
+・X- (5)
(式中、Z+はアンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン、オキソスルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、またはヨードニウムカチオンを表わし、X-はハロゲン原子アニオンを表わす。)で示されるオニウムハライドを加えてイオン交換反応をさせることを特徴とする一般式(1)
Figure 0004047390
(式中の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示されるホウ素系化合物の製造方法、
2)リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と、一般式(2)
Figure 0004047390
(式中、R1は前記1と同じ意味を表わし、R7およびR8は同一でも異なってもよく、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい脂環基を表わすか、またはR7とR8が相互に結合し、ホウ素原子および酸素原子と一緒に環状構造を表わす。)で示される化合物と、一般式(3)
2−Y (3)
(式中、R2は前記1と同じ意味を表わすが、前記一般式(2)のR1とは異なる基であり、Yは水素原子またはハロゲン原子を表わす。)で示される化合物との反応で得られる一般式(4)
Figure 0004047390
(式中、R1、R2、Mおよびnは前記1と同じ意味を表わす。)で示されるボレイト金属塩を製造する第一工程と、前記ボレイト金属塩に一般式(5)
+・X- (5)
(式中、Z+およびX-は前記1と同じ意味を表わす。)で示されるオニウムハライドを加えてイオン交換反応をさせる第二工程とからなることを特徴とする一般式(1)
Figure 0004047390
(式中、R1、R2およびZ+は前記1と同じ意味を表わす。)で示されるホウ素系化合物の製造方法、
3)前記一般式(5)で示されるオニウムハライドとして、一般式(6)
Figure 0004047390
(式中、X-は前記1と同じ意味を表わし、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、または置換基を有してもよい脂環式基を表わす。)で示されるアンモニウムカチオンのハライドを使用する前記1または2に記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法、
4)第一工程で、リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と一般式(3)で示される化合物を溶媒中で反応させた後、一般式(2)で示される化合物を加え反応させて一般式(4)で示されるボレイト金属塩を得る前記1乃至3のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法、
5)第一工程で、一般式(2)で示される化合物に、リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と一般式(3)で示される化合物を溶媒中で反応させたものを加えて一般式(4)で示されるボレイト金属塩を得る前記1乃至3のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法、
6)第一工程で、一般式(2)で示される化合物の存在下で、リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と一般式(3)で示される化合物を溶媒中で反応させて一般式(4)で示されるボレイト金属塩を得る前記1乃至3のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法、
7)第一工程で、リチウムまたはマグネシウムを使用し、一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物を使用する前記1乃至6のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法、
8)第一工程で、有機リチウム化合物を使用し、一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物を使用する前記1乃至6のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法を提供するものである。
発明の詳細な説明
本発明の方法で製造されるホウ素系化合物を表わす前記一般式(1)中のR1およびR2は、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、または置換基を有してもよい脂環基を表わす。ただし、R1とR2は相異なったものである。
+はアンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン、オキソスルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、またはヨードニウムカチオンを表わす。好ましいZ+は一般式(7)
Figure 0004047390
で示されるアンモニウムカチオンである。
一般式(7)中、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、または置換基を有してもよい脂環式基を表わす。
1およびR2が表わす置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1から10の置換あるいは無置換の直鎖あるいは分岐アルキル基が好ましく、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、3−メトキシプロピル、4−クロロブチル、2−ジエチルアミノエチル基などを挙げることができる。
1およびR2が表わす置換基を有してもよいアルケニル基しては、置換あるいは無置換の炭素数2から12のものが好ましく、具体例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ドデシニル、プレニル基などが挙げられる。
1およびR2が表わす置換基を有してもよいアリール基とは置換あるいは無置換のアリール基であり、具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、4−エチルフェニル、4−ブチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−ジエチルアミノフェニル、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、ナフチル、4−メチルナフチル基などが挙げられる。
1およびR2が表わす置換基を有してもよいアラルキル基とは、置換または無置換のアラルキル基であり、具体例として、ベンジル、フェネチル、プロピオフェニル、α−ナフチルメチル、β−ナフチルメチル、p−メトキシベンジル基などが挙げられる。
1およびR2が表わす置換基を有してもよい複素環基とは、置換または無置換の複素環基であり、具体例としては、ピリジル、キノリル、メチルピリジル、インドリル基などが挙げられる。
1およびR2が表わす置換基を有してもよい脂環基とは、置換または無置換の脂環基であり、具体例としては、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチル基などが挙げられる。
前記一般式(1)中のZ+が一般式(7)で示されるアンモニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラノルマルブチルアンモニウムカチオン、テトラノルマルペンチルアンモニウムカチオン、テトラノルマルオクチルアンモニウムカチオン、テトラベンジルアンモニウムカチオン、テトラフェニルアンモニウムカチオン、テトラシクロヘキシルアンモニウムカチオン、トリフェニルフェナシルアンモニウムカチオン、トリフェニル(4−アミノフェニル)アンモニウムカチオンなどを挙げることができる。
前記一般式(1)中のZ+が表わすスルホニウムカチオンの具体例としては、ジメチル−tert−ブチルスルホニウムカチオン、ジメチルベンジルスルホニウムカチオン、ジメチル(4−クロロベンジル)スルホニウムカチオン、ジブチル(4−ブロモベンジル)スルホニウムカチオン、ジメチル(4−シアノベンジル)スルホニウムカチオン、ジメチルフェナシルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリフェニルスルフォニウムカチオンなどを挙げることができる。
前記一般式(1)中のZ+が表わすピリジニウムカチオンの具体例としては、N−メチルピリジウムカチオン、N−エチルピリジウムカチオン、N−ノルマルプロピルピリジウムカチオン、N−ノルマルブチルピリジウムカチオンなどを挙げることができる。
前記一般式(1)中のZ+が表わすオキソスルホニウムカチオンの具体例としては、ジメチル−tert−ブチルオキソスルホニウムカチオン、ジメチルベンジルオキソスルホニウムカチオン、ジメチル(4−クロロベンジル)オキソスルホニウムカチオン、ジブチル(4−ブロモベンジル)オキソスルホニウムカチオン、ジメチル(4−シアノベンジル)オキソスルホニウムカチオン、ジメチルフェナシルオキソスルホニウムカチオン、トリブチルオキソスルホニウムカチオン、トリフェニルオキソスルホニムカチオンなどを挙げることができる。
前記一般式(1)中のZ+が表わすホスホニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラプロピルホスホニウムカチオン、テトラノルマルブチルホスホニウムカチオン、テトラノルマルペンチルホスホニウムカチオン、テトラノルマルオクチルホスホニウムカチオン、テトラベンジルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、テトラシクロヘキシルホスホニウムカチオン、トリフェニルフェナシルホスホニウムカチオン、トリフェニル(4−アミノフェニル)ホスホニウムカチオンなどを挙げることができる。
前記一般式(1)中のZ+が表わすヨードニウムカチオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウムカチオン、4−ブトキシフェニル(4’−メチルフェニル)ヨードニウムカチオン、ビス(4−アミノフェニル)ヨードニウムカチオンなどを挙げることができる。
前記一般式(1)で示されるホウ素系化合物の具体例として、
テトラメチルアンモニウムエチルトリノルマルブチルボレイト、
テトラノルマルブチルアンモニウムフェネチルトリメチルボレイト、
テトラエチルアンモニウムフェニルトリイソブチルボレイト、
テトラノルマルブチルアンモニウムフェネチルトリ(4−メチルフェニル)ボレイト、
テトラメチルアンモニウムエチルトリフェニルボレイト、
テトラエチルアンモニウムノルマルオクチルトリ(4,5−ジエチルフェニル)ボレイト、
テトラノルマルブチルアンモニウムノルマルペンチルトリ(4−メトキシフェニル)ボレイト、
テトラノルマルオクチルアンモニウムノルマルブチルトリ−1−ナフチルボレイト、
テトラノルマルブチルアンモニウムノルマルブチルトリ(4−メチル−1−ナフチル)ボレイト、
テトラエチルアンモニウムノルマルオクチルトリ(4,5−ジエチル−1−ナフチル)ボレイト、
テトラノルマルブチルアンモニウムエチルトリアセナフチルボレイト、
N−メチルピリジニウムノルマルブチルトリフェニルボレイト、
トリフェニルスルホニウムノルマルブチルトリ(1−ナフチル)ボレイト、
トリフェニルオキソスルホニウムノルマルブチルトリ(1−ナフチル)ボレイト、
テトラノルマルブチルスルホニウムノルマルブチルトリフェニルボレイト、
ジフェニルヨードニウムノルマルブチルトリフェニルボレイトなどが挙げられる。
前記一般式(2)中のR1は、前記一般式(1)のR1と同一である。前記一般式(2)中のR7およびR8は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい脂環基を表わすか、またはR7とR8はそれらが結合しているホウ素原子および酸素原子と一緒に環状構造を表わす。
7およびR8が表わす置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1から10の置換あるいは無置換の直鎖あるいは分岐アルキル基が好ましく、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘブチル、オクチル、3−メトキシプロピル、4−クロロブチル、2−ジエチルアミノエチル基などが挙げられる。
7およびR8が表わす置換基を有してもよいアルケニル基とは、置換あるいは無置換のアルケニル基であり、炭素数2から12のものが好ましく、具体例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ドデシニル、プレニル基などが挙げられる。
7およびR8が表わす置換基を有してもよいアリール基とは、置換あるいは無置換のアリール基であり、具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、4−エチルフェニル、4−ブチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−ジエチルアミノフェニル、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、ナフチル、4−メチルナフチル基などが挙げられる。
7およびR8が表わす置換基を有してもよいアラルキル基とは、置換または無置換のアラルキル基であり、具体例としては、ベンジル、フェネチル、プロピオフェニル、α−ナフチルメチル、β−ナフチルメチル、p−メトキシベンジル基などが挙げられる。
7およびR8が表わす置換基を有してもよい脂環基とは、置換または無置換の脂環基であり、具体例としては、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチル基などが挙げられる。
前記一般式(2)で示される化合物の具体例としては、ジメチルエチルボロネート、ジエチルノルマルプロピルボロネート、ジイソプロピルノルマルブチルボロネート、ジイソブチルメチルボロネート、ジノルマルオクチルベンジルボロネート、ジ(2−フェネチル)ノルマルブチルボロネート、ジフェニルノルマルプロピルボロネート、ジイソプロピルフェニルボロネート、ジエチル(4−メトキシフェニル)ボロネート、ジシクロヘキシルノルマルオクチルボロネートなどが挙げられる。
また、R7とR8がそれらが結合するホウ素原子および酸素原子と一緒になって表わす環状構造を持った化合物の具体例としては、2−メチル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−エチル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−ノルマルプロピル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−ノルマルブチル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−ナフチル−1,3,2−ジオキサボリナンなどが挙げられる。
前記一般式(3)中のR2は、前記一般式(1)のR2と同一であり、Yは水素原子またはハロゲン原子を表わす。
前記一般式(3)で示される化合物としては、飽和あるいは不飽和脂肪族炭化水素のハロゲン化物、脂環式炭化水素のハロゲン化物、芳香族炭化水素のハロゲン化物、芳香族炭化水素、複素環式芳香族化合物などが挙げられ、具体例としてはメチルブロマイド、エチルクロライド、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド、ブチルクロライド、イソブチルブロマイド、ペンチルブロマイド、ヘキシルブロマイド、オクチルクロライド、2−ブロモエチルメチルエーテル、ビニルブロマイド、プロペニルブロマイド、ブテニルブロマイド、ペンテニルブロマイド、ヘキセニルブロマイド、ヘプテニルブロマイド、オクテニルブロマイド、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、ブロモトルエン、ブロモキシレン、1−ブロモ−4−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−ブチルベンゼン、1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン、1−ブロモ−4−メトキシベンゼン、1−ブロモ−4−ジエチルアミノベンゼン、1−ブロモ−2−メチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシベンゼン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、1−ブロモ−4−メチルナフタレン、ベンジルクロライド、フェネチルブロマイド、1−ブロモ−3−フェニルプロパン、1−(ブロモメチル)ナフタレン、2−(ブロモメチル)ナフタレン、p−メトキシベンジルクロライド、シクロヘキシルクロライド、1−クロロ−4−メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メトキシベンゼン、ジエチルアミノベンゼン、エトキシベンゼン、ナフタレン、1−メチルナフタレン、シクロペンタジエン、インデン、フルオレン、フラン、チオフェンなどが挙げられる。
前記一般式(5)で示されるオニウムハライドの具体例としては、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラノルマルプロピルアンモニウムアイオダイド、テトラノルマルブチルアンモニウムブロマイド、テトラノルマルペンチルアンモニウムクロライド、テトラノルマルオクチルアンモニウムブロマイド、テトラベンジルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムブロマイド、テトラシクロヘキシルアンモニウムブロマイド、N−メチルピリジニウムクロライド、N−ブチルピリジニウムブロマイド、ジメチル−tert−ブチルスルホニウムブロマイド、ジメチルベンジルスルホニウムブロマイド、ジメチル(4−クロロベンジル)スルホニウムブロマイド、ジブチル(4−ブロモベンジル)スルホニウムクロライド、ジメチル(4−シアノベンジル)スルホニウムブロマイド、ジメチルフェナシルスルホニウムクロライド、トリブチルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムクロライド、トリブチルスルホニウムブロマイド、トリフェニルスルホニウムブロマイド、ジメチル−tert−ブチルオキソスルホニウムブロマイド、ジメチルベンジルオキソスルホニウムブロマイド、ジメチル(4−クロロベンジル)オキソスルホニウムクロライド、ジブチル(4−ブロモベンジル)オキソスルホニウムクロライド、ジメチル(4−シアノベンジル)オキソスルホニウムクロライド、ジメチルフェナシルオキソスルホニウムクロライド、トリブチルオキソスルホニウムクロライド、トリフェニルオキソスルホニウムクロライド、トリブチルオキソスルホニウムブロマイド、トリフェニルオキソスルホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラノルマルプロピルホスホニウムクロライド、テトラノルマルブチルホスホニウムブロマイド、テトラノルマルペンチルホスホニウムブロマイド、テトラノルマルオクチルホスホニウムクロライド、テトラベンジルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド、テトラシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルフェナシルホスホニウムクロライド、トリフェニル(4−アミノフェニル)ホスホニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロライド、4−ブトキシフェニル(4’−メチルフェニル)ヨードニウムクロライド、ビス(4−アミノフェニル)ヨードニウムクロライドなどを挙げることができる。
前記ボレイト金属塩を表わす一般式(4)中のR1およびR2は前記と同じ意味を表わす。Mはリチウムまたはマグネシウム原子を表わし、Mがリチウムのときnは1であり、Mがマグネシウムのときnは2である。
本発明の第一工程で使用するリチウムを含む化合物とは、アルキルリチウム、アリールリチウム等の有機リチウム化合物であり、具体例としては、メチルリチウム、ノルマルブチルリチウム、フェニルリチウム等が挙げられる。中でも好ましいのはノルマルブチルリチウムである。
本発明で使用する溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ノルマルブチルエチルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒や、ノルマルヘキサンなどの炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒が挙げられるが、これらの中でも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン、トルエンが好ましく使用できる。
本発明の製造方法によれば、先ず、第一工程で、リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と、一般式(2)で示される化合物と、一般式(3)で示される化合物との反応で一般式(4)で示される中間体のボレイト金属塩を製造する。
前記第一の工程は、具体的には、例えば
(a)リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と一般式(3)で示される化合物を溶媒中で反応させた後、一般式(2)で示される化合物を加え反応させて一般式(4)で示される化合物を得る方法、
(b)一般式(2)で示される化合物に、リチウム、ヤグネシウムまたはリチウムを含む化合物と一般式(3)で示される化合物とを溶媒中で反応させたものを加えて一般式(4)で示される化合物を得る方法、
(c)一般式(2)で示される化合物の存在下で、リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と一般式(3)で示される化合物とを溶媒中で反応させて一般式(4)で示される化合物を得る方法により行なわれる。
ついで、第二の工程で、先に得た一般式(4)のボレイト金属塩中間体に、一般式(5)で示されるオニウムハライドを加えてイオン交換反応させて一般式(1)で示されるホウ素系化合物が製造される。
具体的には、例えば、第一工程において、マグネシウムと、一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物を用いて、上記の(a)、(b)、(c)のいずれかの方法により前記一般式(4)でMがMgでnが2であるボレイトマグネシウム塩中間体を製造できる。
また、第一工程において、リチウムと、一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物を用いて、上記の(a)または(b)の方法により前記一般式(4)でMがLiでnが1であるボレイトリチウム塩中間体を製造できる。
また、第一工程において、有機リチウム化合物と、一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物を用いて、上記の(a)または(b)の方法によっても前記一般式(4)でMがLiでnが1であるボレイトリチウム塩中間体を製造できる。
一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物を用いると一般に収率が向上する。
次に、マグネシウムを用いて前記一般式(4)でMがMgでnが2であるボレイトマグネシウム塩中間体を製造する反応の例を具体的に説明する。
この場合、上記の(a)、(b)、(c)の反応は、グリニアール試薬を調製する反応である。そのため一般式(3)で示される化合物はハロゲン化物であることが必要である。
マグネシウムにハロゲン化物のエーテル系溶液を少量加え、撹拌していくとやがて反応温度が上昇し、反応(グリニアール反応)が開始する。
反応が起こりにくい時は開始剤としてヨウ素、ヨウ化メチルなどを加えてもよい。反応温度は用いる溶媒の沸点付近であることが望ましく、この温度を保つようにハロゲン化物のエーテル系溶液を加えていく。
例えば、テトラヒドロフラン中では、67〜72℃付近で反応させるようにハロゲン化物のテトラヒドロフラン溶液を加えていくことが望ましい。ハロゲン化物のエーテル系溶液を加えた後、さらに室温〜溶媒の沸点付近で、30分〜20時間程度撹拌させ反応を完了させる。ここで調製された化合物がグリニアール試薬である。
上記(a)の反応の場合は、このグリニアール試薬に一般式(2)で示される化合物の溶液(好ましくは、グリニアール反応の溶媒と同じ溶媒を用いた溶液)を、好ましくは反応温度が室温〜用いる溶媒の沸点付近となるように加え、加えた後も室温〜溶媒の沸点付近で、30分〜2時間程度反応させることで第一工程が終了する。
上記(b)の反応の場合は、一般式(2)で示される化合物の溶液(好ましくは、グリニアール反応の溶媒と同じ溶媒)にグリニアール試薬を、好ましくは反応温度が室温〜用いる溶媒の沸点付近となるように加え、加えた後も室温〜溶媒の沸点付近で、30分〜2時間程度反応させることで第一工程が終了する。
上記(c)の反応の場合は、例えば、マグネシウムと一般式(2)で示される化合物にハロゲン化物のエーテル系溶液を少量加え、撹拌していくとやがて反応温度が上昇し、反応が開始する。反応が起こりにくい時は開始剤としてヨウ素、ヨウ化メチルなどを加えてもよい。反応温度は用いる溶媒の沸点付近であることが望ましく、この温度を保つようにハロゲン化物のエーテル系溶液を加えていく。例えばテトラヒドロフラン中では、67〜72℃付近で反応させるようにハロゲン化物のテトラヒドロフラン溶液を加えていくことが望ましい。ハロゲン化物のエーテル系溶液を加えた後、さらに30分〜20時間程度反応させることで第一工程が終了する。
このようにマグネシウムを用いるグリニアール反応を経由する場合は、一般式(3)で示される化合物はハロゲン化物であることが必要である。
従来法では前述の通りグリニアール反応の溶媒はジエチルエーテルに限られていたが、本発明においては、溶媒として、よりグリニアール反応の起こりやすいテトラヒドロフランなどを用いることが可能となるため、反応時間が短縮され、収率も向上する。
マグネシウムの代わりに、リチウムや有機リチウム化合物を用いる場合は、必ずしも一般式(3)で示される化合物がハロゲン化物である必要はない。しかし、後述のように一般式(3)で示される化合物がハロゲン化物である場合は、ハロゲンとリチウムが置き換わる反応が選択的に進む。
一般式(3)で示される化合物がハロゲン化物でない場合は、リチウムあるいは有機リチウム化合物でリチオ化された有機リチウム化合物が複数ある場合が考えられる(例えば、トリフルオロメチルベンゼンのリチオ化では少なくとも3種のリチウム化合物が考えられる)ため、一般式(3)で示される化合物がハロゲン化物である場合の方が収率がよくなる。
リチウムを用いて前記一般式(4)でMがLiでnが1である中間化合体を製造する反応の例を具体的に説明する。
第一工程において、リチウムと、一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物を用いて、上記の(a)、(b)のいずれかの方法を用いて製造できるが、この場合、溶媒はジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒やヘキサン、シクロヘキサンなどの溶媒を使用できる。この場合は一般に反応は不活性ガス下、−100℃〜室温付近で行なわれる。
具体的には、リチウムに上記のような溶媒を加え、これにハロゲン化物溶液を加える。反応温度は用いるハロゲン化物、溶媒によって異なる。例えば、ジエチルエーテル中でのリチウムとブロモベンゼンとの反応は、反応温度が−78〜−70℃となるようにブロモベンゼンのジエチルエーテル溶液を加えていくことが望ましい。ハロゲン化物の溶液を加えた後、さらに−100℃〜室温付近で30分〜2時間程度撹拌して有機リチウム化合物を調製する。
そして、上記(a)の反応の場合は、この有機リチウム化合物に一般式(2)で示される化合物を上記のような溶媒(好ましくは、エーテル系溶媒)に溶かした溶液を、好ましくは反応温度が−100℃〜室温付近となるように加え、加えた後も−100℃〜室温付近で、30分〜2時間程度反応させることで第一工程が終了する。
上記(b)の反応の場合は、一般式(2)で示される化合物を上記のような溶媒(好ましくは、エーテル系溶媒)に溶かした溶液に有機リチウム化合物を、好ましくは反応温度が−100℃〜室温付近となるように加え、加えた後も−100℃〜室温付近で30分〜2時間程度反応させることで第一工程が終了する。
次に有機リチウム化合物を用いて前記一般式(4)でMがLiで、nが1である中間体化合物を製造する反応の例を具体的に説明する。
第一工程において、上記のように有機リチウム化合物と、一般式(3)で示される化合物として芳香族ハロゲン化物とを用いて、上記の(a)、(b)のいずれかの方法を用いても製造できる。
有機リチウム化合物のいくつかはヘキサン溶液、シクロヘキサン溶液、ジエチルエーテル溶液など溶液状態で市販されており、容易に入手できる。
有機リチウム化合物を用いる場合、反応溶媒はジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒やヘキサン、シクロヘキサンなどの溶媒を使用できる。
一般に反応は不活性ガス下、−100℃から室温付近で行なわれる。有機リチウム化合物溶液に、ハロゲン化物の溶液を反応温度が−100℃〜室温付近となるように加え、有機リチウム化合物を調製する。反応温度は、用いるハロゲン化物、溶媒によって異なる。例えば、ジエチルエーテル中でのノルマルブチルリチウムと1−ブロモ−2,5−ジメチルベンゼンとの反応は、−78〜−10℃で反応させるように1−ブロモ−2,5−ジメチルベンゼンのジエチルエーテル溶液を加えていくことが望ましい。ハロゲン化物の溶液を加えた後、さらに−100℃〜室温付近で30分〜2時間程度撹拌させ有機リチウム化合物を調製する。また、ハロゲン化物の溶液に有機リチウム化合物溶液を同様な条件で加えても有機リチウム化合物を調製することができる。
そして上記(a)の反応の場合は、この有機リチウム化合物に一般式(2)で示される化合物を上記のような溶媒(好ましくは、エーテル系溶媒)に溶かした溶液を、好ましくは反応温度が−100℃〜室温付近となるように加え、加えた後も−100℃〜室温付近で、30分〜2時間程度反応させることで第一工程が終了する。
上記(b)の反応の場合は、一般式(2)で示される化合物を上記のような溶媒(好ましくは、エーテル系溶媒)に溶かした溶液に有機リチウム化合物を、好ましくは反応温度が−100℃〜室温付近となるように加え、加えた後も−100℃〜室温付近で30分〜2時間程度反応させることで第一工程が終了する。
本発明における第二工程は、具体的には、例えば、以下のように進めることができる。
第一工程終了後の前記一般式(4)で示される中間体化合物(ボレイト金属塩)を水と適当な有機溶媒(好ましくは、酢酸エチルやジエチルエーテル)に分配させ、水相に一般式(5)で示されるオニウムハライドを1.2〜5等量加え、激しく撹拌し、ボレイトの金属カチオン部をオニウムカチオンにイオン交換させる。さらに1〜2回水で洗浄し、有機相のみを減圧留去する。残渣にジエチルエーテル、ヘキサン、メタノールなどの溶媒を加え、析出物をろ取し、ジエチルエーテルやヘキサンなどの溶媒でよく洗浄する。
従来の製造方法によると、例えば一般式(1)で示される化合物がテトラノルマルブチルアンモニウムノルマルブチルトリ(4−メチルフェニル)ボレイトの場合、トリ(4−メチルフェニル)ボランを製造する際、副反応としてテトラ(4−メチルフェニル)ボレイトが副生し、純度を下げる可能性があるが、本発明の方法によると、この副反応の可能性は無く、高純度のホウ素系化合物が得られる。
本発明の製造法を用いると従来法を用いた場合に比べ収率の向上だけでなく、製造時間も短縮できる。
例えば、前記テトラノルマルブチルアンモニウムノルマルブチルトリ(4−メチルフェニル)ボレイトの製造の場合、従来法では、(i)マグネシウムに4−ブロモトルエンのジエチルエーテル溶液を加え、グリニアール試薬を調製し、(ii)グリニアール試薬とボロントリフルオライトジエチルエーテレートとをジエチルエーテル中で反応させトリアリールボランに誘導し、(iii)さらにこれをノルマルブチルマグネシウムクロライド、ノルマルブチルマグネシウムブロマイド、ノルマルブチルマグネシウムアイオダイド、ノルマルブチルリチウムの中から選ばれる有機金属化合物と反応させノルマルブチルトリ(4−メチルフェニル)ボレイト金属塩に誘導する。(iv)さらにこのボレイト金属塩をテトラノルマルブチルアンモニウムブロマイドでイオン交換反応させ目的物(テトラノルマルブチルアンモニウムノルマルブチルトリ(4−メチルフェニル)ボレイト)を得ている。従って従来法は4工程からなり、この場合の製造には10時間ほどを要する。
一方、本発明の製造法の場合、特にマグネシウムと、一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物とを用い、一般式(2)で示される化合物存在下で、マグネシウムと一般式(3)で示されるハロゲン化物をテトラヒドロフラン中で反応させる場合には、マグネシウムとジイソプロピルノルマルブチルボロネートに4−ブロモトルエンのテトラヒドロフラン溶液を加え、グリニアール反応と共にノルマルブチルトリ(4−メチルフェニル)ボレイト金属塩に誘導する(第一工程)。次いで、このボレイト金属塩をテトラノルマルブチルアンモニウムブロマイドでイオン交換反応させ、目的物のテトラノルマルブチルアンモニウムノルマルブチルトリ(4−メチルフェニル)ボレイトを得ることができる(第二工程)。従って2工程で目的物を製造できるため、例えば、4時間程度の短時間での製造が可能となる。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1:テトラノルマルブチルアンモニウムメチルトリ(4−メチルフェニル)ボレイトの製造
第一工程
マグネシウム1.00g(41.1mmol)にヨウ素10mgとテトラヒドロフラン10mlを加え、これに、窒素雰囲気下、4−ブロモトルエン5.64g(33.0mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶かした溶液を反応温度が67〜72℃になるように滴下し、さらに30〜50℃で2時間撹拌させる。これに2−メチルー1,3,2−ジオキサボリナン1.00g(10.0mmol)を同温度で加え、さらに30〜50℃で2時間撹拌させる。
第二工程
反応液が室温にまで下がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mテトラノルマルブチルアンモニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残渣にジエチルエーテル200mlを加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物5.00g(9.23mmol)を収率92%で得た。
このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が299、カチオン部が242で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 84.26 H 11.26 N 2.59 B 2.00
測定値(%) C 84.11 H 11.31 N 2.44 B 2.14
実施例2:テトラメチルアンモニウムノルマルブチルトリノルマルオクチルボレイトの製造
第一工程
マグネシウム1.00g(41.1mmol)に窒素雰囲気下、1−クロロオクタン4.91g(33.0mmol)をジエチルエーテル20mlに溶かした溶液を滴下し、グリニアール試薬を調製する。
このグリニアール試薬を、ジイソプロピルノルマルブチルボロネート1.86g(10.0mmol)をテトラヒドロフラン10mlに溶かした溶液に、反応温度が50℃を超えないように滴下させる。さらに30〜50℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで下がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mテトラメチルアンモニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残渣にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物4.39g(9.11mmol)を収率91%で得た。
このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が407、カチオン部が74で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 79.78 H 15.06 N 2.91 B 2.24
測定値(%) C 79.99 H 15.11 N 2.79 B 2.11
実施例3:テトラノルマルオクチルアンモニウムベンジルトリフェニルボレイトの製造
第一工程
マグネシウム1.00g(41.1mmol)にヨウ素を10mg加え、これに窒素雰囲気下、ブロモベンゼン5.18g(33.0mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶かした溶液を滴下し、グリニアール試薬を調製する。
このグリニアール試薬を、ジイソプロピルベンジルボロネート2.20g(10.0mmol)をテトラヒドロフラン10mlに溶かした溶液に、反応温度が50℃を超えないように滴下させる。さらに30〜50℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで下がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、テトラノルマルオクチルアンモニウムブロマイドを5.5g(11.8mmol)加え、水80mlで洗浄後、濃縮する。残渣にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物7.45g(9.31mmol)を収率93%で得た。
このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が333、カチオン部が466で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 85.56 H 11.34 N 1.75 B 1.35
測定値(%) C 85.48 H 11.31 N 1.99 B 1.22
実施例4:テトラノルマルブチルアンモニウムノルマルブチルトリ(4−tert−ブチルフェニル)ボレイトの製造
第一工程
マグネシウム1.00g(41.1mmol)にヨウ素を10mgと2−ノルマルブチル−1,3,2−ジオキサボリナン1.42g(10.0mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、これに窒素雰囲気下、1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン7.03g(33.0mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶かした溶液を反応温度が67〜72℃になるように滴下し、さらに30〜50℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで下がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mテトラノルマルブチルアンモニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残渣にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物6.80g(9.57mmol)を収率95%で得た。
このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が467、カチオン部が242で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 84.58 H 11.92 N 1.97 B 1.52
測定値(%) C 84.66 H 11.91 N 2.00 B 1.43
実施例5:テトラノルマルブチルアンモニウムノルマルブチルトリ(4−メチルナフチル)ボレイトの製造
第一工程
マグネシウム1.00g(41.1mmol)にヨウ素を10mgとジイソプロピルノルマルブチルボロネート1.86g(10.0mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、これに窒素雰囲気下、1−ブロモ−4−メチルナフタレン7.30g(33.0mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶かした溶液を反応温度が67〜72℃になるように滴下し、さらに30〜50℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで下がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mテトラノルマルブチルアンモニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残渣にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物6.75g(9.19mmol)を収率91%で得た。
このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が491、カチオン部が242で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 86.73 H 9.89 N 2.62 B 1.47
測定値(%) C 86.91 H 9.63 N 2.44 B 1.19
実施例6:テトラエチルアンモニウムフェニルトリ(2,5−ジメチルフェニル)ボレイトの製造
第一工程
リチウム0.3g(43.2mmol)にジエチルエーテル10mlを加え、これに窒素雰囲気下、1−ブロモ−2,5−ジメチルベンゼン6.11g(33.0mmol)をジエチルエーテル20mlに溶かした溶液を反応温度が−75〜−65℃になるように滴下し、さらに、同温度で2時間撹拌させる。これを2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナン1.62g(10.0mmol)をテトラヒドロフラン10mlに溶かした溶液に、反応温度が5℃を超えないように滴下させる。さらに、0〜5℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで上がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mテトラエチルアンモニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残渣にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物3.80g(7.10mmol)を収率71%で得た。
このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が403、カチオン部が130で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 85.53 H 9.82 N 2.62 B 2.03
測定値(%) C 85.78 H 10.01 N 2.49 B 1.80
実施例7:テトラエチルアンモニウムシクロヘキシルトリフェニルボレイトの製造
第一工程
リチウム0.46g(66.0mmol)にジエチルエーテル10mlを加え、これに窒素雰囲気下、ブロモベンゼン5.18g(33.0mmol)をジエチルエーテル20mlに溶かした溶液を反応温度が−75〜−65℃になるように滴下し、さらに同温度で2時間撹拌させる。これに2−シクロヘキシル−1,3,2−ジオキサボリナン1.62g(10.0mmol)をテトラヒドロフラン10mlに溶かした溶液を反応温度が0〜5℃になるように滴下し、さらに0〜5℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで上がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mテトラエチルアンモニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残渣にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物4.21g(9.00mmol)を収率90%で得た。
このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が333、カチオン部が130で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 84.37 H 10.81 N 3.07 B 2.37
測定値(%) C 84.19 H 11.00 N 2.89 B 2.15
実施例8:テトラメチルアンモニウムノルマルブチルトリナフチルボレイトの製造
第一工程
1−ブロモナフタレン6.83g(33.0mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶かした溶液に窒素雰囲気下、1.6Mノルマルブチルリチウム21ml(33.6mmol)を氷冷下加え、さらに、同温度で2時間撹拌させる。これをジイソプロピルエチルボロネート1.58g(10.0mmol)をテトラヒドロフラン10mlに溶かした溶液に、反応温度が10℃を超えないように滴下させる。さらに、0〜5℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで上がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mテトラメチルアンモニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残渣にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物4.35g(8.78mmol)を収率87%で得た。
このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が421、カチオン部が74で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 87.37 H 7.73 N 2.83 B 2.18
測定値(%) C 87.51 H 7.80 N 2.59 B 2.23
実施例9:テトラノルマルブチルアンモニウムブチルトリ(6−メトキシ−2−ナフチル)ボレイトの製造例
第一工程
マグネシウム1.00g(41.1mmol)にヨウ素を10mgとジイソプロピルノルマルブチルボロネート1.86g(10.0mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、これに窒素雰囲気下、2−ブロモ−6−メトキシナフタレン7.82g(33.0mmol)をテトラヒドロフラン30mlに溶かした溶液を反応温度が67〜72℃になるように滴下し、さらに30〜50℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで下がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mテトラノルマルブチルアンモニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残査にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物7.11g(9.10mmol)を収率91%で得た。このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が540、カチオン部が242で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 81.41 H 9.28 N 1.79 B 1.38
測定値(%) C 81.55 H 9.46 N 1.76 B 1.38
実施例10:テトラノルマルブチルホスホニウムブチルトリナフチルボレイトの製造例
第一工程
マグネシウム1.00g(41.1mmol)にヨウ素を10mgとジイソプロピルノルマルブチルボロネート1.86g(10.0mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、これに窒素雰囲気下、1−ブロモナフタレン6.83g(33.0mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶かした溶液を反応温度が67〜72℃になるように滴下し、さらに30〜50℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで下がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mテトラノルマルブチルホスホニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残査にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物6.17g(8.70mmol)を収率87%で得た。このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が421、カチオン部が259で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 84.73 H 9.39 B 1.53
測定値(%) C 84.90 H 9.55 B 1.77
実施例11:トリノルマルブチルスルホニウムブチルトリナフチルボレイトの製造
第一工程
マグネシウム1.00g(41.1mmol)にヨウ素を10mgとジイソプロピルノルマルブチルボロネート1.86g(10.0mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、これに窒素雰囲気下、1−ブロモナフタレン6.83g(33.0mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶かした溶液を反応温度が67〜72℃になるように摘下し、さらに30〜50℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで下がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mトリノルマルブチルスルホニウムアイオダイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残査にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物5.88g(9.00mmol)を収率90%で得た。このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が421、カチオン部が203で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 84.63 H 8.80 S 4.91 B 1.65
測定値(%) C 85.00 H 9.01 S 4.77 B 1.82
実施例12:ジフェニルヨードニウムブチルトリナフチルボレイトの製造
第一工程
マグネシウム1.00g(41.1mmol)にヨウ素を10mgとジイソプロピルノルマルブチルボロネート1.86g(10.0mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、これに窒素雰囲気下、1−ブロモナフタレン6.83g(33.0mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶かした溶液を反応温度が67〜72℃になるように滴下し、さらに30〜50℃で2時間撹拌させることにより、反応を完結させる。
第二工程
反応液が室温にまで下がったら、ジエチルエーテルを200ml加え、次いで水50mlを少しずつ加えていく。反応液を分液ロートに移液し、水80ml、0.2Mジフェニルヨードニウムブロマイド水溶液60ml、水80mlの順で洗浄後、濃縮する。残査にジエチルエーテルを200ml加え、析出した固体をろ取し、白色固体の目的物6.43g(9.10mmol)を収率91%で得た。このもののマススペクトルを測定したところ、アニオン部が421、カチオン部が281で理論値と一致していた。また、元素分析も理論値と一致した。
元素分析:
理論値(%) C 74.80 H 5.70 B 1.53
測定値(%) C 74.78 H 5.88 B 1.62
産業上の利用可能性
本発明によれば、光重合開始剤あるいは光吸収性消色剤として有用な前記一般式(1)で示される高純度のホウ素系化合物を、従来法に比べて短時間で、かつ高収率で得ることができる。

Claims (8)

  1. 一般式(4)
    Figure 0004047390
    (式中、R1およびR2は互いに異なり、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、または置換基を有してもよい脂環基を表わし、Mはリチウムまたはマグネシウムを表わし、Mがリチウムの時はnは1であり、Mがマグネシウムの時はnは2である。)で示されるボレイト金属塩に、一般式(5)
    +・X- (5)
    (式中、Z+はアンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン、オキソスルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、またはヨードニウムカチオンを表わし、X-はハロゲン原子アニオンを表わす。)で示されるオニウムハライドを加えてイオン交換反応をさせることを特徴とする一般式(1)
    Figure 0004047390
    (式中の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示されるホウ素系化合物の製造方法。
  2. リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と、一般式(2)
    Figure 0004047390
    (式中、R1は請求の範囲1と同じ意味を表わし、R7およびR8は同一でも異なってもよく、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい脂環基を表わすか、またはR7とR8が相互に結合し、ホウ素原子および酸素原子と一緒に環状構造を表わす。)で示される化合物と、一般式(3)
    2−Y (3)
    (式中、R2は請求の範囲1と同じ意味を表わすが、前記一般式(2)のR1とは異なる基であり、Yは水素原子またはハロゲン原子を表わす。)で示される化合物との反応で得られる一般式(4)
    Figure 0004047390
    (式中、R1、R2、Mおよびnは請求の範囲1と同じ意味を表わす。)で示されるボレイト金属塩を製造する第一工程と、前記ボレイト金属塩に一般式(5)
    +・X- (5)
    (式中、Z+およびX-は請求の範囲1と同じ意味を表わす。)で示されるオニウムハライドを加えてイオン交換反応をさせる第二工程とからなることを特徴とする一般式(1)
    Figure 0004047390
    (式中、R1、R2およびZ+は請求の範囲1と同じ意味を表わす。)で示されるホウ素系化合物の製造方法。
  3. 前記一般式(5)で示されるオニウムハライドとして、一般式(6)
    Figure 0004047390
    (式中、X-は請求の範囲1と同じ意味を表わし、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、または置換基を有してもよい脂環式基を表わす。)で示されるアンモニウムカチオンのハライドを使用する請求の範囲1または2に記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法。
  4. 第一工程で、リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と一般式(3)で示される化合物を溶媒中で反応させた後、一般式(2)で示される化合物を加え反応させて一般式(4)で示されるボレイト金属塩を得る請求の範囲1乃至3のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法。
  5. 第一工程で、一般式(2)で示される化合物に、リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と一般式(3)で示される化合物を溶媒中で反応させたものを加えて一般式(4)で示されるボレイト金属塩を得る請求の範囲1乃至3のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法。
  6. 第一工程で、一般式(2)で示される化合物の存在下で、リチウム、マグネシウムまたはリチウムを含む化合物と一般式(3)で示される化合物を溶媒中で反応させて一般式(4)で示されるボレイト金属塩を得る請求の範囲1乃至3のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法。
  7. 第一工程で、リチウムまたはマグネシウムを使用し、一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物を使用する請求の範囲1乃至6のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法。
  8. 第一工程で、有機リチウム化合物を使用し、一般式(3)で示される化合物としてハロゲン化物を使用する請求の範囲1乃至6のいずれかに記載の一般式(1)で示されるホウ素系化合物の製造方法。
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