JP4047055B2 - インクジェット記録装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクタンクからインク供給路を介して供給されたインクを用いて記録を行う記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置及びその制御方法、プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ等の記録方式のうち、吐出口(ノズル)からインクを吐出させて記録紙等の被記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方式は、低騒音のノンインパクト記録方式で高密度かつ高速の記録動作が可能であるため、近年では広く採用されている。
【0003】
一般的なインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドを搭載するキャリアを駆動する駆動手段と、記録紙を搬送する搬送手段と、これらを制御するための制御手段などを備えている。また、インクジェットヘッドのノズル部分からインクを吐出するためのエネルギーを発生するために、ピエゾ素子などの電気機械変換体を用いてインクに加圧するもの、レーザなどの電磁波を照射して発熱させるもの、発熱により発泡させるもの、あるいは発熱抵抗体を有する電気熱変換体素子によって液体を加熱させ発泡させるものなどがある。その中でも熱エネルギを利用してインク滴を吐出させる方式のインクジェット記録装置は、ノズルを高密度に配列させることができるため高解像度の記録を行うことが可能である。特に、電気熱変換体素子をエネルギ発生素子として用いたインクジェットヘッドは、小型化が容易であり、最近の半導体製造分野において技術の進歩と信頼性の向上が著しいIC技術やマイクロ加工技術を応用して、その長所を十分に活用することにより高密度実装化が容易でかつ製造コストを低くできる。
【0004】
このインクジェットヘッドへインクを供給する供給手段においては、インクを保持する吸収体を有するインクタンクをインクジェットヘッドユニットに内蔵されているものがあり、これは、インクジェットヘッドユニットと一体としてキャリッジユニットに搭載され、交換の際にはインクジェットヘッドユニットと一体として交換する方式がある。また、インクジェットヘッドユニットのインクタンクとインクジェットヘッドが分離可能であり、インクタンクのみを交換する方式もある。大容量のインクが必要とされる場合には、インクタンクがインクジェット記録装置に固定され、キャリッジユニットに対して柔軟性があるチューブを介してインクを供給するインクタンクが挙げられる。この方式は、特開2001−71585や、特開2002−19137の例がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなインクジェットヘッドは多数のノズルを具備しており、その多数のノズルを使用することで高速の記録を実現している。しかしながら、記録中にインクに含有するゴミがノズルに詰まり、そのノズルがインクを吐出できなくなることがある。また、稀に被記録媒体である紙の繊維がノズルに入り、吐出できなくなることがある。また、ノズル内のヒータでインクを沸騰させてインクを吐出させる方式のインクジェット方式では、多くの記録を行った結果、ヒータが劣化して吐出できなくなることがある。上記の如き要因で一般に、インクジェットヘッドは、それを除いたインクジェット記録装置の構成要素より寿命が短い、依ってインクジェットヘッドは交換可能な構造することが一般的である。
【0006】
インクジェット記録装置が電源オフ状態、もしくは電源オン状態でも記録をしない休止状態で、オペレータがインクジェットヘッドを交換できる機構になっていた場合、オペレータがインクジェットヘッドを外した時点で、そのインクジェットヘッドのインク液室にインクを供給するための中空針が外気と連通し、インクタンクとインクジェットヘッドを結ぶインク供給路である供給チューブ内のインクはインクタンク方向に戻る。また、その供給チューブの接続点であるインクタンクの中空針から、インクタンクの大気連通チューブ方向にインクが流れ込む。これにより、大気連通チューブ内の液面高さと、供給チューブ内の液面高さが等しくなって平衡状態になる。
【0007】
その後、オペレータが新たなインクジェットヘッドを装着する。この時、供給チューブにはインクが満たされていない。
【0008】
インクジェットヘッドを交換した場合もしくは脱着した場合には、オペレータはインクジェット記録装置の電源を入れ、手動でインクジェットヘッドへのインク供給動作を行う必要がある。なぜならば、インクジェット記録装置の電源オフ状態でインクジェットヘッドの交換もしくは脱着した場合、インクジェット記録装置はそれを知る術がないからである。
【0009】
電源オン状態であり、記録をしない休止状態で、機構的にオペレータがインクジェットヘッドを脱着可能な場合、脱着によるインクジェットヘッドの破損を防止するために、インクジェットヘッドへの電力供給を停止させ、かつインクジェットヘッドへの各種制御信号は停止する。依って、たとえ、インクジェット記録装置が電源オン状態であっても、インクジェット記録装置はインクジェットヘッド交換もしくは脱着を知る術がない。
【0010】
オペレータが手動で前述のインク供給動作を行わなかった場合、かつ新規インクジェットヘッドの場合、インクジェットヘッド内の液室にインクはない。そのため、記録動作前のインクジェットヘッドの回復動作だけでは供給チューブ内及びインクジェットヘッド内の液室内に充分にインクを満たすことができず、記録不良が発生する。また、新規インクジェットヘッドではなくインクジェットヘッドの脱着の場合でも、インクジェットヘッドの液室内の残存インクで記録を始めることができるが、供給チューブ内の空気がインクジェットヘッド内の液室に入り込み、インクジェットヘッド内の液室内液面が低下してやがて記録不良が発生する。
【0011】
一般に、上記記録不良が発生するという不具合を回避するために、前述の電源オフ状態や、電源オンでも記録をしない休止状態では機構的にインクジェットヘッドを脱着できない構造にしておき、オペレータからの操作パネル等の操作によって初めてインクジェットヘッドの交換を可能にするヘッド交換モードがインクジェット記録装置に用意されている。この場合、インクジェット記録装置はヘッド交換モードが操作されることで、インクジェットヘッドを交換できる位置に移動させる、もしくは脱着できない機構を解除する。
【0012】
そして、オペレータがヘッド交換モードを解除することで、インクジェット記録装置はインクジェットヘッドを元の位置に戻す、もしくはインクジェットヘッドを脱着できない機構を再設定する。インクジェット記録装置はヘッド交換モードが解除されることで、インクジェットヘッドが交換もしくは脱着されたものと解釈し、自動的にインク供給動作及び回復動作を実行する。この方法で前述の記録不良発生を回避できる。
【0013】
しかし、この方法では、インクジェットヘッドを脱着できない機構を構成するためのコストアップが発生する。また、インクジェットヘッド交換は装置電源がオン状態でないと行えない。また、ヘッド交換モードでオペレータが実際にはインクジェットヘッドを脱着しない場合でも、インク供給動作や回復動作を行うので、無駄にインクを消費する不具合がある。
【0014】
また、上記不具合を回避するための別の方法として、供給チューブ内のインクの存在状態を検出することで、供給チューブ内の空気がインクジェットヘッド内の液室に入り込むことを予防したり、インク供給動作や回復動作を制御するものがある。しかしながら、この方法は、単に、供給チューブ内のインクの存在状態を検出するだけなので、インク供給機構の構成要素であるインクタンクタンク内のインクやインクジェットヘッド内のインク液室内のインクの存在状態を考慮して、より精度の高い検出を図るものではなかった。そのため、その検出結果によるインク供給動作や回復動作の制御も無駄になる場合があった。
【0015】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、インクジェットヘッドとインクタンク間のインク供給路、インクタンク内及びインクジェットヘッド内のインクの存在状態を容易に、かつ簡単に精度良く検出することができるインクジェット記録装置及びその制御方法、プログラムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明によるインクジェット記録装置は以下の構成を備える。即ち、
インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行なうインクジェット記録装置であって、
前記インクタンクに設けられた第1及び第2タンク側端子と、
前記記録ヘッドに設けられた第1及び第2ヘッド側端子と、
前記第2タンク側端子と前記第2ヘッド側端子間に接続され、前記インクタンクから前記記録ヘッドへインクを供給するためのインク供給路と、
前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間それぞれに電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段により電圧が印加された前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間それぞれに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段による検出結果に基づいて、前記インクタンク内、前記記録ヘッド内、前記インク供給路内のインクの存在状態を検出する検出手段と
を備える。
【0017】
また、好ましくは、前記インク供給路内のインクの存在状態の検出時間は、前記インクタンク内及び前記記録ヘッド内のインクの存在状態の検出時間よりも長く設定されている。
【0018】
また、好ましくは、前記第1タンク側端子は、大気連通端子として機能する。
【0019】
また、好ましくは、前記電圧印加手段が前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間に印加する電圧の方向を切り替える切替手段を備える。
【0020】
また、好ましくは、前記切替手段は、前記電圧の方向の切替動作を所定期間毎に実行する。
【0022】
また、好ましくは、前記第1及び第2タンク側端子、前記第1及び第2ヘッド側端子は、インクや空気を流通させるための流通部材とを兼用している。
【0023】
上記の目的を達成するための本発明によるインクジェット記録装置の制御方法は以下の構成を備える。即ち、
インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行なうインクジェット記録装置の制御方法であって、
前記インクジェット記録装置は、
前記インクタンクに設けられた第1及び第2タンク側端子と、
前記記録ヘッドに設けられた第1及び第2ヘッド側端子と、
前記第2タンク側端子と前記第2ヘッド側端子間に接続され、前記インクタンクから前記記録ヘッドへインクを供給するためのインク供給路とを有し、
前記インクジェット記録装置の制御方法は、
前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間それぞれに電圧を印加する電圧印加工程と、
前記電圧印加工程により電圧が印加された前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間それぞれに流れる電流を検出する電流検出工程と、
前記電流検出工程の検出結果に基づいて、前記インクタンク内、前記記録ヘッド内、前記インク供給路内のインクの存在状態を検出する検出工程と
を備える。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0028】
(実施形態1)
図1は本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略を示す斜視図である。
【0029】
このインクジェット記録装置(以下、記録装置)は、カラープリント、白黒モノカラープリントの両方が可能な構成を示しているが、白黒モノカラープリント専用装置として考える場合には、以下の説明で示すブラックインクを吐出するノズルのみを記録ヘッドに配置した構成となる。
【0030】
記録装置1000の給紙位置に挿入された記録媒体105は、送りローラ106によって矢印P方向に送られ、記録ヘッド401の記録可能領域へ搬送される。記録可能領域における記録媒体105の下部には、プラテン107が設けられている。キャリッジ101は、2つのガイド軸102と103によって、それらの軸方向に沿う方向に移動可能となっており、不図示のステッピングモータの駆動により、記録領域を含む走査領域を、主走査方向である矢印Q1、Q2で示す方向に沿って往復走査する。1回の主走査が終了すると、記録媒体を矢印P方向である副走査方向に一定量だけ送り次の主走査に備える。これらの主走査と副走査を繰り返し1頁の記録動作を行う。
【0031】
図1において、キャリッジ101には、インクを吐出可能な吐出口(記録素子)を有する記録ヘッド401を搭載している。また、記録ヘッド401の吐出口は下方に位置する記録媒体105にインクを吐出して記録するようにキャリッジ101上に搭載されている。インクタンク501から供給チューブを介して記録ヘッド401にインクが供給される構成になっている。
【0032】
また、108はスイッチ部と表示部からなる操作パネルであり、スイッチ部は記録装置1000の電源のオン/オフの切り替えや各種記録モードの設定等に使用され、表示部は記録装置1000の各種状態を表示可能に構成されている。
【0033】
記録ヘッド401の構成は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色を記録可能であり、Y、M、Cの吐出口の数は、例えば、各128個、Bkは320個である。各色の吐出口の配置ピッチは副走査方向に対して1/600dpiであり、約42ミクロンである。記録ヘッド401は、主走査方向に対して600dpiの密度で記録動作可能である。
【0034】
尚、キャリッジ101の後部には、例えば、600dpi周期のスリットを有したリニアエンコーダ(不図示)が設けられている。機械コントロール部1404(図3)によって、機械部1405のキヤリッジモータを動作させ、キャリッジ101を主走査方向(図1のQ1、Q2で示す方向)に沿って往復動作させる。
【0035】
また、キャリッジ101を駆動するキャリッジモータは、例えば、DCモータであり、通常の記録動作ではリニアエンコーダを利用してキャリッジ101の後部の光学センサで、キャリッジ101の位置あるいはキャリッジ101の移動速度を検出し、DCサーボ制御によりキャリッジ101の走査速度を一定に保つように構成されている。
【0036】
次に、記録ヘッド401の吐出項の配置について、図2を用いて説明する。
【0037】
図2は本発明を適用可能な記録ヘッドの吐出口の配置を示す図である。
【0038】
記録ヘッド401は、上述したように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の複数色のインクをそれぞれ吐出するための吐出口を有している。各色の吐出口は、実際には2列に分かれて配置されており、各列の配置ピッチは1/300dpiである。記録ヘッド401は記録媒体105に対し、矢印Q1やQ2方向に主走査移動する。また、記録媒体105は記録ヘッド401に対し、矢印Pの方向に相対移動する。
【0039】
次に、記録装置1000とホスト装置で構成される記録システムの主要構成について、図3を用いて説明する。
【0040】
図3は本発明を適用可能なインクジェット記録装置の主要構成を示すブロック図である。
【0041】
ホスト装置500から記録装置1000に記録データ(例えば、文字データや画像データ、制御データ等を含むデータ)が送信され、受信バッファ1401に蓄えられる。また、正しく記録データが転送されているかどうかを確認するベリファイデータ及び記録装置1000の動作状態を知らせるステータスデータが記録装置1000からホスト装置500に送信される。
【0042】
尚、ホスト装置500と記録装置1000とを接続するインタフェイスは、例えば、USBである。また、これに限定されず、インタフェイスの種類として、IEEE1394、IEEE1284(セントロニクス)、IrDA、ブル−トゥース等がある。更に、これ以外にも、ホスト装置500と記録装置1000を有線/無線で接続し、データ転送可能なインタフェイスであればどのようなものでも良い。
【0043】
受信バッファ1401に蓄えられた記録データは、CPU1402の管理下において、記録ヘッド401が主走査した時に記録を行うためのデ−タに加工され、ランダムアクセスメモリ(RAM)1403内のプリントバッファ4030に記憶される。プリントバッファ4030のデ−タは、記録ヘッドコントロール部410により記録ヘッド401に転送され、記録ヘッド401を制御して文字や画像のデ−タを記録する。また、記録ヘッドコントロール部1410は、記録ヘッド401の状態を示す温度情報等を検出してCPU1402に送り、記録ヘッドコントロール部1410にその情報を伝達し、記録ヘッド401の駆動を制御する。
【0044】
機械コントロール部1404は、CPU1402からの指令によりキャリッジモータやラインフィードモータ等の機械部1405を駆動制御する。
【0045】
センサ/SWコントロール部1406は、各種センサやSW(スイッチ)からなるセンサ/SW部1407からの信号をCPU1402に送信する。
【0046】
表示素子コントロール部1408は、CPU1402からの指令により、表示パネル群のLEDや液晶表示素子等からなる表示部1409を制御するよう構成されている。
【0047】
ROM1411は、記録装置1000の各種制御を実行するための各種制御プログラムや各種設定データ等のデータを記憶しており、CPU1402は、この各種制御プログラムや各種設定データを適宜RAM1403に読み込み実行することで、記録装置1000の各種制御を実行する。
【0048】
また、ホスト装置500は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション等の汎用コンピュータで実現され、汎用コンピュータに搭載される標準的な構成要素(例えば、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、外部記憶装置、ネットワークインタフェース、ディスプレイ、キーボード、マウス等)を有しているが、これに限定されるものではなく、本発明を実現する構成要素であればどのようなものでも良い。また、図3に示される各構成要素は、ホスト装置500内部のROMや外部記憶装置に記憶されるプログラムがCPUによって実行されることによって実現されても良いし、専用のハードウエアで実現されても良い。
【0049】
次に、記録ヘッド401とそれにインクを供給するインクタンクを含むインク供給機構の構成について、図4を用いて説明する。
【0050】
図4は実施形態1のインク供給機構の構成を示す図である。
尚、本装置はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー記録装置であるが、その中の一色のインク供給機構を示したものである。
【0051】
図4において、501はインクタンクであり、密閉構造であるが、その下部に中空針52A及び52Bが鉛直上方に、ゴムパッキンを介してインクタンク501内インク室に達して刺さっている。中空針52Aは、大気連通チューブ323に接続され、大気連通チューブ323の他端で大気に連通している。401は記録ヘッドである。416A及び416Bは中空針であり、ゴムパッキンを介して記録ヘッド401内のインク液室に達している。
【0052】
記録ヘッド401の下部には鉛直下方に向けてインク吐出用ノズルが配置されている。ノズル内には、インクの表面張力によってノズル・オリフィス面までインクが充満している。キャップ321は上下可動であり、記録装置1000が記録を行わない時にはキャップ321はノズル列を覆い、インクが乾くのを防止する。また、ノズルのメニスカスが破壊してオリフィス面までインクが達していないノズルがある場合は、キャップ321はノズル列を覆った状態で、供給弁311を閉じ、回復弁312を開いて吸引ポンプ300でインクを吸引する。これにより、ノズルを介して記録ヘッド401内のインクが吸引されて、ノズルのメニスカスが回復される。
【0053】
インクタンク501の中空針52Bは供給チューブ76(インク供給路)に接続されており、供給チューブ76の他端は記録ヘッド401の下側中空針416Aに接続されている。上側中空針416Bは吸引チューブ78に接続され、吸引チューブ78は供給弁311、吸引ポンプ300に達している。記録ヘッド401のインク液室にインクを供給するには、回復弁312を閉じ、供給弁311を開いて吸引ポンプ300でインクを吸引することで、記録ヘッド401のインク液室上部の空気が中空針416Bから吸引され、インク液室内が負圧になる。
【0054】
その負圧によって中空針416Aから供給チューブ76を介してインクタンク501のインクが吸引されることで、記録ヘッド401へインクが供給される。記録ヘッド401のインク液室内液面が中空針416Bに達したら、中空針416Bからインクが吸引される。その時点で吸引動作は完了する。供給チューブ76にはインクタンク501の中空針52Bから、記録ヘッド401の中空針416Aまでインクが満たされる。
【0055】
記録ヘッド401のノズル・オリフィスの高さと、インクタンク501の中空針52Aのタンク液室内先端の高さは、ノズル・オリフィスの方が高い位置に構成されている。依って、記録ヘッド401のインク液室内は外気より負圧になっている。記録ヘッド401のインク液室内は負圧ではあるが、記録ヘッド401のノズル内のインク液は表面張力により前述の負圧に打ち勝ち、オリフィス面に達している。この状態でインクジェット記録を行うと、ノズル内のインクが吐出され、ノズル内インク面がオリフィス面から後退(本例では、上方向)するが、そのたびに表面張力によりインク面がオリフィス面に復帰する。これが繰り返えされることで、記録装置1000は安定に記録を行う。
【0056】
記録装置1000が電源オフ状態、もしくは電源オン状態でも記録をしない休止状態では、供給チューブ76にはタンクの中空針52Bから記録ヘッド401の中空針416Aまでインクが満たされ、記録ヘッド401のインク液室内は負圧である。このため、記録ヘッド401のノズル内のインク液は表面張力により前述の負圧に打ち勝ち、オリフィス面に達している状態で、キャップ321がノズル・オリフィスを覆った状態となる。
【0057】
尚、インクは一般に電解質であるため、導電性を有する。また、インクタンク501に設けられる、インクや気体をインクタンク501内外で流通させるための流通部材としての中空針52A及び52Bは、導電性部材で構成されており、一般に金属を用いている。特に、実施形態1では、記録装置1000に、中空針52A及び52B間に電圧を印加する第1電圧印加手段を具備する。また、電圧を印加することでインクを介して流れる電流を検出する第1検出手段を具備する。つまり、流通部材としての中空針52A及び52Bを電流検出端子として用いる。
【0058】
また、第1電圧印加手段は、中空針52A及び52B間の電圧方向を切り替える第1切替手段を具備する。インクタンク501にインクがある場合は、中空針52A及び52B間にインクがあり、この間に電流が流れるが、インクがない場合は流れない。この電流の有無を検出することで、インクタンク501内のインクが所定量以下の状態になっていることを検出し、オペレータにインクタンク交換を促す警告を出すことができる。加えて、この第1切替手段により、平均電流電荷量をほぼゼロにすることにより、電極である中空針52A及び52Bの腐食を防止することができる。
【0059】
一方、記録ヘッド401のインクや気体をインク液室内外で流通させるための流通部材としての中空針416A及び416Bは、導電性部材で構成されており、一般に金属を用いている。特に、実施形態1では、中空針416A及び416B間に電圧を印加する第2電圧印加手段を具備する。また、電圧を印加することでインクを介して流れる電流を検出する第2検出手段を具備する。つまり、流通部材としての中空針416A及び416Bを電流検出端子として用いる。
【0060】
また、第2電圧印加手段は中空針416A及び416B間の電圧方向を切り替える第2切替手段を具備する。記録ヘッド401内のインク液面が中空針416Bに達している場合は、中空針416A及び416B間に電流が流れるが、インクがない場合は流れない。この電流の有無を検出することで、記録ヘッド401内のインクが所定量以下の状態になっていることを検出することができる。この検出がなされた場合、記録ヘッド401のインク液室へのインク吸引動作を終了する。加えて、この第2切替手段により、平均電流電荷量をほぼゼロにすることにより、電極である中空針416A及び416Bの腐食を防止することができる。
【0061】
また、インクタンク501の中空針52Bと、記録ヘッド401の中空針416Aとの間に電圧を印加する第3電圧印加手段を具備する。また、電圧を印加することで記録ヘッド401とインクタンク501間の供給チューブ76内のインクを介して流れる電流を検出する第3検出手段を具備する。
【0062】
また、第3電圧印加手段は、中空針52B及び416A間の電圧方向を切り替える第3切替手段を具備する。供給チューブ76内にインクが満ちている場合は、中空針52B及び416A間に電流が流れるが、供給チューブ76内に空気が入っている場合は電流が流れない。この供給チューブ76内に流れる電流の有無を検出することで、記録ヘッド401とインクタンク501間の供給チューブ76内の状態(気泡の存在や、インクがない状態)を検出することができる。
【0063】
特に、実施形態1では、記録装置1000は、記録動作前に、中空針52B及び416A間の電流を第3検出手段で検出する。電流が検出されなければ、記録ヘッド401液室へのインク吸引動作を実行する。つまり、供給チューブ76内に気泡が存在していたり、インクがない状態である場合にのみ、記録ヘッド401液室へのインク吸引動作を実行する。このように、インク吸引動作が必要なときにのみ、記録ヘッド401液室へのインク吸引動作を実行することができので、記録の安定性を図ることができるとともに、無駄なインク消費を防止することができる。
【0064】
また、第3切替手段により平均電流電荷量をほぼゼロにすることにより、電極である中空針52B及び416Aの腐食を防止することができる。
【0065】
次に、上述の各中空針間に電圧を印加する第1〜第3電圧印加手段、電流を検出する第1〜第3検出手段及び電圧印加方向を切り替える第1〜第3切替手段をインク供給機構内に構成することで、記録ヘッド401内、インクタンク501内、記録ヘッド401とインクタンク501間の供給チューブ706内のインクの存在状態を切り替えて検出するインク検出機能(インク検出回路)の具体例について、図5を用いて説明する。
【0066】
図5は実施形態1のインク供給機構のインク検出回路の構成を示す図である。
【0067】
信号52A、52B、416A、416Bは、図4のそれぞれの名称の中空針に電気的に接続されている。信号OutA、OutB、OutDは記録装置1000を制御するCPU1402(図3)のアウトポートである。信号InQ、InPは、CPU1402のインポートである。100はロータリー式アナログスイッチである。このアナログスイッチ100は、2ビットの端子AとBとから入力される信号値に応じて、端子Xを端子X0、X1、X2、X3のいずれかに接続する。同様に、端子Yを端子Y0、Y1、Y2、Y3のいずれかに接続する。IC3_1、IC3_2はコンパレータであり、IC5はインバータである。
【0068】
次に、インクタンク501のインクの存在状態の検出動作について説明する。
【0069】
CPU1402は、信号OutA及びOutBを制御してアナログスイッチ100の端子Xに端子X0が、端子Yに端子Y0が接続される状態にする。これにより、被測定物である中空針52A及び52B間のインピーダンスと抵抗器R3、抵抗器R1と抵抗器R2とのブリッジが構成される。そのブリッジ中間電位をコンパレータIC3_1で比較する。
【0070】
CPU1402のアウトポートOutDは電圧印加方向を切り替える制御信号である。信号OutDがハイの時は、図1のC点の電位はハイ状態、即ち、5Vになる。D点はロー、即ち、0Vになる。一方、信号OutDがローの時は、C点の電位は0Vに、D点は5Vになる。依って、中空針52A及び52B間に印加される電圧方向が切り替わる。実施形態1では、インクタンク501にインクがある状態での中空針52A及び52B間の電気抵抗値は20KΩから30KΩである。インクがない状態では10MΩ以上の値である。依って、信号OutDがハイで、インクがない状態ではコンパレータIC3_1の出力はローになり、信号InQはハイになる。一方、インクがある状態では、その逆になる。
【0071】
次に、インクタンク501内のインクの存在状態を検出する検出動作について、図6を用いて説明する。
【0072】
図6は実施形態1のインクタンク内のインクの存在状態を検出する検出動作を示すフローチャートである。
【0073】
まず、ステップS101で、信号OutA及びOutBをローにする。このスタート直後に、信号OutA及びOutBをローにするのは、アナログスイッチ100の端子Xに端子X0を、端子Yに端子Y0を接続させる動作である。
【0074】
ステップS102で、信号OutDをハイにする。
【0075】
ステップS103で、タイマーを駆動して、スタートから5ms経過したか否かを判定する。5ms経過していない場合(ステップS103でNO)、5ms経過するまで待機する。一方、5ms経過した場合(ステップS103でYES)、ステップS104に進む。
【0076】
ステップS104で、信号InQの値を読み取る。ステップS105で、信号InQの値が1であるか否かを判定する。1でない場合(ステップS105でNO)、ステップS106に進み、インクタンク501内にインクがあると判定して、インク有フラグを1に設定する。一方、1である場合(ステップS105でYES)、ステップS107に進み、インクタンク501内にインクがないと判定して、インク有フラグを0に設定する。
【0077】
ステップS108で、信号OutDをローにする。ステップS109で、タイマーを駆動して、信号OutDをローにしてから5ms経過したか否かを判定する。5ms経過していない場合(ステップS109でNO)、5ms経過するまで待機する。一方、5ms経過した場合(ステップS109でYES)、ステップS110に進む。
【0078】
ステップS110で、信号OutA及びOutBをハイにして、処理を終了する。この処理の終了の直前に、信号OutA及びOutBをハイにするのは、アナログスイッチ100の端子Xに端子X3を、端子Yに端子Y3を接続させる動作である。即ち、端子X及びYを中空針から切り離す動作である。
【0079】
尚、図6において、所定期間(5ms)毎に信号OutDを切り替えるのは、中空針52A及び52B間に流れる電流電荷の平均がほぼゼロにするためである。そして、この処理で得られたインク有フラグに基づいて、記録装置1000の制御プログラムは操作108パネルの表示部1409に、インクタンク501内のインク有無を表示することができる。
【0080】
次に、記録ヘッド401内のインク液面が中空針416Bに達しているか否か、つまり、記録ヘッド401内のインクレベルを検出する検出動作について説明する。
【0081】
記録ヘッド401内のインク液面が中空針416Bに達しているか否かの検出は、まず、CPU1402が信号OutA及びOutBを制御してアナログスイッチ100の端子Xに端子X1が、端子Yに端子Y1が接続される状態にする。その後は、図6で説明した、インクタンク501のインクの存在状態の検出動作と同様な動作を実行することで、記録ヘッド401内のインクレベルが中空針416Bに達しているか否かの検出を実現することができる。
【0082】
以下、この検出動作の処理フローについて、図7を用いて説明する。
【0083】
図7は実施形態1の記録ヘッド内のインクレベルを検出する検出動作を示すフローチャートである。
【0084】
まず、ステップS201で、信号OutAをハイ、信号OutBをローにする。このスタート直後に、信号OutAをハイ、信号OutBをローにするのは、アナログスイッチ100の端子Xに端子X1を、端子Yに端子Y1を接続させる動作である。
【0085】
ステップS202で、信号OutDをハイにする。
【0086】
ステップS203で、タイマーを駆動して、スタートから5ms経過したか否かを判定する。5ms経過していない場合(ステップS203でNO)、5ms経過するまで待機する。一方、5ms経過した場合(ステップS203でYES)、ステップS204に進む。
【0087】
ステップS204で、信号InQの値を読み取る。ステップS205で、信号InQの値が1であるか否かを判定する。1でない場合(ステップS205でNO)、ステップS206に進み、インク液面が中空針416Bに達していると判定して、それを示すフラグPを1に設定する。一方、1である場合(ステップS205でYES)、ステップS207に進み、インク液面が中空針416Bに達していないと判定して、フラグPを0に設定する。
【0088】
ステップS208で、信号OutDをローにする。ステップS209で、タイマーを駆動して、信号OutDをローにしてから5ms経過したか否かを判定する。5ms経過していない場合(ステップS209でNO)、5ms経過するまで待機する。一方、5ms経過した場合(ステップS209でYES)、ステップS210に進む。
【0089】
ステップS210で、信号OutA及びOutBをハイにして、処理を終了する。この処理の終了の直前に、信号OutA及びOutBをハイにするのは、アナログスイッチ100の端子Xに端子X3を、端子Yに端子Y3を接続させる動作である。即ち、端子X及びYを中空針から切り離す動作である。
【0090】
尚、この処理で得られるフラグPの値が1の場合は、インク液面が中空針416Bに達していることを示す。また、フラグPの値が0の場合には、記録装置1000の制御プログラムは、記録ヘッド401へのインク吸引動作として、回復弁312を閉じ、供給弁311を開いて吸引ポンプ300作動させる。吸引ポンプ300を作動させた状態で、上記の図7の処理を周期的に実行する。そして、フラグPが1になった時点で吸引ポンプ300を停止させ、供給弁311を閉じてインク吸引動作を終了する。
【0091】
次に、インクタンク501の中空針52Bから供給チューブ76を経て記録ヘッド401の中空針416Aまでインクが満ちているか否かを検出する検出動作について説明する。
【0092】
CPU1402は、信号OutA及びOutBを制御してアナログスイッチ100の端子Xに端子X2が、端子Yに端子Y2が接続される状態にする。これにより被測定物である52B及び416A間インピーダンスと抵抗器R3と、抵抗器R10と抵抗器R9とのブリッジが構成される。そのブリッジ中間電位をコンパレータIC3_2で比較する。
【0093】
実施形態1では、インクタンク501の中空針52Bから供給チューブ76を経て記録ヘッド401の中空針416Aまでインクが満ちている状態での中空針52B及び416A間の電気抵抗値は2MΩから3MΩである。インクがない状態では、10MΩ以上の値である。但し、供給チューブ76を介しての電気抵抗であるために、インクタンク501のインクの存在状態の検出の場合や、記録ヘッド401内のインクレベルの検出の場合の抵抗値とは大きく異なる。
【0094】
つまり、ブリッジ回路の定数は、他の場合と異なる定数を用いることが望ましい。信号OutDがハイでは、抵抗器R10とR9で分圧された電圧は約4.5Vになり、実施形態1で使用する片電源タイプコンパレータ(OPアンプ)は動作保証範囲外である。そのため、供給チューブ76内にインクが満ちている状態であるか否かの判定は、信号OutDがローの状態のときに行う。
【0095】
以下、この検出動作の処理フローについて、図8を用いて説明する。
【0096】
図8は実施形態1の供給チューブ内のインクの存在状態の検出動作を示すフローチャートである。
【0097】
まず、ステップS301で、信号OutAをロー、信号OutBをハイにする。このスタート直後に、信号OutAをロー、信号OutBをハイにするのは、アナログスイッチ100の端子Xに端子X2を、端子Yに端子Y2を接続させる動作である。
【0098】
ステップS302で、信号OutDをハイにする。
【0099】
ステップS303で、タイマーを駆動して、スタートから10ms経過したか否かを判定する。10ms経過していない場合(ステップS303でNO)、10ms経過するまで待機する。一方、10ms経過した場合(ステップS303でYES)、ステップS304に進む。
【0100】
ステップS304で、信号InPの値を読み取る。ステップS305で、InPの値が1であるか否かを判定する。1でない場合(ステップS305でNO)、ステップS306に進み、供給チューブ76内にインクが満ちていないと判定して、それを示すフラグRを0に設定する。一方、1である場合(ステップS305でYES)、ステップS307に進み、供給チューブ76内にインクが満ちていると判定して、フラグRを1に設定する。
【0101】
ステップS308で、信号OutDをローにする。ステップS309で、タイマーを駆動して、信号OutDをローにしてから10ms経過したか否かを判定する。10ms経過していない場合(ステップS309でNO)、10ms経過するまで待機する。一方、10ms経過した場合(ステップS309でYES)、ステップS310に進む。
【0102】
ステップS310で、信号OutA及びOutBをハイにして、処理を終了する。この処理の終了の直前に、信号OutA及びOutBをハイにするのは、アナログスイッチ100の端子Xに端子X3を、端子Yに端子Y3を接続させる動作である。即ち、端子X及びYを中空針から切り離す動作である。
【0103】
尚、図8の処理のタイマーの計時値が10msと、図6や図7の処理のタイマーの計時値5msと比較して長いのは、抵抗値が高いために、浮遊容量等によりブリッジ回路の中間電位が安定する時間を要するためである。但し、CPU1402の負荷を低減するためには、インクレベルの検出のための時間は短い方が良い。上述した図6のインクタンク501内のインクの存在状態の検出や、図7の記録ヘッド401内のインクレベルの検出時は、検出に使用する抵抗がそれほど高くないため、その抵抗値の測定時間を確保するためのタイマーの計時値を短く指定できるが、図8では、上記の理由から、その計時値を長くしている。
【0104】
また、上述の処理で得られるフラグRの値が1の場合は、インクタンク501の中空針52Bから供給チューブ76を経て記録ヘッド401の中空針416Aまでインクが満ちている状態を示す。一方、フラグRの値が0の場合は、供給チューブ76に空気が入っていることを示す。
【0105】
そして、記録装置1000の制御プログラムは、装置電源がオンされて実行する初期処理の中で図8の処理を実行し、フラグRが0の場合、前述のインク吸引動作を実行する。また、インクジェット記録装置に外装カバーがあり、そのカバーが空いているか閉じているかを検出するセンサを記録装置1000が有する場合は、制御プログラムはカバーが開いている状態から閉じた変化点を検出することで、図8の処理を実行し、インク吸引動作の要不要を判断する。
【0106】
以上説明したように、実施形態1によれば、インクタンク501内、記録ヘッド401内、記録ヘッド401とインクタンク501間の供給チューブのインクの存在状態の検出を、それぞれの検出対象物を切り替えながら検出することができる。特に、この検出を、記録ヘッド401とインクタンク501それぞれの中空針を兼用して実現するので、簡単な構成で容易にインクに係る検出を実行することができる。
【0107】
(実施形態2)
近年の記録ヘッド401は、多ノズル化が進み、それを制御するための制御回路を記録ヘッド401内に具備している。また、記録ヘッド401を駆動することで発生する熱を放熱するために伝導性の良い部材が用いられる。これらの理由から多くの場合、この制御回路には、不純物ドーピング済みのシリコン基板を有している。
【0108】
このシリコン基板は、記録ヘッド401内のインク液室のインクと直接、又は薄い酸化膜等を介して接しており、かつ制御回路のグランド側もしくは電源側に電気的に接続されている。
【0109】
この記録ヘッド401周辺部の模式回路構成について、図9を用いて説明する。
【0110】
図9は実施形態2の中空針416Aと制御回路のグランド間の等価回路を示す図である。
【0111】
図9では、シリコン基板が制御回路のグランド側に接続されている例を示している。抵抗Riは中空針416Aとシリコン基板表面との間のインクの等価的電気抵抗である。コンデンサCpは、シリコン基板に接しているインク液面とシリコン基板との間にある薄い酸化膜(絶縁膜)で形成されるコンデンサである。
【0112】
抵抗Rpは、シリコン基板に接しているインク液面とシリコン基板との間で酸化膜がなく、直接、シリコン基板にインクが接している部分の抵抗、及び薄い酸化膜のピンホールでできる漏洩抵抗の等価抵抗である。
【0113】
実施形態2で使用した記録ヘッド401では、抵抗Riは約500KΩ、コンデンサCpは約2000pF、抵抗Rpは約5MΩであった。但し、これらの値は、記録ヘッド401内のインク量の違いや、記録ヘッド401毎に大きく異なる。そのため、実施形態1で説明した検出機能が、この違いによる影響を受けないことが装置信頼性の面で重要である。
【0114】
インクタンク501内のインクの存在状態の検出は、記録ヘッド401から遠いので、上記の違いによる影響は受けない。また、記録ヘッド401内のインクレベルの検出は、インクが中空針416Bに達しているときの抵抗が20KΩ程度であり、記録ヘッド401の抵抗Riとは抵抗値が1桁以上違うので、あまり影響を受けない。
【0115】
一方、供給チューブ76内のインクの存在状態の検出を行う場合には、前述した如く検出対象物である供給チューブ76内のインクの抵抗値は2MΩから3MΩと大きいので注意を要する。
【0116】
そのため、上述したような記録ヘッド401内の制御回路中の抵抗による影響を受けないインク検出回路の構成は、検出対象物である供給チューブ76内の抵抗値(Rk)と直列接続された分圧抵抗(実施形態2では、R3)で分圧される中間位置での電位(中間電位)で検出を行う場合に、記録ヘッド401側の中空針416A(端子)側を、グランド間インピーダンスが低い側に接続することで記録ヘッド401の抵抗等の影響を受けずに精度良くインク検出を実行することができる。
【0117】
この場合は、図10に示すように、実施形態1の図5で示したインク検出回路中のブリッジ回路に対し、記録ヘッド401側の中空針416Aをブリッジ回路のグランド間インピーダンスの低い側、インクタンク501の中空針52Bをブリッジ回路の中間点側に接続する。記録ヘッド401内の制御回路中の抵抗Ri、コンデンサCp、抵抗Rpを含めるブリッジ回路が図10である。図中の抵抗Rkは、中空針52B及び416A間の被測定抵抗である。図10からも分かるように、ブリッジ中間電位は抵抗Ri、コンデンサCp、抵抗Rpの影響を受けず、信頼性の高い検出結果を得ることができる。
【0118】
尚、ブリッジ回路のグランド間インピーダンスの低い側とは、必ずしもグランド側を示すものではない。つまり、図10の信号OutDがハイの時は図10の点Dの電位はグランドになり、グランド間インピーダンスは低い。一方、OutDがローの時は、点Dの電位は電源側(5v)になる。電源は、等価的には起電器(電池)と内部抵抗からなり、内部抵抗は通常0.1Ω以下の低い値である。つまり、電源側もグランド間インピーダンスは低いことを意味する。
【0119】
以上説明したように、実施形態2によれば、実施形態1で説明したインク検出回路において、図10のようなインク検出回路構成とすることで、記録ヘッド401の抵抗等の影響を受けずに精度良くインクの存在状態の検出を実行することができる。
【0120】
(実施形態3)
実施形態1や2では、インク検出回路にブリッジ回路を用いた例を示したが、必ずしもブリッジ回路を必要ではなく、例えば、A/D変換器を使用することもできる。
【0121】
図11は実施形態3のインク供給機構のインク検出回路の構成を示す図である。
【0122】
図11において、IC6はA/D変換器であり、データバスD0〜7、チップセレクトCS、リードコマンドRDは、記録装置1000のCPU1402に接続されている。CPU1402は、A/D変換器IC6のアナログ入力端子の電圧値Vinを測定することができる。また、電源、グランド間に被測定抵抗(中空針416A及び52B間抵抗)と抵抗器R3でブリーダー(Bleeder)回路を構成する。
【0123】
信号OutD及びインバータIC5は、実施形態2と同様にして、ブリーダー回路両端に電源、グランドを切り替える切替手段として機能する。ブリーダー回路中間には、A/D変換器IC6のアナログ入力端子に接続されている。そして、被測定抵抗(中空針416A及び52B間の抵抗)の抵抗値に応じて、中間電位は変化する。
【0124】
実施形態3の抵抗器R3の抵抗値は560KΩであり、中空針416A及び52B間にインクが充填されているときの抵抗値は、実施形態1や2と同様、2MΩ〜3MΩである。そして、インク存在状態の検出を信号OutDがハイの時に行い、検出閾値を5MΩとするためには、電圧値Vinの値は下記式で与えられる。
【0125】
Vin = 5v × 5MΩ / (390KΩ + 5MΩ)
つまり、電圧値Vinの値は約4.64Vである。CPU1402は、信号OutDがハイの時にA/D変換器IC6の値を読み取る。そして、電圧値Vinの値が4.64V以下の場合は、インクタンク501の中空針52Bから供給チューブ76を経て記録ヘッド401の中空針416Aまでインクが満ちている状態であると判定する。一方、Vinの値が4.64V以上の場合は、供給チューブ76内に空気が入っていると判定する。
【0126】
以上説明したように、実施形態3によれば、実施形態1や2で説明したインク検出回路内のブリッジ回路の代わりにA/D変換器を採用することで、回路構成をより簡単にすることができる。
【0127】
尚、上記実施形態1〜3では、インクや気体の受け渡しを行う流通部材としての中空針がインクレベル検出を行うための検出端子を兼用する例で説明したが、この検出端子を中空針と別に設けて構成しても良い。但し、流通部材を検出端子と兼用する構成のほうが、記録ヘッド401、インクタンク501のインクの漏れ防止等の構造を簡単にすることができるので望ましい。また、検出端子の数も各検出箇所において2つに限定する必要はなく、それぞれの検出箇所でのインクの存在状態を検出できる数であれば、どのような数でも良い。
【0128】
また、以上の実施形態において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
【0129】
また、以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。また、この方式の記録ヘッドに限定されることは無く、例えば、圧電素子を使用した吐出方式の記録ヘッドでも良い。
【0130】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。
【0131】
この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0132】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0133】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書に記載された構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0134】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0135】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0136】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0137】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0138】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0139】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0140】
このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0141】
また、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0142】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0143】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0144】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0145】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0146】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0147】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0148】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0149】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インクジェットヘッドとインクタンク間のインク供給路、インクタンク内及びインクジェットヘッド内のインクの存在状態を容易に、かつ簡単に精度良く検出することができるインクジェット記録装置及びその制御方法、プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明を適用可能なの記録ヘッドの吐出口の配置を図である。
【図3】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の主要構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態1のインク供給機構の構成を示す図である。
【図5】実施形態1のインク供給機構のインク検出回路の構成を示す図である。
【図6】実施形態1のインクタンク内のインクの存在状態を検出する検出動作を示すフローチャートである。
【図7】実施形態1の記録ヘッド内のインクレベルを検出する検出動作を示すフローチャートである。
【図8】実施形態1の供給チューブ内のインクの存在状態の検出動作を示すフローチャートである。
【図9】実施形態2の中空針と制御回路のグランド間の等価回路を示す図である。
【図10】実施形態2のインク供給機構のインク検出回路の構成を示す図である。
【図11】実施形態3のインク供給機構のインク検出回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
52A、52B 中空針
76 供給チューブ
78 吸引チューブ
222A、222B 中空針
300 吸引ポンプ
311 供給弁
312 回復弁
321 キャップ
323 大気連通チューブ
401 記録ヘッド
416A、416B 中空針
501 インクタンク
Claims (12)
- インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行なうインクジェット記録装置であって、
前記インクタンクに設けられた第1及び第2タンク側端子と、
前記記録ヘッドに設けられた第1及び第2ヘッド側端子と、
前記第2タンク側端子と前記第2ヘッド側端子間に接続され、前記インクタンクから前記記録ヘッドへインクを供給するためのインク供給路と、
前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間それぞれに電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段により電圧が印加された前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間それぞれに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段による検出結果に基づいて、前記インクタンク内、前記記録ヘッド内、前記インク供給路内のインクの存在状態を検出する検出手段と
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記インク供給路内のインクの存在状態の検出時間は、前記インクタンク内及び前記記録ヘッド内のインクの存在状態の検出時間よりも長く設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記第1タンク側端子は、大気連通端子として機能する
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記電圧印加手段が前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間に印加する電圧の方向を切り替える切替手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記切替手段は、前記電圧の方向の切替動作を所定期間毎に実行する
ことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。 - 前記第1及び第2タンク側端子、前記第1及び第2ヘッド側端子は、インクや空気を流通させるための流通部材とを兼用している
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行なうインクジェット記録装置の制御方法であって、
前記インクジェット記録装置は、
前記インクタンクに設けられた第1及び第2タンク側端子と、
前記記録ヘッドに設けられた第1及び第2ヘッド側端子と、
前記第2タンク側端子と前記第2ヘッド側端子間に接続され、前記インクタンクから前記記録ヘッドへインクを供給するためのインク供給路とを有し、
前記インクジェット記録装置の制御方法は、
前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間それぞれに電圧を印加する電圧印加工程と、
前記電圧印加工程により電圧が印加された前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間それぞれに流れる電流を検出する電流検出工程と、
前記電流検出工程の検出結果に基づいて、前記インクタンク内、前記記録ヘッド内、前記インク供給路内のインクの存在状態を検出する検出工程と
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。 - 前記検出工程における前記インク供給路内のインクの存在状態の検出時間は、前記インクタンク内及び前記記録ヘッド内のインクの存在状態の検出時間よりも長い
ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置の制御方法。 - 前記第1タンク側端子は、大気連通端子として機能する
ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置の制御方法。 - 前記電圧印加工程において、前記第1及び第2タンク側端子間、前記第1及び第2ヘッド側端子間、前記第2タンク側端子及び前記第2ヘッド側端子間に印加する電圧の方向を切り替える切替工程を備える
ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置の制御方法。 - 前記切替工程における前記電圧の方向の切替動作を所定期間毎に実行する
ことを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置の制御方法。 - 前記第1及び第2タンク側端子、前記第1及び第2ヘッド側端子は、インクや空気を流通させるための流通部材とを兼用している
ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置の制御方法。
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