JP4044759B2 - 絶縁膜形成用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子に用いる層間絶縁膜を形成するための絶縁膜形成用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年半導体装置の高速化及び微細化に伴い、配線の抵抗及び配線間の容量に起因する信号伝播の遅延を低減する要求が強まっている。そのための有力な手段として、配線と配線を絶縁する層間絶縁層として、従来から用いられてきた酸化ケイ素よりも低い比誘電率を有する材料を使用する方法が提案されている。
このような低い比誘電率を有する層間絶縁層材料(以下単に「低誘電率材料」と称する)としては、例えば酸化ケイ素中にフッ素や炭素を導入したもの、有機ポリマー、あるいはこれらに空孔を導入して密度を低減した材料(以下「ポーラス材料」と称する)、さらにはこれらの混合物などが知られている。特にポーラス材料は、酸化ケイ素より大幅に低い2.3以下の比誘電率を達成できる低誘電率材料として注目されている。
【0003】
ポーラス材料の代表的なものとしては、アルコキシシランの加水分解物と有機ポリマーとを含む混合物からなる材料がある。このような材料は、それ自身が液状であってそのまま塗布液として用いることができるか、または適当な溶剤を用いることによって塗布液とすることができる。この特徴を利用し、上記塗布液を基板上に塗布した後、適当な条件下で加熱焼結すれば、アルコキシシランの加水分解物の縮合によるシロキサン結合が生成するとともに、有機ポリマーは蒸発または熱分解して空孔となるので、容易にポーラス材料からなる低誘電率材料を得ることができる。以下この目的に供するための塗布液を「絶縁膜形成用組成物」と称する。
【0004】
一般に半導体素子の形成プロセスは素子の信頼性確保などの理由から400℃を超える温度を加えることができないので、絶縁膜形成用組成物から低誘電率材料を得るのに要する温度(以下「キュア温度」と称する)も400℃以下に抑えなければならない。特に近年の半導体素子においては配線の層数が増大しているため、半導体素子に加わる加熱プロセスの回数も増大している。そのため、半導体素子の信頼性を確保するには、単にキュア温度が低いのみでなく、キュア温度が加えられる所要時間(以下「キュア時間」と称する)の短縮も要求されている。
【0005】
以上の要求を満たすべく、これまでに数多くの絶縁膜形成用組成物が提案されてきた。
一例を挙げるならば、特開2001-181570号公報には、アルカリ触媒を用いたシラン化合物の加水分解縮合物と、シリコーン系界面活性剤に代表される界面活性剤とを含有する膜形成用組成物が提案されている。この膜形成用組成物を用いれば、比誘電率2.3ないし2.4の低誘電率材料を得ることができる。
【0006】
しかし上記の膜形成用組成物から低誘電率材料を得るためのキュア温度は425℃を要し、かつキュア時間も1時間を要している。このような材料を半導体素子の多層配線に適用するのは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は単に低誘電率であるだけでなく、低いキュア温度と短いキュア時間で低誘電率材料を得ることができる絶縁膜形成用塗布組成物を得ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、アルコキシシラン類およびその加水分解物およびその縮合物から選ばれる少なくとも1種以上からなるシラン化合物と、有機ポリマーと、特定の親水基を有する非イオン性界面活性剤とを含有する絶縁膜形成用組成物が低誘電率、かつ、低いキュア温度と短いキュア時間で低誘電率とすることができることを見出し本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、
1、アルコキシシラン類およびその加水分解物およびその縮合物から選ばれる少なくとも1種以上からなるシラン化合物と、有機ポリマーと、非イオン性界面活性剤とを含有する絶縁膜形成用組成物であって、当該非イオン性界面活性剤を構成する親水基が下記一般式(1)または(2)の構造を有することを特徴とする絶縁膜形成用組成物に関する。
【0010】
(1)-CO-NR1R2
(2)-R3-NOR4R5
(ただしR1は1価の有機基、R2は水素原子又は1価の有機基、R4、R5は1価の有機基、R3は2価の有機基とする。)
以下に本発明の絶縁膜形成用組成物について詳細に説明する。
先ず本発明の絶縁薄膜組成物に含有されるシラン化合物について説明する。
【0011】
本発明の絶縁薄膜組成物に含有されるシラン化合物はアルコキシシラン類およびその加水分解物およびその縮合物から構成されることを特徴とする。
従って、アルコキシシラン類について以下に詳細に説明する。
本発明に用いることができるアルコキシシラン類は、シランのすべての原子価をアルコキシ基で置換したテトラアルコキシシラン、たとえばテトラメトキシシランであってもよいし、シリコン原子の1つまたは複数の原子価を水素、ハロゲン元素、有機基などで置換した構造のもの、たとえばメチルトリメトキシシランのようなものであってもよい。あるいは複数のシリコン原子を含む構造のもの、例えばビス(トリメトキシシリル)メタンのようなものであってもよい。上記に挙げたもの以外の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-iso-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ-n-プロポキシシラン、メチルトリ-iso-プロポキシシラン、メチルトリ-n-ブトキシシラン、メチルトリ-sec-ブトキシシラン、メチルトリ-tert-ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ-n-プロポキシシラン、エチルトリ-iso-プロポキシシラン、エチルトリ-n-ブトキシシラン、エチルトリ-sec-ブトキシシラン、エチルトリ-tert-ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリ-n-プロポキシシラン、n-プロピルトリ-iso-プロポキシシラン、n-プロピルトリ-n-ブトキシシラン、n-プロピルトリ-sec-ブトキシシラン、n-プロピルトリ-tert-ブトキシシラン、n-プロピルトリフェノキシシラン、i-プロピルトリメトキシシラン、i-プロピルトリエトキシシラン、i-プロピルトリ-n-プロポキシシラン、i-プロピルトリ-iso-プロポキシシラン、i-プロピルトリ-n-ブトキシシラン、i-プロピルトリ-sec-ブトキシシラン、i-プロピルトリ-tert-ブトキシシラン、i-プロピルトリフェノキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ブチルトリ-n-プロポキシシラン、n-ブチルトリ-iso-プロポキシシラン、n-ブチルトリ-n-ブトキシシラン、n-ブチルトリ-sec-ブトキシシラン、n-ブチルトリ-tert-ブトキシシラン、n-ブチルトリフェノキシシラン、sec-ブチルトリメトキシシラン、sec-ブチル-トリエトキシシ ラン、sec-ブチル-トリ-n-プロポキシシラン、sec-ブチル-トリ-iso-プロポキシシラン、s ec-ブチル-トリ-n-ブトキシシラン、sec-ブチル-トリ-sec-ブトキシシラン、sec-ブチル-トリ-tert-ブトキシシラン、sec-ブチル-トリフェノキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルトリ-n-プロポキシシラン、t-ブチルトリ-iso-プロポキシシラン、t-ブチルトリ-n-ブトキシシラン、t-ブチルトリ-sec-ブトキシシラン、t-ブチルトリ-tert-ブトキシシラン、t-ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ-n-プロポキシシラン、フェニルトリ-iso-プロポキシシラン、フェ ニルトリ-n-ブトキシシラン、フェニルトリ-sec-ブトキシシラン、フェニルトリ-tert-ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ-トリフロロプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ-n-プロポキ シシリル)メタン、ビス(トリ-i-プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ-n-ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ-sec-ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ-t-ブトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリ-n-プロポキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリ-i-プロポキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリ-n-ブトキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリ-sec-ブトキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリ-t-ブトキシシリル)エタン、1,1-ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,1-ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,1-ビス(トリ-n-プロポキシシリル)エタン、1,1-ビス(トリ-i-プロポキシシリル)エタン、1,1-ビス(トリ-n-ブトキシシリル)エタン、1,1 -ビス(トリ-sec-ブトキシシリル)エタン、1,1-ビス(トリ-t-ブトキシシリル)エタン、1,3-ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3-ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3-ビス(トリ-n-プロポキシシリル)プロパン、1,3-ビス(トリ-i-プロポキシシリル)プロパン、1,3-ビス(トリ-n-ブトキシシリル)プロパン、1,3-ビス(トリ-sec-ブトキシシリル)プロパン、1,3-ビス(トリ-t-ブトキシシリル)プロパン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,2-ビス(トリ-n-プロポキシシリル)プロパン、1,2-ビス(トリ-i-プロポキシシリル)プロパン、1,2-ビス(トリ-n-ブトキシシリル)プロパン、1,2-ビス(トリ-sec-ブトキシシリル)プロパン、1,2-ビス(トリ-t-ブトキシシリル)プロパン、1,1-ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,1-ビス(トリ-n-プロポキシシリル)プロパン、1,1-ビス(トリ-i-プロポキシシリル)プロパン、1,1-ビス(トリ-n-ブトキシシリル)プロパン、1,1-ビス(トリ-sec-ブトキシシリル)プロパン、1,1-ビス(トリ-t-ブトキシシリル)プロパン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリ-n-プロポキシシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリ-i-プロポキシシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリ-n-ブトキシシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリ-sec-ブトキシシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリ-t-ブトキシシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、 1,3-ビス(トリ-n-プロポキシシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリ-i-プロポキシシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリ-n-ブトキシシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリ-sec-ブトキシシリル) ベンゼン、1,3-ビス(トリ-t-ブトキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリメトキシシリル)ベンゼ ン、1,4-ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、 1,4-ビス(トリ-n-プロポキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリ-i-プロポキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリ-n-ブトキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリ-sec-ブトキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリ-t-ブトキシシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)エチレン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エチレン、1,2-ビス(トリ-n-プロポキシシリル)エチレン、1,2-ビス(トリ-i-プロポキシシリル)エチレン、1,2-ビス(トリ-n-ブトキシシリル)エチレン、1,2-ビス(トリ-sec-ブトキシシリル)エチレン、1,2-ビス(トリ-t-ブトキシシリル)エチレンなどが挙げられる。
【0012】
本発明の絶縁膜形成用組成物には、上記のアルコキシシラン類のうちの1つを単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。一般に4官能のアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシランを多く含有する絶縁膜形成用組成物を用いると、得られる低誘電率材料の機械的強度が強いという利点がある。
しかしながら、このような組成の絶縁膜形成用組成物は、本発明で用いる非イオン性界面活性剤を加えずに低誘電率材料を形成すると、その親水性が高くなる傾向がある。これは半導体素子を形成する際、低誘電率材料中に含まれる水分が脱離し、半導体素子を形成する薄膜の性質を変性する恐れがあり、好ましくない。
【0013】
本発明の非イオン性界面活性剤を添加した場合、得られる低誘電率材料の疎水性を大幅に向上でき、このような悪影響を未然に防ぐことができる。アルコキシシラン類を複数組み合わせ、その組成比を適当な範囲に選べば、上記の機械的強度と疎水性を両立させることが可能である。たとえばアルコキシシランとして3官能のアルコキシシラン、たとえばメチルトリエトキシシラン(成分Aとする)、4官能のアルコキシシラン、たとえばテトラエトキシシラン(成分Bとする)、6官能のアルコキシシラン、たとえばビス(トリエトキシシリル)エタン(成分Cとする)の3種類を用いた場合、好ましい組成の範囲を成分A、成分B、成分Cに含まれるシリコン原子の原子数比で表すと下記関係式を満足する。
【0014】
10%<(成分B+成分C)/(成分A+成分B+成分C)<80%
上記の関係式の(成分B+成分C)/(成分A+成分B+成分C)の値が10%より小さいと機械的強度の低下が顕著となり、一方80%より大きい場合は十分な疎水化、低誘電率化の効果が得られなくなる。
次に本発明の絶縁膜形成用組成物に含まれる非イオン性界面活性剤について説明する。
【0015】
本発明の非イオン性界面活性剤は上記一般式(1)、(2)で表される特定の親水基を含むことを特徴とする。
一般式(1)で表される構造を含む親水基を有する界面活性剤の例としては、モノエチルアミン、モノエタノールアミンに代表される一級アミンのアミド、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、モルホリンに代表される二級アミンのアミド、N−メチルピロリドン、N−オクチルピロリドンに代表される環状アミドなどが挙げられる。
【0016】
また一般式(2)で表される構造を含む親水基を有する界面活性剤の例としては、N,N−ジメチルヘキシルアミン−N−オキシド、N,N−ジメチルデシルアミン−N−オキシドに代表されるアミンオキシドなどが挙げられる。
なお、本発明の非イオン性界面活性剤が含有する親油基の構造に特に制限はなく、アルキル基、アルケニル基、フッ化アルキル基、アクリル基など公知の構造を有するものを用いることができる。
【0017】
これらの非イオン性界面活性剤は単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
本発明の絶縁膜形成用組成物は、さらに有機ポリマーを含有する。この有機ポリマーは低誘電率材料を形成する過程で熱分解又は揮発するものである。有機ポリマーの例としては、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリアンハイドライドなどを主なる構成成分とするものを用いることができる。
【0018】
これらの有機ポリマーは単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良いし、また有機ポリマーの主鎖は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の任意の繰り返し単位を有するポリマー鎖を含んでいてもよい。
具体的な脂肪族ポリエーテルの例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソブチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリジオキソラン、ポリジオキセパン、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールのような2元ブロックコポリマー、さらにポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールポリエチレングリコールなどの直鎖状の3元ブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0019】
本発明の組成物の有機ポリマーとして、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、ペントース、ヘキシトール、ヘキソース、ヘプトースなどに代表される糖鎖などに含まれるヒドロキシル基のうちの少なくとも3つと有機ポリマー鎖が結合した構造、及び/又はヒドロキシル酸に含まれるヒドロキシル基とカルボキシル基のうち少なくとも3つがブロックコポリマー鎖が結合した構造を含んでも良い。
【0020】
本発明で用いられる有機ポリマーの末端基は特に限定されないが水酸基はじめ、直鎖状および環状のアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基およびトリアルキルシリル基変性したものを用いることができる。
脂肪族ポリエーテルの末端基を変性した例としては、上記アルキレングリコール類の少なくとも一つの末端を例えばメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、グリシジルエーテルなどでエーテルとしたものが挙げられる。
【0021】
具体的には、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリイソブチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールジメチルエーテル、グリセリンポリエチレングリコールトリメチルエーテル、ペンタエリスリトールポリエチレングリールテトラメチルエーテル、ペンチトールポリエチレングリコールペンタメチルエーテル、ソルビトールポリエチレングリコールヘキサメチルエーテルなどが用いられる。
【0022】
本発明に用いられる有機ポリマーは部分的または全体が環状であるポリマーを用いても良く、環状ポリエーテル、環状ポリエステルなどを用いることができる。
以上、本発明の絶縁膜形成用組成物を主に構成する成分について説明した。
次に上記構成成分の組成比について説明する。
非イオン性界面活性剤は、本発明の組成物中に含まれるアルコキシシラン類(完全加水分解縮合 物換算)100重量部に対し、通常、0.0001〜10重量部である。0.0001重量部未満では、低いキュア温度と短いキュア時間で比誘電率の低い材料を得ることができない。10重量部以上であると、作成した絶縁膜の耐熱性が悪化する。
【0023】
有機ポリマーはアルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応されて得られるシリカ1重量部に対し0.01〜10重量部である。有機ポリマーの添加量が0.01重量部より少ないと多孔体が得られず、また10重量部より多くても、十分な機械強度を有する多孔性シリカが得られず、実用性に乏しい。
尚、本発明の絶縁膜形成組成物に添加することができる溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒およびエステル系溶媒などが挙げられる。
【0024】
ここで、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノ ール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタ ノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペン タノール、2-メチルブタノール、sec-ペンタノー ル、t-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n- ヘキサノール、2-メチルペンタノール、sec-ヘキサノール、2-エチルブタノール、sec-ヘプタノール、ヘプタノール-3、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、sec-オクタノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチルヘプタノール-4、n-デカノール、sec-ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec-テトラデシルアルコール、sec-ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5- トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、 ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンタンジオール-2,4、2-メチルペンタンジオール-2, 4、ヘキサンジオール-2,5、ヘプタンジオール- 2,4、2-エチルヘキサンジオール-1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレ ングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコール モノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシル エーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、 エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテル、 ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒;などを挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、1種あるいは2 種以上を同時に使用してもよい。
【0025】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル- n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2-ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2,4-ヘキサンジオン、2,4-ヘプタンジオン、3,5 -ヘプタンジオン、2,4-オクタンジオン、3,5-オクタンジオン、2,4-ノナンジオン、3,5-ノナンジオン、5-メチル-2,4-ヘキサンジオン、2, 2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、 1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ヘプタンオンなどのβ-ジケトン類などが挙げられる。これらのケトン系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時 に使用してもよい。
【0026】
アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-エチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン、N-ホルミルモルホリン、N-ホルミルピペリジン、N-ホルミルピロリジン、N-アセチルモルホリン、N-アセチルピペリジン、N-アセチルピロリジンなどが挙げられる。これらのアミド系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0027】
エステル系溶媒としては、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸n-ペンチル、酢酸sec-ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸ベンジル、 酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n-ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸i-アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ-n-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。これらエステル系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0028】
アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒およびエステル系溶媒などの溶媒は、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の絶縁薄膜形成用組成物には溶媒として水を含むこともできる。溶媒として水を加える場合、その添加量は絶縁膜形成用組成物の全重量に対して5%以上40%以下であるのが好ましい。水の比率が5%未満であると塗布条件によっては放射状の膜厚分布(いわゆるストライエーション)が出やすくなる傾向にあるため、塗布装置の条件を精密に制御する必要が発生する。逆に水の比率が40%を超えると、水自身がもつ高い気化熱のためこれも膜厚分布を悪化させる傾向がある。
【0029】
特に好ましい水の比率は、特にその下限が本発明のアルコキシシラン類の組成や有機ポリマーとの比率、さらには共存する他の溶媒などに依存する。一例としてプロピレングリコールメチルエーテルが溶媒として共存する場合であれば、20%から35%の範囲が特に好ましい。特に25%から35%の範囲は低温保存でも凍結しにくくなるので保存温度の選択幅が広いという利点がある。
本発明の絶縁薄膜形成用組成物に含有されるアルコキシシラン類はその加水分解物、縮合物となっていてもかまわないので、アルコキシシラン類を加水分解、縮合させるために、触媒を使用してもよい。この際に使用する触媒としては、イオン交換樹脂、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を挙げることができる。
【0030】
有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2-エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ 酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、乳酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸などを挙げることができる。
【0031】
有機塩基としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどを挙げることができる。
【0032】
無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができる。酸、塩基発生剤などを添加することもできる。
2種類以上の触媒を段階的に用いた反応、混合した反応なども用いることができる。
次に本発明の絶縁膜形成用組成物の調製方法について説明する。
【0033】
本発明の絶縁膜形成用組成物を必要な組成にするための方法は、通常、アルコキシシラン類を加水分解、縮合反応させる場合の合成工程、および合成工程後に存在する溶媒、水、その他の過剰又は不要な成分を調製する調製工程、および有機ポリマーを添加する添加工程などからなる。
具体的には、第一の工程としてアルコキシシラン類の混合物に、水および触媒を添加して加水分解・縮合を行う合成工程を行い、第二の工程として有機ポリマーを添加する添加工程を行い、引き続き第三の工程として水および溶媒を調製する調製工程を行い、さらに必要な場合には濾過工程を行ってもかまわない。そして、最後に非イオン性界面活性剤の添加を行う。
【0034】
以下に触媒としてイオン交換樹脂を用いた場合についてより詳しく述べる。
まず第一にアルコキシシラン類の混合物に、水とイオン交換樹脂を混合したものを滴下して合成工程を行い、その後イオン交換樹脂のみを濾過により除去する。
第二に有機ポリマーを添加する添加工程を行う。
第三に、合成工程のために用いた合成溶媒および/または水を除去・添加して特定の組成比に調製する調製工程を行う。
【0035】
第四に非イオン性界面活性剤を所要量添加する。
この調製方法によれば、均一性に優れた組成物を容易に得ることが出来る。
なお、本発明では第四の工程である非イオン性界面活性剤の添加は、第一の工程の直後に行ってもよいし、第二の工程と同時に行ってもよい。
以下に、上記の調製方法に係る各工程を詳細に説明する。
第一の合成工程ではアルコキシシラン類の混合物に、水とイオン交換樹脂の混合物を滴下する。
【0036】
用いるイオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂のいずれも用いることができる。例えば、スルホン酸基などをもつ強酸性陽イオン交換樹脂、カルボン酸基などを持つ弱酸性陽イオン交換樹脂、アミノ基などを持つ塩基性陰イオン交換樹脂などが挙げられる。具体的には、オルガノ社製アンバーライトIR120B、A26、MB2など、オルガノ社製アンバーリストRCP−160M、15DRY、15WETなど、三菱化学社製ダイヤイオンPK220、SK112、WK100、PA412など、ダウケミカル社製DOWEX50W−X2、50W−X4、50W−X6、50W−X8などを用いることができる。
【0037】
アルコキシシラン類にイオン交換樹脂と水の混合物を添加する方法は、混合物を一度に添加する方法、連続的に添加する方法、断続的に添加する方法が挙げられる。逆に混合物にアルコキシシラン類を添加してもよい。また、一部の水を混合物とは別に合成状況に応じて別途添加してもかまわない。
尚、溶媒、有機ポリマーなどを混合物にさらに混合して添加してもかまわない。
【0038】
具体的にはイオン交換樹脂を水で湿潤させ水と同時に添加する方法以外に、水湿潤イオン交換樹脂をさらにエタノールと混合して添加する方法などが挙げられる。
アルコキシシラン類を加水分解・縮合させる合成温度は通常0〜100℃で行うことができ、連続的、断続的に温度を変更することができる。たとえば30℃に保持して攪拌下アルコキシシラン類に混合物を添加し、50℃に昇温して加水分解・縮合反応を行う方法、30℃から50℃まで昇温する過程で混合物あるいは水のみを連続的に滴下する方法などが用いられる。
【0039】
本発明の合成は、アルコキシシラン類を別々に加水分解・縮合反応させたものを、混合しても良い。また必要に応じ、別々に反応したものを混合後、さらに加水分解・縮合させてもよい。
通常、合成後のアルコキシシラン類の加水分解・脱水縮合物の重量平均分子量はGPCによるポリエチレングリコール換算で300〜1,000,000である。
【0040】
次に有機ポリマーの添加方法について説明する。
本発明では有機ポリマーを一般的な攪拌下添加すればかまわない。
本発明では、引き続き、絶縁膜形成用組成物に含有される固形分と液状成分との組成比を先記した特定の範囲とすることが必要である。
組成比を特定の範囲とするために水および低沸溶媒などを除去することができる。
【0041】
具体的には減圧単蒸留法、精密蒸留法、アーサー蒸留法、薄膜蒸留法などの留去法、抽出法、および限外ろ過法などが挙げられる。
留去法は大気圧下または減圧下、いずれでも可能であるが、常圧であると留去温度が一般的に高くなり、留去中にシリカ前駆体が固化する恐れがあるので、減圧下で留去するのが好ましい。
また必要に応じて、ゲル化防止剤、粘度低下剤として、留去前および/または留去後に有機ポリマー、溶剤などを混合することもできる。
【0042】
留去温度は0〜100℃である。
そして、所望の組成比とするため溶媒、水などの添加が必要な場合は通常の方法で添加すればよい。尚、有機ポリマーを添加して調製することも可能である。本発明では非イオン性界面活性剤の添加を必要とするが、添加の方法は特に限定されず一般的な攪拌下添加すればかまわない。
触媒に用いたイオン交換樹脂はろ過をフィルターを用いて行うことができる。例えば、イオン交換樹脂を用いて加水分解・縮合反応を行った後、孔径10μmのPTFE製メンブレンフィルターを用いた減圧ろ過、本発明の組成物を調製後に孔径0.05μmのポリエチレン製カートリッジフィルターを用いた加圧ろ過などを行うことができる。
【0043】
尚、イオン交換樹脂のろ別以外にも不純固形分を随時上記ろ過方法で除去することは可能である。
次に本発明の絶縁膜形成用組成物を用いて低誘電率材料を得る方法について説明する。本発明は半導体素子に用いられる低誘電率材料を得ることを目的としており、半導体素子で通常用いられる基板、例えばシリコン基板や化合物半導体基板、これらの上にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜、アルミニウムや銅、タングステン、チタン、タンタルあるいはこれらの窒化物などを有するものの上に好適に塗布される。塗布の方法として最も一般的に用いられるのは回転塗布法(スピンコート)であるが、本発明に好適に用いられる方法は必ずしもスピンコートに限定されない。
【0044】
絶縁膜形成用組成物を塗布した後は、焼成を行う。焼成は一段階で行っても多段階で行っても良い。一般には熱板を用いて70℃から150℃程度の温度で第一段階の加熱を行った後、さらに熱板を用いてキュア温度150℃から400℃程度の焼成を一段または多段で行う。熱板による加熱はキュア時間が短時間で行える利点があるが、電気炉やランプ加熱炉で行うことも可能である。具体的な方法としては絶縁膜形成用組成物の組成などに応じて好適な条件を選択することができる。
【0045】
例えば有機ポリマーとして数平均分子量700以上のポリエチレングリコールジメチルエーテルを用いた場合は、一旦150℃から300℃の範囲で二段以上の加熱を熱板上で行った後、400℃の熱板で有機ポリマーを除去する方法を用いることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施例を用いて具体的に説明する。
本実施例で測定する物性値の測定方法について先ず説明する。
1、膜厚:分光エリプソメーター(Jobin Yvon製UVISEL)により、SiO2―ボイドモデルを用いて測定した。
2、比誘電率:低抵抗率(0.01〜0.1Ω)シリコンウェハー上に本発明の組成物を用いた低誘電率膜を形成し、SSM社製495型自動水銀CV測定装置を用いて1MHzにおける比誘電率(k)を求めた。
3、ヤング率:MTS Systems Corporation社製ナノインデンター DCMで測定した。測定方法は、バーコビッチ型のダイヤモンド製圧子を試料に押し込み、一定荷重に達するまで負荷したのちそれを除き、変位をモニターすることにより荷重―変位曲線を求めた。表面はコンタクトスティフネスが200N/mになる条件で認識した。硬度の算出は、以下の式による。
【0047】
H=P/A
ここで、Pは印加した荷重であり、接触面積Aは接触深さhcの関数で次式により、実験的に求めた。
A=24.56hc 2
この接触深さは圧子の変位hと次の関係にある。
hc=h−εP/S
ここでεは0.75、Sは除荷曲線の初期勾配である。
4、ヤングモジュラスの算出はスネドンの式によって求めた。
【0048】
Er=(√π・S) / 2√A
ここで、複合弾性率Erは次式で表される。
Er =[(1-νs2)/ Es + (1-νi2)/ Ei ]-1
ここで、νはポアソン比、添字Sはサンプル、iは圧子を表す。本発明ではνi=0.07、 Ei=1141GPa、また本材料のポアッソン比は未知であるがνs=0.18としてサンプルのヤングモジュラスEsを算出した。尚、本発明におけるヤングモジュラスは、0.5μ〜1μmの膜厚で測定した。
5、シリコンウェハー上に作成した本発明の組成物を用いた低誘電率膜の、水に対する接触角を協和界面化学株式会社製FACE CONTACT-ANGLE-METERを用いて測定した。1μlの精製水を膜表面に付着させてから1分後の角度を用いた。
【0049】
【実施例1】
メチルトリエトキシシラン534.9g、1,2−ビストリエトキシシリルエタン354.6gを混合し、これに水224.0gおよび水湿潤スルホン酸型陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーリストRCP−160M)60ml(水46.0g含有)を混合したものを室温で滴下した。滴下後、50℃4時間攪拌して加水分解および脱水縮合反応を行い、イオン交換樹脂をろ別した。ろ別した溶液800.0gに有機ポリマーとして、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(数平均分子量Mn=600:80wt%水溶液)162.0を加えたものから、ロータリーエバポレーターで50℃、30分の減圧処理を行うことで、水およびエタノールを留去した。
【0050】
留去残留物にプロピレングリコールモノメチルエーテル600.8gを添加した溶液1071.2gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル1050.6g、エタノール63.5g、水569.2g、ラウリル酸ジエタノールアミド2%水溶液306.1gを加えることで、本発明の組成物を作成した。
このように作成した絶縁膜形成用組成物を、東京エレクトロン株式会社製Cleantrack ACT8SODを用いて下記の条件でシリコンウェハー上に塗布後焼成して低誘電率材料からなる薄膜を得た。すなわち、回転数毎分2000回転でスピンコート後、120℃、空気中で1分加熱し、次に240℃、窒素雰囲気中で3分加熱した。最後に400℃、窒素雰囲気中で10分加熱した。
【0051】
得られた薄膜の膜厚は392nm、比誘電率は2.32であった。また水に対する接触角を測定したところ、91゜となり、非常に疎水性の高い膜となった。
【0052】
【比較例1】
実施例1とはラウリル酸ジエタノールアミドを添加しない点を除き全く同一の条件で絶縁膜形成用組成物を作成した。
このように作成した絶縁膜形成用組成物を用いて、実施例1と同一の条件で低誘電率材料からなる薄膜を得た。
得られた薄膜の膜厚は376nmであった。またこの薄膜の比誘電率を測定したところ、2.52であり、実施例1の場合に比べて約9%高い値となった。
【0053】
【比較例2】
実施例1とはラウリル酸ジエタノールアミドを添加しないかわりに、フッ素系界面活性剤2%水溶液306.0g(メガファックF172;大日本インキ化学工業株式会社製)を添加した以外、全く同一の条件で絶縁膜形成用組成物を作成した。
このように作成した絶縁膜形成用組成物を用いて、実施例1と同一の条件で低誘電率材料からなる薄膜を得た。
【0054】
得られた薄膜の膜厚は380nmであった。またこの薄膜の比誘電率を測定したところ、2.50であり、実施例1の場合に比べて約8%高い値となった。
【0055】
【実施例2】
実施例1においてメチルトリエトキシシラン、1,2−ビストリエトキシシリルエタンの使用量を445.8g、266.0gにし、テトラエトキシシラン208.3gを混合した以外、実施例1と同様の操作で本発明の組成物を作成した。
このように作成した絶縁膜形成用組成物を用いて、実施例1と同一の条件で低誘電率材料からなる薄膜を得た。
【0056】
得られた薄膜の膜厚は466nmであった。この薄膜の比誘電率を測定したところ、2.40であった。またこの薄膜の水に対する接触角を測定したところ、70゜であった。
【0057】
【比較例3】
実施例2とはラウリル酸ジエタノールアミドを添加しない点を除き全く同一の条件で絶縁膜形成用組成物の作成、および低誘電率材料からなる薄膜の形成を行った。
得られた薄膜の膜厚は382nmであった。この薄膜の比誘電率を測定したところ、2.65となり、実施例1より約10%高い値となった。またこの薄膜の水に対する接触角を測定したところ、73゜であった。
【0058】
【実施例3】
実施例1と同様の操作で、イオン交換樹脂をろ別した溶液100.0gに有機ポリマーとして、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(数平均分子量Mn=600:80wt%水溶液)20.3gを加えたものから、ロータリーエバポレーターで50℃、30分の減圧処理を行うことで、水およびエタノールを留去した。留去残留物にプロピレングリコールモノメチルエーテル76.9gを添加した溶液133.9gに、プロピレングリコール12.9g、エタノール2.4g、水36.3g、ラウリル酸ジエタノールアミド2%水溶液20.6gを加えることで、本発明の組成物を作成した。
【0059】
このように作成した絶縁膜形成用組成物を用いて、実施例1と同一の条件で低誘電率材料からなる薄膜を得た。得られた薄膜の膜厚は1.02μmであった。この薄膜の比誘電率を測定したところ、2.34となり、実施例1とほぼ同じ値が得られた。次にこの薄膜のヤング率を測定したところ3.4GPaであった。また水に対する接触角は95゜であった。
【0060】
【比較例4】
実施例3においてメチルトリエトキシシランの使用量を713.2gにし、1,2−ビストリエトキシシリルエタン使用しないかわりにテトラエトキシシラン208.3gを混合した以外、実施例1と同様の操作で絶縁膜形成用組成物を作成した。
このように作成した絶縁膜形成用組成物を、実施例1と同一の条件で塗布焼成し、低誘電率材料からなる薄膜を得た。
【0061】
得られた薄膜の膜厚は0.92μm、比誘電率は2.26であった。次にこの薄膜のヤング率を測定したところ2.8GPaであった。また水に対する接触角は90゜であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、低いキュア温度と短いキュア時間で低誘電率材料が作成可能な絶縁膜形成用塗布組成物を得ることができる。

Claims (1)

  1. アルコキシシラン類およびその加水分解物およびその縮合物から選ばれる少なくとも1種以上からなるシラン化合物と、有機ポリマーと、非イオン性界面活性剤とを含有する絶縁膜形成用組成物であって、当該非イオン性界面活性剤を構成する親水基が下記一般式(1)または(2)の構造を有することを特徴とする絶縁膜形成用組成物。
    (1)-CO-NR1R2
    (2)-R3-NOR4R5
    (ただしR1は1価の有機基、R2は水素原子又は1価の有機基、R4、R5は1価の有機基、R3は2価の有機基とする。)
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