JP4044056B2 - 計量スプーン - Google Patents

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本発明は、粉体を掬い取って計量する計量スプーンに関するものである。
粉体、例えば粉末洗剤を洗濯機へ投入する際に、最適な量の粉末洗剤を容器から掬い取って計量できるように、粉末洗剤のパッケージには計量スプーンが添付されているものが多い。こうした計量スプーンは、樹脂の射出成型やシート成型による樹脂製計量スプーンや、厚紙の折り曲げ形成による紙製計量スプーンなどが一般的である。
特開平4−343029号公報 特開2000−193507号公報 特開2003−185488号公報
粉末洗剤のパッケージに添付された計量スプーンは、パッケージ内の粉末洗剤が全て消費された後は、パッケージとともに廃棄されるのが一般的である。このため、廃棄物の減量による環境保全の観点からも、計量スプーンを極力軽量化して、廃棄物の量を減らすことが好ましい。
しかし一方で、計量スプーンを軽量化するために計量スプーンを薄く形成すると、パッケージから粉末洗剤を掬い取るのに充分な強度を確保できず、計量スプーンが変形する懸念がある。また、計量スプーンを薄く形成すると、粉末洗剤を掬うスプーン本体から延びた、使用者が計量スプーンをつまむ柄の部分(把持部)の感触が悪くなり、計量スプーンの把持部を摘んだ時に、把持部の薄いエッジが指に当たって痛さを感じることがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、粉体を掬うのに充分な強度を確保し、また、保持する際の感触を良好に保ちつつ、軽量化を図った計量スプーンを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明によれば、上部が開放面を成す略直方体のスプーン本体と、前記スプーン本体から延びる把持部とを有する計量スプーンであって、前記把持部は、前記開放面に沿って延びる板状部と、前記板状部の両側縁から屈曲して前記板状部の厚み方向に延びるリブとからなり、前記リブの縁部の内側と外側にそれぞれR面を形成し、前記縁部の内側のR面の曲率半径をR1、前記縁部の外側のR面の曲率半径をR2と規定したときに、R1>R2、かつR1=0.3〜0.7mm、R2=1.0〜1.4mmの範囲になるようにしたことを特徴とする計量スプーンが提供される。
また、本発明によれば、4つの側面と底面で区画され、上部が開放面を成す略直方体のスプーン本体と、前記スプーン本体から延びる把持部とを有する計量スプーンであって、前記側面を前記底面よりも前記開放面側で肉厚になるように形成したことを特徴とする計量スプーンが提供される。前記側面は、前記スプーン本体の外側に向けて開く段差を有しているのが好ましい。
本発明の計量スプーンによれば、側面における底面側の肉厚が薄くても、開放面側の肉厚を厚く成型することにより、スプーン本体の強度を高めることが可能となる。これにより、計量スプーンの使いやすさ、輸送適性、生産適性を改善するとともに、底面側の肉厚を薄くすることで、少ない樹脂量でスプーン本体の強度を高めることが可能となり、計量スプーンが廃棄された際の廃棄物量の減量に貢献する。
また、板状部にリブを一体に形成することで、樹脂量を低減させるために板状部の厚みを薄くしても、把持部の強度を高く保つことが可能になり、計量スプーンを用いて粉体を掬い取る際に、把持部が撓ったり、湾曲変形することを防止して、確実に粉体を掬い取ることができる。
そして、リブの縁部の内外にそれぞれR面を形成し、内側のR面の曲率半径をR1、外側のR面の曲率半径をR2と規定したときに、R1>R2、かつR1=0.3〜0.7mm、R2=1.0〜1.4mmの範囲になるように設定することで、把持部を摘んでリブに指が当たった際に、鋭角な角で指に痛さを感じることを防止し、計量スプーンの握り易さを大幅に向上させることが可能になる。
以下、本発明の実施の形態として、粉末洗剤のパッケージに添付される計量スプーンを採り上げ、図面を参照して説明する。図1は、本発明の計量スプーンを示す外観斜視図である。計量スプーン10は、粉体を掬い取って計量するスプーン本体11と、このスプーン本体11から延びる把持部12とを備えている。こうした計量スプーン10は、全体を例えば樹脂で射出成型によって一体に形成される。
スプーン本体11は、外観を略直方体に形成され、4つの側面13a〜13dと、底面14とで区画され、上面は開放面15を成している。4つの側面13a〜13dのうち、長側面を成す13a,13cには、スプーン本体11に掬い取られた粉体(粉末洗剤)を計量するための目盛り16が形成されている。また、把持部12が延びる側面13dの内側には、補強用、または計量スプーン10製造時において重ねた際のスタッキング防止用のリブ17が一体に形成されている。
図2は、図1に示す計量スプーンのスプーン本体をP1で切断したときの断面図である。スプーン本体11の側面13は、底面14側より開放面15側が肉厚になるように形成されている。例えば、側面13の肉厚は、開放面15側の肉厚N1が0.7mm、底面14側の肉厚N2が0.6mmに形成されるが、通常は0.5mm以上あればよく、肉厚N1は肉厚N2よりも、少なくとも15%以上厚く形成されることが好ましい。
このように、側面13の肉厚を底面14側より開放面15側が厚くなるように形成することで、粉体を掬い取るのに必要な強度を保持しつつ、少ない樹脂量で計量スプーン10を形成することができる。一般に、スプーン本体11の強度は開放面15側の肉厚に依存しており、底面14側の肉厚の影響は小さいと考えられる。
すなわち、底面14側の肉厚が薄くても、開放面15側の肉厚を厚く成型することにより、スプーン本体11の強度を高めることが可能となる。これにより、計量スプーン10の使いやすさ、輸送適性、生産適性を改善するとともに、底面14側の肉厚を薄くすることで、少ない樹脂量でスプーン本体11の強度を高めることが可能となり、計量スプーン10が廃棄された際の廃棄物量の減量に貢献する。
スプーン本体11の側面13は、底面14側よりも開放面15側がスプーン本体11の外側に向けて傾斜するように形成されている。こうした側面13の傾斜は、底面14に対して例えば外側に約3°(一般的に、樹脂形成後の離型時の抜き勾配)で傾斜していればよい。側面13をスプーン本体11の外側に向けて傾斜させることにより、計量スプーン10の射出成型の際に金型からの離型性を高め、精密な計量スプーン10を形成するのに役立つ。
スプーン本体11の側面13には、スプーン本体11の外側に向けて開く段差18が形成される。こうした段差18は、スプーン本体11の強度の更なる向上に役立つとともに、計量スプーン10の射出成型の際の離型性を高めることもできる。なお、段差18は、計量スプーン10に設定される強度に応じて、形成されても、あるいは形成されなくても良い。
図3は、図1に示す計量スプーンの把持部をP2で切断したときの断面図である。把持部11は、スプーン本体11の開放面15(図1参照)に沿って延びる略板状の板状部21と、この板状部21の両側縁から屈曲して、板状部21の厚み方向に延びるリブ22とからなる。板状部21は、例えば幅Wを12.7mm、長さL(図1参照)を70mmに形成すれば良い。また、板状部21は指当たりの感触を向上させるため、厚み方向に緩やかに湾曲している。こうした湾曲は、例えば曲率半径R3が8.4mm程度に設定されれば良い。なお、板状部21の幅Wは、指当たりの感触を向上という観点から概ね10mm以上あれば好ましく、長さLは持ちやすさの観点から50mm以上で、かつパッケージに収容可能な長さ以下であれば好ましいが、これに限定されるものではなく、任意の幅Wおよび長さLが採用されて良い。
リブ22は、板状部21の両側縁から屈曲し、例えば高さHが4mm、幅Tが1.7mm程度の大きさに形成されれば良い。そして、リブ22の縁部22aには、内側と外側にそれぞれR1面、R2面が形成される。こうしたR面は、縁部22aの内側のR面の曲率半径をR1、前記縁部の外側のR面の曲率半径をR2と規定したときに、R1>R2、かつR1=0.3〜0.7mm、R2=1.0〜1.4mmの範囲になるように設定されれば良い。
板状部21にリブ22を一体に形成することで、樹脂量を低減させるために板状部21の厚みを薄くしても、把持部11の強度を高く保つことが可能になり、計量スプーン10を用いて粉体を掬い取る際に、把持部11が撓ったり、湾曲変形することを防止して、確実に粉体を掬い取ることができる。
そして、リブ22の縁部22aの内外にそれぞれR面を形成し、内側のR面の曲率半径をR1、外側のR面の曲率半径をR2と規定したときに、R1>R2、かつR1=0.3〜0.7mm、R2=1.0〜1.4mmの範囲になるように設定することで、把持部11を摘んでリブ22に指が当たった際に、鋭角な角で指に痛さを感じることを防止し、計量スプーン10の握り易さを大幅に向上させることが可能になる。
本出願人は、上述したような本発明の計量スプーンの握り易さ、掬い易さを検証した。検証にあたって、図1に示す本発明の計量スプーンを準備した。まず、把持部11のリブ22の高さHを3,4,5mmにそれぞれ設定した計量スプーンの握り易さを検証した結果を表1に示す。
Figure 0004044056
表1によれば、リブ22の高さHを3〜4mmに設定すれば、握り易さは良好に保たれ、それ以上リブ22の高さHが高くなると、握り易さが低下することが判明した。
次に、把持部11のリブ22の高さHを3,4,5mmにそれぞれ設定した計量スプーンを用いて、それぞれ粉体を掬った際の掬い易さ(把持部の変形度合い)を検証した結果を表2に示す。
Figure 0004044056
表2によれば、リブ22の高さHを3〜4mmに設定すれば、粉体を掬った際の把持部の変形が少なくて掬い易さは良好に保たれ、それ以上リブ22の高さHが高くなると、把持部の変形が大きくなって掬い易さが低下することが判明した。
更に、把持部11のリブ22に曲率半径0.85のR面を1つだけ形成した計量スプーン、および把持部11のリブ22にR面を形成しない計量スプーン、把持部11にリブ22を形成しない計量スプーンをそれぞれ用いて、握り易さ、粉体を掬った際の掬い易さ(把持部の変形度合い)を検証した結果を表3に示す。
Figure 0004044056
表3によれば、リブ22にR面を形成した計量スプーンは、握り易さ、掬い易さ共に良好であり、リブ22にR面を形成しない計量スプーンでは、握り易さに難があった。また、リブ22を形成しない計量スプーンは、握り易さ、掬い易さ共に良好であった。
そして、把持部11のリブ22の内外に、表4に示す曲率半径のR面を形成した計量スプーンをそれぞれ用いて、握り易さ、粉体を掬った際の掬い易さ(把持部の変形度合い)を検証した結果を表4に示す。
Figure 0004044056
表4によれば、リブ22の内側のR面の曲率半径をリブ22の外側のR面の曲率半径よりも大きく形成した計量スプーンは、握り易さ、掬い易さ共に良好であることが確認された。
図1は、本発明の計量スプーンを示す外観斜視図である。 図2は、図1に示す計量スプーンのスプーン本体をP1で切断したときの断面図である。 図3は、図1に示す計量スプーンの把持部をP2で切断したときの断面図である。
符号の説明
10 計量スプーン
11 スプーン本体
12 把持部
13,13a〜13d 側面
14 底面
15 開放面
21 板状部
22 リブ

Claims (3)

  1. 上部が開放面を成す略直方体のスプーン本体と、前記スプーン本体から延びる把持部とを有する計量スプーンであって、
    前記把持部は、前記開放面に沿って延びる板状部と、前記板状部の両側縁から屈曲して前記板状部の厚み方向に延びるリブとからなり、前記リブの縁部の内側と外側にそれぞれR面を形成し、前記縁部の内側のR面の曲率半径をR1、前記縁部の外側のR面の曲率半径をR2と規定したときに、R1>R2、かつR1=0.3〜0.7mm、R2=1.0〜1.4mmの範囲になるようにしたことを特徴とする計量スプーン。
  2. 4つの側面と底面で区画され、上部が開放面を成す略直方体のスプーン本体と、前記スプーン本体から延びる把持部とを有する計量スプーンであって、
    前記側面を前記底面よりも前記開放面側で肉厚になるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の計量スプーン。
  3. 前記側面は、前記スプーン本体の外側に向けて開く段差を有することを特徴とする請求項1または2に記載の計量スプーン。
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