JP4044869B2 - 放射性汚染物の除染方法およびその装置 - Google Patents

放射性汚染物の除染方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、原子力施設の定検工事などで使用して放射能に汚染された作業用工具類や測定具、あるいは定検工事などで発生する放射能汚染された固体廃棄物を経済的に除染する除染方法、およびこれに用いる除染装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、原子力施設の定検工事などで使用して放射性物質に汚染されたスパナ、ペンチ、ハンマーなどの手工具やスケール、ノギス、マイクロメータなどの測定具(以下、両者を併せて作業工具という)は、布やブラシを用いて洗浄液で洗い、その後、ウエスなどで拭き取って除染していた。しかし、これら従来の方法では、放射性物質で汚染された洗浄液やウエスなどの汚染廃棄物が新たに生じるとともに、形状が複雑な作業工具では狭い隙間などに入った放射性物質が完全に除去できないなどという問題があった。また、それらの中には、可能な限り除染しても放射能レベルが原子力施設外へ持ち出せる許容値まで下がらず、やむを得ず固体廃棄物として廃棄するものもあり、経済的にも好ましくない状況であった。
【0003】
パイプ、ポンプ、バルブ、電線などの固体廃棄物は、例えば比較的に単純形状のパイプ類は半割したのちブラスト除染法で処理し、ポンプ、バルブなどの複雑な形状物は化学除染法などで対応していた。ブラスト除染法では比較的簡便に除染できるが、除染対象物が限定されたり、ブラスト時の放射性物質を含む塵埃の空気中への拡散という環境上の問題があった。化学除染法は除染に長時間を要し、油脂類汚染物やペイント物への適用が困難であった。また、溶解後の放射性物質を含む除染溶液の処理に高度の処理技術を必要とし、本来の汚染物に対して汚染された大量の除染溶液を処理しなければならず、汚染物の排出も少なくないなどの問題があった。このために、除染処理費用が増大し、また広い汚染物収納場所を必要としていた。
【0004】
これらの問題を解決する技術として、最近、超臨界または液体二酸化炭素を除染剤とする放射性物質の除染方法が提案されている。この放射性物質の除染方法は、粉末状の放射性物質が付着した被汚染物を超臨界または液体状態の二酸化炭素に接触させる前処理工程と、超臨界または液体状態の二酸化炭素を減圧して超臨界または液体状態の二酸化炭素を気体状態にすることにより放射性物質を被汚染物から分離する工程を含む放射性物質の除染方法において、分離工程で分離した放射性物質に液体状の二酸化炭素を供給して前記放射性物質を洗浄する洗浄工程と、洗浄工程で洗浄された放射性物質と液体状態の二酸化炭素とを含む流体を放射性物質の凝集体と流体とに分離して放射性物質の凝集体を回収する第1回収工程と、第1回収工程で分離した流体を減圧して流体に含まれる液体状態の二酸化炭素を気体状態にして体積を増大させることにより流体に流速を与える減圧工程と、流体を放射性物質の微粒子と気体状態の二酸化炭素とに分離して放射性物質の微粒子を回収する第2回収工程と、第2回収工程で分離した気体状態の二酸化炭素を加圧して超臨界または液体状態の二酸化炭素にする加圧工程とを有するものである(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−207097号公報(第2頁、左欄)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の除染方法では、放射性物質の凝集体を回収するために、前処理工程、分離工程、洗浄工程および凝集体の回収工程を要するので、除染工程が複雑である。また、除染装置は洗浄装置、固気分離器などのほかに固液分離器を要するので、装置構成も複雑となっている。
【0007】
この発明は、上記問題を解決し、汚染物の除染作業および除染装置の構成が簡単な放射性汚染物の除染方法およびその除染装置を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の放射性汚染物の除染方法は、除染流体が二酸化炭素からなり、放射性物質で汚染された汚染物を収納した除染容器に除染流体を供給して汚染物を除染する除染方法において、超臨界または液体状態の除染流体を除染容器内に噴出させて汚染物を除染し、汚染物から分離した放射性物質を前記除染容器底部に沈殿させ、除染後の除染流体を減圧装置で気体状態とし、気体状態の除染流体中の放射性物質を放射性物質分離器で捕集し、放射性物質を捕集した気体除染流体を圧縮機で昇圧して超臨界または液体状態とする工程で、除染流体を順次圧縮機、除染容器、減圧装置および放射性物質分離器を循環させ、除染流体を所定時間循環させたのち除染容器から除染流体を気体状態にして前記沈殿した放射性物質とともに放射性物質蓄積容器に噴出させ、さらに気体状態の除染流体を放射性物質蓄積容器から減圧装置に排出する。ここで、放射性物質は、放射性物質自体、または放射性物質が結合または付着した金属、金属酸化物、プラスチックなどの細片もしくは粒子をいう。
【0009】
上記放射性汚染物の除染方法では、超臨界状態の除染流体を順次前記除染容器、減圧装置、放射性物質分離器および圧縮機を連続して循環させるので、前処理、分離、洗浄、凝集体回収の各工程を独立して行う従来の除染方法より除染作業および装置の構成が簡単となる。
【0010】
上記除染方法において、複数のノズルから液体除染流体を汚染物に向かって噴出する、または除染容器内の液体除染流体に超音波を加えるようにしてもよい。これにより、除染容器内での除染が促進され、除染時間が短縮される。また、放射性物質蓄積容器内の放射性物質が所定量に達すると放射性物質を放射性物質回収容器に排出することも可能である。これにより、蓄積した放射性物質を簡便かつ安全に廃棄することができる。さらに、放射性物質が固着するなどして容易に除染できない場合、汚染状況に応じて表面活性剤や蓚酸などの除染補助剤を用いることが好ましい。
【0011】
この発明の放射性汚染の除染装置は、二酸化炭素からなる除染流体を超臨界または液体状態に圧縮する圧縮機と、除染流体を気体状態とする減圧装置と、気体除染流体中の放射性物質を気体除染流体から分離する放射性物質分離器と、放射性物質で汚染された汚染物を収納する除染容器と、前記圧縮機と除染容器とを接続する除染流体供給管と、除染流体供給管に設けられた除染流体供給止め弁と、除染容器と前記減圧装置とを接続する除染流体戻り管と、除染流体戻り管に設けられた除染流体戻り止め弁とを備えた放射性汚染物の除染装置であって、前記除染容器の圧力より低い圧力に保持され、除染容器の底部に沈殿した放射性物質を蓄積する放射性物質蓄積容器と、前記除染容器の底部と放射性物質蓄積容器とを接続する放射性物質排出管と、放射性物質排出管に設けられた放射性物質排出止め弁と、前記放射性物質蓄積容器と前記減圧装置とを接続する気体除染流体排出管と、気体除染流体排出管に設けられた気体除染流体止め弁とからなっている。
【0012】
この放射性汚染物の除染装置では、超臨界状態の除染流体を順次前記除染容器、減圧装置、放射性物質分離器および圧縮機を連続して循環させ、除染することができるので、従来の除染方法より除染作業および装置の構成が簡単となる。
【0013】
上記除染装置において、前記除染容器が垂直方向に延びる竪形であって、汚染物を収納して前記開口部から出し入れ可能なかごを備えた構造としてもよい。かごの側面および下面から除染流体が流入して汚染物全体を同時に除染するので、除染作業時間を大きく短縮することができる。
【0014】
前記除染容器のボデーが円筒状をしており、筒中心軸線に沿って延びる回転ロッドと、駆動ロッドに連結されたかご回転駆動装置とを備え、駆動ロッドが中心部を貫通するようにして複数のかごが積み重ねられるている構造としてもよい。この除染装置によれば、かご回転駆動装置により複数のかごが回転するため、噴出ノズルから噴出する除染流体がかご内に収納された固体廃棄物を、全体から満遍なく除染するため、回転させない場合に比べていっそう除染効果の向上が得られる。
【0015】
前記除染容器が水平方向に延びる横形であって、容器内部に容器一端から他端の前記開口部まで延びるレールを備え、前記かごがこれの底部に設けられた車輪を介してレール上を移動可能である構造としてもよい。
【0016】
上記除染装置において、液体除染流体を汚染物に向かって噴出する複数のノズルが汚染容器の内壁に設けられた構造としてもよい。液体除染流体に超音波を加える超音波発振子が除染容器内に配置された構造としてもよい。さらに、、前記放射性物質蓄積容器内の圧力より低い圧力に保持され、放射線遮蔽された放射性物質回収容器と、放射性物質蓄積容器と放射性物質回収容器とを接続する放射性物質回収管と、放射性物質回収管に設けられた放射性物質回収止め弁とを備えた構造としてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は、この発明の第1の実施の形態を示している。図1は除染装置の構成図、図2は除染容器の縦断面図を含む除染装置の模式図、および図3は図2のA方向矢視図ある。この実施の形態では、放射性物質で汚染された手工具または測定具(以下、作業工具という)を除染対象とし、除染された作業工具は、再使用される。
【0018】
除染装置は、主として除染流体処理装置10、除染容器20a、放射性物質蓄積容器60、および放射性物質回収容器70からなっている。
除染流体処理装置10は、圧縮機11、減圧装置14および放射性物質分離器17からなっている。圧縮機11は、除染流体(二酸化炭素)を昇圧して超臨界または液体状態とする。減圧装置14は、除染容器20から送られてきた除染流体を所定圧力に減圧する。超臨界または液体の除染流体は、減圧装置14で気体となる。減圧装置14として、減圧弁、圧力調整弁などが用いられる。放射性物質分離器17はフィルターを備えており、減圧装置14から送られてきた気体除染流体中の微粒の放射性物質をフィルターで捕集し、除染流体から放射性物質を分離する。
【0019】
除染容器20aは、耐圧機能を有する竪形のボデー21aを備えている。ボデー21aは、上部にガスケット31を介してカバー30aがボルト32で締め付けられて、密閉されている。ボデー21aの底部25には、床面に着座するための台座28が止めボルト29で取り付けられている。カバー30aは、上部に吊下げ用のアイボルト33が設けられている。また、ボデー21aの側壁22には、除染流体を注入する注入ボス23および除染流体を排出する戻りボス24が設けられている。注入ボス23には、除染流体供給管43を介して除染流体処理装置10の供給口12に接続されている。除染流体供給管43は除染流体注入止め弁37が取り付けられている。戻りボス24は除染流体戻り管44を介して除染流体処理装置10の戻り口15に接続されている。除染流体戻り管44には、除染流体戻り止め弁40が取り付けられている。これにより、除染流体循環ループが形成されている。ボデー21の底部には、放射性物質排出口26が設けられている。
【0020】
ボデー21aの側壁22の内面に、垂直に延びる4本のノズルヘッダー47が周方向に間隔をおいて固定されており、ノズルヘッダー47は注入ボス23に通じている。各ノズルヘッダー47には、噴出ノズル48が設けられている。噴出ノズル48は、噴出(広がり)角が可変となっている。
【0021】
ボデー21aの内部には、フレーム51に金網52または格子を取り付けた環状のかご50が収納されている。かご50には、ロッド54がかご中央部の軸穴53を貫通しており、ロッド下端のつば55がかご底面に引っ掛かるようになっている。ロッド54の上部は、カバー30aの案内穴に34はめ合っている。カバー30aを外した状態で、ロッド54を電気ホイスト(図示しない)などで吊り上げ、下げして、かご50をボデー21aの開口部27から出し入れする。ボデー21aの側壁22には、周方向に間隔をおいて6個の超音波発振器57が埋め込まれており、超音波発振器57の発振子58はボデー21a内部に露出している。
【0022】
放射性物質蓄積容器60は、入口が前記除染容器20aの底部25の放射性物質排出口26に放射性物質排出管63を介して接続されている。放射性物質蓄積容器60内の圧力は、除染容器20a内の圧力より低い圧力に保持されている。放射性物質排出管63には、放射性物質排出止め弁64が設けられている。放射性物質蓄積容器60の頂部の気体室61が気体除染流体排出管66を介して前記減圧装置14に接続されている。気体除染流体排出管66に、気体除染流体止め弁67が設けられている。
【0023】
放射性物質回収容器70は放射性物質蓄積容器60の出側に配置されており、放射性物質蓄積容器60と放射性物質回収管71を介して接続されている。放射性物質回収管71には、放射性物質回収止め弁72が設けられている。放射性物質回収容器70は鉛板74で囲われており、放射性物質回収容器70から放射能が外部に漏れるのを防いでいる。
【0024】
つぎに、上記のように構成された除染装置による除染方法について説明する。
まず、カバー30を外し、除染容器20a内部からかご50を取り出し、放射性物質で汚染された手工具あるいは測定具などの汚染物をかご50に入れる。電気ホイストなどでかご50を吊り、ボデー21aに挿入する。ついで、ボデー21aにガスケット31をセットし、カバー30aをアイボルト33で吊って蓋をし、ボルト32を締め付けてボデー21aを密閉する。
【0025】
除染装置運転前では、除染流体注入止め弁37などすべての止め弁は、閉止された状態にある。また、除染流体処理装置10は、圧縮機11の出口圧力が二酸化炭素の臨界圧力(7.1MPa、31℃)以上となるように、また減圧装置14は出口圧力が大気圧近くとなるように設定されている。
【0026】
この状態で、除染流体処理装置10の運転を開始し、除染流体注入止め弁37および除染流体戻り止め弁40を開き、除染流体処理装置10の供給口12より超臨界状態の除染流体を送り出す。除染容器20a内の圧力は、除染流体注入止め弁37出口の圧力より低く設定されている。したがって、超臨界除染流体は、除染流体注入止め弁37、注入ボス23およびノズルヘッダー47を経て複数の噴出ノズル48から除染容器20a内に噴出する。除染容器20aは、噴出した超臨界除染流体で充満される。
【0027】
噴出する超臨界除染流体の動圧による衝撃力が放射性物質に与えられ、放射性物質が汚染物から分離される。また、超臨界除染流体の高い浸透性および拡散性により、汚染物の狭隘部に入り込んだ微細な放射性物質が、狭隘部から洗い出される。汚染物から分離された粗い放射性物質および微細な放射性物質は沈降し、除染容器20aの底部25に沈殿する。
【0028】
かご50はフレーム51に金網52または格子を取り付けた構造となっているので、複数の噴出ノズル48より噴出した超臨界除染流体は、かご50内の汚染物全体を満遍なく除染することができる。噴出ノズル48の噴出角は、あらかじめ汚染物の大きさ、形状に応じて調整されているので、除染効果を向上させることができる。また、超臨界または液体除染流体で除染中は、超音波発振器57で除染流体に超音波振動を与える。これにより、除染が促進され、除染時間は短縮される。
【0029】
除染容器20a内の超臨界除染流体は、除染容器20aから前記戻りボス24、除染流体戻り止め弁40および除染流体戻り管44を経て流出し、除染流体処理装置10に戻る。このとき、除染容器20a内で沈殿しなかった微細な放射性物質が、除染流体とともに除染容器20aから流出する。超臨界除染流体は除染容器20aを出た所で臨界圧力以下の液体または気体となり、減圧装置14で大気圧近くに減圧され気体除染流体となる。ついで、気体除染流体は放射性物質分離器17で、微細な放射性物質がフィルター、充填層などにより捕集され、または吸着剤に吸着され、気体除染流体から分離される。ここで捕集される微細な放射性物質は、除染容器20aで沈殿せずに除染容器20aから流出したものである。したがって、すべての放射性物質をフィルターなどで捕集する方法に比べて捕集量はかなり減少するので、放射性物質分離器17で発生する放射性物質の廃棄量およびフィルターなどの洗浄、交換回数は少なくて済む。
【0030】
手工具、測定具などの汚染物が再使用可能な放射能レベルに低下するまで、除染流体処理装置10と除染容器20aとの間で除染流体を循環させる。除染初期では超臨界除染流体を除染容器20aに供給するが、狭隘部に入り込んだ微細な放射性物質が狭隘部から洗い出された後は、液体除染流体を供給してもよい。
【0031】
上記除染工程が終了すると、除染流体注入止め弁37および除染流体戻り止め弁40を閉じ、放射性物質排出止め弁64および気体除染流体排出止め弁67を開く。これにより、除染容器20a内の圧力が低下し、超臨界または液体除染流体は急激に膨張して気体除染流体となり、放射性物質排出止め弁64を通り、放射性物質蓄積容器60に流入する。このとき、汚染物に付着していた放射性物質が気体除染流体の流れにより分離され、分離された放射性物質と除染容器20aの底部25に沈殿していた放射性物質とが気体除染流体とともに放射性物質蓄積容器60に流入する。放射性物質蓄積容器60に流入した気体除染流体は、放射性物質蓄積容器60の頂部の気体室61から気体除染流体排出止め弁67および気体除染流体排出管66を経て除染流体処理装置10に戻る。このとき、除染容器20a内に残留していた微細な放射性物質が気体除染流体とともに除染流体処理装置10に戻り、放射性物質分離器17で捕集される。
【0032】
上記除染工程の繰返しで放射性物質蓄積容器60内の放射性物質蓄積量は増加するが、この蓄積量は放射性物質レベルセンサー69で検出される。蓄積量があらかじめ設定した量に達した場合、放射性物質排出止め弁64および気体除染流体排出止め弁67を閉じ、放射性物質回収止め弁72を徐々に開く。放射性物質蓄積容器60内の圧力は放射性物質回収容器70内の圧力(大気圧)より高いので、放射性物質蓄積容器60内の気体除染流体は、放射性物質回収止め弁72および放射性物質回収管71を通って、放射性物質回収容器70に流入する。放射性物質蓄積容器60内の放射性物質は、気体除染流体の噴出により放射性物質回収容器70内に排出される。放射性物質回収容器70は、所定量の放射性物質が溜まると放射性物質回収管71を外して放射性廃棄物置き場に搬送される。
【0033】
図4および図5はこの発明の第2の実施の形態を示しており、図4は横形の除染容器20の縦断面図を含む除染装置の模式図、および図5は図4のB方向矢視図である。この実施の形態では、放射性物質で汚染された作業工具を除染対象とし、除染された作業工具は、再使用される。以下の実施の形態では、図1〜図3に示す装置、部材と同様のものには同じ参照符号を付け、その詳細な説明は省略する。
【0034】
除染容器20bは、耐圧機能を有する横形のボデー21bおよびこれの開口部を覆うカバー30bを備えている。ボデー21bの内部には、底部25に車輪77が取り付けられたかご50が収納される。水平方向に延びるレール76が、ボデー21bの壁面に固定されている。かご50は、レール76上を移動してボデー21bに挿入され、あるいはボデー21bから引き出される。
【0035】
除染装置による除染方法において、まず除染容器20b内部のかご50を外部に引き出し、汚染された作業工具をかご50に入れる。この状態で車輪77をボデー21b内のレール76に沿わせてかご50をボデー21b内に搬入する。ついで、ボデー21bにガスケット31をセットし、カバー30bをアイボルト33で吊って蓋をし、ボルト24で締結して、ボデー21bを密閉する。この状態で、除染流体処理装置10の供給口12より除染流体を送り出し、除染流体供給管43から除染流体注入止め弁37および注入ボス23を介して、除染流体を密閉されたボデー21bの内部に注入する。以下の洗浄工程は、第1の実施の形態の工程と同じである。
【0036】
図6および図7は、この発明の第3の実施の形態を示すもので、図6は竪形の除染容器の断面図を含む除染装置の模式図、および図7は図6のC方向矢視図である。この実施の形態では、除染対象が固体廃棄物であり、固体廃棄物を貯蔵可能な放射性レベル以下に除染する。固体廃棄物として、例えば定期検査工事で切断されたパイプ、板などがある。
図6および図7において、除染容器20cは、カバー30cで密閉される。竪形のボデー21cの内部には、複数の環状のかご50が積み重ねられて収納されている。ロッド54が積み重ねられたかご50を中央部の軸穴53を貫通しており、ロッド下端のつば55がかご底面に引っ掛かるようになっている。
【0037】
上記除染装置による除染方法について説明すると、まず除染容器20c内部の複数の連結したかご50を外部に出した状態で、固体廃棄物をかご50に入れる。この状態でロッド54でかご50を吊り、ボデー21cに挿入する。つぎにボデー21cにガスケット31をセットし、カバー30cをアイボルト33で吊って蓋をし、ボルト32で密閉する。以下の洗浄工程は、第1の実施の形態の場合と同じである。
【0038】
この除染装置では除染対象が固体廃棄物であり、固体廃棄物は放射性物質を含む流体に長時間接しているため、さびなどが発生し、放射性物質が固着するなどして容易に除染できないものが多い。したがって、除染流体は二酸化炭素単体ではなく、汚染状況に応じて除染補助剤を用いることが好ましい。もちろん、この除染装置を用いて、作業工具などを再使用可能な放射性レベル以下に除染することもできる。
【0039】
図8および図9はこの発明の第4の実施の形態を示すものである。図8は竪形の除染容器に縦断面図を含む除染装置の模式図、および図9は図8のD方向矢視図ある。横断面図である。この実施の形態では、除染対象が汚染物が固体廃棄物である。図6に示す除染装置の除染効果を一層向上するために、除染装置はかご回転駆動装置を備えている。
【0040】
除染容器20dは前記図6に示す除染容器20dの基本構成は同じであるが、複数のかご50を支える回転ロッド80が設けられ、これに駆動ロッド81が連結されている。すなわち、回転ロッド80は回転可能にするため上部をガイドブッシュ82で支持され、下部はブッシュ83で支持された駆動ロッド81を介して、かご回転駆動装置87に連結されている。また、駆動ロッド81は軸受84で回転可能に支持され、除染容器20dからの漏洩をシールリング85で防止している。
【0041】
上記除染装置において、かご回転駆動装置87を駆動することにより、駆動ロッド81を介して回転ロッド80が回転し、それに伴ない回転ロッド80に取り付けられた複数のかご50が回転する。噴出ノズル48から噴出する除染流体がかご内に収納された固体廃棄物全体を満遍なく除染するため、かご50を回転しない場合に比べて更なる除染効果の向上が得られる。なお、除染流体処理装置10の基本構成と除染機能については、図1に示す除染流体処理装置10と同様であるが、装置の容量が大きくなっている。
【0042】
図10および図11はこの発明の第5の実施の形態を示すものである。図10は横形の除染容器の縦断面図を含む除染装置の模式図、および図11は図10のE方向矢視図ある。
図10および図11において、除染装置は耐圧機能を有する横形のボデー21eを備え、このボデー21eはカバー30eが取り付けられている。ボデー21eの内部には、汚染された固体廃棄物を入れる長尺のかご50が収納される。ボデー21eからの挿入・引出しのための車輪77が、かご50の底部に取り付けられている。ボデー21eの側壁22内面に水平方向に延びるレール76が固定されている。
【0043】
上記除染装置において、除染容器20e内部の長尺のかご50を外部に引き出した状態で、固体廃棄物をかご50に入れる。この状態で車輪77をボデー21e内のレール76に沿ってかご50をボデー21e内に搬入する。次にボデー21eにガスケット31をセットし、カバー30eをアイボルト33で吊って蓋をし、ボルト32で密閉する。この状態で、除染流体処理装置10の供給口12から、密閉されたボデー21eの内部に除染流体を注入する。以下の洗浄工程は、除染容器20eの場合と同じである。
【0044】
【発明の効果】
この発明の放射性汚染物の除染方法または装置では、除染作業が簡単となるので作業時間が短縮され、作業者の放射線被ばく量も少なくなる。また、除染装置の構成が簡単となるので、設備費が安くなり、メンテナンスおよび除染作業後の装置自身の除染も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示すもので、除染装置の構成図である。
【図2】除染容器の縦断面図を含む除染装置の模式図である。
【図3】図2のA方向矢視図ある。
【図4】この発明の第2の実施の形態を示すもので、除染容器の縦断面図を含む除染装置の模式図である。
【図5】図4のB方向矢視図ある。
【図6】この発明の第3の実施の形態を示すもので、 除染容器の縦断面図を含む除染装置の模式図である。
【図7】図6のC方向矢視図ある。
【図8】この発明の第4の実施の形態を示すもので、 除染容器の縦断面図を含む除染装置の模式図である。
【図9】図8のD方向矢視図ある。
【図10】この発明の第5の実施の形態を示すもので、 除染容器の縦断面図を含む除染装置の模式図である。
【図11】図10のE方向矢視図ある。
【符号の説明】
10 除染流体処理装置 11 圧縮機
14 減圧装置 17 放射性物質分離器
20 除染容器 21 ボデー
23 注入ボス 24 戻りボス
25 ボデー底部 26 放射性物質排出口
27 開口部 28 台座
30 カバー 31 ガスケット
32 ボルト 37 除染流体注入止め弁
40 除染流体戻り止め弁 43 除染流体供給管
44 除染流体戻り管 47 ノズルヘッダー
48 噴出ノズル 50 かご
52 かごフレーム 53 金網
57 超音波発振器 58 発振子
60 放射性物質蓄積容器 61 気体室
63 放射性物質排出管 64 放射性物質排出止め弁
66 気体除染流体排出管 67 気体除染流体止め弁
69 放射性物質レベルセンサー 70 放射性物質回収容器
71 放射性物質回収管 72 放射性物質回収止め弁
74 放射線遮蔽板 76 レール
77 車輪 80 回転ロッド
81 駆動ロッド 87 かご回転駆動装置

Claims (12)

  1. 除染流体が二酸化炭素からなり、放射性物質で汚染された汚染物を収納した除染容器に除染流体を供給して汚染物を除染する除染方法において、超臨界または液体状態の除染流体を除染容器内に噴出させて汚染物を除染し、汚染物から分離した放射性物質を前記除染容器底部に沈殿させ、除染後の除染流体を減圧装置で気体状態とし、気体状態の除染流体中の放射性物質を放射性物質分離器で捕集し、放射性物質を捕集した気体除染流体を圧縮機で昇圧して超臨界または液体状態とする工程で、除染流体を順次圧縮機、除染容器、減圧装置および放射性物質分離器を循環させ、除染流体を所定時間循環させたのち除染容器から除染流体を気体状態にして前記沈殿した放射性物質とともに放射性物質蓄積容器に噴出させ、さらに気体状態の除染流体を放射性物質蓄積容器から減圧装置に排出することを特徴とする放射性汚染物の除染方法。
  2. 複数のノズルから前記除染流体を汚染物に向かって噴出する請求項1記載の放射性汚染物の除染方法。
  3. 前記除染容器内の除染流体に超音波を加える請求項1または請求項2記載の放射性汚染物の除染方法。
  4. 前記放射性物質蓄積容器内の放射性物質が所定量に達すると放射性物質を放射線遮蔽された放射性物質回収容器に排出する請求項1、2または3項記載の放射性汚染物の除染方法。
  5. 前記除染流体が除染補助剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射性汚染物の除染方法。
  6. 二酸化炭素からなる除染流体を超臨界または液体状態に圧縮する圧縮機と、除染流体を気体状態とする減圧装置と、気体除染流体中の放射性物質を気体除染流体から分離する放射性物質分離器と、放射性物質で汚染された汚染物を収納する除染容器と、前記圧縮機と除染容器とを接続する除染流体供給管と、除染流体供給管に設けられた除染流体供給止め弁と、除染容器と前記減圧装置とを接続する除染流体戻り管と、除染流体戻り管に設けられた除染流体戻り止め弁とを備えた放射性汚染物の除染装置であって、前記除染容器内の圧力より低い圧力に保持され、除染容器の底部に沈殿した放射性物質を蓄積する放射性物質蓄積容器と、前記除染容器の底部と放射性物質蓄積容器とを接続する放射性物質排出管と、放射性物質排出管に設けられた放射性物質排出止め弁と、前記放射性物質蓄積容器と前記減圧装置とを接続する気体除染流体排出管と、気体除染流体排出管に設けられた気体除染流体止め弁とからなることを特徴とする放射性汚染物の除染装置。
  7. 前記除染容器が垂直方向に延びる竪形であって、汚染物を収納して開口部から出し入れ可能なかごを備えた請求項6記載の放射性汚染物の除染装置。
  8. 前記除染容器のボデーが円筒状をしており、筒中心軸線に沿って延びる回転ロッドと、駆動ロッドに連結されたかご回転駆動装置とを備え、駆動ロッドが中心部を貫通するようにして複数のかごが積み重ねられるている請求項7の記載の除染装置。
  9. 前記除染容器が水平方向に延びる横形であって、容器内部に容器一端から他端の前記開口部まで延びるレールを備え、前記かごがこれの底部に設けられた車輪を介してレール上を移動可能である請求項記載の除染装置。
  10. 液体除染流体を汚染物に向かって噴出する複数のノズルが汚染容器の内壁に設けられた請求項6〜9のいずれか1項に記載の放射性汚染物の除染装置。
  11. 液体除染流体に超音波を加える超音波発振子が除染容器内に配置された請求項6〜10のいずれか1項に記載の放射性汚染物の除染装置。
  12. さらに、前記放射性物質蓄積容器内の圧力より低い圧力に保持され、放射線遮蔽された放射性物質回収容器と、放射性物質蓄積容器と放射性物質回収容器とを接続する放射性物質回収管と、放射性物質回収管に設けられた放射性物質回収止め弁とを備えた請求項6〜11のいずれか1項に記載の放射性汚染物の除染装置。
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