JP4043303B2 - マルチキャリア受信装置および通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、MC−CDMAを採用する通信システムにて使用可能なマルチキャリア受信装置に関するものであり、特に、高速移動を想定した次世代以降の通信システムへ適用可能なマルチキャリア受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来のマルチキャリア受信装置について説明する。移動体環境においては、広帯域信号を送受信する場合、周波数選択性フェージングの克服が必要となる。周波数選択性フェージングへの対応技術の一つとして、マルチキャリア、特に、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が用いられるが、近年、多セル環境での使用を考慮して、CDMA(Code Division Multiple Access)技術とOFDMを融合させたMC−CDMA(Multi Carrier-CDMA)の開発が進められている。
【0003】
図3および図4は、従来のMC−CDMA通信装置で用いられているフレームフォーマットを示す図であり、たとえば、特開2001−244913号公報に記載されている。図中、「Data」は送受信すべきデータ(ユーザデータなど)を表し、「Pilot−1」はデータと多重化されないパイロット情報を表し、「Pilot−2」はデータと符号多重化されたパイロット情報を表す。
【0004】
図3では、データが周波数方向へ拡散後、多重化され、さらに、一定間隔毎に多重化されないパイロットが時間分割で挿入される。したがって、受信機では、受信したパイロットから基準情報やその他の必要な情報を抽出し、その後、データを復調する。
【0005】
一方、図4では、拡散後のパイロットとデータとを符号多重化する構成とした。したがって、受信機では、パイロット情報を逆拡散によって抽出し、その後、多重化されたデータを復調する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記、従来のマルチキャリア受信装置においては、たとえば、高速移動を想定した次世代以降の通信システムへ適用した場合、下記に示す問題点があった。
【0007】
たとえば、図3記載の時間多重方式のシステムでは、パイロット信号が一定間隔でしか挿入されないため、高速移動に伴う伝送路変動が発生した場合、復調に必要な各種基準情報の追従が困難となる。また、搬送波周波数の誤差,動作クロックの送受信機間偏差、等に伴う補正精度が劣化する。
【0008】
一方、図4記載の符号多重方式のシステムでは、パイロット情報がデータと多重化されるため、正確なパイロット情報の取得のためには長い拡散符号長が必要となり、パイロット情報の取得に大きな遅延が生じる。また、データの復調に必要な各種情報は、ある程度の平均化処理を伴う収束型のアルゴリズムにより抽出する必要があるため、たとえば、スリープモードなどからの復帰に時間がかかる。また、上記同様の理由で、何らかの理由で同期がはずれた場合に、復帰に時間がかかる。MC−CDMAが用いられるような通信システムでは、信号帯域が非常に広帯域となることから、復調処理の電力消費が大きくなる。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、MC−CDMAを採用する通信システムにおいて、より良好な通信特性を実現可能なマルチキャリア受信装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるマルチキャリア受信装置にあっては、符号多重化されていない第1の既知信号部分と符号多重化された信号部分とが交互に配置された信号を受信する構成とし、たとえば、受信信号から時分割に配置された前記第1の既知信号を検出して時間/周波数同期処理を実行する同期処理手段と、前記第1の既知信号に基づいて同期検波を行うために必要な基準情報を生成する基準情報生成手段と、前記符号多重化された信号部分にユーザデータとともに多重化された第2の既知信号を、逆拡散により抽出し、当該逆拡散後の第2の既知信号に基づいて伝送路変動に伴うパラメータの変化を検出して前記基準情報を補正する基準情報補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
つぎの発明にかかるマルチキャリア受信装置にあっては、待機状態の時には、前記同期処理手段による同期処理と前記基準情報生成手段による基準情報生成処理とを実行し、前記基準情報補正手段による補正処理および後続のすべての処理を停止することを特徴とする。
【0012】
つぎの発明にかかる通信システムにあっては、符号多重化されていない第1の既知信号部分と符号多重化された信号部分とが交互に配置された信号を送受信し、受信側の通信装置が、受信信号から時分割に配置された前記第1の既知信号を検出して時間/周波数同期処理を実行する同期処理手段と、前記第1の既知信号に基づいて同期検波を行うために必要な基準情報を生成する基準情報生成手段と、前記符号多重化された信号部分にユーザデータとともに多重化された第2の既知信号を、逆拡散により抽出し、当該逆拡散後の第2の既知信号に基づいて伝送路変動に伴うパラメータの変化を検出して前記基準情報を補正する基準情報補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
つぎの発明にかかる通信システムにおいて、受信側の通信装置は、待機状態の時、前記同期処理手段による同期処理と前記基準情報生成手段による基準情報生成処理とを実行し、前記基準情報補正手段による補正処理および後続のすべての処理を停止することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるマルチキャリア受信装置および通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明にかかるマルチキャリア受信装置の構成を示す図である。図1において、1はMC−CDMA(Multi Carrier-Code Division Multiple Access)信号に対して時間/周波数同期(FFTウインドウ設定を含む)を行う時間/周波数同期部であり、2は時間信号を周波数信号に変換するFFT(Fast Fourier Transform)部であり、3は逆拡散によって各ユーザのデータ部分信号およびトラッキング用パイロット信号「Pilot−2(データと符号多重化されたパイロット情報)」を取り出す逆拡散部であり、4は基準情報再生用パイロット信号「Pilot−1(データと多重化されないパイロット情報)」を利用して同期検波のための基準情報を生成する基準情報生成部であり、5は「Pilot−2」を利用して基準情報を更新するトラッキング部であり、6は逆拡散後のデータ部分信号を上記更新後の基準情報により検波する検波部であり、7は検波後の受信信号に対して誤り訂正を適用する誤り訂正部であり、12,13はスリープモード(またはアイドルモード)と通常の受信モードとの切り替えを行うスイッチである。
【0016】
なお、図中、S1は時間軸上のMC−CDMA信号を表し、S2は同期処理後の時間軸信号を構成するデータ部分信号およびトラッキング用パイロット信号「Pilot−2」を表し、S3は同期処理後の時間軸信号を構成する基準情報再生用パイロット信号「Pilot−1」を表し、S4は周波数軸上の信号に変換されたMC−CDMA信号を表し、S5は「Pilot−1」から生成される基準情報を表し、S6は逆拡散によって抽出されたデータ部分信号を表し、S7は逆拡散によって抽出されたトラッキング用パイロット信号「Pilot−2」を表し、S8は更新後の基準情報を表し、S9はトラッキング部5によって算出される同期誤差情報を表し、S10は検波後の受信信号を表し、S11は誤り訂正後の受信信号を表す。
【0017】
また、図2は、本発明にかかる通信システムで用いられるフレームフォーマットを示す図である。復調に必要なパイロット情報として、データと符号多重化されない状態で時分割的に配置される「Pilot−1」と、データと符号多重化されて連続的に配置される「Pilot−2」と、が挿入される。なお、「Pilot−1」の間隔は、上記装置の使用が想定される環境,その他の要因によって変動する。また、「Pilot−1」は、他局との干渉を避けるため、拡散される場合もある。通常、「Pilot−1」には、全送信電力が割り当てられる。「Pilot−1」と「Pilot−2」は、同一の拡散コードを使用する必要はない。
【0018】
ここで、上記のように構成された本実施の形態のマルチキャリア受信装置の動作を説明する。まず、受信アンテナで受け取った信号は、ダウンコンバート処理やフィルタリング処理が行われた後、MC−CDMA信号S1となって時間/周波数同期部1に送られる。
【0019】
時間/周波数同期部1では、電源投入時や何らかの理由で同期がはずれている場合に、符号多重化されないパイロット信号「Pilot−1」をMC−CDMA信号S1から検出し、時間/周波数同期を実行する。この処理により、FFTのためのウインドウ位置設定や発信器誤差に起因する周波数オフセット補正などが迅速に行われる。また、時間同期によってフレーム内の各情報の位置がわかるため、時間信号内の「Pilot−1」S3が基準情報生成部4に送られ、符号多重されたデータ部分信号および「Pilot−2」S2がFFT部2に送られる。
【0020】
基準情報生成部4では、「Pilot−1」S3に基づいて同期検波時に使用される基準情報S5を生成する。一方、FFT部2では、データ部分信号および「Pilot−2」S2を周波数軸上の信号S4に変換する。逆拡散部3では、各ユーザおよび「Pilot−2」用の拡散コードを用いて逆拡散処理を行う。なお、受信側がスリープモードで動作中は、自局宛データがないため、スイッチ12がOFFとなり、バッテリーセービング状態となる。ただし、スリープモードから高速に復帰するためには、基準情報S5の更新が必要となるので、パイロット情報「Pilot−1」の受信処理は継続する。逆拡散部3では、逆拡散後のデータ部分信号S6を検波部6へ、逆拡散後のトラッキング用パイロット信号「Pilot−2」S7をトラッキング部5へ、それぞれ送信する。
【0021】
トラッキング部5では、既知情報である逆拡散後の「Pilot−2」S7を利用して伝送路変動に伴う各種パラメータの変化を検出し、基準情報S5を更新する。そして、更新後の基準情報S8として、ユーザデータの検波用基準信号を出力する。なお、本動作は、スリープモード時には必要ないため、スリープモード時には、スイッチ13がOFFとなり、基準情報S5に対する高速フェージング補償を行わない。また、トラッキング部5では、FFTウインドウ位置のずれや周波数オフセットを検出した場合、時間/周波数同期部1に同期誤差情報S9をフィードバックする。
【0022】
検波部6では、逆拡散後のデータ部分信号S6を更新後の基準情報S8で検波する。そして、誤り訂正部7では、検波後の受信信号S10に対して誤り訂正を適用し、誤り訂正後の受信信号S11を上位レイヤに出力する。
【0023】
すなわち、本実施の形態のマルチキャリア受信装置は、スリープモードで動作中、間欠的に挿入される基準情報再生用パイロット信号「Pilot−1」のみを受信し、基準情報生成部4による復調処理に必要な各種情報の生成処理,時間/周波数同期部1による時間/周波数同期処理を行う。一方、通常の受信モード(ユーザデータを受信する場合)で動作中は、「Pilot−1」を用いた処理に加えて、さらに、トラッキング用パイロット信号「Pilot−2」を用いて、フェージングによる高速伝送路変動に追従し、基準情報S5の補正する。
【0024】
このように、本実施の形態においては、符号多重化されない「Pilot−1」とデータとともに符号多重化される「Pilot−2」の両方のパイロット情報を用いて復調処理を行う構成とした。これにより、迅速な時間/周波数同期処理および基準情報再生処理と、高速移動に伴う伝送路パラメータの変動に対する高精度な追従機能と、を同時に実現できる。また、間欠的に送信される「Pilot−1」は多重化されないため、受信処理に要する処理が少なくなり、スリープモード時の消費電力低減を実現できる。
【0025】
また、本実施の形態においては、スリープモード時、すなわち、ユーザデータの受信を必要としない状況の場合、時間/周波数同期処理や基準情報再生処理など、受信モードへの迅速な復帰に必要な機能のみを動作させる構成とした。これにより、装置全体として消費電力を低減させることができ、かつスリープモードから通常の受信モードへ移行する場合に高速な復帰が可能となる。
【0026】
なお、本実施の形態においては、説明の便宜上、特徴部分であるマルチキャリア受信装置についてのみ説明したが、たとえば、図2に示すフレームを復調する受信部と当該フレームを生成/送信する送信部とを備えたマルチキャリア通信装置、および複数のマルチキャリア通信装置で構成された通信システムであっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明によれば、符号多重化されない第1の既知信号とデータとともに符号多重化される第2の既知信号の両方を用いて復調処理を行う構成とした。これにより、迅速な時間/周波数同期処理および基準情報再生処理と、高速移動に伴う伝送路パラメータの変動に対する高精度な追従機能と、を同時に実現できる、という効果を奏する。また、間欠的に送信される第1の既知信号は符号多重化されないため、受信処理に要する処理が少なくなり、装置全体の消費電力低減を実現できる、という効果を奏する。
【0028】
つぎの発明によれば、待機状態の時、すなわち、ユーザデータの受信を必要としない状況の場合、時間/周波数同期処理や基準情報再生処理など、通常動作への迅速な復帰に必要な機能のみを動作させる構成とした。これにより、装置全体として消費電力を低減させることができ、かつ待機状態から通常動作へ移行する場合に高速な復帰が可能となる、という効果を奏する。
【0029】
つぎの発明によれば、受信側の通信装置が、符号多重化されない第1の既知信号とデータとともに符号多重化される第2の既知信号の両方を用いて復調処理を行う構成とした。これにより、通信装置では、迅速な時間/周波数同期処理および基準情報再生処理と、高速移動に伴う伝送路パラメータの変動に対する高精度な追従機能と、を同時に実現できる、という効果を奏する。また、間欠的に送信される第1の既知信号は符号多重化されないため、受信処理に要する処理が少なくなり、通信装置内の受信部の消費電力低減を実現できる、という効果を奏する。
【0030】
つぎの発明によれば、通信装置が待機状態の時、すなわち、ユーザデータの受信を必要としない状況の場合、時間/周波数同期処理や基準情報再生処理など、通常動作への迅速な復帰に必要な機能のみを動作させる構成とした。これにより、通信装置内の受信部の消費電力を低減させることができ、かつ待機状態から通常動作へ移行する場合に高速な復帰が可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるマルチキャリア受信装置の構成を示す図である。
【図2】 本発明にかかるマルチキャリア受信装置で用いられるフレームフォーマットを示す図である。
【図3】 従来のMC−CDMA通信装置で用いられているフレームフォーマットの一例を示す図である。
【図4】 従来のMC−CDMA通信装置で用いられているフレームフォーマットの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 時間/周波数同期部、2 FFT(Fast Fourier Transform)部、3 逆拡散部、4 基準情報生成部、5 トラッキング部、6 検波部、7 誤り訂正部、12,13 スイッチ。
Claims (4)
- 符号多重化されていない第1の既知信号部分と符号多重化された信号部分とが交互に配置された信号を受信するマルチキャリア受信装置において、
受信信号から時分割に配置された前記第1の既知信号を検出して時間/周波数同期処理を実行する同期処理手段と、
前記第1の既知信号に基づいて同期検波を行うために必要な基準情報を生成する基準情報生成手段と、
前記符号多重化された信号部分にユーザデータとともに多重化された第2の既知信号を、逆拡散により抽出し、当該逆拡散後の第2の既知信号に基づいて伝送路変動に伴うパラメータの変化を検出して前記基準情報を補正する基準情報補正手段と、
を備えることを特徴とするマルチキャリア受信装置。 - 待機状態の時には、前記同期処理手段による同期処理と前記基準情報生成手段による基準情報生成処理とを実行し、前記基準情報補正手段による補正処理および後続のすべての処理を停止することを特徴とする請求項1に記載のマルチキャリア受信装置。
- 符号多重化されていない第1の既知信号部分と符号多重化された信号部分とが交互に配置された信号を送受信可能な通信システムにおいて、
受信側の通信装置が、
受信信号から時分割に配置された前記第1の既知信号を検出して時間/周波数同期処理を実行する同期処理手段と、
前記第1の既知信号に基づいて同期検波を行うために必要な基準情報を生成する基準情報生成手段と、
前記符号多重化された信号部分にユーザデータとともに多重化された第2の既知信号を、逆拡散により抽出し、当該逆拡散後の第2の既知信号に基づいて伝送路変動に伴うパラメータの変化を検出して前記基準情報を補正する基準情報補正手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。 - 受信側の通信装置は、待機状態の時、前記同期処理手段による同期処理と前記基準情報生成手段による基準情報生成処理とを実行し、前記基準情報補正手段による補正処理および後続のすべての処理を停止することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
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