JP4042457B2 - 転写フィルム及びそれを用いたインクジェット用記録媒体の製造方法、及びインクジェット用記録媒体 - Google Patents

転写フィルム及びそれを用いたインクジェット用記録媒体の製造方法、及びインクジェット用記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、インク定着性および乾燥性が良好であり、且つ、美観が良好で、記録部の発色も良く、印画物はオフセット印刷やグラビア印刷による印刷物に類似した記録が可能なインクジェット用記録媒体に関し、特にオフセット印刷やグラビア印刷の校正用としても好適であるインクジェット用記録媒体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ出力用に各種方式のプリンターが普及している。なかでもインクジェットプリンターは、静粛性、コスト、画像品質が優れ、特にフルカラー画像を高品位で再現でき、他方式にはない優れた性能を有し、さらなる普及が期待できる。
特に近年では、インク滴の制御と濃淡インクの開発、および染料受像層の性能向上に伴い、銀塩写真並の画像を得られるまでに技術が進歩している。
【0003】
また、オフセット印刷やグラビア印刷の校正用途として、インクジェットプリンターを用いる機会が多くなり、従って、校正用紙として用いることのできるインクジェット用記録媒体の開発の要望が高くなってきている。
上記インクジェット記録方式においては、インクとして、多くは染料を含有する水性インクが用いられており、また、記録紙として支持体上に染料受容層の形成されたインクジェット用記録媒体を用いるのが一般的である。
【0004】
ここで、記録媒体の一般的な材料の技術例を挙げるなら、多孔質シリカをポリビニルアルコールに分散させた受容層に、カチオン成分を添加したものを記録媒体として設けることにより、インクをシリカ細孔に物理的に吸収させ、かつカチオン成分を添加することによりにより染料を化学的に定着させる方法、アルミナゾルを用いて、物理的にインクを吸収させながらアルミナにより染料を化学的に定着させる方法、もしくは、カチオン性樹脂を用い、膨潤によりインクを物理的に吸収させながらカチオン部により染料を化学的に定着させる方法等がある。
【0005】
一方、近年、家庭用インクジェットプリンターにて、デジタルカメラで撮影した写真を印画する用途も多くなり、写真調の高光沢なインクジェット用記録媒体が数多く提案されている。
しかしながら、このような一般的な記録媒体においては、銀塩写真をターゲットとして、画質、光沢感、乾燥性、耐水性の向上を目的として開発されたものが多い。その為、これらの特性については満足の出来るものが多いが、印画物のみならず、記録媒体そのものも銀塩写真の印画紙に類似した風合いを持ち、オフセット印刷やグラビア印刷に用いられる印刷用紙とは風合いが異なるものとなる。
さらに印画物に関しても、写真のような均一な光沢感は得られるものの、通常のオフセット印刷物或いはグラビア印刷物のような質感とは異なるものとなる。
【0006】
高光沢を得る一般的な技術例を挙げると、塗工面をキャスト処理、もしくはカレンダー処理をする方法、平滑なフィルム上に記録層を塗布し、別の支持体上に転写させる方法等が考案されてきた。
【0007】
例えば、特開平9−156210号公報では、膨潤した樹脂が印画部の光沢を低下させるとの観点から、配合されるフィラー(顔料)の40%以上をBET表面積200〜600m2/gの多孔質シリカとし、さらにカゼインとウレタン樹脂の配合率を規定し、この材料を塗工、乾燥させる際にキャストコートを行うことで、印字部の光沢が低下しないというインクジェット用記録媒体が示されている。しかしながら、この方法で得られた記録媒体によるインクジェットでの印画物は、用紙全体が光沢感に優れるものの、均一的であり、印刷物とは異なる質感を持つものとなる。
【0008】
さらに、特開平11−288405号公報では、塗工層の最外層に1次粒子の平均粒子径が3〜40nmで、2次粒子の平均粒子径が10〜300nmであるシリカ微粒子を含有し、最外層を設けた後、鏡面ロールを有する熱カレンダーにより加熱、加圧して仕上げてなるインクジェット用記録媒体の記載があるが、これも均一的な光沢感を持ち、得られる画像はやはり印刷物とは異なる質感を持つものとなる。
【0009】
また、転写を用い、受容層を形成する方法は、例えば、特開平10−86510号公報、特開平10−181184号公報、特開平10−287038号公報、特開2000−280602号公報等で提案されている通り、多くは微粒子顔料を主成分とした受像層を剥離剤の上に塗布し、支持体上に転写させ、光沢を発現させている。これらの方法を用いると銀塩写真並の光沢は得られるものの、印画物の光沢感は均一で銀塩写真に類似したものであった。
【0010】
この、転写法として、ウエット転写法やドライ転写法等が提案され、いずれの技術も、高光沢なインクジェット用記録媒体は得られていた。
しかし、一般的な転写方法では、色濃度、色域の再現範囲が十分ではなく、特にグラビア印刷の色域再現範囲を満たすことは、十分ではなかった。
また、印画後も光沢感は均一であり、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷物の風合いとは異なるものであり、印刷物の校正用途としては向かないものであった。
【0011】
一般にオフセット印刷やグラビア印刷では、専用の印刷用紙の上に画像情報に基づいてインキをのせ、乾燥や硬化させることにより画像情報を記録する。その際、印刷インクの一部は用紙内部に浸透するが、その大部分は用紙の表面に留まるのが普通であり、この表面に留まったインク皮膜が光沢を発現することになる。
【0012】
一方、インクジェットプリンターによる印刷においては、プリンターのノズルの先から吐出されたインクが、一般的に受容層と呼ばれる塗布層の内部に浸透する。発色の原因となる染料をはじめ、インクに含まれる溶剤、添加剤等全てが内部に浸透してしまうために、印画部の光沢を積極的に上昇させることはない。そこで、インクジェット方式で形成された画像は、オフセット印刷やグラビア印刷で印刷された画像とは異なった風合いとなる。
【0013】
インクジェットによる印画物が印刷物に類似した風合いとなるためには、印画後の光沢感が印刷物に類似する、すなわち印画部の光沢感が未印画部の光沢度感よりも優れる必要がある。
したがって、オフセット印刷物、或いはグラビア印刷物のような風合いを持たせるためには、印画部の光沢度が未印画部の光沢度より高くさせることが重要である。そのためには、インクジェットプリンターから吐出されたインク中の染料を、出来るだけ記録媒体の表面上に留めることが重要である。
【0014】
また、校正用紙として用いるためには、印刷の色域再現範囲を満たさなければならず、インクジェット用記録媒体には十分な色域と色濃度の発現が求められる。さらに、色域安定性も高く要望され、経時での色差(ΔE)の値も低くなることが必要である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術が持つ問題点に鑑みてなされたものであって、すなわち、記録媒体そのものが高光沢であり、かつ得られる画像が、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷物に類似した質感を持ち、かつ高濃度、高色域を有し、経時での色差(ΔE)の値も低く、さらに、インク吸収速度の速いインクジェット用記録媒体の製造方法を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電気的にマイナスに帯電されている基材フィルム上に、少なくともカチオン変性乾式シリカフィラー及びバインダーを主成分とした染料定着層を設けたことを特徴とする転写フィルムである。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、前記基材フィルム表面の、表面電位値が−1000〜−100Vの範囲であることを特徴とする請求項1記載の転写フィルムである。
【0019】
また、請求項2に記載の発明は、前記カチオン変性乾式シリカフィラーの1次粒子の平均粒子径が3〜50nmである事を特徴とする請求項1または2に記載の転写フィルムである。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、前記基材フィルムの少なくとも染料定着層を塗工する面が、光沢調整を目的とした表面処理を施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の転写フィルムである。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、フィラー及びバインダーを主成分としたインク受容層を少なくとも1層設けた支持体の、前記インク受容層面に、請求項1ないし3のいずれかの転写フィルムの染料定着層面を重ね合わせた後、転写用フィルムを剥離させることを特徴とするインクジェット用記録用媒体の製造方法である。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、前記支持体のインク受容層面に、転写フィルムの染料定着層面を重ね合わせることを、乾燥前に行い、重ね合わせ後乾燥することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット用記録用媒体の製造方法である。
【0023】
また、請求項6に記載の発明は、フィラー及びバインダーを主成分としたインク受容層を少なくとも1層設けた支持体の、前記インク受容層面に、請求項1ないし3のいずれかの転写フィルムの染料定着層面を重ね合わせた後、転写用フィルムを剥離させて作成したことを特徴とするインクジェット用記録用媒体である。
【0024】
また、請求項7に記載の発明は、前記支持体のインク受容層面に、転写フィルムの染料定着層面を重ね合わせることを、乾燥前に行い、重ね合わせ後乾燥させて作成したことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット用記録用媒体である。
【0025】
高光沢のインクジェット用受像層を得る方法として上記のようにしめした転写フィルムを用いる方法は、非常に有効な手段である。ここで、通常の、塗布等の一般的な方法を用いると、未印画物も印画物も光沢感は均一であり、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷物とは、異なる光沢状態となる。
【0026】
このように転写用フィルムを表面を電気的にマイナスに帯電させた基材フィルムを用いることにより、印画物が印刷物に類似する、すなわち印画部の光沢感が未印画部の光沢感より優れ、さらに色域や色濃度の再現範囲の広いインクジェット用記録媒体を得ることが出来る。
【0027】
また、前記染料定着層中にはカチオン性成分を含むことにより、より色域や色濃度の再現範囲が広がり、かつ経時での色差(ΔE)が小さく、さらに印画部の光沢度が未印画部の光沢度に比べてより高くなることが分かった。
【0028】
これらの機構については明らかでないが、転写フィルム上の表面がマイナスに帯電していることにより、塗布された染着層中のプラスの電荷を持つ官能基や極性部が転写フィルム側に配向する。その結果、転写フィルムを剥離後は、インクジェット用記録媒体の染料定着層最表面にプラスの電荷を持つ官能基、極性部が多く存在することになると考えられる。従って印画を行うとインクの染料が最表面に多く留まることになり、印画部の光沢度上昇、ならびに色域や色濃度の広がりに繋がるものと考えられる。
【0029】
また、染料定着層中にカチオン性成分を含むことにより、カチオン性成分が転写フィルム側に密に集中する。その結果、用いない場合よりもインク中の染料がより早く定着し、また、より最表面に定着するために、色域や色濃度の広がり、色差(ΔE)の安定性に繋がるものと考えられる。
【0030】
さらに、染料定着層中に1次粒子の平均粒子径3〜50nmの乾式法で作成されたシリカを含むものを用いることにより、より高光沢なインクジェット用記録媒体を得ることが出来る。
【0031】
また、転写用フィルムの少なくとも染料定着層を塗工する面が、光沢調整を目的とした表面処理を施されているものより形成させることにより、光沢調整が可能となる。
【0032】
また、転写用フィルムの表面電位の値が、−1000〜−100Vであることにより、よりこれらの効果が発揮される。これより低い値であるとこれらの効果は低くなり、高い値であるとフィルムの剥離が困難になる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のインクジェット用記録媒体の製造方法について詳細に説明する。
本発明はこれに限定されるものではない。
本発明は、1層以上のインク受容層が設けられた支持体上に、表面がマイナスに帯電された転写用フィルムの表面に塗布した染料定着層を重ね合わせた後、転写用フィルムを剥離するインクジェット用記録媒体の製造方法である。
このように、本発明の製造方法で得られたインクジェット用記録媒体は、特に印画濃度が高く、また色域再現範囲が広く、かつ表面の光沢度が高くて印画後にはさらに印画部の光沢感の優れるインクジェット用記録媒体となる。
【0034】
ここで、前記支持体は、一般的に用いられている支持体が適用可能である。例えば、合成紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、あるいは板紙、等の各種の紙類が主に使用される。
中でもコート紙、アート紙、上質紙で通気度が低めのものを用いることが、転写面に、空気による小さな穴等の欠陥が発生し難く、好適である。
また、支持体の表面には、インク受像層の接着性向上を目的に、コロナ放電処理やポリウレタン樹脂等によるアンカー層等の公知の易接着処理をしても良い。尚、支持体の平滑性は不問であり、硬度に関しても規定しない。
【0035】
次に、転写用フィルムは、表面が予め電気的にマイナスに帯電されたフィルムを使用しても良いし、未処理のフィルムを表面処理して使用しても良い。
このフィルムは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、セロハン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を用いることが出来る。なかでもポリエチレンやポリプロピレンのフィルムは剥離が容易であり、好適に用いられる。
【0036】
また、フィルムの厚みは、特に規定されるものでないが、薄すぎるとシワの発生の原因となり、厚すぎると乾燥困難となったり、さらにコスト高となるために、10ミクロンから100ミクロンの範囲が好適である。
【0037】
フィルムへマイナス帯電の表面処理方法としては、一般的な方法を用いることが出来る。簡易にプラスに帯電させる方法としては、コロナ帯電法がある。
コロナ帯電を行う場合では、電圧、時間はフィルムの帯電状況により調整するが、おおよそ印加電圧−4kV、印加時間1秒程度で行うのが適当である。
【0038】
また、転写用のフィルムは、光沢調整を目的とした表面処理を施されているものを用いることにより、種々の風合いを持たせることができるのでより好ましい。
例えば、表面粗さをコントロールすることにより、グロス調、セミマット調、ダル調、マット調の光沢や風合いを持ったインクジェット用記録媒体を得ることが出来、所望する風合い、光沢度を持つインクジェット用記録媒体を得ることができる。
【0039】
本発明で使用するフィラーとは特に限定されるものではなく、一般的なフィラーを用いることが出来る。
例えば、シリカ、アルミナあるいはアルミナ水和物、酸化マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、二酸化チタン、ハイドロタルサイト、ゼオライト、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の無機フィラー、さらにはポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリエチレン系、マイクロカプセル、中空粒子等の有機フィラーを用いることが出来る。
中でも、インク受容層に用いるフィラーとしては、インクの吸収性に優れており安価な点から、湿式シリカを用いることが好ましい。
この湿式シリカは、ゲル法シリカ、沈殿法シリカ、どちらで製造されたものでも構わないが、好ましくはポーラスな凝集構造を取り、よりインク吸収性の高い沈殿法シリカを用いる。特に凝集粒子径が1〜5μm、比表面積が250m2/gの沈殿法シリカを用いた場合、インク吸収速度が大幅に向上する。
【0040】
また、染料定着層に用いるフィラーとしては、平均粒子径が小さくより高光沢な面が得られやすい乾式法のシリカ、あるいはコロイダルシリカが好適に用いられる。
中でも2次凝集体の平均粒子径が50〜300nmである乾式シリカを用いた場合、インク吸収に必要な十分な空隙が形成されるためにインク吸収性に優れるだけではなく、高光沢なインクジェット用記録媒体を得ることができるためにより好ましい。
【0041】
本発明で用いるバインダーとは、特に限定されるものではないが、フィラーとの親和性に優れる樹脂を用いることが好ましい。
例えば、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール類、ウレタン樹脂、ポリエステル、SBRラテックス、ヒドロキシセルロース類、ポリビニルピロリドン等の樹脂を単体、或いは2種類以上を混合させたものを用いることが出来る。
【0042】
本発明で用いるカチオン性成分とは、分子構造中にカチオン性成分を持つものであり、フィラー中(表面処理を含む)、あるいはバインダー中、あるいは各種添加剤中のいずれでも構わない。また、カチオンの種類も問わないが、中でも窒素原子が四級化した四級アンモニウム塩が入手容易かつ安価であり好適である。
【0043】
本発明におけるインク受容層あるいは染料定着層のフィラーとバインダーの混合比率は特に限定されるものではないが、インク吸収性の面からフィラーによる空隙をできるだけ多くすることが好ましく、通常フィラーとバインダー比が、3/2〜12/1の範囲、より好ましくは2/3〜1/10の範囲である。これらの範囲よりフィラーの比率が高くなると、成膜時にバインダーの結着力の不足が生じ、ひび割れしたり、膜が脆くなり剥がれる場合もある。またこれらの範囲よりバインダーの比率が高くなると、フィラーの空隙が塞がれる為、インクの吸収能力が低下し、滲みや乾燥不良、あるいはコックリングの原因となる。
【0044】
インク受容層の塗布量に関しては特に限定されず、また単層、もしくは多層どちらでも構わないが、総じてインクを物理的に十分に吸収できる塗布量を選定することが好ましい。通常は1〜50g/m2、好ましくは10〜30g/m2の範囲である。塗布量が少ない場合は、インク吸収量が十分とならず、滲みや、支持体へのインク吸収によるコックリングの原因となる。逆に多い場合は、コスト高となったり、膜が脆くなり粉落ちの原因となる。
この染料定着層の塗布量に関しては、特に限定されないが、通常、2〜30g/m2、好ましくは5〜15g/m2の範囲である。塗布量が少なすぎる、もしくは多すぎる場合には、転写不良の原因となり、具体的には、塗布量が少ない場合インク吸収量が不足し、塗布量が多い場合はコスト高となる。
【0045】
また、ある特定の印刷用紙の風合いに特に類似したインクジェット記録媒体を得るためには、インク受容層、もしくは染料定着層中に顔料を混合させ、色合いを調整する。使用する顔料に関しては特に制限されないが、中間層の本来の目的を逸脱させない顔料の種類、添加量を選択する。例えば、イエロー顔料としてはチタンイエロー、マゼンタ顔料としてはベン柄、シアン顔料としてはコバルトブルーが用いられる。
【0046】
本発明においては、各層には必要に応じて架橋剤、染料固着剤、蛍光増白剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、分散剤等の添加剤を、本発明の目的を防げない範囲で、従来公知のものから任意に選択し含有させても良い。
【0047】
また、帯電防止性、搬送性、カール防止性などの諸特性改善のため、保護層、中間層、および背面層を設けてもよい。
本発明のインクジェット記録媒体を作成するに当たっては、樹脂とフィラーおよび添加剤を、分散機等を用いて分散、混合、または溶解する従来公知の方法を用いれば良い。
【0048】
また、インク受容層の支持体上への塗工や染料定着層の転写用フィルム上への塗工に際しても、例えばロールコーター法、フレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、サイズプレスコーター法、グラビアコーター法、バーコーター法、リップコーター法、ダイコーター法等により支持体表面に塗布する。
【0049】
<作用>
以上説明したように、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法によれば、インクジェット方式により印刷を行った場合、高光沢、かつ印画濃度の高く、色域再現範囲が広く、経時での色差(ΔE)が小さいインクジェット用記録媒体を得ることができる。さらに印画物がオフセット印刷やグラビア印刷の印画物と類似した光沢感を持つため、印刷の校正用途としても好適なインクジェット用記録媒体を得ることができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。文中、「部」は特に断りのない限り重量基準であり、また、固形分基準である。
【0051】
<インク受容層の形成>
インク受容層としては、以下に示す組成にて調液を行った。
シリカ X−37B(トクヤマ社製) 10部
ポリビニルアルコール PVA−117(クラレ社製) 4部
水 86部
これらを混合させてガラスビーズを加え、ペイントシェーカーを用いて40分間分散を行い、インク受容層用塗工液を作成した。
次に、支持体として市販の印刷用紙であるOKプリンス上質(王子製紙社製、127.9g/m2)を用い、この片面上に、上記インク受容層塗工液を乾燥後の塗布量が30g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、100℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、インク受容層を形成させた。
【0052】
<フィルム表面処理>
市販のポリエチレンフィルムであるG100(三菱化学ポリエステルフィルム社製、25μm)の片面に、負極性の電極を用いたコロナ帯電装置を用いて、印加電圧−4kVにて印加時間1秒処理を行い、表面をマイナスに帯電させ、表面がマイナスに帯電された転写用フィルムを得た。
【0053】
(参考例1)
染料定着層用溶液は下記の割合となるように混合させてホモジナイザーを用いて分散させることにより作成した。
乾式シリカ水分散液
(平均1次粒子径7nm、20%水分散液で使用) 50部
ポリビニルアルコール PVA−235
(クラレ社製、12%水溶液で使用) 15部
IPA 3部
この染料定着層用溶液を、上記表面処理を行った転写用フィルム上へ乾燥塗布量が8g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布した。速やかに上記インク受容層を重ね合わせ、ローラーを用いて貼り合わせた後、100℃のオーブンにて3分間乾燥させた。転写用のフィルムを剥離させ、インクジェット用記録媒体を得た。
【0054】
(実施例1)
染料定着層用溶液を下記の割合となるようにした他は、実施例1と同様の手順で操作を行い、インクジェット用記録媒体を作成した。
カチオン変性乾式シリカ水分散液
(平均1次粒子径7nm、20%水分散液で使用) 50部
ポリビニルアルコール PVA−235
(クラレ社製、12%水溶液で使用) 15部
IPA 3部
【0055】
(実施例2)
染料定着層溶液を下記の割合となるようにした他は、実施例1と同様の手順で操作を行い、インクジェット用記録媒体を得た。
カチオン変性乾式シリカ分散液
(平均1次粒子径7nm、20%水分散液で使用) 50部
ポリビニルアルコール PVA−235
(クラレ社製、12%水溶液で使用) 15部
ポリアリルアミン PAS−H−5L
(日東紡社製、28%水溶液) 0.5部
【0056】
(参考例2)
染料定着層用溶液を下記の割合となるようにした他は、実施例1と同様の手順で操作を行い、インクジェット用記録媒体を得た。
乾式シリカ分散液
(平均1次粒子径40nm、20%水分散液で使用) 50部
ポリビニルアルコール PVA−235
(クラレ社製、12%水溶液で使用) 15部
【0057】
(参考例3)
転写用フィルムについて、市販のマット調ポリエステルフィルムであるPTH−50(ユニチカ社製、50μm)の上記表面処理を行った転写用フィルムを用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体を得た。
【0058】
(比較例1)
転写用フィルムについて、上記表面処理の行っていない未処理のフィルム(G100)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体を得た。
【0059】
(比較例2)
実施例1と同組成の染料定着層用溶液を用い、上記方法により作成されたインク受容層の上に、直接ワイヤーバーにて乾燥後の塗布量が8g/m2となるように塗布し、100℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、インクジェット用記録媒体を得た。
【0060】
(比較例3)
実施例1の製造方法において、インク受容層を設けていない支持体(OKプリンス上質)を用いた他は、同様の操作を行い、インクジェット用記録媒体を得た。
【0061】
上記の通り得られたインクジェット用記録媒体について、60°光沢度計IG−320(HORIBA製)を用いて光沢度を測定した。また、キヤノン製インクジェットプリンター(製品名;BJ−F870)を用いて、評価画像を形成させた。
Y、M、C、R、G、Bのベタパターンより、印画30分後、さらに印画24時間後の色域をスペクトロリノ(グレタグマクベス社)を用いて測定し、そこから色差を求め、各色の平均を示した。また24時間後の色域をオフセット印刷の再現範囲と比較した。さらに、印画部光沢感の視覚評価も行った。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0004042457
【0063】
〔印画部光沢感〕
印画部を目視し、その光沢感を観察した。
○; 未印画部と印画部で光沢感が上昇し、印刷物に類似する。
△; 未印画部と印画部で光沢感が変化しないが、光沢感はある。
×; 未印画部と印画部で光沢感が変化せず、かつ光沢感がない。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明のインクジェット用記録媒体の製造方法によると、印画部の光沢感が未印画部の光沢感と比較して高く、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷物に類似した画像が得られ、また、色域が広く、色差の変化の値が小さいために、オフセット印刷やグラビア印刷の校正用途としても好適なインクジェット用記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録媒体の一実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1・・・インクジェット記録媒体
2・・・支持体
3・・・インク受容層
4・・・染料定着層

Claims (7)

  1. 電気的にマイナスに帯電されている基材フィルム上に、少なくともカチオン変性乾式シリカフィラー及びバインダーを主成分とした染料定着層を設けたことを特徴とする転写フィルム。
  2. 前記カチオン変性乾式シリカフィラーの1次粒子の平均粒子径が3〜50nmである事を特徴とする請求項1に記載の転写フィルム。
  3. 前記基材フィルムの少なくとも染料定着層を塗工する面が、光沢調整を目的とした表面処理を施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の転写フィルム。
  4. フィラー及びバインダーを主成分としたインク受容層を少なくとも1層設けた支持体の、前記インク受容層面に、請求項1ないし3のいずれかの転写フィルムの染料定着層面を重ね合わせた後、転写用フィルムを剥離させることを特徴とするインクジェット用記録用媒体の製造方法。
  5. 前記支持体のインク受容層面に、転写フィルムの染料定着層面を重ね合わせることを、乾燥前に行い、重ね合わせ後乾燥することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット用記録用媒体の製造方法。
  6. フィラー及びバインダーを主成分としたインク受容層を少なくとも1層設けた支持体の、前記インク受容層面に、請求項1ないし3のいずれかの転写フィルムの染料定着層面を重ね合わせた後、転写用フィルムを剥離させて作成したことを特徴とするインクジェット用記録用媒体。
  7. 前記支持体のインク受容層面に、転写フィルムの染料定着層面を重ね合わせることを、乾燥前に行い、重ね合わせ後乾燥させて作成したことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット用記録用媒体。
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