JP4040740B2 - 集積回路の端子浮き検査方法および回路基板検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板やICパッケージ、ハイブリッド用基板およびMCM(Multi Chip Module )などの回路基板における集積回路の端子浮きを検査する集積回路の端子浮き検査方法、および、この集積回路の端子浮き検査方法を実行可能に構成された回路基板検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回路基板に実装された集積回路の端子が接続されるべき回路パターンに対して確実に半田付けされているか否かを検査する端子浮き検査方法として、集積回路内の寄生ダイオードを導通状態にし、その導通状態を示す電気的パラメータに基づいて集積回路の端子浮きを判別する検査方法が用いられている。
【0003】
この検査方法では、図7に示すように、集積回路2の信号用端子151が半田付けされるべき回路パターン161に電流導通用プローブ171を接触させると共に、集積回路2のグランド端子152が半田付けされるべき回路パターン162に電流導通用プローブ172を接触させ、その状態において、両プローブ171,172間に電流計181を介して接続した定電圧源182によって、例えば0.9Vの定電圧を印加する。一方、集積回路2のグランド端子152と内部主要回路51のグランド部位51aとの間には、いわゆるサブストレート抵抗155が存在し、かつ内部主要回路51のグランド部位51aと信号用端子151,153との間、および信号用端子151,153と電源端子154との間には、寄生ダイオード52,52・・がそれぞれ存在する。したがって、定電圧源182、電流計181、電流導通用プローブ172、サブストレート抵抗155、寄生ダイオード52、電流導通用プローブ171および定電圧源182からなる電流経路i11が形成される。ここで、電流計181を用いて電流経路i11を導通する電流値を測定する。この場合、定電圧源182によって印加されている電圧が、寄生ダイオード52の作動電圧よりも高電圧であるため、所定電流が導通することにより、寄生ダイオード52の順方向電圧およびサブストレート抵抗155の両端電圧は、それぞれ約0.7Vおよび約0.2Vになると予測される。
【0004】
次に、同図においてスイッチ191をオンすることにより、他の信号用端子153が半田付けされるべき回路パターン163および回路パターン162にそれぞれ接触させられている電流導通用プローブ173,174の間に、定電圧源183によって1.2V程度の電圧を印加する。この状態では、他の信号用端子153およびグランド端子152間における寄生ダイオード52の順方向電圧が約0.7Vになるため、サブストレート抵抗155の両端電圧は、約0.5Vになる。したがって、信号用端子151に接続されている寄生ダイオード52は、その両端電圧が作動電圧よりも低電圧の約0.4Vになって遮断状態にさせられる結果、電流経路i11内を導通する電流値が低減する。この場合、検査対象の信号用端子151が回路パターン161から浮いているときには、電流計181によって測定された電流値が変化しないため、信号用端子151に他の集積回路の信号用端子が共通接続されている場合であっても、検査対象の信号用端子151についての端子浮きを検査することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の端子浮き検査方法には、以下の問題点がある。
すなわち、従来の端子浮き検査方法では、集積回路2の各端子151,152がそれそれ半田付けされるべき各回路パターン161,162に検査用プローブ171,172をそれぞれ接触させ、集積回路2内の寄生ダイオード52に所定電流を導通させ、その導通状態を示す電気的パラメータを測定することにより、その信号用端子151についての端子浮きを検査している。しかし、この検査方法では、回路基板に実装されている集積回路2,2・・のそれぞれの信号用端子毎に、前述した端子浮き検査を繰り返し実行しなくてはならない。このため、例えば、回路基板上に数多くの集積回路が実装されている場合には、検査に要する時間が長時間化して検査コストが高騰しているという問題がある。特に、電流導通用プローブ171,174を検査対象信号用端子の位置に応じてX−Y方式で移動させる場合には、その移動時間にも長時間を要するため、検査コストがさらに高騰する。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、集積回路の端子浮きについての検査コストを低減可能な集積回路の端子浮き検査方法および回路基板検査装置を提供することを主目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の集積回路の端子浮き検査方法は、回路基板に搭載された検査対象の集積回路における信号用端子並びに集積回路における電源端子およびグランド端子のいずれか一方の端子がそれそれ接続されるべき各回路パターンに検査用プローブを各々接触させて、両回路パターン間の静電容量を測定し、測定した静電容量が基準容量範囲を外れたときに、両回路パターンに接続されるべき信号用端子および一方の端子間に介在する集積回路内の内部ダイオードに検査用プローブを介して所定電圧を供給し、その状態において両回路パターンに接続されている集積回路を1つずつ加熱または冷却することにより集積回路の内部温度を所定温度に変化させて、その温度変化前後における内部ダイオードの導通電流の電流値をそれぞれ測定し、測定した2つの電流値の差異値が基準電流範囲を外れているときに、内部温度を変化させた集積回路に端子浮きが発生していると判別することを特徴とする。
【0008】
この集積回路の端子浮き検査方法では、最初に、例えば、回路基板に実装されている検査対象の集積回路における信号用端子およびグランド端子がそれぞれ接続されるべき両回路パターン間の容量を測定する。このときに測定される容量は、両回路パターンにそれぞれ半田付けされている信号用端子およびグランド端子の間に接続されている集積回路の内部ダイオードの接合容量と、両回路パターン間の容量とを加算した値になる。次に、測定した容量と、例えば良品基板における同一対象の回路パターン間について予め測定して規定した容量範囲(以下、「基準容量範囲」ともいう)とを比較する。ここで、集積回路の各端子が回路パターンに確実に半田付けされているときには、測定した容量が基準容量範囲内であるのに対し、回路パターンに接続されるべき信号用端子のいずれかが回路パターンから浮いているときには、測定した容量は、基準容量範囲から外れて、その寄生ダイオードの接合容量分だけ少なくなる。
【0009】
ここで、例えば、測定した容量が基準容量範囲から外れた場合には、回路パターンから浮いている信号用端子を特定するために、その回路パターンに接続されるべき各信号用端子について個別的に端子浮き検査を実行する。この場合、一般的に、ダイオードは、周囲温度の変化に応じて順方向電圧が変化し、定電圧を印加した状態では、導通電流の電流値も変化する。したがって、集積回路の信号用端子およびグランド端子が接続されるべき両回路パターン間の容量が基準容量範囲を外れたときに、信号用端子およびグランド端子間に介在する集積回路内の内部ダイオードが導通するのに十分な電流を検査用プローブを介して供給し、集積回路の内部温度が変化した後の導通電流を測定する。この場合、信号用端子が回路パターンに接続されていないときには、内部温度が変化したとしても、測定した導通電流の電流値は、温度変化前の導通電流の電流値とほぼ同じ値になる。一方、信号用端子が回路パターンに接続されているときには、温度変化後に測定した導通電流の電流値は、温度変化前の導通電流の電流値とは明らかに相違する。したがって、温度変化後における導通電流の電流値に基づいて、接続されるべき回路パターンから浮いている信号用端子を正確に特定することが可能となる。このように、この検査方法では、すべての信号用端子について端子浮き検査を画一的に実行するのではなく、容量測定検査で基準容量範囲を外れた回路パターンに接続されるべき各信号用端子についてのみ個別的に端子浮き検査を実行する。この場合、1つの回路パターンには、通常複数の信号用端子が接続されている。したがって、容量測定検査において基準容量範囲を外れた回路パターンに接続されるべき信号用端子についてのみ端子浮き検査を実行することにより、電流測定の検査回数が低減し、これにより、端子浮きの検査時間を短縮することが可能となる。
【0010】
請求項2記載の回路基板検査装置は、回路基板に搭載された検査対象の集積回路における信号用端子並びに集積回路における電源端子およびグランド端子のいずれか一方の端子がそれぞれ接続されるべき各回路パターンに接触可能な複数の検査用プローブと、信号用端子および一方の端子の間に介在する集積回路内の内部ダイオードに検査用プローブを介して所定電圧を供給する定電圧源と、所定電圧の供給によって導通状態となった内部ダイオードの導通電流の電流値を測定する電流測定回路と、信号用端子が接続されるべき回路パターンおよび所定の回路パターンの間における容量を測定する容量測定回路と、加熱または冷却することにより集積回路の内部温度を所定温度に制御する温度制御手段と、検査対象の集積回路における信号用端子並びに集積回路における電源端子およびグランド端子のいずれか一方の端子がそれそれ接続されるべき各回路パターンに接触させられた検査用プローブを介して両回路パターン間の静電容量を容量測定回路に測定させ、測定させた静電容量が基準容量範囲を外れたときに、両回路パターンに接続されている集積回路内の内部ダイオードに定電圧源から検査用プローブを介して所定電圧を供給させ、その状態において両回路パターンに接続されている集積回路を1つずつ温度制御手段に加熱または冷却させることにより集積回路の内部温度を所定温度に変化させ、その温度変化前後における内部ダイオードの導通電流の電流値を電流測定回路に測定させ、測定された2つの電流値の差異値が基準電流範囲を外れているときに内部温度を変化させた集積回路に端子浮きが発生していると判別するCPUとを備えていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る集積回路の端子浮き検査方法および回路基板検査装置の好適な実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る回路基板検査装置に相当するピンボード方式のインサーキットテスタ1における主要部の斜視図である。同図に示すように、インサーキットテスタ1は、検査対象の回路基板P上に搭載された集積回路(以下、「IC」ともいう)2における信号用端子3,3・・、グランド端子3g、および電源端子3pに接続されるべき回路パターン4,4・・,4g,4p(以下、他の回路パターンを含めて総称して、「回路パターン4」ともいう)にそれぞれ接触可能な検査用プローブ5,5・・,5g,5p(以下、他の検査用プローブを含めて総称して、「検査用プローブ5」ともいう)と、各IC2に対して上下動可能に構成された接触式のヒータ部6とを備えている。
【0013】
また、インサーキットテスタ1は、上下動可能なピンボード11と、所定距離分上方に離間させられてピンボード11に固定された図外のヒータ部固定用ボードとを備えており、ピンボード11には検査用プローブ5,5・・のすべてがそれぞれ固定され、ヒータ部固定用ボードには、ヒータ部6に連結されヒータ部6を上下動させるためのエアシリンダ12が固定されている。ヒータ部6は、本発明における温度制御手段に相当し、その内部には、温度に応じて抵抗値が変化するPTC型やNTC型のサーミスタまたは白金抵抗体などの発熱体(図示せず)が備えられている。この発熱体には、後述する電力供給部41から電源供給ピン13a,13bを介して加熱用電流が供給され、これにより、発熱体が発熱してIC2を加熱する。
【0014】
なお、このインサーキットテスタ1では、独立した各回路パターン4には1つの検査用プローブ5が接触するように対応配置させられており、検査時にピンボード11が同図の矢印A方向に下動させられると、各検査用プローブ5,5・・は、一点鎖線で示すように、対応する各回路パターン4,4・・にそれぞれ接触させられる。なお、同図では、1つの信号用端子3および電源端子3pのみを一点鎖線で示している。また、各IC2には1つヒータ部6が接触可能に対応配置させられており、ヒータ部6は、ピンボード11が下動させられた際には、ピンボード11の下面と回路基板Pの上面との中間位置に位置させられ、その状態においてエアシリンダ12にエアが供給されると下動させられ、一点鎖線で示すように、IC2のパッケージの表面Fに接触する。これにより、IC2の内部温度は所定温度まで上昇させられる。
【0015】
次に、インサーキットテスタ1の電気的な構成について、図2を参照して説明する。
【0016】
同図に示すように、インサーキットテスタ1は、CPU31、スキャナ部32、計測部36、切り替えスイッチ37,38、RAM39、ROM40、電力供給部41、エア供給部42、電磁弁43,43・・,44を備えている。
【0017】
CPU31は、計測部36による各検査処理を制御したり計測値から端子浮きの有無を判別したりする。スキャナ部32は、CPU31の制御に従って複数の検査用プローブ5,5・・から1対の検査用プローブ5,5を選択する。計測部36は、スキャナ部32によって選択された1対の検査用プローブ5,5を介して回路パターン4,4g間の容量を例えば同期検波方式で測定する容量測定回路33と、回路パターン4,4間に定電圧を供給する定電圧源34と、検査用プローブ5,5間を導通する導通電流の電流値を測定する電流測定回路35とを備えている。なお、これらの容量測定回路33、定電圧源34および電流測定回路35は、CPU31の制御に従い、それぞれ測定し、または定電圧を供給する。
【0018】
切り替えスイッチ37,38は、CPU31の制御に従って互いに連動作動し、検査用プローブ5に対して容量測定回路33または定電圧源34および電流測定回路35を切り替え接続する。RAM39は、各回路パターン4,4間における容量の基準データ、IC2の端子浮きを判別する際の基準データ、および測定値に基づく演算結果などを一時的に記憶し、ROM40は、CPU31の動作プログラムなどを記憶する。電力供給部41は、CPU31の制御に従って前述したようにヒータ部6の発熱体に電力を供給する。
【0019】
エア供給部42は、各電磁弁43,43・・・,44に圧縮エアを供給する。電磁弁43は、エアシリンダ12とエア供給部42との間にそれぞれ接続されており、CPU31の開閉信号に従って開閉することにより、エア供給用パイプ45を介しての圧縮エアの各エアシリンダ12への供給および供給停止を制御する。この場合、電磁弁43が作動して圧縮エアを供給することにより、エアシリンダ12は、ヒータ部6をIC2の表面Fに接触させる。一方、電磁弁44は、エア供給部42とピンボード11を上下動させるためのエアシリンダ(図示せず)との間に接続されており、CPU31の開閉信号に従って開閉することにより、エア供給パイプ46を介しての圧縮エアのエアシリンダへの供給および供給停止を制御する。この場合、電磁弁44が作動して圧縮エアを供給することにより、エアシリンダは、ピンボード11を下動させる。
【0020】
次いで、IC2における信号用端子3の端子浮き検査の検査原理について、図3,4を参照して説明する。なお、検査対象の回路基板P上には、実際には、複数のIC2,2・・が実装され、かつ同一回路パターン4に複数のIC2,2・・の各々の信号用端子3,3・・が共通接続されているが、理解を容易にするため、ここでは、回路基板P上に2つの検査対象のIC2a,2bが実装されている場合を想定して説明する。
【0021】
図3に示すように、両IC2a,2bの信号用端子3とグランド端子3gとの間、および信号用端子3と電源端子3pとの間には、本発明における内部ダイオードに相当する寄生ダイオード52,52・・がそれぞれ存在する。このインサーキットテスタ1では、信号用端子3の端子浮きを検査する際に、まず、容量測定検査を実行する。具体的には、信号用端子3が接続されるべき回路パターン4と、グランド端子3gが接続されるべき回路パターン4gに両検査用プローブ5,5gをそれぞれ接触させる。次に、容量測定回路33を用いて回路パターン4,4g間の容量を測定する。この際に測定される容量は、IC2a,2b内の内部ダイオード52,52の接合容量と、回路パターン4,4g間のパターン間容量との和となる。
【0022】
この際に、IC2a,2bにおける各信号用端子3およびグランド端子3gが、回路パターン4,4gに半田付けされている場合には、測定した回路パターン4,4g間の容量は、良品の回路基板Pにおける同一対象の回路パターン4,4g間について予め測定して規定した容量範囲である基準容量範囲内になる。一方、IC2a,2bにおける信号用端子3またはグランド端子3gのいずれかが、回路パターン4,4gに半田付けされていない場合には、測定した回路パターン4,4g間の容量が基準容量範囲を外れることになる。このため、基準容量範囲内にあるときには、その回路パターン4,4gに接続されるべき信号用端子3およびグランド端子3gがそれぞれ確実に半田付けされていると判別することができるのに対し、基準容量範囲を外れたときには、その回路パターン4,4gに接続されるべき各信号用端子3およびグランド端子3gのいずれかが半田付けされていないと判別することができる。次いで、すべての回路パターン4,4・・について、これらの容量測定検査を実行し、基準容量範囲内を外れた回路パターン4に接続されているべき信号用端子3についてのみ、以下に説明する電流測定検査を実行する。
【0023】
電流測定検査では、まず、IC2a,2bの信号用端子3およびグランド端子3gの間にそれぞれ介在する寄生ダイオード52,52が導通可能な電圧を検査用プローブ5,5gを介して定電圧源34から供給する。次に、その状態において、電流測定回路35が、IC2aの寄生ダイオード52を導通した導通電流の電流値I21と、IC2bの寄生ダイオード52を導通した導通電流の電流値I31との和である電流値I1 を測定する。次いで、ヒータ部6を下動させてIC2aの表面Fに接触させることにより、IC2aの内部温度を所定温度まで上昇させる。続いて、内部温度が所定温度に達した後に、電流測定回路35が、IC2aの寄生ダイオード52を導通した導通電流の電流値I22と、IC2bの寄生ダイオード52を導通した導通電流の電流値I32との和である電流値I2 を再度測定する。この温度変化させた前後における導通電流の電流値I1 ,I2 は、寄生ダイオード52の周囲温度に応じて変化し、周囲温度が所定温度に設定されると、その導通電流の電流値I2 もほぼ所定値に定まる。したがって、所定温度に温度変化させた後の導通電流の電流値I2 と、良品の回路基板Pにおける同一信号用端子3について予め測定した温度変化後の導通電流値である基準電流値とを比較すれば、IC2aにおける検査対象信号用端子3の端子浮きを判別することができる。これは、信号用端子3が回路パターン4に半田付けされていないときには、IC2aの内部温度が所定温度に変化したとしても、導通電流の電流値I2 は、導通電流の電流値I1 とほぼ同じで変化しないのに対し、信号用端子3が半田付けされているときには、電流値I2 は、温度変化前における導通電流の電流値I1 とは明らかに相違するからである。
【0024】
同様にして、IC2bについても上記した検査を行う。この際には、まず、IC2aの寄生ダイオード52を導通した導通電流の電流値I21と、IC2bの寄生ダイオード52を導通した導通電流の電流値I31との和である電流値I1 を測定する。次いで、ヒータ部6を下動させてIC2bの表面Fに接触させることにより、IC2bの内部温度を所定温度まで上昇させる。続いて、内部温度が所定温度に達した後に、電流測定回路35が、IC2aの寄生ダイオード52を導通した導通電流の電流値I21と、IC2bの寄生ダイオード52を導通した導通電流の電流値I32との和である電流値I2 を再度測定する。次いで、温度変化前における導通電流の電流値I1 および温度変化後における導通電流の電流値I2 を互いに比較することにより、IC2bにおける検査対象信号用端子3の端子浮きを判別する。これにより、前述した回路パターン4,4g間に対する容量測定検査時に、基準容量範囲を外れた回路パターン4に接続されるべき各信号用端子3のうち、端子浮きしている信号用端子3を特定することができる。
【0025】
次に、実際の端子浮き検査方法の具体的な手順について、容量測定検査の際に用いる基準データを作成する基準データ作成処理A、電流測定検査の際に用いる基準データを作成する基準データ作成処理B、実際の端子浮き検査する検査処理Aについて、図4〜6を参照して説明する。
【0026】
図4(a)に示す基準データ作成処理Aでは、最初に、良品回路基板Pについて、データ吸収対象の回路パターン4,4g間における容量を測定する(ステップ61)。具体的には、CPU31は、切り替えスイッチ37,38を制御することにより、良品回路基板Pの回路パターン4,4gに検査用プローブ5,5gを介して容量測定回路33を接続させ、その状態で、容量測定回路33に対して容量を測定させる。次いで、CPU31は、測定した容量をRAM39に記憶させる(ステップ62)。同様にして、他の回路パターン4,4g間についても容量の測定および測定した容量の記憶を繰り返し実行する。次いで、すべての回路パターン4,4g間について容量を測定したか否かを判別し(ステップ63)、すべてについて測定したときに、CPU31は、RAM39に記憶させた各容量に対してそれぞれ所定の範囲を定めることにより基準データを作成する(ステップ64)。この作成した基準データが前述した基準容量範囲となる。以上により、この処理を終了する。
【0027】
次に、CPU31は、図4(b)に示す基準データ作成処理Bを実行する。この処理では、CPU31は、切り替えスイッチ37,38を制御することにより、良品回路基板Pの回路パターン4,4gに検査用プローブ5,5gを介して定電圧源34および電流測定回路35をそれぞれ接続させ、その状態で、検査用プローブ5,5gを介して定電圧源34から定電圧を供給させると共に、電流測定回路35に対して、その際の導通電流の電流値I1 を測定させる(ステップ71)。次いで、そのIC2を所定温度まで加熱し(ステップ72)、導通電流の電流値I2 を測定する(ステップ73)。次に、導通電流I2 から導通電流I1 を減算することにより正常データΔIを演算する(ステップ74)。
【0028】
この場合、両電流値I2 ,I1 の差異値を正常データΔIとするのは、以下の理由からである。すなわち、図3において、検査対象がIC2aとすれば、導通電流の電流値I1 は上記したように、下記の(1)式で表される。
I1 =I21+I31・・・・・・・・・・(1)式
一方、温度上昇後における電流値I2 は、温度上昇後におけるIC2aの増加電流値をΔiとすれば、下記の(2)式で表される。
I2 =(I21+Δi)+I31・・・・・(2)式
したがって、電流値I2 と電流値I1 との差異値である正常データΔIは、下記の(3)式で表される。この式によれば、他のIC2b内の寄生ダイオード52の導通電流のばらつきが相殺されるため、IC2aにおける検査対象の信号用端子3についての寄生ダイオード52の導通電流のみの温度上昇前後における差異値を求めることができる。
ΔI=I2 −I1
=Δi・・・・・・・・・・・・・(3)式
【0029】
次いで、CPU31は、演算した正常データΔIをRAM39に記憶させる(ステップ75)。この後、CPU31は、他のすべての信号用端子3,3・・についても同様にして正常データΔIを測定すると共に、その正常データΔIをRAM39に記憶させる。すべての信号用端子3について正常データΔIを測定したと判別したときに(ステップ76)、CPU31は、各正常データΔIに対してそれぞれ所定の範囲を定めることにより基準データを作成する(ステップ77)。この作成した基準データが基準電流範囲となる。以上により、この処理を終了する。
【0030】
次に、検査処理Aについて、図5,6を参照して説明する。
【0031】
図5に示すように、CPU31は、ROM40に記憶されている動作プログラムに従い、切り替えスイッチ37,38を切り替え制御し、検査対象回路基板Pにおける回路パターン4,4g間の容量を容量測定回路33に測定させる(ステップ81)。次に、CPU31は、測定した容量が、基準データ作成処理Aによって作成された基準容量範囲内か否かを判別する(ステップ82)。CPU31は、基準容量範囲内である場合には、その回路パターン4,4gと正常を示す正常フラグとを対にしてRAM39に記憶させ(ステップ83)、基準容量範囲を外れる場合には、その回路パターン4,4gと異常を示す異常フラグとを対にしてRAM39に記憶させる(ステップ84)。この後、CPU31は、同様にして、すべての回路パターン4,4g間について測定すると共にフラグをRAM39に記憶させる(ステップ85)。
【0032】
すべての回路パターン4,4g間についての処理を完了したと判別したときに(ステップ85)、CPU31は、RAM39に異常フラグが記憶されているか否かを判別する(ステップ86)。異常フラグが記憶されていない場合には、CPU31は、すべての端子3,3・・が正常に半田付けされているものと判別して、この検査処理Aを終了する。一方、異常フラグが記憶されている場合には、CPU31は、端子浮きしている端子を特定するために、異常フラグに対応する回路パターン4,4gに接続されるべき各信号用端子3について、図6に示す検査処理Bを実行する(ステップ87)。
【0033】
検査処理Bでは、CPU31は、検査すべき信号端子3に応じてスキャナ部32を設定する(ステップ91)。次に、CPU31は、切り替えスイッチ37,38を切り替え制御すると共に、スキャナ部32によって選択された検査用プローブ5,5gを介して検査対象の信号用端子3およびグランド端子3gに定電圧を供給させ、その状態で導通電流の電流値I1 を測定する(ステップ92)。次いで、CPU31は、電磁弁43を制御することにより、ヒータ部6を下動させて検査対象のIC2に接触させる。これにより、検査対象のIC2は所定温度まで加熱される(ステップ93)。所定時間が経過して所定温度まで達したと判別したときに、CPU31は、導通電流の電流値I2 を測定する(ステップ94)。
【0034】
続いて、CPU31は、電流値I2 から電流値I1 を減算することにより、温度上昇の前後における導通電流の差異値を演算し、その信号用端子3が端子浮きしているか否かを判別する(ステップ96)。この場合、CPU31は、差異値が基準電流範囲内にある場合には、その信号用端子3が端子浮きしていないと判別し、基準電流範囲を外れているときには、端子浮きと判別する。次いで、異常フラグに対応するすべての信号用端子3について端子浮きを検査したか否かを判別し(ステップ97)、検査していないときには、ステップ91〜ステップ97を繰り返し実行し、すべてを検査したと判別したときには、この検査処理A,Bを終了する。
【0035】
なお、本発明は、上記本発明の実施の形態に限定されない。例えば、本発明の実施の形態では、最初に容量測定検査を実行した後に検査処理Bを実行しているが、基準容量範囲を外れる都度、その信号用端子3について検査処理Bを実行してもよい。また、本発明の実施の形態では、容量測定検査および電流測定検査の際に用いる基準データを良品回路基板Pから測定することによって作成しているが、これら各基準データとして、回路基板Pの設計時に想定される計算値を用いることもできる。さらに、本発明の実施の形態では、容量測定検査時に、回路パターン4と、グランド電位の回路パターン4gとの間の容量を測定しているが、一方の回路パターンが常に回路パターン4gである必要はなく、回路パターン4と、それに隣接する他の任意の回路パターン4との間の容量を測定することもできる。
【0036】
さらに、本発明の実施の形態では、温度制御手段としてのヒータ部6によって検査対象IC2を所定温度まで加熱することにより端子浮きを検査しているが、温度制御手段としてペルチェ素子などの冷却装置を用いてIC2を所定温度まで冷却することにより端子浮きを検査することもできる。また、加熱装置として、例えば、ペルチェ素子や、電力をジュール熱に変換する抵抗発熱体などを用いることが可能である。さらに、本実施形態では、導通電流の変化に基づいて端子浮きを検査する例について説明したが、加熱または冷却の前後における寄生ダイオード52の順方向電圧を測定した後、その測定値の差異値に基づいて端子浮きを検査してもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の集積回路の端子浮き検査方法および請求項2記載の回路基板検査装置によれば、容量測定検査で基準容量範囲を外れた回路パターンに接続されるべき各信号用端子についてのみ個別的に端子浮き検査を実行することにより、端子浮き検査を短時間で行うことができる結果、端子浮き検査コストを低減することができる。
【0038】
また、集積回路の内部温度を所定温度に変化させ、その温度変化前後に測定した電気的パラメータ(電流値)の差異値に基づいて端子浮き検査を実行することにより、端子浮きしている集積回路の端子を正確に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るインサーキットテスタの主要部の斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係るインサーキットテスタの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】 検査対象集積回路の等価回路を含めた測定系の概略を示す回路図である。
【図4】 (a)は基準データ作成処理Aのフローチャート、(b)は基準データ作成処理Bのフローチャートである。
【図5】 検査処理Aのフローチャートである。
【図6】 検査処理Bのフローチャートである。
【図7】 従来の集積回路の端子浮き検査方法を実施する際における検査対象集積回路の等価回路を含めた測定系の概略を示す回路図である。
【符号の説明】
1 インサーキットテスタ
2 IC
3 信号用端子
3g グランド端子
3p 電源端子
4 回路パターン
5 検査用プローブ
6 ヒータ部
31 CPU
33 容量測定回路
34 定電圧源
35 電流測定回路
52 寄生ダイオード
Claims (2)
- 回路基板に搭載された検査対象の集積回路における信号用端子並びに当該集積回路における電源端子およびグランド端子のいずれか一方の端子がそれそれ接続されるべき各回路パターンに検査用プローブを各々接触させて、当該両回路パターン間の静電容量を測定し、
当該測定した静電容量が基準容量範囲を外れたときに、前記両回路パターンに接続されるべき前記信号用端子および前記一方の端子間に介在する前記集積回路内の内部ダイオードに前記検査用プローブを介して所定電圧を供給し、
その状態において前記両回路パターンに接続されている前記集積回路を1つずつ加熱または冷却することにより当該集積回路の内部温度を所定温度に変化させて、その温度変化前後における前記内部ダイオードの導通電流の電流値をそれぞれ測定し、
当該測定した2つの電流値の差異値が基準電流範囲を外れているときに、前記内部温度を変化させた集積回路に端子浮きが発生していると判別することを特徴とする集積回路の端子浮き検査方法。 - 回路基板に搭載された検査対象の集積回路における信号用端子並びに当該集積回路における電源端子およびグランド端子のいずれか一方の端子がそれぞれ接続されるべき各回路パターンに接触可能な複数の検査用プローブと、
前記信号用端子および前記一方の端子の間に介在する前記集積回路内の内部ダイオードに前記検査用プローブを介して所定電圧を供給する定電圧源と、
前記所定電圧の供給によって導通状態となった前記内部ダイオードの導通電流の電流値を測定する電流測定回路と、
前記信号用端子が接続されるべき回路パターンおよび所定の回路パターンの間における容量を測定する容量測定回路と、
加熱または冷却することにより前記集積回路の内部温度を所定温度に制御する温度制御手段と、
検査対象の前記集積回路における信号用端子並びに当該集積回路における電源端子およびグランド端子のいずれか一方の端子がそれそれ接続されるべき各回路パターンに接触させられた前記検査用プローブを介して当該両回路パターン間の静電容量を前記容量測定回路に測定させ、当該測定させた静電容量が基準容量範囲を外れたときに、当該両回路パターンに接続されている前記集積回路内の前記内部ダイオードに前記定電圧源から前記検査用プローブを介して前記所定電圧を供給させ、その状態において当該両回路パターンに接続されている前記集積回路を1つずつ前記温度制御手段に加熱または冷却させることにより当該集積回路の内部温度を所定温度に変化させ、その温度変化前後における当該内部ダイオードの導通電流の電流値を前記電流測定回路に測定させ、当該測定された2つの電流値の差異値が基準電流範囲を外れているときに前記内部温度を変化させた集積回路に端子浮きが発生していると判別するCPUとを備えていることを特徴とする回路基板検査装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP06772298A JP4040740B2 (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 集積回路の端子浮き検査方法および回路基板検査装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP06772298A JP4040740B2 (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 集積回路の端子浮き検査方法および回路基板検査装置 |
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|---|---|
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| JP4040740B2 true JP4040740B2 (ja) | 2008-01-30 |
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Family Applications (1)
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| JP06772298A Expired - Fee Related JP4040740B2 (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 集積回路の端子浮き検査方法および回路基板検査装置 |
Country Status (1)
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- 1998-03-02 JP JP06772298A patent/JP4040740B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
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| JPH11248780A (ja) | 1999-09-17 |
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