JP4041992B2 - 交流電源装置 - Google Patents
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Description
互いに並列接続された複数の交流無停電電源装置を有する交流電源装置において、前記複数の交流無停電電源装置のそれぞれは、
交流入力端子と、
交流出力端子と、
前記交流入力端子と前記交流出力端子との間に接続され且つ前記交流入力端子から前記交流出力端子に供給する電圧を所望値に調整する機能を有している電圧調整手段と、
直流電圧を出力することができる蓄電装置と、
前記交流出力端子と前記蓄電装置との間に接続された双方向電力変換器と、
前記蓄電装置と前記電圧調整手段との間に接続され且つ前記交流入力端子から前記交流出力端子に供給する電圧を所望値に調整するための電圧を前記電圧調整手段に供給する機能を有している直流−交流変換器と、
前記双方向電力変換器に接続され、前記交流入力端子から前記交流出力端子に交流電圧が供給されている時に前記双方向電力変換器を交流−直流変換動作させ、且つ前記交流入力端子から前記交流出力端子に交流電圧が供給されていない時に前記双方向電力変換器を直流−交流変換動作させるための制御信号を形成する第1の制御回路と、
前記交流入力端子から前記交流出力端子に向かって流れる電流の実効値又は前記電圧調整手段を流れる無効電流を検出する電流検出手段と、
前記直流−交流変換器を動作させる制御信号を形成するものであって、前記直流−交流変換器と前記電流検出手段とに接続され、前記交流入力端子から前記交流出力端子に交流電圧が供給されている時に前記電圧調整手段の電圧を前記電流の実効値又は前記無効電流に対して反比例的に変化させることができる制御信号を形成する第2の制御回路と
を備えていることを特徴とする交流電源装置に係わるものである。
また、請求項3に示すように、前記補正手段は、前記電流検出手段の出力に対して反比例的に変化する補正指令信号を形成する補正指令信号形成手段と、前記補正指令信号形成手段に接続され、前記基準正弦波又はこれと同一位相の正弦波の振幅を前記補正指令信号によって調整して電流調整用の補正信号を形成する補正信号形成手段と、前記電圧帰還制御信号形成手段と前記補正信号形成手段とに接続され、前記電圧帰還制御信号を前記補正信号で補正する手段とから成ることが望ましい。
また、請求項4に示すように、前記第2の制御回路は、前記交流出力端子の電圧を示す交流出力電圧検出信号を得るための交流出力電圧検出手段と、前記交流出力電圧の基準を示す基準電圧を発生する基準電圧源と、前記基準電圧と前記交流出力電圧検出信号とに基づいて前記交流出力端子の電圧を一定に制御するための電圧帰還制御信号を作成する電圧帰還制御信号形成手段と、前記電流検出手段と前記電圧帰還制御信号形成手段とに接続され、前記電圧帰還制御信号の値を前記電流の実効値又は前記無効電流に対して反比例的に変化させる補正手段と、 前記交流入力端子から供給する電圧と同一周波数を有する基準正弦波を発生する基準正弦波発生器と、前記補正手段と前記基準正弦波発生器とに接続され、前記基準正弦波の振幅を前記補正手段で補正された前記電圧帰還制御信号で補正する基準正弦波補正手段と、前記基準正弦波よりも十分に高い周波数で三角波又は鋸波から成る比較波を発生する比較波発生器と、前記基準正弦波補正手段の出力と前記比較波とを比較して前記直流−交流変換器の変換用スイッチをオン・オフ制御する制御パルスを形成する比較器とを有することが望ましい。
また、請求項5に示すように、前記補正信号による補正量は、前記交流出力端子の電圧の許容変動範囲(例えば1パーセント)内の電圧調整をするための量であることが望ましい。
上記本発明において、負荷に対して実質的な影響を与えない範囲の瞬時停止(例えば0.005秒以下の停電)を含む場合も無停電と定義する。
(イ)並列接続された複数台の交流無停電電源装置から成り、且つ各交流無停電電源装置が、交流入力端子と交流出力端子との間に接続された電圧調整手段と、蓄電装置と、交流出力端子と蓄電装置との間に接続された双方向電力変換器と、蓄電装置と前記電圧調整手段との間に接続された直流−交流変換器とから成る交流電源装置において、電圧調整手段の電圧が電流検出手段の出力に反比例的に変化するので、電流が増大した時に電圧調整手段の電圧が逆に小さくなり、その交流無停電電源装置の電流が小さくなる。これにより、交流無停電電源装置の交流入力端子を通って所定値以上の電流が流れることを防ぐことができる。
(ロ)各交流無停電電源装置の交流入力端子と交流出力端子との間に電圧調整手段が接続されているにも拘わらず、各交流無停電電源装置の電流検出手段の出力に基づいて電圧調整手段の電圧が調整されるので、各交流無停電電源装置の電流バランスを容易に改善することができる。
(ハ)各交流無停電電源装置が、交流入力端子と交流出力端子との間に接続された電圧調整手段と、蓄電装置と、交流出力端子と蓄電装置との間に接続された双方向電力変換器と、蓄電装置と前記電圧調整手段との間に接続された直流−交流変換器とを有するにも拘らず、複数台の交流無停電電源装置を単に並列接続するだけで電流バランスが取れる。従って、交流電源装置の容量の増減を容易に達成できる。
電圧調整手段70は、交流電源1の電圧に直流―交流変換器7の出力電圧を合成(加算又は減算)するために電源スイッチ16と第1の交流出力端子4aとの間に接続されている。なお、電圧調整手段70を直流―交流変換器7の一部と見なすこともできる。直流―交流変換器7及び電圧調整手段70の詳細は追って説明する。
第2の電流検出器12は双方向電力変換器5によって供給される波形改善及び力率改善のための補償電流及び蓄電池10の充電のための電流を検出するものであって、双方向電力変換器5の交流側ライン18に配置されている。
出力電圧検出器13は定格電圧が例えば100Vに設定されている負荷3の電圧を検出するための出力電圧検出手段であって、第1及び第2の交流出力端子4a、4bに接続されている。
直流電圧検出器14はコンデンサ9及び蓄電池10の電圧を検出するためにこれ等の両端子間に接続されている。
入力電圧検出器15は第1及び第2の交流入力端子2a、2b間に接続されている。
電源スイッチ制御及び異常検出回路17は、交流電源1から正常に電圧が供給されている時に電源スイッチ16をオン状態に制御し、また交流電源1からの電力供給が停止した時又は電源電圧が異常に低下又は上昇した時に電源スイッチ16をオフ状態に制御すると共にライン25に異常を示す信号を発生する周知の回路である。このため、電源スイッチ制御及び異常検出回路17は第1及び第2の交流入力端子2a、2bと電源スイッチ16の制御端子と第1の制御回路6とに接続されている。
ブリッジ型に接続された第1〜第4のスイッチQ1 〜Q4 と第1〜第4のダイオードD1 〜D4 は補償電流供給機能を伴った交流―直流変換動作(第1の動作)とインバータ動作即ち直流―交流変換動作(第2の動作)とを行う。また、交流―直流変換動作中にコンデンサ9及び蓄電池10を定電圧に充電する。
第1のフィルタ用リアクトルL1 と第1のフィルタ用コンデンサC1 とから成るフィルタ回路は第1〜第4のスイッチQ1 〜Q4 を交流電源1の周波数(例えば50Hz又は60Hz)よりも十分に高い繰返し周波数(例えば20kHz)でオン・オフすることによって生じる高調波成分を除去する。
第1及び第2の変換用スイッチS1 、S2 の直列回路及び第3及び第4の変換用スイッチS3 、S4 の直列回路はコンデンサ9及び蓄電池10に対して並列に接続されている。第1、第2、第3及び第4の並列ダイオードD11、D12、D13、D14は第1、第2、第3及び第4の変換用スイッチS1 、S2 、S3 、S4 にそれぞれ逆方向並列に接続されている。
第1及び第2の変換用スイッチS1 、S2 の相互接続点と第3及び第4の変換用スイッチS3 、S4 の相互接続点との間に第2のフィルタ用リアクトルL2 を介して第2のフィルタ用コンデンサC2 が接続されている。なお、第2のフィルタ用リアクトルL2 と第2のフィルタ用コンデンサC2 とから成るフィルタ回路は第1〜第4の変換用スイッチS1 〜S4 を電源1の周波数よりも十分に高い繰返し周波数(例えば20kHz)でオン・オフすることによって生じる高調波成分を除去するためのものである。
切換回路38は4つの交流―直流変換制御信号選択スイッチ39a、39b、39c、39dと4つの直流―交流変換制御信号選択スイッチ40a、40b、40c、40dとから成る。交流―直流変換制御信号選択スイッチ39a、39b、39c、39dは、異常検出ライン25が非異常状態を示している時にオンになって交流―直流変換制御回路36の4つの出力ライン41a、41b、41c、41dの信号を選択して第1、第2、第3及び第4のスイッチQ1 、Q2 、Q3 、Q4 の制御信号ライン20、21、22、23に送出する。直流―交流変換制御信号選択スイッチ40a、40b、40c、40dは異常検出ライン25が異常状態を示している時にオンになって直流―交流変換制御回路37の4つの出力ライン42a、42b、42c、42dの信号を選択して第1、第2、第3及び第4のスイッチQ1 、Q2 、Q3 、Q4 の制御信号ライン20、21、22、23に送出する。制御信号ライン20、21、22、23は図3の第1、第2、第3及び第4のスイッチQ1 、Q2 、Q3 、Q4 の制御端子に接続される。
基準正弦波発生器43はライン24によって図2の入力電圧検出器15に接続されており、電源1の正弦波交流電圧に同期して図8に示す所定振幅の基準正弦波電圧E0を発生し、これを乗算器44に送る。
基準電圧源45は、図2及び図3のコンデンサ9及び蓄電池10の目標電圧に相当する基準電圧を発生する。第1の減算器46は基準電圧源45と直流電圧検出ライン29とに接続され、基準電圧源45の基準電圧と図2の電圧検出器14から得られた直流検出電圧との差の信号即ち誤差出力を発生する。
比例積分器47は、オペアンプ47aと3つの抵抗47b、47c、47dとから成り、第1の減算器46の出力に所定のゲインを乗算し且つ積分し、コンデンサ9及び蓄電池10の電圧を一定に制御するための電圧制御信号を発生する。なお、この比例積分器47は交流電源1の周波数(50Hz又は60Hz)以下の周波数に応答するように構成されている。従って、比例積分器47から出力する電圧制御信号は緩慢に変化する信号であって、スイッチQ1 〜Q4 のオン・オフに基づく高調波成分を含まない。
乗算器44は、図8に示す基準正弦波電圧E0 に比例積分器47から得られた電圧制御信号を乗算して図8に示す電圧E1 を出力する。即ち、乗算器44は、基準正弦波電圧E0 の振幅を電圧制御信号で変調するものであり、直流電圧の制御情報と基準正弦波情報との両方を有する正弦波電圧E1 を発生する。
第2の減算器48の一方の入力端子は乗算器44に接続され、この他方の入力端子はライン26によって図2の第1の電流検出器11に接続されている。従って、この第2の減算器48は、乗算器44から得られた正弦波電圧E1 から第1の電流検出器11から得られた負荷電流に対応する信号E2 を減算して補償指令信号E3 を出力する。図8では負荷3に流れる電流の波形に対応する検出信号E2 が一例として説明的に方形波電圧で示されているので、第2の減算器48から得られる補償指令信号E3 は正弦波のピーク及びこの近傍に凹状部を有する電圧波形となる。なお、負荷電流検出信号E2 が図8の方形波以外の波形になった場合、又は、負荷電流検出信号E2 と基準正弦波との間に位相差が生じた場合においても図8と同様な補償動作が生じる。
第3の減算器49の一方の入力端子は第2の減算器48の出力端子に接続され、他方の入力端子はライン27によって第2の電流検出器12に接続されている。従って、この第3の減算器49は第2の減算器48から得られた補償指令信号E3 と第2の電流検出器12から得られた実際の補償電流を示す検出信号E4 との差を示す信号E5 を出力する。今、補償指令信号E3 に近い補償が実行されていると仮定すれば、図8に示すように補償電流検出信号E4 は補償指令信号E3 に近い波形を有する電圧となる。
比較器50は第3の減算器49から得られた誤差信号E5 と三角波発生器51から得られた三角波電圧E6 とを比較して図8に示す2値の出力電圧E7 を発生する。三角波発生器51は交流電源1の電圧の周波数(例えば50Hz又は60Hz)よりも十分に高い繰返し周波数(例えば20kHz)で三角波電圧E6 を発生する。なお、図8では三角波電圧E6 が低い繰返し周波数で説明的に示されている。誤差信号E5 と三角波電圧E6 との比較は両波形の中心値を一致させた状態で行われ、比較器50の出力E7 は図8に示す2値信号となる。この実施例では、比較器50の出力E7 は第1の波形整形回路50aを介してライン41a、41dに送られ、第1及び第4のスイッチQ1 、Q4 の制御信号として使用され、比較器50の出力E7 の反転信号を形成するNOT回路52の出力E8 は第2の波形整形回路52aを介してライン41b、41cに送られ、第2及び第3のスイッチQ2 、Q3 の制御信号として使用される。従って、以下の説明において、E7 、E8 を制御信号と呼ぶこともある。第1の波形整形回路50aは比較器50の出力E7 のパルス幅を僅かに狭くするものであり、第2の波形整形回路52aはNOT回路52の出力E8 のパルス幅を僅かに狭くするものである。第1及び第2の波形整形回路50a、52aは、第1及び第2のスイッチQ1 、Q2 、並びに第3及び第4のスイッチQ3 、Q4 がキャリアの蓄積(ストレージ)作用によって同時にオンになることを防ぐための働きを有する。
図8に示す補償電流検出信号E4 に相当する補償電流を双方向電力変換器5から交流電源ラインに供給すると、負荷3に供給される出力電流I1 の無効電流成分Ir 及び高調波電流成分Ih を除去することができる。従って、交流電源1と接続点P1 、P2 との間の電流は、実質的に有効電流及び基本波電流のみとなり、力率改善、及び電流の波形改善が達成され、電力損失及び高調波ノイズが少なくなる。
基準正弦波発生器53はライン24によって図2の入力電圧検出器15に接続されており、交流電源1が正常の時にはこの交流電圧に同期した基準正弦波電圧を発生し、交流電源1が異常状態になった時には正常時の基準正弦波電圧に対して連続的に配置された基準正弦波電圧E10を図9に示すように発生する。即ち、異常発生前に交流電源1から交流出力端子4a,4bに供給していた電圧と異常発生後に双方向電力変換器5から交流出力端子4a,4bに供給する電圧との間に位相の段差が生じないように基準正弦波電圧E10を連続的に発生させる。
減算器54の一方の入力端子は基準正弦波発生器53に接続され、この他方の入力端子はライン28によって図2の出力電圧検出器13に接続されている。従って、この減算器54は基準正弦波電圧E0 と出力検出電圧E11との誤差電圧E12を図9に示すように発生する。
比較器55は減算器54と三角波発生器56とに接続されており、誤差電圧E12と三角波電圧E13とを比較して図9に示す2値の出力電圧E14即ちPWM(パルス幅変調)波形を発生する。三角波発生器56は図5の三角波発生器51と同様に交流電源1の電圧及び基準正弦波電圧E0 の周波数(例えば50Hz又は60Hz)よりも十分に高い繰返し周波数(例えば20kHz)で三角波電圧E13を発生する。図9から明らかなように誤差電圧E12の中心レベルと三角波電圧E13の中心レベルとは一致している。比較器55の出力E14は波形整形回路55aを介してライン42a、42dに送出され、双方向電力変換器5の第1及び第4のスイッチQ1 、Q4 の制御に使用される。比較器55に接続されたNOT回路57は比較器55の出力E14を反転した出力E15を図9に示すように発生する。このNOT回路57の出力電圧E15は波形整形回路57aを介してライン42b、42cに送出され、第2及び第3のスイッチQ2 、Q3 の制御に使用される。波形整形回路55aは比較器55の出力E14のパルスの幅を僅かに狭くするものであり、また波形整形回路57aはNOT回路57の出力E15のパルスの幅を僅かに狭くするものである。図6の波形整形回路55a、57aは図5の波形整形回路50a、52aと同一の目的で設けられている。なお、比較器55の出力E14及びNOT回路57の出力E15を以後スイッチ制御信号と呼ぶ場合もある。
交流電源1が停電状態又は電圧が所定値よりも低下又は上昇した異常状態になると、図2の電源スイッチ制御及び異常検出回路17によってこの異常状態が検出され、電源スイッチ16がオフに制御されると共に、図4のスイッチ39a〜39dがオフに制御され、スイッチ40a〜40dがオンに制御される。これにより、直流―交流変換制御回路37のスイッチ制御信号がスイッチ40a〜40dとライン20〜23を介して双方向電力変換器5の第1〜第4のスイッチQ1 〜Q4 の制御端子に供給される。
停電等の異常時に双方向電力変換器5の第1〜第4のスイッチQ1 〜Q4 が図9に示す制御信号E14、E15に従ってオン・オフ動作すると、双方向電力変換器5はコンデンサ9及び蓄電池10の直流電圧を交流電源1の周波数と同一の周波数の交流電圧に変換して負荷3に供給する。直流―交流変換制御回路37は出力電圧E11を一定に保つように第1〜第4のスイッチQ1 〜Q4 を帰還制御しているので、異常時においても負荷3に交流電圧を安定的に供給することができる。
交流電源1の停電状態又は電圧低下等の異常状態から正常状態に戻ると、電源スイッチ16がオンになり、且つ双方向電力変換器5が補償電流供給機能を伴った交流―直流変換動作に戻り、且つ直流―交流変換器7は電圧調整動作を開始する。
減算器61の一方の入力端子は基準正弦波発生器60に接続され、この他方の入力端子はライン34によって図2の出力電圧検出器13に接続されている。この結果、減算器61は基準正弦波電圧E20と出力検出電圧E21との誤差電圧V61、即ち電圧帰還制御信号を発生する。従って、基準正弦波発生器60と減算器61とによって周知の電圧帰還制御信号形成手段が構成されている。
電圧帰還制御信号形成手段を構成する減算器61の出力端子は電流バランス調整用の減算器79に接続されている。減算器79は電流バランスを改善するように前段の減算器61から得られる電圧帰還制御信号の振幅を電流バランスを改善するように補正する。減算器79と三角波発生器63とに接続された比較器62は、図10に概略的に示すように減算器79の出力電圧E22と三角波電圧E23とを比較してPWM(パルス幅変調)波形から成る2値の出力E24を発生する。三角波発生器63は交流電源1の周波数よりも十分に高い繰返し周波数(例えば20kHz)で三角波電圧E23を発生する。比較器62の出力E24は波形整形回路62aを介してライン30、33に送出され、直流―交流変換器7の第1及び第4の変換用スイッチS1 、S4 の制御に使用される。比較器62に接続されたNOT回路64は比較器62の出力E24を反転して図10に示す出力E25を発生する。NOT回路64の出力E25は波形整形回路64aを介してライン31、32に送られ、直流―交流変換器7の第2及び第3の変換用スイッチS2、S3の制御に使用される。図7の波形整形回路62a、64aは図5の波形整形回路50a、52aと同様な機能を有し、比較器62の出力E24のパルス幅及びNOT回路64の出力E25のパルス幅を僅かに狭くする。
図7のライン30、31、32、33は図3の直流―交流変換器7の第1〜第4の変換用スイッチS1 〜S4 の制御端子に接続される。
第1〜第4の変換用スイッチS1 〜S4 が図10の2種類の制御信号E24、E25に基づいてオン・オフ制御されると、コンデンサ9及び蓄電池10の直流電圧が交流電圧に変換され、この交流電圧が電圧調整手段70のトランスTr の1次巻線N1に印加され、トランスTr の2次巻線N2 に出力電圧を調整するための所望の電圧が得られる。2次巻線N2 に得られる電圧は交流電源1の電圧に同期した波形を有する。この2次巻線N2 の電圧波形が交流電源1の電圧波形と同相の場合には、交流電源1の電圧波形に2次巻線N2 の電圧波形を加算した波形が負荷3の電圧波形になる。逆に、2次巻線N2 の電圧波形が交流電源1の電圧波形に対して逆位相(180度の位相差)の場合には交流電源1の電圧波形から2次巻線N2 の電圧波形を減算した波形が負荷3の電圧波形になる。2次巻線N2 の電圧波形の振幅及び位相は変換用スイッチS1 〜S4 によって制御される。この結果、負荷3の電圧は、直流―交流変換器7によってほぼ一定に制御される。この実施例では交流電源1の電圧を下げる時に2次巻線N2に電源電圧と逆相の電圧を発生させているが、もし、負荷3が電源電圧よりも高い電圧を要求している時には、電圧調整手段70で常に調整電圧を加算し、調整電圧を変えることによって出力電圧を調整する。
A=a−(2×a/100)Vi
なお、補正指令信号Aを電流検出信号Viの増大に応じて直線的に減少させないで、段階的又は曲線的に徐々に減少させることもできる。
電流検出信号Viが50%の時の補正指令信号Aの値は0%であり、出力電圧Voは定格電圧である。
補正指令信号Aの最小値から最大値までの範囲は、第1及び第2の交流出力端子間の電圧の許容変動範囲内、例えば1%内、の電圧調整をするために必要な値に決定される。
なお、補正信号形成手段78は、例えば基準正弦波の伝送路に可変抵抗素子を接続し、補正指令信号Aで可変抵抗素子を制御することによって達成できる。また、電圧帰還制御のための基準正弦波発生器60を兼用しないで補正信号形成手段78のための独立の基準正弦波発生器を設けることができる。
横流Ix=(V1−V2)/(2jωL)
この横流Ixが零であれば、第1及び第2の交流無停電電源装置UPS−1、UPS−2の電流がバランスしていると見なすことができる。そこで、図7の電流検出手段80の代わりに例えば図13に示す無効電流検出手段80aを設けることができる。
なお、第1の交流無停電電源装置UPS−1の補正指令信号Aは上記の式に従う値を使用し、第2の交流無停電電源装置UPS−2の補正指令信号Aは上記の式に従う値の極性を反転したものを使用する。
図13に示す無効電流検出手段80aの代わりに、第1及び第2の交流無停電電源装置UPS−1、UPS−2の出力電流I1,I2の検出器と負荷3の電流検出器とを設け、この3つの電流から第1及び第2の交流無停電電源装置UPS−1、UPS−2の無効電流成分を演算で求めることができる。
(1)第1及び第2の交流無停電電源装置UPS−1、UPS−2に電圧調整手段70,70’が設けられているにも拘わらず、第1及び第2の交流無停電電源装置UPS−1、UPS−2の出力電流I1,I2又は横流Ix即ち無効電流に基づいて電圧調整手段70,70’の電圧が調整されるので、第1及び第2の交流無停電電源装置UPS−1、UPS−2の電流バランスを容易に改善することができる。
(2)図11に示すように電流検出信号Viに基づいて補正信号Vcを形成し、これによって減算器61の出力を補正する方式であるので、電流バランスの改善を容易に達成することができる。
(3)複数台の交流無停電電源装置を単に並列接続するだけで電流バランスが取れるので、電源装置の容量の増減を容易に達成できる。
実施例2の交流電源装置は、図1の実施例1の第1及び第2の交流無停電電源装置UPS−1、UPS−2の主回路を変形し、その他は実施例1の電源装置と同様に構成したものである。図14には実施例2の交流電源装置における第1の交流無停電電源装置の主回路が図3と同様に示されている。図14に示す実施例2の交流電源装置の第1の交流無停電電源装置の主回路は、図3の双方向電力変換器5の代わりにハーフブリッジ型変換回路構成の双方向電力変換器5aを設け、この他は図3の第1の交流無停電電源装置の主回路と同一に構成したものに相当する。なお、図14ではコンデンサ9の代わりに第1及び第2のコンデンサ9a、9bが設けられ、この第1及び第2のコンデンサ9a、9bが双方向電力変換器5aに含められている。第1及び第2のコンデンサ9a、9bの直列回路は蓄電池10に並列に接続されている。
図14の双方向電力変換器5aは、ハーフブリッジ型回路であって、第1及び第2のスイッチQ1 、Q2 と、第1及び第2のダイオードD1 、D2 と、フィルタ用リアクトルL1 と、フィルタ用コンデンサC1 と、トランス90とから成る。双方向電力変換器5aがハーフブリッジ型変換回路であるので、第1及び第2のコンデンサ9a、9bの直列回路が第1及び第2のスイッチQ1 、Q2 の直列回路及び蓄電池10に対して並列に接続されている。第1及び第2のコンデンサ9a、9bの相互接続点P3 は第1の交流出力端子4aに接続されている。トランス90の巻線91はタップ92を有し、上半分91aと下半分91bに分割され、第1及び第2の交流出力端子4a,4b間に接続されている。第1及び第2のスイッチQ1 、Q2 の相互接続点P4 はフィルタ用リアクトルL1 を介して巻線91のセンタータップ92に接続されている。フィルタ用コンデンサC1は巻線91の下半分91bに対して並列に接続されている。巻線91の一端93は第1の交流出力端子4aに接続されていると共に第1及び第2のコンデンサ9a、9bの相互接続点P3 に接続されている。巻線91の他端94は第2の交流出力端子4bと第2の交流入力端子2bに接続されている。第1及び第2のダイオードD1 、D2 は第1及び第2のスイッチQ1 、Q2 に逆方向並列に接続されている。実施例2の交流電源装置の第2の交流無停電電源装置の主回路も図14と同様に形成されている。図14の双方向電力変換器5aの第1及び第2のスイッチQ1 、Q2は、前記特許文献1等で周知のハーフブリッジ型変換回路と同様に制御される。
図15の直流―交流変換器7aは、第1及び第2の変換用スイッチS1 、S2 と、第1及び第2の並列ダイオードD11、D12と、第1及び第2の変換用コンデンサC11、C12と、第2のフィルタ用リアクトルL2と、第2のフィルタ用コンデンサC2 とから成る。また、電圧調整手段70aはコイルNsを有する単巻トランスTr’とから成る。
第1及び第2の変換用コンデンサC11、C12の直列回路はコンデンサ9及び蓄電池10に対して並列に接続されている。コイルNsは第1及び第2の変換用スイッチS1 、S2 の相互接続点と第1及び第2の変換用コンデンサC11、C12の相互接続点との間に第2のフィルタ用リアクトルL2を介して接続されている。コイルNs にはタップ95が設けられ、このタップ95は電源スイッチ16を介して第1の交流入力電源端子2aに接続されている。コイルNs の一端96は第1及び第2の変換用コンデンサC11、C12の相互接続点に接続されていると共に第1の交流出力端子4aに接続されている。コイルNs の他端97はリアクトルL2 を介して第1及び第2の変換用スイッチS1 、S2 の相互接続点に接続されている。第2のフィルタ用コンデンサC2 はコイルNsに並列に接続されている。実施例3の第1及び第2の変換用スイッチS1 、S2は前記特許文献1等で周知のハーフブリッジ型変換回路と同様に制御される。
実施例3の電源装置は、直流―交流変換器7aがハーフブリッジ型である点を除いて実施例1の電源装置と実質的に同一に構成されているので、実施例1と同一の効果を有する。
3相の電圧調整手段70cは第1、第2及び第3の1次巻線N1a,N1b,N1cと第1、第2及び第3の2次巻線N2a,N2b,N2cとから成る。第1、第2及び第3の1次巻線N1a,N1b,N1cは第1、第2及び第3の交流端子74a,74b,74cに接続され、第1、第2及び第3の2次巻線N2a,N2b,N2cは図17の電源スイッチ16a,16b,16cの出力側の電源ラインに直列に接続されている。
図19の実施例6に従う第2の制御回路は、電圧帰還制御信号を形成すために電圧検出ライン34に整流平滑回路34aが接続され、この整流平滑回路34aの出力端子が誤差増幅器100の一方の入力端子に接続されている。誤差増幅器100の他方の入力端子には基準電圧源101が接続されている。従って、誤差増幅器100から出力電圧を定電圧制御すための直流の電圧帰還制御信号が得られる。誤差増幅器100と乗算器103との間に本発明に従う補正手段76aの減算器102が接続されている。補正手段76aは電流検出手段80に接続された補正信号形成手段78aと減算器102とから成る。補正信号形成手段78aは電流検出手段80から得られる電流検出信号Viに対して反比例的に変化する補正信号を形成して減算器102に送る。この補正信号は図11の補正指令信号Aと同様なものである。従って、出力電流が増大すると、減算器102の出力レベルが低下し、図1の直流―交流変換器7の出力電圧を下げる動作が生じ、出力電流が減少する。図19の乗算器103には減算器102と基準正弦波発生器60とが接続されているので、基準正弦波の振幅が減算器102の出力即ち補正後の電圧帰還制御信号で変調される。これにより、乗算器103から出力電圧を定電圧制御する情報と電流バランスを制御する情報とを含む目標電圧指令信号が得られ、実施例1と同様に比較器62から直流―交流変換器7の制御信号を得ることができる。この結果、実施例6によっても実施例1と同様な効果を得ることができる。
(1) 双方向電力変換器5、5a,5bの代わりにこれらと同様な機能を有する別の双方向電力変換器を使用することができる。また、直流―交流変換器7、7a、7b,7cの代わりにこれらと同様な機能を有する別の直流―交流変換器を使用することができる。
(2) 第1〜第6のスイッチQ1 〜Q6 、第1〜第6の変換用スイッチS1 〜S6 をトランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)等の別の半導体スイッチとすることができる。
(3) 第1〜第6のダイオードD1 〜D6 、第1〜第6の並列ダイオードD11〜D16を第1〜第6のスイッチQ1 〜Q6 、第1〜第6の変換用スイッチS1 〜S6 の内蔵ダイオード即ち寄生ダイオードとすることができる。
(4) 第1及び第2の 制御回路6,6a,8,8aをこれらと同様な機能を有する別の制御回路とすることができる。また、第1及び第2の 制御回路6,6a,8,8aの一部又は全部をデジタル回路にすることができる。
(5) 第1の制御回路6、6aの一部を第2の制御回路8,8aで兼用するように構成することができる。例えば、3つの三角波発生器51、56、63を2つ又は1つに減らして共用すること、又は3つの基準正弦波発生器43、53、60を2つ又は1つに減らして共用することができる。
(6) 図5の比較器50、NOT回路52、波形整形回路50a、52aの一部又は全部を直流―交流変換制御回路37で兼用することができる。
(7) 停電期間が短い場合には蓄電池10を省いてコンデンサ9、又は9a、9bで停電時の電力供給を行うことができる。
(8) 図7の補正手段76を第1及び第2の交流無停電電源装置UPS−1、UPS−2の内に一方のみに設けることができる。
(9) 3台以上の交流無停電電源装置を並列接続することができる。また、複数台の交流無停電電源装置を並列接続せずに1台の交流無停電電源装置のみで使用することもできる。1台の交流無停電電源装置のみで使用する場合には、補正手段76が電流制限に寄与する。
(10) 交流電源1の正常時において第1及び第2の交流出力端子4a,4bに第1及び第2の交流入力端子2a,2bよりも常に高い電圧を得るように構成することができる。この場合には、電圧調整手段70,70´から常に加算電圧を発生させ、且つ電圧調整手段70,70´の電圧調整範囲のほぼ中心で定格交流出力電圧が得られるように電圧調整手段70,70´及び直流―交流変換器7、7´、7a、7b、7c及び第2の制御回路 8、8a を構成する。
(11)電源スイッチ16を、トライアック以外のサイリスタ、トランジスタ、FET、IGBT等の別の半導体スイッチ、又はこれ等とダイオードとの組み合わせとすることができる。
6、6a 第1の制御回路
7、7´、7a、7b、7c 直流―交流変換器
8、8a 第2の制御回路
10 蓄電池
70,70´ 電圧調整手段
76 補正手段
Claims (5)
- 互いに並列接続された複数の交流無停電電源装置を有する交流電源装置において、前記複数の交流無停電電源装置のそれぞれは、
交流入力端子と、
交流出力端子と、
前記交流入力端子と前記交流出力端子との間に接続され且つ前記交流入力端子から前記交流出力端子に供給する電圧を所望値に調整する機能を有している電圧調整手段と、
直流電圧を出力することができる蓄電装置と、
前記交流出力端子と前記蓄電装置との間に接続された双方向電力変換器と、
前記蓄電装置と前記電圧調整手段との間に接続され且つ前記交流入力端子から前記交流出力端子に供給する電圧を所望値に調整するための電圧を前記電圧調整手段に供給する機能を有している直流−交流変換器と、
前記双方向電力変換器に接続され、前記交流入力端子から前記交流出力端子に交流電圧が供給されている時に前記双方向電力変換器を交流−直流変換動作させ、且つ前記交流入力端子から前記交流出力端子に交流電圧が供給されていない時に前記双方向電力変換器を直流−交流変換動作させるための制御信号を形成する第1の制御回路と、
前記交流入力端子から前記交流出力端子に向かって流れる電流の実効値又は前記電圧調整手段を流れる無効電流を検出する電流検出手段と、
前記直流−交流変換器を動作させる制御信号を形成するものであって、前記直流−交流変換器と前記電流検出手段とに接続され、前記交流入力端子から前記交流出力端子に交流電圧が供給されている時に前記電圧調整手段の電圧を前記電流の実効値又は前記無効電流に対して反比例的に変化させることができる制御信号を形成する第2の制御回路と
を備えていることを特徴とする交流電源装置。 - 前記第2の制御回路は、
前記交流入力端子から供給する電圧と同一周波数を有する基準正弦波を発生する基準正弦波発生器と、
前記交流出力端子の電圧を示す交流出力電圧検出信号を得るための交流出力電圧検出手段と、
前記基準正弦波と前記交流出力電圧検出信号とに基づいて前記交流出力端子の電圧を一定に制御するための電圧帰還制御信号を作成する電圧帰還制御信号形成手段と、
前記電流検出手段に接続され、前記電流検出手段の出力に応答して前記電圧調整手段の電圧を前記電流の実効値又は前記無効電流に対して反比例的に変化させることができるように前記電圧帰還制御信号を補正する補正手段と、
前記基準正弦波よりも十分に高い周波数で三角波又は鋸波から成る比較波を発生する比較波発生器と、
前記補正手段で補正された後の前記電圧帰還制御信号と前記比較波とを比較して前記直流−交流変換器の変換用スイッチをオン・オフ制御する制御パルスを形成する比較器と
を有することを特徴とする請求項1記載の交流電源装置。 - 前記補正手段は、
前記電流検出手段の出力に対して反比例的に変化する補正指令信号を形成する補正指令信号形成手段と、
前記補正指令信号形成手段に接続され、前記基準正弦波又はこれと同一位相の正弦波の振幅を前記補正指令信号によって調整して電流調整用の補正信号を形成する補正信号形成手段と、
前記電圧帰還制御信号形成手段と前記補正信号形成手段とに接続され、前記電圧帰還制御信号を前記補正信号で補正する手段と
から成ることを特徴とする請求項2記載の交流電源装置。 - 前記第2の制御回路は、
前記交流出力端子の電圧を示す交流出力電圧検出信号を得るための交流出力電圧検出手段と、
前記交流出力電圧の基準を示す基準電圧を発生する基準電圧源と、
前記基準電圧と前記交流出力電圧検出信号とに基づいて前記交流出力端子の電圧を一定に制御するための電圧帰還制御信号を作成する電圧帰還制御信号形成手段と、
前記電流検出手段と前記電圧帰還制御信号形成手段とに接続され、前記電圧帰還制御信号の値を前記電流の実効値又は前記無効電流に対して反比例的に変化させる補正手段と、
前記交流入力端子から供給する電圧と同一周波数を有する基準正弦波を発生する基準正弦波発生器と、
前記補正手段と前記基準正弦波発生器とに接続され、前記基準正弦波の振幅を前記補正手段で補正された前記電圧帰還制御信号で補正する基準正弦波補正手段と、
前記基準正弦波よりも十分に高い周波数で三角波又は鋸波から成る比較波を発生する比較波発生器と、
前記基準正弦波補正手段の出力と前記比較波とを比較して前記直流−交流変換器の変換用スイッチをオン・オフ制御する制御パルスを形成する比較器と
を有することを特徴とする請求項1記載の交流電源装置。 - 前記補正信号による補正量は、前記交流出力端子の電圧の許容変動範囲内の電圧調整をするための量であることを特徴とする請求項2又は3又は4記載の交流電源装置。
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