JP4042718B2 - 嫌気性アンモニア酸化方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、嫌気性アンモニア酸化方法及び装置に係り、特に嫌気性アンモニア酸化方法における脱窒速度の改良に関する。
1922年に本格的な下水処理が東京都の三河島処理場で開始されて以来、有機物の処理のみではなく、窒素の処理も下水処理場で行われるようになってきた。特に大都市では集中的な投資が行われ、下水道普及率は90%を越えるまでに到った。
しかしながら、閉鎖性水域での環境基準の達成率はほとんど改善されてない。この理由は、水域での内部要因、藻類の異常繁殖によるものが大きいと言われているが、流入する排水の外部要因も解消されてない。特に窒素の外部要因が大きく、処理の必要性が強く望まれている。
窒素は、アンモニア性窒素の形体で下水や廃水に多く含まれている。従来、下水処理場や廃水処理場で、アンモニア性窒素を硝化細菌を用いて亜硝酸や硝酸に酸化し、亜硝酸や硝酸を脱窒細菌により窒素にガス化し窒素を除去していた。窒素の負荷としては0.2〜0.4kg−N/m3 /dayと、安定した窒素除去をするためには低負荷運転で、且つ、脱窒反応に大量の有機物が必要であった。このため処理槽として大型の水槽が必要であり、有機物に高価なメタノールを使用していた。また、イニシャルコストばかりでなく、多大なランニングコストを要するという問題もある。
これに対し、古くから、嫌気性アンモニア酸化法を利用した廃水処理方法が注目されている(例えば特許文献1)。この嫌気性アンモニア酸化法は、アンモニアを水素供与体とし、亜硝酸を水素受容体として、嫌気性アンモニア酸化細菌によりアンモニアと亜硝酸とを同時脱窒する方法である。
この方法によれば、アンモニアを水素供与体とするため、脱窒で使用するメタノール等の使用量を大幅に削減できることや、汚泥の発生量を削減できる等のメリットがあり,今後の廃水処理方法として有効な方法であると考えられている。
特開2001−37467号公報
しかしながら、この方法は古くから提案されているにもかかわらず、実用化が難しく、普及していない。この原因としては、嫌気性アンモニア酸化細菌の生理特性が分かっておらず、純粋培養はもちろんのこと、集積培養の条件も明らかになってないことが挙げられる。このため、ほとんど試みにおいて、集積培養に失敗しており、これまで実用化が困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、嫌気性アンモニア酸化細菌を高速に集積し、アンモニアと亜硝酸とを嫌気性アンモニア酸化細菌により同時脱窒処理する際の脱窒速度を大きくすることを可能にすると共に、廃水処理の効率化を図ることができる嫌気性アンモニア酸化方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明者は、嫌気性アンモニア酸化細菌の菌体濃度を把握し、且つ嫌気性アンモニア酸化細菌群の脱窒速度に及ぼす基質濃度特性を発見し、基質濃度特性を生かすように嫌気性アンモニア酸化を行うことにより脱窒速度を大きくでき、これにより嫌気性アンモニア酸化方法を利用した廃水処理を実装置として実現化できるようにしたものである。即ち、嫌気性アンモニア酸化細菌群はアンモニア濃度に対してはMicheris・Menten型の反応特性を示し、アンモニア性窒素濃度が高いほど脱窒速度が大きくなる。一方、嫌気性アンモニア酸化細菌群は亜硝酸性窒素濃度に対してはHaldane 型の反応特性を示し、亜硝酸性窒素濃度が所定値以上で強い阻害を受け脱窒速度が急激に小さくなることが分かった。そして、この基質濃度特性を生かすように嫌気性アンモニア酸化方法を行うには、アンモニアと亜硝酸とを脱窒処理する処理の流れにおいて、アンモニア濃度と亜硝酸濃度とを所定の範囲に制御することが重要である。
本発明は嫌気性アンモニア酸化方法及び装置を具体的に構成したものである。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、嫌気性アンモニア酸化槽内において、アンモニアと亜硝酸とを嫌気性アンモニア酸化細菌により同時脱窒する嫌気性アンモニア酸化方法であって、前記嫌気性アンモニア酸化細菌を10cell/cm以上含む活性汚泥又は硝化槽汚泥を種菌として包括固定化し、該包括固定化した担体中の菌体濃度が10cell/cm以上である包括固定化担体を用い、前記嫌気性アンモニア酸化槽内のアンモニア濃度を50〜100mg/Lに制御すると共に、前記嫌気性アンモニア酸化槽内の液の一部を引き抜き、該引き抜いた液の亜硝酸を脱窒して前記嫌気性アンモニア酸化槽に戻すことによって、亜硝酸濃度を30〜80mg/Lに制御することを特徴とする。
これにより、アンモニアと亜硝酸の基質濃度特性を生かすように嫌気性アンモニア酸化方法を行うことができるので、脱窒速度を大きくすることができる。
本発明の請求項2は、前記嫌気性アンモニア酸化細菌を10 cell/cm 以上含む活性汚泥又は硝化槽汚泥を種菌として包括固定化し、該包括固定化した担体中の菌体濃度が10 cell/cm 以上である包括固定化担体を用い、廃水中のアンモニアと亜硝酸を同時に脱窒する嫌気性アンモニア酸化槽と、前記嫌気性アンモニア酸化槽に両端が接続される循環配管と、前記循環配管に設けられ、前記嫌気性アンモニア酸化槽内の液の一部を引き抜いて前記循環配管を介して前記嫌気性アンモニア酸化槽に戻すポンプと、前記循環配管に設けられ、前記循環配管を流れる液中の亜硝酸を脱窒する亜硝酸濃度制御装置と、を備え、前記嫌気性アンモニア酸化槽内のアンモニア濃度が50〜100mg/Lに制御されると共に、亜硝酸濃度が30〜80mg/Lに制御されることを特徴とする。
以上説明したように本発明の嫌気性アンモニア酸化方法及び装置によれば、アンモニアと亜硝酸の基質濃度特性を生かすように嫌気性アンモニア酸化方法を行うことができるので、脱窒速度を大きくすることができる。
以下、添付図面に従って、本発明に係る嫌気性アンモニア酸化方法及び装置における好ましい実施の形態について詳説する。
図1に示す本発明の嫌気性アンモニア酸化装置10は、活性汚泥や消化汚泥などコンタミ系の汚泥と窒素含有液とを接触させて、窒素成分を脱窒するものである。すなわち、原水導入管14から嫌気性アンモニア酸化槽12に流入した廃水は、嫌気性アンモニア酸化槽12内の汚泥に含まれる嫌気性アンモニア酸化細菌によって、廃水中に含まれるアンモニアと亜硝酸とが同時脱窒され、処理された処理水が処理水配管16を介して系外に排出される。
この嫌気性アンモニア酸化槽12内の活性汚泥や消化汚泥などコンタミ系の汚泥は、浮遊させるか、ろ材、不織布等の充填材18に付着さてもよく、包括定化して使用してもよい。図1の嫌気性アンモニア酸化槽12は、槽12内部に充填材18として不織布を設け活性汚泥や消化汚泥などコンタミ系の汚泥を不織布に付着させて使用する場合の例であり、槽12内部には、活性汚泥や消化汚泥などコンタミ系の汚泥が3000〜4000mg/L投入されている。
充填材18として不織布を設けた嫌気性アンモニア酸化装置10を使用して、嫌気性アンモニア酸化方法を実施した。すなわち、負荷0.5〜1.0kg−N/m3 /日で集積培養を行った。集積培養終了後の嫌気性アンモニア酸化槽12内におけるアンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒素濃度とを測定するとともに、脱窒速度を測定した。そして槽内のアンモニア性窒素濃度及び亜硝酸性窒素濃度と脱窒速度との関係を調べた。測定データ数Nは31である。結果を図2の表に示す。
図2の表において、白抜き部分の脱窒速度(T−N除去速度、T−N:全窒素)が高く、網掛け部分の脱窒速度(T−N除去速度)が低くなっている。この脱窒速度(T−N除去速度)が高い部分におけるアンモニア性窒素濃度は、50〜100mg/Lであり、亜硝酸濃度は、30〜80mg/Lである。
すなわち、アンモニア性窒素濃度が50〜100mg/Lで、且つ、亜硝酸濃度が30〜80mg/Lが必要条件であり、アンモニア性窒素濃度又は亜硝酸濃度のどちらか一方がこの範囲から外れると、T−N除去速度は低下している。
ここにおいて、本発明者らは、嫌気性アンモニア酸化方法において、嫌気性アンモニア酸化槽12内におけるアンモニア性窒素濃度を50〜100mg/Lに制御し、且つ、亜硝酸濃度を30〜80mg/Lに制御することにより、嫌気性アンモニア酸化細菌を高速に集積でき、窒素含有液を高速に脱窒できることを見出した。
次に、上記のような好適な条件で嫌気性アンモニア酸化方法が実施できる、各装置構成及びその装置構成による作用について説明する。
図3は、本発明に係る嫌気性アンモニア酸化装置100の構成図である。尚、図1と同じ部材には同符号を付して説明すると共に、同じ説明は省略する。
この嫌気性アンモニア酸化装置100には、図1の嫌気性アンモニア酸化装置10の構成に希釈装置20が加わっている。この希釈装置20に一端が接続される希釈水導入配管22の他端は、原水導入管14の中途に接続されており、希釈水が原水導入管14内に流入できるようになっている。
この嫌気性アンモニア酸化装置100によれば、希釈装置20からの希釈水が希釈水導入配管22により供給され、嫌気性アンモニア酸化槽12内のアンモニア性窒素濃度を50〜100mg/Lに、且つ、亜硝酸濃度を30〜80mg/Lに制御することができる。
嫌気性アンモニア酸化装置100で使用される種汚泥としては、活性汚泥や消化槽汚泥などコンタミ系の汚泥がよい。汚泥中の生菌濃度としては、106 cell/cm3 以上が好ましく、108 cell/cm3 以上がより好ましい。包括固定化した場合の濃度としては、担体ゲル中の菌体濃度が104 cell/cm3 以上が好ましく、106 cell/cm3 以上がより好ましい。
この嫌気性アンモニア酸化装置100の嫌気性アンモニア酸化槽12内における菌の固定化には、(1) 付着固定化、(2) 包括固定の2つの方法が採用できる。(1) では、球状や筒状などの担体、ひも状材料、ゲル状担体、不織布状材料など凹凸が多い材料が付着しやすく除去率が向上する。(2) では、菌と固定化材料(モノマ、プレポリマ)を混合し、重合し、ゲルの内部に菌を包括固定化する。モノマー材料としては、アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、トリアクリルフォルマールなどがよい。プレポリマ材料としてはポリエチレングリコールジアクリレートやポリエチレングリコールメタアクリレートがよく、その誘導体を用いることができる。
担体の形状は、球状や筒状などの包括担体、ひも状包括担体、不織布状など凹凸が多い包括担体が接触効率がよく除去率が向上する。
以下に示す表1は、(1) 付着固定化及び(2) 包括固定の方法で菌を固定化し、図4の嫌気性アンモニア酸化装置100により、アンモニア性窒素濃度が50〜100mg/Lで、且つ亜硝酸濃度が30〜80mg/Lに制御した条件下、担体充填率25%の嫌気性アンモニア酸化槽12で処理し、2ケ月を経過した後の結果である。
表1に示すように、いずれも高い脱窒速度が得られている。なお、使用した種汚泥はアンモニアと亜硝酸で集積培養し得られた脱窒速度1.2kg−N/m3 /日の能力をもった汚泥で、初期濃度8×108 cell/cm3 で付着又は包括固定化し実験に供試した。
Figure 0004042718
図4は、本発明に係る嫌気性アンモニア酸化装置200の構成図である。尚、図1と同じ部材には同符号を付して説明すると共に、同じ説明は省略する。
この嫌気性アンモニア酸化装置200には、図1の嫌気性アンモニア酸化装置10の構成に、亜硝酸濃度制御装置24、亜硝酸濃度検出器26等が加わっている。また、充填材18として、包括固定化担体が採用されている。
嫌気性アンモニア酸化槽12内には亜硝酸濃度検出器26の検出プローブ28が配されており、嫌気性アンモニア酸化槽12内の亜硝酸濃度が検出できるようになっている。また、嫌気性アンモニア酸化槽12の1箇所には循環配管32の一端が接続されており、嫌気性アンモニア酸化槽12の他の箇所には循環配管32の他端が接続されており、一部の液を引き抜き、この液を処理して、槽内に戻すことができるようになっている。
このため、循環配管32には一端側から直列にポンプ30及び亜硝酸濃度制御装置24が接続されている。また、亜硝酸濃度検出器26はポンプ30と信号線により接続されており、亜硝酸濃度検出器26によりポンプ30の運転が制御できるようになっている。
亜硝酸濃度制御装置24は、流入して来る処理水中の過剰の亜硝酸を脱窒する機能を有する装置である。この亜硝酸濃度制御装置24には、生分解性プラッスチックと脱窒菌が充填されていることが好ましい。この生分解性プラッスチックとしては、カプロラクタム系の樹脂、ポリ乳酸系の樹脂が好ましい。
この嫌気性アンモニア酸化装置200の運転方法は、以下のようになる。原水導入管14より流入する処理水が、嫌気性アンモニア酸化槽12において、嫌気性アンモニア酸化細菌によって脱窒される。このとき、嫌気性アンモニア酸化槽12内の処理水の亜硝酸濃度がモニタ(検出)されており、亜硝酸濃度が所定値(80mg/L)を超えると、亜硝酸濃度検出器26よりポンプ30の作動の信号を受け、ポンプ30が起動され、嫌気性アンモニア酸化槽12の一部の液が引き抜かれて、亜硝酸濃度制御装置24に流入する。
亜硝酸濃度制御装置24において、引き抜かれた液中の過剰の亜硝酸が脱窒され亜硝酸濃度が低下した液となって、嫌気性アンモニア酸化槽12内に戻される。これにより、嫌気性アンモニア酸化槽12内の処理水のアンモニア性窒素濃度と亜硝酸濃度とが所望の値に制御される。
図5は、本発明に係る嫌気性アンモニア酸化装置300の構成図である。尚、図1と同じ部材には同符号を付して説明すると共に、同じ説明は省略する。
この嫌気性アンモニア酸化装置300には、図1の嫌気性アンモニア酸化装置10の構成に、硝化槽40、脱窒槽42、再曝気槽44、沈殿池46等が加わっている。すなわち、この嫌気性アンモニア酸化装置300は、嫌気性アンモニア酸化槽12→硝化槽40→脱窒槽42→再曝気槽44→沈殿池46の順に配置したものである。
各槽間は配管50、52…56により接続されている。そして、沈殿池46の処理液の一部を嫌気性アンモニア酸化槽12に循環させる返送ライン60が設けられている。また、脱窒槽42には、メタノール添加装置48が接続されている。
この嫌気性アンモニア酸化装置300によれば、処理水を嫌気性アンモニア酸化槽12において処理して亜硝酸とアンモニアから嫌気的に脱窒させた第1の処理水を生成し、この第1の処理水を硝化槽40において処理して残存するアンモニアを酸化させた第2の処理水を生成し、この第2の処理水を脱窒槽42において残存する亜硝酸や硝酸を脱窒させた第3の処理水を生成し、この第3の処理水を再曝気槽44で再曝気してから沈澱槽46で固液分離する。沈澱槽46で固液分離された処理水の一部を嫌気性アンモニア酸化槽12に循環させ、残りを系外に排出できるようになっている。この嫌気性アンモニア酸化槽12に循環することにより原水を希釈でき、嫌気性アンモニア酸化槽12内のアンモニア濃度と亜硝酸濃度を所望の値に制御することができる。その意味では、嫌気性アンモニア酸化槽12に亜硝酸濃度検出器(図5の26)が設けられていることが好ましく、返送ライン60にポンプ(図5の30)が設けられていることが好ましく、沈殿池46の出口又は返送ライン60に流量制御バルブ(又は流量制御弁)が設けられていることが好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、これらの実施例に限定するものではない。
(第1実施例)
図3に示される嫌気性アンモニア酸化装置100を使用して嫌気性アンモニア酸化方法を実施した。
種汚泥として、アンモニアと亜硝酸で集積培養し得られた脱量速度1.2kg−N/m3 /日の能力をもった汚泥で、初期濃度8×108 cell/cm3 のものを使用した。嫌気性アンモニア酸化槽12として、容量が20Lものを使用した。この嫌気性アンモニア酸化槽12に板状不織布付着担体を25%投入し、さらに集積した汚泥100mg/Lと下水処理の汚泥2900mg/Lを投入した。
アンモニア性窒素濃度と亜硝酸濃度が5:4の比の廃水T−Nl000mg/Lを用いて、負荷1kg−N/m3 /日の条件で運転を開始し、アンモニア性窒素濃度と亜硝酸濃度をモニタリングしながら、アンモニア性窒素濃度が50〜100mg/Lに、且つ、亜硝酸濃度が30〜80mg/Lになるように、水道水で希釈し運転した。
運転開始後の10日間は4倍希釈が必要であった。その後、徐々に希釈率を下げ、3.5kg−N/m3 /日の条件で、T−N除去率80%以上を得ることができた。
比較例として、同一の嫌気性アンモニア酸化装置100を使用して、アンモニア性窒素濃度と亜硝酸濃度をモニタリングせず、制御せずに運転した。その結果、亜硝酸濃度が80mg/Lを超え、アンモニア濃度が100mg/Lを超えると、処理が不安定になり、また、亜硝酸濃度とアンモニア濃度とが120mg/L以上になると活性が急激に低下することを確認した。
(第2実施例)
図4に示される嫌気性アンモニア酸化装置200を使用して嫌気性アンモニア酸化方法を実施した。
以下のように固定化担体を作製した。種汚泥はアンモニアと亜硝酸で集積培養し得られた脱窒速度1.2kg−N/m3 /日の能力をもった汚泥で、初期濃度8×108 cell/cm3 を固定化の種菌として使用した。種菌を遠心分離方法により回収し、この菌を分子量4000番のポリエチレングリコールジアクリレートに懸濁させ、過硫酸カリウムを添加することにより重合させ、菌を包括したゲルを得た。それぞれの添加量は次のとおりである。
種菌 108 cell/cm3
ポリエチレングリコールジアクリレート 10%
過硫酸カリウム 0.25%
このゲルを3mm角に成形し、包括固定化担体を得た。得られた包括固定化担体を図5の嫌気性アンモニア酸化槽12に充填率38%になるよう充填した。
亜硝酸濃度制御装置24は200mLのカラムで、ポリ乳酸樹脂ペレットを50%充填し、脱窒菌をシードしたカラムである。亜硝酸濃度が80mg/Lになるとポンプ30が作動するように設定した。
アンモニア性窒素濃度と亜硝酸濃度とが5:4の比の廃水T−N600mg/Lを用いて、負荷0.5kg−N/m3 /日の条件で運転を開始し、アンモニア性窒素濃度を50〜100mg/Lに、且つ、亜硝酸濃度を30〜80mg/Lに制御して運転した。その結果、負荷1.5kg−N/m3 /dayの条件でT−N除去率80%以上の結果を得ることができた。
比較例として、同一の嫌気性アンモニア酸化装置200を使用して、亜硝酸濃度をモニタリングせず、制御せずに運転したところ、亜硝酸濃度が80mg/Lを超え、アンモニア濃度が100mg/Lを超えると、処理が不安定になり、また、亜硝酸濃度とアンモニア濃度が120mg/L以上になると活性が急激に低下したことを確認した。
(第3実施例)
図5に示される嫌気性アンモニア酸化装置300を使用して嫌気性アンモニア酸化方法を実施した。
運転条件を以下に示す。
嫌気アンモニア酸化槽12の滞留時間 6.9h
硝化槽40の滞留時間 6.0h
脱窒槽42の滞留時間 4.0h
再曝気槽44の滞留時間 1.0h
硝化槽40、脱窒槽42、再曝気槽44には、それぞれ板状不織布付着担体を25%投入し、下水処理場の活性汚泥3000mg/Lをシードして運転した。脱窒槽42にはメタノールを窒素濃度の1.5倍添加して運転した。
アンモニア性窒素濃度と亜硝酸濃度とが5:4の比となる廃水T−Nl000mg/Lを用いて、負荷3.8kg−N/m3 /日の条件で運転し、アンモニア性窒素濃度と亜硝酸濃度をモニタリングしながら、アンモニア性窒素濃度を50〜100mg/Lに、且つ、亜硝酸濃度を30〜80mg/Lになるように、循環水で希釈し運転した。
その結果、嫌気アンモニア酸化槽12での負荷が3.8kg−N/m3 /日の条件でT−N除去率85%以上が得られ、沈殿池46での水質では、除去率が95%以上の結果が得られた。
比較例として、同一の嫌気性アンモニア酸化装置300を使用して、アンモニア性窒素濃度と亜硝酸濃度とをモニタリングせず、循環水を用いた希釈制御をせずに運転した。
その結果、亜硝酸濃度が80mg/Lを超え、アンモニア濃度が100mg/Lを超えると、処理が不安定になり、また、亜硝酸濃度とアンモニア濃度とが120mg/L以上になると活性が急激に低下したことを確認した。このとき、嫌気アンモニア酸化槽での負荷が3.8kg−N/m3 /日の条件で、T−N除去率は15〜58%であり、沈殿池46での水質では、T−N除去率が43〜67%であった。
嫌気性アンモニア酸化装置の構成図 アンモニア性窒素濃度及び亜硝酸性窒素濃度と脱窒速度との関係を示す表図 本発明の嫌気性アンモニア酸化装置の一態様を示す構成図 本発明の嫌気性アンモニア酸化装置の別の態様を示す構成図 本発明の嫌気性アンモニア酸化装置の更に別の態様を示す構成図
符号の説明
100、200、300…嫌気性アンモニア酸化装置、12…嫌気性アンモニア酸化槽、14…原水導入管、16…処理水配管、18…充填材、20…希釈装置、22…希釈水導入配管、24…亜硝酸濃度制御装置、26…亜硝酸濃度検出器、28…プローブ、30…ポンプ、32…循環配管、40…硝化槽、42…脱窒槽、44…再曝気槽、46…沈澱池、48…メタノール添加装置、60…返送ライン

Claims (2)

  1. 嫌気性アンモニア酸化槽内において、アンモニアと亜硝酸とを嫌気性アンモニア酸化細菌により同時脱窒する嫌気性アンモニア酸化方法であって、
    前記嫌気性アンモニア酸化細菌を10cell/cm以上含む活性汚泥又は硝化槽汚泥を種菌として包括固定化し、該包括固定化した担体中の菌体濃度が10cell/cm以上である包括固定化担体を用い、
    前記嫌気性アンモニア酸化槽内のアンモニア濃度を50〜100mg/Lに制御すると共に、
    前記嫌気性アンモニア酸化槽内の液の一部を引き抜き、該引き抜いた液の亜硝酸を脱窒して前記嫌気性アンモニア酸化槽に戻すことによって、亜硝酸濃度を30〜80mg/Lに制御することを特徴とする嫌気性アンモニア酸化方法。
  2. 前記嫌気性アンモニア酸化細菌を10 cell/cm 以上含む活性汚泥又は硝化槽汚泥を種菌として包括固定化し、該包括固定化した担体中の菌体濃度が10 cell/cm 以上である包括固定化担体を用い、廃水中のアンモニアと亜硝酸を同時に脱窒する嫌気性アンモニア酸化槽と、
    前記嫌気性アンモニア酸化槽に両端が接続される循環配管と、
    前記循環配管に設けられ、前記嫌気性アンモニア酸化槽内の液の一部を引き抜いて前記循環配管を介して前記嫌気性アンモニア酸化槽に戻すポンプと、
    前記循環配管に設けられ、前記循環配管を流れる液中の亜硝酸を脱窒する亜硝酸濃度制御装置と、を備え、
    前記嫌気性アンモニア酸化槽内のアンモニア濃度が50〜100mg/Lに制御されると共に、亜硝酸濃度が30〜80mg/Lに制御されることを特徴とする嫌気性アンモニア酸化装置。
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