JP4042232B2 - ガス測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一つ又は複数個のガスセンサを備え、ガスセンサによるサンプルガス検出時の検出信号と測定の基準となるゼロガス検出時の検出信号からサンプルガスの定性又は定量を行なうガス測定装置に関するものである。このようなガス測定装置は、ガス分析装置や、気体の香気、臭気などを定量、識別又はモニタするにおい計測計、におい計測計を用いた脱臭装置や非破壊検査装置などに適用される。
【0002】
【従来の技術】
ガスセンサとして、サンプルガス中のにおい成分との酸化還元反応により酸化物半導体の電気抵抗が変化する現象を利用する酸化物半導体センサ、におい成分の吸着により導電性高分子の導電率が変化する現象を利用する導電性高分子センサ、水晶振動子やSAWデバイスの表面に感応膜を形成し感応膜へのにおい成分の吸着による重量変化に伴い共振振動数が変化する現象を利用するガスセンサもある。
ガスセンサを用いてサンプルガス中のにおい成分を測定するガス測定装置(におい測定装置)は、一つ又は複数のガスセンサを備えており、ガスセンサからの信号をそのまま表示するか、又は複数の信号を多変量解析に持ち込む、いわゆるケモメトリクスと呼ばれる技術を応用してサンプルガス中のにおい成分を測定している。
【0003】
酸化物半導体センサを用いたガス測定装置では、サンプルガスを測定した後、ガスセンサ表面に付着したサンプルガスの成分を除去するために、ガスセンサに清浄なガスを流すことにより、ガスセンサのクリーニングが行なわれる。サンプルガスの測定時間については装置によって規定されているが、サンプルガスの測定の合間に実施されるクリーニングの時間や、複数のサンプルガスを測定する場合の測定順序については、それぞれオペレータが任意に決定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
酸化物半導体センサでは、サンプルガスを測定後、酸化物半導体の電気抵抗値がサンプルガス測定前の値まで回復するには、サンプルガスの酸化還元反応により失われたガスセンサ表面の酸素吸着状態が測定前の状態に回復する必要がある。そのため、電気抵抗値の回復には長時間が必要であり、再現性よく測定するためには次回の測定までに長時間待機する必要があった。
また、酸化物半導体センサに限らず、導電性高分子センサにおいても、サンプルガスを測定した後、測定前の電気抵抗値に回復するまで待たずに次の測定を開始すると、ガスセンサの電気抵抗値に前の測定時の履歴が残り、履歴はサンプルガスの構成成分や濃度、待機時間によって異なるので、その履歴の影響のばらつきにより次の測定が正確にできないという問題が生じる。
そこで本発明は、ガス測定装置において、再現性を低下させることなく測定間隔を短くすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一つ又は複数個の酸化物半導体ガスセンサを備え、そのガスセンサによるサンプルガス検出時の検出信号と測定の基準となるゼロガス検出時の検出信号からサンプルガスの定性又は定量を行なうガス測定装置であって、サンプルガスを供給するサンプルガス供給機構及びゼロガスを供給するゼロガス供給機構のほかに、サンプルガスを測定する前又はサンプルガス測定中に、ガスセンサが応答を示す成分を一定濃度に含むガス(以下、履歴安定ガスという)をガスセンサに供給する履歴安定ガス供給機構を備え、履歴安定ガスを検出したことによるガスセンサの応答履歴が一定の割合で残った状態でゼロガス検出とサンプルガス検出を行なうようにしたものである。
【0008】
サンプルガスの種類や流量、圧力などが同じであれば、測定後のガスセンサの電気抵抗値が測定前の値に回復する過程における傾向はほぼ一定である。サンプルガスの測定を行なう前に履歴安定ガスをガスセンサに供給してガスセンサを応答させ、所定の一定時間経過させるか、もしくはガスセンサの電気抵抗値又は抵抗変化率をモニタしておくことにより、履歴安定ガスによる一定の履歴を残すことができる。また、サンプルガスに履歴安定ガスを混合した状態で測定を行なっても履歴安定ガスによる一定の履歴をもった状態で測定を行なうことができる。その結果、測定間隔時間を短くしても、再現性を低下させずに、サンプルガス測定開始時のガスセンサの特性値を一定にすることができる。
【0009】
【実施例】
図1は、第1の比較例及びその動作を表す概略構成図である。装置内に酸素を含む清浄な空気をゼロガス又はキャリアガスとして導入するために活性炭フィルタ1が備えられている。活性炭フィルタ1の出口側からの流路は2つに分岐しており、一方の流路はサンプル瓶3を介して、他方の流路はサンプル瓶3を介さずに、電磁バルブV1に接続されている。電磁バルブV1は、電磁バルブV2を介して、ガス応答特性の異なる例えば6種類の酸化物半導体センサを備えたセンサ部5に接続されている。電磁バルブV2には、酸素ガス流量を調節するニードルバルブ7を介して酸素ガスボンベ9が接続されている。電磁バルブV2は、電磁バルブV1からの流路と酸素ガスボンベ9からの流路を切り替えてセンサ部5に接続する。
【0010】
センサ部5の出口側の流路は、電磁バルブV3により2つの流路に分岐されており、一方の流路は、ニードルバルブ11及びポンプ13を介して、他方の流路はそれらのニードルバルブ11及びポンプ13を介さずに、それらの流路が合流してセンサ部5に供給されたガスの流量をモニタする流量計15に接続されている。
第1の発明の酸素回復ガス供給機構は、電磁バルブV2,V3、ニードルバルブ7及び酸素ガスボンベ9により構成される。
【0011】
次に、動作を説明する。
(A)まず、ゼロガスをセンサ部5に供給するために、電磁バルブV1及びV2により、サンプル瓶3を介さずに、活性炭フィルタ1をセンサ部5に接続し、電磁バルブV3により、センサ部5の出口側をニードルバルブ11及びポンプ13に接続する。ポンプ13を作動させて、ニードルバルブ11により調節される一定の流量で、活性炭フィルタ1から電磁バルブV1及びV2を介して清浄な空気をゼロガスとしてセンサ部5に導入する。センサ部5の各ガスセンサの電気抵抗値を測定し、それらの電気抵抗値が安定したときの値をRbとする。
【0012】
(B)次に、電磁バルブV1を切り替えて、活性炭フィルタ1からの清浄な空気をキャリアガスとしてサンプル瓶3に導き、サンプル瓶3のヘッドスペース部のガスをキャリアガスとともに、サンプルガスとしてセンサ部5に導入する。サンプルガスをセンサ部5に導入してから設定された所定時間経過後、各ガスセンサの電気抵抗値を測定し、そのときの電気抵抗値をRsとする。
各ガスセンサについて、センサ出力を−log(Rs/Rb)として算出し、それらのセンサ出力を多変量解析して、サンプルガスの同定、認識又は定量を行なう。
また、サンプルガスの導入時間は、電磁バルブV1を切り替えることにより、サンプルごとに任意に設定できる。
【0013】
(C)サンプルガスの測定終了後、電磁バルブV2を切り替えて、酸素ガスボンベ9をセンサ部5に接続し、電磁バルブV3を切り替えて、センサ部5の出口側をニードルバルブ11及びポンプ13を介さずに流量計15に接続する。ゼロガス又はサンプルガスをセンサ部5に導入した時と同じ流量になるように、ニードルバルブ7により流量を調節して、酸素ガスボンベ9からニードルバルブ7及び電磁バルブV2を介して酸素ガスをセンサ部5に導入する。センサ部5のガスセンサの表面状態は、サンプルガスとの酸化還元反応によって酸素が少なくなっており、酸素ガスを供給することにより、その表面状態の回復をゼロガス供給時よりも早めることができる。
【0014】
センサ部5の各ガスセンサの電気抵抗値を一定時間間隔でモニタし、各ガスセンサの電気抵抗値が、動作(A)で測定した電気抵抗値Rbと一致もしくは近い値になったときに、各ガスセンサの表面状態が回復したと判断する。その後、電磁バルブV1、V2及びV3を切り替えて、動作(A)の流路接続状態にして各ガスセンサの電気抵抗値Rbを測定する。
次に、サンプル瓶3に他のサンプルを設置した後、電磁バルブV1を切り替えて、動作(B)の流路接続状態にして他のサンプルを測定する。
このように、この比較例では、ガスセンサの酸素吸着状態の回復を早めることができるので、ガスセンサの電気抵抗値が測定前の値に戻る時間を短縮でき、それによって、再現性を低下させることなく、短時間での測定を行なうことができる。
【0015】
図2は、他の比較例及びその動作を表す概略構成図である。図1と同じ部分には同じ符号を付し、それらの部分の説明は省略する。
活性炭フィルタ1の出口側からの流路は2つに分岐しており、一方の流路はサンプル瓶3を介して、他方の流路は紫外線ランプ17を備えたオゾン製造部19を介して、電磁バルブV4に接続されている。電磁バルブV4はセンサ部5の入口側に接続されている。
センサ部5の出口側の流路は、ニードルバルブ21及びポンプ23を介して、流量計15に接続されている。
この比較例では、第1の発明の酸素回復ガス供給機構は、電磁バルブV4、紫外線ランプ17及びオゾン製造部19により構成される。
【0016】
次に、動作を説明する。
(A)まず、ゼロガスをセンサ部5に供給するために、電磁バルブV4により、オゾン製造部19を介して、活性炭フィルタ1をセンサ部5に接続する。紫外線ランプ17を消灯した状態で、ポンプ23を動作させて、ニードルバルブ21により調節される一定の流量で、活性炭フィルタ1からオゾン製造部19及び電磁バルブV4を介して清浄な空気をゼロガスとしてセンサ部5に導入する。センサ部5の各ガスセンサの電気抵抗値を測定し、それらの電気抵抗値が安定したときの値をRbとする。
【0017】
(B)次に、電磁バルブV4を切り替えて、活性炭フィルタ1からの清浄な空気をキャリアガスとしてサンプル瓶3に導き、サンプル瓶3のヘッドスペース部のガスをキャリアガスとともに、サンプルガスとしてセンサ部5に導入する。サンプルガスをセンサ部5に導入してから設定された所定時間経過後、各ガスセンサの電気抵抗値を測定し、そのときの電気抵抗値をRsとする。
各ガスセンサについて、センサ出力を−log(Rs/Rb)として算出し、それらのセンサ出力を多変量解析して、サンプルガスの同定、認識又は定量を行なう。
【0018】
(C)サンプルガスの測定終了後、電磁バルブV4を切り替えて、オゾン製造部19を介して、活性炭フィルタ1をセンサ部5に接続する。紫外線ランプ17を点灯し、オゾン製造部19内の流路で活性炭フィルタ1から供給される清浄な空気に紫外線を照射してオゾン含有ガスを製造する。そのオゾン含有ガスを電磁バルブV4を介してセンサ部5に導入する。オゾン含有ガスを供給することにより、ガスセンサ表面の酸素吸着状態の回復を早めることができる。
このような構成にすることにより、酸素ガスボンベを用いなくてもガスセンサ表面の酸素吸着状態を早期に回復させることができる。
【0019】
酸素回復ガス供給機構の構成は、酸素ガスやオゾンの他に、酸化二窒素などの酸化剤や活性酸素を含み、酸化作用をもつガスをガスセンサに供給することができる機構であれば、どのような機構でもよい。
さらに、ガスセンサに酸素回復ガスを供給している間、所定の時間だけガスセンサを動作温度よりも上昇させることが好ましい。その結果、ガスセンサ表面に付着したサンプルガスの成分を除去する時間を短縮することができ、ガスセンサの表面状態の回復をさらに早めることができる。
【0020】
図3は、本発明を酸化物半導体センサを用いたガス測定装置に適用した一実施例を表す概略構成図である。
サンプルガス又は履歴安定ガスが接続されるガス入口29が電磁バルブ31に接続されている。電磁バルブ31には、電磁バルブ33及びニードルバルブ35を介して窒素ガスボンベ37も接続されており、電磁バルブ31は流路を適宜切り換えて、六方ロータリーバルブ39の1つのポートに、サンプルガス、履歴安定ガス又は窒素ガスを送る。
履歴安定ガスとしては、ガスセンサが応答を示す成分を含むガスが用いられ、この実施例では20ppmのブタノールガスを用いた。窒素ガスはゼロガス又はキャリアガスとして用いられる。
【0021】
電磁バルブ31からの流路は、六方ロータリーバルブ39がAの位置のとき、におい成分を吸着する吸着剤が充填された捕集管41に接続され、Bの位置のとき、電磁バルブ43に接続される。電磁バルブ43には、ガス排出口45につながる流路と、ニードルバルブ47及びポンプ49を介してガス排出口51につながる流路が接続されている。
捕集管41の周囲には、捕集管41を適宜加熱するヒータ53が備えられている。
【0022】
窒素ガスボンベ37は、ニードルバルブ55を介して六方ロータリーバルブ39の1つのポートにも接続されており、六方ロータリーバルブ39がBの位置のとき、捕集管41を介して、ガス応答特性の異なる酸化物半導体センサを備えたセンサ部57に接続される。六方ロータリーバルブ39がAの位置のとき、窒素ガスボンベ37は、捕集管41を介さずにセンサ部57に接続される。六方ロータリーバルブ39からセンサ部57につながる流路には、電磁バルブ59及びニードルバルブ61を介して、酸化物半導体センサの動作に必要な酸素を供給する酸素ガスボンベ63からの流路が合流している。センサ部57の出口側は、電磁バルブ65及び流量計67を介してガス排出口69に接続されている。
【0023】
六方ロータリーバルブ39、センサ部57、及び六方ロータリーバルブ39からセンサ部57につながる流路は、約40℃に温調されている。
第2の発明の履歴安定ガス供給機構は、ガス入口29にブタノールガスを接続し、電磁バルブ31、六方ロータリーバルブ39、電磁バルブ43及びポンプ49を制御することにより実現される。
【0024】
次に、この実施例の動作を説明する。
(A)まず、六方ロータリーバルブ39をAの位置にして、窒素ガスボンベ37を電磁バルブ33及びニードルバルブ55を介してセンサ部57に接続し、電磁バルブ31を捕集管41に接続し、捕集管41を電磁バルブ43に接続する。
電磁バルブ33、59及び65を開き、ニードルバルブ55により窒素ガス流量を調節し、ニードルバルブ61により酸素ガス流量を調節し、センサ部57に窒素ガスと酸素ガスの混合ガスをゼロガスとして供給し、そのときのガスセンサの電気抵抗値を測定し、その値をRbとする。
【0025】
ブタノールガスをガス入口29に接続し、電磁バルブ31により六方ロータリーバルブ39を介してガス入口29を捕集管41に接続する。電磁バルブ43により捕集管41をニードルバルブ47に接続する。
ヒータ53を加熱して捕集管41を40℃に温調した状態で、ポンプ49を作動させ、ニードルバルブ47によりサンプリング流量を調節して、所定のサンプリング時間で、ガス入口29からブタノールガスを捕集管41に導入し、ブタノールを捕集管41に捕集する。
【0026】
(B)ブタノールを捕集した後、六方ロータリーバルブ39をAの位置のまま、電磁バルブ31を切り換えて、窒素ガスボンベ37をニードルバルブ35、電磁バルブ31及び六方ロータリーバルブ39を介して捕集管41に接続し、電磁バルブ43を切り替えて、捕集管41をガス排出口45に接続する。ニードルバルブ35により窒素ガス流量を調節して、電磁バルブ31、捕集管41間の流路に残留するブタノールガスを捕集管41に送り込むとともに、窒素ガスを捕集管41に導入し、捕集管41内の水分を除去し、ガス排出口45から排出する。この水分除去動作は、サンプルガスを捕集管41に導入した後にも行なわれるので、ブタノールガスやサンプルガスに水分が含まれていても、この処理により水分に妨害されることなく測定を行なうことができ、同時にエタノールも除去できる。
【0027】
(C)その後、六方ロータリーバルブ39をBの位置に切り換えて、窒素ガスボンベ37を電磁バルブ33及びニードルバルブ55を介して捕集管41に接続し、捕集管41とセンサ部57を接続する。ヒータ53を加熱して捕集管41を220℃に加熱し、捕集管41の吸着剤に吸着したブタノールを吸着剤から熱脱離させる。このとき、窒素ガスボンベ37により、ブタノールガス捕集時とは逆方向から捕集管41に所定量の窒素ガスをキャリアガスとして供給し、捕集管41からブタノールを追い出し、センサ部57に送る。捕集管41の加熱時間は、捕集したブタノールが十分に脱離する時間に設定することが好ましい。
【0028】
(D)ブタノールガスを測定終了後、六方ロータリーバルブ39をBの位置のまま、捕集管41を空冷により冷却しつつ、所定の一定時間経過させるか、もしくはガスセンサの電気抵抗値又は抵抗変化率をモニタして、ブタノールガスによる一定の履歴を残す。また、ブタノールガスをガス入口29から外し、電磁バルブ31を切り替えて、窒素ガスボンベ37をガス入口29に接続し、ガス入口29、電磁バルブ31間のブタノールガスを窒素ガスにより除去する。
【0029】
ブタノールガスによる一定の履歴を残した状態で、サンプルガスをガス入口29に接続し、上記の動作(A)と同様にして、サンプルガスを捕集管41に捕集し、また、ガスセンサの電気抵抗値Rbを測定する。その後、動作(B)及び(C)と同様にして、サンプルガスの測定を行い、サンプルガス測定時の電気抵抗値Rsを測定し、センサ出力を−log(Rs/Rb)として算出し、それらのセンサ出力を多変量解析して、サンプルガスの同定、認識又は定量を行なう。
サンプルガス測定後、サンプルガスをガス入口29から外し、電磁バルブ31を切り替えて、ガス入口29、電磁バルブ31間のサンプルガスを窒素ガスにより除去する。
【0030】
上記のブタノールガス測定及びサンプルガス測定の動作がこの実施例における一連の測定シーケンスであり、測定時間はそれぞれ約8分である。
サンプルガス測定の前には一定の履歴が残っているので、測定間隔時間を短くしても、サンプルガス測定開始時のガスセンサの電気抵抗値を一定にすることができ、再現性を低下させることなく、測定間隔を短くすることができる。
【0031】
この実施例により、センサ部57にガス応答特性の異なる2つの酸化物半導体センサA,Bを設置し、サンプルガスとして20ppmの酢酸ブチルガス、履歴安定ガスとして20ppmのブタノールガスを用いて、酢酸ブチルガスの測定前に、ブタノールガスを測定した場合と、ブタノールガスを測定しなかった場合(従来の方法)とにより比較を行なった。それぞれの測定について、酢酸ブチルを6回づつ測定した。表1は、センサA及びセンサBにおける6回の測定の電気抵抗値Rb,Rs及びセンサ出力のばらつきを表す表である。ばらつきは、
[ {(測定の最大値)−(測定の最小値)}/(測定の平均値)]×100
により求めた。
【0032】
【表1】
【0033】
表1の結果より、酢酸ブチル(サンプルガス)の測定前に、ブタノールガス(履歴安定ガス)を測定することによって、測定値のばらつきを小さくすることができることが分かる。
このように、本発明によると、測定の再現性を向上させることができる。この実施例では、履歴安定ガスとしてブタノールを用いているが、これに限定されるものではなく、ガスセンサに応答するガスであればどのようなガスでもよい。
また、本発明は、この実施例の流路構成及び測定方式に限定されるものではなく、酸化物半導体センサを用いたガス測定装置であれば、どのような流路構成及び測定方式でもよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明では、履歴安定ガス供給機構を備え、サンプルガスの測定を行なう前に、履歴安定ガス供給機構により、履歴安定ガスをガスセンサに供給してガスセンサを応答させ、所定の一定時間経過させるか、もしくはガスセンサの電気抵抗値又は抵抗変化率をモニタしておくことにより、履歴安定ガスによる一定の履歴を残すようにしたので、測定間隔を短くしてもサンプルガス測定開始時のガスセンサの電気抵抗値を一定にすることができ、再現性を低下させることなく測定間隔を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一比較例及びその動作を表す概略構成図である。
【図2】 他の比較例及びその動作を表す概略構成図である。
【図3】 本発明の一実施例及びその動作を表す概略構成図である。
【符号の説明】
1 活性炭フィルタ
3 サンプル瓶
5 センサ部
7,11 ニードルバルブ
9 酸素ガスボンベ
13 ポンプ
15 流量計
V1,V2,V3 電磁バルブ
Claims (1)
- 一つ又は複数個のガスセンサを備え、前記ガスセンサによるサンプルガス検出時の検出信号と測定の基準となるゼロガス検出時の検出信号からサンプルガスの定性又は定量を行なうガス測定装置において、
前記ガスセンサは酸化物半導体センサであり、
サンプルガスを供給するサンプルガス供給機構及びゼロガスを供給するゼロガス供給機構のほかに、サンプルガスを測定する前又はサンプルガス測定中に、前記ガスセンサが応答を示す成分を一定濃度に含む履歴安定ガスを前記ガスセンサに供給する履歴安定ガス供給機構を備え、
前記履歴安定ガスを検出したことによるガスセンサの応答履歴が一定の割合で残った状態でゼロガス検出とサンプルガス検出を行なうようにしたことを特徴とするガス測定装置。
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