JP4038904B2 - 噴流はんだ付装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、噴流はんだ付装置に係り、詳しくは、電子部品等を搭載した基板をはんだ噴流に接触させて電子部品等をはんだ付けするための噴流はんだ付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント基板に代表されるように電子部品を実装した回路基板において、電子部品をはんだ付けする際に、噴流はんだ付装置が用いられている。この噴流はんだ付装置は、電子部品を搭載したプリント基板を噴流はんだ槽に搬送してはんだ噴流に接触させることによりはんだ付けを行うものである。このプリント基板の搬送はチェーンコンベアを用いて行っていたが、最近ではロボットアームを用いて基板の搬送を行うことも考えられている(例えば、特開平7−288380号公報)。つまり、ロボートアームの先に基板を把持するチャック機構を設け、自由度および精度の高い搬送を可能とし、良好なはんだ付けを実現している。
【0003】
このロボットを用いた噴流はんだ付装置に関し、より詳しくは、前述の特開平7−288380号公報においては、基板が溶融はんだの層流波部分へ水平方向もしくは水平方向に対して若干の角度をもって浸漬および引き上げられる動作と基板の回転動作を交互に繰り返し、四角形の基板での4辺に直交する方向からの浸漬および引き上げを行うようにしている。これにより、はんだ付け動作において基板の進行方向側の被はんだ付部は、進行方向に対して後ろ側および横側の被はんだ付部より溶融はんだによる圧力が高く、はんだ付着の確率が高いので、良好なはんだ付けを行うことができる。
【0004】
しかしながら、 上記公報に開示された技術を実際に量産化のための装置に適用する場合に次のような改良の余地があることが分かった。基板を把持するチャック機構は、略コ字状のチャック爪を両側より互いに接近・離間させ、四角形の基板における対向する辺を把持・開放を行うようになっているが、基板の4辺に直交する方向からの浸漬および引き上げを行う時に基板の「はんだかぶり」が発生しやすい。つまり、基板がはんだ波をかぶってしまう。また、この基板のはんだかぶりを防止するためには、4辺に直交する方向からチャック爪を互いに接近・離間させ、四角形の基板での4つ辺を全て把持・開放を行わなければならず、はんだ付けを行おうとする基板の大きさが変わった場合には基板サイズに適合したチャック爪に交換する必要があり、手間がかかる。さらに、はんだかぶりを防止するために、はんだかぶり防止治具を使用すると、同様に手間がかかってしまい、特に、はんだ付けを行おうとする基板サイズの種類が増えるほど一層顕著なものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記のような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、サイズの異なる基板に対してはんだかぶりを容易に回避しつつ、基板の多方向からのはんだ噴流への接触を行わせることができる噴流はんだ付装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のように、チャック用アクチュエータにより基板を挟持した状態において搬送手段により第1または第2の爪を進行方向の前側に位置させた状態で基板を噴流はんだ槽のはんだ噴流に接触させるとともにはんだ噴流から引き上げた後、チャック用アクチュエータにより第1および第2の爪による基板の挟持を開放し、それまで保持していた基板の辺とは違う辺を第1および第2の爪により保持し基板の多方向からのはんだ噴流への接触を行わせる。
【0007】
このように、基板の多方向からのはんだ噴流への接触を行わせるために、基板のつかみ替えを行うという方式を採用し、かつ、基板のはんだ噴流への接触を行わせる際に、第1または第2の爪は基板の進行方向での前側の辺の全域にわたり延設されており、第1または第2の爪により基板の進行方向の前側がマスクされる。よって、基板のはんだかぶり(基板がはんだ波をかぶってしまうこと)を、はんだかぶり防止治具を用いることなく防止できる。
【0008】
また、第1と第2の爪の長さよりも短い辺を有する基板に対してはんだ付けする際も同様に対処できる。つまり、サイズの異なる基板(辺の長さの異なる基板)をはんだ付けする際も爪の交換は不要となる。
【0009】
このようにして、サイズの異なる基板に対してはんだかぶりを容易に回避しつつ、基板の多方向からのはんだ噴流への接触を行わせることができることとなる。
【0011】
また、保持していた基板の辺とは違う辺を第1および第2の爪により保持を行う際に、第1および第2の爪へのはんだの付着があると、第1および第2の爪の交換を行うようにすると、爪へのはんだ付着による不具合、例えば、はんだの噛み込みを回避することができる。
【0012】
ここで、爪へのはんだの付着を、第1と第2の爪の距離を検出する距離センサを用いて目標ストローク量と実際のストローク量により判定するようにすると、爪へのはんだ付着を確実に検出できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。
図1には、本実施の形態における噴流はんだ付装置の平面図を示す。図2には、噴流はんだ付装置の正面図を示す。
【0014】
図2において床面にはロボット1が設置され、ロボット1はアーム2を有し、その先端部にはチャック機構3が設けられている。このチャック機構3によりプリント基板4が把持できる。ロボットアーム2は、向きを変えたり(図1のX1で示す)、チャック機構3の離間距離を変えたり(図2のX2で示す)、チャック機構3の高さを変えたり(図2のX3で示す)、チャック機構3の向きを変えたり(図1のX4で示す)することができる。このように、ロボットアーム2はチャック機構3を所望の位置に所望の向きで搬送する搬送手段を構成している。
図1において、ロボット1の周りの床面には噴流はんだ槽5が配置されるとともに、ロボット1の周りにつかみ替え部6、チャック爪の清掃機構である爪清掃部(ブラシ装置)7、爪回収部8、および爪交換部9が形成されている。
【0015】
図3には、ロボットアーム2の先端に設けられるチャック機構3の縦断面図を示す。チャック機構3は、第1の爪17と第2の爪26を有し、チャック用アクチュエータとしてのモータ12により爪17,26を接近および離間する方向に移動して、爪17,26の接近によるプリント基板4の挟持および爪17,26の離間によるプリント基板4の挟持開放を行うことができるようになっている。
ここで、第1の爪17は四角形をなすプリント基板4の1つの辺を保持するためのものであり、第2の爪26は第1の爪17による挟持対象となる辺とは対向する辺を保持するためのものであり、爪17,26は挟持対象の辺の全域にわたり延設される。
【0016】
チャック機構3に関し詳しくは、メインフレーム10がロボットアーム2に取り付けられている。メインフレーム10は平行板部10a,10bを備え、平行板部10a,10bには第1の爪用フレーム11が水平方向にスライド可能に支持されている。第1の爪用フレーム11にはチャック爪開閉用モータ12が固定され、モータ12の出力軸には送りネジ13が固定され、この送りネジ13はメインフレーム10に形成したネジ孔14に螺着されている。そして、モータ12の出力軸を正方向に回転することにより第1の爪用フレーム11が図中Y1方向に移動し、モータ12の出力軸を逆方向に回転することにより第1の爪用フレーム11が図中Y2方向に移動する。チャック爪開閉用モータ12として、本例ではACサーボモータを用いている。
【0017】
なお、第1の爪用フレーム11にはガイドレール15が設けられるとともにメインフレーム10にはガイドブロック16が設けられ、第1の爪用フレーム11はガイドレール15とガイドブロック16にて案内されながら移動する。
【0018】
第1の爪用フレーム11の先端部には第1の爪17が着脱可能に支持されている。詳しくは、第1の爪17にはガイドピン18が突設され、このガイドピン18が第1の爪用フレーム11の先端のガイド孔19に嵌入されている。また、第1の爪用フレーム11の先端部にはフック20が軸21により回動可能に支持され、バネ22により図中Z1方向に付勢されている。このフック20の爪20aが第1の爪17の側面の凹部23に嵌合して第1の爪17が第1の爪用フレーム11から脱落しないようになっている。
【0019】
メインフレーム10における平行板部10a,10bの間には第2の爪用フレーム24が配置され、第2の爪用フレーム24は平行板部10a,10bの間に架設されたシャフト25により水平方向に移動可能に支持されている。第2の爪用フレーム24の先端部には第2の爪26が着脱可能に支持されている。詳しくは、第2の爪26にはガイドピン27が突設され、このガイドピン27が第2の爪用フレーム24の先端のガイド孔28に嵌入されている。また、第2の爪用フレーム24の先端部にはフック29が軸30により回動可能に支持され、バネ31により図中Z2方向に付勢されている。このフック29の爪29aが第2の爪26の側面の凹部32に嵌合して第2の爪26が第2の爪用フレーム24から脱落しないようになっている。
【0020】
また、メインフレーム10の平行板部10a,10bの間において、平行板部10bと第2の爪用フレーム24との間にはバネ33が配置され、このバネ33により第2の爪用フレーム24が図中W1方向に付勢されている。
【0021】
一方、第1の爪17は断面形状がL字状をなし、先端部には凹部34が形成されている。同様に、第2の爪26は断面形状がL字状をなし、先端部には凹部35が形成され、第1の爪17の凹部34と対向している。そして、図4に示すように、第1の爪17の凹部34と第2の爪26の凹部35との間にプリント基板4を挟むことができるようになっている。また、第1の爪17の凹部34と第2の爪26の凹部35との間にプリント基板4を挟んだ状態において、第2の爪用フレーム24とメインフレームの平行板部10aの間には隙間36が形成される。
【0022】
つまり、本装置においては、プリント基板4の実際の幅寸法よりも若干狭い(例えば2mm狭い)寸法を目標値として爪17,26の間に基板4を挟み込み、所定の隙間36を形成する。より具体的に例示するならば、例えば基板の幅寸法(単位はmm)をdとするならば、(d−2)mmで図3の爪間隔を設定し、図4の状態で2mmの隙間36を作る。
【0023】
図3において、第2の爪用フレーム24の上面にはL字形取付け部材37が固定され、この取付け部材37に距離センサ38が取付けられている。距離センサ38により同センサ38からメインフレームの平行板部10bまでの距離Lが測定される。この距離Lは図4の隙間36の距離に対応する値であり、基板4を爪17,26により挟持した時にできる隙間36の距離を求めていることになる。このとき、爪17,26の凹部34,35に異物噛み込みがあると、隙間36は噛み込み分だけ広くなりセンサ38による測定値Lは所定値(閾値)より小さくなる。このように、距離センサ38は第1と第2の爪17,26の距離を検出するためのものであり、目標ストローク量と実際のストローク量を比較するために使用される。
【0024】
図5には、図1のつかみ替え部6の平面図を示す。また、図5のA−A断面を図6に示す。
図5,6において、台40の上には4つのスライド用ベース材41,42,43,44が放射状に、かつ、90°毎に配置されている。各スライド用ベース材41〜44は水平部45と立設部46,47を有し、立設部46と47の間には2本のガイドレール48,49が平行に架設されている。この2本のガイドレール48,49にはスライド用ベース材毎に爪50a,50b,50c,50dが摺動可能に支持されている。各スライド用ベース材41〜44の立設部46にはモータ51がそれぞれ固定され、各モータ51の出力軸には送りネジ52がそれぞれ固定されている。この送りネジ52が爪50a,50b,50c,50dと螺着され、各モータ51の駆動にて爪50a,50b,50c,50dを個別に移動させることができるようになっている。
【0025】
ここで、爪50aと爪50cとが対向配置されるとともに、爪50bと爪50dとが対向配置されている。そして、モータ駆動により対向する爪50a,50cを接近および離間させる方向に移動できるとともに、爪50b,50dを接近および離間させる方向に移動できるようになっている。
【0026】
また、爪50a,50b,50c,50dの先端部には凹部53がそれぞれ形成され、4つの爪50a,50b,50c,50dのうちの対向する2つの爪(50aと50c、50bと50d)の間にプリント基板4を把持することができる。
【0027】
図7には、図1の爪清掃部(ブラシ装置)7の縦断面図を示す。床面にはブラシ装置のケーシング60が配置され、ケーシング60内に回転ブラシ駆動モータ61が収納されている。ケーシング60の上面にはブラシボディ62が配置され、ブラシボディ62はモータ61の出力軸に固定されている。ブラシボディ62は水平プレート部63と円柱部64を有し、円柱部64の外周面および水平プレート部63の上面にはブラシ65が設けられている。そして、図8に示すように、ブラシボディ62が回転しているときに爪17,26を持ってくることにより凹部34,35の内周面および爪17,26の下面に着いたはんだを除去することができるようになっている。
【0028】
また、図7において、ケーシング60の上面においてブラシボディ62の周りには除去したはんだが飛散しないようにプレート66が設けられている。
図9には、図1の噴流はんだ槽5の拡大図を示す。噴流はんだ槽5において噴流管70は上向きに配置され、その先端開口部にはトレイ71が設けられている。トレイ71は、平面形状が方形状をなし、断面形状としては噴流管70の開口部よりも図9の右側は水平方向に延び、左側は斜め下方に延びている。そして、噴流管70から溶融はんだ72が上方に向けて噴流として送り込まれ、トレイ71中で図中の右側において水平面を形成するとともに、図中の左側から溶融はんだ72が流れ落ちる。
【0029】
図1において、爪回収部8にはフック解除用アクチュエータ80,81が設置され、フック解除用アクチュエータ80,81からはロッド80a,80bが出没可能となっている。このアクチュエータ80,81のロッド80a,80bが図3の一点鎖線で示す状態から伸長することにより、フック20,29が回動動作して、フック20,29による爪17,26の規制が解かれ、爪17,26がフレーム11,24から分離するようになっている。
【0030】
また、図1における爪交換部9には、図3の爪17,26に対する交換用の爪17’,26’が用意されている。
次に、このように構成した噴流はんだ付装置の作用を、図10〜図16を用いて説明する。
【0031】
図10〜図16は、つかみ替え部6での4つの爪50a,50b,50c,50d、およびチャック機構3の爪17,26の位置関係を示す平面図であり、プリント基板4の把持状況を説明するためのものである。つかみ替え部6において、図10に示すように、4つの爪50a,50b,50c,50dは最も離間した位置をホームポジション(待機位置)としている。ここで、四角形をなすプリント基板4における4つの辺をS1,S2,S3,S4としたとき、チャック機構3の爪17,26の長さは、辺S1〜S4のいずれに対してもその長さ以上である。
【0032】
作用説明に入り、まず、ロボット1はアーム2の先端のチャック機構3を、プリント基板4の仮置き場に搬送してチャック機構3のモータ12により爪17,26にて基板4の辺S2,S4(図10参照)を把持する。このプリント基板4は電子部品等が搭載され、電極部等に,はんだ付けを行う被はんだ付物である。そして、ロボットアーム2の動作により、プリント基板4を噴流はんだ槽5のはんだ噴流72に浸漬する。詳しくは、図9に示すように、基板4を水平方向に対し少し上向きにした状態で、噴流はんだ槽5の左側から溶融はんだ72に入れ、右側の水平面を形成したはんだ72の中を通り、右端まで搬送し、搬送方向を逆にして左側に搬送して(逆送りして)、噴流はんだ槽5の左側の溶融はんだ72から抜く。つまり、プリント基板4を左側から入れ、右方向に移動し、搬送の向きを変え今度は左方向に移動し(左右方向に一往復し)溶融はんだ72から引き上げる。なお、基板4のはんだへの浸漬深さは、例えば基板4の厚さが1.6mmであれば、0.8mm程度である。
【0033】
このように、チャック機構3のモータ12によりプリント基板4を挟持した状態において、ロボットアーム2により爪17,26を進行方向の前側に位置させた状態で、プリント基板4を噴流はんだ槽5のはんだ噴流に接触させる。
【0034】
このプリント基板4のはんだ噴流への接触を行わせる際に、第1と第2の爪17,26は基板4の進行方向での前側の辺の全域にわたり延設されており、第1と第2の爪17,26により基板4の進行方向の前側がマスクされるので、基板4のはんだかぶり、つまり、基板4がはんだ波をかぶってしまうことが防止される。
【0035】
なお、図9においては基板4を水平方向に対して若干の角度をもって浸漬させたが、基板4を水平方向に浸漬させてもよい。
引き続き、噴流はんだ槽5のはんだ噴流から引き上げたプリント基板4を、ロボットアーム2により図10に示すように、つかみ替え部6に移動する。そして、図11に示すように、つかみ替え部のモータ51(詳しくは図5のベース材41及び43でのモータ)によりつかみ替えチャック爪50a,50cを接近させてプリント基板4の2辺S1,S3を把持する。
【0036】
このようにして、ロボットアーム2のチャック機構3によりプリント基板4の把持が必要なくなると、チャック機構3のモータ12により爪17,26を互いに離間させ、同爪17,26による把持を解除する。その結果、図12のようになる。
【0037】
引き続き、図13に示すように、つかみ替え部6のモータ51(詳しくは図5のベース材42及び44でのモータ)により、つかみ替えチャック爪50b,50dを接近させ、同爪50b,50dで基板4を把持する。さらに、図5のベース材41及び43でのモータ51により、図14に示すように、つかみ替えチャック爪50a,50cを離間させ、同爪50a,50cによる基板4の把持を解除する。
【0038】
一方、基板1の把持を開放したロボットアーム2のチャック機構3を図1の爪清掃部7の上に移動する。さらに、チャック爪17,26を閉じ、この状態で図8に示すように、回転するブラシボディ62を挟むように押し付けながら移動させ、チャック爪17,26に着いたはんだ付着物を除去する。
【0039】
次に、チャック機構3の爪17,26をアプローチ寸法まで開き、チャック機構3を図1のつかみ替え部6に移動させる。その後、チャック機構3を90度回転させる。そして、図14の状態から図15に示すように、チャック機構3の爪17,26にてプリント基板4の辺S1,S3を把持する。
【0040】
さらに、図5のベース材42及び44でのモータ51によりつかみ替えチャック爪50b,50dを互いに離間する方向に移動させると図16のようになる。その結果、当初、図10のようにプリント基板4の辺S2,S4を把持していたのに対し、図16のようにプリント基板4の辺S1,S3を把持しており、基板4のつかみ替えが行われる。
【0041】
また、チャック機構の爪17,26にてプリント基板4を把持した時に(図4の状態で)、図4の距離センサ38による距離Lが閾値より小さいと、爪17,26のチャック面(凹部34,35)にはんだが残って爪17,26の距離が長くなっているとして爪17,26の交換を行う。つまり、基板4の把持を止め、チャック機構3を図1の爪回収部8に搬送し、フック解除用アクチュエータ80,81(図3参照)によりフック20,29を回動動作させ、爪17,26をフレーム11,24から分離させる。そして、図1の爪交換部9において、新たなチャック爪17’,26’をロボットアーム2の動作によりクランプすることにより交換する。つまり、図3において新しい爪17’,26’のピン18,27を孔19,28に挿入して爪の交換を行う。
【0042】
なお、図1の爪回収部8において、取り外した爪17,26は所定の場所に搬送され、爪回収部8において次回の爪の取り外しが可能な状態となる。また、爪交換部9において、交換用のチャック爪17’,26’は爪の交換が行われるたびに新たな爪が搬送(補給)され、所定の位置において交換待ちの状態となる。
そして、図1のつかみ替え部6で基板4のつかみ替えを行った後において、図9を用いて説明したように、プリント基板4の辺S1,S3を進行方向にしたはんだの接触を行う。
【0043】
詳しくは、図9に示すように、水平方向に対し少し上向きにした状態で、プリント基板4を左側から入れ、右方向に搬送し、右端まで来ると逆向きにし左方向に搬送し(左右方向に一往復し)、溶融はんだ72から引き上げる。
【0044】
このプリント基板4のはんだ噴流への接触を行わせる際に、第1と第2の爪17,26は基板4の進行方向での前側の辺の全域にわたり延設されており、第1と第2の爪17,26により基板4の進行方向の前側がマスクされるので、基板4のはんだかぶり、つまり、基板4がはんだ波をかぶってしまうことが防止される。
【0045】
このように、チャック機構3のモータ12により第1および第2の爪17,26によるプリント基板4の挟持を開放した後、それまで保持していた基板4の辺S2,S4とは違う辺S1,S3を第1および第2の爪17,26により保持してプリント基板4を挟持した状態において爪17,26を進行方向の前側に位置させた状態で、基板4を噴流はんだ槽5のはんだ噴流に接触させる。その結果、プリント基板4の4辺に直交する方向からのはんだへの浸漬・引き上げ、即ち、プリント基板4の多方向からのはんだ噴流への接触が行われる。
【0046】
次に、サイズの異なる基板4、つまり、辺の長さの異なる基板4をはんだ付けする場合について述べると、第1と第2の爪17,26の長さよりも短い辺を有する基板に対しては爪17,26の交換を行うことなく、現行の爪17,26を使ってはんだ付けを行えばよい。このように第1と第2の爪17,26の長さよりも等しいか短い辺の長さを有するプリント基板に対し爪の交換は不要となり、無段取りで基板を把持してはんだ付けすることができる。
【0047】
このように本実施形態は下記の特徴を有する。
(イ)プリント基板4基板の多方向からのはんだ噴流への接触を行わせるために、基板4のつかみ替えを行うという方式を採用し、かつ、基板4のはんだ噴流への接触を行わせる際に、第1または第2の爪17,26は基板4の進行方向での前側の辺の全域にわたり延設し、第1または第2の爪17,26により基板4の進行方向の前側をマスクしたので、基板4のはんだかぶりを、はんだかぶり防止治具を用いることなく防止できる。また、第1と第2の爪17,26の長さよりも短い辺を有する基板4に対してはんだ付けする際も同様に対処でき、サイズの異なる基板(辺の長さの異なる基板)をはんだ付けする際も爪の交換は不要となる。このように、サイズの異なる基板に対してはんだかぶりを容易に回避しつつ、基板の多方向からのはんだ噴流への接触を行わせることができる。
(ロ)図10〜図16に示す基板の把持工程において、図11以降での爪17,26による基板4の挟持を開放した後に、爪17,26を図1の爪清掃部7に搬送してブラシにて付着はんだを除去(清掃)するようにしたので、爪17,26が基板4をアンチャックした後に爪17,26に付着したはんだが除去でき、それにより、図15の工程において爪17,26による基板4のつかみ替えを確実に行うことができる。
(ハ)図15の工程において、保持していた基板4の辺とは違う辺を爪17,26により保持を行う際に、図4のセンサ38を用いた判定にて爪17,26へのはんだの付着があると、爪17,26を図1の爪回収部8および爪交換部9に搬送して爪17,26の交換を行うようにしたので、爪へのはんだ付着による不具合(はんだの噛み込み)を回避することができる。
(ニ)ここで、爪へのはんだの付着を、図4のごとく、第1と第2の爪17,26の距離を検出する距離センサ38を用いて目標ストローク量と実際のストローク量により判定したので、爪へのはんだ付着を確実に検出できる。詳しくは、光路をチャック部(凹部34,35)に設定した光電管を配置し、光の遮断によりはんだ付着を検出する方式に比べ、ストローク量検出方式においては閾値を任意に設定でき使い勝手が高く実用上好ましいものとなる。
【0048】
これまでの説明においては基板のつかみ替え動作として、つかみ替え部6の爪にて基板4を把持しアンチャック状態となったロボットアーム先端のチャック機構3を90度回転させ、チャック機構3の爪17,26にてそれまでとは異なる辺を保持するようにしたが、これに代わり、つかみ替え部6での基板を置く台(図6の符号40で示すもの)を回転可能なターンテーブルとし、このターンテーブルにおいて基板4を把持し、この状態で基板4を90度回転させ、その後に、チャック機構3の爪17,26にてそれまでとは異なる辺を保持するようにしてもよい。
【0049】
また、これまでの説明においては噴流はんだ槽5に関して特に言及しなかったが、噴流はんだ槽5は1次はんだ槽であっても、2次はんだ槽であっても、あるいは1次と2次を兼ねるはんだ槽であってもよい。つまり、1次はんだ付け工程として1次はんだ槽での1次はんだ噴流に基板の被処理面を接触させながら搬送することにより基板の被処理面にはんだを付着させ、その後、2次はんだ付け工程として2次はんだ槽での2次はんだ噴流に基板の被処理面を浸漬させながら搬送することにより基板に付着したはんだを整形する場合において、本発明を、1次はんだ槽と2次はんだ槽のいずれかのはんだ槽によるはんだ付けの際に適用しても、1次はんだ槽と2次はんだ槽の両方のはんだ槽によるはんだ付けの際に適用してよい。あるいは、1次と2次のはんだ付け工程を兼ねるはんだ槽によるはんだ付けの際に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態における噴流はんだ付装置の平面図。
【図2】 噴流はんだ付装置の正面図。
【図3】 チャック機構の縦断面図。
【図4】 チャック機構にて基板を挟持した状態での縦断面図。
【図5】 つかみ替え部の平面図。
【図6】 図5のA−A断面図。
【図7】 爪清掃部の詳細図。
【図8】 爪清掃部での動作説明のための図。
【図9】 噴流はんだ槽を示す図。
【図10】 つかみ替え部での爪の動きを説明するための平面図。
【図11】 つかみ替え部での爪の動きを説明するための平面図。
【図12】 つかみ替え部での爪の動きを説明するための平面図。
【図13】 つかみ替え部での爪の動きを説明するための平面図。
【図14】 つかみ替え部での爪の動きを説明するための平面図。
【図15】 つかみ替え部での爪の動きを説明するための平面図。
【図16】 つかみ替え部での爪の動きを説明するための平面図。
【符号の説明】
2…アーム、3…チャック機構、4…プリント基板、5…噴流はんだ槽、10…メインフレーム、11…第1の爪用フレーム、12…モータ、17…第1の爪、24…第2の爪用フレーム、26…第2の爪、38…距離センサ、72…溶融はんだ、S1,S2,S3,S4…辺。

Claims (1)

  1. 溶融はんだを上方に向けて噴流させる噴流はんだ槽と、
    四角形をなす基板の1つの辺を保持するためのものであり、当該辺の全域にわたり延設される第1の爪と、
    四角形をなす基板における前記第1の爪による挟持対象となる辺とは対向する辺を保持するためのものであり、当該辺の全域にわたり延設される第2の爪と、
    前記第1および第2の爪を接近および離間する方向に移動して、爪の接近による基板の挟持および爪の離間による基板の挟持開放を行うチャック用アクチュエータと、
    前記第1および第2の爪を搬送する搬送手段と、
    を備え、
    前記チャック用アクチュエータにより基板を挟持した状態において前記搬送手段により前記第1または第2の爪を進行方向の前側に位置させた状態で基板を噴流はんだ槽のはんだ噴流に接触させるとともにはんだ噴流から引き上げた後、前記チャック用アクチュエータにより前記第1および第2の爪による基板の挟持を開放し、それまで保持していた基板の辺とは違う辺を前記第1および第2の爪により保持し基板の多方向からのはんだ噴流への接触を行わせるようにし
    前記保持していた基板の辺とは違う辺を第1および第2の爪により保持を行う際に、第1および第2の爪へのはんだの付着があると、第1および第2の爪の交換を行うようにし、
    前記爪へのはんだの付着は、第1と第2の爪の距離を検出する距離センサを用いて目標ストローク量と実際のストローク量により判定するものである噴流はんだ付装置。
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