本発明は、排出されるシートを集積したり、この排出前に一時積み重ね載置する際の集積性能や載置性能を向上したシート収納装置に係わり、添付の図面に従ってその一実施例を説明する。
図1、図2及び図3において、シート収納装置としてのフニッシャ装置1は、複写機本体やプリンタ本体等の画像形成装置Gに隣接して設けられている。この場合、この装置Gに着脱可能に取り付けることが望ましい。
このフニッシャ装置1は、本体装置2と、本体装置2の一方の側部フレーム2aに装着されたステップルユニット3と、本体装置2の他方の側部フレーム2bに配置された後に説明する駆動伝達システム4(図9、図10参照)と、画像形成装置Gから排出された画像形成済みシートSが供給される受け入れ口7と、この受け入れ口7と反対側の面に形成した排出口10と、本体装置2の正面から突出し排出口10から排出されるシートSを集積スタックする集積トレイ5と、この集積トレイ5の上方に位置し、第2の排出口12から排紙されるシートを収容するエスケープトレイ6とを備えている。
また、図3に示す様に、本体装置2の内部には、受け入れ口7からシートSを内部へと導く第1搬送路P1 と、この第1搬送路P1から、直接、排出口10を通って排出経路を介して集積トレイ5へつながる第2搬送路P2と、この第2搬送路P2と段差を隔てるとともに搬送方向をスイッチバックさせてシートSを一時収納する一時載置トレイとしての処理トレイ29内へシートSを搬送する第3搬送路P3と、上記第1搬送路P1の途中から分岐して、第2の排出口12へシートSを導く第4搬送路P4とを備えている。
即ち、シートSを第1搬送路P1から第2搬送路P2を介して直接シートSを集積トレイ5へ排出する「スルーパスモード」と、第2搬送路P2からシートSを第3搬送路P3に沿ってスイチバック搬送して処理トレイ29に複数枚載置整合し、ステップルユニット3によって綴じ処理を行った後、集積トレイに束排出する「ステープルモード」と、第1搬送路P1から第4搬送路P4に搬送してエスケープトレイ6にシートSを排出する「エスケープモード」とを有している。
第1搬送路P1には、受け入れ口7から供給されたシートSの搬送を案内する搬送ガイド8と、シートが供給されたことを検出する入り口センサー11と、従動ローラ14と協同してシートSをさらに下流側へ送る搬送駆動ローラ15と、搬送駆動ローラ15によって搬送されたシートSを、さらに前方のシート移送手段としてのエンドレス搬送ベルト18に向けて案内する場合と、第4搬送路P4へ向けて案内する場合とで搬送経路を切り換える回転式のフラッパー16とを備えている。
上記エンドレス搬送ベルト18は、従動ローラ17と協同して第2搬送路P2へシートSを搬送する。なお、エンドレス搬送ベルト18は、ゴム製のリング状のエンドレスベルトからなり、駆動軸19aに固定したベルト駆動ローラ19によって回動すると共に、図2、図3上下方向及びその交差方向に変形可能でフレキシブルになっている。
このエンドレス搬送ベルト18の下方には、処理トレイユニット20が設けられている。この処理トレイユニット20は、シートSを順次載置して所定枚数のシート毎にステップルユニット3によってステップル綴じを行うために、シートSを一時載置しておくためのものである。
なお、実施例のものは所定枚数のシートSを束としてステイプル綴じを行うものを示しているが、シートに穴あけを行ったり、集積トレイ5に排出する前複数枚のシートSを揃えるために一時載置するものにも採用できる。
また、上記第2搬送路P2の上方には、パドル駆動ローラ軸21aを軸支点として上下に回動する回動ユニット24が設けられている。この回動ユニット24は、第1搬送路P1からのシートSを、直接排出口10を介して集積トレイ5に排出するときや、上記処理トレイユニット内の複数のシート束を集積トレイ5に排出するときは図2の図示実線位置である下方位置に位置し、シートSを処理トレイ11内への第3搬送路P3へ導く場合には図2の二点鎖線で示される上方位置に位置する。
この回動ユニット24内には、バドル駆動軸21aに固設されたパドル駆動ローラ21の回転によって従動回転するパドル回転軸22に設けられたゴム性のパドル23と、回動ユニット24の自由端側は従動排出ローラ25が設けられている。この従動排出ローラ25は、その下方に位置する排出ローラ26と協同してシートS若しくはシートSの束を排出口10から集積トレイ5に排出するためのものである。
本体装置2の排紙口10には、排出従動ローラ25と対向して駆動軸26a によって駆動回転する上記の排出ローラ26が設けられている。
上記の排出ローラ26の図示下方には、集積トレイ5に集積スタックするシートSの端縁を規制するシート端縁規制部材としてのシート突き当て面2cが、本体装置2の正面フレームと一体に構成されている。このシート突き当て面2cの排出ローラ26近接したシート突き当て面2c上方位置から上記集積トレイ5に向かって出没するシート押えレバー78が設けてある。このシート押えレバー78は、シートS若しくはシートSの束が排出ローラ26と従動排出ローラ25によって排出される毎に、集積トレイ5に向けて突出するように移動する。
従って、後に詳しく説明するが、シート押えレバー78が集積スタックされるシート端縁を押え集積トレイ5へのシートSの集積スタック性を向上する共に、集積トレイ5に集積スタックされているシートSの端縁がカールして後続して排出されるシートSの先端と当接して、後続して排出される排出シートSの紙詰まり(シートジャム)を防止することができる。
尚、本実施例にあってはこのシートS押えレバー78は、シート突き当て面2Cの背面側に位置する押えレバーソレノイド83によってシート突き当て面2C内から出没するように駆動される。
第4搬送路P4には、搬送ガイド13が設けてあり、画像形成済みのシートSにステップル綴じ機能やソート機能等の後処理を行わない場合や、不定形サイズの特殊シートに用いられ、従動ローラ27と協同して第2の排出口12からエスケープトレイ6にシートSを排出する第2の排出ローラ28を備えている。
以上が、本体装置2の構成概要であるが、以下に図2から図7までを使用して各ユニット若しくは各機構の構成をさらに説明する。
処理トレイユニット20は、図3及び図4に良く示すように、ステップル処理を行うためシートを一時載置する一時載置トレイとしての処理トレイ29と、処理トレイ29上に搬送されたシートSを検出するセンサーレバー30と、処理トレイ29上のシートSの最上位上面に当接するシートS搬入方向に沿って位置する前後2箇所に設けられたシート押圧手段としてのシート押え31と、処理トレイ29上に積載されたシートSを整合する整合手段としての整合板34とを備えている。
処理トレイ29は、ステップル綴じ後のシート束排出方向を先端に上向き傾斜したシート載置部29aと、シート載置部29aの後端から立ち上がってシート載置部29a上のシートSの側縁に係合するシート規制手段としての処理シート先端規制片29bとが一体に形成されている。
また、この処理トレイ29の幅は本体装置2に送り込まれる最大シートサイズのシートSの幅より大きいが、シート搬送方向長さつまり受け入れ口7から排出口10までの間隔はシートサイズに関係なく短くできる。これは処理トレイ29と集積トレイ5とにシートを跨らせて載置可能な構成となっているからである。
センサーレバー30は、その一端側が排紙口10側で第2搬送路P2に延在し、処理トレイ29の下方のセンサー回動軸30cによって回動自在に支持され、他端側にシート有無センサー30aによって検出されるセンサーフラグ30bを有し、シートSが存在しないときは、図2及び図3に示されように一端側がシート載置部から離間し第2搬送路P2に延在している。
このセンサーレバー30は、第2搬送路P2にシートSが搬送されていないとき、及び処理トレイ29のシート載置部29aに載置していないときのシートS状態を検出できる。
従って、シート載置部29aにシートSが載置していない状態で、第1搬送路P1から直接第2搬送バスP2を通って集積トレイ5に1枚ずつ集積する場合にも、シートSの後端エッジがセンサーレバー30から離脱することによって排出されるシートSの搬送通過センサーとしても機能する。
また、処理トレイ29から束として排出する場合にも、シートSの束排出通過センサーとして検出できる。尚、このセンサーレバー30による通過検出信号は、前述したシート押えレバー78を動作する押えレバーソレノイド83の動作信号として利用している。
シート載置部29aの排出口10側には、排出ローラ26の外周面よりも若干上方に位置するシート腰付ガイド42が設けられている。
ところで、このフニッシャ装置1は、シートSを第2搬送P2から第3搬送路P3へシートSをスイッチバックして処理トレイ29に載置するが、このときのシートSの載置状態は、先に述べたように処理トレイ29がシートSの搬送方向長さよりきわめて短く設定されているためシートSを処理トレイ29と集積トレイ5とに跨った状態で積載している。
従って、シートSを処理トレイ29上で整合のため搬送方向と略直交する幅方向にシフトする場合には、シートSがゴム部材などの高摩擦材からなる排出ローラ26と接触せず、かつなるべくシートSが排出ローラ部を頂点として山形形状にして腰付けすることが望ましい。
一方、シート載置部29aにシートSを載置することなく、第1搬送路P1から第2搬送路P2を介して直接集積トレイ5に排出する場合にも、シートSの先端が排出ローラ26を通過するまでは、この排出ローラ26とシートSとの非接触状態としておくことが望ましい。これらを達成するため、上記のシート腰付ガイド42が設けられている。
尚、このシート腰付ガイド42は、回動ユニット24の上下動作と連動し、回動ユットが図2の実線で示される下方位置にあるときは、シート腰付部材42は排出ローラ26の外周面より内側に位置する。
整合ユニット33は、図4に示すように、シートSの搬送方向と交差する方向に配置された整合板34と、整合板駆動モータ36と、整合板駆動モータ36の出力軸36aに固定されたピニオンギア37と、整合板34の底面に設けられてピニオンギア37と噛合うラックギア39と、このラックギア39の下方には整合板34の位置を検出する整合板位置検出センサー35と、このセンサーを横切るラックギア39と一体の整合板フラグ38とを備えている。
従って、整合板34はシートSが処理トレイ29aに第3搬送路P3に沿って搬入される都度シートSの搬送方向と略直交する方向に整合板駆動モータ36の回転駆動によって、シートSに当接する様に移動し、シートSを整合板34の移動方向と対向する位置にあるステップルユニット3が取り付けられた本体側部フレーム2aに当接させてシートSの整合動作を行う。
尚、本実施例に於いては、シートS幅方向の一方のみに整合板34を設けたが、シートSの幅方向の両側に互いに近接離反する一対の整合板でシートSを挟むように整合動作を行っても良い。
ここで、エンドレス搬送ベルト18に付いて説明する。先に説明したように従動ローラ17と協同してシートSを第2搬送路P2に向けて搬送するが、シートSを第3搬送路P3においてもシートSと係合してシートSをシート先端規制片29bに向けて搬送するように構成されている。
即ち、エンドレス搬送ベルト18は、図3、図4に示される様に、シートSと係合面が細かい歯付形状になっており、図示18aは第1搬送路P1から引き込むシート引き込み搬送部として作用し、18bはシートSの搬送方向後端を第2搬送路P2から第3搬送路P3に後述のパドル23と協同して落とし込む落とし込み部としても作用し、更に第3搬送路P3に於いてはシートSを搬送するシート繰り込み部としても作用する。
このエンドレス搬送ベルト18は、変形可能なフレキシブル材で構成されているため、載置トレイ部29aに順次シートSが積み重なってもシートSの厚さに応じてシート繰り込み部18cが上昇する。
このエンドレス搬送ベルト18と前記の整合板34との位置関係について言及すると、図3、図4に示される様に、エンドレス搬送ベルト18のシート繰り込み部18cは整合板34搬送方向長さ範囲内に位置している。整合板34は、シートSの端縁がエンドレス搬送ベルト18によってシートS先端規制片29bに到達してからシートSを幅方向に移動シフトするが、この整合の際シートSとシート繰り込み部18cは接触状態となっているため、シート繰り込み部18cが整合板34の外方に位置しているとシート繰り込み部18cを中心としてシートSを回転する力が働き整合が正しくなされないことを防ぐためであり、また整合板34の内にシート繰り込み部18cを配置することによって装置本体装置2の搬送方向全体長さを短くコンパクトにできる。
また、整合版34は上記エンドレス搬送ベルト18のシート繰り込み部18cの位置から排出ローラ26上まで延設されているが、これはシートが処理トレイ29と集積トレイ5に跨って載置されるシート折れ曲がり部分とエンドレス搬送ベルト18のシート繰り込み部18cの位置の両方を整合するたである。
次に、シート載置部29a 上に配置したシート押え31・32を図5、図6によって説明する。
前に述べたように、処理トレイ29に載置されるシートSは、第3搬送路P3に沿ってエンドレス搬送ベルト18によってシート載置部29a順次送り込まれ載置される。この際シートSは、処理トレイ29の上方の支持部材40に回動自在に取り付けた第1シート押え31と第2シート押え32によってシート載置部29a側に押し付けられながら搬送されると共に、処理トレイ29のシート先端規制片29bにシートSの端縁が到達した後もシートSがカールして後続シートSの搬入を妨げることなく整列性良く載置して、ステップル綴じなどの後処理を施すようにしている。
即ち、第1シート押え31は、その基端部31aが支持部材40内に入り込んで支持部材40の支持軸40aに回動自在に取り付けられ、その先端部31bが処理トレイのシート先端規制片29b近接し、シート載置部29aに接した位置に垂れ下がっている。また、第1シート押え31の先端部31bは、処理トレイのシート先端規制片29bに一部がオーバーラップして位置している。このオーバーラップは、シートSの端縁が先端部31bとシート先端規制片29bとの間を通り越してしまうのを防止するためである。
次に、第2シート押え32は、その基端部32aが支持部材40に取り付けられた支持片40bの第2支持軸40cに、回動自在に取り付けられ、その先端部32bがエンドレス搬送ベルト18条間からシート載置台29aに向かって垂れ下がっている。
また、この第2シート押え32は、図5に示す様に、そのストッパー部32cが支持片40bに設けられた規制部40dに当接すると、シート載置部29aとの間で距離hを保って位置している。従って、この第2シート押えは、シート載置部29aにシートSの積層載置厚さが、上記h以上にならなければ、その先端部32bがシートSに接触しない。
このように、第2シート押え32の先端部32bをシート載置部29aから離間させたのは、シートSの枚数が少ないときは、シートSへの抵抗やダメージを少なくし、所定枚数(距離h分以上)となったときや、距離hを超える上方カールがシートSに発生したとき、シートSに接触してシートを押圧するようにしている。
従って、シート載置部29aに載置するシートSが少ないときや、カールが小さいときには、まず第1シート押え31のみによってシートSを押え、シートSの載置枚数が増加したり、大きなカールが発生したきは第2シート押え32によってもシートSを押えることになる。
また、図5の一点鎖線で示されるシートSの様に、シートSが大きくカールしたときは、第2シート押え32の先端部32bが、第1シート押え31の後部31cに当接係合する様になっている。これは、シートSに所定以上のカールが発生すると、第2シート押え32の先端部32bに第1シート押え31の重さが加重され、速やかに、このカールを解消するためである。
ところで、シート載置部29aから先端部32bが離間した第2シート押え32は、第1シート押え31よりも、シートSを処理トレイ29に般入するとき搬入方向上流側に位置している。この実施例によれば、シートSの搬入枚数が少ないときは、先端規制片29b近傍の第1シート押え31のみによってシートSを押え、シートSの搬入枚数が多くなると、この第1シート押え31と共に第2シート押え32もシートSの押え作用を行うことになり、シートSの搬入枚数の増加によってシートへの押え力を増加できるので、シートの載置集積性能を向上できる。
さらに、図6に示される様に、第1シート押え31と第2シート押え32は、シートSの幅方向に列状に配置してあり、シート載置部29aに載置されるシートの一端側を多く押えるようにしている。従って、シートの端部にステープルユニット3による綴りなどの後処理を、シートが正しく揃えられた状態で行うことができる。
なお、上記の実施例にあっては、第1シート押え31の先端部31bは、シート載置部29aにシートSが載置されていない状態で、シート載置部29aに接している状態であるとしたが、シート載置部に接していなくとも良く、この場合、第2シート押え32の先端部32bとシート載置部29aとの距離hよりも小さい距離に第1シート押え31の先端部31bとシート載置部29aとを設定すればよい。
また、第1シート押え31、第2シート押え32をシート搬送方向に2列にならべているが、これが3列、4列として良く、シートSに対する押圧力を変えるとの点からは、同列にならべても良い。
さらに、図7に示す様に第2シート押え32を省略し、支持部材40と第1シート押え31との間に、コイルスプリング40fを介在しても良い。このコイルスプリング40fは、一端が支持部材40に設けられたスプリングピン40eに、他端のスプリング当接部40gが第1シート押え31の背面側に位置している。従って、シートSの載置枚数が少ないときは、コイルスプリング40fの弾性力は作用せず、シートSの載置枚数が多くなるに従ってコイルスプリング40fの弾性力が徐々に強くなるように構成して、シートSを押圧する力を増加させても良い。
処理トレイ29に載置されたシートSは、ステップルユニット3によって綴じ処理されるが、本実施例のステップルユニット3は、図1及び図4に示すように、処理トレイ29のシート載置部29aと略同角度に傾斜配置されており、側部フレーム2aに固定してある。このステップルユニットは、本体フレーム2からその内部に位置するシート載置部29aに向かって、シートSの前端部にステップル針を打ち込むヘッド部3aとこのヘッド部3aによって打ち込まれたステップル針を折り曲げるアンビル部3bとが設けてある。また、本体フレーム2の外部側である背面側に針を収納した取り替え可能なカートリッジ3cを備えている。
なお、このステップルユニット3は、シート載置部29a上のシートの上面側からステップルを打ち込むものであるが、ヘッド部3aとアンビル部3bを上下逆として、シートSの下面側からステップル針を打ち込むように構成しても良い。
次に、図3において、処理トレイ29のシート排出口側上方に位置する回動ユニット24について説明する。この回動ユニット24は、図8の平面図に示される様に、パドル23と、このバドル23を回転させるパドル回転軸22と、このバドル回転軸22に駆動伝達するパドル駆動ベルト22aと、パドル駆動ベルト22aを駆動するパドル駆動ローラ21と、排出口10に位置して本体フレーム2側の排出ローラ26と協同してシートSを排出する従動排出ローラ25とを備えている。パドル駆動ローラ21は、本体側部フレーム2aに設けられた駆動伝達システム4の一部であるパドル駆動伝達歯車54によって駆動回転するパドル駆動ローラ軸21aによって回転駆動する。また、回動ユニット24は、パドル駆動ローラ軸21aを軸支点として排紙ローラ26に近接する位置とこの排紙ローラ26から離間した位置の上下に揺動する。この上下揺動運動は、駆動伝達システム4に設けられた昇降レバー64から突出する昇降ピン64bが回動ユニット24に係合して行われる。
回動ユニット24は、パドル駆動ローラ21a軸の軸支点に設けられ、一端を本体フレーム2に、他端を回動ユニット24のフレームに当接させた回動ユニットスプリング24bによって、常時排出ローラ26側の下方側に付勢されている。また、回動ユニット24は、この付勢力に抗して移動する上記の昇降レバー64によって上下揺動コントロールされる。
本体装置2は、シートSを第1搬送路P1から第2搬送路P2を介して直接シートSを集積トレイ5へ排出する「スルーパスモード」と、第2搬送路P2からシートSを第3搬送路P3に沿ってスイチバック搬送して処理トレイ29に複数枚載置整合し、ステップルユニット3によって綴じ処理を行った後、集積トレイに束排出する「ステープルモード」と、第1搬送路P1から分岐し第4搬送路P4に沿ってエスケープトレイ6に特殊シートSを排出する「エスケープモード」とを有している。
これらの第1搬送路P1から第4搬送路P4までに配置された搬送駆動ローラ15、エンドレス搬送ベルト18、排出ローラ26、パドル23、回動ユニット24、第2の排出ローラ28、などを駆動するシステムについて以下に説明する。
本実施例の駆動伝達システム4は、図9、図10に示すように、一つの駆動モータ43と、この一つの駆動モータ43の出力軸43aに設けられた反時計周り方向に回転する出力プーリ44と、受け入れ口10側に配置された搬送駆動ローラ15の回転軸15aに設けた駆動プーリ45と、第2の排出ローラ28の回転軸28aに設けた駆動プーリ47と、エンドレス搬送ベルト18を回転駆動する駆動ローラ19の回転軸19aに設けた駆動プーリ46と、出力プーリからの駆動を、各駆動プーリ45、46、47に伝達する回動ベルト48と、駆動プーリ46と同軸である回転軸19aに設けた伝達歯車51に噛合う従動伝達歯車53を介して連結する大径のタイミング歯車55と、排出ローラ26の回転軸26aに設けられ、タイミング歯車55と中間歯車56aを介して連結される伝達歯車56bと、回動ユニット24を上下揺動自在に支持すると共にパドル駆動ローラ21を回転駆動するパドル駆動軸21aに設けられ、従動伝達歯車52、駆動プーリ46と同軸の伝達歯車51に連結される外周にロック板54cを備えるパドル伝達歯車54と、パドル駆動ローラ21とパドル23を支持するパドル回転軸2を連結するパドル駆動ベルト22aと、タイミング歯車55に設けたカム65と、ピン64bによって回動ユニット24に係合し、カム65の回転によって回動ユニット24を上下揺動させる昇降レバー64を含む。
図中、49、50は回動ベルト48に張力を与えるテンションローラである。
装置本体装置2の受け入れ口7からシートSが送り込まれ、入り口センサー11でシートS先端が検出され装置が稼動状態になると、搬送駆動モータ43が起動し回動ベルト48によって、駆動プーリ45連結された搬送駆動ローラ15と、駆動プーリ47に連結された第2の排出ローラ28と、駆動プーリ46に連結されたエンドレス搬送ベルト18駆動するエンドレスベルト駆動ローラ19とが、シート順送り(搬送方向下流側)方向に回転し続ける。
ところで、シートSの処理が、「スルーパスモード」である場合には、パドル23を回転駆動することなく、タイミング歯車55を回転させて、この回転により昇降レバー64を図示下方に移動させると回動ユニット24も排出ローラ26側に移動して回動ユニット24内の従動排出ローラ25に圧接状態となる。これと共に、タイミング歯車55は、中間歯車56aと伝達歯車56bを介して排出ローラ26を回転し第2搬送路P2に沿ってシートSを集積トレイ5に1枚ずつ排出する。
一方、「ステープルモード」のときには、シートSの後端が、エンドレスベルト駆動ローラ19と従動ローラ17を通過のところで、パドル23をシート搬送方向と逆方向(エンドレスベルト駆動ローラ19と反対方向)に回転させて、シートSを第2搬送路P2から第3搬送路P3に沿って処理トレイ29に送り込む。シートSの端縁が、処理トレイ29の先端規制片29bに到達すると、整合板34を移動しシートSを本体側部フレーム2aに押圧する。この動作をシートSの所定枚数積み重ねられるまで繰り返し、その後、ステップルユニット3を作動して、処理トレイ29a上のシート束のステップル動作を行う。この後処理が実行された後、タイミング歯車55を回転させて、この回転により昇降レバー64を図示下方に移動させると回動ユニット24も排出ローラ26側に移動して回動ユニット24内の従動排出ローラ26をシート束に圧接状態とする。これと共に、タイミング歯車55は、中間歯車56aと伝達歯車56bを介して排出ローラ26を回転し、シート束を集積トレイ5に排出する。
ここで、パドル23を選択的に駆動する駆動伝達を説明する。
パドル23を駆動するパドル駆動ローラ軸21aに連結したパドル伝達歯車54と一体回転するロック板54cは、常時はソレノイド57bによって往復変位可能なロック爪57と係合して回転停止しており、この状態ではパドル伝達歯車54に設けられた欠け歯部54bによって従動伝達歯車52を空転させている。そして、ソレノイドの駆動によってロック板54cとロック爪57との係合が解除されると、ロック板54cに設けられたスプリング54dの張力によって従動歯車54が回転し、この回転に伴って従動歯車54と従動伝達歯車52とが噛合ってパドル伝達歯車54が回転する。この回転は1回転でロック板54cがロック爪57と係合して停止する。
言い換えると、ロック板54cがロック爪57に係止されている状態にあっては、従動伝達歯車52からの駆動は、欠け歯部54bが伝達従動歯車52に対向しているため、パドル伝達歯車54は回転せず、ロック板54cからロック爪57が係止解除されない限りパドル伝達歯車54及びこれに連結されるパドル23も回転駆動されない。
従って、「スルーパスモード」の時は、ロック板54cとロック爪57との係止解除することなくパドル23を停止状態で、回動ユニット24を下降してシートSを集積トレイ5に排出し、「ステップルモード」のときは、シートSの後端が、エンドレスベルト駆動ローラ19と従動ローラ17を通過したところで、ロック板54cからロック爪57を解除しパドル23を回転してシートSを処理トレイ29に送りこむことができる。
次に、排出ローラ26、回動ユニット24を上下昇降に用いる昇降レバー64を作動するタイミング歯車55について説明する。
このタイミング歯車55は、常時はソレノイド59aによって往復変位可能なロック爪59と係合してタイミング歯車55の回転を停止させるタイミング歯車55の一方の面(図9表面)に設けられた被ロック爪60と、ロック爪59と被ロック爪60との係合が解除された際にタイミング歯車55を反時計周り方向に回転させる重り61と、従動伝達歯車53並びに中間歯車56aを空転させる欠け歯62,63と、回動ユニット24を回動させるタイミング歯車55の他方の面(図9裏面)に設けた昇降レバー64の先端64aと係合して昇降レバー64を軸線方向に沿って往復動させるカム部65とを備えている。尚、昇降レバー64は常時スプリング66によって先端64aをカム部65との弾接方向に付勢しており、初期状態ではストッパピン67と長孔68との係合により先端64aとカム部65とが離間している。
次に、シートSの後処理例を、図11及び図12のタイミング駆動歯車の作動状態説明図に基づいて説明する。先に述べたように、シートSの処理モードとして、「ステップルモード」と「スルーパスモード」と「エスケープモード」を有し、夫々シートSの送り方法が異なるが、まず、「ステップルモード」の動作について説明する。
この「ステップルモード」は、後処理としてステップル綴じを行う場合であって、画像形成装置本体Gで処理された原稿の枚数を画像読み取り時にカウントし、そのカウント数と作成束数とに基づいてステップル綴じ行い、この綴じられたシート束を集積スタックするモードである。
即ち、1組1枚目のシートSが受け入れ口7に供給されると、受け入れ口7と搬送ローラ15との間に設けられたシート入り口センサー11がシートを検出する。このセンサーの検出結果に基づいて駆動モータ43が駆動を開始し、この駆動に連動して回動ベルト48を介して搬送ローラ15、排出ローラ28、エンドレス搬送ベルト駆動ローラ19が回転する。
この際、従動伝達歯車52も回転するが、従動歯車54は、その切欠き歯部54bが対向しているので駆動伝達されず、回転停止状態にある。また、図11(A)に示すように、従動伝達歯車53も回転するが、タイミング歯車55の欠け歯部62が従動伝達歯車53に対向するともにロック爪59と係止片60とが係合してタイミング歯車55及び中間歯車56aは回転停止状態にある。
また、シートSは、従動ローラ14と搬送駆動ローラ15との協同並びに従動ローラ17とエンドレス搬送ベルト18との共同によって段差に向けて搬送ガイド8内の第1搬送路P1を搬送され、シート入り口センサー11がシートSの搬送方向後端を検出して所定時間経過すると、シートSの先端が排出口10から集積トレイ5上に位置すると共にシートSの後端が従動ローラ17とエンドレス搬送ベルト18との間を抜けると、エンドレス搬送ベルト18の落とし込み部18bによって第3搬送路P3方向に向けられる。
この状態で、パドル23の回転を許容するため、ソレノイド57bが作動してパドル伝達歯車54のロック板54cとロック爪57との係合が解除され、スプリング54dによって従動歯車54が回転を開始し、この回転に連動してパドル伝達54と従動伝達歯車52とが噛合ってパドル駆動ローラ軸19aに設けられた従動歯車54が回転し、これによりパドル23が回転する。
このパドル23は、シートSを今までの搬送方向とは逆方向にシートSを戻し、シート載置部29aとエンドレス搬送ベルト18とにシートSを送りシートSの側縁が処理シート29の先端規制片29bに当接される。
この後、整合板駆動モータ36が駆動して整合板34を移動させて、シートSを整合板34の移動方向と対向する位置にあるステップルユニット3が取り付けられた本体側部フレーム2aに当接させてシートSの整合動作を行う。
そして、上述した各動作を各シートSの搬送毎に行い、所定枚数の積載が終了すると、ステップルユニット3が駆動してシートSにステップル綴じを実行する。
このステップル綴じが実行されると、タイミング歯車55の回転を許容するため、図11(B)に示す様に、タイミングソレノイド59aが作動しロック爪59とタイミング歯車55の係止片60との係合が解除され、重り61の重力によってタイミング歯車55が反時計周り方向に回転される。
この回転により、従動伝達歯車53が欠け歯62から抜けてタイミング歯車55と噛合い、従動伝達歯車53から駆動を受けてタイミング歯車55が本格的に回転を開始する。
さらに、図11(C)に示すように、タイミング歯車55の裏側に位置する昇降レバー64の先端64aが、タイミング歯車55のカム部65と弾接してそのカム形状によりスプリング66の図示上方付勢に抗して昇降レバー64が図示下方へと移動を開始する。この昇降レバー64の下方移動により、回動ユニット24のスリット24c係合する昇降ピン64bも下降することによって、回動ユニット24も図示下方への移動を開始する。(尚、図11及び図12において、回動ユニットのスリット24c及び昇降ピン64bは、昇降レバー24の裏側に位置しているが、図11及び図12においては、説明のため実線表記している。)
回動ユニット24が下方移動を開始した後に、中間歯車56aがタイミング歯車55の欠け歯63から抜けてタイミング歯車55と噛合い、中間歯車56a,伝達歯車56bが回転を開始し、これにより排出ローラ26も回転を開始する。
次に、図12(A)に示すように、昇降レバー64の先端64aがタイミング歯車55の半径とほぼ等しいカム部65最外周面と弾接していくと排出ローラ26と回動ユニット24の先端側の従動排出ローラ25とがニップしてステップル綴じ後のシートSの束が集積トレイ5へと排出される。このシートSの排出完了は、図2及び図3に示した処理トレイ29の先端に位置するセンサーレバー30の上方復帰をシート有無センサー30aによって検出する。
ステップル綴じ後のシートS束の集積トレイ5への排出が完了すると、図12(B)に示すように、昇降レバー64の先端64aとカム部65との弾接が解除されて回動ユニット24が上方の復帰方向に回動を開始して従動排出ローラ25が排出ローラ26から離間した後に、タイミング歯車55の欠け歯部62,63が、従動伝達歯車53と排出ローラ26に駆動伝達する中間歯車56aと抵抗する位置に移動し図11(A)の状態へと復帰する。
次に、「スルーパスモード」について説明する。
このモードは画像形成装置本体Gから排出されるシートSを、第1搬送路P1から第2搬送路P2を介して、直接集積トレイ5に集積スタックするモードで、ステップルによる綴じ処理等を行わず、大量のシートSを集積するのに適している。このモードと、上記の「ステップルモード」との動作上の相違は、パドル23を常時回転しないようにしたことと、タイミング歯車55の回転開始時期をシートの搬送タイミングに応じて早期に行ったことである。
即ち、シートSが受け入れ口7に供給されると、受け入れ口7と搬送ローラ15との間に設けられたシート入り口センサー11がシートを検出する。このセンサーの検出結果に基づいて駆動モータ43が駆動を開始し、この駆動に連動して回動ベルト48を介して搬送ローラ15、第2の排出ローラ28、エンドレス搬送ベルト駆動ローラ19が回転する。このときは、図11(A)に示すように、従動伝達歯車53も回転するが、タイミング歯車55の欠け歯部62が従動伝達歯車53に対向するともにロック爪59と係止片60とが係合してタイミング歯車55及び中間歯車56aは回転停止状態にある。
シート入り口センサー11がシートSの先端を検出した後、僅かな遅れをもって、タイミング歯車55の回転を許容するため、図11(B)に示す様に、タイミングソレノイド59aが作動しロック爪59とタイミング歯車55の係止片60との係合が解除され、重り61の重力によってタイミング歯車55が反時計周り方向に回転される。
この回転により、従動伝達歯車53が欠け歯62から抜けてタイミング歯車55と噛合い、従動伝達歯車53から駆動を受けてタイミング歯車55が本格的に回転を開始する。この後の動作は、「ステップルモード」時の図11(C)から図12(A)、図12(B)までと同様に動作を行う。従って、回動ユニット24は、シートSが本体装置2に搬入される毎に昇降運動を行い、シートSを集積トレイ5に排出する。このシートSの排出完了は、図2及び図3に示した処理トレイ29の先端に位置するセンサーレバー30の上方復帰をシート有無センサー30aによって検出する。
尚、パドル23の回転を行わないようにするため、この「スルーパスモード」の実行中、ソレノイド57bを作動させず、パドル伝達歯車54のロック板54cとロック爪57との係合状態としている。
最後に「エスケープモード」は、不定形サイズ等の特殊シートをエスケープトレイ6へ排出するモードであって、第1搬送路P1から回転式のフラッパー16を図2及び図3の状態から反時計方向に回転してシートSを第4搬送路P4に搬送し、第2の排出ローラ28によって、エスケープトレイ6へシートSを排出する。
この場合、予めの「エスケープモード」設定により、フラッパー16を回転させシートSを第4搬送路P4に案内するように位置させておく。この状態で、シートSが受け入れ口7から供給されるとシート入り口センサー11がシートを検出し、駆動モータ43が駆動を開始する。この結果、他のモードで説明したように、搬送ローラ15、第2の排出ローラ28が駆動回転し、シートSをエスケープトレイ6に排出する。
尚、バドル23及びタイミング歯車55の回転は不要のため、パドル23の回転を許容するソレノイド57a及びタイミング歯車55の回転を許容するソレノイド59aは作動しない。
以上のような動作によって、シートSは本体装置2の排紙口10から排出されるが、この排出されるシートSを集積スタックする集積トレイ5について、以下に説明する。
この集積トレイ5は、図13(A)、図13(B)に示すように、本体装置2に着脱可能な取付部69aを有するベース69と、ベース69に昇降制御部70を介して昇降可能に保持されたシート収納部71と、シート収納部71の下面に固定された支持ブラケット72と、この支持ブラケットは可動歯車74の上面部に固定されている。
昇降制御部70は、ベース69に固定された円弧状の固定歯車73と、支持ブラケット72に固定された円弧状の可動歯車74と、各歯車73,74に噛合って変位する遊星歯車75と、各歯車73、74、及び遊星歯車75を連結して夫々の相対距離を固定したシフトアーム76と、ベース69の上面と支持ブラケット72の底面と間に設けられてシート収納部71を常時上方に付勢させるコイルスプリング77とを備えている。
このコイルスプリング77は、各歯車73、74、遊星歯車75を挟んで2本設けられると共に、シート収納部71の上面に順次積載されるシートSの重量に応じてシート収納部71を下方に変位させ、略一定の高さで次のシートSが前のシートSの上面に順次積載可能となるようにバネ定数が設定されている。
また、コイルスプリング77の付勢に抗してシートの支持面であるシート収納部71が下方に変位すると、各歯車73,74と遊星歯車75との噛合い位置の変化に応じて、可動歯車74の上面に支持ブラケット72を介して取り付けられるシート収納部71の上面は、図13(A)の上方位置からシートS集積量が増加すると下降し、図13(B)の下限位置へ略平行の状態で移動する。従って、シート収納部71の上面と、本体装置2の正面に設けられた積載シートの端縁を規制するシート規制面2cとでなす角度は大きく変化することなく常に略一定の状態でシート収納部71がシート集積量の増加に従って下降し、集積したシート上面と排出ローラ26との高低差もほぼ一定の距離とすることができる。
また、シート収納部71の上面は、集積するシートが自重で滑り落ちるように、本体装置2のシート規制面2c位置からシートの排出方向上流側に向かって、除々に高くなるように傾斜して設けられているともに、この傾斜角度をシート規制面2c近傍の傾斜角度と、これより排出方向上流側の傾斜角度とを異ならせて設定している。
即ち、排出ローラ26と排出従動ローラなどによって規定されるシート排出方向延長線SPとシート収納部71の上面とでなす角度が、比較的小さい角度αである第1支持面71aと、この角度αより大きい角度βで設定したシート規制面側の第2支持面71bとで、シート収納部71の上面支持部を構成している。そして、上記の角度αと角度βとが変化する屈曲部(第1支持面71aと第2支持面71bへの角度変更部)71cを、シート排出方向延長線SPとシート収納部71の上面支持面とが交差する位置よりもシート規制面2c側よりに設定している。
従って、シート規制面2c側は排出ローラ26との高低差が大きく設定でき、シート収納部上に集積されたシートSの後端(シート規制面2側端縁)が図示上方にカールしても、後続して排出されるシートSの先端が、既に集積されているシートの後端端部に当接することを少なくでき、また排出されるシートSの先端が下側にカールして巻き込まれる状態を回避できる。
なお、実験によれば、通常この種の装置に使用されるコピーシートを用いた場合、上記のシート排出方向延長線SPとシート収納部71の上面とでなす角度αは15度から23度位の範囲が望ましく、角度βはこの角度より大きい25度以上であればよいことが解った。しかし、これらの角度は、使用されるシートの厚さや材質より変更されるので、特にこれらの角度数値に限定されず、要は角度αよりも角度βが大きく設定されていればよい。
また、図示のものは、第1支持面71aと屈曲部71cを通じて連続的に連なって傾斜する第2支持面71bとしたが、この第1支持面71aと第2の支持面71bとを段差をもって連結してもよく,また屈曲部71c除々に角度が変化する円弧面としてもよい。要は、第1支持面71aの上面をシート規制面2c側に単に延長した場合よりも、排出口10と第2支持面71bとの高低差が多くなるようにする形状であればよい。
さらに、実施例の装置は処理トレイ29と上記のシート収納部71にシートを跨らせて載置する場合があるが、載置した最小サイズシートのときであってもシート収納部側のシート先端は、上記屈曲部71cよりも排出方向上流側に位置するように設定しているので、この場合であって上カール、下カールなどによる不具合を解消できる。
また、第2支持面71bのステップルユニット側端部は、図1にみられるように、切欠き部71dを設けている。この切欠き部71dは、ステップル針が打ち込まれたシート束が集積され積み重なっても、このステップル針部分が大きく上方に盛り上がらないようにするための切欠きである。
さらに、既に図2、図3で説明したように、シート収納部71の第2支持面71bの上方からシートSの後端(シート規制面2c側端縁)を押えるシート押えレバー78が、排出口10の下方に位置するとともにシート規制面2c側から出没するようになっており、たとえ、第2支持面上で大きくカールしている場合であっても、確実にシートSをシート収納部71面上に集積することができる。
このシート押えレバー78は、シート押さえレバー回動軸81を軸支点として回動するが、このシート押えレバー78がシートを押えている状態で、このレバー端部をシート積載量検出センサー85によって検出し、このセンサー85が押えレバー78の端部を検出している場合は、シート収納部71下限位置に位置したとして、画像形成装置本体Gに処理停止信号を出力する。
ここで、図14、図15を用いて本体装置2から排出されるシートSの集積スタック動作について説明する。
まず、図14(A)で示す状態では、最初に排出されたシートS1が、シート収納部71面上に載置され、第2シート支持面71bにシートS1端縁がシート押えレバー78によって押圧され、後続の排出シートS2が第2搬送路P2に沿って搬送され、排出ローラ26によって排出経路を排出されつつある。このシートS2はシート排出方向延長線SP上を排出されてくるが、このシート排出方向延長線SPはシート収納部71の第1シート支持面と交差し、この交差角度は比較的小さな角度αに設定されている。従って、シートS2の先端が下側にカールしていたとしても、この角度が小さいため、シートS2先端が第2シート支持面側に湾曲搬送されることなく、第1支持面71aに沿って排出方向下流側に案内ガイドされる。
また、先に集積さているシートS1は、その後端がシート押えレバー78によって第2支持面71bに押えられているため、シートS2によって移動することがない。
図14(B)は、シートS2の後端がセンサーレバー30を通過した状態を示しており、この通過信号から僅かな所定時間経過後、シートS2の後端は排出ローラ26から排出されて、第2支持面71bに向かって落下し始める。この排出とほぼ同時に、図2に図示の押えレバーソレノイド83作動し、シート押えレバー78は図示矢印図14(B)のようにシート規制面2c内側に退避する。
この退避がなされた後、シートS2は図15(A)に図示されるように、第2支持面71bに向かって落下しつつあるが、この落下時間の遅れをもってレバーソレノイド83が作動を解除する。この解除によってシート押えレバー78は戻しスプリング84によって図示矢印方向の第2支持面側に移動し、図15(B)の状態となり、シートS2のシートSの後端(シート規制面2c側端縁)を押圧する。
以上のように、シートSの排出方向延長線と第1支持面とでなす角度αよりシート規制面2c側の第2支持面のなす角度βが大きい角度に設定してあるので、排出ローラ26と第2支持面の高低差を大きく設定することが可能となり、また第2支持面上方から押えるので、集積シートのジャムがなくなり、ひいては集積性能を向上することができる。
また、シートSを束排出する際にも、1枚シート送りと同様の動作を行うので、この場合にも、シート束の集積性を向上することができる。更に、この集積トレイ5は、シートSの集積量が増えるとコイルスプリング77が圧縮し、シートの最上面は略一定の高さに保たれる。
さらに、シートが集積トレイ5と処理トレイ29に跨った状態でシート幅方向に整合板によって、シフトされるが集積トレイ5内にあるシートはシート押えレバー78によって押えられているので、集積済みシートの整合状態を乱すこともない。
尚、上記までの実施例の説明においては、シート押える手段としてソレノイドによって移動するシート押えレバー78を設けたが、図16に示す様にゴム等からなる弾性片を取り付けた押えパドルローラ86をシート排出タイミングに応じて、適宜図示しないモータなどにより駆動回転させ、このパドルをシート規制面2cから出没させてもよい。また、図17に示す様に、シート押えレバー87の基端部を図示しないモータなどによって回転するカム板88に取り付け、このシート押さえレバー87のスリットに陥合する固定ピン89をリンク運動する構成として、シートを押えてもよい。
即ち、シートSの排紙ローラ26からの排出及び落下時にのみ退避し、それ以外はシート端部を押える手段であればよい。
以上の説明及び図1から図17までが、第1のタイプの実施例の説明であるが、次に、第2のタイプの実施例の説明を図18から図24までを用いて説明する。図中第1のタイプと同一の部分については、同一の符号番号が付されており、説明を省略する。
第2タイプ装置の第1タイプ装置との相違を図18によって概略的に述べる。
第1に、集積トレイ5の上方に位置する特殊シート等を収容するエスケープトレイ6及びこれに至る第4搬送経路P4等を無くしたものである。従って、特殊シートなどは画像形成装置側で予め排出し、シート集積装置としてのフニッシャ装置1の小型化を図ったものである。
第2に、第1タイプ装置は、シートSを第3搬送路P3に沿って処理トレイ29に搬入するエンドレス搬送ベルト18のシート載置部側(18c)がフリー状態になっているが、第2タイプ装置は、シート載置部側(18c)も従動プーリによって支持させている。
第3に、集積トレイ5のシート収納部71の昇降駆動をコイルスプリング77で行っているが、この昇降駆動をモータで行う共に、シート収納部71に集積スタックされるシートの最上面を検出し、この信号でシート収納部71の昇降を行うようにしている。また、排出ローラ26から排出されるシートが、速やかにシート収納部に落下するように回動ユニット24の従動排出ローラ25と同軸上にシートフラッパー130が設けられている。
次に、上記の点について個別に説明する。
図18及び図19に示す第2タイプ装置は、シートSを第3搬送経路P3に沿って処理トレイ29に搬入するシート移送手段として、エンドレス搬送ベルト18を掛け渡した送り込みベルトユニット100を備えている。この送り込みベルトユニット100を、図20も含めて説明すると、ベルト駆動軸19aに取り付けられこの駆動軸と共に回転する駆動プーリ101と、この駆動プーリ101と所定の間隔もってシート載置面29a側に位置する従動支持プーリ102と、駆動プーリ101と従動支持プーリ102との間隔を保持する各プーリの両側に設けられた支持プレート104と、駆動プーリ101と従動支持プーリ102との間に掛け渡されたエンドレス搬送ベルト18とからなる。上記の支持プレート104は、従動支持プーリ102の回転軸103を回転自在に支持している。
従って、ベルト駆動軸19aが駆動回転すると、このベルト駆動軸19aに固着された駆動プーリ101も回転し、エンドレス搬送ベルト18も、従動支持プーリ102を回転させながら移動する。
また、支持プレート104は、逆U字状の取り付け部106を有している。この取り付け部はベルト駆動軸19aに固定されていないため、従動支持プーリ102を有する支持プレート104は、ベルト駆動軸19aを軸支点として揺動スイング自在となっている。さらに、この支持プレート104は、図20に示す様に、従動支持プーリ102の反対側にウエイトバランス105が設けられている。このウエイトバラス105は、従動支持プーリ102側のエンドレス搬送ベルト18のシート繰り込み部18cをほぼ一定の接触力でシートSに接触させるためのものである。
以上の構成による繰り込みユニット100を採用すると、処理トレイ29上に積載されるシート枚数が多くなると、エンドレス搬送ベルト18の最上シートとの接触部分であるシート繰り込み部18cは、シートSの厚みによって持ち上げられる。つまり、支持プレート104が、ベルト駆動軸19aを中心にして揺動する。この揺動方向は、ベルト駆動軸19aの回転方向Aと反対の方向である。
上記エンドレス搬送ベルト18は、従動支持プーリ102によってバックアップされているので、処理トレイ29のシート載置部29a上のシート枚数に応じて揺動するが、処理トレイ29上の載置シートが多くなっても、シートSに対する接触面積が変化することはない。つまり、シートSの積載枚数によって、搬送力が、変化したり、強すぎたりすることがない。そのため、シート載置部29a上の載置シート枚数が増えても、シート先端規制片29bに突き当たったシートSをさらに押して、シートSを座屈させることがない。
また、エンドレス搬送ベルト18のシート繰り込み部18cは、第1タイプのエンドレス搬送ベルト18と同様に、整合板34とオーバーラップした位置に配置しており、さらに従動支持プーリ102でバックアップされているため、整合板34でシートSが幅方向に移動した場合にも、精度よくシートSを揃えることができる。
なお、繰り込みベルトユニット100は、ウエイトバランス105を設けているが、このようなウエイトバランス105による回転モーメントを調整することによって、エンドレス搬送ベルト18のシートSへの押圧力を調整できる。
ただし、支持部プレート104側の重量が小さい場合には、ウエイトバランス105が不要な場合もある。また、上記ウエイトバランス105の代わりに、バネ部材などで、押圧力を調整してもよい。
さらに、図21に示す様に、繰り込みベルトユニット100の支持部プレート104の構成を簡略化して、従動支持プーリ107をワイヤー状の支持アーム108に回転自在に支持し、この従動支持プーリ107と反対側の逆U字状の揺動端をベルト駆動ローラ軸19aに吊り下げるように構成してもよい。
次に、第2タイプの集積トレイ5について図22を用いて説明する。
この集積トレイ5は、シート収納部71の昇降機構は、モータを内在するモータユニット120を用いている。このモータユニット120は可動歯車74と遊星歯車75を支持するシフトアーム76に取り付け、このモータユニット120からのモータ駆動軸121を遊星歯車75に連結している。このモータが、モータ駆動軸121を時計方向に回転するとシート収納部71は上昇し、反時計方向に回転するとシート収納部71は下降する。従って、シート収納部71に集積スタックされる最上シートの紙面位置を検出し、この信号をモータユニット120に送り、モータを正逆コントロールすることによって、より正確に紙面レベルを一定に保つことが可能となる。
ここで、上記の紙面レベルの検出機構は、図23に示す様に、軸支点81を中心に回動するシート押えレバー78に、一体に設けられた検出フラグ124を透過型センサー125a、125bよって検出することによって行う。検出フラグ124は、図示のように、第1フラグ部124aと第2フラグ部124bを有し、このフラグ間にセンサーに反応しない切欠き部124cを備えている。
図23の状態は、シート押えレバーが適正にシートSを押える位置を示しており、このときは、第1センサー125aは第1フラグ部124aによって遮られており「ON」となっており、一方、第2センサー125bは第2フラグ部124bによって検出されておらず「OFF」の状態となっている。この状態が集積トレイ5のシート収納部71が適正に設定されている位置である。この状態から、シートSが、順次、シート収納部71に排出されると、その排出ごとにシート押えレバー78も図示2点鎖線位置と実線位置を往復移動する。シートSがシート収容部に載置される毎に、検出フラグ124は、時計方向に移動し、第2フラグ部124bが第2センサー125bよって検出され「ON」となり、一方の第1フラグ部124aも第1センサー125aに検出され「ON」状態となる。このように第1センサー125aと第2センサー125bともに「ON」なると、集積トレイ5にシート収納部71を下降することの信号を出力する。この信号によってモータユニット120は、モータ駆動軸121を反時計方向に回転させて、シート収容部71を所定量下降させる。
このようにして、シート収納部71上の集積シート最上面が常に一定の高さ範囲に位置するようにする。
ところで、上記のシート収納部71は、通常シートが排出される毎に上下移動することなく、集積されるシート最上面が所定高さ以上になったとき下降するようにしているので、シート排出の都度動作する複雑を解消している。
なお、切り欠き部124cが第1センサー125aに位置して第1センサー125aが「OFF」、第2センサー125bも「OFF」のときは、シート収納部71が所定高さよりも下方位置にあるとして上昇させ、第1センサー125aが「OFF」第2センサー「ON」のときは、シート押えレバー78がシート規制面2c側に退避した状態と判断する。また、シート収納部71が下限位置に位置し、第1センサー125a、第2センサー125bともに「ON」となったときは、シート収納部71のシートが満杯状態となったと判断し、シートの集積スタック動作を中止する。
以上が、集積トレイ5の紙面レベル等を検出する構成であるが、この集積トレイに確実にシートを集積スタックするため、このタイプ2装置は、図18に示す様に、回動ユニット24に保持される従動排出ローラ25の支持軸131上に回動自在のシートフラッパー130を設けている。このシートフラッパー130は、シートの排出によって上下動し、シートSの後端を確実にシート収納部に落下させるためのものである。
このシートフラッパー130の動作について、図24により説明する。なお、シート押えレバー78がシート収納部71上のシートを押える作用及び動作は、図14、図15において説明したものと同じであるので、ここではシート押えレバー78と協働して排出されるシートSをシート収納部71にシートSを落下させるシートフラッパー130を中心に説明する。
図24(A)は、回動ユニット24が下降位置に位置し排出ローラ26と排出従動ローラ25によってシートS2が、シート排出方向延長線SP上を排出されている状態を示している。この状態では、シートフラッパー130は、従動排出ローラ25の支持軸131に単に吊り下げられているので、排出ローラ26と従動排出ローラ25のシートニップによりシートは腰付けされており、シートフラッパー130を押し上げて排出される。この状態は、シートS2の後端が、排出ローラ26と従動排出ローラ25のシートニップを外れるまで継続する。
排出ローラ26と従動排出ローラ25のシートニップをシートS2の後端が外れると、図24(B)に示す様に、シートSの後端は、シートフラッパー130の自重によって押し下げられシート規制面2cに沿って落下する。この落下と同時にシート押えレバー78が図示矢印方向の時計方向に回動し、シートS2の後端をシート収納部71上に押さえ込む。従って、シートSの後端が排出ローラ側の上方に大きくカールしていたとしても、シートフラッパー130のその自重による下方回動によってカールを直し、後続して排出されるシートSの先端と衝突してジャムを発生する等の不具合が解消できる。
なお、シート押えレバー78とシートフラッパー130とのシート幅方向(シート搬送方向と交差方向)における位置関係は、シート押えレバー78が3箇所(図1参照)とすると、これらシート押えレバー78の条間にシートフラッパーが複数本(この実施例では2本)配置しており、シート押えレバー78とシートフラッパー130が衝突することを回避している。なお、この実施例のシートフラッパー130は、自重回動でシートSの後端を押し下げるようにしたが、このシートフラッパー130の移動を、シートSの排出タイミングに合わせてソレノイド等の駆動手段によって上下回動駆動するようにしてもよい。
以上説明したように、シートを装置外へ排出する前にシートに所定の処理を施すため一時載置する場合に、載置済みシートと後続シートとの衝突によるジャム等を防ぎ、予定枚数を確実に一時載置可能なシート載置性能を確保するシート収納装置の提供することができる。
特に、シート移送手段の前記リング状部材が前記一時載置トレイ上のシートに接触する位置を含むように前記整合手段を延設させているので、整合動作時にリング状部材がシートの整合移動に対して負荷になっても、その負荷になる位置を整合手段が確実に押すことができ、整合動作に応じてシートが傾くことを防止することができる。
更に、前記一時載置トレイと前記シート収納手段との段差位置及び前記段差位置から前記シ−ト収納手段に向かってシ−トが湾曲する湾曲位置においてもシ−トを押圧するように前記整合手段を延設させることにより、コシ付けされたシートの湾曲部分を整合手段が押すことができ、整合手段の押圧力を確実にシートへと伝えることができるので、整合動作に応じてシートが傾斜するのを更に効果的に防止することができる。
さらに、また整合板手段とシート移送手段がシート巾方向にオーバーラップして配置されているので、装置の搬送方向全体長さを短くコンパクトにでき、小型軽量なシート収納装置を提供することが可能となった。
本発明をある程度詳細にその実施態様について説明したが、その好ましい実施態様についてのこの説明は構造の詳細については換えてあるので、構成要素の組み合わせと配列とは以下に請求する本発明の精神と範囲に反することなく種々に改変することを妨げるものではない。