JP4040750B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
空気入りラジアルタイヤ Download PDFInfo
- Publication number
- JP4040750B2 JP4040750B2 JP14764698A JP14764698A JP4040750B2 JP 4040750 B2 JP4040750 B2 JP 4040750B2 JP 14764698 A JP14764698 A JP 14764698A JP 14764698 A JP14764698 A JP 14764698A JP 4040750 B2 JP4040750 B2 JP 4040750B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- land
- tread
- angle
- pneumatic radial
- radial tire
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B60—VEHICLES IN GENERAL
- B60C—VEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
- B60C11/00—Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
- B60C11/03—Tread patterns
- B60C11/13—Tread patterns characterised by the groove cross-section, e.g. for buttressing or preventing stone-trapping
- B60C11/1376—Three dimensional block surfaces departing from the enveloping tread contour
- B60C11/1384—Three dimensional block surfaces departing from the enveloping tread contour with chamfered block corners
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Tires In General (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の直進安定性を、タイヤの静粛性、排水性等の他の性能の犠牲なしに大きく向上させた空気入りラジアルタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
静粛性や、雨天走行時の排水性を高めることを目的に、タイヤのトレッド部に、タイヤ赤道線とほぼ平行に延びる周方向溝と、タイヤ赤道線に対し、20〜80度の平均角度で一方向に傾斜して延びる傾斜溝とで区画した陸部を設けることが最近のトレッドパターン設計の主流となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、かかるタイヤにあっては、傾斜溝がトレッド部の全体にわたって一方向に傾斜して延在することから、トレッドパターンがタイヤ赤道線に対して左右非対称となり、それ故に、車両の走行中にタイヤそれ自体に横方向の力が発生して車両の直進安定性が損われる傾向が強く、このことは、車両が高速で走行する場合にとくに重大であった。
【0004】
これがため、トレッドパターンがタイヤ赤道線に対して左右対称に近付くように、傾斜溝の、タイヤ赤道線に対する傾斜角度を大きくしたり、傾斜溝をジグザグ状に延在させたりすることが提案されているも、これによれば、直進安定性の若干の改善はみられても、高い排水性、静粛性等の性能を確保することが実質的に困難であった。
【0005】
そこで、発明者は、上記従来タイヤの、トレッド陸部と路面との接触状態についての綿密な調査を行って、車両の直進安定性が損われる原因を見い出し、その結果として、直進安定性の向上を実現し得る技術的手段を想到するに至った。
【0006】
すなわち、タイヤのトレッド部は一般に、それの幅方向断面内では、接地面輪郭形状が路面側へ凸となる曲線形状をなしており、そのタイヤが接地状態の下で重荷を受けると、トレッド部が接地面内で、前記曲線形状を直線状にする方向の変形を受け、これにより、そのトレッド部は図9に示すような一定の領域をもって接地することになる。この場合、トレッド接地面、とくにそれの側部域には、幅方向外向きの剪断力SW が発生し、この剪断力SW は、タイヤが受ける荷重が大きいほど大きくなり、その荷重は路面のうねり等によって変動する。
【0007】
ここで、前記従来タイヤにあっては、とくには一方向に傾斜する傾斜溝の存在の故に、各陸部はほぼ平行四辺形状の輪郭を有し、トレッド部は、主には平行四辺形状をなす陸部によって構成されることになるので、接地面内に存在するトレッド陸部、すなわち、路面側からみた陸部が図9に示すように右上がりである場合には、該陸部を片持梁として見た場合主軸もまた右上りとなり、従って、荷重の増加によって陸部の表面に作用する前記剪断力SW によって、トレッド部の、図の右半部に位置する陸部は、図の右下方向に曲がり変形しようとし、その結果として、左上方向の剪断反力を発生することになり、その剪断反力の、トレッド周方向の分力SX1は図の上方に向くことになる。
【0008】
これに対し、トレッド部の、図の左半部に位置する陸部には、図の下方に向くトレッド周方向分力SX2が生じることになり、それらの両分力SX1,SX2は、タイヤ接地中心の周りにトレッド接地面を反時計回りに回転させようとするモーメントMZ を発生することになり、このモーメントMZ が車両の直進安定性の阻害原因となる。
【0009】
なお、トレッド陸部が左上がりである場合には、それぞれの分力SX1, SX2の発生方向が、上述したところとは逆になり、従って、発生するモーメントMZ もまた逆向きとなる。
【0010】
以上の知見を下に、発明者は、タイヤの負荷転動に際して、トレッド接地面に、上記モーメントMZ の一部もしくは全部を相殺し得る向きのモーメントを発生させるべく、陸部の形状と、発生する剪断力との関係を調査し、トレッド陸部の接地下で、そこに作用する接地圧に基いてその陸部に発生する剪断力を有効に利用することによって、トレッド接地面の上記モーメントMZ に対抗するモーメントを発生させ得ることを見い出してこの発明を完成した。
【0011】
従って、この発明は、静粛性、排水性等の性能を低下させることなしに、直進安定性を大きく向上させた空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッド周方向に延在するタイヤ赤道線とほぼ平行な少なくとも二本の周方向溝およびトレッド接地端と、タイヤ赤道線に対し、20〜80度の平均角度で一方向に傾斜する複数本の傾斜溝とで区画した陸部をトレッド部に具えるものであって、少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鈍角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に位置するそれぞれの傾斜縁に、陸部頂面および陸部壁のそれぞれに、稜線を介在させることなく滑らかに連続する曲面状の面取部分を設け、この面取部分の曲率半径を陸部の幅方向端縁で最大としたものである。
【0013】
ここで、タイヤ赤道線に対する平均角度とは、図10に示すように、片側のトレッド接地端から、もう片側の接地端までの各陸部での傾斜溝の端部どうしを直線で結んだ時のトレッド幅方向長さai とトレッド周方向長さbi とを用い、次式で表わされる
【数1】
を意味する。
【0014】
また、ここでいう面取部分は、単一の弧状曲面からなるものの他、複数種類の円弧からなる複合曲面をも含むものとし、とくに、面取部分が複合曲面からなる場合の曲率半径は、図11に示すように、面取り部断面において、面取りの始端と終端との道のり長さをl、なす角をθ(rad) とした時、平均の曲率半径
【数2】
を意味するものとする。
【0015】
ところで、この種の従来の空気入りラジアルタイヤにおいて、トレッド接地面に接地圧が作用した場合には、トレッド陸部が、図1にその一つを例にとって、タイヤ赤道面と平行な面内での略線断面図で示すように、二点鎖線で示す原形状から実線で示すような形状に潰れ変形する。ここで、トレッドゴムは体積の膨縮を伴う圧縮性を有しないことから、陸部1の上記潰れ変形は、その陸部1の接地面2の拡張傾向をもたらし、この拡張傾向は陸部1の縁部3においてとくに顕著になるところ、実際には、陸部接地面2は路面4との摩擦力によってそれの拡張変形を拘束されることになるため、陸部1は、とくにその縁部近傍部分で、路面4から、陸部1の内側方向に向かう、相互に逆向きの同じ大きさの剪断力SC を受けることになる。
【0016】
しかるに、陸部1に、この発明に従う面取部分5を設けた場合には、陸部1の潰れ変形に際し、その面取部分5が陸部1の接地圧力を積極的に減少させて、接地面2の拡張傾向を低減すべく機能するので、面取部分5の近傍部分で陸部1が路面4から受ける、図に破線で示す剪断力SC は、面取部分を設けない陸部縁近傍部分に発生する反対向きの剪断力SC より小さくなり、この結果として、陸部1への面取部分5の形成個所では、その面取部分側に向くトータル剪断力ΔFXdが発生することになる。そしてこのトータル剪断力ΔFXdは、面取部分5の曲率半径を大きくして、陸部1の接地領域の一層の減少をもたらして、その陸部1の潰れ変形時の拡張傾向を低減させるほどに大きくなる。
【0017】
従って、図2に略線傾斜図で示すように、輪郭形状が右上がりのほぼ平行四辺形をなす陸部1の、それぞれの鈍角側隅部6の近傍部分で、トレッド周方向に位置するそれぞれの傾斜縁7に、陸部頂面、すなわち陸部接地面2および陸部壁8のそれぞれに、稜線を介在させることなく滑らかに連続する曲面状の面取部分5を設け、各面取部分5の曲率半径を、陸部の幅方向端縁で最大として、陸部1のそれぞれの幅方向端縁に近づくほどに、発生するトータル剪断力ΔFXdを次第に高めることにより、各陸部1内に、車両の直進安定性を阻害するモーメントMZ とは逆向きで、十分有効な大きさのモーメントMX を発生させることができ、それらの両モーメントMZ ,MX の相殺下で、車両の直進安定性を大きく向上させることができる。
加えてここでは、面取部分5を稜線を介在させない滑らかな曲面状とすることで、陸部中心から端縁部に向うに従い急激に上昇する接地圧力を連続的に滑らかに低減することができ、接地圧力による陸部膨出変形とこれに伴う剪断力Sc を有効に低減することができる。
【0018】
なお、ここにおいては、面取部分5の、傾斜縁7と直角な断面内での陸部頂面に沿う最大幅を0.5〜3.0mmの範囲とすることが好ましい。
すなわち、最大幅が0.5mm未満では、面取部分5を設けることの実効に乏しく、3.0mmを越えると、陸部1の接地面積の減少に起因する、操縦安定性の低下、制動性能の低下、微小舵応答性の低下等が発生するおそれがある。
【0019】
またここでは、面取部分5のトレッド幅方向の長さlを、同方向の陸部幅wの0.1倍以上とすることが好ましい。
これは、陸部幅wの0.1倍未満では、面取部分5がそれ本来の機能を十分に発揮することができないからである。
従って、面取部分5の長さlは、陸部幅wまで延長可能であり、この場合にあっても、面取部分5の曲率半径を、鈍角隅部側の幅方向端縁で最大とすることで、所期した通りの作用効果を実現することができる。
【0020】
かかる空気入りラジアルタイヤにおいてより好ましくは、上述したところに加え、少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鈍角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に向く陸部壁と陸部頂面とのなす角度を鈍角とし、その角度を陸部の幅方向端縁で最大とする。
このようなタイヤでは、タイヤ赤道線と平行で、かつ、トレッド表面に直角な断面内で陸部1をみた場合、図3に二点鎖線で示すように、陸部1の一方の陸部壁1aは、前述したように、その頂面、ひいては、陸部接地面2に対して鈍角をなし、この一方で、その陸部壁1aとは反対側の陸部壁1bは接地面2に対して鋭角もしくはそれに近似した角度をなす。
【0021】
ここで、タイヤのトレッド接地面に、タイヤへの荷重の負荷に起因する接地圧が作用すると、陸部1はそれの形状に基いて、図2に実線で示すように、そのほぼ全体にわたって、たとえば鋭角側の陸部壁1bの方向へ倒れ込み変形しようとする傾向を示すも、この倒れ込み変形は、接地面2と路面4との摩擦力によって抑制され、このときの抑制力は、鈍角側陸部壁1aの近傍ほど大きくなる。これがため、陸部1は、この倒れ込み変形により、とくに接地面2の近傍部分で、鋭角側陸部壁1b側から鈍角側陸部壁1a側に向く剪断力Sb を路面4から受けることになる。
なおここにおけるこの剪断力Sb の大きさは、鈍角側および鋭角側のそれぞれの陸部壁1a,1bの、陸部接地面2に対する角度の相対関係によって特定されることになり、鋭角側陸部1bのそれを一定とした場合には、鈍角側陸部壁1aの角度を大きくするにつれて大きくなる。
【0022】
従って、図4に示すように、ほぼ平行四辺形の輪郭形状を有する陸部1において、その平行四辺形のそれぞれの鈍角側隅部6の近傍部分で、トレッド周方向に向く陸部壁8と、陸部頂面、すなわち陸部接地面2とのなす角度を鈍角とし、その角度を、陸部1の幅方向端縁で最大とすることで、陸部1の両側域部分に、先に述べたと同様の剪断力Sb を相互に逆向きに発生させることができ、これによってもまた、各陸部内に、車両の直進安定性を妨げるモーメントMZ とは逆向きで、有効な大きさをもつモーメトンMY を発生させることができる。よって、それらの両モーメントMZ ,MY を相殺させることで、車両の直進安定性を向上させることが可能となる。
【0023】
ここで、鈍角側陸部壁1aの、接地面2に対する角度は、陸部1の幅方向で漸次変化させることが好ましく、その陸部壁1aの、陸部幅wに対する形成長さは、前述の面取部分5のそれと同様とすることができる。
【0024】
そしてまた好ましくは、図4に示す陸部構成に代えてまたは加えて、少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鋭角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に向く陸部壁と陸部頂面とのなす角度を鋭角として、その角度を陸部の幅方向端縁で最小とする。
【0025】
これは、図3について前述したところにおいて、鈍角側陸部壁1aを積極的に鈍角とすることに代えて、鋭角側陸部壁1bを積極的に鋭角としたものに相当し、これによってもまた、陸部1は、それの、先に述べたと同様の倒れ込み変形挙動に基いて、接地面2の近傍部分に、鋭角側陸部壁1b側から反対の陸部壁側に向く、前述したと同様の剪断力Sb を路面から受けることになる。
【0026】
これがため、図5に示すように、平行四辺形をなす陸部1の、鋭角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に向く陸部壁8と、陸部頂面、いいかえれば陸部接地面2とのなす角度を鋭角とし、その角度を、陸部1の幅方向端縁で最小とすることにより、図4に示す陸部1と同様、陸部1の両側域部分に、相互に逆向きの剪断力Sb を発生させることができる。従って、これらの剪断力Sb にて各陸部1に発生させるモーメントMY もまた、車両の直進安定性を妨げるモーメントMZ の相殺のために有効に機能することができる。
【0027】
この発明の他のタイヤは、とくに、少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鋭角側隅部の近傍部分で、トレッド幅方向に位置するそれぞれの周方向縁に、陸部頂面および陸部壁のそれぞれに、稜線を介在させることなく滑らかに連続する曲面状の面取部分を設け、この面取部分の曲率半径をトレッド周方向に位置する傾斜縁で最大としたものである。
【0028】
より具体的には、輪郭形状がほぼ平行四辺形をなす陸部1において、図6に示すように、それの、それぞれの鋭角側隅部の近傍部分で、トレッド幅方向に位置するそれぞれの周方向縁9に面取部分10を設けるとともに、各面取部分10の曲率半径を、トレッド周方向に位置する傾斜縁7で最大としたものである。
【0029】
これによれば、図1および2について述べた場合と同様の理由により、それぞれの傾斜縁7に沿って、陸部1の、それぞれの鈍角側隅部6からそれぞれの面取部分10に向く、相互に逆向きの大きな剪断力SC1を発生させることができ、それらの剪断力SC1をもって、モーメントMZ の相殺に有効に寄与するモーメントMX1を生じさせることができる。
そして、このことは、この図6に示す陸部構成を、図2、図4および図5のそれぞれに示す陸部構成の少なくとも一つと組合わせた場合にとくに効果的である。
【0030】
ところで、ここにおける面取部分10のトレッド周方向の長さは、陸部1の同方向の長さの0.5倍以下、0.5mm以上とすることが好ましい。
すなわち、0.5倍を越えると、面取り部が該縁部のほぼ全域に亘ることになるため、該縁部の一部に面取りを施して剪断力の発生に偏りをもたらし、モーメントを発生させるという目的を達成できず、0.5mm未満では、所要の剪断力SC1を所期したほどには高めることができない。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基いて説明する。
図7は、この発明の実施の形態を、図9に示すところと同じ方向から見て示すトレッドパターン展開図である。
ここでは、トレッド部21に、タイヤ赤道線とほぼ平行にトレッド周方向へ延びる少なくとも二本、図では四本の周方向溝22,23を設けるとともに、タイヤ赤道線に対して20〜80度の平均角度で一方向に傾斜して延びる傾斜溝24を設けて、周方向溝の相互間および、周方向溝23とトレッド接地端25との間に、全体として右上がりのほぼ平行四辺形の輪郭形状をなす陸部からなる五列のブロック列26,27,28を形成する。
【0032】
またここでは、中央ブロック列26のブロック26aおよび中間ブロック列27のブロック27aのそれぞれに、傾向的にそれらの各ブロック26a,27aの傾き方向に延びて、一端が相互に隣接する周方向溝22,23のそれぞれに開口するも、他端はブロック内で終了する一対の細溝26b,27bを形成し、これによって、各ブロック26a,27aを右上がりのほぼ「工」字状形状とする。また、ショルダーブロック列28のブロック28aには、周方向溝23から、傾向的にブロック28aの傾き方向に直線状に延びてブロック内で終了する一本の細溝28bを形成する。
【0033】
このようなトレッドパターンを有するタイヤの、少なくともショルダーブロック列28の各ブロック28a、図に示すところでは、中間ブロック列27およびショルダーブロック列28のそれぞれのブロック27a,28aの、鈍角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に位置するそれぞれの傾斜縁7に、図2で述べたような構成の面取部分5、すなわち、各ブロック26a,27aの接地面2および、トレッド周方向に向くブロック壁のそれぞに、稜線を介在させることなく滑らかに連続する曲面状の面取部分5を設ける。
【0034】
ここで、この面取部分5は、好ましくは、図2に関連して述べた長さlを有するものとし、また、図8に、ブロック27aを例として面取り部分の長さ方向と直交する方向の断面で示すように、ブロック頂面、すなわちブロック接地面2に沿って測って、0.5〜3.0mmの最大幅を有するものとする。なおこのような面取部分5の下端縁は一般に、その接地面2から測って、前記最大幅と同様、最大距離で0.5〜3.0mm下方に位置することになる。
【0035】
ところで、かかる面取部分5は、ブロックの幅方向端縁で最も大きな曲率半径Rを有し、その曲率半径は通常は、反対側の幅方向端縁に向けて次第に小さくなる。図8(b)はこのことを示す、ブロックの中央部寄り部分の一の断面図である。
【0036】
このように構成してなるタイヤによれば、面取部分5を設けない場合には、タイヤの負荷転動に当って、パターン構成に由来してトレッド部に発生する、図9に示すような、直進安定性を妨げるモーメントMZ を、面取部分5の存在に基いて、各部27a、28aに発生する図2で述べたようなモーメントMX をもって有効に相殺することができるので、それぞれの溝22,23および24の配設態様を、すぐれた静粛性、排水性等の性能を確保するに十分なものとしてなお、車両の直進安定性を大きく向上させることができる。
【0037】
なおここで、上記面取部分5を、中央ブロック列26のブロック26aにも同様にして形成することができ、また、その面取部分5は、一の曲面の他、複数種類の曲面の組合わせにより構成することもできる。
【0038】
ところで、上述したところと同様の効果は、図6に示すブロック構成を図示のトレッドパターンに適用した場合にももたらすことができ、このことは、図2、図4、図5および図6に示すブロック構成の二種以上を組合わせ適用した場合にとくに顕著である。
【0039】
【実施例】
図7に示すトレッドパターンを有し、内部補強構造等は一般的なラジアルタイヤのそれと同様である、サイズが195/65R14の乗用車用タイヤにおいて、図7で左から第1,2,4,5列のブロック列、即ち、センター部を除いたブロック例の全てに、図2、図4、図5および図6に示すそれぞれのブロック構成を表1に示すように適用した実施例タイヤ1〜5のそれそれを、2.0 kgf/cm2 の空気圧の充填下で、国産の2000ccクラスのF.F.車に装着して、前席に2名が乗車した荷重条件で、平坦な乾燥アスファルト路面上を100km/hで走行したときの車両の直進安定性を、ドライバーのフィーリングをもって10段階評価したところ、表1に示す結果が得られた。
なお評価は、数値が大きいほどすぐれた結果を示すものとした。
【0040】
【表1】
【0041】
表1によれば、実施例タイヤ1〜5はいずれも、比較タイヤに比して直進安定性が大きく向上することが明らかであり、なかでも、図示のブロック構成の全てを適用した実施例タイヤ5においてこのことはとくに顕著である。
【0042】
ちなみに、排水性、騒音および振動乗り心地のそれぞれについても性能評価したところ、比較タイヤと実施例タイヤ1〜5との間に大きな差異は認められなかった。
【0043】
【発明の効果】
以上に述べたところから明らかなように、この発明によれば、静粛性、排水性等の他の性能を犠牲にすることなしに、直進安定性を大きく向上させることができる。しかもここでは、面取部分を、稜線の介在なしに、陸部頂面および陸部壁のそれぞれに、滑らかに連続させることによって、最低限の面取りにより、陸部端縁部の局所的に上昇する接地圧を連続的に滑らかに低減することができ、微小舵応答性の低下等を抑えながら上記性能向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】所要の剪断力の発生態様を示すタイヤ赤道面と平行な断面図である。
【図2】ブロックの構成形態を示す略線斜視図である。
【図3】所要の剪断力の他の発生態様を示すタイヤ赤道面と平行な断面図である。
【図4】ブロックの他の構成形態を示す略線斜視図である。
【図5】ブロックの他の構成形態を示す略線斜視図である。
【図6】ブロックのさらに他の構成形態を示す略線斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態を示すトレッドパターン展開図である。
【図8】面取部分の幅および曲率半径を示す断面図である。
【図9】直進安定性を損ねるモーメントの発生態様を示すトレッド接地域略線図である。
【図10】傾斜溝の平均角度に関する説明図である。
【図11】複合曲面からなる面取部分の曲率半径に関する説明図である。
【符号の説明】
1 陸部
1a 鈍角側陸部壁
1b 鋭角側陸部壁
2 接地面
3 縁部
4 路面
5 面取部分
6 鈍角側隅部
7 傾斜縁
8 陸部壁
9 周方向壁
10 面取部分
21 トレッド部
22,23 周方向溝
24 傾斜溝
25 トレッド接地端
26,27,28 ブロック列
26a,27a,28a ブロック
26b,27b,28b 細溝
Sb ,Sc ,Sc1 剪断力
ΔFxd トータル剪断力
Mx ,Mx1, MY , MZ モーメント
Sx1, Sx2 分力
Claims (10)
- トレッド周方向に延在するタイヤ赤道線とほぼ平行な周方向溝およびトレッド接地端と、タイヤ赤道線に対し、20〜80度の平均角度で一方向に傾斜する傾斜溝とで区画した陸部をトレッド部に具える空気入りラジアルタイヤであって、
少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鈍角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に位置するそれぞれの傾斜縁に、陸部頂面および陸部壁のそれぞれに滑らかに連続する曲面状の面取部分を設け、この面取部分の曲率半径を陸部の幅方向端縁で最大としてなる空気入りラジアルタイヤ。 - 少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鈍角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に向く陸部壁と陸部頂面とのなす角度を鈍角とし、その角度を陸部の幅方向端縁で最大としてなる請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鋭角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に向く陸部壁と陸部頂面とのなす角度を鋭角とし、その角度を陸部の幅方向端縁で最小としてなる請求項1もしくは2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- トレッド周方向に延在するタイヤ赤道線とほぼ平行な周方向溝およびトレッド接地端と、タイヤ赤道線に対し、20〜80度の平均角度で一方向に傾斜する傾斜溝とで区画した陸部をトレッド部に具える空気入りラジアルタイヤであって、
少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鋭角側隅部の近傍部分で、トレッド幅方向に位置するそれぞれの周方向縁に、陸部頂面および陸部壁のそれぞれに滑らかに連続する曲面状の面取部分を設け、この面取部分の曲率半径をトレッド周方向に位置する傾斜縁で最大としてなる空気入りラジアルタイヤ。 - 少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鋭角側隅部の近傍部分で、トレッド幅方向に位置するそれぞれの周方向縁に、陸部頂面および陸部壁のそれぞれに滑らかに連続する曲面状の面取部分を設け、この面取部分の曲率半径をトレッド周方向に位置する傾斜縁で最大としてなる請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鈍角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に向く陸部壁と陸部頂面とのなす角度を鈍角とし、その角度を陸部の幅方向端縁で最大としてなる請求項4に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 少なくともトレッド側方域の陸部の、少なくとも、鋭角側隅部の近傍部分で、トレッド周方向に向く陸部壁と陸部頂面とのなす角度を鋭角とし、その角度を陸部の幅方向端縁で最小としてなる請求項4もしくは6に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 周方向縁に設けた面取部分のトレッド周方向長さを、陸部のトレッド周方向長さの0.1倍以下、0.5mm以上としてなる請求項4〜7のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 傾斜縁に設けた面取部分の、該縁に直角な断面内での陸部頂面に沿う最大幅を0.5〜3.0mmとしてなる請求項1〜3もしくは5に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 傾斜縁に設けた面取部分のトレッド幅方向長さを、同方向の陸部幅の0.1倍以上とするとともに、周方向縁に設けた面取部分のトレッド周方向の長さより長くしてなる請求項5もしくは8に記載の空気入りラジアルタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14764698A JP4040750B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 空気入りラジアルタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14764698A JP4040750B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 空気入りラジアルタイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11334320A JPH11334320A (ja) | 1999-12-07 |
JP4040750B2 true JP4040750B2 (ja) | 2008-01-30 |
Family
ID=15435058
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14764698A Expired - Fee Related JP4040750B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 空気入りラジアルタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4040750B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4571282B2 (ja) * | 2000-07-28 | 2010-10-27 | 株式会社ブリヂストン | 空気入りタイヤ |
JP2002036824A (ja) * | 2000-07-28 | 2002-02-06 | Bridgestone Corp | 空気入りタイヤ |
US7281554B2 (en) * | 2001-05-11 | 2007-10-16 | Bridgestone Corproation | Pneumatic tire with tread having blocks including highland portions and convex surface that is smoothly chamfered and defines line edge at the top of block sidewall |
JP4295728B2 (ja) * | 2002-11-06 | 2009-07-15 | 株式会社ブリヂストン | 空気入りタイヤ |
JP5357662B2 (ja) * | 2009-08-21 | 2013-12-04 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
JP4825289B2 (ja) * | 2009-08-26 | 2011-11-30 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP5478241B2 (ja) * | 2009-12-25 | 2014-04-23 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
CN103958221B (zh) * | 2011-11-22 | 2015-05-27 | 株式会社普利司通 | 轮胎 |
JP6414245B2 (ja) * | 2017-02-14 | 2018-10-31 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
-
1998
- 1998-05-28 JP JP14764698A patent/JP4040750B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11334320A (ja) | 1999-12-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5885384A (en) | Pneumatic tire including main slant grooves and auxiliary grooves | |
US8800618B2 (en) | Pneumatic tire having lug grooves | |
JP4744800B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP3771351B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JPH08324211A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2002029216A (ja) | 空気入りタイヤおよびそれの装着方法 | |
JP3321262B2 (ja) | 建設車両用重荷重空気入りタイヤ | |
JP4040750B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
EP0870630B1 (en) | Pneumatic tire | |
JP3035172B2 (ja) | ラジアルタイヤ | |
JPH05319025A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP3391755B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2738549B2 (ja) | 重荷重用空気入りラジアルタイヤ | |
JP3771353B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP4040751B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JP2644499B2 (ja) | 高速用空気入りラジアルタイヤ | |
JP4020685B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP4473689B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP4565710B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP4291621B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP4518657B2 (ja) | 左側通行車両用の空気入りタイヤ及び右側通行車両用の空気入りタイヤ | |
JP3366737B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP4421432B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP4285617B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JPH05229311A (ja) | 空気入りラジアルタイヤ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050518 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060718 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071005 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20071016 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071108 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101116 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111116 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121116 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121116 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131116 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |