JP4045842B2 - ドップラ偏移により生じたエラーを補正する方法及びその装置 - Google Patents

ドップラ偏移により生じたエラーを補正する方法及びその装置 Download PDF

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  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、GSM(Global System for Mobile Communications)のネットワーク及びUMTS(Universal Mobile Transmission Standard)のネットワークで通信を行うことが可能なデュアルバンド型のGSM携帯電話において、ドップラ偏移により生じたエラーを補正する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
欧州における殆どの携帯電話は、GSM伝送規格により動作を行う。しかしながら、次世代の携帯電話及び携帯通信装置は、UMTSを採用する。GSM方式からUMTS方式への過渡期においては、携帯電話は、これらの両方式で動作することが必要であり、このような状況は広く一般に幾分の期間続くであろう。
【0003】
携帯電話は、GSMモード及びUMTSモードの双方において正常に動作するためには、これらの2つのモードのクロックが変換可能でなくてはならない。すなわち、携帯電話は、UMTSネットワークで用いられている時にGSMネットワークの同期を失うことがあってはならず、また、GSMネットワークで用いられている時にUMTSネットワークの同期を失うことがあってはならない。
【0004】
携帯電話が通話中でない時には、両ネットワークにおける同期のための必要な測定を行うための十分な時間があるため、上記のことは問題とならない。
【0005】
携帯電話がUMTSネットワークで通話中である時は、その電話及びその電話と通信中の基地局との間の伝送ギャップを生じさせるためのコマンドがあるので、UMTSクロックに同期することについて特に問題はない。ここで、伝送ギャップとは、パイロットシンボルを利用した時間多重化による差分のことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、携帯電話がGSMネットワークで通話中である時は、UMTSネットワークとの間でクロック測定における同期を確立するために確保できる唯一の時間は、それぞれの長さが1GSMフレームであり約120ミリ秒離間している複数のアイドル時間である。UMTSと同期をとるための測定のうちのいくつかは、120ミリ秒より多くの時間を要し、従って、その測定を2以上のアイドル時間に分割しなければならない。そのような測定を成功して完了するためには、携帯電話は、最初のGSMアイドル時間に確立したUMTSのフレームタイミングの追跡を次のGSMアイドル時間まで保持しなければならない。この保持のために要求される精度は、UMTSデコーダの窓サイズに依存する。窓サイズは、処理のために要求される電力並びにデコーダのコスト及び消費電力に直接関連するので、コスト及び消費電力を最小にするために、窓サイズを可能な限り小さくする必要がある。従って、コストと消費電力への関心は、UMTSクロックとの同期を精度良く維持するための要求に対して不利に作用することとなる。このような場合、UMTSの動作を計時するために入手できる唯一のクロックはGSMクロックである。このことは、UMTSシステム及び変動の大きさに対し明らかに変化する。そして、同期を達成するために要求される窓サイズは、以下の2つの要因に依存する。
【0007】
1.UMTS基地局におけるUMTSネットワークのクロックとGSM基地局におけるGSMネットワークのクロックとの間の差違。
2.GSM基地局に対する携帯電話の動きにより生ずるGSM信号内のドップラ偏移。携帯電話があるネットワークに保留接続している時には、携帯電話は、携帯電話の局所クロックをそのネットワークからの信号を観測するために自動的にロックする。携帯電話が動いていると、これらの信号はドップラ偏移する。UMTS基地局は必ずしもGSM基地局と同一の位置に在るとは限らないので、ドップラ偏移により、UMTSの時間基準の計算に誤りが発生する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、GSM信号内のドップラ偏移を補正してUMTSの時間基準を正しく算出することを可能とする方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点によれば、基地局と通信をしているデュアルバンド型携帯電話におけるネットワーク間の時間基準同期方法において、前記基地局に対する前記携帯電話の距離の変化率を検出するステップと、前記変化率を基にドップラ偏移の補正値を算出するステップと、前記補正値を、前記携帯電話が第1の系のネットワークで動作している時に第2の系の時間基準との同期を計算するために用いるステップと、を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0011】
第1の観点による方法において、前記変化率を検出するステップは、前記携帯電話における距離信号の変化を検出するステップを備えていてもよい。
【0012】
本発明の第2の観点によれば、基地局と通信をしているデュアルバンド型携帯電話におけるネットワーク間の時間基準同期装置において、前記基地局に対する前記携帯電話の距離の変化率を検出する手段と、前記変化率を基にドップラ偏移の補正値を算出する手段と、前記補正値を、前記携帯電話が第1の系のネットワークで動作している時に第2の系の時間基準との同期を計算するために用いる手段と、を備えることを特徴とする装置が提供される。
【0014】
第2の観点による装置において、前記変化率を検出する手段は、前記携帯電話における距離信号の変化を検出する手段を備えていてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0016】
明らかに上記の第1の要因に関しては、携帯電話内においてなす術はない。しかしながら、携帯電話の移動により生じたGSM信号内のドップラ偏移を補正することが可能であることを本発明者は見出した。
【0017】
ドップラ偏移は、送信装置と受信装置が相互に離れる方向又は近づく方向に移動する時に、無線信号に発生する。周波数偏移は、この移動の結果として生じ、移動速度に関連する。しかしながら、移動方向のうち送信装置と受信装置を結んだ軸に沿った方向の成分のみが重要である。すなわち、ドップラ偏移の原因となるのは、送信装置と受信装置との間の距離の変化率である。
【0018】
GSMシステムは時間領域多重アクセス無線システムである。セルラーネットワークのある特定の基地局と通信を行っている全ての携帯電話からの信号が正しい時間整列をもって到来することを保証するために、基地局は「タイミング・アドバンス(timing advance)」(以下、「TA」という。)として知られている信号を各携帯電話に送信する。TAとは、携帯電話と基地局との間の距離のおおよその測定値を表す。TAは、約550メータの分解能を有する。従って、携帯電話における現在のTAの値は、携帯電話と基地局との間の距離に関連する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態によるGSM携帯電話においてドップラ偏移により生じたエラーを補正する装置を示すブロック図である。
【0020】
図2は、図1に示す装置により、TAデータの変化を検出するために携帯電話により行われる処理を示す。
【0021】
ステップS2において、コントローラ104は、携帯電話の位置に基づいた現在のTA値を記録し、タイマ105をゼロから開始する。TA値はコントローラ104が、GSM系101内のTA部102からアクセスする。所定の期間が経過した後、ステップS4において、コントローラ104は、TA値が変化したか否を調べる。もし、TA値が変化していなければ、コントローラ104は、もう一度TA値が変化したか否かを調べる前に、ステップS6における待機を含むループに入る。もし、TA値が変化していれば、コントローラ104は、ステップS8において、タイマ105に累積されている値を時間レジスタ107に格納し、TA値の変化方向を方向レジスタ106に格納する。TA値の変化方向は、携帯電話が基地局に向かう方向に移動しているか又は離れる方向に移動しているかにより増加方向又は減少方向を示す。
【0022】
コントローラ104は、ステップS8からステップS2に戻り、現在のTA値を記録してタイマ105をゼロから開始する動作を再開する。
【0023】
図3は、図2の処理により得られた情報等がどのようにして用いられるかを示す。まず、セレクタ108は、ステップS10で、時間レジスタ107に格納されているタイマ値を読出し、ステップS12で、タイマ105から現在のタイマ値を読み出す。セレクタ108は、ステップS14で、これらの値を比較し、これらの値のうち大きい方を選択する。図4に示すように、携帯電話が基地局に対して相対的に一定速度で移動しているときには、大きい方の値は通常は時間レジスタ107に格納されているタイマ値となる。ただし、大きい方の値がタイマ105から読み出した現在のタイマ値である場合も生じる。図5に示すように、携帯電話が基地局に離れる方向に加速しているときには、大きい方の値は通常は時間レジスタ107に格納されているタイマ値となる。ただし、大きい方の値がタイマ105から読み出した現在のタイマ値である場合も生じる。図6に示すように、携帯電話が減速しているときには、大きい方の値はタイマ105から読み出した現在のタイマ値である場合が多い。図7に示すように、携帯電話が動いていないときには、大きい方の値はタイマ105から読み出した現在のタイマ値である場合が多い。
【0024】
速度計算器109は、ステップS16で、選択されたタイマ値とTA値を用いて、次式により、基地局に対する相対的な携帯電話の速度を計算する。
【0025】
速度=(TA2−TA1)/選択されたタイマ値
ドップラ補正計算器110は、ステップS18で、速度、TA変化の方向(増加又は減少)及び最後に時間基準の同期が時間基準同期部103により行われてからの経過時間を基にドップラ補正値を計算する。
【0026】
ステップS20で、時間基準計算器111は、このドップラ補正値を適用してUMTSの時間基準を計算する。
【0027】
UMTSシステムのための補正値がGSM同期に基づいて計算されている時に、GSM同期が最初にGSM基地局との間で確立される。局部参照クロックが始動してから始まるGSMフレーム等をカウントするタイマが動作を開始する。このタイマは、現在のマルチフレーム番号、フレーム番号、スロット番号及び1/4ビット番号を示す。このタイマは、また、GSMに対して何かを行わなければならない時に、現在のマルチフレーム番号、フレーム番号、スロット番号及び1/4ビット番号を携帯電話にも知らせる。局部参照クロックは、受信したGSM周波数に追従する。GSM上で活動がない時には、携帯電話は、UMTS基地局との同期を動作させる。これの同期は、最初にUMTSの現在のマルチフレーム番号、フレーム番号、スロット番号及びチップ番号を与えるフレームカウンタを起動することにより始まる。このカウンタは、局部参照クロックにより動作する。しかしながら、その局部参照クロックは、GSMネットワークにロックしており、従って、それが移動している携帯電話のためにUMTS動作を行うこととなった時にチップカウンタフィールドにおいてエラーを生ずる。従って、さもなければ必要とされるよりも、より広い窓が要求される。
【0028】
UMTSフレームカウンタ及びGSMフレームカウンタの双方は、無線インターフェース動作がそれぞれのネットワークで生じている時にはいつでも、自動的に補正される。ドップラ偏移の補正は、UMTSフレームカウンタの最後のフィールドに対する補正となる。補正値は、ドップラ偏移、最後のUMTS動作が行われてからの時間及びカウンタ自身の分解能の積である。
【0029】
【発明の効果】
従って、GSMドップラ効果は、TA値の変化率を測定し、この変化率をUMTS時間基準を計算する時に適用されるべき補正因子に変換することにより補正される。従って、UMTS時間基準に作用するGSMドップラ効果を、システム内に既に存在する情報を用いることにより、削減することが可能となる。
【0030】
好ましい実施形態において、要求される窓サイズは、UMTSデコーダにおける±2サンプルから±1サンプルに減少できる。この減少は、動作電力を40%削減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるGSM携帯電話においてドップラ偏移により生じたエラーを補正する装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の装置により行われる携帯電話がドップラ偏移によるエラーを補正するための情報を収集する方法を示すフローチャートである。
【図3】図1の装置により行われるドップラ偏移によるエラーを補正する方法を示すフローチャトである。
【図4】携帯電話が基地局に対して相対的に一定速度で移動しているときのタイマ出力の値と時間レジスタ出力の値を示す図である。
【図5】携帯電話が基地局に離れる方向に加速しているときのタイマ出力の値と時間レジスタ出力の値を示す図である。
【図6】携帯電話が減速しているときのタイマ出力の値と時間レジスタ出力の値を示す図である。
【図7】携帯電話が動いていないときのタイマ出力の値と時間レジスタ出力の値を示す図である。
【符号の説明】
101 GSM系
102 TA部
103 時間基準同期部
104 コントローラ
105 タイマ
106 方向レジスタ
107 時間レジスタ
108 セレクタ
109 速度計算器
110 ドップラ補正計算器
111 時間基準計算器

Claims (4)

  1. 基地局と通信をしているデュアルバンド型携帯電話におけるネットワーク間の時間基準同期方法において、
    前記基地局に対する前記携帯電話の距離の変化率を検出するステップと、
    前記変化率を基にドップラ偏移の補正値を算出するステップと、
    前記補正値を、前記携帯電話が第1の系のネットワークで動作している時に第2の系の時間基準との同期を計算するために用いるステップと、
    を備えることを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    前記変化率を検出するステップは、前記携帯電話における距離信号の変化を検出するステップを備えることを特徴とする方法。
  3. 基地局と通信をしているデュアルバンド型携帯電話におけるネットワーク間の時間基準同期装置において、
    前記基地局に対する前記携帯電話の距離の変化率を検出する手段と、
    前記変化率を基にドップラ偏移の補正値を算出する手段と、
    前記補正値を、前記携帯電話が第1の系のネットワークで動作している時に第2の系の時間基準との同期を計算するために用いる手段と、
    を備えることを特徴とする装置。
  4. 請求項3に記載の装置において、
    前記変化率を検出する手段は、前記携帯電話における距離信号の変化を検出する手段を備えることを特徴とする装置。
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