JP4043288B2 - 染色体標本展開装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、染色体標本展開装置にかかり、特に、スライドガラスの搬送経路を覆う展開環境調整ダクトを備えた染色体標本展開装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
染色体標本は、規定量の標本液をスライドガラス上に滴下し、当該スライドガラス上にて標本液を乾燥、すなわち、展開することにより作成される。そして、このような染色体標本を作成(展開)する一連の作業は、従来は作業者により手動で行われていた。当該作業者による標本展開作業の手順を、図8を参照して説明する。
【0003】
まず、図8(a)に示すように、スピッツ101(培養試験管)に入れられた標本液102をスポイト103などで吸引する。続いて、図8(b)に示すように、スライドガラスS上にスポイト103にて標本液102を一滴、滴下する。このとき、通常は、スピッツ1本に対しスライドガラス2枚に展開する(標本液を2枚の異なるスライドガラスにそれぞれ滴下する)。その後、図8(c)に示すように、標本液102を滴下したスライドガラスSを乾燥させ、後処理を施す。そして、さらに、スライドガラスには印字しろ(図示せず)が設けてあり、作業者はペンなどで、標本液のデータをここに記載することができる。このようにして、染色体標本(顕微鏡検査用サンプル)を作成していた。
【0004】
しかし、上記のように作業者が手動にて標本展開作業を行う場合には、作成する標本数が膨大であるとその作成に多大な時間と手間を要するという問題があった。また、人手による作業では、すべての標本の状態を均一に作成することが困難であるため、顕微鏡検査において染色体が見えづらいものも発生し、標本の質の低下という問題も生じていた。
【0005】
このため、上記問題点を解消すべく、以下に説明するような、自動的に大量の染色体標本を作成することができる染色体標本展開装置が開発されている。それを、図9乃至図10を参照して説明する。図9は、従来例における染色体標本展開装置の全体の構成を示す斜視図である。図10は、その動作を説明するための装置の概略図である。但し、以下に示す装置は従来例の一例にすぎない。
【0006】
この図に示すように、従来例における染色体標本展開装置は、スライドガラスを供給するスライド供給装置1と、供給されたスライドガラスを載置する平面を有すると共に当該スライドガラスを所定箇所に搬送する所定の搬送経路を有するスライドインデックス2と、所定の標本液が入れられたスピッツを保持するスピッツインデックス3と、スピッツ内の標本液をスライドインデックス2にて搬送中のスライドガラスに所定量滴下する分注装置4と、スライドインデックス2の所定箇所に搬送されたスライドガラスをスライドトレーに移載するスライド移載装置5と、各装置の動作を制御する制御装置6とを備えている。
【0007】
そして、標本展開装置はさらに、スライドインデックス2上であってスライドガラスの搬送経路を覆う展開環境調整ダクト7と、スライドインデックス2上のスライドガラスに所定の文字を印字するスライド印字装置8と、スライドトレーの位置を移動するスライドトレー駆動部9とを備えている。また、展開環境調整ダクト7の上部には、上記スライド供給装置1や分注装置4等を配設するベースプレートPが備えられている。すなわち、当該染色体標本展開装置は、ベースプレートPを介して2階構造となっている。そして、本装置にて作成される染色体標本となるスライドガラスSが搬送されるスライドインデックス2が設置されている個所は、ベースプレートPの下部である1階部分となり、ベースプレートP上である2階には、分注装置4等の各装置1,3,5等が配置されている(図9参照)。
【0008】
次に、上記従来例の装置における動作の概略を、図10を参照して説明する。まず、スライド供給装置1からスライドインデックス2にスライドガラスSが供給される(L1)。このスライド供給装置1は、あらかじめ備えられているスライドガラスAの数量に応じて、矢印A1に示すように往復駆動するようになっている。そして、供給されたスライドガラスSはスライドインデックス2の所定箇所(スライド供給位置B1)に載置され、スライドインデックス2が矢印A2の方向に回転することにより、当該スライドガラスSが移動する。
【0009】
続いて、スライドインデックス2上のスライドガラスSが、スライド印字装置8の備えられている位置(スライド印字位置B3)に来ると、当該スライドガラスSに所定の情報が印字される。その後、スライドガラスSには、展開環境調整ダクト7内の所定箇所にてスピッツインデックス3に搭載されているスピッツ内の標本液が、分注装置(図2には図示せず)にて滴下される(L3)。このとき、スピッツ内の標本液は、当該標本液の情報があらかじめ所定の装置35にて読み出される(L2)ようになっていて、これにより、上記スライドガラスに印字された情報と一致させている。そして、すべてのスピッツに対して上記情報の読出作業、あるいは、分注作業をしやすいよう、スピッツインデックス3は、矢印A3のように回転するようになっている。
【0010】
その後、スライドガラスSが、スライドインデックス2にてほぼ一周してスライド移載位置B2に来ると、スライド移載装置(図2には図示せず)によりスライドトレーTに移載される(L4)。なお、スライドトレーTは、スライド駆動装置9にて矢印A4のように、移動可能となっている。
【0011】
ここで、展開環境調整ダクト7(以下、単にダクトとも呼ぶ)について説明する。この展開環境調整ダクト7は、スライドインデックス2の上部、すなわち、スライドガラスSの搬送経路を覆うようトンネル状に形成されている。本実施形態においては、図10に示すように、スライドガラスを載置する箇所が円環状のスライドインデックス2(実際には、スライドインデックス2上に載置されている円環状のスライドホルダ部材)に対応して、当該ダクト7も円環状に形成されている。ちなみに、当該展開環境調整ダクト7の上部にベースプレートPが備えられていて、上述したように、当該ダクト7は1階部分に備えられている。
【0012】
このように、スライドインデックスを展開環境調整ダクトにて覆うことにより、スライドインデックス上のスライドガラスが搬送される際に、標本の展開具合を左右する当該スライドガラスがさらされる外気環境が、まばらになることを抑制することができる。すなわち、顕微鏡検査に際しての染色体の見えやすさや、染色体の広がり具合といった、いわゆる標本としての良し悪しに影響する標本液の乾燥環境(作業場所の温度、湿度、あるいは、乾燥時間)が不均一になることを抑制することができると共に、当該作成される標本の質の向上を図ることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、染色体標本を作成する際には、標本液滴下前のスライドガラスを予備加湿し、標本乾燥速度の一定化を図るために、ダクト内全域を均一な湿度とする必要がある。ところが、展開環境調整ダクトは、外気を遮断していると共に、その内部では標本液が滴下され、乾燥されると共に、一般的には標本液はメタノール等の揮発性物質を含むため、揮発蒸気が充満することにより当該ダクト内の湿度を何もせずに一定に保つことは困難である。従って、通常、ダクト内の湿度制御は、当該ダクト内の空気を送風機等で攪拌することによって行っている。
【0014】
しかしながら、送風機等でダクト内の空気を攪拌する方法では、ダクト内にて均一な湿度環境を作り出す一方で、その空気の流れによって展開環境が悪化し、良質な標本を作成することができないという問題が生じる。すなわち、スライドガラスに滴下した標本の急激な乾燥を防ぐため、ダクト内部の空気流速はできる限り小さくしなければならない。そして、これに伴い、滴下後の標本乾燥速度にばらつきを生じさせる原因となるメタノール等の揮発蒸気のダクト内濃度は、できるだけ低くする必要がある。すなわち、上記条件を満たすようなダクト内の湿度調整手段が望まれる。
【0015】
さらに、上述したようにダクト内の空気を攪拌する際に、湿度センサを用いてその検出値に応じて攪拌タイミングを制御したとしても、当該湿度センサは、原理上空気中の水分だけでなく、メタノール等の揮発蒸気成分も湿度として測定してしまう。従って、ダクト内の湿度を正確に検出することが困難である以上、あらかじめ設定した湿度に制御することが困難となる。そして、湿度設定値に対する制御誤差を小さくするためには、揮発蒸気の影響をできる限り排除する必要がある。これと同時に、外乱(ダクト外部環境)に対する迅速な制御応答も必要とされる。
【0016】
【発明の目的】
本発明は、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、展開環境調整ダクト内の湿度を一定に保ち、良質かつ均一な染色体標本を自動的に作成することができる染色体標本展開装置を提供すること、をその目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、所定の長さの搬送経路を有するスライドインデックス上に載置されたスライドガラスに、分注装置にて所定の標本液を滴下し、当該標本液を展開する染色体標本展開装置であって、スライドインデックスのスライドガラス搬送経路を上方から覆う展開環境調整ダクトと、この展開環境調整ダクト内に空気を導入する空気導入手段とを備えている。そして、展開環境調整ダクトに、当該ダクトの内部に通ずる標本液滴下口と、空気導入手段からの空気を当該ダクト内に導入する少なくとも一つの空気導入口とを形成すると共に、当該ダクト内の湿度を検出する湿度検出手段を備え、空気導入手段が、湿度検出手段からの検出値に応じて展開環境調整ダクトに導入する空気の湿度を調整する湿度調整機能を備えると共に、湿度検出手段を、スライドインデックスによるスライドガラスの搬送経路において当該スライドガラスに標本液を滴下する位置よりも上流側に配設した、という構成を採っている(請求項1)。
【0018】
このような構成にすることにより、湿度検出手段からの検出値に基づいて空気導入手段にて調整された空気がダクト内に導入されることにより、当該ダクト内の湿度が調整される。このとき、検出されるダクト内の湿度の検出値は、湿度検出手段が標本液の滴下口よりもスライドガラスの搬送経路において上流側に配設されているため、滴下後の標本液の影響を受けることが抑制される。すなわち、標本液に含まれる揮発蒸気にて湿度検出値がまばらになることを抑制することができ、ダクト内の湿度を安定して最適に制御することができる。従って、良質かつ均一な染色体標本の量産を図ることができる。
【0019】
また、上記構成にて、空気導入口を、標本液滴下口の近傍に配設したり(請求項2)、空気導入口を、複数設けると共に、当該空気導入口の少なくとも一つを、標本液滴下口の近傍に配設したりしてもよい(請求項3)。このとき、複数の湿度調整用空気導入口を、ほぼ等間隔に配設してもよい(請求項4)。さらには、展開環境調整ダクトの標本液滴下口近傍に、当該展開環境調整ダクト内の空気を排出する排出ファンを設けてもよい(請求項5)。これにより、蒸気量の多い滴下口付近に、空気導入手段にて湿度が調整された空気を導入したり、当該滴下口付近の空気を効率よく排気することができる。従って、滴下口付近が高湿度に保たれることが抑制され、滴下された標本液の影響を抑制し、最適な湿度に制御することができるため、良質な染色体標本を作成することができる。
【0020】
また、上記スライドインデックスに、外部に通ずる複数の貫通孔を形成したり(請求項6)、展開環境調整ダクトを、当該展開環境調整ダクトとスライドインデックスとの間に所定の間隙を設けて配設すると共に、当該間隙が外部に通ずるよう設定してもよい(請求項7)。これにより、空気導入手段にてダクト内に導入された空気は、スライドインデックスに形成された貫通孔や、スライドインデックスとの隙間から外部に排出されるため、効率よくダクト内の空気の換気を行うことができる。このとき、ダクト内の空気が排出されることにより当該排出空気は貫通孔や隙間においてエアカーテンとなるため、かかる箇所から外気が不必要にダクト内に導入されることを抑制することができ、当該ダクト内の湿度を容易かつ最適に制御することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
〈第1の実施形態〉
以下、本発明の第1の実施形態を、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、染色体標本展開装置の本発明における要部となる展開環境調整ダクト周辺の構成を示す斜視図である。図2乃至図3は、展開環境調整ダクトの詳細な構成を示す説明図である。
【0022】
(全体構成)
まず、染色体標本展開装置について、上記従来例にて説明した図9を参照して再度詳細に説明する。図9に示すように、染色体標本展開装置は、スライドガラスを供給するスライド供給装置1と、供給されたスライドガラスを載置する平面を有すると共に当該スライドガラスを所定箇所に搬送する所定の搬送経路を有するスライドインデックス2と、所定の標本液が入れられたスピッツを保持するスピッツインデックス3と、スピッツ内の標本液をスライドインデックス2にて搬送中のスライドガラスに所定量滴下する分注装置4と、スライドインデックス2の所定箇所に搬送されたスライドガラスをスライドトレーに移載するスライド移載装置5と、各装置の動作を制御する制御装置6とを備えている。
【0023】
そして、さらに、当該標本展開装置は、スライドガラスの搬送経路を覆う展開環境調整ダクト7と、スライドインデックス2の所定箇所に当該スライドインデックス2上のスライドガラスに所定の文字を印字するスライド印字装置8と、スライドトレーの位置を移動するスライドトレー駆動部9とを備えている。また、展開環境調整ダクト7の上部には、上記スライド供給装置1や分注装置4等を配設するベースプレートPが備えられている。すなわち、当該染色体標本展開装置は、ベースプレートPを介して2階構造となっていて、標本となるスライドガラスSを搬送するスライドインデックス2は、1階に設置され、2階には分注装置4等が配置されている。以下、これを詳述する。
【0024】
(スライド供給装置)
スライド供給装置1は、スライドガラスを収容するスライドラック11と、このスライドガラスをスライドインデックス2上に押し出すスライドプッシャ12とにより構成されている。具体的には、スライドラック11にはスライドガラスが積層されていて、最下層にあるスライドガラスをスライドプッシャ12にてスライドインデックス2上に押し出す。これにより、当該スライドインデックス2上にスライドガラスを載置させるというものである。ちなみに、このスライド供給装置1の動作は制御装置6にて制御されており、その動作が後述するスライドインデックス2の回転速度と連動して作動するようになっている。これにより、スライドガラスを自動的に供給することができる。
【0025】
(スライドインデックス)
スライドインデックス2は、ベースプレートPの下部、すなわち、1階部分に配置されたスライドガラスを載置するものである。そして、後述するように、ベースプレートP上の開口部からスライド供給装置1にて供給されたスライドガラスSを載置して、当該スライドガラスSを所定の距離だけ搬送する。ちなみに、本実施形態では、スライドインデックス2は円盤状であって、その外周付近にスライドガラスを載置できるよう円環状のスライドホルダ部材21を備えている。そして、スライドホルダ部材21上に、当該円の中心に対して放射状にスライドガラスSを載置するようになっている。
【0026】
ここで、円盤状のスライドインデックス2は、制御装置6に制御されたモータ等の駆動手段にて回転されるようになっており、スライドホルダ部材21上に載置されているスライドガラスSが搬送されるようになっている。そして、その回転動作は連続的な動作ではなく、回転と停止を繰り返すという断続的な動作である。このとき、一度の回転動作(1ピッチ)による角度は、載置されるスライドガラスの間隔に対応した角度である。そして、各装置(スライド供給装置1や分注装置4など)にて所定の処理(スライド供給処理や分注処理など)を施すのに十分な時間だけ、停止するようになっている。
【0027】
また、これに伴い、上記スライド供給装置1は、ベースプレートP上であって、スライドインデックス2の中央に位置する箇所に設置されている。これにより、当該染色体標本展開装置の小型化を図ることができる。さらに、当該スライド供給装置1は、上記のように円の中心に対して放射状にスライドガラスSを供給するようになっている。このように、スライドインデックス2に放射状にスライドガラスSを載置すると、載置スペースの有効利用を図ることができ、多くのスライドガラスSを載置することができるため、標本展開作業の効率化を図ることができる。
【0028】
但し、スライドインデックス2は、円盤状であることに限定されない。スライドホルダ部材21と同一の円環状であってもよく、長方形にて形成されていて、一直線上にスライドガラスSを搬送してもよい(例えば、ベルトコンベアを用いて実現する)。すなわち、搬送中のスライドガラスSに標本液が滴下された後に、少なくとも所定の搬送距離を有していればよい。所定の搬送距離、搬送経路を有することにより、後述するように、スライドガラスSに滴下された標本液を搬送中に乾燥させることができ、展開された標本を得ることができる。
【0029】
(展開環境調整ダクト)
また、上記スライドインデックス2は、その上部を展開環境調整ダクト7にて覆われている。具体的には、スライドインデックス2上に備えられているスライドホルダ部材21上が覆われている。従って、展開環境調整ダクト7は、スライドガラスSの搬送経路を覆うようトンネル状に形成されていて、特に、本実施形態においては、図1に示すように、円環状のスライドホルダ部材21の形状に対応して、円環状に形成されている。そして、その空間断面はコ字状になっている。ちなみに、当該展開環境調整ダクト7の上部にはベースプレートPが備えられている。すなわち、当該ダクト7は、1階部分に備えられている。
【0030】
また、展開環境調整ダクト7は、完全な円環状になっておらず、その一部が切除されている。すなわち、図1に示すように、全周に対して4分の3程度の円環状となっている。そして、かかる切除箇所に対応してベースプレートPにも切除部が形成されていて、当該切除部から、スライドインデックス2(スライドホルダ部材21)が外部に露出するようになっている(図9参照)。この露出箇所からスライドインデックス2(スライドホルダ部材21)に対して、スライド供給装置1を用いてスライドガラスが供給されたり、標本液が展開されたスライドガラスがスライド移載装置5にて掴み上げられてスライドトレーに移載されたり、スライド印字装置8にてスライドガラスに文字等が印字されたりする。
【0031】
このとき、上記切除箇所を図1に示すように、一カ所に形成することでダクト7部分、すなわち、スライドインデックス2がダクト7により覆われている箇所が所々途切れて形成されることが抑制され、当該スライドインデックス2上のスライドホルダ部材21のほぼ全体を連続的に覆うことができ、後述するようにダクト7によりスライドガラスSの展開環境の調整が容易となる。
【0032】
また、当該展開環境調整ダクト7上部の所定箇所には、標本液滴下口71が設けられている。この標本液滴下口71は、展開環境調整ダクト7の上部に設けられているベースプレートPに設けられた滴下口(図示せず)に対応して形成された貫通孔である。そして、当該標本液滴下口71は、展開環境調整ダクト7の中央近辺に形成されている。この標本液滴下口71及びベースプレートP上の滴下口を上述した分注装置4の標本液滴下ノズル41が挿通して、展開環境調整ダクト7内のスライドガラスSに標本液の滴下が行われる。
【0033】
さらに、展開環境調整ダクト7の所定箇所、例えば、側壁には、空気導入口72が複数設けられている。そして、当該空気導入口72を介して展開環境調整ダクト7内に空気を導入する空気導入手段としての湿度制御装置73が設けられている。この湿度制御装置73は、展開環境調整ダクト7内に送り込む空気の湿度を調節する湿度制御器73aと、加湿装置73bと、除湿装置73cと、複数の空気導入口72に空気を分割して導入する空気分割装置73dと、当該空気分割装置73dと空気導入口72とを連結する空気導入ホース73eと、により構成されている。そして、これに伴い、展開展開環境調整ダクト7の所定箇所には、上記湿度制御器73aに接続された当該ダクト7内の湿度を検出する湿度検出手段としての湿度センサ75が備えられている。
【0034】
上記湿度制御装置73により、展開環境調整ダクト7内を設定された湿度とするために、以下の動作が行われる。まず、加湿装置72b(エアポンプと加湿器で構成)にて加湿空気(相対湿度で90%程度)が作成される。続いて、この空気が除湿装置72cに通されて、制御装置6や湿度制御器aにて設定された設定値まで除湿され、展開環境調整ダクト7に送り込まれる。このとき、湿度制御は展開環境調整ダクト7内に取り付けた湿度センサ75の出力値を湿度制御器73aにフィードバックし、当該湿度制御器73aが除湿装置73cに設定湿度に関する信号を送信することにより、当該湿度装置73cの動作を制御することにより行われる。すなわち、湿度制御器73aは、湿度センサ75の検出した湿度に基づいて、展開環境調整ダクト7に導入する空気の湿度を調整する機能を備えている。
【0035】
そして、湿度センサ75に検出値に応じていかなる湿度の空気を生成するかは、あらかじめ湿度制御器73a内に記憶されたプログラムが実行されることで設定される。すなわち、かかるプログラムが湿度制御器73aに組み込まれることにより、当該制御器73aが湿度を調整するよう作動する。あるいは、設定すべき湿度が上位ホストである制御装置6に記憶されており、かかる制御装置6からの指令と、湿度センサ75からの検出値に基づいて、湿度制御器73aがダクト7に導入する空気の湿度を設定してもよい。例えば、あらかじめ定められた設定すべきダクト内の湿度が50%であって、湿度センサによる検出湿度が20%である場合には、少なくとも20%よりも高い湿度の空気を送ることが必要であり、そのような値の湿度を設定し、当該湿度の空気を生成するよう除湿装置に指令を発するよう、湿度制御器73aは作動する。
【0036】
このようにして、ダクト7内の展開環境(湿度)を制御、管理することで、顕微鏡検査に際しての染色体の見えやすさや、染色体の広がり具合といった、いわゆる標本としての良し悪しに影響する標本液の乾燥環境(作業場所の温度、湿度、あるいは、乾燥時間)が不均一になることを抑制することができると共に、標本液を滴下する前のスライドガラスを予備加湿することができ、作成される標本の質の向上を図ることができる。そして、これに伴い、展開環境調整ダクト7内に流入する空気の量を多く、又は、流速を少なくすることができ、制御性の向上、あるいは、標本保護を図ることができる。
【0037】
また、滴下される標本液にはメタノール分が含まれているため、滴下直後のスライドガラス周辺は、当該メタノール分が揮発してかかる揮発蒸気にて湿度が正確に検出できないという問題がある。例えば、滴下後のスライドガラスが搬送される位置に湿度センサ75を配設すると、揮発蒸気の影響を受けて測定値が激しく変動するため、安定した湿度制御を行うことができない。かかる問題点を解消すべく、上記湿度センサ73aは標本液滴下口71よりもスライドガラスが搬送されてくる側、すなわち、搬送経路の上流側に配設されている。これにより、滴下後の揮発蒸気(メタノール等)の影響をほとんど受けずに湿度制御を行うことができ、湿度制御誤差を抑制することができる。このとき、標本液には必ずしもメタノール等の揮発性物質が含まれることに限定されない。メタノール等が含まれていないとしても、標本液が滴下されたスライドガラスでは当該標本液の乾燥が起こるため、滴下後のスライドガラスの搬送経路上における湿度測定では、かかる測定値が安定しないことは明らかである。
【0038】
ここで、上記湿度センサ75は、標本液滴下口71に対してスライドガラスが搬送されてくる側である上流側に配設することを例示したが、必ずしもこれに限定されない。湿度センサ75は下流側に備えてもよく、標本液滴下口71付近に備えてもよい。すなわち、複数の湿度センサ75を設けてもよい。かかる場合には、それぞれの湿度センサ75の配設位置に対応してあらかじめその検出値の特性を制御装置6に記憶しておき、かかる特性と実際の検出値とに応じてダクト7内に導入する空気の湿度を制御するようにしてもよい。例えば、滴下口71付近に配設された湿度センサ75からは高湿度の値が検出されることが予想されるため、上流側のセンサ75とは異なった制御則を用意しておき、これらを参照して湿度を制御するプログラムを設定しておく。
【0039】
また、湿度制御装置73からの空気は、空気導入ホース73eを介して展開環境調整ダクト7に導入されるが、空気分割装置73dを用いることにより、複数のホース73eに分割されて導入される。すなわち、複数の空気導入口72からダクト7に空気が導入される。このとき、本実施形態では、導入口72は等間隔にてダクト7に形成されていて、その内の一つが標本液滴下口71近傍に配設されている。
【0040】
このように、複数の空気導入口72を形成することで、一定流量の湿度調整空気をダクト7内に導入することができ、湿度制御精度の向上を図ることができる。また、空気導入口72の一つを標本液滴下口71付近に配設することにより、最も揮発蒸気濃度が高くなる箇所に空気を効率よく導入することができ、さらなる湿度制御精度の向上を図ることができる。但し、空気導入口72の位置、数量は上記の場合に限定されない。
【0041】
また、展開環境調整ダクト7の上部あるいは側面には、当該ダクト7内の空気を排出する排出ファン74が備えられている。この排出ファン74を形成することにより、標本液が蒸発することにより高湿度になったダクト7内の空気を効率よく換気することができる。そして、かかるファンは、最も揮発蒸気濃度が高くなる標本液滴下口71近傍に配設されている。但し、滴下口71近傍とは言っても、滴下が行われる箇所よりもスライドガラスの搬送経路において下流側であれば、換気効果はより顕著である。ちなみに、排出ファン74の位置は上記の位置に限定されるものではなく、その数量も限定されない。従って、複数の排出ファン74が備えられていてもよい。
【0042】
ここで、上記展開環境調整ダクト7内の様子を、図2乃至図3を参照して説明する。各図は、上述した空気導入口72の数量や、排出ファン74の位置を変えたときのダクト7内の空気の流れの違いを示すものである。なお、かかる図では、説明の便宜上、スライドインデックス2及び展開環境調整ダクト7の形状を円環状ではなく、直線状として説明する。
【0043】
図2に、空気導入口72を一つ配設した例を示す。図2(a)はその上面図、図2(b)は側面図、図2(c)は図2(b)を右方向から見たときの断面図である。この図に示す展開環境調整ダクト7においては、まず標本液滴下口71付近のダクト7内部に、湿度センサ75が配設されていて、同じく標本液滴下口71付近のダクト7側面に、唯一の空気導入口72が配設されている。また、排出ファン74は、滴下口71から所定距離だけ離れたの下流、すなわち、スライドガラスSが搬送されていく方向側に配設されている。
【0044】
図2のような構成によると、基本的には、標本液滴下口71に、後述する分注装置4の標本液滴下ノズル41が挿入され、当該ノズル41先端部から染色体標本液がスライドインデックス2上(スライドホルダ部材21上)のスライドガラスSに滴下される。このとき、滴下口71付近は、標本液に含まれるメタノール等の揮発量が多いため、かかる付近に湿度センサ75を配設したのでは蒸気の影響にて適切な湿度検出ができず、安定した湿度制御を図ることが困難となる。しかしながら、かかる例では図2(b)の矢印D1に示す方向にスライドガラスSが搬送される状態であるが、標本液滴下口71に対して上流側に湿度センサ75を備えている。従って、当該湿度センサ75の付近すなわちその下方を、標本液が滴下されたスライドガラスSが通過しないため、上述したような揮発蒸気の影響を有効に抑制することができる。従って、ダクト7内の湿度を、滴下の状態に対して変動なく安定して検出することができるため、かかる検出値に応じた適切な湿度制御を実行することができる。
【0045】
さらに、空気導入口72を標本液滴下口71近辺に配設しているため、最も揮発量の多い当該滴下口71付近の空気を効率よく入れ換えることができる。従って、ダクト7内が揮発蒸気の濃度が高い状態のままとなることを抑制することができる。また、図2(b)のような状態では、空気導入口72から空気が導入されることにより、ダクト7内の空気が外部に排出されることとなる。そして、排出される空気の一部は空気導入口71に対して右方向に進んでダクト7の外部に排出されるが、ダクト7内の空気の多くはスライドガラスの搬送方向に従って、あるいは、排出ファンの吸引力によって、図2(b)の左方向(矢印D2方向)に進み、排出ファン74から排出される。これにより、ダクト7内の換気を図ることができる。
【0046】
但し、図2(b)に示すように、空気導入口72と排出ファン74との距離が離れすぎてしまうと、ダクト7内から排出される空気により、空気導入口72から排出ファン74へと移動する空気の流れが生じてしまう。すると、その間、標本液が滴下されているため、図2(b)の区間S1は、揮発蒸気の濃度が高い空気にて満たされてしまい、標本液を展開するのに適切な環境をすることができない。従って、排出ファン74を滴下口付近に配設されていれば、効率よく湿度制御を実行することができる。
【0047】
上記不都合の改善を図る構成としたのが図3である。図3(a)は展開環境調整ダクト7の上面図、図3(b)は側面図、図3(c)は図3(b)を右方向から見たときの断面図である。
【0048】
この図に示すダクト7は、空気導入口72を複数備え、さらに、排出ファン74を標本液滴下口71近傍に配設してある。ここで、それぞれについて詳述する。まず、空気導入口72は、ほぼ等間隔にてダクト7の側壁に備えられている。そして、そのうちの1つ乃至2つが標本液滴下口72の近傍に配設されている。このとき、各空気導入口72には、上述したように空気導入ホース73eが備えられ、空気分割装置73dにて分割された空気がダクト7内に導入される。また、排出ファン74は滴下口72近傍であって、スライドガラスが搬送される下流側に位置している。このような位置に排出ファン74を配設することにより、標本液を滴下した直後の揮発量が最も多い時点で、空気すなわち蒸気を排出することができる。また、ダクト7内の至る箇所から湿度を調整した空気を導入しているので、当該ダクト7内の湿度を標本液を展開するのに最も適した状態に調整することができる。
【0049】
ここで、上記排出ファン74の排気流量を、以下のように設定してもよい。例えば、湿度制御装置73にて導入する空気流量に対して10分の1以下に設定する。かかる場合には、残りの排気は後の第2の実施形態にて説明するように、ダクト7とスライドインデックス2との隙間から排出される。このようにすることで、最も揮発蒸気濃度の高い滴下口71付近では、排出ファン74から積極的に空気の排出が行われ、かかる箇所の湿度が高くなることを抑制することができる。また、他の箇所では導入された空気量に応じてダクト7とスライドインデックス2との間から排出され、換気が行われる。このとき、排出ファン74からの排出流量を少なく設定することで、ダクト7内の排出空気が当該ファン74に集中することを抑制することができ、当該ダクト7内に標本展開の際に悪影響を与える空気の流れが生じることを抑制することができる。
【0050】
ちなみに、上述した排出ファン74は、電動にて回転するファンであってもよく、単に、外部に通ずる貫通孔であってもよい。いずれにしても、ダクト7内の空気を外部に排出できるものであればよい。
【0051】
また、上記排出ファン74の動作を、制御装置6等にて制御できる構成である場合に、ダクト7内にさらに制御装置6等に接続されたガスセンサ(図示せず)を設置して、当該ガスセンサの値に応じて排出ファン74による排出流量を制御するようにすると、なお望ましい。これにより、標本液中に含まれる揮発蒸気濃度が高くなりすぎたときに、排出ファン74の稼働状態を制御して排出流量を多くすることで、ダクト7内の展開環境の悪化を抑制して、標本の質の均一化を図ることができる。
【0052】
(スピッツインデックス)
スピッツインデックス3は、標本液が収容された試験管を保持するものである。このスピッツインデックス3は、3枚の円環状のスピッツラック部材を、所定の間隔を設けて係合した回転体にて形成されている。そして、スピッツインデックス3の下部には、当該スピッツインデックス3を回転させる回転駆動手段(図示せず)が備えられていて、当該回転駆動手段は、制御装置6により制御され作動する。
【0053】
そして、スピッツインデックス3を構成するスピッツラック部材には、スピッツ用穴部が複数形成されていて、当該スピッツ用穴部には、血液等の標本液を入れる管状の容器であるスピッツ(培養試験管)が挿通され、当該スピッツは立てた状態にて保持される。スピッツ内の標本液は、分注装置4にて吸い取られ、滴下口から排出されることで、スライドガラスに滴下される。なお、上記スピッツインデックス3には、分注装置4の分注ノズルの先端部に装着される管状のチップ(図示せず)も保持されていて、分注作業時にはかかるチップが用いられる。
【0054】
(分注装置)
分注装置4は、ベースプレートP上(2階部分)に設置されていて、上述したスピッツインデックス3に搭載されたスピッツ内の標本液を、スライドガラスSに滴下するため、スピッツインデックス3に近設されている。この分注装置4は、図示しない攪拌用ポンプと分注用ポンプとを有していて、これらポンプを用いて標本液の吸引及び吐出を行う標本液滴下ノズル41を備えている。
【0055】
ここで、分注装置の構成及び作用について説明する。攪拌用ポンプは、標本液を攪拌するためのポンプである。標本液は沈殿しやすいので、滴下作業前に攪拌する必要があるためである。そして、当該装置においては、標本液の攪拌方法として、標本液の全量の2分の1程度を吸引して、その後吐出するシリンジング攪拌方式を採用している。これは、標本液量(平均1000uL)に対し滴下量(40uL)が少なく、滴下の精度(滴下量の再現性、分解能)を確保するためにこのような方式としてある。
【0056】
また、分注ポンプは、標本液をスピッツから吸引し、スライドガラスS上に滴下するためのポンプである。詳細は後述する。ここで、各ポンプは、電磁弁を介して標本液滴下ノズル41につながっている。
【0057】
標本液滴下ノズル41は、分注Y軸駆動部により左右(Y方向)と、分注Z軸駆動部により上下(Z方向)の2方向に移動できる。そして、このノズル41は、その先端部(ノズル勘合部)がテーパ状になっていて、当該ノズル41を上述したチップ(図示せず)の上方から押し込むことにより、分注ノズル41の先端部にチップを装着することができる。また、当該分注装置4が設置されているベースプレートPには、標本液滴下ノズル41にてスライドガラスSに標本液の滴下を行う滴下口P1が形成されている。さらに、当該滴下口P1の近辺には、使用済みのチップを引っかけることにより当該チップを標本液滴下ノズル41から取り外す櫛状の金具(図示せず)と、この金具の下部に外れたチップを回収する筒状のチップ回収部とが備えられている。
【0058】
このため、まず、標本液滴下ノズル41をスピッツインデックス3に備えられているチップの上空で停止させた後、当該ノズル41を下方に降下させることで、当該ノズル先端部にチップを装着させる。続いて、チップの装着後、ノズル41を上昇させ、Y方向(スピッツ上方)に移動し、再びノズル41を降下させ、上述した標本液の攪拌を行う。
【0059】
続いて、攪拌後に、標本液を吸引(1滴分以上採取)する。このとき、上記攪拌時の動作も同様であるが、ノズル41を液面に追従させて標本液の吸引を行う。例えば、標本液の液面位置をレーザを用いた液面センサにて常に検出しつつ、当該液面にノズルの先端が位置するよう、制御装置6等により制御する。これにより、攪拌時及び吸引時には、ノズル41先端部(チップ先端部)の外壁に標本液が付着することが抑制され、分注作業時以外において余分に標本液が滴下されることが抑制される。さらに、スライドガラスSの意図しない箇所に標本液が滴下されることが抑制され、作成される標本の均一化を図ることができる。
【0060】
続いて、標本液を吸引したノズル41を上昇させY方向に移動し滴下口P1上方で停止させ、そして、当該ノズル41を降下させる。続いて、採取した標本液を滴下口P1及びダクト7に形成された標本液滴下口71からスライドガラスSに滴下する。その後、ノズル41をチップ回収部上空に移動し停止させる。この位置でノズル41を上昇させ、櫛状の金具にチップを引っかけて通すことで、当該チップをノズル41から外すことができる。外れた使用済みチップは、チップ回収部に落下し、その下部にあるチップ回収箱に回収される。
【0061】
(スライド移載装置)
スライド移載装置5は、スライドインデックス2上の標本液が展開されたスライドガラスSを掴み上げて、スライドトレーTの所定箇所に移載する。かかる動作は、当然のことながら、展開環境調整ダクト7とベースプレートPの切除部、すなわち、スライドインデックス2が外部に露出している箇所にて行われる。具体的には、スライド移載装置5に備えられたスライドガラスSを保持するスライドグリッパと、このスライドグリッパを上下左右に駆動する直交2軸のアクチュエータとが、制御装置6等によりその動作が制御されて実行されるが、その詳細は省略する。
【0062】
(スライドトレー駆動部)
スライドトレー駆動部9は、スライドトレーTを4枚搭載でき、上下4段構造となっている。そして、このスライドトレー駆動部9は、各スライドトレーTを図10の矢印A4に示す方向に駆動するものである。すなわち、当該駆動部9には、駆動手段が備えられている。この駆動手段は、具体的には、引出し状にスライドトレーTを1枚づつ、奥行き方向に動作させることができる。そして、スライド移載装置5と連動して作動し、スライドトレーT上にスライドガラスSを配置していく。これは、スライド移載装置5はスライドトレーT上の左右方向(矢印A4に直交する方向)への移動は行えるため、当該方向への配置制御はスライド移載装置5で行えるが、奥行き方向(矢印A4方向)への配置制御は行えないため、スライドトレーT側を可動させたものである。
【0063】
そして、当該駆動手段は、制御装置6により制御されるが、スライドトレーTへのスライドガラスSの配置状態に基づいて制御される。すなわち、トレーTにすでにスライドガラスSが配置されている個所には重ねて配置しないことはもちろんのこと、上述したバーコードにより読み出した標本液の種類に応じて配置位置を制御されてもよい。例えば、一番上のスライドトレーTがスライドガラスSにより埋め尽くされた場合には、続いて2番目のスライドトレーTを駆動するというように制御される。
【0064】
(制御装置)
ここで、制御装置6は、所定の演算処理能力を有する演算部(CPU)と、所定の情報を記憶する記憶容量を有する記憶部(ハードディスク)とを備えたコンピュータにより構成されている。この制御装置6は、上述したように、あるいは、後述するように各装置の動作を制御する。さらには、各装置に備えられている各装置専用の制御部自体を制御する。すなわち、各装置を制御する機能をそれぞれ備えている。これら各機能は、あらかじめ各機能用プログラムが記憶部に記憶されていて、当該プログラムを制御装置6の演算部が実行することにより実現することができる。但し、上述したように、当該制御部6は、主に装置全体の動作を制御するものであるため、各機器の微細な制御を行う他のコントローラも各装置毎に備えられている。
【0065】
(スライド印字装置)
スライド印字装置8は、スライドインデックス2の所定箇所の上部であって、ベースプレートP上(2階部分)の所定箇所に備えられている。そして、ベースプレートPの当該箇所には、展開環境調整ダクト7に形成された切除部に応じた切除部が形成されていて、スライドインデックス2に通ずるプリンタ用開口部となっている。この開口部P2から、後述するように、印字ヘッドが降下されて、スライドガラスSが印字装置8が配置されている位置である印字位置(図2のスライド印字位置B3)まで来ると、当該スライドガラスSに形成された印字しろ部分(印字可能領域)に、制御装置6から送られてくるデータが印字される。ここで、印字可能領域は、スライドガラスSの平面上のいずれか一方の端部付近に形成されている。この印字可能領域は、例えば、所定の面積を有する紙が貼付されることにより形成されている。
【0066】
(動作)
次に、本実施形態における湿度制御に関する動作を説明する。ちなみに、以下に示す動作は繰り返し行われ、場合によっては並列に行われる動作であるが、説明の便宜上、一の独立した動作として説明する。
【0067】
まず、制御装置6及び湿度制御装置73(湿度制御器73a)がオペレータにて起動されると、これらの装置6(湿度制御器73a)等に、あらかじめ所定の記憶部に記憶された制御用プログラムが組み込まれると共に、湿度制御に関するデータが一時的に記憶される。この湿度制御に関するデータとは、例えば、設定すべき湿度の値や、湿度センサ75の検出値に応じた導入空気の湿度の値、などである。
【0068】
続いて、湿度制御器73aにて湿度センサ75にて検出された値が読み取られる。湿度制御器73aは、読み取ったダクト7内の湿度の値と、あらかじめ設定されている導入空気の湿度に値に関するデータとに基づいて、導入空気の湿度を設定する。そして、かかる値の信号を除湿装置73cに送信して、当該除湿装置73cにて送信した値の湿度である空気を生成すべき指令とする。すると、除湿装置73cでは、加湿装置73bにて90%以上に加湿された空気を除湿し、指令に適合した湿度の空気を生成して、当該空気を空気分割装置73dに排出する。空気分割装置73dでは、接続されている空気導入ホース73eの数に応じて湿度が設定された空気を各ホース73eに導入するよう分割する。そして、分割された空気は、それぞれホース73e及び空気導入口72を介して、展開環境調整ダクト7内に導入される。
【0069】
ダクト7内では、各空気導入口72からほぼ均等に湿度が調整された空気が導入されると共に、ダクト7とスライドインデックス2の隙間から空気が排出される。そして、特に、標本液滴下口41付近では、排出ファン74から積極的に排出される。
【0070】
このようにすることにより、まず、標本液滴下口71よりも上流側に湿度センサ75を配設して、ダクト7内の湿度を検出しているので、滴下後の標本液、特に、メタノール等の揮発性物質を含む標本液の影響を受けずに、湿度の測定を行うことができ、湿度制御誤差の抑制を図ることができる。
【0071】
また、空気導入口72を複数備えることにより、ダクト7内の至る箇所においても均等に湿度が調整された空気が導入されるため、排出空気などによる空気流を抑制することができ、ダクト内全体的に均一な湿度制御を実行することができる。すなわち、ダクト内に湿度勾配が生じることを抑制することができ、安定した湿度制御を実現できる。
【0072】
さらに、標本液滴下口71付近に排出ファン74を配設することにより、ダクト7内の湿度を大きく変動させる標本液の滴下の影響を抑制することができ、より効率よくダクト7内の換気を行うことができ、湿度制御の効率化を図ることができる。
【0073】
〈第2の実施形態〉
次に、本発明の第2の実施形態を、図4乃至図7を参照して説明する。図4は、本発明の第2の実施形態における展開環境調整ダクトの取付構造を示す断面図である。図5は、上記取付構造の詳細を示す図である。図6は、展開環境ダクトを染色体標本展開装置を取り外す際の様子を示す説明図である。図7は、スライドホルダ部材の構造を示す斜視図である。
【0074】
第2の実施形態における染色体標本展開装置は、上述した第1の実施形態とほぼ同一の構成要素を備えている。そして、本実施形態では、さらに、展開環境調整ダクト7内の空気が効率よく排出されるよう、以下のような構成となっている。
【0075】
(構成)
本発明である染色体標本展開装置は、第1の実施形態にて説明し、図9にも示すように、ベースプレートPを介して2階建て構造となっている。そして、ベースプレートPの下部には、スライドインデックス2、スライドホルダ部材21、スライドガラスの搬送経路を覆う展開環境調整ダクト7などが配設されている。そして、展開環境調整ダクト7は、以下のような構成となっている。
【0076】
まず、展開環境調整ダクト7の形状は、円環状のスライドホルダ部材21の全周のほぼ4分の3を上部から覆い被さるような形状であって、断面が略コ字状になっている。また、その円環状の全長に対して、ほぼ半分の位置で2つに分割された形状となっている。すなわち、ダクト7は、円弧状のトンネル状のものであって、連結時にはコ字型ジョイントにて連結構造となっている。このように、二分割構造としたのは、ダクトをメンテナンス等で装置から外す場合の利便性と、製作上の理由からである。すなわち、ダクト7は、ベースプレートPの下部に配設されているため、その取り外しや装着が容易でなければならいからである。
【0077】
かかる構成の本実施形態における展開環境調整ダクト7の詳細を、まず、図4を参照して説明する。図4(a)は、展開環境調整ダクト7がメインベースP下部に装着されているときの当該ダクト7の断面図である。図4(b)は、ダクト7の装着状態を変更する手順を示す説明図である。展開環境調整ダクト7は、図4に示すように、金属(ステンレス等)性の外殻76と、内部断熱材77と、アジャスタ機構78と、シール部材79とにより構成されている。内部断熱材77は、厚さが5〜10mmの断熱材にて構成され、ダクト7の内壁に張り付けられている。そして、外気の温度、湿度の影響を少なくするためのものである。また、シール部材79は、断面コ字状であるダクト7の開口部に一様に備えられ、スライドインデックス2にほぼ接触するようになっている。その材質は軟質塩ビ等のゴムシールであり、ダクト7下部から外気の侵入を抑制するために備えられている。
【0078】
そして、アジャスタ機構78は、アジャスタボルト78a、アジャスタガイド78b、ロックナット78c、圧縮スプリング78d、ガイド固定ボルト78e(2個)にて構成されている。具体的に、図4乃至図5を参照して説明する。図5(a)は、アジャスタ機構78をダクト7の外殻76に嵌合する際の様子を示す上方から見た図であり、図5(b)は、その側方から見た図である。まず、アジャスタボルト78aは、所定の長さを有する一般的なボルトであり、当該ボルトの頭部が、ダクト7の外殻76に形成されている係止部76aに引っかかるようになっている。すなわち、ダクト7の外殻76には、図5(a)に示すように、板状の突出した係止部76aが形成されている。この係止部76aは、略円環状であるダクト7の半径方向に沿って、中心方向と外周方向とに突出しており、外殻76の所定箇所に、所定の間隔にて対となって形成されている。そして、当該係止部76aには、その外側から上記アジャスタボルト78aのボルト部が嵌合することを許容するU字状の凹部76bが形成されている。かかる凹部76aは、アジャスタボルト78aの頭部よりも広いものではない。従って、アジャスタボルト78aの頭部は、係止部76aにて係止されるようになっている。
【0079】
また、アジャスタボルト78aの先端側(図4(a)では上方側)には、当該アジャスタボルト78aが下方に落下することを係止するロックナット78cが螺合されている。さらに、アジャスタボルト78aの上方に位置するベースプレートPの所定箇所には、円盤状のアジャスタガイド78bがガイド固定ボルト78eにて固定されており、当該アジャスタガイド78bの中心には、上記アジャスタボルト78aのボルト部を挿通する貫通孔が形成されている。そして、ベースプレートPには、上記アジャスタガイド78bが嵌合されるガイド用穴部P2が、当該ベースプレートPを貫通して形成されている。また、ベースプレートPには、上記ガイド固定ボルト78eに対応したボルト穴も形成されている。
【0080】
(動作)
次に、アジャスタ機構78の取り付けの動作や、標本作成時のダクト周辺の動作について説明する。まず、上記のような構成から成るアジャスタ機構78の取り付け方を説明する。図4(a)の左側に斜めに図示されたアジャスタ機構78のように、アジャスタボルト78aのボルト部をアジャスタガイド78bの中心に形成された貫通孔に挿通させる。このとき、アジャスタボルト78aの頭部とアジャスタガイド78bとの間には、図5(b)に示すように、座金78fと圧縮スプリング78dを介挿しておく。
【0081】
そして、挿通したボルト部には、ロックナット78cを装着する。続いて、図5(a)及び図5(b)に示すように、アジャスタボルト78aの頭部をダクト7に形成された係止部76aよりも下方に位置するよう移動する。そして、係止部76aに形成された凹部76bの開口部側から、アジャスタボルト78aのボルト部、具体的には、頭部と座金78fとの間に位置するボルト部分を挿入する。換言すると、アジャスタボルト78aの頭部と座金78fの間に係止部76aを介挿する。その後、アジャスタガイド78bをベースプレートPのガイド用穴部P2に嵌合して、ガイド固定ボルト78にてベースプレートに固定する。
【0082】
このようにすることで、展開環境調整ダクト7、すなわち、外殻76は、図4(b)に示すように、その上部はロックナット78cとアジャスタガイド78bにて係止され、下部はアジャスタボルト78aの頭部と係止部76aとに係止されているため、ベースプレートPに吊り下げられた状態となる。そして、ベースプレートPとダクト7の係止部76aとの間には、圧縮スプリング78dが介挿しているため、当該スプリングにて押圧されてダクト自体が図4(b)における下方に押しつけられるよう付勢される。これにより、ダクト7の開口部に備えられているシール部材79がスライドインデックス2に押しつけられた状態となり、ダクト7内部が外部と遮断された状態となる。
【0083】
ちなみに、図4(b)では一つのアジャスタ機構78しか図示していないが、当然のことながら実際には対となるアジャスタ機構78も装着される。また、外殻6の他の箇所(数カ所)にも、対となるアジャスタ機構78が装着される。例えば、本実施形態では、2分割されたダクト7の外殻76に、それぞれ6個(3対)のアジャスタ機構78を設けている。
【0084】
ここで、標本作成時の動作について説明する。標本作成時には、スライドインデックス2が回転し、当該インデックス2上のスライドホルダ部材21に載置されたスライドガラスSを搬送する。そして、スライドインデックス2は、ダクト7の開口部に備えられたシール部材79と摺動しながら回転することとなる。従って、シール部材79は常にスライドインデックス2と当接した状態にて維持されるため、ダクト内部の機密性は保たれ、当該内部の湿度を容易に調節することができ、良好な標本を得ることができる。
【0085】
しかしながら、ダクト7のスライドインデックス2に対する押圧力が大きいと、当該スライドインデックス2とシール部材79とが強く当接するため、これらの間に摩擦力が生じ、スライドインデックス2を回転させるモータの負荷が増大してしまう。かかる不都合を改善しつつ、すなわち、モータの負荷を抑制しつつ、ダクト内部を外気から遮断できるよう、以下のようにアジャスタ機構78にて、ダクト7の位置を調節する。
【0086】
すなわち、上述したようにダクト7自体は吊り下げ構造となっているため、当該吊り下げ位置を調節することにより、ダクト7とスライドインデックス2との間に微小な隙間を設けることができる。具体的に以下に説明する。吊り下げ位置の調節は、図4(b)に示すように、アジャスタボルト78を回転させる、すなわち、頭部とロックナット78cとの距離を変更することで行うことができる。例えば、アジャスタボルト78aを図4(b)において上方向に移動するよう回転させると、ダクト7の吊り下げ位置が高くなり、これに伴いダクト7の開口部に配設されスライドインデックス2に当接しているシール部材79の位置が高くなる。すると、シール部材79の変形が小さくなり、押圧力が低下する。そして、さらにアジャスタボルト78aを回転させて頭部の位置を上げると、ダクト7がスライドインデックス2から浮き上がり、すなわち、ダクト7が完全にベースプレートPに吊り下げられた状態となり、シール部材79とインデックス2との間に微小な隙間が形成される(図4(b)参照)。
【0087】
また、上記とは逆に、ベースプレートPに対してアジャスタボルト78aの位置が下がるよう回転させることにより、ダクト7の押圧力を増大させると、シール性が増加する。但し、かかる場合であっても、円盤状であるスライドインデックス2のゆがみにより、ダクト7が上下方向に振れて、アジャスタボルト78aに引っかかった状態となり、当該ダクト7が浮き上がった状態になることもあり、シール部材79とスライドインデックス2との間に隙間が生じうる。
【0088】
このように、シール部材79とスライドインデックス2との間に隙間が形成されることにより、この隙間からダクト7内の空気が、当該ダクト7内に導入された空気に押し出されて排出される。そして、かかる場合であっても、排出される空気がエアカーテンの役割を果たし、当該隙間から外気の侵入を抑制することができる。従って、ダクト内の空気を上述した排出ファンと共に効率よく排気することができ、当該ダクト内の湿度制御を安定して行うことができる。
【0089】
また、上記のようにダクト7をベースプレートPに吊り下げる構造とし、さらに、圧縮スプリング78dの作用により、スライドインデックス2の回転による上下方向の振れを吸収することができる。従って、染色体標本作成装置稼働時のがたつきを抑制することができ、装置自体の耐久性の向上を図ることができる。
【0090】
次に、染色体標本展開装置のメンテナンスを考慮して、展開環境調整ダクト7を装置自体から取り外す際の手順を、図6を参照して説明する。図6(a)は、染色体標本展開装置の外観を示す斜視図であり、図6(b)は、ベースプレート下部を示す断面図である。
【0091】
ダクト7を取り外すには、まず、図4(a)に開示したように、アジャスタ機構78をベースプレートPから取り外す。具体的には、ガイド固定ボルト78eと取り外して、アジャスタガイド78bを図示のように斜め上方に移動させる。このとき、アジャストボルト78aの頭部側(下部側)を、図5(b)とは逆に動かすことにより、ダクト7に形成された係止部76aから取り外す。これにより、アジャスタ機構78自体を取り外すことができる。
【0092】
続いて、スライドインデックス2の上に載置されているスライドホルダ部材21を取り外す。このとき、円環状のスライドホルダ部材21は全周に対して12分割されたものが連結して構成されているため、これらを各要素毎、ベースプレートP及びダクト7の切除部、すなわち、図6(a)の領域A内にある開口部から外部に取り外す。そして、スライドインデックス2を回転させながら、全てのスライドホルダ部材21を取り外すと、ベースプレートPの下部は図6(b)のような状態となる。このような状態になったところで、図6(a),(b)に示す矢印B方向に、展開装置の側方からダクト7自体を引き抜くことで、ベースプレートP下部に配設された展開環境調整ダクト7を取り外すことができる。
【0093】
このようにすることにより、メンテナンス等の際に、ベースプレートPを取り外すことなくダクト7を取り外すことができるため、ベースプレートP上に配設されたスライド供給装置1、分注装置4などを、その都度取り外す必要がない。従って、メンテナンス等を容易に行うことができる。
【0094】
ここで、スライドホルダ部材21及びスライドインデックス2について、図7を参照して説明する。図7は、スライドホルダ部材21の構成を示す斜視図である。図7に示すように、スライドインデックス21には、スライドガラスSが載置される面に、当該スライドガラスSを許容する凹状のスライドホルダ21aが設けられている。このスライドホルダ21aは、スライドガラスSとほぼ同一の形状であって、当該スライドガラスSよりも大きく形成されている。従って、スライドホルダ21aである凹部に、上述したスライド供給装置1により供給されたスライドガラスSが収まるようになっている。
【0095】
そして、上記スライドホルダ21aの両端部には、すなわち、当該ホルダ21aに収まるスライドガラスSの両端部が位置する箇所には、スライドホルダ部材21を貫通する貫通孔21bがそれぞれ形成されている。そして、各貫通孔21bは、載置されるスライドガラスSの端部をまたいで形成されている。そして、当該貫通孔21bの幅は、スライドホルダ21aの幅よりも狭く形成されている。これに伴い、各貫通孔21bの位置に対応して、スライドインデックス2にも、外部に通ずる貫通孔(図示せず)が形成されている。従って、ダクト7内は、スライドインデックス2の貫通孔と、スライドホルダ部材21の貫通孔21bとを通じて、外部に通ずるようになっている。そして、かかる貫通孔21bからは、ダクト7内の空気が排出されるようになっている。この際にも、上述したスライドインデックス2と、ダクト7の開口部に設けられたシール部材79との隙間と同様に、排出される空気がエアカーテンの役割を果たし、外気が不必要にダクト7内に導入されることがなく、このため、効率よくダクト内の湿度制御を実行することができる。
【0096】
ちなみに、上記スライドホルダ部材21に形成された貫通孔21bは、上述したスライド移載装置5の一部であるスライドグリッパ51がスライドガラスSの下部に潜り込むための空間でもある。これにより、スライドグリッパ51にて捕捉されたスライドガラスSがスライドトレーに移載される。従って、上記スライドホルダ部材21に形成された外部への貫通孔21bは、従来の染色体標本展開装置に必要な構成を利用したものである。従って、上記外部への貫通孔21bは、スライドホルダ部材21のいかなる箇所に形成されていてもよい。そして、係る位置に対応してスライドインデックス2にも貫通孔が形成されていて、ダクト7内部が外部に通じてさえしていれば、上記効果を得ることができる。
【0097】
また、スライドホルダ部材21が設けられていなくてもよい。スライドインデックス2上に、スライドホルダ部材21と同視できるものを設けてそれの上にスライドガラスを載置してもよく、スライドインデックス2上に直接スライドガラスを載置してもよい。かかる場合にも、ダクト7内部が外部に通ずるよう、少なくともスライドインデックス2に貫通孔が形成されていれば、上述した効果を発揮することができる。
【0098】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、湿度検出手段からの検出値に基づいて空気導入手段にて調整された空気がダクト内に導入されることにより、当該ダクト内の湿度が調整されるが、このとき、検出されるダクト内の湿度の検出値は、湿度検出手段が標本液の滴下口よりもスライドガラスの搬送経路において上流側に配設されているため、滴下後の標本液に影響を受けることが抑制され、すなわち、標本液に含まれる揮発蒸気にて湿度検出値がまばらになることを抑制することができ、ダクト内の湿度を安定して最適に制御することができるため、良質かつ均一な染色体標本の量産を図ることができる、という従来にない優れた効果を有する。
【0099】
また、空気導入口を、複数設けてほぼ等間隔に配設したり、標本液滴下口の近傍に配設したりすることや、展開環境調整ダクトの標本液滴下口近傍に、当該展開環境調整ダクト内の空気を排出する排出ファンを設けることで、標本液の滴下により蒸気量の多い滴下口付近に、空気導入手段にて湿度が調整された空気を導入したり、当該滴下口付近の空気を効率よく排気することができるため、滴下口付近が高湿度に保たれることが抑制され、滴下された標本液の影響を抑制し、最適な湿度に制御することができ、良質な染色体標本を作成することができる。
【0100】
さらには、スライドインデックス等に、外部に通ずる複数の貫通孔を形成したり、展開環境調整ダクトを、当該展開環境調整ダクトとスライドインデックスとの間に所定の間隙を設けて配設すると共に、当該間隙が外部に通ずるよう設定したりすることで、空気導入手段にてダクト内に導入された空気は、スライドインデックスに形成された貫通孔や、スライドインデックスとの隙間から外部に排出されるため、効率よくダクト内の空気の換気を行うことができ、このとき、ダクト内の空気が排出されることにより当該排出空気は貫通孔や隙間においてエアカーテンとなるため、かかる箇所から外気が不必要にダクト内に導入されることを抑制することができ、当該ダクト内の湿度を容易かつ最適に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における展開環境調整ダクト及びその周辺装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、展開環境調整ダクトの構成の一例を示す図である。図2(a)は、その上面図を、図2(b)は、側面図を示し、図2(c)は、図2(b)を右方向から見たときの断面図を示す。
【図3】図3は、展開環境調整ダクトの構成の一例を示す図である。図3(a)は、その上面図を、図3(b)は、側面図を示し、図3(c)は、図3(b)を右方向から見たときの断面図を示す。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態における展開環境調整ダクト周辺の構成を示す断面図である。図4(a)は、展開環境調整ダクトがメインベース下部に装着されているときの当該ダクトの断面図である。図4(b)は、展開環境調整ダクトの装着状態を変更する際の様子を示す断面図である。
【図5】図5は、アジャスタ機構の詳細を示す図である。図5(a)は、アジャスタ機構を展開環境調整ダクトの外殻に嵌合する際の様子を示す上方から見た図であり、図5(b)は、その側方から見た図である。
【図6】図6は、展開環境調整ダクトを取り外す様子を示す図である。図6(a)は、染色体標本展開装置の外観を示す斜視図であり、図6(b)は、ベースプレート下部を示す断面図である。
【図7】スライドホルダ部材の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、従来において手作業にて染色体標本を作成する場合の手順を示す説明図である。図8(a)は、標本液をスポイトにて吸い取るときの図であり、図8(b)は、スライドガラスに標本液を滴下するときの図、図8(c)は、滴下後のスライドガラスを示す図である。
【図9】従来例における染色体標本展開装置の構成の一例を示す斜視図である。
【図10】図9に開示した従来例の染色体標本展開装置の動作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 スライド供給装置
2 スライドインデックス
3 スピッツインデックス
4 分注装置
5 スライド移載装置
6 制御装置
7 展開環境調整ダクト
8 スライド印字装置
9 スライドトレー駆動部
11 スライドラック
12 スライドプッシャ
21 スライドホルダ部材
41 標本液滴下ノズル
71 標本液滴下口
72 空気導入口
73 湿度制御装置(空気導入手段)
74 排出ファン
75 湿度センサ(湿度検出手段)
76 外殻
77 内部断熱材
78 アジャスタ機構
79 シール部材
21a スライドホルダ
73a 湿度制御器
73b 加湿装置
73c 除湿装置
73d 空気分割装置
73e 空気導入ホース
76a 係止部
76b 凹部
78a アジャスタボルト
78b アジャスタガイド
78c ロックナット
78d 圧縮スプリング
78e ガイド固定ボルト
P ベースプレート

Claims (7)

  1. 所定の長さの搬送経路を有するスライドインデックス上に載置されたスライドガラスに、分注装置にて所定の標本液を滴下し、当該標本液を展開する染色体標本展開装置であって、
    前記スライドインデックスのスライドガラス搬送経路を上方から覆う展開環境調整ダクトと、この展開環境調整ダクト内に空気を導入する空気導入手段とを備え、
    前記展開環境調整ダクトに、当該ダクトの内部に通ずる標本液滴下口と、前記空気導入手段からの空気を当該ダクト内に導入する少なくとも一つの空気導入口とを形成すると共に、当該ダクト内の湿度を検出する湿度検出手段を備え、
    前記空気導入手段が、前記湿度検出手段からの検出値に応じて前記展開環境調整ダクトに導入する空気の湿度を調整する湿度調整機能を備えると共に、前記湿度検出手段を、前記スライドインデックスによる前記スライドガラスの搬送経路において当該スライドガラスに標本液を滴下する位置よりも上流側に配設したことを特徴とする染色体標本展開装置。
  2. 前記空気導入口を、前記標本液滴下口の近傍に配設したことを特徴とする請求項1記載の染色体標本展開装置。
  3. 前記空気導入口を、複数設けると共に、当該空気導入口の少なくとも一つを、前記標本液滴下口の近傍に配設したことを特徴とする請求項1記載の染色体標本展開装置。
  4. 前記複数の湿度調整用空気導入口を、ほぼ等間隔に配設したことを特徴とする請求項3記載の染色体標本展開装置。
  5. 前記展開環境調整ダクトの前記標本液滴下口近傍に、当該展開環境調整ダクト内の空気を排出する排出ファンを設けたことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の染色体標本展開装置。
  6. 前記スライドインデックスに、外部に通ずる複数の貫通孔を形成したことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の染色体標本展開装置。
  7. 前記展開環境調整ダクトを、当該展開環境調整ダクトと前記スライドインデックスとの間に所定の間隙を設けて配設すると共に、当該間隙が外部に通ずるよう設定したことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の染色体標本展開装置。
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