以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の実施の形態における車両のサスペンション制御装置の構成を示すブロック図、図3は本発明の実施の形態における車両のサスペンションの構成を示す図である。
図において、10は車両のサスペンション制御装置であり、道路情報としての車両の走行環境情報を出力するセンサユニット20、車両のサスペンション(懸架装置)を制御する制御ユニットとしてのサスペンション制御ユニット30、及び、車両のサスペンションユニット40を有する。ここで、前記車両は乗用車、トラック、バス、三輪車等道路を走行可能なものであればいかなる種類のものであってもよいが、本実施の形態においては、説明の都合上、前記車両が四つの車輪を備える乗用車である場合について説明する。なお、前記サスペンションユニット40は四つの車輪のそれぞれに取り付けられているものとする。
そして、21はナビゲーション装置、22は車両の回転角速度、すなわち、旋回角を検出するジャイロセンサ、23はGPS(Global Positioning System)センサ、24は車両の速度を検出する車速センサ、25は運転者が操作する車両のステアリングの舵(だ)角を検出するステアリングセンサ、26は車両の方向指示器としてのウィンカの動作を検出するウィンカセンサ、27は運転者が操作するアクセル開度を検出するアクセルセンサ、28は運転者が操作する車両のブレーキペダルの動きを検出するブレーキセンサ、及び、29は車両の重量情報を取得する車重センサである。
ここで、前記ナビゲーション装置21は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、タッチパネル、リモートコントローラ、押しボタンスイッチ等の入力手段、通信インターフェイス等を備える。そして、前記ナビゲーション装置21は、前記ジャイロセンサ22、GPSセンサ23及び車速センサ24が接続される。また、前記ナビゲーション装置21は、図示されない地磁気センサ、距離センサ、ビーコンセンサ、高度計等を備えていてもよい。そして、前記ナビゲーション装置21は、前記ジャイロセンサ22、GPSセンサ23及び車速センサ24、さらに、地磁気センサ、距離センサ、ビーコンセンサ、高度計等からの信号に基づいて、車両の現在位置、車両が向いている方位、車両の速度、車両の移動距離等を検出する。本実施の形態において、前記ナビゲーション装置21は、基本処理及び走行環境認識処理を行い、前記サスペンション制御ユニット30に走行環境情報を送信する。
そして、前記GPSセンサ23は、図示されないGPS衛星が発信した電波を受信することによって地球上における現在位置を検出し、前記地磁気センサは、地磁気を測定することによって車両が向いている方位を検出し、前記距離センサは、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。前記距離センサとしては、例えば、図示されない車輪の回転数を測定し、該回転数に基づいて距離を検出するもの、加速度を測定し、該加速度を二回積分して距離を検出するもの等を使用することができる。また、前記ビーコンセンサは、道路に沿って配設されたビーコンからの位置情報を受信して現在位置を検出する。
ここで、前記車重センサ29は、車両内に配設されたボディ通信網としての車内LAN(Local Area Network)に接続され、該車内LANを介して通信される情報としての車両コードを取得し、該車両コードに基づいて車種を特定して、前記車両の基本重量を取得する。さらに、前記車重センサ29は、各座席(シート)に配設されたシートセンサを含み、前記座席に着座している乗員の人数に基づいて、積載重量を算出する。そして、前記車両の基本重量と積載重量を合計し、車両の総重量としての車両重量を検出する。なお、車両が停車している際のオートレベライザの制御状態から積載重量を検出することもできる。
また、前記ナビゲーション装置21の記憶手段は、地図データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル、道路データファイル、及び、各地域のホテル、ガソリンスタンド等の施設の情報が記録された施設情報データファイルから成るデータベースを備える。そして、前記記憶手段には、経路を探索するためのデータの他、前記表示手段の画面に、探索された経路に沿って案内図を表示したり、次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したり、他の案内情報を表示したりするための各種のデータが記録される。なお、前記記憶手段には、所定の情報を音声出力するための各種のデータも記録される。また、前記記憶手段は、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、フラッシュメモリ、CD−ROM、MD、DVD−ROM、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等、あらゆる形態の記録媒体を含むものであり、取り外し可能な外部記憶媒体を使用することもできる。
そして、前記交差点データファイルには交差点データが、ノードデータファイルにはノードデータが、道路データファイルには道路データが、それぞれ、記録され、前記交差点データ、ノードデータ及び道路データによって道路状況が表示手段の画面に表示される。なお、前記交差点データには、交差点の種類、すなわち、交通信号灯器の設置されている交差点であるか又は交通信号灯器の設置されていない交差点であるかが含まれる。また、前記ノードデータは、前記地図データファイルに記録された地図データにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)、ノード点、及び、各ノード点間を連結するリンクを示すデータから成る。さらに、前記ノード点は、少なくとも道路の屈曲点の位置を示す。
また、前記道路データには、道路自体について、幅員、勾配、カント、高度、バンク、路面の状態、道路の車線数、該車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等のデータが含まれる。なお、高速道路や幹線道路の場合、対向方向の車線のそれぞれが別個の道路データとして格納され、二条化道路として処理される。例えば、片側二車線以上の幹線道路の場合、二条化道路として処理され、上り方向の車線と下り方向の車線は、それぞれ、独立した道路として道路データに格納される。また、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等のデータが含まれる。さらに、道路属性については、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路、道路種別(国道、主要地方道、一般道、高速道等)等のデータが含まれる。
さらに、前記ナビゲーション装置21の通信インターフェイスは、サスペンション制御ユニット30との間で通信を行うとともに、FM送信装置、電話回線網、インターネット、携帯電話網等との間で各種のデータの送受信を行うためのものであり、例えば、図示されない情報センサ等によって受信した渋滞等の道路情報、交通事故情報、GPSセンサ23の検出誤差を検出するD−GPS情報等の各種のデータを受信する。
そして、前記ナビゲーション装置21は、目的地までの経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等の基本処理を実行し、地図を表示手段の画面に表示し、前記地図上に車両の現在位置、該現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等を表示する。なお、該案内情報は、発音手段によって音声出力されるようにしてもよい。さらに、前記ナビゲーション装置21は、車両の走行経路において車両の前方に位置するコーナ等(交差点、T字路、高速道路出入口ランプウェイ等も含む)の形状、該コーナ等への推奨進入速度等を含む走行環境を認識する走行環境認識処理を行う。そして、前記走行環境情報はサスペンション制御ユニット30に送信される。
また、該サスペンション制御ユニット30は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備える。なお、前記サスペンション制御ユニット30は、前記車速センサ24、ステアリングセンサ25、ウィンカセンサ26、アクセルセンサ27、ブレーキセンサ28、及び、車重センサ29に接続され、車両の走行状態情報を受信する。そして、前記サスペンション制御ユニット30は、制御状況情報受信処理、制御要素情報受信処理、制御命令作成処理、制御命令送信処理等の各種処理を行い、制御命令をサスペンションユニット40に送信する。
そして、該サスペンションユニット40は、通常のサスペンションが有するばね(スプリング)、ダンパー(減衰器)、車輪のガイド機構(リンク)等に加えて、上下加速度センサ41、減衰力調整機構42、ばねレート調整機構43及び車高調整機構44を有する。ここで、前記上下加速度センサ41は、前記サスペンションユニット40における車体側の部分であるばね上部分が上下方向に移動する加速度としての車両の上下方向加速度を検出する。そして、前記減衰力調整機構42は、前記ダンパーの減衰力を調整するものであり、例えば、前記ダンパーが油圧式ダンパーである場合、油流路のオリフィス径を調整することによって、減衰力を調整することができる。また、前記ばねレート調整機構43は、前記ばねの剛性、すなわち、スプリングの硬さを調整して前記ばねのばねレート(ばね定数又はスプリングレート)の値を変更するものであり、ばねレートを調整することができる。さらに、前記車高調整機構44は車体の高さを調整することができる。なお、前記サスペンションユニット40は、サスペンション制御ユニット30に制御状況情報を送信する。
なお、図2に示される例においては、サスペンション制御ユニット30が独立した構成になっているが、該サスペンション制御ユニット30が有する機能をセンサユニット20やサスペンションユニット40に付属させることもできる。
ここでは、前記サスペンションユニット40が、空気ばねを使用するエアサスペンションである場合を例として、減衰力、ばねレート及び車高を調整する方法について具体的に説明する。なお、サスペンションユニットとしてのエアサスペンションユニット81は、図3に示されるような構成を有するものとする。まず、減衰力を調整する場合、前記減衰力調整機構42は減衰力調整用アクチュエータ88を作動させる。これにより、オリフィス切替型減衰可変バルブ89が回転し、ダンパーのオリフィス径を変化させて減衰力を調整する。
また、ばねレートを調整する場合、前記ばねレート調整機構43は開閉弁87を作動させる。これにより、メインエアチャンバ85とサブエアチャンバ86との通路を開閉したり、該通路の絞り量を変化させて、ばねレートを調整する。すなわち、エアサスペンションにおいては、エアチャンバの容積に比例してばねレートが低下するので、ばねレートを高くする場合はメインエアチャンバ85のみを使用し、ばねレートを低くする場合は前記通路を開きサブエアチャンバ86も使用する。
さらに、車高を調整する場合、前記車高調整機構44はソレノイドバルブ84を作動させる。これにより、矢印91で示されるように、メインエアチャンバ85内にエアタンク82からエアを供給したり、矢印92で示されるように、メインエアチャンバ85からエアを排出したりして、メインエアチャンバ85内の空気圧を調整して車高を調整する。なお、前記エアタンク82には必要に応じてエアコンプレッサ83から空気が供給される。
また、本実施の形態において、車両のサスペンション制御装置10は、機能の観点から、車両の現在位置を検出する位置検出手段、運転者の減速意図を検出する減速意図検出手段、前記車両の加速度を検出する加速度検出手段、目的地までの経路を案内する経路案内手段、車両の旋回方向を予測する旋回方向予測手段、及び、運転者の加速意図を検出する加速意図検出手段を有する。ここで、前記運転者の減速意図は、ブレーキがオン、又は、ウィンカがオンになると検出される。また、加速意図はアクセル開度に基づいて検出され、減速意図はブレーキペダルの動きに基づいて検出される。さらに、車両の旋回方向はステアリングの舵角又は車両の回転角速度に基づいて検出される。さらに、車両の旋回方向は、ウィンカがオンになると、また、ナビゲーション装置21の走行環境認識処理によって車両11の走行経路において車両11の前方に位置するコーナ、交差点等で旋回することが認識されると予測される。
次に、前記構成の車両のサスペンション制御装置10の動作について説明する。本実施の形態においては、交差点、インターチェンジ等のように道路が分岐したり合流したりする道路の分岐点を車両が右左折する場合のサスペンンション制御としての交差点制御について説明する。この場合、交差点制御には、四つ角、T字路等の交差点における制御だけでなく、二股(また)のように道路が複数に分岐する点、ランプウェイのように複数の道路が合流する点における制御も含まれる。
図1は本発明の実施の形態における交差点制御を実施するタイミングの概念を示す図である。
まず、交差点制御を実施するタイミングについて説明する。ここでは、図1(a)に示されるように、車両11は交差点において右折するものとする。なお、図1において12は道路であり、13はノード点であり、該ノード点13に関するデータは前述されたように、前記ナビゲーション装置21の記憶手段のノードデータファイルに格納されている。また、14は分岐点としての交差点であり、15は交差点制御が実施される範囲としての交差点制御実施領域である。
そして、図1(b)は、車両11の現在位置からの距離と交差点制御実施領域15との関係を示し、横軸に距離が採られている。そして、ブレーキセンサ28の出力信号及びウィンカセンサ26の出力信号の変化が示され、該出力信号は、それぞれ、低い値の時はブレーキ及びウィンカが作動していない、すなわち、オフであり、高い値の時はブレーキ及びウィンカが作動している、すなわち、オンであることを示している。
前記交差点制御実施領域15は交差点前後の所定区間、例えば、交差点の道路の中心から前90〔m〕及び交差点の道路の中心から後30〔m〕の区間に設定される。そして、車両のサスペンション制御装置10は、前記車両11が位置11−1を通過して交差点制御実施領域15内を走行中において、前記ナビゲーション装置21が経路中の走行案内、すなわち、経路案内を実施している時はブレーキがオンになると交差点制御を実施し、前記ナビゲーション装置21が経路案内を実施していない時はブレーキがオンになり、かつ、ウィンカがオンになると交差点制御を実施する。
本実施の形態において、車両のサスペンション制御装置10は、車体又はサスペンションのばね上部分が沈み込んだり浮き上がったりする動作としてのサスペンションのばねレート、減衰力を制御することによってストロークを制御して、交差点制御を実施するようになっている。
例えば、車両11が交差点を旋回している時には、旋回中心に対する車体の外側が沈み込み内側が浮き上がるようにするヨーモーメントが車体に作用する。そして、前記ヨーモーメントが大きいと車体が大きく外側に傾く、すなわち、ロールするので、乗員が不快感や不安感を感じることになる。そこで、前記車両のサスペンション制御装置10は、車両11が交差点を旋回している時、外輪のサスペンションユニット40、すなわち、旋回中心に対する車体の外側に位置するサスペンションユニット40のストロークの減少が少なくなり、車体の内側に位置するサスペンションユニット40のストロークの増加が少なくなるように、それぞれのサスペンションユニット40を制御する。
また、車両11が交差点に進入する時には、減速するので車体の前側が沈み込み後側が浮き上がるようにするピッチングモーメントが車体に作用する。そして、前記ピッチングモーメントが大きいと車体が大きく前に傾く、すなわち、ノーズダイブするので、乗員に不快感や不安感を与えることになる。そこで、前記車両のサスペンション制御装置10は、車両11が減速する時、前輪のサスペンションユニット40のストロークの減少が少なくなり、後輪のサスペンションユニット40のストロークの増加が少なくなるように、それぞれのサスペンションユニット40を制御する。
さらに、車両11が交差点を脱出する時には、加速するので車体の前側が浮き上がり後側が沈み込むようにするピッチングモーメントが車体に作用する。そして、前記ピッチングモーメントが大きいと車体が大きく後ろに傾く、すなわち、テールスクワットするので、乗員に不快感や不安感を与えることになる。そこで、前記車両のサスペンション制御装置10は、車両11が加速する時、前輪のサスペンションユニット40のストロークの増加が少なくなり、後輪のサスペンションユニット40のストロークの減少が少なくなるように、それぞれのサスペンションユニット40を制御する。
そして、該サスペンションユニット40は、減衰力調整機構42、ばねレート調整機構43及び車高調整機構44によってストロークを制御することができる。まず、前記減衰力調整機構42は、ダンパーの減衰力を調整することによってストロークを制御する。この場合、減衰力を強くするとストロークの変化に対する抵抗力が大きくなってストロークが変化し難くなり、減衰力を弱くするとストロークの変化に対する抵抗力が小さくなってストロークが変化し易くなる。そして、前記ばねレート調整機構43は、ばねのばねレートを調整することによってストロークを制御する。この場合、ばねレートを大きくするとばねが硬くなってストロークが変化し難くなり、ばねレートを小さくするとばねが柔らかくなってストロークが変化し易くなる。また、前記車高調整機構44はストロークを増減することによってストロークを制御する。この場合、ヨーモーメントやピッチングモーメントによって生じるストロークの変化と反対方向にストロークを変化させることによって、該ストロークの変化を補償する。
なお、本実施の形態においては、説明の都合上、減衰力調整機構42によってストロークを制御する場合について説明する。
図4は本発明の実施の形態におけるサスペンションの減衰力特性マップを示す図である。
この場合、ダンパーの減衰力は、例えば、図4に示される減衰力特性マップのように設定され、前記サスペンション制御ユニット30の記憶手段に格納される。図4における縦軸はダンパーの減衰力を示し、横軸はダンパーのピストンスピードを示している。なお、図4に示される減衰力及びピストンスピードの数値は、一般的な乗用車の油圧式ダンパーに適用した場合の一例であり、車両の種類、ダンパーの種類等に応じて変化するものである。なお、一般に、ダンパーの特性は前輪用と後輪用とで相違するが、ここでは前輪用のダンパーも後輪用のダンパーも同一の特性である場合について説明する。
また、図4に示される例は前記硬さ設定値が6段階である場合に対応するものであり、ダンパーの減衰力は0〜5の6段階に区分され、線a及び線dが減衰力が最も大きい、すなわち、サスペンションが最も硬い場合の特性曲線を示し、線b及び線cが減衰力が最も小さい、すなわち、サスペンションが最も柔らかい場合の特性曲線を示している。なお、中間の1〜4の段階に対応する特性曲線は省略されている。そして、減衰力が正の範囲における特性曲線としての線a及び線bはダンパーの軸が伸びる場合、すなわち、伸側の特性を示し、減衰力が負の範囲における特性曲線としての線c及び線dはダンパーの軸が縮む場合、すなわち、縮側の特性を示している。
そのため、ダンパーの減衰力を制御して、すなわち、調整してサスペンションのストロークを制御する、すなわち、調整する場合、前記サスペンション制御ユニット30は、前記減衰力特性マップに従って特性曲線を選択して、サスペンションユニット40に送信する。これにより、該サスペンションユニット40の減衰力調整機構42は、前記特性曲線に従った減衰力となるようにダンパーの減衰力を制御する。
次に、交差点におけるヨーモーメントによる車体の変化を抑制するロール抑制制御について説明する。
図5は本発明の実施の形態における交差点の車線数による影響を示す図、図6は本発明の実施の形態における交差点の交差角による影響を示す図、図7は本発明の実施の形態における交差点でのヨーモーメントによる車体の変化を示す図、図8は本発明の実施の形態における車線数と交差角によるサスペンション制御値の変化を示す図、図9は本発明の実施の形態における交差点でのロール抑制制御のタイミングを示す図、図10は本発明の実施の形態における交差点でのロール抑制制御のサスペンション制御値マップを示す図である。
本実施の形態における交差点制御においては、前記ナビゲーション装置21の記憶手段の交差点データファイルに格納されている交差点データに含まれる車線数又は道路幅、及び、交差点14の交差角に基づいて、交差点旋回時のヨーを抑制するロール抑制制御のためにロール抑制制御値としてのサスペンション制御値を決定する。なお、前記交差角は、分岐点としての交差点14において、車両11が進行中の道路に対して、該道路と交差する道路がなす角度である。
交差点14において右左折する際の車両11の軌跡の曲率は、図5に示されるように、交差点14の交差角だけでなく、互いに交差する道路12の車線数又は道路幅によって変化する。例えば、交差角が直角であっても、図5(a)に示されるように、車線数が少なく幅の狭い道路12が交差する交差点14を車両11が右折する場合には車両11の軌跡の曲率は小さく、図5(b)に示されるように、車線数が多く幅の広い道路12が交差する交差点14を車両11が右折する場合には車両11の軌跡の曲率は大きい。そのため、本実施の形態における交差点制御においては、道路12の車線数又は道路幅又は交差角を考慮して、交差点旋回時のロール抑制制御のためのサスペンション制御値を決定するようになっている。なお、図5(c)に示されるように左折する場合には、車線数、道路幅、旋回方向、道路12の交差角を考慮して、交差点旋回時のロール抑制制御のためのサスペンション制御値を決定する。ここで、左折、すなわち、対向車線を通過しない場合は、サスペンション制御値に所定値を設定する。例えば、車線数が最も少なく、交差角が最も小さい時の制御値を設定する。
この場合、図6(a)に示されるように、車両11が交差点14の手前の位置に到達した時に、サスペンション制御ユニット30は交差点データに含まれる車線数又は道路幅、及び、交差点14の交差角を取得する。前述したように、車両11の軌跡の曲率が互いに交差する道路12の車線数又は道路幅によって変化するので、図6(b)に示されるような交差点14の交差角θとともに、交差点の規模としての道路12の車線数又は道路幅を考慮することによって交差点旋回時のロール抑制制御のためのサスペンション制御値を決定する。
ここで、車両11が交差点14を旋回している時には、図7に示されるように、ヨーモーメントが車体に作用するので、旋回中心に対する車体の外側のサスペンションユニット40にはストロークを減少させるような力fout が作用し、車体の内側のサスペンションユニット40にはストロークを増加させるような力finが作用する。そのため、前記サスペンション制御ユニット30は、旋回中心に対する車体の外側のサスペンションユニット40にはストロークを減少させないようにするサスペンション制御値Fout を送信し、車体の内側のサスペンションユニット40にはストロークを増加させないようにするサスペンション制御値Finを送信する。すなわち、前記力fout 及び力finを打ち消すようなサスペンション制御値Fout 及びサスペンション制御値Finを送信する。なお、サスペンション制御値Finは、サスペンション制御値Fout に基づいて決定される。また、旋回中心に対する外側のサスペンションユニットは、車両11の旋回方向に基づいて決定される。この場合、旋回方向は、例えば、ウィンカの動作によって予測することもできるし、ナビゲーション装置21によって経路案内が行われているときには経路案内データにおける進行方向を示すデータ、又は、ナビゲーション装置21の記憶手段に格納されている交差点データファイルにおける交差点データに基づく車両11前方の交差点形状等から予測される。
すなわち、車速が一定の場合、曲率が大きいほど、すなわち、曲がり方がきついほど、ヨーモーメントが大きくなるので、前記力fout 及び力finが大きくなる。そのため、交差点制御において前記サスペンション制御ユニット30が出力するサスペンション制御値Fは、図8に示されるように、交差角が小さいほど大きく、かつ、車線数が少ないほど大きくなるようにする。
そして、前記サスペンション制御ユニット30は、図9に示されるように、交差点制御を開始した時点でロール抑制制御を開始し、ジャイロセンサ22が車両11の旋回を検出しなくなった時点でロール抑制制御を終了する。なお、図9は、交差点制御が実施中であることを示す交差点制御実施フラグの状態と車両11の旋回を検出するジャイロセンサ22の出力の状態を示し、横軸に距離が採られている。そして、図9から、交差点制御の実施が開始されて交差点制御実施フラグが立てられた(オンになった)時点でロール抑制制御が開始され、車両11の旋回が終了してジャイロセンサ22の出力がオフになった時点でロール抑制制御が終了されることが分かる。本実施の形態において、前記サスペンション制御ユニット30は、交差点制御が終了しても、依然として車両11の旋回が継続しジャイロセンサ22の出力がオンであれば、該ジャイロセンサ22の出力がオフになるまでロール抑制制御を継続する。もっとも、ジャイロセンサ22の出力がオンであっても、交差点制御が終了した地点から一定の距離以上走行した場合にはロール抑制制御を終了することが望ましい。この場合、交差点後のコーナに進入した場合はジャイロ出力がONであるので、ロール抑制制御を続けることになってしまうため、運転者に違和感を感じさせることになるが、ロール抑制制御をこのように終了することで違和感を解消することができる。
この場合、前記サスペンション制御ユニット30は、図10に示されるようなサスペンション制御値マップに従ってサスペンション制御値としての減衰力を決定し、該減衰力を含む制御命令を作成してサスペンションユニット40に送信する。前記サスペンション制御値マップは、交差角が小さいほど減衰力を大きくし、車線数が少ないほど減衰力を大きくするようになっている。ここで、前記サスペンション制御値マップに示される1〜5の段階は、図4に示される減衰力特性マップに対応するものであり、段階を示す数字が大きいほどダンパーの減衰力を大きくして、ストロークの変化に対する抵抗力を大きくするようになっている。なお、前記サスペンション制御値マップに示される交差角及び車線数の数値は一例に過ぎず適宜設定することができる。また、前記交差角及び車線数は、それぞれ、3段階に区分されているが、2段階に区分されていてもよいし、4段階以上に区分されていてもよい。さらに、前記減衰力の段階も、5段階以下であってもよいし、7段階以上であってもよいし、無段階であってもよい。なお、前記サスペンション制御値マップは、図4に示される減衰力特性マップとともに、前記サスペンション制御ユニット30の記憶手段に格納されている。
そして、前記減衰力を含む制御命令を受信したサスペンションユニット40の減衰力調整機構42は、前記1〜5段のいずれかの減衰力特性となるようにダンパーの減衰力を調整する。
次に、交差点におけるピッチングモーメントによる車体の変化としてのノーズダイブを抑制するノーズダイブ抑制制御について説明する。
図11は本発明の実施の形態における交差点でのノーズダイブの発生を示す図、図12は本発明の実施の形態における交差点でのノーズダイブによる車体の変化を示す図、図13は本発明の実施の形態における減速度によるサスペンション制御値の変化を示す図、図14は本発明の実施の形態における交差点でのノーズダイブ抑制制御のタイミングを示す図、図15は本発明の実施の形態における交差点でのノーズダイブ抑制制御のサスペンション制御値の例を示す図である。
本実施の形態における交差点制御においては、交差点14の手前及び交差点14内におけるノーズダイブを抑制するノーズダイブ抑制制御のためにノーズダイブ抑制制御値としてのサスペンション制御値を決定する。一般的に、車両11は交差点14に進入する際に該交差点14の手前の直線区間において急激に減速するとともに、図11に示されるように、交差点旋回時においても、横切ろうとする道路を走行してくる他車両や横断歩道を通行する歩行者の存在等によっても減速する。
ここで、車両11が減速する時には、図12に示されるように、車体の前側が沈み込み後側が浮き上がるようにするピッチングモーメントが車体に作用するので、前輪のサスペンションユニット40にはストロークを減少させるような力fd が作用する。そのため、前記サスペンション制御ユニット30は、減速中に前輪のサスペンションユニット40にはストロークを減少させないようにするサスペンション制御値Fs を送信する。すなわち、前記力fd を打ち消すようなサスペンション制御値Fs を送信する。そして、減速度が大きいほどピッチングモーメントが大きくなるので、前記力fd が大きくなる。そのため、交差点制御において前記サスペンション制御ユニット30が出力するサスペンション制御値は、図13に示されるように、減速度が大きいほど大きくなるようにする。
ここで、前記サスペンション制御ユニット30は、図14に示されるように、交差点制御を開始した時点でノーズダイブ抑制制御を開始し、交差点制御を終了した時点でノーズダイブ抑制制御を終了する。なお、図14は、交差点制御が実施中であることを示す交差点制御実施フラグの状態、ノーズダイブ抑制制御のためのサスペンション制御値としてのノーズダイブ制御値、及び、車速の変化の度合としての車速変動量を示し、横軸に距離が採られている。そして、図14から、交差点制御の実施が開始されて交差点制御実施フラグが立てられた(オンになった)時点で、車速変動量に無関係にノーズダイブ抑制制御が開始されてノーズダイブ抑制制御値が出力され、交差点制御実施フラグがオフになった時点でノーズダイブ抑制制御が終了されることが分かる。なお、ノーズダイブ抑制制御の実施中に歩行者の存在等によって急減速が行われて車速が急激に変動した場合、前記サスペンション制御ユニット30はノーズダイブ制御値を増加させる。
この場合、前記サスペンション制御ユニット30は、図15に示されるようにサスペンション制御値としての減衰力を決定し、該減衰力を含む制御命令を作成してサスペンションユニット40に送信する。すなわち、交差点制御が開始されてノーズダイブ抑制制御が開始されると、実際に減速が行われなくても、サスペンション制御値としてのダンパーの減衰力は、例えば、3段に決定される。そして、減速度が大きくなると、ダンパーの減衰力は、例えば、5段に決定される。ここで、前記ダンパーの減衰力の段階は、図4に示される減衰力特性マップに対応するものであり、段階を示す数字が大きいほどダンパーの減衰力を大きくして、ストロークの変化に対する抵抗力を大きくするようになっている。なお、図15に示される前記減衰力の段階の数値も適宜変更することができる。
そして、前記減衰力を含む制御命令を受信したサスペンションユニット40の減衰力調整機構42は、前記減衰力の段階に対応する減衰力特性となるようにダンパーの減衰力を調整する。
次に、ピッチングモーメントによる車体の変化としてのテールスクワットを抑制するテールスクワット抑制制御について説明する。
図16は本発明の実施の形態におけるテールスクワットの発生を示す図、図17は本発明の実施の形態における加速度によるサスペンション制御値の変化を示す図、図18は本発明の実施の形態におけるテールスクワット抑制制御のタイミングを示す図、図19は本発明の実施の形態におけるテールスクワット抑制制御のサスペンション制御値の例を示す図である。
本実施の形態における交差点制御においては、ランプウェイのように複数の道路が合流する点におけるテールスクワットを抑制するテールスクワット抑制制御のためにテールスクワット抑制制御値としてのサスペンション制御値を決定する。一般的に、車両11は、図16に示されるように、高速道路等のランプウェイにおいて本道(本線)に進入する際に、本道を走行中の他の車両の流れに車速を合わせるため、位置11−2において急激に加速する。
ここで、車両11が加速する時には、車体の前側が浮き上がり後側が沈み込むようにするピッチングモーメントが車体に作用するので、後輪のサスペンションユニット40にはストロークを減少させるような力が作用する。そのため、前記サスペンション制御ユニット30は、加速中に後輪のサスペンションユニット40にはストロークを減少させないようにするサスペンション制御値を送信する。すなわち、ストロークを減少させるような力を打ち消すようなサスペンション制御値を送信する。そして、加速度が大きいほどピッチングモーメントが大きくなるので、ストロークを減少させるような力が大きくなる。そのため、交差点制御において前記サスペンション制御ユニット30が出力するサスペンション制御値は、図17に示されるように、加速度が大きいほど大きくなるようにする。
ここで、前記サスペンション制御ユニット30は、図18に示されるように、交差点制御を開始した時点でテールスクワット抑制制御を開始し、交差点制御を終了した時点でテールスクワット抑制制御を終了する。なお、図18は、交差点制御が実施中であることを示す交差点制御実施フラグの状態、ランプウェイか否かを示す道路データ、テールスクワット抑制制御のためのサスペンション制御値としてのテールスクワット制御値、及び、車速の変化の度合としての車速変動量を示し、横軸に距離が採られている。そして、図18から、交差点制御の実施が開始されて交差点制御実施フラグが立てられた(オンになった)時点で、車速変動量とは無関係にテールスクワット抑制制御が開始されてテールスクワット制御値が出力され、交差点制御実施フラグがオフになった時点でテールスクワット抑制制御が終了されることが分かる。なお、テールスクワット抑制制御の実施中に歩行者の存在等によって急減速が行われて車速が急激に変動した場合、前記サスペンション制御ユニット30はテールスクワット制御値を減少させる。
この場合、前記サスペンション制御ユニット30は、図19に示されるようにサスペンション制御値としての減衰力を決定し、該減衰力を含む制御命令を作成してサスペンションユニット40に送信する。すなわち、交差点制御が開始されてテールスクワット抑制制御が開始されると、実際に加速が行われなくても、サスペンション制御値としてのダンパーの減衰力は、例えば、3段に決定される。そして、加速度が大きくなると、ダンパーの減衰力は、例えば、5段に決定される。ここで、前記ダンパーの減衰力の段階は、図4に示される減衰力特性マップに対応するものであり、段階を示す数字が大きいほどダンパーの減衰力を大きくして、ストロークの変化に対する抵抗力を大きくするようになっている。なお、図19に示される前記減衰力の段階の数値も適宜変更することができる。
そして、前記減衰力を含む制御命令を受信したサスペンションユニット40の減衰力調整機構42は、前記減衰力の段階に対応する減衰力特性となるようにダンパーの減衰力を調整する。
次に、車両のサスペンション制御装置10の行う処理について説明する。まず、センサユニット20の行う処理について説明する。
図20は本発明の実施の形態におけるセンサユニットの行う処理の手順を示すフローチャートである。
まず、センサユニット20は、車両情報取得処理を行う。ここで、該車両情報取得処理は、ナビゲーション装置21が出力する車両情報としての走行環境情報、並びに、車速センサ24、ステアリングセンサ25、ウィンカセンサ26、アクセルセンサ27、ブレーキセンサ28、及び、車重センサ29が出力する車両情報としての走行状態情報を取得する処理である。
この場合、前記ナビゲーション装置21は、自車位置としての車両11の現在位置の検出、目的地までの経路の探索、該経路中の走行案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等を行い、地図を表示手段の画面に表示し、前記地図上に車両の現在位置、該現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等を表示する処理、すなわち、基本処理を実行する。そして、該基本処理において、自車位置としての車両11の現在位置、道路データ等に基づいて、車両11が交差点の手前の所定の位置に到達したことを検出し、車両11が交差点に差し掛かると判断すると、前記ナビゲーション装置21は、走行環境認識処理を開始する。該走行環境認識処理は、前記交差点の交差角、道路の車線数等、交差点制御に必要な走行環境情報を演算する処理である。
そして、前記センサユニット20は、制御要素情報としての前記走行環境情報及び走行状態情報をサスペンション制御ユニット30に送信する制御要素情報送信処理を行う。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 車両情報取得処理を行う。
ステップS2 制御要素情報送信処理を行い、処理を終了する。
次に、サスペンション制御ユニット30の行う処理について説明する。
図21は本発明の実施の形態におけるサスペンション制御ユニットの行う処理の手順を示すフローチャートである。
まず、サスペンション制御ユニット30は、サスペンションユニット40が送信する制御状況情報を受信する制御状況情報受信処理を行う。これにより、前記サスペンション制御ユニット30は、上下加速度センサ41の出力するばね上部分の上下方向加速度、及び、減衰力調整機構42、ばねレート調整機構43、車高調整機構44等が行った制御の結果を取得する。
続いて、前記サスペンション制御ユニット30は、センサユニット20からの制御要素情報を受信する制御要素情報受信処理を行う。これにより、前記サスペンション制御ユニット30は、前記交差点の交差角、道路の車線数等の走行環境情報、並びに、車速センサ24、ステアリングセンサ25、ウィンカセンサ26、アクセルセンサ27、ブレーキセンサ28、及び、車重センサ29が出力する走行状態情報を取得する。
続いて、前記サスペンション制御ユニット30は、制御要素情報としての走行環境情報、走行状態情報及び前回の制御結果から最適な制御命令を作成する制御命令作成処理を行い、サスペンションユニット40に対する最適な制御命令を作成する。
続いて、前記サスペンション制御ユニット30は、制御対象ユニットとしての前記サスペンションユニット40に前記制御命令を送信する制御命令送信処理を行う。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS10 制御状況情報受信処理を行う。
ステップS11 制御要素情報受信処理を行う。
ステップS12 制御命令作成処理を行う。
ステップS13 制御命令送信処理を行い、処理を終了する。
次に、図21のステップS12における制御命令作成処理のサブルーチンについて説明する。
図22は本発明の実施の形態における制御命令作成処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、前記サスペンション制御ユニット30は、制御命令作成処理を行う場合、サスペンションユニット40から受信した前記制御状況情報、及び、センサユニット20から受信した制御要素情報に基づいて、実際の道路としての実道路に関する情報と地図データベース等に格納された道路に関する情報との誤差を判定して、該誤差を修正する道路情報修正処理を行う。
次に、前記サスペンション制御ユニット30は、センサユニット20から受信した制御要素情報に基づいて、サスペンションユニット40に送信する制御命令に含まれる交差点制御におけるサスペンション制御値の最適制御値を算出する交差点制御値算出処理を行う。なお、該交差点制御値算出処理は、交差点制御におけるサスペンション制御値を算出するための処理である。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS12−1 道路情報修正処理を行う。
ステップS12−2 交差点制御値算出処理を行い、処理を終了する。
次に、図22のステップS12−2における交差点制御値算出処理のサブルーチンについて説明する。
図23は本発明の実施の形態における交差点制御値算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
この場合、交差点制御値算出処理は、センサユニット20の現在位置更新タイミング毎(100〔ms〕毎)に一回実行される。すなわち、サスペンション制御ユニット30は、前記現在位置更新タイミング毎に交差点制御値算出処理を繰り返して実行する。
まず、前記サスペンション制御ユニット30は、車両11の現時位置が、図1に示されるような交差点制御実施領域15内にあるか否かを判定する交差点領域判定処理を行う。なお、本実施の形態において、前記サスペンション制御ユニット30は、交差点領域判定処理において、ノーズダイブ抑制制御のためのサスペンション制御値としてのノーズダイブ抑制制御値を決定するノーズダイブ抑制制御値決定処理も行うようになっている。
続いて、前記サスペンション制御ユニット30は、交差点旋回時のロール抑制制御を判定するロール抑制制御判定処理を行う。
続いて、前記サスペンション制御ユニット30は、車両11が高速道路等のランプウェイから本道に進入するか否かを判定するランプウェイ進入判定処理を行う。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS12−2−1 交差点領域判定処理を行う。
ステップS12−2−2 ロール抑制制御判定処理を行う。
ステップS12−2−3 ランプウェイ進入判定処理を行い、処理を終了する。
次に、図23のステップS12−2−1における交差点領域判定処理のサブルーチンについて説明する。
図24は本発明の実施の形態における交差点領域判定処理のサブルーチンを示す図である。
まず、サスペンション制御ユニット30は、案内交差点領域フラグ、分岐点領域フラグ及び交差点退出領域フラグを初期化してオフにする。ここで、案内交差点とは、ナビゲーション装置21が経路中の走行案内、すなわち、経路案内の対象となる交差点であり、該交差点における前記交差点制御実施領域15が案内交差点領域である。また、分岐点とは案内交差点以外の交差点やその他の道路が分岐する点であり、前記分岐点における前記交差点制御実施領域15が分岐点領域である。そして、交差点退出領域とは、前記案内交差点又は分岐点における交差点制御実施領域15を車両11が通過した、すなわち、退出したことを示す領域である。
続いて、前記サスペンション制御ユニット30は、車両11の前方90〔m〕以内に案内交差点があるか否かを判断する。そして、案内交差点がある場合、車両11の現在位置が案内交差点領域内にあるとして、案内交差点領域フラグを立てて、すなわち、オンにして、ノーズダイブ抑制制御値決定処理を行う。
また、案内交差点がない場合、前記サスペンション制御ユニット30は、車両11の前方90〔m〕以内に分岐点があるか否かを判断する。そして、分岐点がある場合、車両11の現在位置が分岐点領域内にあるとして、分岐点領域フラグをオンにして、ノーズダイブ抑制制御値決定処理を行う。
さらに、分岐点がない場合、前記サスペンション制御ユニット30は、車両11の後方40〔m〕以内に案内交差点又は分岐点があるか否かを判断する。そして、案内交差点又は分岐点がある場合、車両11の現在位置が交差点退出領域内にあるとして、交差点退出領域フラグをオンにして、ノーズダイブ抑制制御値判定処理を行う。なお、車両11の後方40〔m〕以内に案内交差点又は分岐点がない場合、交差点領域判定処理を終了する。
なお、前記距離90〔m〕及び40〔m〕は、交差点制御実施領域15を前述されたように交差点前90〔m〕及び交差点後30〔m〕の区間に設定した場合の距離であり、交差点制御実施領域15の区間の距離に応じて変更される。また、交差点退出領域内であるか否かを判断する距離を40〔m〕としたのは、交差点制御実施領域15である交差点後30〔m〕の区間を脱出したことを確実にするためである。
そして、前記サスペンション制御ユニット30は、ノーズダイブ抑制制御値決定処理を行い、案内交差点又は分岐点に進入する時の車速に基づいてノーズダイブ抑制制御値を決定する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS12−2−1−1 案内交差点領域フラグ、分岐点領域フラグ及び交差点退出領域フラグを初期化してオフにする。
ステップS12−2−1−2 前方90〔m〕以内に案内交差点があるか否かを判断する。前方90〔m〕以内に案内交差点がある場合はステップS12−2−1−3に進み、前方90〔m〕以内に案内交差点がない場合はステップS12−2−1−4に進む。
ステップS12−2−1−3 案内交差点領域フラグをオンにする。
ステップS12−2−1−4 前方90〔m〕以内に分岐点があるか否かを判断する。前方90〔m〕以内に分岐点がある場合はステップS12−2−1−5に進み、前方90〔m〕以内に分岐点がない場合はステップS12−2−1−6に進む。
ステップS12−2−1−5 分岐点領域フラグをオンにする。
ステップS12−2−1−6 後方40〔m〕以内に案内交差点又は分岐点があるか否かを判断する。後方40〔m〕以内に案内交差点又は分岐点がある場合はステップS12−2−1−7に進み、後方40〔m〕以内に案内交差点又は分岐点がない場合は処理を終了する。
ステップS12−2−1−7 交差点退出領域フラグをオンにする。
ステップS12−2−1−8 ノーズダイブ抑制制御値決定処理を行い、処理を終了する。
次に、図23のステップS12−2−2におけるロール抑制制御判定処理のサブルーチンについて説明する。
図25は本発明の実施の形態におけるロール抑制制御判定処理のサブルーチンを示す図である。
まず、サスペンション制御ユニット30は、案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、案内交差点領域フラグがオンである場合、走行環境情報に含まれる案内交差点の交差角及び車線数を取得し、ロール抑制制御値決定処理を行う。
また、案内交差点領域フラグがオンでない場合、前記サスペンション制御ユニット30は、分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、分岐点領域フラグがオンである場合、走行環境情報には交差角及び車線数が含まれないので、前記交差角及び車線数を推定し、ロール抑制制御値決定処理を行う。なお、分岐点領域フラグがオンでない場合、ロール抑制制御判定処理を終了する。
そして、前記サスペンション制御ユニット30は、ロール抑制制御値決定処理を行い、前記交差角及び車線数に基づいてロール抑制制御値を決定する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS12−2−2−1 案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断する。案内交差点領域フラグがオンである場合はステップS12−2−2−2に進み、案内交差点領域フラグがオンでない場合はステップS12−2−2−3に進む。
ステップS12−2−2−2 案内交差点の交差角及び車線数情報を取得する。
ステップS12−2−2−3 分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。分岐点領域フラグがオンである場合はステップS12−4−2−4に進み、案内交差点領域フラグがオンでない場合は処理を終了する。
ステップS12−2−2−4 分岐点の交差角及び車線数情報を推定する。
ステップS12−2−2−5 ロール抑制制御値決定処理を行い、処理を終了する。
次に、図23のステップS12−2−3におけるランプウェイ進入判定処理のサブルーチンについて説明する。
図26は本発明の実施の形態におけるランプウェイ進入判定処理のサブルーチンを示す図である。
まず、サスペンション制御ユニット30は、案内交差点領域フラグ又は分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、案内交差点領域フラグ又は分岐点領域フラグがオンである場合、車両11の現在位置が高速道路のランプウェイであるか否かを判断する。なお、前記案内交差点領域フラグも分岐点領域フラグもオンでない場合、ランプウェイ進入判定処理を終了する。
続いて、車両11の現在位置が高速道路のランプウェイである場合、前記サスペンション制御ユニット30は、案内交差点又は分岐点の先が高速道路の本道であるか否かを判断する。なお、車両11の現在位置が高速道路のランプウェイでない場合、ランプウェイ進入判定処理を終了する。
続いて、案内交差点又は分岐点の先が高速道路の本道である場合、前記サスペンション制御ユニット30は、ランプウェイ領域フラグをオンにする。なお、案内交差点又は分岐点の先が高速道路の本道でない場合、ランプウェイ進入判定処理を終了する。
そして、前記サスペンション制御ユニット30は、ランプウェイ領域フラグをオンにした後、テールスクワット抑制制御値決定処理を行い、テールスクワット抑制制御値を決定する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS12−2−3−1 案内交差点領域フラグ又は分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。案内交差点領域フラグ又は分岐点領域フラグがオンである場合はステップS12−2−3−2に進み、案内交差点領域フラグ又は分岐点領域フラグがオンでない場合は処理を終了する。
ステップS12−2−3−2 現在位置が高速道路のランプウェイであるか否かを判断する。現在位置が高速道路のランプウェイである場合はステップS12−2−3−3に進み、現在位置が高速道路のランプウェイでない場合は処理を終了する。
ステップS12−2−3−3 案内交差点又は分岐点の先が高速道路の本道であるか否かを判断する。案内交差点又は分岐点の先が高速道路の本道である場合はステップS12−2−3−4に進み、案内交差点又は分岐点の先が高速道路の本道でない場合は処理を終了する。
ステップS12−2−3−4 ランプウェイ領域フラグをオンにする。
ステップS12−2−3−5 テールスクワット抑制制御値決定処理を行い、処理を終了する。
次に、サスペンションユニット40の行う処理について説明する。
図27は本発明の実施の形態におけるサスペンションユニットの行う処理の手順を示すフローチャートである。
まず、サスペンションユニット40は、サスペンション制御ユニット30からの制御命令等の情報を受信する制御命令情報受信処理を行う。続いて、前記サスペンションユニット40は、制御実施処理を行い、制御命令に従った制御を行う。そして、前記サスペンションユニット40は、上下加速度センサ41等の各種のセンサが検出した制御結果を含む制御状況情報をサスペンション制御ユニット30に送信する制御状況情報送信処理を行う。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 制御命令情報受信処理を行う。
ステップS22 制御実施処理を行う。
ステップS23 制御状況情報送信処理を行い、処理を終了する。
次に、図27のステップS22における制御実施処理のサブルーチンについて説明する。
図28は本発明の実施の形態における制御実施処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、前記サスペンションユニット40は、交差点進入時のノーズダイブ抑制制御を実施するノーズダイブ抑制制御実施処理を行い、ロール抑制制御実施切替判定を行い、交差点進入時のロール抑制制御を実施するロール抑制制御実施処理を行い、高速道路の合流でテールスクワット抑制制御を実施するテールスクワット抑制制御実施処理を行う。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS22−1 ノーズダイブ抑制制御実施処理を行う。
ステップS22−1’ ロール抑制制御実施切替判定を行う。切替を行わない場合には、ノーズダイブ抑制制御実施処理を継続する。
ステップS22−2 ロール抑制制御実施処理を行う。
ステップS22−3 テールスクワット抑制制御実施処理を行い、処理を終了する。
次に、図28のステップS22−1におけるノーズダイブ抑制制御実施処理のサブルーチンについて説明する。
図29は本発明の実施の形態におけるノーズダイブ抑制制御実施処理のサブルーチンを示す図である。
まず、前記サスペンションユニット40は、ランプウェイ領域フラグがオフであるか否かを判断する。そして、高速道路への合流進入時にはノーズダイブ抑制制御を実施しないので、ランプウェイ領域フラグがオフでない、すなわち、オンである場合、ノーズダイブ抑制制御実施処理を終了する。
また、ランプウェイ領域フラグがオフである場合、前記サスペンションユニット40は案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、案内交差点領域フラグがオンである場合、ブレーキペダルが作動していることをブレーキセンサ28が検出しているか、すなわち、ブレーキがオンであるか否かを判断する。
ここで、ブレーキがオンである場合、交差点進入時に減速が行われているので、前記サスペンションユニット40は、ノーズダイブ抑制制御を実施する。例えば、減衰力調整機構42によってストロークを制御する場合、前輪のサスペンションユニット40の減衰力調整機構42は、ノーズダイブ抑制制御値としての減衰力特性となるように、ダンパーを調整する。
なお、案内交差点領域フラグがオンでない場合、前記サスペンションユニット40は分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、分岐点領域フラグがオンである場合、ウィンカが作動していることをウィンカセンサ26が検出しているか、すなわち、ウィンカがオンであるか否かを判断する。ここで、ウィンカがオンである場合、前述されたように、ブレーキがオンであるか否かを判断する。
また、分岐点領域フラグがオンでない場合、前記サスペンションユニット40は交差点退出領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、交差点退出領域フラグがオンでない場合、ノーズダイブ抑制制御実施処理を終了する。また、交差点退出領域フラグがオンである場合、前記サスペンションユニット40は前回の現在位置更新タイミングにおけるノーズダイブ抑制制御が実施中であるか否かを判断する。そして、実施中である場合、ノーズダイブ抑制制御を実施し、実施中でない場合、ノーズダイブ抑制制御実施処理を終了する。
なお、ウィンカがオンであるか否かを判断してウィンカがオンでないと判断した場合、前記サスペンションユニット40は前回の現在位置更新タイミングにおけるノーズダイブ抑制制御が実施中であるか否かを判断する。また、ブレーキがオンであるか否かを判断してブレーキがオンでないと判断した場合も、前記サスペンションユニット40は前回の現在位置更新タイミングにおけるノーズダイブ抑制制御が実施中であるか否かを判断する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS22−1−1 ランプウェイ領域フラグがオフであるか否かを判断する。ランプウェイ領域フラグがオフである場合はステップS22−1−2に進み、ランプウェイ領域フラグがオフでない場合は処理を終了する。
ステップS22−1−2 案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断する。案内交差点領域フラグがオンである場合はステップS22−1−6に進み、案内交差点領域フラグがオンでない場合はステップS22−1−3に進む。
ステップS22−1−3 分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。分岐点領域フラグがオンである場合はステップS22−1−4に進み、分岐点領域フラグがオンでない場合はステップS22−1−5に進む。
ステップS22−1−4 ウィンカがオンであるか否かを判断する。ウィンカがオンである場合はステップS22−1−6に進み、ウィンカがオンでない場合はステップS22−1−7に進む。
ステップS22−1−5 交差点退出領域フラグがオンであるか否かを判断する。交差点退出領域フラグがオンである場合はステップS22−1−7に進み、交差点退出領域フラグがオンでない場合は処理を終了する。
ステップS22−1−6 ブレーキがオンであるか否かを判断する。ブレーキがオンである場合はステップS22−1−8に進み、ブレーキがオンでない場合はステップS22−1−7に進む。
ステップS22−1−7 前回のノーズダイブ抑制制御実施中であるか否かを判断する。前回のノーズダイブ抑制制御を実施中である場合はステップS22−1−8に進み、前回のノーズダイブ抑制制御を実施中でない場合は処理を終了する。
ステップS22−1−8 ノーズダイブ抑制制御を実施して処理を終了する。
次に、図28のステップS22−1’におけるロール抑制制御実施切替判定のサブルーチンについて説明する。
図30は本発明の実施の形態におけるロール抑制制御実施切替判定のサブルーチンを示す図である。
まず、前記サスペンションユニット40は、ランプウェイ近接フラグがオンであるか否かを判断する。そして、オンである場合には、ロール抑制制御に切り替える。また、オフである場合には、前記サスペンションユニット40は案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、案内交差点領域フラグがオンである場合、ブレーキがオンからオフに切り替わったか否かを判断する。そして、切り替わった場合、前記サスペンションユニット40はロール抑制制御に切り替えて処理を終了する。
ここで、案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断してオンでない場合、前記サスペンションユニット40は分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、分岐点領域フラグがオンである場合、案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断する。また、分岐点領域フラグがオンでない場合、前記サスペンションユニット40はノーズダイブ抑制制御を継続するようにして処理を終了する。
なお、ブレーキがオンからオフに切り替わったか否かを判断して切り替わっていない場合、前記サスペンションユニット40は車速が10〔km/h〕以下であるか否かを判断する。そして、10〔km/h〕以下である場合、前記サスペンションユニット40はロール抑制制御に切り替えて処理を終了する。また、10〔km/h〕以下でない場合、前記サスペンションユニット40はノーズダイブ抑制制御を継続するようにして処理を終了する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS22−1’−1 ランプウェイ近接フラグがオンであるか否かを判断する。ランプウェイ近接フラグがオンである場合はステップS22−1’−6に進み、ランプウェイ近接フラグがオンでない場合はステップS22−1’−2に進む。
ステップS22−1’−2 案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断する。案内交差点領域フラグがオンである場合はステップS22−1’−4に進み、案内交差点領域フラグがオンでない場合はステップS22−1’−3に進む。
ステップS22−1’−3 分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。分岐点領域フラグがオンである場合はステップS22−1’−4に進み、分岐点領域フラグがオンでない場合はステップS22−1’−5に進む。
ステップS22−1’−4 ブレーキがオンからオフに切り替わったか否かを判断する。切り替わった場合はステップS22−1’−6に進み、切り替わっていない場合はステップS22−1’−5に進む。
ステップS22−1’−5 車速が10〔km/h〕以下であるか否かを判断する。10〔km/h〕以下である場合はステップS22−1’−6に進み、10〔km/h〕以下でない場合はステップS22−1’−7に進む。
ステップS22−1’−6 ロール抑制制御に切り替えて処理を終了する。
ステップS22−1’−7 ノーズダイブ抑制制御を継続するようにして処理を終了する。
次に、図28のステップS22−2におけるロール抑制制御実施処理のサブルーチンについて説明する。
図31は本発明の実施の形態におけるロール抑制制御実施処理のサブルーチンを示す図である。
まず、前記サスペンションユニット40は、ランプウェイ領域フラグがオフであるか否かを判断する。そして、高速道路への合流進入時にはロール抑制制御を実施しないので、ランプウェイ領域フラグがオフでない、すなわち、オンである場合、ヨー制御実施処理を終了する。
また、ランプウェイ領域フラグがオフである場合、前記サスペンションユニット40は案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、案内交差点領域フラグがオンである場合、ブレーキペダルが作動していることをブレーキセンサ28が検出しているか、すなわち、ブレーキがオンであるか否かを判断する。
ここで、ブレーキがオンである場合、交差点進入時に減速が行われているので、前記サスペンションユニット40は、ロール抑制制御を実施する。例えば、減衰力調整機構42によってストロークを制御する場合、サスペンションユニット40の減衰力調整機構42は、ロール抑制制御値としての減衰力特性となるように、ダンパーを調整する。
なお、案内交差点領域フラグがオンでない場合、前記サスペンションユニット40は分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、分岐点領域フラグがオンである場合、ウィンカが作動していることをウィンカセンサ26が検出しているか、すなわち、ウィンカがオンであるか否かを判断する。ここで、ウィンカがオンである場合、前述されたように、ブレーキがオンであるか否かを判断する。
また、分岐点領域フラグがオンでない場合、前記サスペンションユニット40は交差点退出領域フラグがオンであるか否かを判断する。そして、交差点退出領域フラグがオンである場合、前記サスペンションユニット40は前回の現在位置更新タイミングにおけるロール抑制制御が実施中であるか否かを判断する。そして、実施中である場合、ロール抑制制御を実施し、実施中でない場合、ロール抑制制御実施処理を終了する。
なお、ウィンカがオンであるか否かを判断してウィンカがオンでないと判断した場合、前記サスペンションユニット40は前回の現在位置更新タイミングにおけるロール抑制制御が実施中であるか否かを判断する。また、ブレーキがオンであるか否かを判断してブレーキがオンでないと判断した場合も、前記サスペンションユニット40は前回の現在位置更新タイミングにおけるロール抑制制御が実施中であるか否かを判断する。
さらに、交差点退出領域フラグがオンであるか否かを判断して、交差点退出領域フラグがオンでない場合、前記サスペンションユニット40はジャイロセンサ22が車両11の旋回を検出している、すなわち、ジャイロ旋回中であるか否かを判断する。そして、ジャイロ旋回中である場合、前回の現在位置更新タイミングにおけるロール抑制制御が実施中であるか否かを判断し、ジャイロ旋回中でない場合、ヨー制御実施処理を終了する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS22−2−1 ランプウェイ領域フラグがオフであるか否かを判断する。ランプウェイ領域フラグがオフである場合はステップS22−2−2に進み、ランプウェイ領域フラグがオフでない場合は処理を終了する。
ステップS22−2−2 案内交差点領域フラグがオンであるか否かを判断する。案内交差点領域フラグがオンである場合はステップS22−2−6に進み、案内交差点領域フラグがオンでない場合はステップS22−2−3に進む。
ステップS22−2−3 分岐点領域フラグがオンであるか否かを判断する。分岐点領域フラグがオンである場合はステップS22−2−4に進み、分岐点領域フラグがオンでない場合はステップS22−2−5に進む。
ステップS22−2−4 ウィンカがオンであるか否かを判断する。ウィンカがオンである場合はステップS22−2−6に進み、ウィンカがオンでない場合はステップS22−2−8に進む。
ステップS22−2−5 交差点退出領域フラグがオンであるか否かを判断する。交差点退出領域フラグがオンである場合はステップS22−2−8に進み、交差点退出領域フラグがオンでない場合は処理をステップS22−2−7に進む。
ステップS22−2−6 ブレーキがオンであるか否かを判断する。ブレーキがオンである場合はステップS22−2−9に進み、ブレーキがオンでない場合はステップS22−2−8に進む。
ステップS22−2−7 ジャイロ旋回中であるか否かを判断する。ジャイロ旋回中である場合はステップS22−2−8に進み、ジャイロ旋回中でない場合は処理を終了する。
ステップS22−2−8 前回のロール抑制制御実施中であるか否かを判断する。前回のロール抑制制御実施中である場合はステップS22−2−9に進み、前回のロール抑制制御実施中でない場合は処理を終了する。
ステップS22−2−9 ヨー制御実施処理を行い、処理を終了する。
次に、図28のステップS22−3におけるテールスクワット抑制制御実施処理のサブルーチンについて説明する。
図32は本発明の実施の形態におけるテールスクワット抑制制御実施処理のサブルーチンを示す図である。
この場合、前記サスペンションユニット40は、ランプウェイ領域フラグがオフであるか否かを判断する。そして、ランプウェイ領域フラグがオンである場合、テールスクワット抑制制御を実施する。例えば、減衰力調整機構42によってストロークを制御する場合、後輪のサスペンションユニット40の減衰力調整機構42は、テールスクワット抑制制御値としての減衰力特性となるように、ダンパーを調整する。なお、ランプウェイ領域フラグがオンでない場合、テールスクワット抑制制御実施処理を終了する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS22−3−1 ランプウェイ領域フラグがオンであるか否かを判断する。ランプウェイ領域フラグがオンである場合はステップS22−3−2に進み、ランプウェイ領域フラグがオンでない場合は処理を終了する。
ステップS22−3−2 テールスクワット抑制制御実施処理を行い、処理を終了する。
このように、本実施の形態において、サスペンション制御ユニット30は、交差点14等の道路12の分岐点の交差角と車線数又は道幅に応じてサスペンション制御値を決定し、ロール抑制制御を行うようになっている。そのため、交差点14において右左折する際の車両11の軌跡の曲率に応じて、適切な交差点旋回時のロール抑制制御を行うことができる。
また、前記サスペンション制御ユニット30は、車両11が交差点14に進入する時にノーズダイブ抑制制御を行うので、車両11が減速しても、車体の前側が沈み込むことが防止される。
さらに、前記サスペンション制御ユニット30は、車両11がランプウェイから高速道路の本道に進入する時にテールスクワット抑制制御を行うので、車両11が加速しても、車体の後側が沈み込むことが防止される。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。