JP4042302B2 - 計器及びその発光指針 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車等の車両用計器その他各種の計器及びその発光指針に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗用車用計器においては、例えば、実公昭58−13693号公報にて示すような発光指針を備えたものがある。この計器の発光指針は、その回動基部にて、目盛り盤の裏面側からその貫通穴部を通り回動可能に延出する回動内機の指針軸の先端部に支持されている。そして、指針用光源が目盛り盤の貫通穴部を通して発光指針の回動基部に対向するように目盛り盤の裏面側に配設されている。これにより、指針用光源の光が目盛り盤の貫通穴部を通り発光指針の回動基部内に入射するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記計器では、発光指針の回動基部内に入射した光を発光指針の指針部に導入するため、回動基部には、両反射面が、発光指針の長手方向において指針軸の先端部を介し互いに間隔をおいて対向するように形成されている。これにより、両反射面は、それぞれ、回動基部から入射した光を指針部内に向け反射する。
【0004】
しかし、両反射面のうち指針部側に位置する反射面、即ち前側反射面は、回動基部への入射光を指針部内に向け反射するため、残りの反射面である後側反射面よりも指針部側にて回動基部にその上面から断面V字状の切り欠きを形成することで形成されている。
【0005】
このため、回動基部に入射して後側反射面により反射される光は、一度、上記切り欠きから外部に出射した後、再び前側反射面を通り回動基部内に入射した上で指針部内に進むことになる。
【0006】
従って、このように、切り欠きから外部に出射した後再び前側反射面を通り回動基部内に入射するときに、両反射面の間隔が広いと、光が減衰してしまい、指針部内への入射光量が大幅に減少し、結果として、指針部の発光輝度の著しい低下を招くという不具合が生ずる。
【0007】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、回動基部から指針部への入射光量を良好に確保するように工夫を凝らした発光指針及びこの発光指針を用いた計器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、請求項1に記載の発明に係る計器用発光指針は、指針軸(41)の先端部により支持される回動基部(21a)と、この回動基部から一体に延出する指針部(21b)とを備え、回動基部の裏面が光の入射面であり、回動基部及び指針部が導光材料により構成されており、回動基部は、指針軸の先端部よりも指針部側に位置して当該指針部の内部及び回動基部の裏面を臨む第1反射面(21d)と、この第1反射面に対向する出射面(22f)と、指針軸の先端部よりも第1反射面に対し後方側に位置して出射面を通して第1反射面を臨むと共に回動基部を通してその裏面を臨む第2反射面(22c乃至22e)とを有する。当該発光指針において、出射面は、第1反射面に狭隙(g)を介し並行に形成されていることを特徴とする。
【0009】
これにより、回動基部内にその裏面から光が入射すると、この光は、第1反射面により指針部内に反射され、第2反射面により出射面及び第1反射面を通して指針部内に反射される。
【0010】
ここで、第1反射面と出射面とは空隙を介し対向しているので、第1反射面に入射する光は、空隙で減衰することなく、指針部内に効率よく入射する。従って、指針部は良好な輝度にて発光し得る。
【0011】
また、請求項2に記載の発明に係る計器用発光指針は、
指針軸(41)の先端部により支持される回動基部(21a)及びこの回動基部から一体に延出する指針部(21b)を備える第1部材(21)と、回動基部にその後部から設けられた第2部材(22)とを備える。
【0012】
当該発光指針において、回動基部は、指針軸の先端部よりも指針部側にて回動基部を通しその裏面を臨むと共に指針部内を臨むように傾斜する後端面(21d)を有し、第2部材は、後端面に空隙(g)を介し並行に位置する出射面(22f)と、指針軸の先端部よりもこの出射面の後方側にてこれに並行に位置すると共に第2部材を通しその裏面を臨むように位置する反射面(22c乃至22e)とを備え、回動基部の裏面及び第2部材の裏面が光の入射面であり、第2部材は導光材料により形成され、第1部材は、第2部材よりも屈折率の高い導光材料により形成されている。
【0013】
これにより、回動基部内にその裏面から入射する光は後端面により指針部内に反射され、第2部材内にその裏面から入射する光は反射面により反射されて出射面、空隙及び後端面を通り指針部内に入射する。
【0014】
ここで、後端面と出射面との間に空隙を形成し、第1及び第2の部材で上述のように各屈折率に高低を与え、かつ後端面、出射面及び反射面を上述のように傾斜状に並行に位置させたので、出射面からの光を空隙での光量減少を伴うことなく後端面に後端面に入射させ得る。その結果、発光指針の指針部の輝度を良好に確保できる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の計器用発光指針において、第2部材の出射面には光拡散処理がなされていることを特徴とする。
【0016】
これにより、出射面から後端面への光の入射を容易にすることができ、その結果、請求項2に記載の発明の作用効果をより一層向上できる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の計器用発光指針において、第2部材の出射面には、当該第2部材よりも屈折率の低い透光材料で表面処理されていることを特徴とする。これによっても、請求項2に記載の発明と同様の作用効果を達成できる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明に係る計器は、
目盛り盤(10a、10b)と、
この目盛り盤の面に沿うように指針軸により支持される請求項2乃至4のいずれか1つに記載の発光指針と、
第1部材の回動基部内にその裏面から光を入射するとともに第2部材内にその裏面から光を入射する光源(50)とを備え、
発光指針は、第1部材において回動基部内への入射光を後端面により指針部内に向け反射し、第2部材においてその裏面からの入射光を反射面により反射して出射面及び空隙を通し指針部内に後端面から入射することで、指針部にて発光する。
【0019】
これにより、請求項2乃至4のいずれか1つに記載の発明の作用効果を達成し得る計器の提供が可能となる。
【0020】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面により説明する。図1及び図2は、本発明が乗用車用計器に適用された例を示している。この計器は、コンビネーションメータとして、当該乗用車の車室内に設けたインストルメントパネルに配設されている。
【0022】
当該計器は計器板10を備えており、この計器板10は、図1にて示すごとく、左右両側目盛り盤10a、10b及びインジケータ部10cを備えている。目盛り盤10aは、当該乗用車のスピードメータ用であり、目盛り盤10bは当該乗用車のタコメータ用であり、インジケータ部10cは当該乗用車のオートマチックトランスミッション用である。
【0023】
また、当該計器は左右両発光指針20を備えている。左側発光指針20を例にとり、その構成につき説明すると、この左側発光指針20は、目盛り盤10aの表面に沿い回動するもので、この左側発光指針20は、図1及び図2にて示すごとく、指針本体20aと、キャップ20bとにより構成されている。指針本体20aは、図2にて示すごとく、第1部材21及び第2部材22を備えている。
【0024】
第1及び第2の各部材21、22は、導光性樹脂材料により構成されているが、第1部材21は、透明のポリカーボネート樹脂により形成され、一方、第2部材22は、透明のアクリル樹脂により形成されている。ここで、ポリカーボネート樹脂の光に対する屈折率はn=1.59であり、アクリル樹脂の光に対する屈折率はn=1.49である。
【0025】
第1部材21は、図2乃至図5にて示すごとく、回動基部21aと、この回動基部21aから一体に延出する長手状指針部21bとを備えている。この第1部材21は、回動基部21aの裏面から延出するボス21cにて、筒状導光部材30を通り同軸的に延出する回動内機40の指針軸41の先端部に同軸的に支持されている。
【0026】
第1部材21において、回動基部21aは、図2にて示すごとく、後端面21d(指針部21bの後端面に相当)を有しており、この後端面21dは、図示上縁からボス21cの上端面にかけて、左側から右側へ傾斜するように形成されている。ここで、後端面21dとボス21cの上端面との境界線は、図2にて示すごとく、指針軸41の先端部よりも指針部21b側に位置している。
【0027】
これにより、第1部材21では、後端面21dが、回動基部21a内にその裏面から入射する光を指針部21b内に向けて反射する。
【0028】
第2部材22は、その着座面22aにて、第1部材21のボス21cの上端面上に着座して固着されており、この第2部材22の裏面22bは導光部材30の上端面に対向している。
【0029】
第2部材22は、各反射面22c乃至22e及び出射面22fを備えている。各反射面22c乃至22eは第1部材21の後端面21dに平行な第2部材22の傾斜状後端面でもって構成されており、この後端面は、反射面22cを、両反射面22d、22eの間にてこれら両反射面22d、22eよりも第1部材21の後端面21d側に位置させるように形成されている(図3及び図5参照)。これにより、第2部材22内にその裏面から入射する光は、各反射面22c乃至22eにより出射面22fに向けて反射される。
【0030】
また、出射面22fは、第1部材21の後端面21dに平行に狭い空隙g(例えば、約0.1mm乃至1mmの範囲の値をもつ)を介して対向しており、この出射面22fは、第2部材22内にて各反射面22c乃至22eにより反射される光を出射して空隙gを通して第1部材21内に後端面21dから入射する。本実施形態では、後端面21d及び各反射面22c乃至22eの指針軸41の軸方向に対する傾斜角は、第1及び第2の部材21、22の各屈折率n及びその差を考慮して指針本体20aの回動基部内に全反射するように設定されている。なお、キャップ20bは、指針本体20aの回動基部21a及び第2部材22を上方から被う。
【0031】
導光部材30は、その上端部にて、目盛り盤10aの貫通穴部11内に同軸的に嵌着されており、この導光部材30は、後述する各光源50からの光を導入して、その上端面から第1部材21の回動基部21a及び第2部材22にその各裏面から入射する。
【0032】
回動内機40は、指針軸41と、内機本体42とを備えており、指針軸41は、回動内機42から配線板60を通り導光部材30内に回動可能に延出している。配線板60は、内機本体42の上端にて計器板10に並行に支持されており、この配線板60には、各光源50が、指針軸41の軸周りにて、導光部材30の下端面に対向して設けられている。これにより、各光源50は、導光部材30内にその下端面から光を入射する。なお、当該計器では、タコメータ側も、スピードメータ側と同様に構成されている。
【0033】
このように構成した本実施形態において、各光源50の光が導光部材30の内部を通り第1部材21の回動基部及び第2部材22にその各裏面から入射すると、第1部材21では、回動基部21aに入射した光が後端面21dにより反射されて指針部21b内に進む。
【0034】
また、第2部材22では、その裏面22bから入射した光が各反射面22c乃至22eにより第2部材22内にて出射面22fに向け反射される。このように反射された光は出射面22f及び空隙gを通り第1部材21の回動基部21a内に入射されて指針部21b内に進む。
【0035】
ここで、上述のように、第2部材22の屈折率(n=1.49)は第1部材21の屈折率(n=1.59)よりも低く設定されている。また、第1部材21の後端面21d並びに第2部材22の各反射面22c乃至22e及び出射面22fは互いに並行であって、上述のように指針軸41の軸方向に対し傾斜している。しかも、後端面21dと出射面22fとが狭い空隙gを介して対向している。従って、第2部材22から第1部材21への光の入射効率が高く維持される。
【0036】
これにより、第2部材22内で各反射面22c乃至22eにより反射される光は、空隙gで光量の減少、即ち、光の減衰を伴うことなく、かつ、出射面22f及び後端面21dで指針部21bの内部に向く方向からずれることなく、第1部材21の回動基部21a内に後端面21dから入射する。その結果、発光指針20は良好な輝度にて発光し得る。
【0037】
また、各反射面22c乃至22eは第2部材22において上述のように位置ずれして形成されているので、発光指針20の回動位置とはかかわりなく、導光部材30からの光を効率よく利用できる。
【0038】
図6は上記実施形態の変形例を示している。この変形例では、上記実施形態にて述べた発光指針20の指針本体20aにおいて、透光層23が、透明の塗料或いは印刷材料(アクリル樹脂よりも低い屈折率を有する)でもって、第2部材22の出射面22fに、層状に塗布或いは印刷により形成されている。なお、透光層23の外面と第1部材21の後端面21dとの間には上記狭隙gが形成されている。その他の構成は上記実施形態と同様である。
【0039】
このように構成した本変形例では、上記実施形態と同様に第2部材22内にその裏面から入射した光は、各反射面22c乃至22eにより出射面22fに向けて反射される。すると、この反射光は出射面22f、透光層23及び空隙gを透過して第1部材21内にその後端面21dから入射されて指針部21b内に進む。
【0040】
ここで、上述のように、第2部材22の出射面22fには透光層23が形成されており、この透光層23の屈折率は、第2部材22の屈折率よりも、例えば、第1部材21の屈折率程度と低いことを除き、その他の指針本体20aにおける光学的条件は上記実施形態と同様である。
【0041】
これにより、第2部材22内で各反射面22c乃至22eにより反射される光は、透光層23をそのまま通り、空隙gで光量の減少を伴うことなく、かつ、後端面21dで指針部21bの内部に向く方向からずれることなく、第1部材21の回動基部21a内に後端21dから入射する。その結果、発光指針20は良好な輝度にて発光し得る。その他の作用効果は上記実施形態とである。なお、本変形例では、第1部材21の屈折率は透光層23や第2部材22の屈折率よりも低くても高くてもよい。
【0042】
なお、上記変形例では、第2部材22の出射面22fに透光層23を形成するようにしたが、これに代えて、出射面22fに、型しぼ処理により光拡散処理を施せば、出射面22fから第1部材21の後端面21dへの光の出射が容易となり、その結果、上記変形例と実質的に同様の作用効果を達成できる。
【0043】
また、本発明の実施にあたり、第1部材21及び第2部材22の各屈折率は、上記実施形態にて述べた例に限ることなく、上記実施形態にて述べたように第2部材22から第1部材21内に効率よく光を入射できる程度であればよい。例えば、第2部材22の形成材料として、透明のエポキシ樹脂(屈折率n=1.57をもつ)を採用してもよい。
【0044】
また、本発明の実施にあたり、第1及び第2の部材21、22を同一の導光材料により一体に形成してもよい。
【0045】
また、本発明の実施にあたり、目盛り盤は、発光指針の上方に位置していてもよい。
【0046】
また、本発明の実施にあたり、乗用車用計器に限ることなく、各種車両用計器その他各種の計器の発光指針に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す部分破断正面図である。
【図2】図1にて2−2線に沿う断面図である。
【図3】図2の発光指針の平面図である。
【図4】図2の発光指針の下面図である。
【図5】図3にて5−5線に沿う断面図である。
【図6】上記実施形態の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
10a、10b…目盛り盤、20…発光指針、21…第1部材、
21a…回動基部、21b…指針部、21d…後端面、22…第2部材、
22c乃至22e…反射面、22f…出射面、23…透光層、
41…指針軸、50…光源、g…空隙。

Claims (5)

  1. 指針軸(41)の先端部により支持される回動基部(21a)と、この回動基部から一体に延出する指針部(21b)とを備え、
    前記回動基部の裏面が光の入射面であり、
    前記回動基部及び前記指針部が導光材料により構成されており、
    前記回動基部は、前記指針軸の先端部よりも前記指針部側に位置して当該指針部の内部及び前記回動基部の裏面を臨む第1反射面(21d)と、この第1反射面に対向する出射面(22f)と、前記指針軸の先端部よりも前記第1反射面に対し後方側に位置して前記出射面を通して前記第1反射面を臨むと共に前記回動基部を通してその裏面を臨む第2反射面(22c乃至22e)とを有する計器用発光指針において、
    前記出射面は、前記第1反射面に狭隙(g)を介し並行に形成されていることを特徴とする計器用発光指針。
  2. 指針軸(41)の先端部により支持される回動基部(21a)及びこの回動基部から一体に延出する指針部(21b)を備える第1部材(21)と、前記回動基部にその後部から設けられた第2部材(22)とを備え、
    前記回動基部は、前記指針軸の先端部よりも前記指針部側にて前記回動基部を通しその裏面を臨むと共に前記指針部内を臨むように傾斜する後端面(21d)を有し、
    前記第2部材は、前記後端面に空隙(g)を介し並行に位置する出射面(22f)と、前記指針軸の先端部よりもこの出射面の後方側にてこれに並行に位置すると共に前記第2部材を通しその裏面を臨むように位置する反射面(22c乃至22e)とを備え、
    前記回動基部の裏面及び前記第2部材の裏面が光の入射面であり、
    前記第2部材は導光材料により形成され、前記第1部材は、前記第2部材よりも屈折率の高い導光材料により形成されている計器用発光指針。
  3. 前記第2部材の前記出射面には光拡散処理がなされていることを特徴とする請求項2に記載の計器用発光指針。
  4. 前記第2部材の前記出射面には、当該第2部材よりも屈折率の低い透光材料で表面処理されていることを特徴とする請求項2に記載の計器用発光指針。
  5. 目盛り盤(10a、10b)と、
    この目盛り盤の面に沿うように前記指針軸により支持される請求項2乃至4のいずれか1つに記載の発光指針と、
    前記第1部材の前記回動基部内にその裏面から光を入射するとともに前記第2部材内にその裏面から光を入射する光源(50)とを備え、
    前記発光指針は、前記第1部材において前記回動基部内への入射光を前記後端面により前記指針部内に向け反射し、前記第2部材においてその裏面からの入射光を前記反射面により反射して前記出射面及び前記空隙を通し前記指針部内に前記後端面から入射することで、前記指針部にて発光するようにした計器。
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