JP4046560B2 - 紫外線照射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線を透過させるガラス材を紫外線を透過させる外装カバーで被覆することによりガラス材の強度を高めると共に、当該ガラス材が破損したときにもガラスの破片が飛び散るのを防止することができる樹脂被覆部材を用いて紫外線による殺菌処理や化学分析その他の処理を行うようにした紫外線照射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、紫外線による殺菌や反応等の紫外線処理装置に使用される仕切り板やパイプには、紫外線に対して強い紫外線透過性のガラス材やパイプ材が用いられているが、これは紫外線透過性のガラス材やパイプ材であれば、材料自体が比較的安価であって容易に製造できる等の理由によるものである。更に、紫外線透過性ガラス材やパイプ材の使い方も比較的簡単である。しかも、紫外線処理装置による石英ガラスの使用は、石英ガラスの紫外線透過性が良いために殺菌装置として紫外線を効率良く透過させて殺菌や反応を効果的に起こさせることができる。そのため、紫外線透過性ガラス材やパイプ材は、紫外線による殺菌や反応等の処理装置(殺菌装置、反応装置等)における主要な又は重要な構成部品として広く用いられている。
【0003】
しかしながら、紫外線処理装置には水銀を使用した紫外線ランプが使用されるため、紫外線ランプの破損の危険性が常につきまとっている。この紫外線ランプが破損すると、ガラスの破片や水銀等が飛び散ることになり、また、ガラスの破損に起因して石英ガラスの仕切り板が破損するおそれが生じる。そのため、これら紫外線ランプや仕切り板の破損の危険性に対する安全性の問題が、近年、特に問われ初めてきている。
【0004】
このような問題に鑑み、キャップやボトル等を殺菌することを目的とした紫外線照射装置が、本出願人によって先に、例えば、特願2000−33672号として出願されている。この先行技術に係る特願2000−33672号において図21として示した紫外線照射装置を、本出願の図14として示している。
【0005】
この図14は、従来の紫外線キャップ殺菌装置を断面して示す図であり、ケーシング本体1は、断面形状が略コ字状をなす樋状の第1ケーシング2と、同じく略コ字状をなす樋状の第2ケーシング3とを有している。両ケーシング2,3は、互いの開口部を対向させて重ね合わされる。そして、両ケーシング2,3の接触部側の一側には、長手方向に適当な間隔をあけて複数個の着脱可能なスライド式ヒンジ4が取り付けられている。これにより、第1及び第2のケーシング2,3は、開閉自在であって着脱可能に構成されている。
【0006】
更に、第1,第2のケーシング2,3の接触部側の他側には、同じく長手方向に適当な間隔をあけて複数個の締付金具5が取り付けられている。この締付金具5は、第2ケーシング3に取り付けられる操作部材6と、第1ケーシング2に取り付けられる固定部材7とからなり、操作部材6は係止片6aとこの係止片6aを進退動作させる操作片6bとを有している。この操作部材6の係止片6aを固定部材7に係合し、その状態で操作片6bを進退動作させることにより、係止片6aが固定部材7に締め込まれる。その結果、操作部材6と固定部材7とが締結され、第1ケーシング2及び第2ケーシング3が互いに結合されてケーシング本体1が構成される。
【0007】
ケーシング本体1の両ケーシング2,3の開状態では、図示しないリミットスイッチがオフになって、3本の紫外線ランプ8に接続された安定器の発振が停止されて消灯される。しかしながら、紫外線ランプ8のフィラメントには予熱用の微電流が流れているので、両ケーシング2,3が閉状態になってリミットスイッチがオン状態になると、紫外線ランプ8は直ぐに点灯される。
【0008】
ここで、第2ケーシング3の長手方向の中途部には、ケーシング本体1内を観察するための四角形の観察窓9が長手方向に沿って延在するように設けられている。観察窓9の四辺には枠片がそれぞれ固定されており、これらの枠片からなる枠体内に紫外線遮蔽プレート10が、観察窓9を完全に閉鎖するように取り付けられている。紫外線遮蔽プレート10は、可視光線は透過させるが紫外線は透過させないガラス材によって形成されている。
【0009】
この紫外線遮蔽プレート10の外側には、これを覆い隠す大きさの窓カバー18が配設されている。この窓カバー18と第2ケーシング3との重ね合わせ面側の一側には、長手方向に適当な間隔をあけて2個のヒンジ19が取り付けられている。このヒンジ19によって窓カバー18が、第2ケーシング3に回動可能に支持され、観察窓9が開閉可能とされている。
【0010】
また、第2ケーシング3の内部には、3本の紫外線ランプ8が縦並びに配置されている。これらの紫外線ランプ8が、紫外線を含む電磁波を発光する発光源を構成している。この紫外線ランプ8は、紫外線を透過する材質(例えば、石英ガラス)によって形成されたランプ本体と、このランプ本体の軸方向両端部に固定された一対のランプソケット等を有し、各ランプソケット内にフィラメントが保持されている。このランプ本体内に、例えば水銀とアルゴンガス等を封入することにより、全体として低圧殺菌ランプと呼ばれる放電灯が構成されている。
【0011】
これら紫外線ランプ8と紫外線防護プレート10との間に反射板17が配置されている。この反射板17は、3本の紫外線ランプ8を並べたよりも少々幅広であって、その幅方向両側を内側に折り曲げたような形状を有する帯状の板材によって形成されている。この反射板17の中央部には、内側に配置される紫外線ランプ8やシュータ13内を通過するキャップ16等を見るための開口窓17aが設けられている。この開口窓17aは、観察窓9に対応させて反射板17の略全長に渡って設けられている。しかしながら、開口窓17a及び観察窓9は、適当な大きさの開口部を1以上設けて形成することもできる。尚、反射板17は、紫外線ランプ8及びシュータ13を挟んで観察窓9の反対側に配置する構成にできることは勿論である。
【0012】
また、この紫外線殺菌装置は、6本のシュート棒14からなるシュータ13を備えている。図14に示すように、シュータ13の6本のシュート棒14は長手方向に適当な間隔をおいて設けられた枠部材15に溶接等の固着手段によって固着されている。6本のシュート棒14の間にキャップ16が移送され、紫外線ランプ8と反射板17からの紫外線が所定時間照射されて殺菌処理がなされる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、出願人が先に提案した上記紫外線殺菌装置では、第2ケーシング3の観察窓9には、観察者の目等を保護するための紫外線遮蔽プレート10が設けられていたが、この紫外線遮蔽プレート10は、可視光線は透過させるが紫外線は透過させないガラス材によって形成されていた。そのため、この紫外線遮蔽プレート10が何らかの理由で破損されると、そのガラス片が飛び散って紫外線ランプ8を破損させたり、ガラス片が処理対象物であるキャップ等に付着する等の不具合を招くおそれがあるという課題があった。また、紫外線ランプとシュータとの間に紫外線透過性ガラス材の仕切り板を介在させ、紫外線ランプをシュータに極力近づけようとすると、上述したのと同様の問題が起こり、紫外線ランプの破損の危険性が生ずる。
【0014】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、シュータ内を通過するキャップ等に紫外線光源を極力近付けるようにすれば、処理対象物に対する紫外線の照射効率を高めることはできるが、紫外線ランプの破損の危険性が高くなり、また、紫外線ランプの発生する熱による処理対象物への影響が大きくなるため、これらの危険性や熱影響を少なくする必要がある。そのためには、紫外線を良く透過させる石英ガラスによる間仕切りを取り付けたり、紫外線ランプを収納するハウジングの側面に石英ガラス製の仕切り板を取り付ける等の措置を採る必要があるが、かかる場合には、紫外線透過性ガラスの強度を高めて破損を防止又は抑制する必要があるばかりでなく、何らかの理由によって紫外線透過性ガラスが破損したような場合においても、そのガラス片が周囲に飛び散ってキャップ等の処理対象物に付着して搬送されたり、ガラス片の衝突によって紫外線ランプが破損されることがないようにすることを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述したような課題等を解決し、上記目的を達成するために、本出願の請求項1記載の紫外線照射装置は、紫外線を含む電磁波を発光して処理対象物に照射する発光源と、紫外線を透過させるガラス材に、紫外線を透過させる樹脂材からなる外装カバーを密着させて被覆した樹脂被覆部材と、を備え、発光源と処理対象物との間に樹脂被覆部材を介在させた紫外線照射装置であって、樹脂被覆部材は、ガラス材は板ガラスからなり、その板ガラスの両面に外装カバーをそれぞれ配置して密着させると共に、板ガラスの端面部において外装カバーの互いの接触面を接合して形成したことを特徴としている。
【0016】
また、本出願の請求項2記載の紫外線照射装置は、紫外線を含む電磁波を発光して処理対象物に照射する発光源と、紫外線を透過させるガラス材に、紫外線を透過させる樹脂材からなる外装カバーを密着させて被覆した樹脂被覆部材と、を備え、発光源と処理対象物との間に樹脂被覆部材を介在させた紫外線照射装置であって、樹脂被覆部材は、ガラス材は円柱状又は角柱状の筒状ガラスからなり、筒状ガラスの内外両面に筒状をなす内周側カバー及び外周側カバーをそれぞれ配置して密着させると共に、筒状ガラスの筒軸方向の一端部又は両端部において内周側カバー及び外周側カバーの互いの接触面を接合して形成したことを特徴としている。
【0017】
上述のように構成したことにより、本出願の請求項1の紫外線照射装置では、紫外線を含む電磁波を発光する発光源と、紫外線透過性の板ガラスを紫外線透過性の樹脂材からなる外装カバーで被覆して全面を密着させた樹脂被覆部材と、を備えて紫外線照射装置を構成することにより、板ガラスが万一破損した場合にも、その板ガラスが飛び散るおそれがなく、その板ガラスの破片によって紫外線ランプが破損されたり、その破片が処理対象物に付着したりするおそれのない装置を提供することができる。
【0018】
また、本出願の請求項2の紫外線照射装置では、紫外線を含む電磁波を発光する発光源と、紫外線透過性の筒状ガラスを紫外線透過性の樹脂材からなる外装カバーで被覆して全面を密着させた樹脂被覆部材と、を備えて紫外線照射装置を構成することにより、筒状ガラスが万一破損した場合にも、その筒状ガラスが飛び散るおそれがなく、その筒状ガラスの破片によって紫外線ランプが破損されたり、その破片が処理対象物に付着したりするおそれのない装置を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1乃至図13は、本発明の実施の形態の例を示すものである。
【0020】
即ち、図1は本発明の紫外線照射装置に係る樹脂被覆部材の第1の実施例を用いた紫外線照射装置である紫外線殺菌装置のケーシング本体の断面図、図2はその移送手段の要部を示す斜視図、図3は本発明に用いられる樹脂被覆部材の第1の実施例を示す一部を切断した斜視図、図4は本発明に用いられる樹脂被覆部材を用いた紫外線殺菌装置のケーシング本体の第2の実施例を示す断面図、図5は本発明に用いられる樹脂被覆部材の第2の実施例を示す斜視図、図6は同じく断面図、図7は本発明に用いられる樹脂被覆部材の第3の実施例を示す分解斜視図、図8は本発明に用いられる樹脂被覆部材の第3の実施例を示す一部を断面した斜視図、図9は本発明に用いられる樹脂被覆部材の第4の実施例を示す斜視図、図10は本発明の紫外線照射装置の第1の実施例の全体構成を示す説明図、図11は図10に示す紫外線照射装置の要部を示す正面図、図12は同じく紫外線照射装置の要部を示す平面図、図13は本発明の紫外線照射装置の第2の実施例を断面して示す説明図である。
【0021】
図1は、ケーシング本体1の断面図であり、図14に示した本願の先願と同じ構成部分は図14と同一の番号を付してある。ケーシング本体1は、断面形状が略コ字状をなす樋状の第1ケーシング2と、同じく略コ字状をなす樋状の第2ケーシング3とを有している。両ケーシング2,3は、互いの開口部を対向させて重ね合わされる。そして、両ケーシング2,3の接触部側の一側には、長手方向に適当な間隔をあけて複数個の着脱可能なスライド式ヒンジ4が取り付けられている。これにより、第1及び第2のケーシング2,3は、開閉自在であって着脱可能に構成されている。
【0022】
更に、第1,第2のケーシング2,3の接触部側の他側には、同じく長手方向に適当な間隔をあけて複数個の締付金具5が取り付けられている。この締付金具5は、第2ケーシング3に取り付けられる操作部材6と、第1ケーシング2に取り付けられる固定部材7とからなり、操作部材6は係止片6aとこの係止片6aを進退動作させる操作片6bとを有している。この操作部材6の係止片6aを固定部材7に係合し、その状態で操作片6bを進退動作させることにより、係止片6aが固定部材7に締め込まれる。その結果、操作部材6と固定部材7とが締結され、図1に示すように、第1ケーシング2及び第2ケーシング3が互いに結合されてケーシング本体1が構成される。
【0023】
ケーシング本体1の両ケーシング2,3の開状態では、図示しないリミットスイッチがオフになって、3本の紫外線ランプ8に接続された安定器の発振が停止されて消灯される。しかしながら、紫外線ランプ8のフィラメントには予熱用の微電流が流れているので、両ケーシング2,3が閉状態になってリミットスイッチがオン状態になると、紫外線ランプ8は直ぐに点灯される。
【0024】
第1ケーシング2は、溝型の鋼材で形成されており、第1ケーシング2の第2ケーシング3との接合部には、L字状に形成された側縁部20a,20bが設けられている。そして、各側縁部20a,20bの先端部分には位置決め片となる突起21a,21bが形成されている。第2ケーシング3も同様に溝型の鋼材で形成され、第1ケーシング2と対向する部分はアングル状の突起が形成されている。また、L字状のアングル部材22a,22bが、第1ケーシング2に設けられた位置決め片21a,21bに対向して押え部22a,22bを形成している。このL字状のアングル部材22a,22bはネジ22cにより、第1ケーシング2の側縁部20a,20bに固定される。
【0025】
この第1ケーシング2の突起21a,21bとアングル部22a,22bとにより形成された溝に、長方形をなす板状の紫外線透過性ガラス板23を紫外線透過性フッ素樹脂材からなる外装カバー24で覆って全面被覆した樹脂被覆部材の第1の実施例を示すプレート基板25が挿入される。第1ケーシング2と第2ケーシング3の間を上記構造のプレート基板25で間仕切りすることにより、第2ケーシング3内の紫外線ランプ8からの紫外線は第1ケーシング2内のシュータ13内を移送されるキャップ16を殺菌する。そして、万が一に、紫外線ランプ8が破損したときにも、紫外線ランプ8の破片やランプ内に含まれている水銀等の汚物が第2ケーシング3から第1ケーシング2内に入り込むことがなく、安全な状態でキャップ16の殺菌処理が可能となる。
【0026】
上記プレート基板25は、図3に示すように、紫外線透過性フッ素樹脂材からなる外装カバー24で紫外線透過性ガラス板23を覆った後、外装カバー24の開口部同士を熱溶着する等して結合し、紫外線透過ガラス板23の全体を覆い尽くして密着させ、一部でも露出する部分がないようにする。この場合、紫外線透過性ガラス板23の各辺は、これを0.1C〜0.5Cにカットして面取りすることが好ましい。尚、外装カバー24の開口部同士は、接着剤を用いて接合するようにしても良い。この場合、接着剤の材質は、紫外線に強いものを適用する必要がある。
【0027】
このようにガラス板23の全体を外装カバー24で覆い尽くして密封することにより、ガラス板23の強度を高めることができると共に、外装カバーを緩衝材として用いることもできる。そのため、プレート基板25全体の強度を高めてガラス板23自体を割れ難くすることができると共に、外部から物が衝突した場合のガラス板23の割れを防止し又は抑制することができる。
【0028】
また、万一ガラス板23が破損したときにも、ガラス片が外部に飛び散るのを防止することができる。そのため、ガラス板23が破損した場合にも、そのガラスの破片が外装カバー内に漏れなく保持されるため、ガラスの破片が処理対象物であるキャップ16に付着するおそれがなく、キャップ16を安全に紫外線殺菌することができる。更に、ガラス板23の各角部を面取りすることにより、袋詰のように被覆する作業を安全且つ簡単に行うことができる。
【0029】
更に、紫外線透過性ガラス板23が板材であるため、その袋詰のような被覆作業は、例えば次のようにして行うことができる。まず、紫外線透過性フッ素樹脂からなる熱収縮チューブにガラス板23を入れ、熱を加えることで紫外線透過性ガラス板23の面側は紫外線透過性フッ素樹脂の外装カバー24に密着される。このとき紫外線透過性ガラス板23の端面部23a,23bにおいても、外装カバー24を加熱処理して熱溶着することにより被覆が可能となる。更に、被覆の他の方法としては、例えば、紫外線透過性ガラス23板に見合う形状を有する受け皿を作り、その中に紫外線透過性フッ素樹脂のシートを溶着させてガラス板23を被覆することも可能である。
【0030】
また、図1及び図2に示すように、シュータ13は、6本のシュート棒14a,14b,14c,14d,14e及び14fと、これらのシュート棒14a〜14fを長手方向の適宜位置で固定支持する複数個の枠部材15とを備えている。6本のシュート棒14a〜14fは、上部中央に位置する上シュート棒14aと、下部中央に位置する下シュート棒14bと、一方の側面の上下に配置される横上シュート棒14c及び横下シュート棒14dと、他方の側面の上下に配置される横上シュート棒14e及び横下シュート棒14fとからなる。
【0031】
これらシュート棒14a〜14fのうち、上シュート棒14aは、紫外線照射の対象物であるキャップ16の高さ方向の位置を規制して移送時における跳ね上がりを防止する。下シュート棒14bはキャップ16を下方から支えるもので、上下のシュート棒20a,20b間の間隔は、キャップ16の直径よりも少々大きく設定されている。また、両側面の上下に配置される左右の横上下シュート棒14c〜14fは、キャップ16の倒れ込みを防止するもので、左右の横上下シュート棒14c〜14f間の間隔は、キャップ16の高さよりも少々大きく設定されている。
【0032】
これら6本のシュート棒14a〜14fは、枠部材15の内面に溶接等の固着手段によって固定されている。枠部材15は、シュート棒14a〜14fの長手方向に適当な間隔をあけて多数使用されており、紫外線キャップ殺菌装置の外部ではスタンド等の支持手段によって所定の高さを保持するように支持されている。各枠部材15は取付ネジ等の固着手段によってケーシングに固定されている。これら6本のシュート棒14a〜14f及び枠部材15の材質としては、例えば、溶接の可能なステンレス鋼等の金属が好適であるが、例えば、紫外線に対する抵抗力のある合成樹脂(例えば、紫外線透過性フッ素樹脂)等を適用することもできる。
【0033】
このような構成を有するシュータ13の中を、キャップ16は、除菌又は無菌とされた圧縮空気の圧力等で押されて、長手方向の一方から他方に向けて移送される。そして、紫外線キャップ殺菌装置35は、シュータ13内を転がるように移送されるキャップ16の内面凹部16a及びその周辺部に、このケーシング本体1内に収納された3本の紫外線ランプ8と、反射板17とによって紫外線を直接照射し、キャップ16の内面凹部16aとその周辺部を殺菌するようにしている。
【0034】
紫外線ランプ8は紫外線を放射する発光源をなしているが、同時に可視光線を放射する発光源をも兼ねている。即ち、紫外線ランプ8は、波長範囲の下限が360〜400nm(ナノメートル)程度であって上限が760〜830nm程度の電磁波である可視光線と、この可視光線の短波長端360〜400nm程度を上限として下限が1nm程度の電磁波である紫外線とを、少なくとも発光する光源である。
【0035】
この紫外線ランプ8の1本当りの消費電力は120ワット(W)以下10W以上であることが好ましく、更には100W以下50W以上のものが好適である。このような範囲内の消費電力を有する紫外線ランプを使用する理由は、紫外線の放電に際して発熱量が比較的少なく、発熱による紫外線殺菌線の減衰が少ないとともに、常温又はケーシング本体内の温度における安定性が良い等の理由によるものである。
【0036】
また、例えば、紫外線ランプの温度を所定以上には上昇させない構造とした水冷式や強制エアー冷却式の装置においては、消費電力が500W又は1KWの紫外線ランプを使用することができることは勿論のこと、2〜5KWの紫外線ランプも使用することができ、更には、消費電力が20KWの高圧ランプを使用することもできる。ここに上げた消費電力の数値は、紫外線ランプの標準的な数値を例示したものであり、本発明は、これらの数値のものに限定されることがないことは勿論である。
【0037】
更に又、発光源は丸い紫外線ランプ8に限られるものではなく、楕円形その他の形状であっても良く、更に発光源の他の例としては、例えば放射する電磁波の波長範囲が300nm〜400nmのブラックライト、可視光領域のうち波長範囲400nm〜480nmが主な発光域である通常蛍光灯(白色蛍光灯)等を挙げることができる。更に、波長範囲が180nmから480nmまでの電磁波を発生するものであればよく、例えば水銀灯、キセノンランプ、エキシマランプ、エキシマレーザ、桃色蛍光灯、発光ダイオード、レーザダイオード、エレクトロルミネッセンス等各種の電磁波発生器を適用することができる。
【0038】
紫外線ランプ8と紫外線防護プレート10の間に設けられた反射板17の内面には、鏡面加工や乱反射加工等を施すことによって反射面が形成されている。この反射板17は、3本の紫外線ランプ8から放射された紫外線及び可視光線を含む光をシュータ13側に反射させるものである。この反射板17の材質としては、例えば、アルミニウム板や鉄板、ステンレス鋼板等を使用できる。
【0039】
図4に示すものは、本発明のケーシング本体1の断面図で第2の実施例を示すものであり、第1 ケーシングの構造とシュータの構造が図1に示す第1実施例と異なっている。すなわち、図1に示したと同じく袋詰のように被覆されたプレート基板25をキャップ16の開口面である内面凹部16aに直接近づけるようにした。ここでキャップ16がアルミニウム製のものであれば、紫外線透過性フッ素樹脂材からなる外装カバー24に傷がつく場合があるが、キャップ16が樹脂製のものである場合や、仮にアルミニウム製であっても開口側がカールされているものである場合には、外装カバー24に傷が付くおそれをなくすことができる。この実施例では、シュータ13Aは、図1のシュータ13とは異なり、4本のシュート棒14a〜14dによって構成されている。
【0040】
シュータ13Aが収納される第1ケーシング2は、平板状のベース基板26と、上下に対向して設けられた2つの型材27a、27bから構成されている。この型材27a、27bはスペーサ28a、28bを介してボルトとナットによりベース基板26に固定され、第1ケーシング2が構成されている。ここで、プレート基板25とキャップ16の開口側端面との距離は、上記スペーサ28a、28bによってキャップ16のすべりが適度になるように調整される。このスペーサ28a,28bは板材スペーサでもあってもよく、ワッシャータイプのものであってもよい。
【0041】
上記2つの型材27a、27bの先端部は、L字状に形成されて側縁部20a,20bとされている。この側縁部20a,20bには、位置決め片となる突起21a、21bが形成されている。第2ケーシング3は図1に示すものと同じものであり、第1ケーシング2と対向する部分はアングル状の突起が形成されている。また、L字状のアングル部材22a、22bが、第1ケーシング2に設けられた位置決め用突起21a、21bに対向して押え部22a、22bを形成している。このL字状のアングル部材22a、22bは皿ネジ23a、23bにより、第1ケーシング2の側縁部20a,20bに固定される。
【0042】
この突起21a、21bと押え部22a、22bとにより形成された溝に、紫外線透過性ガラス23を紫外線透過性フッ素樹脂材からなる外装カバー24で覆って全面被覆したプレート基板25が挿入される。第1ケーシング2と第2ケーシング3の間を上記構造のプレート基板25で間仕切りすることにより、第2ケーシング3内の紫外線ランプ8からの紫外線が第1ケーシング2内のシュート13内を移送されるキャップ16に照射され、このキャップ16に付着された細菌や微生物等が殺菌される。
【0043】
この場合、プレート基板25においては、ガラス板23の全体を外装カバー24で覆い尽くして密封する構成としたため、例えば、長時間の使用による疲労等によって、或いは物が衝突する等によってガラス板23が破損したときにも、ガラス片が外部に飛び散るのを防止することができる。そのため、ガラス板23が破損したときにも、そのガラスの破片が外装カバー内に漏れなく保持され、ガラスの破片が処理対象物であるキャップ16に付着するおそれがないから、キャップ16を安全に紫外線殺菌することができる。また、万が一に、紫外線ランプ8が破損したときにも、紫外線ランプ8の破片やランプ内に含まれている水銀等の汚物が第2ケーシング3から第1ケーシング2内に入り込むことがなく、安全な状態でキャップ16の殺菌処理が可能となる。
【0044】
図4に示される第2の実施例では、キャップ16が移送されるシュータ13Aは、4本のシュート棒14a〜14dと、プレート板25の作る空間によって形成されている。これら4本のシュート棒14a〜14dは、コの字状をしたシュート棒用固定部材29に溶接等により固定されている。このコの字状をした固定部材29はシュート棒の長手方向に適当な間隔をあけて多数使用されている。
【0045】
この4本のシュート棒14a〜14dと、プレート板25の作る空間によって形成されるシュータ13A内を、キャップ16は、除菌又は無菌とされた圧縮空気の圧力等で押されて、長手方向の一方から他方に向けて移送される。そして、シュータ13A内を転がるように移送されるキャップ16の内面凹部16a及びその周辺部に、このケーシング本体1内に収納された3本の紫外線ランプ8と、反射板17とによって紫外線が直接照射される。そのため、キャップ16の内面凹部16aとその周辺部を紫外線によって効果的に殺菌することができる。
【0046】
図5は、樹脂被覆部材の第2の実施例を示すもので、円盤状のプレート基板32の例である。図3に示す角型のプレート基板25と形状が異なるが、円盤型の紫外線透過性ガラス板30を紫外線透過性フッ素樹脂材からなる外装カバー31で全面被覆したものである。
【0047】
図6は、図5に示すプレート板の構造及び作成工程を説明する断面図である。このように、プレート基板32が円盤の場合は、被覆すると円周部分に皺がよりやすくなる。そのため、一旦、図6に示すように外装カバー31を、紫外線透過性フッ素樹脂材で形成された受け皿のような下側カバー片31aと、同じく紫外線透過性フッ素樹脂材で形成された円盤状の上側カバー片31bとを作成する。そして、必要によりガラス板30の外周縁を面取りし、必要により研磨した後、下側カバー片31aの凹部内にガラス板30を収納する。
【0048】
このガラス板30が収納された下側カバー片31aの上に上側カバー片31bを重ね合わせ、両カバー片31a,31bの外周縁が重なり合う部分を熱融解等させて接合する。その後、両カバー片31a,31bの外周縁の根元部分(矢印で示す部分)を、例えば、レーザ切断装置等によって切断することにより、図5に示すような円盤形のプレート基板32を作成することができる。これにより、円盤型の紫外線透過性ガラス板30の全面が完全に紫外線透過性フッ素樹脂材からなる外装カバー31(下側カバー31aと上側カバー片31bとからなる。)で密着されて被覆され、プレート基板25と同様のプレート基板32が構成される。
【0049】
図7は、本発明の樹脂被覆部材の第3の実施例を示すもので、図1及び図4の構造の実施例とは別な構造の、例えば紫外線ランプを中央においてその周辺の物質を殺菌するような円筒形状をした紫外線殺菌装置に用いられるものである。円筒状の石英ガラスあるいは紫外線透過性ガラス等からなるガラス筒33と、このガラス筒33の内径よりも外径がやや小さく、かつ長手方向にやや長い円筒状の紫外線透過性フッ素樹脂材からなる内側筒体34aと、紫外線透過性ガラス33の外径よりも内径がやや大きく、長手方向にやや長い円筒状の紫外線透過性フッ素樹脂材からなる外側筒体34bとからなるが外装カバー34とによって構成されている。
【0050】
すなわち、石英ガラスあるいは紫外線透過性ガラス製のガラス筒33の内面に沿って内側筒体34aを挿入し、そしてガラス筒33の外面に沿って外側筒体34bを挿入する。この内側筒体34aと外側筒体34bとからなる外装カバー34で紫外線透過性ガラス製のガラス筒33の全面を覆った後、内側筒体34aと外側筒体34bの開口部同士を熱溶着等の結合手段によって結合する。
【0051】
この場合、内外筒体34a,34bの開口部の周縁部を重なり合わせて熱を加えることにより、内側筒体34aと外側筒体34bの紫外線透過性フッ素樹脂材同士が熱接合されて被覆が完了する。これにより、図8に示すように、円筒型の紫外線透過性ガラス筒33の全面が完全に紫外線透過性フッ素樹脂材の外装カバー34で被覆された樹脂被覆部材60が構成される。
【0052】
図9には、樹脂被覆部材の第4の実施例を示す。この樹脂被覆部材62は、全体を角筒型としたものである。この樹脂被覆部材62の構造、製法等については、上述した図7及び図8に示す円筒型の樹脂被覆部材60と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0053】
図10から図12は、本発明が適用される紫外線処理装置の第1の応用例を示すものである。この紫外線処理装置は、容器の口部を封口するキャップを殺菌処理するための紫外線キャップ殺菌装置として構成した例である。図1と同じ構成部分には同一番号を付してある。
【0054】
この紫外線キャップ殺菌装置35は、キャップ16を移送するシュータ13の移送方向中途部に設けられている。このシュータ13の移送方向の先端部には、図示しないが、容器に内容物を充填するための回転充填機(フィラー)や、内容物が充填された容器にキャップ16を装着するキャップ装着締付機(キャップシーマー)等が配設されている。
【0055】
また、シュータ13の移送方向の基端部には、円盤型殺菌装置36が配設されている。この円盤型殺菌装置36の他端部には前段シュータ13aの基端部が配置され、その前段シュータ13aの他端部はキャップ16を連続的に供給するホッパ装置37が配設されている。
【0056】
ホッパ装置37は、カップ状の容器からなるホッパ38と、このホッパ38の開口側が固定されるベース部材39と、このベース部材39に取り付けられた駆動源であるモータ40等を備えている。ホッパ38の閉口端の上角部には、キャップ16を投入するための投入口41が設けられている。ベース部材39の側面下部には、キャップ16が連続的に取り出される取出口42が設けられており、この取出口42に前段シュータ13aの基端部が挿入されている。モータ40は、ベース部材39のホッパ38の取付面と反対側に固定されている。このモータ40によって駆動される図示しないキャップ取出機構の作動により、キャップ16が逐次的に前段シュータ13aに供給され、円盤型殺菌装置36に移送される。
【0057】
円盤型殺菌装置36は、キャップ16を収容するための凹部43aが周縁部に多数設けられた円盤43と、この円盤43の周縁部の一部を覆う紫外線殺菌手段44と、この紫外線殺菌手段44に対向するよう円盤43の裏面側に設けられた図示しない加熱蒸気噴霧殺菌手段と、紫外線殺菌手段44及び加熱蒸気噴霧殺菌手段に熱源を供給するヒータ電源温水加熱噴霧装置45等を備えて構成されている。円盤43は、ヒータ電源温水加熱噴霧装置45に設けられた回転軸46によって回転自在とされており、この円盤43が所定速度で回転することによってキャップ16が凹部43aに1個ずつ収容されて移送される。
【0058】
紫外線殺菌手段44は、円盤43の外周縁に沿って設けられた図示しないガイド部材を有し、このガイド部材によって凹部43aからキャップ16が脱落するのを防止している。この紫外線殺菌手段44は、円盤43の凹部43aに側面から紫外線を照射するもので、紫外線が持つ殺菌力を利用してキャップ16を紫外線殺菌する。そのため、紫外線殺菌手段44は、紫外線を放射する紫外線発生源を備えており、その紫外線発生源としては、例えば、1又は2以上の紫外線ランプを適用することができる。
【0059】
また、加熱蒸気噴霧殺菌手段は、蒸気熱エネルギを利用してキャップ16を加熱殺菌するものである。この加熱蒸気噴霧殺菌手段は蒸気噴霧ノズルを有し、その蒸気噴霧ノズルは、その殺菌加熱を目的とする場所めがけて加熱蒸気を噴射させる。尚、加熱蒸気噴霧殺菌手段は、高温の熱風と高温の温水とを混合し、霧吹きのように吹きつけて加熱殺菌することもできる。
【0060】
円盤型殺菌装置36によって殺菌処理されたキャップ16は、シュータ13に供給され、シュータ13が長手方向に貫通された紫外線キャップ殺菌装置35に送られる。キャップ16は紫外線キャップ殺菌装置35の中を、例えば除菌され又は無菌とされた圧縮空気の圧力等で押されて、長手方向の一方から他方に向けて移送される。このキャップ16の移送手段としては、この他にも、例えばシュータ13を長手方向に傾けて自重によって移送させるようにしてもよく、或いはベルトコンベヤやキャッチ型コンベヤ、キャッチ型円板等の移送手段によって移送させる構成とすることもできる。
【0061】
図11と図12に示すように、シュータ13が長手方向に貫通された紫外線キャップ殺菌装置35は、シュータ13内を転がるように移送するキャップ16を紫外線によって殺菌するもので、特に、キャップ16の凹部16aの内面及びその周辺部に紫外線を含む電磁波を照射する。この紫外線キャップ殺菌装置35は、横長とされた箱状のケーシング本体1と、このケーシング本体1内に収納された3本の紫外線ランプ8と、反射板17と、紫外線防護プレート10と、紫外線透過性ガラス材を紫外線透過性フッ素樹脂材で被覆した紫外線透過性のプレート基板25等から構成されている。
【0062】
また、図11に示すように、第2ケーシング3の適宜位置(この実施例では長手方向の両側部)には、多数の貫通穴からなる空気抜き穴47が設けられている。これら空気抜き穴47からケーシング本体1内の温められた空気を抜いて紫外線ランプ8の発熱を抑制している。更に、第2ケーシング3の長手方向の一方の端部には、3本の紫外線ランプ8に通電するための3個のソケットコネクタ48が設けられている。このソケットコネクタ48は、ケーシング本体1において長手方向両端部に設置されたランプソケットに接続されており、これらランプソケットを介して3本の紫外線ランプ8と3個のソケットコネクタ45とがそれぞれ電気的に接続されている。
【0063】
尚、3個のソケットコネクタ48を1個にして3本の紫外線ランプ8の配線を1箇所にまとめる構成とすることもできる。この際、3本の紫外線ランプ8から放射される紫外線及び可視光線を含む電磁波がキャップ16の凹部16a側に照射され、凹部16a内に注ぎ込まれる。これにより、キャップ16の凹部16aに対して紫外線による殺菌処理を施すことができ、その表面に付着した細菌等を紫外線により殺菌して衛生的なキャップ16を得ることができる。
【0064】
また、紫外線による反応処理としては、例えば、空中に浮遊している有機物や水中に含まれている有機物等を分解する例を挙げることができる。これは、紫外線による酸化分解反応と言われるもので、次のような内容を有している。即ち、炭素原子を中心に様々な原子が結合してできている物質の総称である有機物は約50〜150kcal/molの結合解離エネルギを有しており、これは紫外線のエネルギ量と略一致するため、紫外線のみが酸化剤の注入によってこれらのエネルギが有機物の分子の結合部に吸収されると、結合の解離を伴う化学反応が起こり、有機物が分解してしまう。これが紫外線による酸化分解反応である。
【0065】
紫外線ランプには、空気に吸収されるとオゾン(O3)を生成する一般にオゾン線といわれる184 .9nmの低波長を出すようにしたランプがあり、この紫外線ランプは、紫外線のうち波長253.7nmの殺菌線よりも高いエネルギを放出する。そのため、この紫外線ランプを空気や酸素の雰囲気中で点灯させ、オゾン線184.9nmを空気に吸収させたり酸素に接触させることにより、オゾン(O3)を生成させて酸化分解を起こさせるO3発生ランプ収納管とすることができる。
【0066】
また、この紫外線ランプ収納袋詰管を水中で点灯して酸化剤を注入した処理水に照射させ、水の分子であるH2OをOH基とH基に分解することにより、ヒドロキシラジカルと呼ばれるOHを得ることができる。このOH基は強い酸化力を持っているため、殆どの有機物を分解することができる。そして、純水や超純水中での有機物の分解は、253.7nmの波長と酸化剤の注入によって励起されるものに加え、ヒドロキシラジカルOHによる酸化分解との相乗効果によって有機物の分解を促進することができる。
【0067】
図13は、本発明の図8に示すような紫外線透過性ガラス材からなる樹脂被覆部材60を用いた紫外線処理装置の他の実施例を示すもので、紫外線水処理装置を縦方向に断面した説明図である。この紫外線水処理装置50は、水等の殺菌対象物が流通されるタンク本体55と、このタンク本体55の中央部において上下方向に貫通するように設置される樹脂被覆部材60等から構成されている。
【0068】
紫外線水処理装置50のタンク本体55は、円筒状の胴部55aと、この胴部55aの一方の開口端を閉じる上蓋部55bと、胴部55aの他方の開口端を閉じる下蓋部55cとを有している。胴部55aの下蓋部55c側には側方に突出する導入管52が設けられ、また、上蓋部55b側には同じく側方に突出する排出管53が設けられている。更に、上蓋部55b及び下蓋部55cの中央部には、これらを上下方向に貫通する貫通穴54a,54bが設けられている。そして、これらの貫通穴54a,54bに樹脂被覆部材60が挿通され、この樹脂被覆部材60の各端部が上蓋部55b及び下蓋部55cからそれぞれ突出されている。
【0069】
上下の貫通穴54a,54bは、各蓋部55a,55bの外面側の直径が内面側の直径よりも大とされた段付き構造とされている。そして、各貫通穴54a,54bの小径部の直径が樹脂被覆部材60の外径よりも若干大径とされていて、樹脂被覆部材60の挿入が容易に行えるようになされている。各貫通穴54a,54bの大径部にはOリング等の密封装置56がそれぞれ嵌合されていて、各密封装置56の内面が樹脂被覆部材60の外周面に密着されている。
【0070】
更に、各貫通穴54a,54bの開口部にはリング状をなすツバ付きの押え部材57a,57bが嵌合されている。これらの押え部材57a,57bは、図示しない固定ネジ等の固着手段によって上及び下蓋部55b,55cに固定されており、これにより各密封装置56の抜け出し防止が図られている。そして、2個の密封装置56との間に生じる摩擦力によって樹脂被覆部材60が弾性的に保持され、これにより、樹脂被覆部材60がタンク本体55に対して液密に取り付けられている。この樹脂被覆部材60の内部に紫外線ランプ51が収納される。
【0071】
このタンク本体55の材質としては、例えば、波長範囲が180nmから480nmまでの電磁波(紫外線及び可視光線の領域)を透過させないものを用いることが好適である。即ち、光透過性を持たない一般的な水タンクの材料として用いられるステンレス鋼、アルミニウム合金その他の金属が好適であるが、光透過性を持たない合成樹脂、例えば紫外線不透過性フッ素樹脂、その他のエンジニアリングプラスチック、その他各種の材料を適用することができることは勿論である。また、例えば、タンク本体55の一部である上蓋部55bや下蓋部55cのみを紫外線不透過性フッ素樹脂で作ることもできる。
【0072】
このような構成を有する紫外線水処理装置50のタンク本体55内に、処理対象物の具体例を示す排水や海水、河川水、水道水、蒸留水、純水、超純水或いは砂糖液、果糖液等の液体が流通される。水道水等の処理対象液は、導入管52からタンク本体55内に導入され、タンク本体55内に充満される。このとき、紫外線ランプ51を点灯して殺菌線である紫外線を放射させることにより、その紫外線が樹脂被覆部材60の外装カバー34及び紫外線透過性ガラス筒32を透過してタンク本体55内に照射される。
【0073】
これにより、タンク本体55内において樹脂被覆部材60の外側を流れる液体に紫外線が照射され、その紫外線によって液体内に含まれる微生物や細菌等が殺菌される。そして、紫外線の照射を所定時間受けることによって殺菌処理され、殺菌されたきれいな液体が排出管53から排出される。
【0074】
以上説明したが、本発明は上述した実施の例に限定されるものではなく、例えば、上記実施例においては樹脂被覆部材として長方形、円形、円筒形、角筒形とした例について説明したが、楕円形、六角形、八角形、三角形その他任意の形状の板体や筒体、或いは片側が封じられた容器(例えば、試験管やビーカー等)に成形できるものである。また、上述した実施例においては、紫外線殺菌装置に適用した例について説明したが、紫外線による処理を殺菌以外の化学分析や化学合成その他の処理装置に適用することができることは勿論である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更できるものである。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願の請求項1記載の紫外線照射装置によれば、紫外線を含む電磁波を発光する発光源と、紫外線透過性の板ガラスを紫外線透過性の樹脂材からなる外装カバーで被覆して全面を密着させた樹脂被覆部材と、を備えて紫外線照射装置を構成するようにしたため、外装カバーによって板ガラスの強化を図ることができ、板ガラスが外部から加えられる衝撃や長期間の使用による劣化等で破損されるのを防止又は抑制すると共に、板ガラスが万一破損した場合にも、その板ガラスが飛び散るおそれがなく、その板ガラスの破片によって紫外線ランプが破損されたり、その破片が処理対象物に付着したりするおそれのない装置を提供することができるという効果を得ることができる。
【0076】
また、本出願の請求項2記載の紫外線照射装置によれば、紫外線を含む電磁波を発光する発光源と、紫外線透過性の筒状ガラスを紫外線透過性の樹脂材からなる外装カバーで被覆して全面を密着させた樹脂被覆部材と、を備えて紫外線照射装置を構成することにより、筒状ガラスが万一破損した場合にも、その筒状ガラスが飛び散るおそれがなく、その筒状ガラスの破片によって紫外線ランプが破損されたり、その破片が処理対象物に付着したりするおそれのない装置を提供することができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の紫外線照射装置の第1の実施例を示すもので、ケーシング本体を断面した説明図である。
【図2】 図1に示す紫外線照射装置の移送手段の要部を示す斜視図である。
【図3】 本発明の紫外線照射装置に係る樹脂被覆部材の第1の実施例を示すもので、長方形プレート基板の斜視図である。
【図4】 本発明の紫外線照射装置の第2の実施例を示すもので、ケーシング本体を断面した説明図である。
【図5】 本発明の紫外線照射装置に係る樹脂被覆部材の第2の実施例を示すもので、円形プレート基板の斜視図である。
【図6】 図5に示す円形プレート基板を断面した被覆状態を説明する断面図である。
【図7】 本発明の紫外線照射装置に係る樹脂被覆部材の第3の実施例を示すもので、樹脂被覆部材の分解斜視図である。
【図8】 図7に示す樹脂被覆部材の一部を断面して示す斜視図である。
【図9】 本発明の樹脂被覆部材の第4の実施例を示す組立斜視図である。
【図10】 本発明の紫外線照射装置の第1の実施例の全体構成を示す説明図である。
【図11】 図10に示す紫外線照射装置の要部を拡大して示す正面図である。
【図12】 図10に示す紫外線照射装置の要部を拡大して示す平面図である。
【図13】 本発明の紫外線照射装置の第2の実施例を示すもので、紫外線水処理装置として応用した全体構成を断面して示す説明図である。
【図14】 従来の紫外線キャップ殺菌装置のケーシング本体を断面して示す説明図である。
【符号の説明】
1 ケーシング本体、 2 第1ケーシング、 3 第2ケーシング、 8,51 紫外線ランプ(発光源)、 13,13A シュータ(移送手段)、 16 キャップ(処理対象物)、 23,30 紫外線透過性ガラス板、 24,31 外装カバー、 25,32 プレート基板(樹脂被覆部材)、 33 紫外線透過性ガラス筒、 35 紫外線キャップ殺菌装置(紫外線照射装置)、 50 紫外線水処理装置(紫外線照射装置)
Claims (2)
- 紫外線を含む電磁波を発光して処理対象物に照射する発光源と、
紫外線を透過させるガラス材に、紫外線を透過させる樹脂材からなる外装カバーを密着させて被覆した樹脂被覆部材と、を備え、
上記発光源と上記処理対象物との間に上記樹脂被覆部材を介在させた紫外線照射装置であって、
上記樹脂被覆部材は、上記ガラス材は板ガラスからなり、上記板ガラスの両面に上記外装カバーをそれぞれ配置して密着させると共に、当該板ガラスの端面部において上記外装カバーの互いの接触面を接合して形成した
ことを特徴とする紫外線照射装置。 - 紫外線を含む電磁波を発光して処理対象物に照射する発光源と、
紫外線を透過させるガラス材に、紫外線を透過させる樹脂材からなる外装カバーを密着させて被覆した樹脂被覆部材と、を備え、
上記発光源と上記処理対象物との間に上記樹脂被覆部材を介在させた紫外線照射装置であって、
上記樹脂被覆部材は、上記ガラス材は円柱状又は角柱状の筒状ガラスからなり、上記筒状ガラスの内外両面に筒状をなす内周側カバー及び外周側カバーをそれぞれ配置して密着させると共に、当該筒状ガラスの筒軸方向の一端部又は両端部において上記内周側カバー及び外周側カバーの互いの接触面を接合して形成した
ことを特徴とする紫外線照射装置。
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