JP4046538B2 - 制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜処理の際のチャンバー内圧力を制御する制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体製造工程においては、被処理体である半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)に成膜処理やエッチング処理等の真空処理が多用されており、その処理の際にはウエハを収容したチャンバー内に所定のガスを導入し、チャンバー内の圧力を厳密に制御する必要がある。
【0003】
このような場合の一般的な圧力制御方式として、チャンバー内の圧力を圧力ゲージで計測し、その計測値をフィードバックしてバルブの開度をPID制御する方式が採用されている。
【0004】
そして、従来のPID制御による圧力制御では、試行錯誤によりPID値を決定し、その単一の組み合わせのPIDパラメータ(KP:比例ゲイン、TI:積分時間、TD:微分時間)を用いて制御を行っていた。
【0005】
しかしながら、バタフライバルブの開度とコンダクタンスとの関係は単純比例関係ではなく、またその関係もガス流量の変化や制御圧力変化によって変化してしまうため、単一の組み合わせのパラメータによる制御には限界があり、高精度で制御を行うことが困難である。また、予め予定される条件毎に最適なPID値を求めることは極めて煩雑である
【0006】
【発明を解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、煩雑さを伴うことなく種々のプロセス条件に応じて高精度で処理容器内の圧力を制御することができる制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、処理容器内にガスを流しつつ排気バルブの開度を制御することによって前記処理容器内の圧力を制御する制御方法であって、所定のガス流量条件下において、前記排気バルブの開度に対応する処理容器内圧力を当該排気バルブの全閉時の到達圧力で除して正規化することによって得られる、バルブ開度−処理容器内圧力の対応付けデータを求める工程と、このバルブ開度−処理容器内圧力の対応付けデータにより得られるバルブ開度−圧力曲線をカーブフィッティングして、正規化された圧力変化に対するバルブ開度変化を把握する工程と、ガス流量を変化させることによって得られる、ガス流量−排気バルブ全閉時の最大到達圧力の対応付けデータを求める工程と、このガス流量−排気バルブ全閉時の最大到達圧力の対応付けデータから制御時のガス流量に対応する排気バルブ全閉時の最大到達圧力を求める工程と、求められた最大到達圧力を用いて、前記カーブフィッティングにより求めた正規化された圧力変化に対するバルブ開度変化から、目標圧力値が変化した場合のバルブの開度変化を見積もる工程とを備えたことを特徴とする制御方法を提供する。
【0008】
本発明においては、このように所定のガス流量条件下において、前記排気バルブの開度に対応する処理容器内圧力を当該排気バルブの全閉時の到達圧力で除して正規化することによって得られる、バルブ開度−処理容器内圧力の対応付けデータを求め、このバルブ開度−処理容器内圧力の対応付けデータにより得られるバルブ開度−圧力曲線をカーブフィッティングして、正規化された圧力変化に対するバルブ開度変化を把握し、ガス流量を変化させることによって得られる、ガス流量−排気バルブ全閉時の最大到達圧力の対応付けデータを求め、このガス流量−排気バルブ全閉時の最大到達圧力の対応付けデータから制御時のガス流量に対応する排気バルブ全閉時の最大到達圧力を求め、求められた最大到達圧力を用いて、前記カーブフィッティングにより求めた正規化された圧力変化に対するバルブ開度変化から、目標圧力値が変化した場合のバルブの開度変化を見積もるので、処理装置で使用される全ガス流量域において、目標圧力値が変化する場合のバルブ開度の変化を見積もることができる。
0009
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の実施に用いられる制御装置を備えた成膜システムを示す断面図である。図1に示すように、この成膜システム100は、成膜装置1と制御装置2とを備えている。
0010
成膜装置1は、円筒状に形成されたチャンバー11を有しており、このチャンバー11内の底部には半導体ウエハWが載置される載置台12が設けられており、載置台12の内部にはヒーター13が埋設されている。載置台12の上方には相対向するようにシャワーヘッド14が設けられており、このシャワーヘッド14には、ガスライン15を介して成膜のためのガスを供給するガス供給機構16が接続されている。ガスライン15にはバルブ17およびマスフローコントローラ18が設けられている。そしてガス供給機構16から成膜ガスがガスライン15を通ってシャワーヘッド14に至り、その下面に形成されている多数のガス吐出孔14aから吐出される。チャンバー11の底部には排気管21が設けられており、排気管21には排気バルブ(可変コンダクタンスバルブ)22が取り付けられている。そして、この排気バルブ22の開度が調節されることにより、チャンバー11内の圧力が調節される。
0011
制御装置2は、チャンバー11内の圧力を検出する圧力センサー31と、圧力センサー31の検出信号から圧力を算出する圧力計32と、この圧力計32の圧力値と設定圧力に基づいて排気バルブ22の開度を制御するPID制御器33と、PID制御器33に設定圧力を出力する設定器34とを有している。
0012
本実施形態では、制御装置2の構成要素として、さらに、演算装置35と、演算装置35にデータを入力する入力装置36と、演算装置35の演算結果を記憶するメモリー37を有している。入力装置36からは後述する各設定圧力変化値毎の応答特性が演算装置35に入力され、そこで各条件における最適なPIDパラメータ値が演算され、それらの結果がメモリー37に入力され、メモリー37においてこれらデータがテーブル化された状態で記憶される。実際の制御に際しては、演算装置35には設定器34から以前設定圧力と設定圧力とが入力される。そして、演算装置35は、設定圧力の変化を算出し、その値とメモリー37に記憶されている情報と比較し、メモリー37のデータからこの設定圧力変化に対応するPIDパラメータを選択し、PID制御器33に対し、設定されている制御パラメータ値を選択された制御パラメータ値に変更する指令を出力する。また、PID制御器33から出力された制御信号の定常ゲインを非線形な補償要素を用いて線形制御系になるように補償する定常ゲイン線形化器38が設けられている。この定常ゲイン線形化器38には、設定流量も入力され、その情報も加味して処理が行われる。
0013
以上のように構成される成膜システム100においては、成膜装置1におけるチャンバー11内の載置台12に半導体ウエハWを載置し、載置台12上の半導体ウエハWをヒーター13により所定の温度に加熱しながら、シャワーヘッド14から所定の成膜ガスを所定の流量で供給して成膜処理を行う。この場合に、制御装置2によりチャンバー11内の圧力を制御する。
0014
この圧力の制御に際しては、圧力設定が変化した場合、以前設定圧力と設定圧力とに基づいて、PID制御器33のPIDパラメータを最適化し、制御信号を出力する。以下、この制御フローの一例について図2のフローチャートを参照しながら説明する。この制御フローは、最適PIDパラメータ値テーブル化工程(ST1)、PIDパラメータ選択工程(ST2)、PIDパラメータ変更工程(ST3)、制御信号出力工程(ST4)、制御信号補償工程(ST5)、制御対象制御工程(ST6)を含んでいる。
0015
まず、最適PIDパラメータ値テーブル化工程(ST1)においては、予め入力装置36から所定の情報が演算装置35に入力され、各設定圧力変化値毎の応答特性のフィッティングが行われ、各条件における最適なPIDパラメータ値が演算され、それらの結果がメモリー37に入力され、メモリー37においてこれらデータがテーブル化された状態で記憶される。
0016
この工程は、種々のバルブ開度変化に対する圧力値のステップ応答試験を例えば図3に示すようなテーブルに基づいて行う。また、ガス流量が変化すると同一のバルブ開度間のステップ応答でも特性が変化してくるため、このようなステップ応答試験を流量も変化させて行い、例えば制御で用いる代表的な流量2種類で行う。また、ステップ応答試験においては、例えばサンプリング周期を0.2secとして100ステップの時系列データをとる。このようにして得られたデータを入力装置36により入力することで演算装置35は次のような方法により最適PIDパラメータを自動的に計算し(オートチューニング)、その値はメモリー37に記憶される。
0017
まず、演算装置35は(1)式に示すモデルを用いて、伝達特性の同定を行う。
【数1】
Figure 0004046538
0018
ここで、G(s)は制御対象の伝達関数であり、Kは定常ゲイン、Lはむだ時間、Tは時定数である。この(1)式に対するステップ応答は以下の(2)式で与えられる。
0019
【数2】
Figure 0004046538
0020
応答波形に対して上記(2)式p=f(t,L,T)をモデルとして非線形最小2乗法を用いてフィッテイングを行い、むだ時間Lと時定数Tを決定する。ここで、伝達特性の次数nは最適なフィッティングができるように決定し予め与える。実験の結果その値は各応答波形ごとに異なるものとなった。
0021
次に、フィッテイングにより求めたむだ時間Lと時定数Tを用いて伝達特性の限界周期Tc=2π/ωcを以下の(3)式に示す非線形方程式を2分法で解いて求める。解の範囲は0<ωc<π/Lである。そして、その限界周期Tcを用いて(4)式により限界感度Kcが求められる。
0022
【数3】
Figure 0004046538
0023
(4)式からわかるように、Kcは定常ゲインKに依存する値である。定常ゲインKは定常ゲイン線形化器38により後述のようにして線形化されるので、ここでは0→90degのステップ応答に対するものを用いる。すなわち、10Torr(1333Pa)キャパシタンスマノメータを使用して制御している時には以下の(5)式で与えられる。
0024
【数4】
Figure 0004046538
0025
これらに基づいて、例えば、改良型限界感度法(桑田:「改良型限界感度法とPID:I−PD制御の特性」,計測自動制御学会論文集,Vol.20,pp.232-239,1987参照)により各伝達特性に対するPIDパラメータ(Kp:比例ゲイン、TI:積分時間、TD:微分時間)を求め、PIDパラメータのテーブルを作成する。この方法ではKP、TI、TDはそれぞれ、以下の(6)、(7)、(8)式で与えられる。
0026
【数5】
Figure 0004046538
0027
ここで、Kc、Tcは上記(3)式および(4)式で与えられ、fK、fI、fDはむだ時間を限界周期で無次元化した基準化むだ時間LN≡L/Tcの関数として、所定の手法にて一意に決定する。この方法ではfK、fI、fDの値を基準化むだ時間LNおよび制御対象の特性タイプに応じて可変にしたので、従来のfK、fI、fDの値が固定の方法よりも高精度の制御が実現される。fK、fI、fDをむだ時間を限界周期で無次元化した基準化むだ時間LN≡L/Tcの関数として一意に決定する手法としては、閉ループ伝達関数H(s)を特性が既知である参照モデルM(s)に一致させることによりPIDパラメータ(KP:比例ゲイン、TI:積分時間、TD:微分時間)を決定する、北森の部分的モデルマッチング法を好適に用いることができる。
0028
以上のような手法により、上記図3中の全ての応答に対してPIDパラメータを算出し、テーブルを作成する。さらに異なるガス流量についても同様なテーブルを作成する。
0029
このようなオートチューニングの例として図3中の0deg→75degのステップ応答に対しフィッティングを行いPIDパラメータを算出するまでの過程を示す。成膜装置は図1に示す構造を有するTiN成膜装置を用い、ガス流量は0.75L/minとした。その際のフィッティング結果を図4に示す。ここで、上記(1)式および(2)式のフィッティング次数はn=6とした。図4から、点で示す測定値に対して(2)式の曲線で良くフィッティングされていることがわかる。フィッティングパラメータであるむだ時間Lと時定数Tは、
L=0.359874、T=0.243904に収束した。
0030
次にこれらの値を上記(3)式に代入し、2分法により解くことにより、限界周期Tc(=2π/ωc)=3.476521が求められる。
0031
定常ゲインKは、バルブ開度90degに対するものを上記(5)式により求めると、K=0.200318となり、これを上記(4)式に代入すると限界感度Kcは、Kc=8.504282となる。次に、以上のように求められたむだ時間Lと限界感度Tcの値より、基準化むだ時間LNは、LN=0.103516となる。この値を用いると上記(6)、(7)、(8)式中のfK、fI、fDが北森の部分モデルマッチング法で決定され以下のように求められる。
K=0.510081、fI=0.364807、fD=0.183519
これらの値とKc、Tcの値を上記(6)、(7)、(8)式に代入すると、最終的にPIDパラメータが以下のように求められる。
P=4.337869、TI=1.268260、TD=0.638007
0032
このような最適PIDパラメータ値テーブル化工程(ST1)の後、PIDパラメータ選択工程(ST2)においては、実際の制御中に、演算装置35において以前設定圧力と設定圧力との変化値と、メモリー37に記憶されているデータとが比較され、上記変化値に対応するPIDパラメータ値、すなわち図3に示すテーブルからその変化値と同じかまたは最も近い組み合わせのPIDパラメータ値を選択する。
0033
具体例として、あるガス流量の下、目標圧力値が変化する場合、これに対するバルブ開度の変化を見積もる。すなわち、バルブ全開を0deg、バルブ全閉を90degとして、あるガス流量下の最大到達圧力pmaxを求め、各開度u,u,u……に対する圧力をp,p,p……とすると、p/pmaxとして正規化(normalize)されたグラフは図5のようになる。
0034
ガス流量を変えて同様なグラフを作成しても、正規化することで同一なものとなるため、このようにして得られたバルブ開度−圧力曲線を以下の(9)式で示す9次多項式でカーブフィッティングしておくことで、正規化された圧力変化に対するバルブ開度変化を知ることができる。
0035
【数6】
Figure 0004046538
0036
さらに、異なる流量に対するpmaxの変化は図6に示すようになり、これよりpmaxはガス流量に対してほぼ線形変化することがわかる。
0037
以上より、図5、図6の関係から処理装置で使用される全ガス流量域において、目標圧力値がpからpに変化する場合のバルブ開度u,uを見積もることができ、このようにして見積もられた開度変化u1→u2と同じかまたは最も近い図3中のステップ応答試験から求められたPIDパラメータを選択する。なお、チューニングは2流量で行っているが、この2つの流量をF1、F2(F1<F2)とすると、これらの平均値(F1+F2)/2以下の流量では流量F1のテーブル、平均値(F1+F2)/2以上では流量F2のテーブルを選択するようにする。各々の流量でのバルブ全閉での最大到達圧力pmaxはチューニングが終了した際にPIDパラメータとともに保存しておく。制御の際の流量がチューニング時の流量F1、F2であればpmaxとして保存されている値を用いるが、F1、F2とことなる流量における制御の際は図6に示すガス流量−最大到達圧力の関係を用いて見積もることとする。
0038
このようにしてPIDパラメータ値を選択した後、PIDパラメータ変更工程(ST3)では選択されたPIDパラメータ値をPID制御器33へ出力し、そこに設定されているPIDパラメータを上記選択されたPIDパラメータに変更する。
0039
制御信号出力工程(ST4)では、この変更されたPIDパラメータを用いて、測定圧力および設定圧力に基づいてPID制御器33が制御信号を出力する。PID制御器33の制御方法としは、通常のPID制御、PI−D制御(微分先行型PID制御)、I−PD制御が挙げられる。
0040
通常のPID制御の制御則は以下の(10)式で与えられ、その伝達関数は以下の(11)式で与えられ、この制御系のブロック線図は図7に示すようになる。なお、(10)式中、u:操作量、e=(r−y):偏差、r:目標値、y:観測量であり、その右辺における第1項は比例動作、第2項は積分動作、第3項は微分動作を表す。
0041
【数7】
Figure 0004046538
0042
PI−D制御の制御則は以下の(12)式で与えられる。この制御は通常のPID制御と異なり、微分動作は観測量yにだけ作用している。目標値がステップ関数状に変化する際に微分動作を目標値に対して行えばデルタ関数が操作量に含まれることとなりset point kickと呼ばれる入力uの急峻な変化が発生する。これを避けるために微分動作を観測量のみに対して行う。この制御系のブロック線図は図8に示すようになる。
0043
【数8】
Figure 0004046538
0044
I−PD制御の制御則は以下の(13)式で与えられる。I−PD制御では微分動作に加えて比例動作も観測量yにだけ作用している。これは目標値がステップ関数状に変化する際に比例動作を目標値に対して行うと操作量はステップ関数を含むことになり実用上好ましくない場合があるためである。また、一般に目標値の変化時の制御性が良好になるようにPID値を調整すると、定常外乱が加わった時に定常偏差が生じがちになり、逆に外乱に対する制御性が良好になるように調整すると目標値変化時にオーバーシュートが大きくなる。I−PD制御を用いるとこのような目標値変化時のオーバーシュート量と外乱抑制性のトレードオフを緩和することができると報告されている。この制御系のブロック線図は図9に示すようになる。
0045
【数9】
Figure 0004046538
0046
また、上記のPID制御、PI−D制御、またはI−PD制御を用いた実際の圧力制御の際には、次のような方法で目標圧力値への到達時間をさらに短縮することが可能である。すなわち、図5および図6に示す関係から目標圧力値がP1からP2に変化する場合のバルブ開度U1→U2を見積もることができる。そこで目標圧力値がP2に変化する場合、バルブ開度の値U2を上記(10)式、(12)式、または(13)式の初期積分値として与えるのである。つまり、これらの式の積分操作量は以下の(14)式で表されるが、ここでKP・C/TI=U2とするのである。
0047
【数10】
Figure 0004046538
0048
例えばデジタル制御化されたシステムにおいて、時分割で操作量が出力されるような場合、t=t1,t2,t3,・・・における積分操作量は次のようになる。
t=0における積分操作量 0
t=t1 〃 (Kp/TI)×E(t1)+U2
t=t2 〃 (Kp/TI)×[E(t2)−E(t1)]+U2
t=t3 〃 (Kp/TI)×[E(t3)−E(t2)]+U2
以下同様
0049
これにより時間t=t1におけるバルブ操作量は微小時間内の積分値にも関わらず、ある大きな値(オフセット値)を持つことになる。このようにすれば、制御開始時のバルブ開度が、目標圧力値を達成したときのバルブ開度に非常に近いものとなるため、到達時間が大幅に短縮され得る。
0050
制御信号補償工程(ST5)では、以上のようにしてPID制御器33から出力された制御信号が定常ゲイン線形化器38により線形制御系に補償される。すなわち、図5に示すとおり、定常ゲインK=p/uはバルブ開度に応じて変化するが、このような定常ゲインの変動は、定常ゲイン線形化器38において、図5の90degにおける値からバルブ開度への逆マップで補償することができる。これにより、制御対象を定数ゲインをもつ(n重1次遅れ+むだ時間系)としてモデル化することができる。すなわち、実制御の際にはPID制御器33側からは制御対象を図5の原点と(90deg、pmax)を結ぶ直線(p=Ku)と見なし、PIDの出力開度(u)は定常ゲイン線形化器38(変換テーブル)によって実際にスロットルバルブに渡される開度(ud)に変換される。このu→udの開度変換テーブルは図5に示された以下の(15)式の9次多項式を解くことにより作成する。
0051
【数11】
Figure 0004046538
0052
PID制御器33は、上述のように制御中にテーブルより最適なPIDパラメータが与えられ、一定の比例ゲインを用いて出力開度uを計算するのであるが、この定常ゲイン線形化にともなう開度udへの変換は比例ゲインをリアルタイムで逐次変化させることと等価となり((4)式を参照)、制御性をより向上させることが可能となる。この定常ゲインの線形化を行わない場合には、制御対象の非線形性が考慮されないこととなる。
0053
制御対象制御工程(ST6)では、以上のようにして定常ゲイン線形化器38で補償された制御信号が、制御対象である排気バルブ22に出力され、排気バルブ22の開度が制御され、これによりチャンバー11内の圧力が所定値に制御される。
0054
本実施形態では、このように予め各制御ステップ毎の最適なPIDパラメータ値を求めてテーブル化しておき、このテーブルからPID制御器33に対する実際の設定条件変化に対応するPIDパラメータ値を選択し、PID制御器33に設定されているPIDパラメータ値を、選択されたPIDパラメータ値に変更し、PID制御器33から変更されたPIDパラメータに基づく制御信号を制御対象である排気バルブ22に出力して制御を行うので、設定条件が変化した場合に常に適切なPIDパラメータで制御することができ、極めて高精度の制御を行うことができる。また、予め各制御ステップ毎の最適なPIDパラメータ値を求めてテーブル化しておき、その中から適切なPIDパラメータ値を自動的に選択するので、煩雑さを伴うことがない。また、上述のように定常ゲインの線形化器38によりPID制御器33から出力された制御信号が線形制御系に補償されるので、一層高精度の制御が実現される。
0055
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態ではPID制御を行う例について示したが、これに限らず他の制御、例えば制御対象の動特性が状態方程式で表現される最適レギュレータを採用することもできる。さらに、各制御ステップ毎の最適な制御パラメータ値を求めてテーブル化する手法についても上記実施形態の手法に限定されず種々の手法を採用することが可能である。さらにまた、上記実施形態では、定常ゲイン線形化器を用いて制御信号を補償しているが、このような制御信号の補償は必須なものではない。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所定のガス流量条件下において、前記排気バルブの開度に対応する処理容器内圧力を当該排気バルブの全閉時の到達圧力で除して正規化することによって得られる、バルブ開度−処理容器内圧力の対応付けデータを求め、このバルブ開度−処理容器内圧力の対応付けデータにより得られるバルブ開度−圧力曲線をカーブフィッティングして、正規化された圧力変化に対するバルブ開度変化を把握し、ガス流量を変化させることによって得られる、ガス流量−排気バルブ全閉時の最大到達圧力の対応付けデータを求め、このガス流量−排気バルブ全閉時の最大到達圧力の対応付けデータから制御時のガス流量に対応する排気バルブ全閉時の最大到達圧力を求め、求められた最大到達圧力を用いて、前記カーブフィッティングにより求めた正規化された圧力変化に対するバルブ開度変化から、目標圧力値が変化した場合のバルブの開度変化を見積もるので、処理装置で使用される全ガス流量域において、目標圧力値が変化する場合のバルブ開度の変化を見積もることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施に用いられる制御装置を備えた成膜システムを示す断面図。
【図2】 本発明の一実施形態の工程を説明するためのフローチャート。
【図3】 種々のバルブ開度変化に対する圧力値のステップ応答試験を行うためのテーブルの一例を示す図。
【図4】 オートチューニングにおけるフィッティング結果の一例を示す図。
【図5】 バルブ開度−圧力曲線を示す図。
【図6】 ガス流量−最大到達圧力の関係の一例を示す図。
【図7】 通常のPID制御系のブロック線図。
【図8】 PI−D制御系のブロック線図。
【図9】 I−PD制御系のブロック線図。
【符号の説明】
1;成膜装置
2;制御装置
11;チャンバー
22;排気バルブ
31;圧力センサー
32;圧力計
33;PID制御器
34;設定器
35;演算装置
36;入力装置
37;メモリー
38;定常ゲイン線形化器

Claims (1)

  1. 処理容器内にガスを流しつつ排気バルブの開度を制御することによって前記処理容器内の圧力を制御する制御方法であって、
    所定のガス流量条件下において、前記排気バルブの開度に対応する処理容器内圧力を当該排気バルブの全閉時の到達圧力で除して正規化することによって得られる、バルブ開度−処理容器内圧力の対応付けデータを求める工程と、
    このバルブ開度−処理容器内圧力の対応付けデータにより得られるバルブ開度−圧力曲線をカーブフィッティングして、正規化された圧力変化に対するバルブ開度変化を把握する工程と、
    ガス流量を変化させることによって得られる、ガス流量−排気バルブ全閉時の最大到達圧力の対応付けデータを求める工程と、
    このガス流量−排気バルブ全閉時の最大到達圧力の対応付けデータから制御時のガス流量に対応する排気バルブ全閉時の最大到達圧力を求める工程と、
    求められた最大到達圧力を用いて、前記カーブフィッティングにより求めた正規化された圧力変化に対するバルブ開度変化から、目標圧力値が変化した場合のバルブの開度変化を見積もる工程と
    を備えたことを特徴とする制御方法。
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