JP4045995B2 - 非接触給電システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触で電力を供給する非接触給電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
給電線である1次側コイルを移動経路に張り巡らせる方式の非接触給電システムは、ピックアップ用の受電側コアを使用して電力の受電を行う。この方式では、1ターントランスと構造的には同一であり、漏れ磁束の増加や磁束の伝達率(以後結合率と呼ぶ。)の低下など給電特性の悪化が生じ易い。これを解決するために特開平8−175232号公報では、1次側コイルを複数回巻いた構成により給電特性の向上を図っている。また、特開平8−175233号公報では、コイルの開口部側に対向させてフェライトシートを敷くことにより給電特性の向上を図っている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−175232号公報
【特許文献2】
特開平8−175233号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−175232号公報のように1次側コイルを複数回巻く構成は、特に移動経路が長距離になる場合には、実装が極めて困難になる。また、巻数に比例して銅損が増加するため、給電特性の低下を招くことになる。特開平8−175233号公報でも同様に、移動経路が長距離になる場合には、フェライトシートを敷く距離も長くなり、実装が極めて困難になる上、コストの増加は否めない。
【0005】
本発明の目的は、容易な構成で給電特性を向上できる非接触給電システムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する為、E形形状のコアの中央鉄心に巻く2次側コイルを偏平に巻き、高さ方向よりも幅方向の方が長くなる構成にする。さらに、給電線である1次側コイルの位置が、E形形状コアの開口部の先端とE形形状コアの接合部との中点よりも接合部側になるように配置し、かつ、2次側コイルよりも受電側コアの開口部側に配置した構成にする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0008】
図1は本発明の第一実施例の非接触給電システムの要部を示す図であり、給電線である1次側コイル1,受電側の2次側コイル2,フェライト等の磁性体を主材料としたE形形状の受電側コア3により構成している。本実施例は図2のように、給電線である1次側コイル1を移動経路に張り巡らせる方式の非接触給電システムを対象としたものである。図2は、搬送車等の移動体5を駆動させるために、受電側コア3を用いて電源4に接続された1次側コイル1から非接触でエネルギーを受電するシステムである。図1は、受電側コア3を移動体5の進行方向から見た図である。1次側コイル1は1ターンの巻線であり、2次側コイル2はE形形状の受電側コア3の中央部に複数回巻いた構造である。これは、1ターントランスと同様な構造であり、漏れ磁束の増加や結合率(磁束の伝達率)の低下など給電特性の悪化が生じ易い。
【0009】
これを解決するために、第一実施例の2次側コイルを偏平に巻き、高さ方向よりも幅方向の方が長くなる構成にしている。図3は、2次側コイル2に着目した場合の従来例と本実施例の比較図である。図3(a)は、従来例の2次側コイル2であり、E形形状の受電側コア3の中央鉄心に沿ってコイルを巻いている。2次側コイル2の高さaが2次側コイル2の幅bよりも長い。これに対して、図3(b)は、本実施例の2次側コイル2であり、コイルを幅方向に重畳させて巻いている。2次側コイル2の高さaが2次側コイル2の幅bよりも短い。
【0010】
2次側コイル2の形状の効果について、図4の2次側コイル2の形状の効果を示す磁界解析結果を用いて説明する。図4(a)は2次側コイル2を受電側コア3に沿って巻いた従来例の解析結果であり、図4(b)は2次側コイル2を重畳して偏平に巻いた本実施例の解析結果である。これらの解析結果は、1次側コイル1に電流を流した場合に発生する磁束分布を示している。また、受電側コアは、磁性体材料として珪素鋼板を仮定しており、比透磁率は7000として計算している。磁束分布自体は2次側コイル2の形状には依存しないため、図4(a)と図4(b)の間で違いは生じない。しかし、図4(b)では点線部に示すように、2次側コイル2を重畳して巻いた効果によって図4(a)では鎖交していない磁束を拾い上げる効果がある。これによって、漏れ磁束として活用できなかった成分を拾い集めることにより、結合率を向上できる。この拾い上げ効果は、コイルの幅方向の長さ(図1のbの長さ)が長いほど効果は大きい。2次側コイル2を重畳して偏平に巻く方法は、巻き枠等を利用することにより容易に構成できる効果もある。
【0011】
図1の第一実施例では、受電側コア3の接合部−2次側コイルの先端間の距離cが受電側コア3の接合部−1次側コイル1間の距離dよりも小さくなるように構成している。言い換えると、1次側コイル1の位置が2次側コイル2よりも受電側コア3の開口部側に配置した構成にしている。これによる給電特性の向上効果も図4により説明できる。図4(b)では大部分の磁束が2次側コイル2を鎖交しているのに対して、図4(a)では、1部の磁束は2次側コイル2の中間部分から漏れていることが判る。2次側コイル2の中間部分から漏れる磁束のほとんどは、1次側コイル1の位置よりも受電側コア3の開口部側で漏れていることから、図4(b)のように1次側コイル1が2次側コイル2よりも開口部側になるように配置することにより漏れ磁束を低減でき、給電特性を向上できる効果がある。
【0012】
図1の第一実施例では、1次側コイル1の位置に着目し、1次側コイル1の中心−受電側コア3の接合部間の距離eが1次側コイル1の中心−受電側コア3の開口部先端間の距離fよりも小さくなるように構成している。言い換えると、給電線である1次側コイル1の位置が、受電側コア3の開口部の先端と受電側コア3の接合部との中点よりも接合部側になるように配置した構成にしている。これによる給電特性の向上効果を図5により説明する。図5(a)は、1次側コイルが図4(b)よりも受電側コア3の開口部側に位置する場合の解析結果であり、図5(b)は図5(a)よりもさらに開口部側に位置する場合の解析結果である。これらの結果により、1次側コイルが開口部側に位置するほど開口部部分の磁束密度が増大し、かつ、磁束が開口部部分から受電側コア3の外部に漏れ広がる傾向にある。この外部に漏れ広がる磁束は電磁誘導により周辺機器に発熱等を与える恐れがある。このため、図4(b)のように1次側コイル1の位置が、受電側コア3の開口部の先端と受電側コア3の接合部の中点よりも接合部側になるように配置することによって上記の悪影響を低減できる効果がある。
【0013】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で様々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、図4,図5のE形形状の受電側コア3は、中央の鉄心の先端がT字型に変形しているが、このような場合においても実施できることは言うまでもない。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、非接触給電システムにおいて、容易な構成で給電特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を示す構成図である。
【図2】1次側コイルから非接触で電力を給電する搬送システムの模式図である。
【図3】従来例の2次側コイルと本発明の2次側コイルの比較図である。
【図4】2次側コイルの形状の効果を示す解析結果である。
【図5】1次側コイルの位置の効果を示す解析結果である。
【符号の説明】
1…1次側コイル、2…2次側コイル、3…受電側コア、4…電源、5…移動体。
Claims (1)
- E形形状のコアの中央鉄心に2次側コイルを巻いた構成の受電側コアを用いて、移動経路に設けた1次側コイルから非接触で電力を給電する非接触給電システムであって、前記2次側コイルの形状は、高さ方向よりも幅方向の方が長い偏平形状であり、前記1次側コイルの位置が、前記E形形状コアの開口部の先端と接合部との中点よりも接合部側になるように配置され、かつ、前記2次側コイルよりも前記開口部側に配置されたことを特徴とする非接触給電システム。
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