JP4042595B2 - 合成樹脂供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、押出手段の押出口から押し出される合成樹脂を、押出口に対向する受入位置を含む円形軌跡に沿って移動せしめられる複数個のカッターが次々に切断する形態の合成樹脂供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料用容器として、ポリエチレンテフタレートの如き適宜の合成樹脂から形成された合成樹脂容器が広く実用に供されている。かような容器は、前成形体(プリフォーム)を圧縮成形し、次いで前成形体を所要形状にブロー成形することによって好都合に成形される。前成形体の圧縮成形においては、所要量の合成樹脂を圧縮成形型に供給し、かかる合成樹脂を所要形状に圧縮成形することが必要である。下記特許文献1には、前成形体の如き成形品を圧縮成形するための圧縮成形型に合成樹脂を供給するための合成樹脂供給手段が開示されている。かかる合成樹脂供給手段は、鉛直方向下方に開口した円形押出口を有する押出手段と、周方向に間隔をおいて配設された複数個のカッター及びカッターの各々に付設された保持手段を有する切断・搬送手段とを具備している。カッター及び保持手段は、押出手段の押出口に対向する受入位置と排出位置とを含む円形軌跡に沿って移動せしめられる。受入位置においては押出口を横切って移動せしめられるカッターが押出口から押し出されている合成樹脂を切断する。保持手段は切断された合成樹脂を保持して排出位置に搬送し、排出位置にて合成樹脂を開放して圧縮成形型に供給する。
【0003】
【特許文献1】
特開平12−108127号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上述したとおりの合成樹脂供給装置においては、特に押出口から押し出されてカッターによって切断される合成樹脂の鉛直方向長さが比較的細長く、且つ合成樹脂の押出速度及びカッターの移動速度が比較的大きい場合、押出口から押し出された合成樹脂を切断したカッターの背面即ち逃げ面に、引き続いて押出口から押し出されている合成樹脂が干渉し、これによって押し出されている合成樹脂の形状に望ましくない変形が生成される傾向がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、押出口から押し出されてカッターによって切断される合成樹脂の鉛直方向長さが比較的細長く、且つ合成樹脂の押出速度及びカッターの移動速度が比較的大きい場合でも、押出口から押し出された合成樹脂を切断したカッターの逃げ面に、引き続いて押し出されている合成樹脂が干渉することが確実に回避される、新規且つ改良された合成樹脂供給装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究の結果、押出口から押し出されている合成樹脂の最大流下速度と押出口を横切って移動するカッターの移動速度との比率に基づいてカッターの逃げ角αを設定すれば、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記技術的課題を達成する合成樹脂供給装置として、鉛直方向下方に開口した円形押出口を有する押出手段と、周方向に等角度間隔をおいて配設された複数個のカッターを有する切断・搬送手段とを具備し、該カッターは該押出口に対向する受入位置を含む円形軌跡に沿って移動せしめられ、該受入位置において該押出口から押し出される合成樹脂を切断する合成樹脂供給装置にして、
該カッターの各々は、
α≧(1/cosγ)×tan−1〔(8000W)/(πDLS)〕
ここで、γは該カッターのオフセット角、
Wは切断された合成樹脂の重量、
Dは該押出口の口径、
Lは該カッターのピッチ、
Sは合成樹脂の比重、
である逃げ角αを有する、ことを特徴とする合成樹脂供給装置が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された合成樹脂供給装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0009】
図1及び図2を参照して説明すると、本発明に従って構成された全体を番号2で示す合成樹脂供給装置は、押出手段4と切断・搬送手段6とを具備している。押出手段4は実質上鉛直に配設された押出ノズル8を含んでおり、この押出ノズル8内には流路9が形成され、その先端即ち下端には円形押出口10が形成されている。押出ノズル8の流路9は適宜の押出機(図示していない)に接続されており、ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂12が流路9を通して流動せしめられ、押出口10から押し出される。
【0010】
切断・搬送手段6は実質上鉛直に延びる支持軸12に回転自在に装着された支持盤14を有する。実質上水平に配設されている支持盤14上には、等角度間隔をおいて複数個、図示の場合は6個の支持アーム16が配設されている。支持アムーム16の各々には、カッター18と共に保持手段20が配設されている。保持手段20の各々はカッター18の両側に配設された2個の部材、即ち内側部材22と外側部材24とから構成されている。内側部材22は外側部材24に対して接近及び離隔する方向に適宜に移動せしめられる。支持盤14が矢印26で示す方向に所定速度で回転駆動せしめられると、カッター18の各々の中心は二点鎖線で示す円形軌跡28に沿って移動せしめられる。円形軌跡28は受入位置30と共に排出位置32を含んでいる。受入位置30は押出ノズル6の押出口10に対向してその下方に位置する。支持アーム16が受入位置30を通過する際には、カッター18は押出口10を横切って移動し、押出口10から押し出されている合成樹脂12を切断して押出口10から離脱せしめる。カッター18が合成樹脂12を切断すると、保持手段20における内側部材22が外側部材24に接近せしめられて両者間に合成樹脂12を保持する。支持アーム16が排出位置32を通過する際には、内側部材22が外側部材24から離隔せしめられて両者間に保持されていた合成樹脂12が下方に落下せしめられる。
【0011】
図1に二点鎖線で示す如く、合成樹脂供給装置2に関連せしめて圧縮成形装置34が配設されている。この圧縮成形装置34は回転支持盤36を含んでおり、かかる回転支持盤36には等角度間隔をおいて複数個の圧縮成形型38が配設されている。回転支持盤36が矢印40で示す方向に所定速度で回転駆動せしめられ、切断・搬送手段6における複数個の保持手段20が排出位置32を順次に通過するのに同期せしめて複数個の圧縮成形型38が排出位置32を順次に通過せしめられ、保持手段20の各々から落下せしめられる合成樹脂12が圧縮成形型38の各々に供給される。
【0012】
図示の合成樹脂供給手段6におけるカッター18自体の構成以外は、本発明に従って構成された合成樹脂供給装置2の新規な特徴を構成するものではなく、例えば上記特許文献1に開示されているとおりの構成でよく、それ故にカッター18自体の構成以外の構成及び作用の詳細については本明細書においては説明を省略する。
【0013】
図2を参照して説明すると、図示の実施形態におけるカッター18の各々は、実質上鉛直に延びる角柱形状の基部を有する。かかる基部の上端面には逃げ面40が形成されており、この逃げ面40は逃げ角αを有する。カッター18の移動方向前側上端には前側に向かって上方に傾斜して突出する鋭い刃42が形成されている。逃げ面40と協働して刃42を規定するすくい面44が規定するすくい角βは、カッター18を構成する材料、例えば超硬合金或いは工具鋼、の強度に応じて適宜に設定することができるが、一般に10乃至20度程度であるのが好適である。また、図1に図示する如く、図示の実施形態においては、円形軌跡28の半径方向に対してカッター18の各々は、オフセット角γ(例えば0度≦γ≦20度)で配置されている。
【0014】
而して、本発明に従って構成された合成樹脂供給装置2においては、切断・搬送手段6におけるカッター18の各々は、
α≧(1/cosγ)×tan−1〔(8000W)/(πDLS)〕
ここで、γは該カッターのオフセット角、
Wは切断された合成樹脂の重量、
Dは該押出口の口径、
Lは該カッターのピッチ、
Sは合成樹脂の比重、
である逃げ角αを有することが重要である。図2を参照して更に詳述すると、押出ノズル6の押出口10から押し出される合成樹脂12の流下速度分布は、当業者には周知の如く、中心軸対象の二次放物線分布となり、中心速度が最大で平均速度の2倍である。押出口10から押し出され合成樹脂12を切断して押出口10から離れるカッター18の逃げ面40に、押出口10から引き続いて押し出される合成樹脂12が干渉しないようになすためには、合成樹脂12の上記流下速度とカッター18の移動速度と比率に基づいてカッター18の逃げ角αを設定することが重要である。押出手段4の押出量をQ(kg/時間)とし、押出口10の口径をD(mm)とすると、押出口10から押し出される合成樹脂12の平均速度Vmean(mm/秒)は、
Vmean=[4Q/(πD)]×[10/3600S] (式1)
となる。押出口10から押し出される合成樹脂の流下速度分布は二次放物線分布であり、その中心の最大速度Vmaxは、
Vmax=2Vmean
=2[4Q/(πD)]×[10/3600S] (式2)
となる。上記押出量Qは、合成樹脂目付量即ち切断された合成樹脂12の重量Wと生産速度即ち毎分当たりの合成樹脂12の切断個数N(個数/分)とによってQ=WN60/1000(kg/時間)と表される。従って、上記式2は、
Vmax=2[4WN/(πD)]×[10/(60S)](式3)
となる。一方、カッター18の周速度Ucutは、カッター18の中心の円形軌跡28の直径をDcut(mm)、カッター18の枚数をMとすると、
Ucut=πDcut×N/(60M) (式4)
となる。円形軌跡28の直径Dcutとカッター18の枚数Mはカッター18のピッチLによって定まり、L=πDcut/Mであり、これを式4に代入すると、
Ucut=LN/60(mm/秒) (式5)
となる。そこで、カッター18の周方向の計算上の必要逃げ角αは、
α=tan−1(Vmax/Ucut)/cosγ (式6)
となる。式6に式3と式5を代入すると、
α=(1/cosγ)×tan−1〔(8000W)/(πDLS)〕
となる。従って、カッター18の逃げ角αをかような値以上に設定、即ち
α≧(1/cosγ)×tan−1〔(8000W)/(πDLS)〕
に設定すれば、押出口10か押し出された合成樹脂12を切断して押出口10から離れるカッター18の逃げ面40に押出口10から引き続いて押し出される合成樹脂12が干渉することを充分確実に回避することができる。図3はカッター18のピッチL=157mm、カッター18のオフセット角γ=15度、押出口10から押し出される合成樹脂12はポリエチレンテレフタレートであって比重S=1.14の場合における、押出口10の口径Dが20mm、21mm、22mm、23mm、及び24mmの時の、上記式から計算される最小必要逃げ角αを示す線図である。
【0015】
図4a〜dは、逃げ角αが過少である時に、押出口10から押し出された合成樹脂12を切断して押出口10から離れるカッター18の逃げ面40に押出口10から引き続いて押し出される合成樹脂12が干渉する様子を模式的に図示している。図5a〜dは、逃げ角αが適切であり、それ故に押出口10か押し出された合成樹脂12を切断して押出口10から離れるカッター18の逃げ面40に押出口10から引き続いて押し出される合成樹脂12が干渉することがない様子を模式的に図示している。
【0016】
【発明の効果】
本発明の合成樹脂供給装置によれば、押出口から押し出されてカッターによって切断される合成樹脂が比較的細長く、且つ合成樹脂の押出速度及びカッターの移動速度が比較的大きい場合でも、押出口から押し出された合成樹脂を切断したカッターの逃げ面に、引き続いて押し出されている合成樹脂が干渉することが確実に回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された合成樹脂供給装置の好適実施形態を示す簡略平面図。
【図2】図1の合成樹脂供給装置における押出口とカッターとの関係を示す部分断面図。
【図3】特定条件におけるカッターの必要最小逃げ角αを示す線図。
【図4】カッターの逃げ角が過少である時に、押出口から押し出された合成樹脂を切断して押出口から離れるカッターの逃げ面に押出口から引き続いて押し出される合成樹脂が干渉する様子を示す模式図。
【図5】カッターの逃げ角が適切であり、それ故に押出口か押し出された合成樹脂を切断して押出口から離れるカッターの逃げ面に押出口から引き続いて押し出される合成樹脂が干渉することがない様子を示す模式図。
【符号の説明】
2:合成樹脂供給装置
4:押出手段
6:切断・搬送手段
10:押出口
12:合成樹脂
18:カッター
40:カッターの逃げ面
α:カッターの逃げ角
D:押出口の口径
L:カッターのピッチ

Claims (1)

  1. 鉛直方向下方に開口した円形押出口を有する押出手段と、周方向に等角度間隔をおいて配設された複数個のカッターを有する切断・搬送手段とを具備し、該カッターは該押出口に対向する受入位置を含む円形軌跡に沿って移動せしめられ、該受入位置において該押出口から押し出される合成樹脂を切断する合成樹脂供給装置にして、
    該カッターの各々は、
    α≧(1/cosγ)×tan−1〔(8000W)/(πDLS)〕
    ここで、γは該カッターのオフセット角、
    Wは切断された合成樹脂の重量、
    Dは該押出口の口径、
    Lは該カッターのピッチ、
    Sは合成樹脂の比重、
    である逃げ角αを有する、ことを特徴とする合成樹脂供給装置。
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