しかしながら、アクリル樹脂は現像時に膨潤するため、ベース樹脂としてアクリル樹脂を用いると、レジストパターンの形状が悪くなるという問題を有し、脂環族系の樹脂は疎水性が強いため、ベース樹脂として脂環族系の樹脂を用いると、現像液に対する溶解性及び基板密着性が低下するという問題を有している。
ところで、F2 レーザ(波長:157nm帯)に関しては、ルールが65nm以下の程度まで微細化ができると期待されているが、ベース樹脂の透明性の確保が困難であり、ArF用のベース樹脂であるアクリル樹脂は光を全く透過せず、シクロオレフィン系の樹脂ではカルボニル結合を有するものは強い吸収性を有することが分かった。また、KrF用のベース樹脂であるポリビニルフェノールについては、160nm帯付近に吸収のウィンドウ(露光光が吸収されないため透明性が高い領域)があるので透過率が若干向上するが、実用的なレベル(40%以上の透過率)にはほど遠いことが判明した。
このように、157nm帯の近傍においてはカルボニル基又は炭素の二重結合が吸収性を有するので、これらのユニットを低減化することが透過率の向上にとって1つの有効な方法と考えられる。
ところで、最近の研究によりベース樹脂中にフッ素原子を導入すると、157nm帯の近傍で透明性が飛躍的に向上することが分かってきた。実際、ポリビニルフェノールの芳香環にフッ素を導入したポリマーは実用的に近い透過率を得ることができた。
しかしながら、このベース樹脂は、F2 レーザのような高エネルギービームが照射されるとネガ化が進行することが顕著であり、レジスト材料としての実用化は難しいことが判明した。
また、アクリル系ポリマー、又はノルボルネン誘導体から得られる脂肪族環状化合物を主鎖に含有する高分子化合物にフッ素を導入した樹脂は、透明度が高いと共に、ネガ化も起こらないことが判明したが、透明性を一層向上させるべくフッ素の導入率を増加させると、レジスト膜の基板密着性及び現像液の浸透性が悪くなる傾向にあることが分かってきた。
また、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ビニルスルホン酸エステルユニットを組み込んだ高分子化合物をベース樹脂として含むレジスト膜は、基板密着性及び現像溶解性が良好であると共に、現像液の透明性が向上することを見出しているが、現像時には膨潤が生じ、また溶解速度を制御することが困難であった。
前記に鑑み、本発明は、波長が300nm帯以下の露光光、特にKrFレーザ(波長:248nm帯)若しくはArFレーザ(波長:193nm帯)等の遠紫外光、又は、F2 レーザ(波長:157nm帯)、Kr2 レーザ(波長:146nm帯)、KrArレーザ(波長:134nm帯)若しくはAr2 レーザ(波長:126nm帯)等の真空紫外光に対する透過率に優れると共に、基板密着性に優れ、膨潤が無くて現像溶解性に優れるレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料、レジスト材料のベース樹脂として有用な新規な高分子化合物、及び前記のレジスト材料を用いるパターン形成方法を提供することを目的にする。
本件発明者らは、前記の目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、側鎖にスルホンアミド基を持つスルホンアミド化合物を含むポリマーをベース樹脂として使用すると、透明性に優れていると共に、高い基板密着性、膨潤が無く且つ現像溶解性に優れたレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料が得られることを見出した。
すなわち、側鎖にスルホンアミド基を持つスルホンアミド化合物は、硫黄−酸素の二重結合を2つ含むにも拘わらず、波長が300nm帯以下である露光光に対する透過率が高いと共に、側鎖にスルホンアミド基を持つスルホンアミド化合物よりなるユニットを含む高分子化合物をベース樹脂として含むレジスト膜の基板密着性及び現像液浸透性は、フッ素含有ポリマーをベース樹脂として含むレジスト膜に比べて飛躍的に向上することが明らかになった。
まず、透明性が向上するメカニズム及び透明性が向上することによる効果について説明する。
側鎖にスルホンアミド基を持つユニットを有するベース樹脂は、硫黄−酸素の二重結合を2つ含むにも拘わらず、波長が300nm帯以下である露光光に対する透過率が高いことが明らかとなった。側鎖にスルホンアミド基を持つユニットは、ベース樹脂を構成する全ての側鎖にカルボニル基を利用することなく、ベース樹脂を構成することができる。このため、特に200nm帯の露光光に対して吸収特性の高いカルボニル基の配合を抑えてベース樹脂を構成することができるので、短い露光波長帯に対してレジスト膜の透明性を向上させることができる。
したがって、パターン露光時の露光光がレジスト膜の底部まで届くことにより、露光部におけるレジスト膜はその底部においても現像可能な状態に変化し、又は露光部から充分な酸が発生してレジスト膜の底部においても現像可能な状態に変化するので、良好なレジストパターンを得ることができる。
尚、複数のCF3 基をベース樹脂中に導入すると、露光光に対するレジスト膜の透明性が向上する。これは、F原子がベース樹脂中に複数存在すると、置換基のいずれの場所においてもF原子に置換されない構造を有するレジスト膜に対する露光光の吸収ピークがシフトし、露光光の当初の吸収帯が移動するからである。
また、フッ素含有ポリマーをベース樹脂として含むレジスト膜は、通常、カルボニルエステルを側鎖に備えるタイプが一般的である。一方、本発明のベース樹脂となるベースポリマーは、側鎖にスルホンアミド基を有している。スルホンアミド基では、陰性が強いと共に極性が大きい酸素原子及び硫黄原子が二重結合で結合しており、結合に関与しない酸素原子上の自由電子が非局在化した状態で存在している。このため、ベースポリマーの側鎖にスルホンアミド基を導入すると、ベースポリマーにおけるスルホンアミド基の部分が強い極性を示すので、スルホンアミド基と基板との間で電子的な相互作用が容易に発生しやすくなったり、又はスルホンアミド基と現像液のアルカリ基との間でイオン相互作用が発生する。したがって、レジスト膜の基板密着性が向上し、露光部の現像液に対する反応性が向上する。
さらに、ベースポリマーの側鎖にスルホンアミド基を有すると、レジスト膜の膨潤を抑制することができることを見出した。
従来のアクリル系のレジスト材料は、現像液と反応させるためのユニットとして、露光後にカルボン酸基となるユニットを側鎖に有している。カルボン酸基は、下記[化15]に示すように、H原子とO原子とは水素結合によって相互作用するので、2分子が互いに向かい合って構成させる6角形構造を形成しやすい。この6角形構造は電子がオクテットを形成しているので、立体化学的に安定した状態である。このような構造を有する結合がベースポリマーの各箇所において露光後に発生すると、ポリマーの側鎖間において3次元的な結合ができやすくなり、ポリマーが網目構造を形成しやすくなる。その結果、レジスト膜が膨潤してしまう。
一方、本発明のレジスト材料は、露光後に現像液と反応させるためのユニットとして、側鎖にスルホンアミド基を備えるユニットを有している。スルホンアミド基は、その構造上、カルボン酸基のように互いにカップリングするような結合形態は形成され得ないので、露光後、現像液と反応可能なユニットが形成されても、ベースポリマーの末端基同士が3次元的な結合を形成しにくく、又は網目構造を形成しにくい。このため、レジスト膜の膨潤を抑制することができる。
本件発明は前記の知見に基づきなされたものであって、具体的には以下の各発明によって実現される。
本発明に係るレジスト材料は、[化20]の一般式で表される第1のユニット及び[化21]の一般式で表される第2のユニットよりなる高分子化合物を有するベース樹脂を備えることを特徴とする。
但し、R1、及びR 2 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R 3 は、トリフルオロメチル基であり、R4 は、単結合、又は炭素数0以上で且つ20以下の直鎖状のアルキレン基又は分岐状若しくは環状のアルキレン基であり、R5 及びR6 は、同種又は異種であって、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、R7 は、メチレン基、酸素原子、硫黄原子、又は−SO2− であり、R8、R9、R10及びR11 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、水酸基、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13であり、R8、R9、R10及びR11 のうち少なくとも1つは、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13を含み、(但し、R12は、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキレン基、分岐状若しくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキルレン基であり、R13は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基である。)aは0<a<100であり、bは0<b<100であり、cは0又は1である。
本発明に係るレジスト材料によると、ベース樹脂は第1のユニットの側鎖にスルホンアミド基を有しており、スルホンアミド基を構成する硫黄原子が正の極性を帯びる一方、スルホンアミド基を構成する酸素原子が負の極性を帯びるので、スルホンアミド基を有する第1のユニットの親水性が高くなる。従って、レジスト膜の基板密着性が高くなると共に、レジスト膜は膨潤性が無くて現像溶解性に優れているため得られるレジストパターンの形状が良好になる。また、ベース樹脂は第1のユニットの側鎖にスルホンアミド基を有しているため、硫黄−酸素の二重結合を2つ含むにも拘わらず、波長が300nm帯以下である露光光に対する透過率が高い。さらに、ベース樹脂は第2のユニットの側鎖にベンゼン環を有しているので、ドライエッチング耐性を向上させることができる。また、R 3 は、トリフルオロメチル基であるため、透明性を一層向上させることができる。
本発明に係るレジスト材料において、光の照射により酸を発生する酸発生剤をさらに備えることが好ましい。
このようにすると、前記効果を有するポジ型の化学増幅型レジスト材料を実現できる。
本発明に係るレジスト材料において、第2のユニットは、[化22]で表されることが好ましい。
但し、R13 は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、R14 及びR15 は、トリフルオロメチル基であり、bは0<b<100である。
このように第2のユニットには、トリフルオロメチル基が含まれているので、透明性を一層向上させることができる。
本発明に係るレジスト材料において、[化23]の一般式で表される第3のユニットをさらに含むことが好ましい。
但し、R16、R17及びR18 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R19 は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、eは0<e<100である。
本発明に係るレジスト材料において、第3のユニットにおけるR18 は、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
このようにすると、透明性を一層向上させることができる。
本発明に係るレジスト材料において、酸により脱離する保護基が、アルコキシエチル基又はアルコキシメチル基であることが好ましい。
このようにすると、アセタール基は、エーテル結合を含み、酸素原子上に不対電子対を有するので、酸に対する反応性が高い。つまり、酸と反応するために必要な活性化エネルギーが少なくなる。このため、アセタール基の保護基を酸によって容易に脱離させることができる。
また、アルコキシエチル基としては、アダマンチルオキシエチル基、t−ブチルオキシエチル基、エトキシエチル基、又はメトキシエチル基が挙げられる。
また、アルコキシメチル基としては、アダマンチルオキシメチル基、t−ブチルオキシメチル基、エトキシメチル基、又はメトキシメチル基が挙げられる。
本発明に係るレジスト材料において、高分子化合物の重量平均分子量が、1,000以上であって且つ500,000以下であることが好ましい。
本発明に係る第1のパターン形成方法は、[化24]の一般式で表される第1のユニット及び[化25]の一般式で表される第2のユニットよりなる高分子化合物を有するベース樹脂を備えるレジスト材料からなるレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜に、100nm帯以上であって且つ300nm帯以下若しくは1nm帯以上であって且つ30nm帯以下の高エネルギー線、又は電子線よりなる露光光を選択的に照射してパターン露光を行なう工程と、パターン露光が行なわれたレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程とを備えていることを特徴とする。
但し、R1、及びR 2 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R 3 は、トリフルオロメチル基であり、R4 は、単結合、又は炭素数0以上で且つ20以下の直鎖状のアルキレン基又は分岐状若しくは環状のアルキレン基であり、R5 及びR6 は、同種又は異種であって、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、R7 は、メチレン基、酸素原子、硫黄原子、又は−SO2− であり、R8、R9、R10及びR11 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、水酸基、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13であり、R8、R9、R10及びR11 のうち少なくとも1つは、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13を含み、(但し、R12は、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキレン基、分岐状若しくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキルレン基であり、R13は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基である。)aは0<a<100であり、bは0<b<100であり、cは0又は1である。
本発明に係る第1のパターン形成方法によると、ベース樹脂は第1のユニットの側鎖にスルホンアミド基を有しており、スルホンアミド基を構成する硫黄原子が正の極性を帯びる一方、スルホンアミド基を構成する酸素原子が負の極性を帯びるので、スルホンアミド基を有する第1のユニットの親水性が高くなる。従って、レジスト膜の基板密着性が高くなると共に、レジスト膜は膨潤性が無くて現像溶解性に優れているためレジストパターンの形状が良好になる。また、ベース樹脂は第1のユニットの側鎖にスルホンアミド基を有しているため、硫黄−酸素の二重結合を2つ含むにも拘わらず、波長が300nm帯以下である露光光に対する透過率が高い。さらに、ベース樹脂は第2のユニットの側鎖にベンゼン環を有しているので、ドライエッチング耐性を向上させることができる。また、R 3 は、トリフルオロメチル基であるため、透明性を一層向上させることができる。
本発明に係る第2のパターン形成方法は、[化26]の一般式で表される第1のユニット及び[化27]の一般式で表される第2のユニットよりなる高分子化合物を有するベース樹脂を備えるレジスト材料からなるレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜上に液体を配する工程と、レジスト膜に、100nm帯以上であって且つ300nm帯以下若しくは1nm帯以上であって且つ30nm帯以下の高エネルギー線、又は電子線よりなる露光光を選択的に照射してパターン露光を行なう工程と、パターン露光が行なわれたレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程とを備えていることを特徴とする。
但し、R1、及びR 2 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R 3 は、トリフルオロメチル基であり、R4 は、単結合、又は炭素数0以上で且つ20以下の直鎖状のアルキレン基又は分岐状若しくは環状のアルキレン基であり、R5 及びR6 は、同種又は異種であって、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、R7 は、メチレン基、酸素原子、硫黄原子、又は−SO2− であり、R8、R9、R10及びR11 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、水酸基、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13であり、R8、R9、R10及びR11 のうち少なくとも1つは、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13を含み、(但し、R12は、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキレン基、分岐状若しくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキルレン基であり、R13は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基である。)aは0<a<100であり、bは0<b<100であり、cは0又は1である。
本発明に係る第2のパターン形成方法によると、パターン露光を行なう工程を液漬リソグラフィによって行なうので、レジスト膜の解像性が向上する。ここで、液浸リソグラフィとは、露光装置内における集光レンズとウエハー上のレジスト膜との間の領域を空気より大きい屈折率を有する液体で満たすことにより、理論上、露光装置のNA(レンズの開口数)を最大で液体の屈折率まで上げることができるようになり、レジスト膜の解像性を向上させる方法である。また、フォーカス深度の拡大も可能である。また、R 3 は、トリフルオロメチル基であるため、透明性を一層向上させることができる。
具体的に以下に効果を説明すると、本発明では、レジスト材料のベース樹脂の側鎖にスルホンアミド基を有することにより、特に液浸リソグラフィにおいても高い解像度を得ることができる。スルホンアミド基では、陰性が強いと共に極性が大きい酸素原子及び硫黄原子が二重結合で結合しており、また、硫黄原子に陽性を帯びやすい窒素原子が結合していることにより、硫黄原子との結合に関与しない酸素原子上の自由電子が非局在化した状態で存在している。つまり、スルホンアミド基は高い極性を持つ置換基であり、本発明のように、ベース樹脂がビニルスルホンアミドユニットで構成されると、側鎖にスルホンアミド基が複数存在することになる。したがって、あるベース樹脂の側鎖に結合するスルホンアミド基における陰性を強く帯びる酸素原子と、別のベース樹脂の側鎖に結合するスルホンアミド基における陽性を強く帯びる窒素原子との間で電子的な相互作用(化学的な相互作用)が働いて、レジスト膜を構成するベース樹脂間で強い相互作用が発生する。
したがって、液浸リソグラフィにおける露光工程において、レジスト膜上に液体が配されても、レジスト膜内の強い相互作用によってレジスト膜を構成する物質が互いに保持し合う力が働くので、レジスト膜から液体へレジスト含有物質が溶出しにくくなる。また、レジスト膜を構成するベース樹脂内で化学的な相互作用によって置換基がすでに結びついているため、液浸リソグラフィにおける露光時の液体の構成分子とベース樹脂との間で相互作用は発生しにくいので、液体がレジスト膜内に浸入することを防ぐ作用が働く。これにより、液浸リソグラフィにおける露光に特有の高い解像度を維持すると共に、現像液に対する溶解性に優れるので、安定したパターン形成を行なうことができる。
本発明に係る第1又は第2のパターン形成方法において、レジスト材料は、光の照射により酸を発生する酸発生剤をさらに備えることが好ましい。
このようにすると、ポジ型の化学増幅型は、レジスト材料を用いたパターン形成によって前記効果を実現できる。
本発明に係る第1又は第2のパターン形成方法において、レジスト材料は、ベース樹脂の溶解を阻害する溶解阻害剤をさらに有することが好ましい。
このようにすると、レジスト膜の溶解コントラストが向上する。
本発明に係る第1又は第2のパターン形成方法において、第2のユニットは、[化28]で表されることが好ましい。
但し、R13 は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、R14 及びR15 は、トリフルオロメチル基であり、bは0<b<100である。
このように第2のユニットには、トリフルオロメチル基が含まれているので、透明性を一層向上させることができる。
本発明に係る第1又は第2のパターン形成方法において、[化29]の一般式で表される第3のユニットをさらに含むことが好ましい。
但し、R16、R17及びR18 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R19 は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、eは0<e<100である。
本発明に係る第1又は第2のパターン形成方法において、第3のユニットにおけるR18 は、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
このようにすると、透明性を一層向上させることができる。
本発明に係る第1又は第2のパターン形成方法において、酸により脱離する保護基が、アルコキシエチル基又はアルコキシメチル基であることが好ましい。
このようにすると、アセタール基は、エーテル結合を含み、酸素原子上に不対電子対を有するので、酸に対する反応性が高い。つまり、酸と反応するために必要な活性化エネルギーが少なくなる。このため、アセタール基の保護基は酸によって容易に脱離させることができる。
また、アルコキシエチル基としては、アダマンチルオキシエチル基、t−ブチルオキシエチル基、エトキシエチル基、又はメトキシエチル基が挙げられる。
また、アルコキシメチル基としては、アダマンチルオキシメチル基、t−ブチルオキシメチル基、エトキシメチル基、又はメトキシメチル基が挙げられる。
本発明に係る第1又は第2のパターン形成方法において、高分子化合物の重量平均分子量が、1,000以上であって且つ500,000以下であることが好ましい。
本発明に係る第1又は第2のパターン形成方法において、露光光は、KrFレーザ、ArFレーザ、F2 レーザ、Kr2 レーザ、KrArレーザ、Ar2 レーザ又は軟X線を用いることができる。
本発明に係る第2のパターン形成方法において、液体は、水又はパーフルオロポリエーテルを用いることができる。
本発明によると、高分子化合物は、第1のユニットの側鎖にスルホンアミド基(SO2N基 )を有しており、スルホンアミド基を構成する硫黄原子(S)が正の極性を帯びる一方、スルホンアミド基を構成する酸素原子(O)が負の極性を帯びるので、スルホンアミド基を有する第1のユニットは親水性が高くなる。また、高分子化合物は、第1のユニットの側鎖にスルホンアミド基を有しているため、透明性も向上する。さらに、第2のユニットの側鎖にベンゼン環を有しているので、ドライエッチング耐性を向上させることができる。また、本発明は、液侵リソグラフィを用いたパターンの形成においても効果的である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る高分子化合物について説明する。
第1の実施形態に係る高分子化合物は[化30]の一般式で表される第1のユニット及び[化31]の一般式で表される第2のユニットを含む。尚、第1の実施形態に係る高分子化合物の重量平均分子量は1,000以上であって且つ500,000以下であり、2,000以上であって且つ100,000以下であることが好ましい。
但し、[化30]及び[化31]において、R1、R2及びR3は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R5 及びR6 は、同種又は異種であって、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、R7 は、メチレン基、酸素原子、硫黄原子、又は−SO2− であり、R8、R9、R10及びR11 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、水酸基、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13であり、R8、R9、R10及びR11 のうち少なくとも1つは、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13を含み、(但し、R12は、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキレン基、分岐状若しくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキルレン基であり、R13は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基である。)また、aは0<a<100であり、bは0<b<100であり、cは0又は1である。尚、R13としての炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、又はフッ素化されたアルキル基は、水酸基等の親水性基を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、第1の実施形態に係る高分子化合物が化学増幅型レジスト材料に用いられる場合には、R5 及びR6 のうちの少なくとも1つは酸により脱離する保護基である。
また、[化30]におけるR3 は、トリフルオロメチル基であることが好ましい。これにより、透明性を一層向上させることができる。
また、第2のユニットは、[化32]で表されることが好ましい。
但し、R13 は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、R14 及びR15 は、トリフルオロメチル基であり、bは0<b<100である。尚、R13としての炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、又はフッ素化されたアルキル基は、水酸基等の親水性基を含んでもよいし、含まなくてもよい。
このように、第2のユニット中にトリフルオロメチル基を有するので、透明性を一層向上させることができる。
また、[化30]の一般式で表される第1のユニット及び[化31]の一般式で表される第2のユニットを含む高分子化合物は、[化33]の一般式で表される第3のユニットをさらに含むことが好ましい。
但し、R16、R17及びR18 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R19 は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、eは0<e<100である。尚、R19 としての炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基は、水酸基等の親水性基を含んでもよいし、含まなくてもよい。
このように、第3のユニットが有するR19 は前記のように水素原子等からなるため、溶解性が高くなるので、溶解コントラストを向上させることができる。また、第3のユニットが親水性の高いエステル結合を有するので、基板密着性を向上させることができる。さらに、所望の機能が得られるようにR19 を選択することにより、溶解コントラスト及び基板密着性を一層向上させると共に、ドライエッチング耐性を向上させることができる。
また、[化33]におけるR18 は、トリフルオロメチル基であることが好ましい。これにより、透明性を一層向上させることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る高分子化合物について説明する。
第2の実施形態に係る高分子化合物は[化34]の一般式で表される第1のユニット及び[化35]の一般式で表される第2のユニットを含む。尚、第2の実施形態に係る高分子化合物の重量平均分子量は1,000以上であって且つ500,000以下であり、2,000以上であって且つ100,000以下であることが好ましい。
但し、[化34]及び[化35]において、但し、R1、R2及びR3は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R4 は、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキレン基又は分岐状若しくは環状のアルキレン基であり、R5 及びR6 は、同種又は異種であって、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、R7 は、メチレン基、酸素原子、硫黄原子、又は−SO2− であり、R8、R9、R10及びR11 は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、水酸基、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13であり、R8、R9、R10及びR11 のうち少なくとも1つは、−OR13、−CO2 R13、−R12−OR13又は−R12−CO2 R13を含み、(但し、R12は、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキレン基、分岐状若しくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基であり、R13は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基である。)また、aは0<a<100であり、bは0<b<100であり、cは0又は1である。尚、R13としての炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、又はフッ素化されたアルキル基は、水酸基等の親水性基を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、第2の実施形態に係る高分子化合物が化学増幅型レジスト材料に用いられる場合には、R5 及びR6 のうちの少なくとも1つは酸により脱離する保護基である。
また、[化34]におけるR3 は、トリフルオロメチル基であることが好ましい。これにより、透明性を一層向上させることができる。
また、第2のユニットは、[化36]で表されることが好ましい。
但し、R13 は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、R14及びR15は、トリフルオロメチル基であり、bは0<b<100である。尚、R13としての炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、又はフッ素化されたアルキル基は、水酸基等の親水性基を含んでもよいし、含まなくてもよい。
このように、第2のユニット中にトリフルオロメチル基を有するので、透明性を一層向上させることができる。
また、[化34]の一般式で表される第1のユニット及び[化35]の一般式で表される第2のユニットを含む高分子化合物は、[化37]の一般式で表される第3のユニットをさらに含むことが好ましい。
但し、R16、R17及びR18は、同種又は異種であって、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R19 は、水素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基又は酸により脱離する保護基であり、eは0<e<100である。尚、R19としての炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基は、水酸基等の親水性基を含んでもよいし、含まなくてもよい。
このように、第3のユニットが有するR19 は前記のように水素原子等からなるため、溶解性が高くなるので、溶解コントラストを向上させることができる。また、第3のユニットが親水性の高いエステル結合を有するので、基板密着性を向上させることができる。さらに、所望の機能が得られるようにR19 を選択することにより、溶解コントラスト及び基板密着性を一層向上させると共に、ドライエッチング耐性を向上させることができる。
また、[化37]におけるR18 は、トリフルオロメチル基であることが好ましい。これにより、透明性を一層向上させることができる。
尚、第1及び第2の実施形態において、第1のユニット及び第2のユニットを含む高分子化合物、又は第1のユニット、第2のユニット及び第3のユニットを含む高分子化合物における、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、2−アダマンチル基、(2−アダマンチル)メチル基等を挙げることができる。これらの基においては、炭素数が1以上で且つ12以下であることが好ましく、炭素数が1以上で且つ10以下であることが特に好ましい。
また、第1のユニット及び第2のユニットを含む高分子化合物、又は第1のユニット、第2のユニット及び第3のユニットを含む高分子化合物における、フッ素化されたアルキル基としては、前記のアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものを用いることができ、具体的には、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基又は1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられるほか、[化38]に示す各一般式で表される基を用いることができる。
但し、[化38]において、R31は、水素原子、フッ素原子、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基、分岐状若しくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。また、fは0以上で且つ10以下の整数である。
以下、第1のユニット及び第2のユニットを含む高分子化合物、又は第1のユニット、第2のユニット及び第3のユニットを含む高分子化合物における、酸により脱離する保護基(R5 、R6 及びR19)について説明する。ここで用いられる保護基としては、種々の基を用いることができるが、特に[化39]、[化40]又は[化41]に示す一般式で表される基を用いることが好ましい。
以下、[化39]に示す一般式について説明する。
[化39]において、R33は、炭素数4以上で且つ20以下好ましくは炭素数4以上で且つ15以下の三級アルキル基、炭素数4以上で且つ20以下のオキソアルキル基、又は[化41]に示す基であり、三級アルキル基として、具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基又は2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、オキソアルキル基として、具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基又は5−メチル−5−オキソオキソラン−4−イル基等が挙げられる。また、gは0以上で且つ6以下の整数である。
[化39]で表される保護基の具体例としては、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基又は2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
以下、[化40]に示す一般式について説明する。
[化40]において、R34及びR35は、同種又は異種であって、水素原子、炭素数1以上で且つ18以下好ましくは炭素数1以上で且つ10以下の直鎖状のアルキル基、又は分岐状若しくは環状のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基又はn−オクチル基等を挙げることができる。
また、[化40]において、R36は、炭素数1以上で且つ18以下好ましくは炭素数1以上で且つ10以下の1価の炭化水素基(但し、酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい)を示し、R36としては、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、これらのアルキル基における水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基又はアルキルアミノ基等により置換されたものを挙げることができる。R16の具体例としては、[化42]に示す置換アルキル基等が挙げられる。
[化40]において、R34とR35、R34とR36、R35とR36は、互いに結合して環を形成してもよく、環を形成する場合にはR34、R35及びR36はそれぞれ炭素数1以上で且つ18以下好ましくは炭素数1以上で且つ10以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。
[化40]で示される保護基において、直鎖状又は分岐状のアルキレン基の具体例としては、[化43]に示すものが挙げられる。
また、[化40]で示される保護基において、環状のアルキレン基の具体例としては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等を挙げることができる。
[化40]で示される保護基としては、エトキシエチル基、ブトキシエチル基又はエトキシプロピル基、アダマンチルオキシエチル基、又はアダマンチルオキシメチル基が好ましい。
以下、[化41]に示す一般式について説明する。
[化41]において、R37、R38及びR39は、炭素数1以上で且つ20以下の直鎖状のアルキル基又は分岐状若しくは環状のアルキル基等の1価炭化水素基であって、酸素、硫黄、窒素又はフッ素などのヘテロ原子を含んでいてもよい。
[化41]において、R37とR38、R37とR39、R38とR39は、互いに結合し、これらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
[化41]で示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボルニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−イソプロピル基又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−シクロヘキシル−イソプロピル基等を挙げることができると共に、これらのほかに[化44]に示す基を挙げることができる。
[化44]において、R20は、炭素数1以上で且つ6以下の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基等を挙げることができる。
また、[化44]において、R21は、炭素数2以上で且つ6以下の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基等を挙げることができる。
また、[化44]において、R22及びR23は、同種又は異種であって、水素原子、炭素数1以上で且つ6以下の1価の炭化水素基(但し、ヘテロ原子を含んでいてもよいし、ヘテロ原子を介して結合していてもよい。)を示し、R22及びR23としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。この場合、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を挙げることができ、−OH、−OR24、−O−、−S−、−S(=O)−、−NH2 、−NHR24、−N(R24)2 、−NH−、−NR24−を挙げることができる。尚、ここでのR24はアルキル基を示す。
[化44]におけるR22及びR23の具体例としては、メチル基、ヒドロキシメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、プロピル基イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、メトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシ基又はtert−ブトキシ基等を挙げることができる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係るレジスト材料について説明する。
第3の実施形態に係るレジスト材料は、第1及び第2の実施形態に係る高分子化合物をベース樹脂として有するものである。
尚、第3の実施形態に係るレジスト材料は、膜の力学物性、熱的物性又はその他の物性を変える目的で、他の高分子化合物が混合されていてもよい。この場合、混合される高分子化合物としては特に限定されないが、第1又は第2の実施形態に係る高分子化合物がベース樹脂中の50〜70%を占めるように混合することが望ましい。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係るポジ型の化学増幅型レジスト材料について説明する。
第4の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料は、第1及び第2の実施形態に係る高分子化合物をベース樹脂として有していると共に、酸発生剤及び有機溶剤を有している。また、第4の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料は、緩衝剤若しくは溶解コントラストの向上剤となる塩基性化合物、又は溶解コントラストの向上剤となる溶解阻害剤を有していてもよい。
酸発生剤としての具体例としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム又はトリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム等が挙げられる。この場合、前記の酸発生剤は単独で含まれていてもよいし、2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。
酸発生剤の添加量としては、ベース樹脂100部に対して0.2〜15部が好ましい。酸発生剤の添加量が、ベース樹脂100部に対して0.2部よりも少ない場合には露光時の酸発生量が少なくなって感度及び解像性が悪い場合がある一方、ベース樹脂100部に対して15部よりも多い場合には透明性が低くなって解像性が低下する場合がある。
塩基性化合物としては、酸発生剤から発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散レートを抑制できる化合物が適している。塩基性化合物を化学増幅型レジスト材料に配合することにより、レジスト膜中での酸の拡散レートが抑制されるため解像度が向上する。このため、露光後の感度変化を抑制したり、基板又は環境依存性を低減して露光余裕度又はパターンプロファイルを向上させたりすることができる。
塩基性化合物の具体例としては、アンモニア、第1級、第2級若しくは第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する窒素含有化合物、スルホニル基を有する窒素含有化合物、水酸基を有する窒素含有化合物、ヒドロキシフェニル基を有する窒素含有化合物、アルコール性窒素含有化合物、アミド誘導体又はイミド誘導体等を挙げることができる。
溶解阻止剤としては、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が変化する分子量3,000以下の化合物、特に分子量2,500以下の化合物が好ましく、具体的には、フェノール、カルボン酸誘導体又はヘキサフルオロイソプロパノールを含む化合物の水酸基の一部又は全部が酸不安定基で置換された化合物が適している。
溶解阻止剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対して、20部以下が好ましく、15部以下が特に好ましい。レジスト材料中のベース樹脂100部に対して20部よりも多い場合には、モノマー成分が増えるので、レジスト材料の耐熱性が低下する。
尚、第4の実施形態に係るレジスト材料は、膜の力学物性、熱的物性、アルカリ可溶性又はその他の物性を変える目的で、他の高分子化合物が混合されていてもよい。この場合、混合される高分子化合物としては特に限定されないが、第1及び第2の実施形態に係る高分子化合物と適当な割合で混合することができる。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態に係るパターン形成方法について説明する。
第5の実施形態に係るパターン形成方法は、第3又は第4の実施形態に係るレジスト材料を用いるものであって、以下の工程を備えている。
まず、スピンコーティング法等により、第3又は第4の実施形態に係るレジスト材料を例えばシリコンウエハー等の基板上に、膜厚が0.1〜1.0μmとなるように塗布した後、ホットプレートを用いて、60〜200℃の温度下で10秒間〜10分間、好ましくは80〜150℃の温度下で30秒間〜5分間のプリベークを行なって、レジスト膜を形成する。
次に、レジスト膜に対して、所望のパターンを有するフォトマスクを介して、遠紫外線、エキシマレーザ若しくはX線等の高エネルギービーム、又は電子線を、1〜20mJ/cm2 程度好ましくは10〜100mJ/cm2 程度の露光量で照射した後、ホットプレートを用いて、60〜150℃の温度下で10秒〜5分間、好ましくは80〜130℃の温度下で30秒〜3分間のポストエクスポージャベーク(PEB)を行なう。
次に、レジスト膜に対して、0.1〜5%の濃度、好ましくは2〜3%の濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ性水溶液よりなる現像液を用いて、10秒間〜3分間、好ましくは30秒間〜2分間の現像を行なって、レジストパターンを形成する。現像方法としては、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法又はスプレー(spray)法等の公知の方法を採用することができる。
尚、第5の実施形態においては、露光光としては、254nm帯〜120nm帯の遠紫外線又はエキシマレーザ、特に248nm帯のKrFレーザ、193nm帯のArFレーザ、157nmのF2 レーザ、146nm帯のKr2 、134nm帯のKrArレーザ、126nm帯のAr2 レーザ若しくは軟X線よりなる高エネルギービーム、又は電子線を用いることができる。このようにすると、微細なレジストパターンを形成することができる。
(第1の実施例)
以下、第4の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料及び第5の実施形態に係るパターン形成方法を具体化する第1の実施例について図1(a)〜(d)を参照しながら説明する。
まず、以下の組成を有する化学増幅型レジスト材料を準備する。
ベース樹脂:[化45]に示す第1のユニットと[化46]に示す第2のユニットとが重合してなる樹脂
酸発生剤:トリフェニルスルフォニウムノナフレート(ベース樹脂に対して4重量%)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
次に、図1(a)に示すように、前記の組成を有する化学増幅型レジスト材料を半導体基板10上にスピンコートして、0.2μmの膜厚を有するレジスト膜11を形成する。この際、ベース樹脂がアルカリ難溶性であるため、レジスト膜11はアルカリ難溶性である。
次に、図1(b)に示すように、レジスト膜11に対してマスク12を介して、F2 レーザ(波長:157nm帯)よりなる露光光13を照射してパターン露光を行なう。このようにすると、レジスト膜11の露光部11aにおいては、酸発生剤から酸が発生する一方、レジスト膜11の未露光部11bにおいては酸が発生しない。
次に、図1(c)に示すように、半導体基板10ひいてはレジスト膜11をホットプレート14により加熱する。このようにすると、レジスト膜11の露光部11aにおいては、ベース樹脂が酸の存在下で加熱されるため、第2のユニットにおける保護基が脱離するので、ベース樹脂はアルカリ可溶性に変化する。
次に、レジスト膜11に対して、例えばテトラメチルハイドロオキサイド水溶液等よりなるアルカリ性現像液を用いて現像処理を行なう。このようにすると、レジスト膜11の露光部11aが現像液に溶解するので、図1(d)に示すように、レジスト膜11の未露光部11bからなるレジストパターン15が得られる。
尚、図1(b)に示すパターン露光は、レジスト膜11の上に水又はパーフルオロポリエーテル等の液体(屈折率:n)を供給した状態で、レジスト膜11に対して露光光13を選択的に照射してもよい。このような浸漬リソグラフィを行なうと、露光装置内における集光レンズとレジスト膜との間の領域が屈折率がnである液体で満たされるため、露光装置のNA(開口数)の値がn・NAとなるので、レジスト膜11の解像性が向上する。
(第2の実施例)
以下、第4の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料及び第5の実施形態に係るパターン形成方法を具体化する第2の実施例について説明するが、第2の実施例は第1の実施例に比べて、化学増幅型レジスト材料が異なり、例えば以下に示すような光源より発せられる露光光13を用いてもパターン形成を行なうことができる。以下では、第1の実施例と異なるレジスト材料と露光光13の一例とを説明する。その他は第1の実施例と同様である。
まず、以下の組成を有する化学増幅型レジスト材料を準備する。
ベース樹脂:[化47]に示す第1のユニットと[化48]に示す第2のユニットと[化49]に示す第3のユニットとが重合してなる樹脂
酸発生剤:トリフェニルスルフォニウムトリフレート(ベース樹脂に対して4重量%)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
次に、前記の組成を有する化学増幅型レジスト材料を半導体基板10上にスピンコートして、0.2μmの膜厚を有するレジスト膜11を形成する。その後、該レジスト膜11に対してマスク12を介して、KrFレーザ(波長:248nm帯)よりなる露光光13を照射してパターン露光を行なう。
(第3の実施例)
以下、第4の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料及び第5の実施形態に係るパターン形成方法を具体化する第3の実施例について説明するが、第3の実施例は第2の実施例に比べて、化学増幅型レジスト材料が異なるのみであるから、レジスト材料についてのみ説明する。
以下の組成を有する化学増幅型レジスト材料を準備する。
ベース樹脂:[化50]に示す第1のユニットと[化51]に示す第2のユニットとが重合してなる樹脂
酸発生剤:トリフェニルスルフォニウムノナフレート(ベース樹脂に対して4重量%)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(参考例1)
以下、第4の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料及び第5の実施形態に係るパターン形成方法を具体化する参考例1について説明するが、参考例1は第2の実施例に比べて、化学増幅型レジスト材料が異なるのみであるから、レジスト材料についてのみ説明する。
以下の組成を有する化学増幅型レジスト材料を準備する。
ベース樹脂:ポリ(アクリルスルホンアミド60−アクリルスルホン-N-アダマンチルオキシエチルアミド40 )
酸発生剤:トリフェニルスルフォニウムトリフレート(ベース樹脂に対して3重量%)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(参考例2)
以下、第4の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料及び第5の実施形態に係るパターン形成方法を具体化する参考例2について説明するが、参考例2は第2の実施例に比べて、化学増幅型レジスト材料が異なるのみであるから、レジスト材料についてのみ説明する。
以下の組成を有する化学増幅型レジスト材料を準備する。
ベース樹脂:ポリ(アクリルスルホン-N-アダマンチルオキシエチルアミド)
酸発生剤:トリフェニルスルフォニウムトリフレート(ベース樹脂に対して3重量%)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態に係るパターン形成方法について説明する。
第6の実施形態に係るパターン形成方法は、第3又は第4の実施形態に係るレジスト材料を用いて、レジスト膜と露光レンズの間に水を配して露光を行なう液浸リソグラフィを用いたパターン形成方法であって、以下の工程を備えている。
まず、スピンコーティング法等により、第3又は第4の実施形態に係るレジスト材料を例えばシリコンウエハー等の基板上に、膜厚が0.1〜1.0μmとなるように塗布した後、ホットプレートを用いて、60〜200℃の温度下で10秒間〜10分間、好ましくは80〜150℃の温度下で30秒間〜5分間のプリベークを行なって、レジスト膜を形成する。
次に、レジスト膜上に液体を供給した状態で、レジスト膜に対して、所望のパターンを有するフォトマスクを介して、遠紫外線、エキシマレーザ若しくはX線等の高エネルギービーム、又は電子線を、1〜200mJ/cm2 程度好ましくは10〜100mJ/cm2程度の露光量で照射する。
その後、ホットプレートを用いて、60〜150℃の温度下で10秒〜5分間、好ましくは80〜130℃の温度下で30秒〜3分間のポストエクスポージャベーク(PEB)を行なう。
次に、レジスト膜に対して、0.1〜5%の濃度、好ましくは2〜3%の濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ性水溶液よりなる現像液を用いて、10秒間〜3分間、好ましくは30秒間〜2分間の現像を行なって、レジストパターンを形成する。現像方法としては、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法又はスプレー(spray)法等の公知の方法を採用することができる。
尚、第6の実施形態においては、露光光としては、254nm帯〜120nm帯の遠紫外線又はエキシマレーザ、特に248nm帯のKrFレーザ、193nm帯のArFレーザ、157nmのF2レーザ、146nm帯のKr2、134nm帯のKrArレーザ、126nm帯のAr2レーザ若しくは軟X線よりなる高エネルギービーム、又は電子線を用いることができる。このようにすると、微細なレジストパターンを形成することができる。
尚、パターン露光は、レジスト膜11の上に水以外にパーフルオロポリエーテル等の液体(屈折率:n)を供給した状態で、レジスト膜に対して露光光を選択的に照射してもよい。このような液浸リソグラフィを行なうと、露光装置内における集光レンズとレジスト膜との間の領域が、屈折率nである液体で満たされるため、露光装置のNA(開口数)の値がn・NAとなるので、レジスト膜の解像性が向上する。
(参考例3)
以下、第4の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料及び第6の実施形態に係るパターン形成方法を具体化する参考例3について、図2(a)〜(d)を参照しながら説明する。
まず、以下の組成を有する化学増幅型レジスト材料を準備する。
ベース樹脂:[化52]に示す第1のユニットと[化53]に示す第2のユニットとが重合してなる樹脂
酸発生剤:トリフェニルスルフォニウムトリフレート(ベース樹脂に対して二重量%)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
次に、図2(a)に示すように、前記の組成を有する化学増幅型レジスト材料を半導体基板101上にスピンコートして、0.2μmの膜厚を有するレジスト膜102を形成する。この際、ベース樹脂がアルカリ難溶性であるため、レジスト膜102はアルカリ難溶性である。
次に、図2(b)に示すように、レジスト膜102上に水(屈折率n:1.44)103を配して、露光レンズ104を通して、ArFレーザ(波長:193nm帯)よりなる露光光を照射してパターン露光を行なう。このようにすると、レジスト膜101の露光部102aにおいては、酸発生剤から酸が発生する一方、レジスト膜102の未露光部102bにおいては酸が発生しない。
次に、図2(c)に示すように、半導体基板101ひいてはレジスト膜102をホットプレートにより加熱する。このようにすると、レジスト膜102の露光部102aにおいては、ベース樹脂が酸の存在下で加熱されるため、第2のユニットにおける保護基が脱離するので、ベース樹脂はアルカリ可溶性に変化する。
次に、図2(d)において、レジスト膜102に対して、例えばテトラメチルハイドロオキサイド水溶液等よりなるアルカリ性現像液を用いて現像処理を行なう。このようにすると、レジスト膜102の露光部102aが現像液に溶解するので、図2(d)に示すように、レジスト膜102の未露光部102bからなるレジストパターン105が得られる。
尚、ベース樹脂は[化52]に示されるユニットはベース樹脂全体の約45%、[化53]に示されるユニットはベース樹脂全体の約55%を占めるように構成されている。
このように、複数種類のユニットからベース樹脂が構成される場合、互いのユニットが比較的均一な状態で重合されるように構成することが好ましい。一種類のユニットばかりが重合する箇所が発生するなど重合ユニットの種類の偏りを低減して、異なるユニットが混ざり合うように構成することにより、ユニット同士がかみ合うように重合し合うので、重合されたベース樹脂の骨格強度が強くなる。このため、スルホンアミド基に基づく透明性及び親水性の向上の効果を得ると共に、少なくとも2種類のユニットからなる重合均一性の良い樹脂を提供することにより、エッチング耐性を向上させると共にパターン形状に優れたレジストパターンを形成することができる。
あわせて、レジスト膜を構成するユニットの重合均一性を向上させることにより、特に液浸リソグラフィにおける露光において、レジスト膜内への液浸溶液の浸透、又はレジスト膜を構成する成分の液浸溶液への溶出を抑制することができる。これは、重合均一性が良いと、異なる種類のユニットがかみ合って立体的に結合されるように、樹脂構造が形成されて、レジスト膜の構造が複雑になるからである。したがって、液浸溶液とレジスト膜とが直接接触するような液浸リソグラフィにおける露光においても、互いに成分が溶解し合うことを防止できるので、精度良くパターン形成を行なうことができる。