JP4046238B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜磁気ヘッド素子を含むスライダと、回転駆動される記録媒体とを含む磁気ディスク装置に関する。
磁気ディスク装置は、回転駆動される記録媒体と、この記録媒体に対して情報を記録し、また記録媒体から情報を再生する薄膜磁気ヘッドとを備えている。磁気ディスク装置に用いられる薄膜磁気ヘッドは、一般的に、後端部に薄膜磁気ヘッド素子(以下、単にヘッド素子とも言う。)が設けられたスライダによって構成されるようになっている。スライダは、記録媒体の回転によって生じる空気流によって記録媒体の表面からわずかに浮上するようになっている。
近年、磁気ディスク装置の面記録密度が著しく向上している。そして、この面記録密度を更に向上させるために、磁気ディスク装置の動作時における記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離の縮小が求められている。具体的には、最近では、記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離は、8nm以下となっている。記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離の縮小は、再生出力の向上や記録特性の向上に寄与する。
一方、記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離を縮小してゆくと、スライダと記録媒体との衝突が生じやすくなり、記録媒体やヘッド素子の磨耗や損傷が生じやすくなる。この記録媒体やヘッド素子の磨耗や損傷を防止するために、従来は、記録媒体の表面に、液体潤滑剤よりなる潤滑膜を設けていた。
ところで、磁気ディスク装置における起動・停止方式には、コンタクト・スタート・ストップ方式と、ロード・アンロード方式とがある。コンタクト・スタート・ストップ方式では、磁気ディスク装置が停止しているとき、すなわち記録媒体が停止しているときに、スライダを記録媒体に接触させておく。そして、磁気ディスク装置の起動後、すなわち記録媒体の回転開始後、記録媒体の回転によって生じる空気流によってスライダを記録媒体の表面から浮上させる。また、記録媒体の停止時には、再度、スライダを記録媒体に接触させる。特許文献1には、記録媒体において、スライダが接触および浮上を行なう領域とデータ領域とで、潤滑膜の厚みを異ならせる技術が記載されている。
ロード・アンロード方式では、磁気ディスク装置が停止しているときに、スライダを記録媒体の表面から退避させておく。そして、磁気ディスク装置の起動後に、スライダを記録媒体の表面上に配置(ロード)する。また、磁気ディスク装置の停止時には、スライダを記録媒体の表面から退避(アンロード)させる。ロード・アンロード方式としては、例えば特許文献2に示されるようなランプロード方式が多く用いられている。このランプロード方式では、記録媒体の近傍にランプ(傾斜路)が設けられ、一方、スライダを弾性的に支持するサスペンションにはタブが設けられる。そして、このタブがランプに乗り上げることによって、スライダが記録媒体の表面から離れる。ロード・アンロード方式によれば、磁気ディスク装置の起動時または停止時におけるスライダと記録媒体との衝突を防止することができる。特許文献3には、記録媒体の回転数を5,000rpm以上とし、記録媒体の回転時において、ロード・アンロードを行なう領域における潤滑膜の厚みを、記録媒体の停止時に比べて増加させる技術が記載されている。
一方、スライダにおける記録媒体に対向する面には、ヘッド素子を保護するための保護膜が形成される。この保護膜としては、ダイヤモンド・ライク・カーボン膜が多く用いられている。特許文献4には、ダイヤモンド・ライク・カーボン膜と、その上に形成されたテトラヘドラル・アモルファス・カーボン膜とで構成された保護膜を備えた磁気ヘッドが記載されている。また、特許文献5には、保護膜として、内部にフッ素を含むテトラヘドラル・アモルファス・カーボン膜を備えたスライダが記載されている。
また、記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離を縮小する技術として、特許文献6〜8には、記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離を動的に制御する技術が記載されている。この技術では、スライダ内に発熱体を設け、発熱体を発熱させることによってスライダの一部を膨張させて、ヘッド素子を記録媒体に近づけると共に、発熱量を制御することによって記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離を制御する。
特開平6−4856号公報 特開平11−306704号公報 特開2000−30201号公報 特開2001−195717号公報 特開2003−226971号公報 米国特許第5,991,113号明細書 特開2003−168274号公報 特開2003−272335号公報
前述のように、磁気ディスク装置における記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離は小さくなってきている。また、磁気ディスク装置では、ヘッド素子中のコイルが記録動作中に発熱することによって、ヘッド素子が記録媒体に近づくように突出し、記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離が、所望の値よりも小さくなる場合がある。また、磁気ディスク装置では、サスペンションがスライダに加える荷重のばらつきや、浮上時におけるスライダの姿勢のばらつき等により、記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離が、所望の値よりも小さくなる場合がある。また、特許文献6〜8に記載されているような記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離の制御によって、記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離が小さい値に設定される場合もある。このような種々の要因から記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離が小さくなると、以下のような問題が発生することが分かった。それは、記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離が小さくなると、スライダが記録媒体に接触していなくても、記録媒体における潤滑膜が流動して潤滑膜の厚みが変動し、更に、潤滑膜とスライダとが共振して、スライダが振動することである。このように、スライダが振動すると、ヘッド素子と記録媒体における磁性層との間の距離が変動し、エラーレートが増加する。特許文献1〜8に記載された、いずれの技術も、上述のような潤滑膜とスライダとの共振に起因するスライダの振動を防止しながら、記録媒体の表面とヘッド素子との間の距離を小さくすることは困難である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、スライダの振動を防止しながら、記録媒体の表面と薄膜磁気ヘッド素子との間の距離を小さくすることができるようにした磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の磁気ディスク装置は、回転駆動される記録媒体と、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを記録媒体に対して位置決めする位置決め装置とを備えている。記録媒体は、スライダに対向する表面を有し、この表面には液体潤滑剤よりなる膜は配置されていない。スライダは、記録媒体に対向する媒体対向面およびこの媒体対向面の近傍に配置された薄膜磁気ヘッド素子を含むスライダ本体と、媒体対向面を保護する保護膜とを有している。保護膜は、テトラヘドラル・アモルファス・カーボン膜によって形成されている。位置決め装置は、記録媒体が停止しているときにはスライダを記録媒体の表面から退避させ、記録媒体が回転しているときにはスライダを記録媒体の表面に対向させる。磁気ディスク装置は、更に、記録媒体の表面と薄膜磁気ヘッド素子との間の距離を制御する距離制御装置を備えている。
本発明の磁気ディスク装置では、記録媒体におけるスライダに対向する表面には液体潤滑剤よりなる膜は配置されていないので、液体潤滑剤よりなる膜とスライダとの共振に起因するスライダの振動は発生しない。また、本発明では、位置決め装置の動作により、通常は、スライダは記録媒体に接触しない。また、本発明では、スライダにおける保護膜は、テトラヘドラル・アモルファス・カーボン膜によって形成されている。この保護膜は摩擦係数が小さいため、スライダが記録媒体に接触しても、スライダの振動は抑制される。また、本発明では、距離制御装置によって、記録媒体の表面と薄膜磁気ヘッド素子との間の距離が制御される。
本発明の磁気ディスク装置において、距離制御装置は、スライダ本体に内蔵された発熱部を有していてもよい。
また、本発明の磁気ディスク装置において、記録媒体は、磁性層と、この磁性層を保護する固体の保護層とを有し、この保護層が表面に露出していてもよい。
また、本発明の磁気ディスク装置において、薄膜磁気ヘッド素子は、記録媒体に情報を記録する記録素子と、記録媒体に記録された情報を再生する再生素子とを有し、距離制御装置は、記録素子による記録動作時および再生素子による再生動作時に、記録動作も再生動作も行なわれないときに比べて、記録媒体の表面と薄膜磁気ヘッド素子との間の距離を小さくしてもよい。
本発明の磁気ディスク装置では、記録媒体におけるスライダに対向する表面には液体潤滑剤よりなる膜は配置されていないので、液体潤滑剤よりなる膜とスライダとの共振に起因するスライダの振動は発生しない。また、本発明では、位置決め装置は、記録媒体が停止しているときにはスライダを記録媒体の表面から退避させ、記録媒体が回転しているときにはスライダを記録媒体の表面に対向させる。そのため、通常は、スライダは記録媒体に接触しない。また、本発明では、スライダにおける保護膜は、テトラヘドラル・アモルファス・カーボン膜によって形成されている。この保護膜は摩擦係数が小さいため、スライダが記録媒体に接触しても、スライダの振動は抑制される。また、本発明では、距離制御装置によって、記録媒体の表面と薄膜磁気ヘッド素子との間の距離が制御される。これにより、記録媒体の表面と薄膜磁気ヘッド素子との間の距離を小さくすることが可能になる。以上のことから、本発明によれば、スライダの振動を防止しながら、記録媒体の表面と薄膜磁気ヘッド素子との間の距離を小さくすることができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の平面図である。図2は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置の要部を示す説明図である。図1および図2に示したように、本実施の形態に係る磁気ディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚の記録媒体300を備えている。記録媒体300は、円盤状をなし、スピンドルモータ261によって回転駆動されるようになっている。
磁気ディスク装置は、更に、ヘッドスタックアセンブリ250を備えている。このヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
図3は、ヘッドスタックアセンブリ250の一部を示す斜視図である。図3に示したように、ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222と、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224と、フレクシャ223より突出するように設けられた板状のタブ225とを有している。ベースプレート224は、ヘッドスタックアセンブリ250のアーム252に取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250のキャリッジ251は、軸254に対して回動自在に取り付けられている。磁気ディスク装置では、ボイスコイルモータによってアーム252が回動され、これにより、スライダ210が、記録媒体300のトラック横断方向Xに移動するようになっている。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
図2に示したように、ヘッドスタックアセンブリ250では、複数のアーム252を有するキャリッジ251の各アーム252にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられる。各ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210を備えている。そして、各記録媒体300毎に、記録媒体300を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。
図1に示したように、磁気ディスクは、更に、記録媒体300の外周の近傍に配置されたランプ部270を備えている。このランプ部270は、各タブ225が乗り上げる複数のランプ(傾斜路)を有している。スライダ210が記録媒体300の内周側から外周側へ移動し、タブ225がランプ部270に達すると、タブ225がランプに乗り上げることによって、スライダ210が記録媒体300の表面から離れる。タブ225がランプに乗り上げた状態から、スライダ210が記録媒体300の内周側へ移動すると、タブ225がランプから降り、スライダ210は記録媒体300の表面上に配置される。このように、本実施の形態では、ロード・アンロード方式の一種であるランプロード方式によって、記録媒体300が停止しているときにはスライダ210を記録媒体300の表面から退避させ、記録媒体300が回転しているときにはスライダ210を記録媒体300の表面に対向させる。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250、ランプ部270およびボイスコイルモータは、本発明における位置決め装置に対応し、スライダ210を記録媒体300に対して位置決めする。
図4は、スライダ210を示す斜視図である。スライダ210は、スライダ本体211と、後述する保護膜とを備えている。スライダ本体211は、ほぼ六面体形状をなしている。スライダ本体211の六面のうちの一面は、記録媒体300に対向するようになっている。この一面には、記録媒体300に対向する媒体対向面としてのエアベアリング面20が形成されている。後述する保護膜は、このエアベアリング面20を覆うように設けられ、このエアベアリング面20を保護する。記録媒体300が図3におけるZ方向に回転すると、記録媒体300とスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図4におけるY方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によって記録媒体300の表面から浮上するようになっている。なお、図4におけるX方向は、記録媒体300のトラック横断方向である。また、スライダ本体211は、薄膜磁気ヘッド素子100を含んでいる。この薄膜磁気ヘッド素子100は、スライダ210の空気流出側の端部(図4における左下の端部)の近傍であって、且つエアベアリング面20の近傍に配置されている。また、スライダ本体211の空気流出側の面には、6つの端子101が設けられている。
図5は、記録媒体300の構成を示す断面図である。図5に示したように、記録媒体300は、基板301と、この基板301の上に順に積層された硬化層302、下地層303、磁性層304、保護層305を備えている。基板301は、例えばAl合金またはガラスによって形成されている。硬化層302は、基板301がAl合金によって形成されている場合に、基板301の表面の変形を防止するために設けられる。硬化層302は、例えば、Ni−P合金によって形成される。下地層303は、磁性層304における結晶の配向を制御するために設けられる。下地層303は、例えばCrまたはCr合金によって形成される。磁性層304は、情報を記録するための層である。磁性層304は、例えばCo合金によって形成される。保護層305は、磁性層304を保護するための固体の層である。保護層305は、例えば、炭素膜、特にアモルファス・カーボン膜によって形成される。本実施の形態における記録媒体300では、スライダ210に対向する表面に、保護層305が露出する。すなわち、この記録媒体300では、スライダ210に対向する表面に、液体潤滑剤よりなる膜は配置されていない。
なお、実際の記録媒体300では、基板301の下面にも、硬化層302、下地層303、磁性層304、保護層305が順に積層されているが、図5では、これらを省略している。
次に、図6および図7を参照して、スライダ210の構成について説明する。図6は、スライダ210の要部を示す断面図である。図7は、スライダ210の要部を示す平面図である。スライダ210は、スライダ本体211と、このスライダ本体211のエアベアリング面20を覆うように設けられ、このエアベアリング面20を保護する保護膜212とを備えている。
スライダ本体211は、アルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1と、この基板1の上に形成されたアルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に形成された磁性材料よりなる下部シールド層3と、この下部シールド層3の上に形成された絶縁材料よりなる下部シールドギャップ膜4と、この下部シールドギャップ膜4の上に形成されたMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5の上に形成された絶縁材料よりなる上部シールドギャップ膜7と、この上部シールドギャップ膜7の上に形成された磁性材料よりなる下部磁極層8とを備えている。下部磁極層8は、上部シールド層を兼ねている。なお、下部磁極層8の代わりに、上部シールド層と、この上部シールド層の上に形成されたアルミナ等の非磁性材料よりなる分離層と、この分離層の上に形成された下部磁極層とを設けてもよい。
MR素子5の一端部は、エアベアリング面20に配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。
スライダ本体211は、更に、下部シールド層3、下部シールドギャップ膜4、上部シールドギャップ膜7および下部磁極層8の周囲に配置された絶縁層15と、この絶縁層15に埋め込まれるように形成された熱伝導層16とを備えている。絶縁層15は、例えばアルミナによって形成されている。熱伝導層16は、NiFe等の金属材料によって形成されている。なお、熱伝導層16は、下部磁極層8と同じ材料によって形成されていてもよい。下部磁極層8、絶縁層15および熱伝導層16の上面は平坦化されている。
スライダ本体211は、更に、下部磁極層8、絶縁層15および熱伝導層16の上に形成されたアルミナ等の非磁性材料よりなる記録ギャップ層9と、この記録ギャップ層9の上に形成されたCu等の導電材料よりなる薄膜コイル10と、この薄膜コイル10を覆う絶縁層11と、この絶縁層11の上に形成された磁性材料よりなる上部磁極層12および導電材料よりなるコイルリード層13とを備えている。記録ギャップ層9には、エアベアリング面20から離れた位置においてコンタクトホール9aが形成されている。そして、下部磁極層8と上部磁極層12は、このコンタクトホール9aを通して、エアベアリング面20から離れた位置において磁気的に連結されている。また、下部磁極層8と上部磁極層12は、エアベアリング面20側において、記録ギャップ層9を介して互いに対向する磁極部分を含んでいる。絶縁層11は、例えば熱硬化されたフォトレジストによって形成されている。コイルリード層13の一端は、薄膜コイル10の内周側の端部10aに接続されている。
スライダ本体211は、更に、熱伝導層16の上方において、記録ギャップ層9の上に形成されたヒーター17と、このヒーター17を覆う絶縁層18とを備えている。ヒーター17は、本発明における発熱部に対応する。図7に示したように、ヒーター17は、曲折した線状になっている。また、ヒーター17は、Cu、Ni、Cr、NiCr等の導電材料によって形成されている。なお、ヒーター17は、薄膜コイル10と同じ材料によって形成されていてもよい。絶縁層18は、例えば熱硬化されたフォトレジストによって形成されている。
スライダ本体211は、更に、絶縁層11、上部磁極層12、コイルリード層13および絶縁層18を覆うオーバーコート層19を備えている。オーバーコート層19は、例えばアルミナによって形成されている。
図6には示していないが、オーバーコート層19の上面には、図4に示した6つの端子101が形成されている。1つの端子101は、コイルリード層13の他端に接続されている。他の1つの端子101は、薄膜コイル10の外周側の端部に接続されている。更に他の2つの端子101は、図示しないリード層を介してMR素子5に接続されている。残りの2つの端子101は、ヒーター17の両端部に接続されている。
スライダ本体211は、薄膜磁気ヘッド素子100を含んでいる。薄膜磁気ヘッド素子100は、記録媒体300に情報を記録する記録素子と、記録媒体300に記録された情報を再生する再生素子とを有している。記録素子は、エアベアリング面20側において互いに対向する磁極部分を含むと共に、互いに磁気的に連結された下部磁極層8および上部磁極層12と、この下部磁極層8の磁極部分と上部磁極層12の磁極部分との間に設けられた記録ギャップ層9と、少なくとも一部が下部磁極層8および上部磁極層12の間に、これらに対して絶縁された状態で配設された薄膜コイル10とを有している。
再生素子は、エアベアリング面20の近傍に配置されたMR素子5と、エアベアリング面20側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層(下部磁極層8)とを有している。
本実施の形態に係る磁気ディスク装置では、スライダ210を記録媒体300のトラック横断方向に移動させて、スライダ210を記録媒体300に対して位置決めする。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッド素子100は、記録素子によって、記録媒体300に情報を記録し、再生素子によって、記録媒体300に記録されている情報を再生する。
本実施の形態において、保護膜212は、テトラヘドラル・アモルファス・カーボン(tetrahedral amorphous carbon;以下、ta−Cと記す。)膜によって形成されている。ta−C膜は、炭素原子のsp3結合とsp2結合とを含み、水素を含まない非晶質カーボン膜である。
保護膜212としてのta−C膜は、フィルタード・カソーディック・バキューム・アーク(Filtered Cathodic Vacuum Arc;以下、FCVAと記す。)法によって形成することが好ましい。FCVA法では、炭素原子よりなるカソードとアノードとの間で真空アーク放電させることによって炭素イオンを発生させ、この炭素イオンを、フィルターを通して試料に導き、試料上にta−C膜を成膜させる。
本実施の形態に係る磁気ディスク装置は、記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離を制御する距離制御装置を備えている。この距離制御装置は、スライダ本体211に内蔵されたヒーター17と、このヒーター17を制御するヒーター制御回路とを有している。後述するように、ヒーター制御回路は、磁気ディスク装置における記録再生処理回路に含まれている。ヒーター17は、スライダ本体211内において、薄膜磁気ヘッド素子100を挟んでエアベアリング面20とは反対側に配置されている。ヒーター制御回路は、情報の記録時および情報の再生時に、ヒーター17に所定の電力を供給する。これにより、ヒーター17が発熱する。ヒーター17より発生された熱は、ヒーターの周辺に伝えられる。熱伝導層16は、ヒーター17より発生された熱を、効率よくヒーター17の周辺に伝える機能を有する。ヒーター17が発熱すると、スライダ本体211内において、ヒーター17の周辺の部分が熱膨張し、その結果、薄膜磁気ヘッド素子100が記録媒体300の表面に近づくようにスライダ本体211の一部が突出する。記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離は、ヒーター17に供給する電力によって制御される。このようにして、距離制御装置によって、情報の記録時および情報の再生時に、他のときに比べて、記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離が小さくなるように、この距離が動的に制御される。
図8は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置における記録再生処理回路の構成を示すブロックである。この記録再生処理回路は、記録媒体300に記録する情報に対応した記録信号が入力される入力端子31a,31bと、記録媒体300から再生した情報に対応した再生信号を出力する出力端子32a,32bと、記録制御信号が入力される入力端子33と、再生制御信号が入力される入力端子34とを備えている。
記録再生処理回路は、更に、入力端子31a,31b,33に接続された記録ゲート35と、この記録ゲート35および薄膜コイル10に接続された記録回路36とを備えている。記録再生処理回路は、更に、MR素子5および入力端子34に接続された定電流回路37と、入力端がMR素子5に接続された増幅器38と、この増幅器38の出力端、出力端子32a,32bおよび入力端子34に接続された復調回路39とを備えている。記録再生処理回路は、更に、入力端子33,34およびヒーター17に接続されたヒーター制御回路40を備えている。
この記録再生処理回路では、記録媒体300に情報を記録する際には、入力端子31a,31bを介して記録ゲート35に記録信号が入力されると共に、入力端子33を介して記録ゲート35およびヒーター制御回路40に記録制御信号が入力される。記録ゲート35は、記録制御信号が入力されている間、記録信号を通過させて記録回路36に送る。記録回路36は、記録信号に基づいて薄膜コイル10に電流を流す。これにより、記録素子によって、記録媒体300に情報が記録される。また、ヒーター制御回路40は、記録制御信号が入力されている間、ヒーター17に電力を供給する。これにより、前述のように、薄膜磁気ヘッド素子100が記録媒体300の表面に近づくようにスライダ本体211の一部が突出し、記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離が小さくなる。
また、記録再生処理回路では、記録媒体300から情報を再生する際には、入力端子34を介して定電流回路37、復調回路39およびヒーター制御回路40に再生制御信号が入力される。定電流回路37は、再生制御信号が入力されると、MR素子5に一定の電流を流す。増幅器38は、MR素子5の両端の電位差を増幅する。増幅器38の出力信号は、復調回路39に入力され、復調されて、再生信号として、出力端子32a,32bより出力される。また、ヒーター制御回路40は、再生制御信号が入力されている間、ヒーター17に電力を供給する。これにより、前述のように、薄膜磁気ヘッド素子100が記録媒体300の表面に近づくようにスライダ本体211の一部が突出し、記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離が小さくなる。
このように、本実施の形態では、距離制御装置は、記録素子による記録動作時および再生素子による再生動作時に、記録動作も再生動作も行なわれないときに比べて、記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離を小さくする。
以上説明したように、本実施の形態に係る磁気ディスク装置では、記録媒体300におけるスライダ210に対向する表面には液体潤滑剤よりなる膜は配置されていない。従って、本実施の形態によれば、液体潤滑剤よりなる膜とスライダ210との共振に起因するスライダ210の振動は発生しない。
また、本実施の形態では、位置決め装置は、記録媒体300が停止しているときにはスライダ210を記録媒体300の表面から退避させ、記録媒体300が回転しているときにはスライダ210を記録媒体300の表面に対向させる。従って、本実施の形態では、通常は、スライダ210は記録媒体300に接触しない。また、本実施の形態では、スライダ210における保護膜212は、ta−C膜によって形成されている。このta−C膜よりなる保護膜212は、摩擦係数が小さい。例えば、化学的気相成長法によって形成されるアモルファス・カーボン膜(ダイヤモンド・ライク・カーボン膜)に比べて、ta−C膜よりなる保護膜212の摩擦係数は約2分の1である。従って、本実施の形態によれば、スライダ210が記録媒体300に接触しても、スライダ210の振動は抑制される。そのため、本実施の形態では、スライダ210の振動に伴ってスライダ210と記録媒体300とが衝突する可能性は低い。
また、本実施の形態では、距離制御装置によって、記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離が制御される。これにより、本実施の形態によれば、記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離を小さくすることが可能になる。
以上のことから、本実施の形態によれば、スライダ210の振動を防止しながら、記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離を小さくすることが可能になる。
以下、上述のような本実施の形態に係る磁気ディスク装置の効果を確認するために行なった第1ないし第3の実験の結果について説明する。
まず、図9ないし図11を参照して、第1の実験の結果について説明する。第1の実験は、本実施の形態における記録媒体300が液体潤滑剤よりなる膜を有しないことによる効果を確認するための実験である。この第1の実験では、本実施の形態に係る磁気ディスク装置と比較例の磁気ディスク装置とについて、スライダと記録媒体の表面との間の距離(以下、スライダ−記録媒体表面間距離と記す。)とエラーレートとの関係を調べた。比較例の磁気ディスク装置は、記録媒体として、液体潤滑剤よりなる潤滑膜を有するものを用いたことを除いて、本実施の形態に係る磁気ディスク装置と同様である。なお、比較例において、潤滑膜の厚みは、1.5nmである。
図9は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置と比較例の磁気ディスク装置とについて、スライダ−記録媒体表面間距離とエラーレートとの関係を調べた結果を示す特性図である。図9において、横軸はスライダ−記録媒体表面間距離を表し、縦軸はエラーレートを表している。なお、図9におけるエラーレートは、誤り訂正前のバイト単位のエラーレートである。図9において、丸で示した点は本実施の形態に係る磁気ディスク装置におけるエラーレートであり、四角で示した点は比較例の磁気ディスク装置におけるエラーレートである。
比較例では、スライダ−記録媒体表面間距離が約2.6nm以上の範囲では、この距離が小さくなるほどエラーレートは低下している。しかし、比較例では、上記距離が約2.6nmよりも小さくなると、急激にエラーレートが増加している。これは、潤滑膜とスライダとが共振して、スライダが振動するためと考えられる。そこで、アコースティック・エミッションセンサ(以下、AEセンサと記す。)を用いて、比較例において、スライダ−記録媒体表面間距離が約2.2nmのときのスライダの振動について調べた。その結果を図10に示す。図10において、符号AEはAEセンサの出力信号の波形を表し、符号WGは、記録ゲート35において記録信号を通過させるタイミングを示す記録ゲート信号の波形を示している。この記録ゲート信号の振幅が大きい期間が、記録ゲート35が記録信号を通過させる期間である。図10から、比較例において、スライダ−記録媒体表面間距離が約2.2nmのときには、AEセンサの出力信号の振幅が大きく、スライダが大きく振動していることが分かる。
一方、本実施の形態では、スライダ−記録媒体表面間距離が約1.0nm以上の範囲で、この距離が小さくなるほどエラーレートは低下している。また、本実施の形態では、上記距離が約2.6nm以上の範囲において、比較例に比べて、エラーレートが10-0.5程度小さくなっている。図11は、本実施の形態において、スライダ−記録媒体表面間距離が約2.6nmのときのスライダの振動について調べた結果を示している。図11中の符号の意味は、図10と同様である。図11から、本実施の形態では、スライダはほとんど振動していないことが分かる。
以上のような第1の実験から、本実施の形態によれば、記録媒体300が液体潤滑剤よりなる膜を有しないことにより、スライダ210の振動を防止でき、更にエラーレートを向上させることができることが分かる。
次に、図12ないし図15を参照して、第2の実験の結果について説明する。第2の実験は、本実施の形態において、スライダ210の保護膜212がta−C膜によって形成されていることによる効果を確認するための実験である。この第2の実験では、本実施の形態に係る磁気ディスク装置と比較例の磁気ディスク装置とについて、スライダが記録媒体の表面に接触している状態でのエラーレートとスライダの振動とを調べた。比較例の磁気ディスク装置は、スライダにおける保護膜が、ta−C膜ではなく、化学的気相成長法によって形成されたアモルファス・カーボン膜よりなることを除いて、本実施の形態に係る磁気ディスク装置と同様である。
まず、本実施の形態においてスライダが記録媒体の表面に接触している状態を考慮することの必要性について説明する。本実施の形態では、情報の記録時および再生時に、ヒーター17に電力を供給して、記録媒体300の表面と薄膜磁気ヘッド素子100との間の距離を小さくする。ただし、情報の記録時および再生時に、スライダ210が記録媒体300の表面に接触しないようにする必要がある。そのため、本実施の形態では、予め、スライダ210が記録媒体300の表面に接触する場合にヒーター17に供給される最小の電力(以下、接触最小電力という。)を調べ、情報の記録時および再生時にヒーター17に供給する電力を、接触最小電力よりも小さい値に設定する必要がある。この接触最小電力を調べる過程において、極短時間であるが、スライダ210が記録媒体300の表面に接触する。なお、接触最小電力を調べる過程においてスライダ210が記録媒体300の表面に接触する時間は、数十ミリ秒程度である。また、磁気ディスク装置に、外部から衝撃が加わったときにも、スライダ210が記録媒体300の表面に接触する場合がある。
ここで、接触最小電力を調べる方法の一例について説明する。この方法では、まず、薄膜磁気ヘッド素子100における記録素子によって、記録媒体300に情報を記録する。次に、ヒーター17の供給電力を0として、薄膜磁気ヘッド素子100における再生素子によって、記録媒体300から情報を再生し、そのときの再生素子の出力電圧を測定する。次に、ヒーター17の供給電力を増やし、再度、再生素子の出力電圧を測定する。この処理を、再生素子の出力電圧の増加が止まるまで繰り返す。このようにして、ヒーター17の供給電力と再生素子の出力電圧との関係を求める。再生素子の出力電圧の増加が止まったときが、スライダ210が記録媒体300の表面に接触したときである。そして、再生素子の出力電圧の増加が止まったときのヒーター17の供給電力が、再生時における接触最小電力である。実際の再生時には、この再生時における接触最小電力よりも小さな値の電力をヒーター17に供給する。再生時における接触最小電力から、記録時に薄膜コイル10より発生される熱によるスライダ本体211の一部の突出量に対応するヒーター17の供給電力を引くと、記録時における接触最小電力が求まる。実際の記録時には、この記録時における接触最小電力よりも小さな値の電力をヒーター17に供給する。
記録時に薄膜コイル10より発生される熱によるスライダ本体211の一部の突出量に対応するヒーター17の供給電力は、例えば、以下のようにして求めることができる。まず、保護層の厚みの異なる複数の記録媒体を用いて、薄膜磁気ヘッド素子100のオーバーライト特性および再生素子の出力電圧と、スライダ−記録媒体表面間距離との関係を求める。次に、記録動作の開始から薄膜磁気ヘッド素子100の温度が平衡状態になるまでのオーバーライト特性の変化量を測定する。次に、先に求めたオーバーライト特性とスライダ−記録媒体表面間距離との関係を用いて、オーバーライト特性の変化量をスライダ−記録媒体表面間距離の変化量に換算する。この距離の変化量が、記録時に薄膜コイル10より発生される熱によるスライダ本体211の一部の突出量に相当する。次に、先に求めた再生素子の出力電圧とスライダ−記録媒体表面間距離との関係を用いて、上記の距離の変化量を、再生素子の出力電圧の変化量に換算する。次に、先に求めたヒーター17の供給電力と再生素子の出力電圧との関係を用いて、再生素子の出力電圧の変化量を、ヒーター17の供給電力の変化量に換算する。このヒーター17の供給電力の変化量が、記録時に薄膜コイル10より発生される熱によるスライダ本体211の一部の突出量に対応するヒーター17の供給電力に相当する。
図12は、第2の実験において、比較例の磁気ディスクについて、記録時におけるヒーター17の供給電力とエラーレートとの関係を調べた結果を示す特性図である。また、図14は、第2の実験において、本実施の形態に係る磁気ディスクについて、記録時におけるヒーター17の供給電力とエラーレートとの関係を調べた結果を示す特性図である。図12および図14において、横軸はヒーター17の供給電力を表し、縦軸はエラーレートを表している。図12および図14におけるエラーレートは、誤り訂正前のバイト単位のエラーレートである。なお、比較例の磁気ディスクと本実施の形態に係る磁気ディスクのいずれにおいても、ヒーター17の供給電力が150mW以上の範囲では、ヒーター17の供給電力を増やしてもエラーレートは低下しない。このことから、比較例の磁気ディスクと本実施の形態に係る磁気ディスクのいずれにおいても、記録時にヒーター17の供給電力が150mWのときには、スライダが記録媒体300の表面に接触していることが分かる。図12と図14を比較すると分かるように、比較例に比べて、本実施の形態の方が、エラーレートが小さくなっている。
図13は、第2の実験において、比較例の磁気ディスクについて、ヒーター17の供給電力が150mWのときのスライダの振動について調べた結果を示している。また、図15は、第2の実験において、本実施の形態に係る磁気ディスクについて、ヒーター17の供給電力が150mWのときのスライダの振動について調べた結果を示している。図13および図15において、符号AEはAEセンサの出力信号の波形を表し、符号WGは記録ゲート信号の波形を示している。図13から分かるように、比較例では、スライダが記録媒体300の表面に接触しているとき、スライダは大きく振動している。これに対し、図15から分かるように、本実施の形態では、スライダが記録媒体300の表面に接触しているときでも、スライダはほとんど振動していない。
以上のような第2の実験から分かるように、本実施の形態によれば、スライダ210の保護膜212がta−C膜によって形成され、保護膜212の摩擦係数が小さいことから、スライダ210が記録媒体300の表面に接触しているときでも、スライダ210の振動を防止することができる。そのため、本実施の形態では、スライダ210の振動に伴ってスライダ210と記録媒体300とが衝突する可能性は低い。
次に、図16および図17を参照して、第3の実験の結果について説明する。第3の実験では、本実施の形態に係る磁気ディスク装置の信頼性について確認した。この第3の実験において、記録媒体300の保護層305は、化学的気相成長法によって形成された厚み20nmのアモルファス・カーボン膜とした。また、第3の実験において、スライダ210の保護膜212は、FCVA法によって形成された厚み30nmのta−C膜とした。
第3の実験では、まず、図16に示したように、記録時に、ヒーター17の供給電力を徐々に増やしながら、エラーレートを測定した。図16において、横軸はヒーター17の供給電力を表し、縦軸はエラーレートを表している。図16におけるエラーレートは、誤り訂正前のバイト単位のエラーレートである。図16から分かるように、ヒーター17の供給電力が150mW以上の範囲では、ヒーター17の供給電力を増やしてもエラーレートは低下しない。このことから、記録時にヒーター17の供給電力が150mWのときには、スライダが記録媒体300の表面に接触していることが分かる。
第3の実験では、次に、ヒーター17の供給電力を150mWとしながら、24時間、記録動作を行い、1時間毎にエラーレートを測定した。この間、スライダ210は、記録媒体300の表面に対して、小さな力で押し付けられながら接触し続けた。なお、本実施の形態に係る磁気ディスク装置において、実際の使用時には、このように長時間にわたって、スライダ210が記録媒体300の表面に接触し続けることはない。上記の測定の結果を図17に示す。図17において、横軸は経過時間を表し、縦軸はエラーレートを表している。図17におけるエラーレートは、誤り訂正前のバイト単位のエラーレートである。図17から、本実施の形態では、スライダ210が記録媒体300の表面に接触しても、エラーレートの劣化は生じないことが分かる。このことから、本実施の形態では、液体潤滑剤よりなる潤滑膜を有しない記録媒体300を用いていても、信頼性が高いことが分かる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明において、位置決め装置は、ランプロード方式以外のロード・アンロード方式によって、記録媒体が停止しているときにはスライダを記録媒体の表面から退避させ、記録媒体が回転しているときにはスライダを記録媒体の表面に対向させるようにしてもよい。
また、本発明において、距離制御装置は、スライダ本体211に内蔵されたヒーター17を有するものに限らず、圧電効果や磁歪効果等を利用したマイクロアクチュエータを用いて、記録媒体と薄膜磁気ヘッド素子との間の距離を制御するものであってもよい。
また、実施の形態では、基体側に再生素子を形成し、その上に、記録素子を積層した構造の薄膜磁気ヘッド素子について説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。
本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の平面図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の要部を示す説明図である。 図2におけるヘッドスタックアセンブリの一部を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態におけるスライダを示す斜視図である。 本発明の一実施の形態における記録媒体の構成を示す断面図である。 本発明の一実施の形態におけるスライダの要部を示す断面図である。 本発明の一実施の形態におけるスライダの要部を示す平面図である。 本発明の一実施の形態における記録再生処理回路の構成を示すブロックである。 本発明の一実施の形態の効果を確認するために行なった第1の実験の結果を示す特性図である。 第1の実験において比較例におけるスライダの振動について調べた結果を示す波形図である。 第1の実験において本発明の一実施の形態におけるスライダの振動について調べた結果を示す波形図である。 本発明の一実施の形態の効果を確認するために行なった第2の実験において、比較例の磁気ディスクについてヒーターの供給電力とエラーレートとの関係を調べた結果を示す特性図である。 第2の実験において比較例におけるスライダの振動について調べた結果を示す波形図である。 第2の実験において本発明の一実施の形態に係る磁気ディスクについてヒーターの供給電力とエラーレートとの関係を調べた結果を示す特性図である。 第2の実験において本発明の一実施の形態におけるスライダの振動について調べた結果を示す波形図である。 本発明の一実施の形態の効果を確認するために行なった第3の実験において、本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置についてヒーターの供給電力とエラーレートとの関係を調べた結果を示す特性図である。 第3の実験において本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置についてエラーレートの時間的変化を調べた結果を示す特性図である。
符号の説明
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、4…下部シールドギャップ膜、5…MR素子、7…上部シールドギャップ膜、8…下部磁極層、9…記録ギャップ層、10…薄膜コイル、12…上部磁極層、16…熱伝導層、17…ヒーター、19…オーバーコート層、20…エアベアリング面、100…薄膜磁気ヘッド素子、210…スライダ、211…スライダ本体、212…保護膜、225…タブ、270…ランプ部、300…記録媒体。

Claims (3)

  1. 回転駆動される記録媒体と、
    前記記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置とを備えた磁気ディスク装置であって、
    前記記録媒体は、前記スライダに対向する表面を有し、この表面には液体潤滑剤よりなる膜は配置されておらず、
    前記スライダは、前記記録媒体に対向する媒体対向面およびこの媒体対向面の近傍に配置された薄膜磁気ヘッド素子を含むスライダ本体と、前記媒体対向面を保護する保護膜とを有し、
    前記保護膜は、テトラヘドラル・アモルファス・カーボン膜によって形成され、
    前記位置決め装置は、前記記録媒体が停止しているときには前記スライダを記録媒体の表面から退避させ、前記記録媒体が回転しているときには前記スライダを記録媒体の表面に対向させ、
    磁気ディスク装置は、更に、前記記録媒体の表面と前記薄膜磁気ヘッド素子との間の距離を制御する距離制御装置を備え
    前記薄膜磁気ヘッド素子は、前記記録媒体に情報を記録する記録素子と、前記記録媒体に記録された情報を再生する再生素子とを有し、
    前記距離制御装置は、前記記録素子による記録動作時および前記再生素子による再生動作時に、記録動作も再生動作も行なわれないときに比べて、前記記録媒体の表面と前記薄膜磁気ヘッド素子との間の距離を小さくすることを特徴とする磁気ディスク装置。
  2. 前記距離制御装置は、前記スライダ本体に内蔵された発熱部を有することを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。
  3. 前記記録媒体は、磁性層と、この磁性層を保護する固体の保護層とを有し、前記保護層が前記表面に露出していることを特徴とする請求項1または2記載の磁気ディスク装置。
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