JP4043268B2 - 記録用シート - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、インクジェット記録用シートに関するものであり、更に詳しくは染料インクと顔料インクのどちらを用いても、インクジェット記録用シート上に記録された画像濃度が高く、適度な光沢を持たせたインクジェット記録用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の記録シートに付着させ、画像・文字等の記録を行うものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として、種々の用途において急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して遜色のない記録を得ることが可能であり、作製部数が少なくて済む用途では写真技術によるものよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
このインクジェット記録方式で使用される記録用シートとしては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと等が要求される。
【0004】
これらの問題を解決するために、現在までいくつかの提案がなされてきた。例えば、特開昭52-53012号公報には、低サイズの原紙に表面加工用の塗料を湿潤させてなるインクジェット記録用紙が開示されている。また特開昭55-5830 号公報には、支持体表面にインク吸収性の塗層を設けたインクジェット記録用紙が開示され、また特開昭55-51583号公報及び特開昭56-157号公報には、被覆層中の顔料として非膠質シリカ粉末を使った例が、更に、特開昭55-11829号公報には、インク吸収速度の異なる2 層構造を使った塗抹紙の例が開示されている。
【0005】
一般に、インクジェット記録用シートは、多孔性顔料を適用したインク吸収特性を有するインク受理層を設けて、画質を決定する色彩性や鮮鋭性のコントロールを行い、色再現性や画像再現性の向上を図っている。インク吸収性のあるインク受理層は、インクを吸収し保持するために、インク受理層中に空隙を多く有する必要がある。しかし、空隙の多いインク受理層は、インク受理層への入射光が散乱されてしまい、透過がさまたげられるため、不透明になり、空隙に浸透したインクに光が到達しにくくなるため画像が白っぽくなり、色再現性及び色濃度が低下する。また、空隙の多いインク受理層は、多孔質な表面となることから、高い光沢を望むことは難しい。
【0006】
高い光沢を有するインクジェット記録用シートとしては、例えば、特開昭61-197285 号公報には、透明な支持体上に多孔質なインク受理層を形成し、インク受理層に形成した画像を支持体側から観察する方法が提案されている。特開平3-215081号公報には、透明な支持体上に多孔性アルミナ水和物からなる染料吸着層、多孔性微粉末シリカからなる溶剤吸収層を順次積層し、染料吸着層に形成した画像を支持体側から観察する方法が提案されている。しかし、これらの方法では、画像を印字する際に、鏡像となるように画像処理する必要があり、更に、使用する支持体が透明性を有するものに限定されてしまう。
【0007】
コロイダルシリカを用いることでインクジェット記録用シートに光沢を発現させる提案もなされている。特開平2-274587号公報では光沢向上のためにコロイダルシリカを用い、カチオン性高分子電解質を含む水溶液で処理した後にキャストする方法が挙げられている。しかし、カチオン性高分子電解質の使用は、印字した際に表面に存在するカチオン性高分子電解質がインクを再溶解するために印字部分の表面形状が粗面化されやすくなる。
【0008】
コロイダルシリカとは、一般的に無水珪酸(シリカ)の超微粒子を安定に水に分散させたアニオン性のコロイド状分散液である。コロイダルシリカの製造方法として、最も一般的なのはイオン交換樹脂を用いる方法で、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂に通して、SiO 2/Na2O が60〜130のゾルとし、これを60℃以上に加熱熟成して独立分散粒子まで成長させ、これにイオン交換樹脂層を通したゾルを新たに添加することにより重合沈積させて、3〜200nmの平均粒子径まで成長させ安定したゾルにする方法である。シリカゾルはシクロサン構造をもち、通常はシリカの各粒子にそれらが互いに反発しあうのに十分な負電荷(アニオン性)をもたせている。
【0009】
また、無機カチオン処理されたコロイダルシリカを用いた提案もなされている。無機カチオン処理されたコロイダルシリカとは、一般的にはシリカにアルミニウムイオン等の多価金属イオンの化合物を反応させて得たもので、少なくともシリカ粒子表面をカチオン性に荷電させたものである。
【0010】
例えば、特開平7-101142号公報には、カチオン性のコロイド粒子と合成高分子ラテックスをインク受理層上に塗布する方法が提案されている。この実施例に示されているように無機カチオン処理されたコロイダルシリカとアクリル系エマルジョンやカチオン性ラテックスなどの合成高分子ラテックスを併用した場合、光沢感は得られるものの、顔料インクでの発色性が悪い上、合成高分子ラテックスを使用するためにインク吸収性が損われるといった問題が生じてしまう。
【0011】
特開昭60-260377 号公報には、カチオン性コロイダルシリカを含有したインク受理層からなるインクジェット記録用シートが提案されている。しかし、コロイダルシリカを含有するインク受理体のみの構造では、高い光沢感は得られない上、インクの吸収容量不足によるインク溢れが生じる。
【0012】
光沢を付与する目的で、溶解・膨潤によりインクを吸収する樹脂を塗布した記録用紙、フィルム等があるが、このような樹脂の溶解・膨潤によりインクを吸収させようとするものは、光沢は得られるものの、インクの吸収、乾燥が遅く、インク転写による汚れや滲みの発生が問題となる。
【0013】
インクジェット記録用の水性インクには、色材である染料が媒体である水に可溶であり、分子状態でインク媒体中に存在している染料インク、そして色材である顔料粒子が媒体である水に分散した状態で存在する顔料インクとの2種類がある。染料インクは発色性が高いものの、耐光性に劣り、顔料インクは染料インクと比較して発色性が落ちるものの耐光性は向上する傾向がみられる。
【0014】
染料インクは色材が記録媒体に浸透するのに対し、顔料インクは色材である顔料粒子が記録媒体表面により多く残存する。従来のインクジェット記録用シートでは、上記のように特徴の異なる染料インク、顔料インクの両方でインク吸収性に優れ、高い印字濃度を得ることは難しく、満足する品質を得ることはできなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インクジェット記録装置における印字について、インク吸収性に優れ、高い印字濃度と適度な光沢を有し、更に染料インク、顔料インクの両方で色再現性と画像再現性に優れたフルカラー記録用インクジェット記録用シートを得ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、染料インク及び顔料インク用のインクジェット記録用シートについて、鋭意検討を重ねた結果、本発明のインクジェット記録用シートを完成するに至った。即ち、本発明は、支持体表面に少なくとも1層以上のインク受理層、および最上層に光沢発現層が積層されたインクジェット記録用シートにおいて、該インク受理層が平均粒子径4〜18μmの合成非晶質シリカを含有し、該光沢発現層が有機カチオン処理されたコロイダルシリカと水溶性バインダーを含有し、該光沢発現層の片面絶乾塗工量が4〜18g/m2であり、該光沢発現層におけるコロイダルシリカとバインダーの比率が100:2〜100:30重量%であることを特徴とする、前記インクジェット記録用シートに関する。
【0017】
本発明の一つの実施態様は、JIS P8142に規定される75度鏡面光沢度が、20〜90%であることを含むものである。
【0018】
一般に、インクジェット記録用シートの特徴である良好なインク吸収性や染料定着性をえるためには、多孔性顔料を主成分とした塗層を塗設する方法が採られている。しかし、該顔料は、2次粒子として存在するために、粒子径が大きく、官能的に光沢感を生じさせることは難しく、高温、高線圧条件にてカレンダー処理を行い平滑性の向上を図っても、本発明の目的に見合った光沢は得られないばかりか、空隙が減少し、インク吸収性が低下してインクジェット記録用シートの特徴を失うことになる。光沢の発現は、塗層を構成する顔料の粒子径と関係しており、粒子径が20〜200nmで最大となる傾向がある。従って、コートタイプのインクジェット記録用シートに一般に適用されている多孔性顔料は、2次あるいは3次凝集粒子として存在するため、粒子径が103nm以上のものが多く、本発明が目的とする光沢を得ることができない。しかし、多孔性顔料は、顔料自体で空隙構造を有するために、インクジェット記録特性に要求されるインク吸収性の確保には不可欠な素材であり、現状の技術でこの相反する特性である光沢とインクジェット記録特性を単一層で両立させることは難しい。
【0019】
光沢は、自明なことながら、表面における光の反射率であり、表面の粗さにより、その程度が決定される。このことより、光沢発現層の主成分に粒子径5〜500nmのコロイダルシリカを用いることで光沢を持たせることが出来る。通常、コロイダルシリカは無水珪酸(シリカ)の超微粒子を安定に水に分散させた、アニオン性のコロイド状分散液である。
【0020】
インク受理層を設けずコロイド粒子を主成分とする塗被組成物をそのまま支持体にインク受理層として塗工した場合、インク吸収容量がインク全部を吸収するには少ないため、インクの溢れの問題が生じる。また、木材パルプを主成分とする支持体においては、パルプ繊維の壁面に沿ってインクが拡散するフェザリングの発生、印字濃度の低下があり、更には、目的とする光沢を得ることはできない。
【0021】
そこで、光沢のあるインクジェット記録用シートでは、該記録用シートの印字面をインク受理層(少なくとも1層以上)と光沢発現層(最上層)の構造にすることにより、光沢性の向上とインク吸収性確保という相反する特性をバランス良くするという方法がしばしば取られる。
【0022】
本発明のインクジェット記録用シートにおいては、記録面に染料インクが与えられた時、光沢発現層はインクのほとんどを透過させる機能を、インク受理層はインク吸収や染料を定着させる役割を果たす。記録面に顔料インクが与えられた時には、光沢発現層は色材である顔料粒子の多くを残存させ、溶媒成分を透過させる役割を、インク受理層は溶媒成分を吸収させる役割を果たしている。即ち、染料インク、顔料インクの両方に対して2層構造の機能分離化を示しているという点で本発明のインクジェット記録用シートを特徴づけることができる。
【0023】
更に本発明では、光沢発現層にあらかじめ有機カチオン処理されたコロイダルシリカを含有させることが不可欠である。有機カチオン処理されたコロイダルシリカとは、一般的にはシリカに第1〜3級アミン基、4級アンモニウム塩基等の有機カチオン性基を有する有機カチオン性化合物等を反応させて得たもので、少なくともシリカ表面がカチオン性に荷電したものである。
【0024】
有機カチオン性基を有し、コロイダルシリカの有機カチオン処理に用いられるものを具体的に例示してみると、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリアミンスルホン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミドーホルマリン縮合物、ジシアンジアミドポリアルキルーポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の化合物及びこれらの塩酸塩、更にポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド及びそのアクリルアミド等の共重合物、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリメタクリル酸エステルメチルクロライド4級塩等を挙げることができる。
【0025】
光沢発現層に使用するコロイダルシリカを例えば一般のアニオン性コロイダルシリカにすると、顔料インクの吸収性が十分でなくにじみが生じてしまう場合や、顔料インクでの吸収や発色性は良好でも、染料インクでは印字濃度が低くなってしまう等の問題がある。また、アニオン性コロイダルシリカとカチオン性化合物を併用すると、ほとんどの場合で液が凝集して、塗工が不可能になってしまう。一方、液が凝集しない場合であっても、染料インクでの発色性が低い等の問題は改善されないままである。従って、あらかじめコロイダルシリカが有機カチオン処理されたものを使用することが重要である。
【0026】
有機カチオン処理ではなく、無機カチオン処理されたコロイダルシリカを光沢発現層に用いた場合では、染料インクでの発色性は大変良好であるが、顔料インクのインク吸収が劣り、それに伴い発色性も低下してしまう。その他にも、粒子径10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合しているパールネックレス状のコロイダルシリカ等を光沢発現層に用いた場合でも、染料インクでの印字濃度が低い上、顔料インクでも高い印字鮮明性は得られない。
【0027】
しかしながら、光沢発現層に有機カチオン処理されたコロイダルシリカを用いることで、染料インクと顔料インクの両方に対して、優れたインク吸収性を保ちつつ、高い印字濃度、色再現性、画像鮮明性を得ることが可能となった。
【0028】
本発明による光沢発現層に有機カチオン処理されたコロイダルシリカを含有させたインクジェット記録用シートが、なぜ染料インクと顔料インクの両方で高い発色性と画像鮮明性を示すかは定かではない。しかし、インクジェット用のインクはアニオン性を有しており、該インク中のアニオン性色材と光沢発現層中の有機カチオン処理されたコロイダルシリカのカチオン性表面との間のイオン性吸引力により、色材が光沢発現層もしくはインク受理層上部に多く集まっていることが1つの要因であると推測される。
【0029】
また光沢発現層中に4 級カチオンポリマーなどのカチオン性染料定着剤を用いることで染料インクの発色性を更に上げることが出来る。
【0030】
本発明のインクジェット記録用シートは、JIS P8142に準拠して測定される75度鏡面光沢度が90%以下であり、好ましくは20〜90%で、更に好ましくは30〜70%である。インクジェット記録用シートの記録面における75度鏡面光沢度が20〜90%のものではポスター用や印刷校正用等に使用する場合、官能的に良好である。20%未満では、光沢感が不足し、90%を超えると、光沢が高すぎギラツキ感が発生し好ましくない。
【0031】
本発明のインクジェット記録用シートは、インク受理層上に光沢発現層を塗工し、乾燥した時点で、既に光沢を有するが、更にカレンダー処理により高い光沢を付与することが可能である。カレンダー処理についてはマシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を用いて仕上げることが可能である。
【0032】
光沢性を向上させるために、本発明の有機カチオン処理されたコロイダルシリカを含む光沢発現層の形成は、キャスト処理によって得られてもよい。キャスト処理とは、光沢発現層を膨潤状態で加熱された鏡面ロールに圧着して鏡面仕上げにする加工方法である。本発明でのキャスト処理には、直接法、ゲル化法、リウェット法等が挙げられる。
【0033】
その他に光沢性を向上させる方法として、本発明の有機カチオン処理されたコロイダルシリカを含む光沢発現層の形成は、光沢発現層を膨潤状態で平滑なフィルムを密着させ剥離除去して鏡面仕上げする製造方法を用いてもよい。
【0034】
本発明における光沢発現層に適用されるコロイダルシリカとしては、有機カチオン処理されたコロイダルシリカを挙げているが、その他に、コロイダルシリカ、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾルやコロイダルアルミナ等の水中に懸濁分散してコロイド状になっているコロイド粒子を併用することができる。
【0035】
該光沢発現層の片面絶乾塗工量(以下、絶乾塗工量ともいう。)としては4〜18g/m2 、好ましくは5〜15g/m2 である。インク受理層の平滑性、光沢発現層の乾燥条件、コロイド粒子の粒子径によっても影響されるが、4g/m2 以上であれば、本発明の目的とする光沢度が得られる。4g/m2 より少ないと十分な光沢が得られない上、発色性も低下してしまい、18g/m2 を超えると、インク吸収性の悪化や印字部表面のひび割れが発生してしまう。
【0036】
またコロイダルシリカは単独では塗膜強度を得ることができないために、バインダーとの併用が必要となるが、バインダーが多すぎる場合にはバインダー成分が主成分となり、インク吸収性が悪化してしまうために、コロイダルシリカ100重量部に対して2〜30重量部が好ましい。
【0037】
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、ウレタン、ポリビニルピロリドン、アクリル、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、スチレン−アクリル共重合体、スチレン、ラテックス等の一般に塗被紙に使用できるバインダーであれば特に限定するものではない。なかでも、水溶性バインダーが有利であり、例としてはポリビニルアルコールまたはその誘導体、酸化でんぷん等のでんぷん誘導体、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、大豆淡白、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩等がある。ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0038】
本発明におけるインク受理層は、光沢発現層に隣接して支持体との間に塗設されるものであり、インク中の溶媒成分を吸収する塗層である。インク受理層により該溶媒成分が光沢発現層から除去され、インク溢れの問題を回避することができる。
【0039】
本発明におけるインク受理層の顔料には、インクの吸収性が良く、印字鮮明性も高い合成非晶質シリカが望ましい。しかし、十分なインク吸収性を保てるのであれば、他の顔料を併用してもかまわない。その顔料としては、例えばカオリン、クレー、焼成クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等、一般塗被紙分野で公知公用の各種顔料が挙げられる。
【0040】
本発明におけるインク受理層で使用される合成非晶質シリカは平均粒子径4〜18μmであることが好ましく、更に好ましくは5〜16μmである。合成非晶質シリカの平均粒子径が4μmより小さいと光沢度は増すもののインク吸収性が低下し、合成非晶質シリカの平均粒子径が18μmより大きいと、光沢度が低下する上、画像鮮明性も劣ってしまう。
【0041】
該インク受理層の絶乾塗工量としては、3〜25g/m2 、更に好ましくは5〜20g/m2 である。3g/m2 より少ないと高濃度側のインクを完全に吸収しきれず、25g/m2 より多くても効果が飽和し、無意味である。
【0042】
本発明におけるインク受理層には、水溶性バインダーがあると好ましい。該バインダーがあると、光沢発現層とインク受理層との界面に接着性が発現し、該界面における接着性の確保が向上する。この接着性の発現の理由は定かではないが、インク受理層の塗被組成物は、分散媒として、水が使用されていることから、光沢発現層を塗設した際に、該分散媒がインク受理層に浸透し、インク受理層中の水溶性バインダーを再溶解させて、光沢発現層と接着し、該界面での強度を確保するものと考えられる。ここで使用される水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、酸化でんぷん等のでんぷん誘導体、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、大豆蛋白、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩等がある。ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0043】
更に、インク受理層には、添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。
【0044】
本発明に係る光沢発現層及びインク受理層を塗工又は含浸する方法は、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ等の各種装置のマシンで用いることができる。
【0045】
また、カール適性を付与するために、支持体を挟んだインク受理層側の反対面にバックコート層を塗設することも可能である。
【0046】
本発明に使用する支持体としては、紙、フィルム、不織布または、それらの複合体が一般に使用できるが、特にそれらに限定するものではない。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また実施例及び比較例に於いて示す「部」及び「%」は特に明示しない限り絶乾重量部及び絶乾重量%を示す。なお、実施例及び比較例に示した粒子径については、動的光散乱法により求めた平均粒子径である。
【0048】
以下に示す実施例及び比較例において、支持体は市販品の上質紙を使用し、すべて共通とした。又、本発明で得られたインクジェット記録用シートは、すべてスーパーカレンダー(線圧:100Kg/cm)によって処理した後、評価した。
【0049】
実施例1
インク受理層の塗工:
インク受理層は、支持体の表面に塗設した。該インク受理層の塗被組成物は、平均粒子径8μmの合成非晶質シリカ(ファインシールX−37B:トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコール(PVA―117:クラレ社製)40部を用い、水の添加により固形分16%として、これらを調液した。この塗液を絶乾塗工量15g/m2となるように支持体に塗工・乾燥した。
【0050】
光沢発現層の塗工:
有機カチオン処理されたコロイダルシリカ(Cab−O−Sperse PG022:キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製)100部、ポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ社製)5部、カチオン性染料定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製)5部を用い、水の添加により固形分16%としてこれらを調液した。この塗液を絶乾塗工量10g/m2となるように支持体に塗工、乾燥し、該光沢発現層塗被面がチルドロールに接するように、線圧100Kg/cmの条件でカレンダー処理を行い、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0051】
実施例2
実施例1において、光沢発現層の絶乾塗工量を7g/m2 としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0052】
実施例3
実施例1において、光沢発現層の絶乾塗工量を14g/m2 としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0053】
実施例4
実施例1において、光沢発現層に用いるバインダーをポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ社製)3.5部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0054】
実施例5
実施例1において、光沢発現層に用いるバインダーをポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ社製)20部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0055】
実施例6
実施例1において、インク受理層の組成物の顔料として平均粒子径6μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業社製)100部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0056】
実施例7
実施例1において、インク受理層の組成物の顔料として平均粒子径14μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP−78D:水澤化学工業社製)100部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0057】
比較例1
実施例1において、光沢発現層の組成物の顔料として、アニオン性コロイダルシリカ(Cab−O−Sperse PG001:キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製)100部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0058】
比較例2
実施例1において、光沢発現層の組成物の顔料として、無機カチオン性コロイダルシリカ(CEP10AK97006:キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製)100部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0059】
比較例3
実施例1において、光沢発現層の組成物の顔料として、無機カチオン性コロイダルシリカ(スノーテックスAK−ZL:日産化学工業社製)100部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0060】
比較例4
実施例1において、光沢発現層の組成物の顔料として、パールネックレス状コロイダルシリカ(スノーテックスPS−M:日産化学工業社製)100部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0061】
比較例5
実施例1において、光沢発現層の組成物の顔料として、有機カチオン処理されたアルミナ(Cab−O−Sperse PG003:キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製)100部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0062】
比較例6
実施例1において、光沢発現層の絶乾塗工量を2g/m2 とした以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0063】
比較例7
実施例1において、光沢発現層の絶乾塗工量を20g/m2 とした以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0064】
比較例8
実施例1において、光沢発現層に用いるバインダーをポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ社製)0.5部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0065】
比較例9
実施例1において、光沢発現層に用いるバインダーをポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ社製)50部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0066】
比較例10
実施例1において、インク受理層の組成物の顔料として平均粒子径3μmの合成非晶質シリカ(ニップジェルBY−200:日本シリカ社製)100部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0067】
比較例11
実施例1において、インク受理層の組成物の顔料として平均粒子径20μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP−78F:水澤化学工業社製)100部としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0068】
評価方法:
実施例1〜7、比較例1〜11で得られたインクジェット記録用シートについて光沢度、印字画像の鮮明性、インク吸収性、印字濃度を以下に示す方法で評価した。印字画像の鮮明性とインク吸収性及び印字濃度に関しては、染料インクのインクジェットプロッターであるエプソン社製のPM−9000機と顔料インクのインクジェットプロッターであるエプソン社製MC−10000機で記録を行い評価した。得られた結果については表1に示す。
【0069】
光沢度:インクジェット記録用シートの白地部について、JIS Z 8741の方法に準じて、入射角75度の鏡面光沢度を、グロスメーター(村上カラーリサーチラボラトリー社製、GM−26D)で測定した。
【0070】
印字画像の鮮明性:PM−9000機及びMC−10000機で印字して印字
画像の鮮明度について目視評価した。
◎:印字画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしている。
○:印字画像が鮮明でコントラストがある。
△:印字画像が鮮明であるがコントラストがあまりはっきりしなく、やや白ボケ気味である。
×:印字画像が鮮明でなく、白ボケ気味である。
【0071】
インク吸収性:インク吸収性の評価は、印字直後から5秒毎にプリントした印字面に上質紙を貼り合せ、インクが上質紙に転写するかを観察する。全く転写しなくなるまでの時間を測定する。測定された秒数を以下のように4段階評価した。
◎:5秒以下で全く転写しないもの。
○:5〜10秒で全く転写しないもの。
△:10〜30秒で全く転写しないもの。
×:30秒以上でも転写したもの。
インクが乾燥するまでの時間が10秒以下のものはインク吸収性に優れる。
【0072】
印字濃度:黒ベタ部の印字濃度を反射濃度計(グレタグマクベス社製、RD―918)にて測定した。
【0073】
【表1】
【0074】
表1の結果より明らかなように、本発明の実施例によって得られたインクジェット記録用シートは、染料インクと顔料インクのどちらを用いても、印字画像の鮮明性、インク吸収性、印字濃度に優れた光沢感の有るものであった。
Claims (2)
- 支持体表面に少なくとも1層以上のインク受理層、および最上層に光沢発現層が積層された、染料インク及び顔料インク用のインクジェット記録用シートにおいて、該インク受理層が平均粒子径4〜18μmの合成非晶質シリカを含有し、該光沢発現層が有機カチオン処理されたコロイダルシリカとバインダーを含有し、該光沢発現層の片面絶乾塗工量が4〜18g/m2であり、該光沢発現層におけるコロイダルシリカとバインダーの比率が100:2〜100:30重量%であることを特徴とする、前記インクジェット記録用シート。
- JIS P8142に規定される75度鏡面光沢度が20〜90%である、請求項1記載のインクジェット記録用シート。
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