JP4038414B2 - ミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油の漏洩による縫製物への汚染を防止するのに好適なミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高速で二重環縫い、縁かがり縫いを行うロックミシンにおいては、ミシン主軸の駆動力を、針駆動軸、送り駆動軸、上ルーパ駆動軸などの各駆動軸に伝達する連結機構、各駆動軸から出力される駆動力を針棒に伝達する針機構、送り歯に伝達する送り機構、上ルーパに伝達する上ルーパ機構などに代表される各部品のうちの少なくとも一方の部品が可動とされ、この一方の部品が他方の部品に接触するようにして支持されている摺動部位(運動部位)が随所に設けられている。
【0003】
このような従来のミシンの摺動部位は、ミシンの高速運転に伴って、摺動部位の摩耗による摩耗粉の発生や、摺動部位に摺動抵抗(摩擦抵抗)が生じて発熱し、この発熱に起因して焼付損傷などが生じるということが知られている。
【0004】
そこで、このような摺動部位の摩耗による摩耗粉の発生や焼付損傷の発生などを防止するため、従来のロックミシンにおいては、ミシンフレームの下部にオイルパンを設けることで例えば動粘度5〜35cSt程度の低粘度の潤滑油を貯留し、この貯留した潤滑油をミシン主軸の駆動力によって駆動されるオイルポンプを用いて摺動部位に強制給油したり、貯留した潤滑油を油芯を用いて摺動部位に給油したりすることで、摩耗による摩耗粉の発生および焼付損傷の発生などを防止するための潤滑膜を形成するようにしていた。
【特許文献1】
特開平10−113490号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来のロックミシンにおいては、潤滑膜の形成に必要な潤滑油の供給量が摺動部位によって異なっており、摺動部位毎に潤滑油の供給量を正確に制御することができず、特に直線運動が行なわれる針棒部、上ルーパ部、主送り揺動桿および副送り揺動桿などの送り部から潤滑油の漏洩が生じ、布などの縫製物の汚染、オペレータの作業環境の悪化が避けられないという問題点があった。
【0006】
すなわち、潤滑油の供給量が多いと摺動部位から潤滑油が漏洩して縫製物の汚染や作業環境の悪化が発生し、潤滑油の供給量が少ないと焼付損傷が発生し、潤滑油の漏洩防止とミシンの耐久性とを両立させることが困難である。
【0007】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、縫製物を汚染する潤滑油の漏洩防止とミシンの耐久性とを両立することのできるミシンを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明の特徴は、ミシンフレーム2に配置されたミシン主軸31の駆動力を針駆動軸50、送り駆動軸61、上ルーパ駆動軸46に伝達して、少なくとも二重環縫いまたは縁かがり縫いを行なうミシンにおいて、前記送り駆動軸61の先端側に配置され前記送り駆動軸61から出力される駆動力を所定の運動に変換して送り歯103,104に伝達する送り機構が収納される送り機構収納部17と、ミシンフレームに、ミシン主軸の駆動力を少なくとも針駆動軸50、送り駆動軸61、上ルーパ駆動軸46に伝達する連結機構が収納される連結機構収納部16と、前記連結機構収納部16から送り機構収納部17に向けて配置されるとともに潤滑油給油口88aを形成されたミシン主軸31と、前記連結機構収納部16と送り機構収納部17とを分離するミシンフレーム分離壁2MWと、前記ミシンフレーム分離壁2MWに固定され、ミシン主軸31を支持するとともに給油孔33Caを形成されたメタル軸受33Cと、を設け、前記メタル軸受33Cの給油孔33Caおよび前記ミシン主軸31の潤滑油給油口88aを介して前記連結機構収納部16へ油を供給することによって前記連結機構収納部16を油潤滑にし、前記送り機構収納部17をグリース潤滑とし、前記メタル軸受33Cは、前記ミシン主軸31の前記潤滑油給油口88aを覆う位置に設けられた凸部170に前記給油孔33Caを形成されるとともに、その内部にミシン主軸31を回動可能に支持する接触シール180A付きボールベアリング180を装備している点にある。
【0009】
請求項2に係るミシンの特徴は、請求項1記載のミシンにおいて、前記メタル軸受33Cは、前記凸部170を境に送り機構収納部側176と連結機構収納部側174に2分された装着溝部を有し、送り機構収納部側溝部176において前記接触シール付きボールベアリング180とオイルシール150bが前記凸部170側から順に装備されている点にある。
【0010】
請求項3に係るミシンの特徴は、請求項2記載のミシンにおいて、前記送り機構収納部側溝部176と前記連結機構収納部16とを連通する油還流穴184を設けた点にある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
まず、本実施形態のロックミシン1の外観及びミシンフレーム2の構成について図1〜6により説明する。
【0012】
本実施形態のロックミシン1は、ミシンフレーム2の下部にオイルパン3が配設されている。このオイルパン3は、上部が開口とされており、その内部の下部には、摺動部位の油潤滑を行なうための例えば動粘度5〜35cSt程度の低粘度の潤滑油が貯留されている。なお図においてFSはオペレータが位置する正面側、RSは正面側FSの反対側に位置する背面側、TSは正面側FSからみて左側の先端側、BSは正面側FSから見て右側の基端側である。なお、このロックミシン1は少なくとも二重環縫いまたは縁かがり縫いを行なうミシンである。なお、ここで二重環縫いとは、飾り縫いも含む。
【0013】
ミシンフレーム2は、基端側BSに配置されている基部2Aと、基部2Aの左側下部から先端側TSに向って延出された布台受け部2Bと、前記基部2Aの左側上部から布台受け部2Bと平行に先端側TSに向って延出された頭部2Cとを有している。このミシンフレーム2は鋳物などにより一体形成されているのが一般的である。また、ミシンフレーム2は、正面側FSに配置された正面壁2FWと、基部2Aと布台受け部2Bとの境界部分に配置された中間壁2MWを有している。正面壁2FW下方には送り調整ボタン145が配置されている。この送り調整ボタン145は正面壁2FWに設けられた支持孔145Aに支持されている。
【0014】
基部2Aの上面には、基部2Aの上部の開口を塞ぐように、図1に示すフレーム上カバー4が配設されている。また、布台受け部2Bの左端部には布受け台カバー22が配設され、この布受け台カバー22およびミシンフレーム2の布台受け部2Bの上面には、縫製動作を実行する際に布などの縫製物が載置される布載置板24が配設されている。
【0015】
布台受け部2Bの内部空間2Baは仕切板13によって前記基部2Aの基部内部空間2Aaと連通する第1布台受け部内部空間2Baaと、第2布台受け部内部空間2Babとに区切られている。第2布台受け部内部空間2Babは、仕切板14によりオイルパン3の内部空間から遮断されている。これら基部内部空間2Aaと第1布台受け部内部空間2Baaとにより、本実施形態の連結機構収納部16が構成されており、第2布台受け部内部空間2Babにより、本実施形態の送り機構収納部17が構成されている。中間壁2MWは、連結機構収納部16と送り機構収納部17とを分離するミシンフレーム分離壁としての機能を有する。
【0016】
中間壁2MWの左側面の上部には、頭部2Cを形成するための頭部用枠状壁2CWが先端側TSに向って延出形成されており、この頭部用枠状壁2CWにより囲まれている頭部内部空間2Caにより、本実施形態の針機構収納部18が構成されている。そして、頭部2Cには、頭部用枠状壁2CWの開口部は、図2の頭部カバー(蓋)19によって覆われるようになっている。
【0017】
正面壁2FWの外面の左右方向のほぼ中央部分の下部には、ほぼ枠状に形成された上ルーパ用突出壁2FPWが正面側FSに向って延出形成されており、この上ルーパ用突出壁2FPWの開口部は、ルーパ蓋20aによって覆われるようになっている。
【0018】
そして、上ルーパ用突出壁2FPWにより囲まれている空間により、本実施形態の上ルーパ機構収納部21が構成されている。また、ルーパ蓋20aの前側にはルーパカバー20bが配置され、左右方向に移動し、開閉できるように構成されている。
また、上ルーパ機構収納部21の左側には下ルーパ・二重環機構収納部23が形成されている。
【0019】
次に、図6〜9に基づいて本実施形態のロックミシン1の連結機構収納部16内の構成を説明する。本実施形態のロックミシン1のミシンフレーム2の下部内の正面側FSには、水平方向に延在するミシン主軸31が配設されている。このミシン主軸31はミシンフレーム2に保持されている主軸用軸受33A〜33Dに回転自在に支持されている。本実施形態における第1主軸用軸受33A、第2主軸用軸受33Bおよび第4主軸用軸受33Dとしてはころがり軸受が用いられており、第3主軸用軸受33Cにはメタル軸受が用いられている。このメタル軸受33Cは一般にCメタルと称されている。
【0020】
なお、後述のように、メタル軸受33C内にはころがり軸受(図14)が配され、このころがり軸受によってミシン主軸31を回転可能に支持している。このメタル軸受33Cは、連結機構収納部16と送り機構収納部17とを分離するミシンフレーム分離壁(中間壁)2MWに固定されている。
【0021】
ミシン主軸31の第2主軸用軸受33Bが装着される第2軸受装着部36Bと第3主軸用軸受33Cが装着される第3軸受装着部36Cとの間は、4つの太鼓状のクランクピン37A〜37Dが配設されたクランクシャフトとされており、基端側BSから順に、クランクピン37Aには上ルーパ駆動用連結ロッド41、クランクピン37Bにはメス駆動用連結ロッド42、クランクピン37Cには針駆動用連結ロッド43、クランクピン37Dには下ルーパ駆動用連結ロッド44のそれぞれの基端部が装着されている。そして上ルーパ駆動用連結ロッド41の先端部には、一端が上ルーパ駆動軸46(図16に示す)に接続された上ルーパ駆動用リンク(伝達軸)47の他端が接続されている。また、メス駆動用連結ロッド42の先端部には、一端がメス駆動軸48に連結されたメス駆動用リンク49の他端が接続されている。さらに、針駆動用連結ロッド43の先端には、一端が針駆動軸50に接続された針駆動用リンク51の他端が接続されている。さらに、下ルーパ駆動用連結ロッド44の先端部には、一端が下ルーパ駆動軸52(図4の支持孔132Bに装着されている)に接続された下ルーパ駆動用リンク53の他端が接続されている。
【0022】
ミシン主軸31の第1主軸用軸受33Aが装着される第1軸受装着部36Aと第2主軸用軸受33Bが装着される第2軸受装着部36Bとの間には、送り駆動用連結ロッド(伝達軸)73を有する送りカム機構60が配設されている。送り駆動用連結ロッド73の先端部は、送り駆動軸(伝達軸)61に固定された二股クランク75に回動自在に支持されている。この送りカム機構60は、ミシン主軸31と送り駆動軸61とを連結するとともに、ミシン主軸31に対する送り駆動軸61の駆動量を調節するためのものである。
【0023】
ミシン主軸31にはウォーム85が固定されている。ウォーム85にはウォームホイール86が噛合されている。このウォームホイール86は、基部2Aの内部に配設されたオイルポンプ80内に設けられたポンプ駆動軸87の上端部に固定されていて、オイルポンプ80を駆動してオイルパン3の低部に貯留されている潤滑油を供給口80aを介して汲み上げる。このオイルポンプ80で汲み上げた潤滑油は吐出口80bに接続された給油パイプ81aからフィルター部90へ送られて潤滑油内の異物を取り除かれた後、2本の給油パイプ81b,81cに供給される。給油パイプ81bからの潤滑油は、第3主軸用軸受33Cに形成されている給油孔33Caへ供給され、給油パイプ81cからの潤滑油は針駆動軸50へ供給される。
【0024】
ミシン主軸31の内部の右端部と第3主軸用軸受33Cとの間には、潤滑油が流動可能な潤滑油供給路88が形成されている。この潤滑油供給路88は、第3軸受装着部36Cの中央部に潤滑油の給油に用いる潤滑油給油口88aが形成されており、4つのクランクピン37A〜37Dおよび送りカム機構60の配設部の中央部分の総計5箇所に潤滑油を摺動部位に供給するための潤滑油吐出口88bが配設されている。
【0025】
給油パイプ81bから第3主軸用軸受33Cの給油孔33Caへ供給された潤滑油は、潤滑油給油口88aを介して潤滑油供給路88内に供給される。潤滑油供給路88内の潤滑油は矢印Oにて示すように、各潤滑油吐出口88bから吐出されて各摺動部位、詳しくはミシン主軸31に対する上ルーパ駆動用連結ロッド41、メス駆動用連結ロッド42、針駆動用連結ロッド43、下ルーパ駆動用連結ロッド44および送りカム機構60の摺動部位を油潤滑することができる。
【0026】
以上のように、本実施形態のロックミシン1においては、ミシン主軸31の駆動力を上ルーパ駆動軸46、メス駆動軸48、針駆動軸50、送り駆動軸61および上ルーパ駆動軸46に伝達する連結機構、詳しくは、上ルーパ駆動用連結ロッド41、メス駆動用連結ロッド42、針駆動用連結ロッド43、下ルーパ駆動用連結ロッド44および送りカム機構60がミシンフレーム2の連結機構収納部16の内部に収納されている。
【0027】
上記のようにして給油パイプ81b,81cからミシン主軸31および針駆動軸50へ供給された潤滑油はミシン主軸31の回転および針駆動軸50の回動に伴い周囲に飛び散り、噴霧状の微少粒子となって連結機構収納部16内に充満する。連結機構収納部16と、この連結機構収納部16に隣接する針機構収納部18、送り機構収納部17、上ルーパ機構収納部21および下ルーパ・二重環機構収納部23とのそれぞれの境界部分には、噴霧状となって連結機構収納部16内に充満する潤滑油が他の収納部内へ漏洩するのを防止するオイルシール150a〜150hが設けられるとともに、連結機構収納部16とミシン外部との境界部分にも潤滑油がミシン外部へ漏洩するのを防止するオイルシール150i〜150kが設けられている(図4〜7)。しかしながら、ミシンの運転時には連結機構収納部16内部の温度および圧力が急激に上昇するので、オイルシール150a〜150kから潤滑油が漏洩するおそれがある。
【0028】
図5、9に示す大気開放部材160はこのような潤滑油の漏洩を防止するための手段であり、水平に配置される本体部161と筒状の導入管162とから構成される。本体部161には貫通孔163が形成されている。この貫通孔163は本体部161の軸心に平行な予備室163aと、本体部161の一端側に配された排気孔163bと、他端側に配された吸入孔(貫通孔開口部)163cおよび還流孔163dから構成される。吸入孔163cには、継手164を介して導入管162が接続される。排気孔163bおよび吸入孔163cは予備室163aと直交してそれぞれ上方および下方に開口し、還流孔163dは本体部161の軸心と平行に開口している。
【0029】
本体部161は排気孔163bがミシン外部に露出し、吸入孔163cおよび還流孔163dが連結機構収納部16内に配置されるようにしてその一端側をミシンフレーム2に固定されている。
【0030】
ミシン運転に伴い連結機構収納部16内の温度は急激に上昇し、圧力も上昇するが、本実施形態の大気開放部材160を用いることにより、連結機構収納部16内部の膨張空気が導入管162、本体部161内の貫通孔163を通って排気孔163bからミシン外部に開放されるので、圧力の上昇が押えられ、従ってオイルシール150a〜150kから潤滑油が連結機構収納部16から隣接する各収納部17,18,21,23およびミシンフレーム2外へ漏洩するのを防止することができる。
【0031】
次に図7、8、10〜13に基づいて送り機構収納部17内の構成を説明する。
ミシン主軸31は図7に示すように、第3主軸用軸受33Cを境界としてミシンフレーム2の連結機構収納部16に配置される部位と送り機構収納部17に配置される部位とに区分されている。送り機構収納部17に配置されている部位には、二重環カム91と送り上下角駒95等が装着されている。
【0032】
送り駆動軸61は図7に示すように、ミシンフレーム2に装着された第1送り軸用軸受102A、第2送り軸用軸受102B、第3送り軸用軸受102Cにより回転自在に支持されていて、第2送り軸用軸受102Bを境界としてミシンフレーム2の連結機構収納部16に配置される部位と送り機構収納部17に配置される部位とに区分されている。
【0033】
図10に示すように、ミシン主軸31には軸心方向にグリース貯蔵穴31Aを設けられるとともに、軸心方向と交差する方向にはグリース貯蔵穴31Aに連通するグリース供給穴31B,31Cが設けられている。グリース供給穴31Cはミシン主軸31の送り上下角駒95が装着される偏心部分に設けられ、グリース供給穴31Bは二重環カム91が装着される位置に設けられている。グリース貯蔵穴31Aの開口部31Dから充填されたグリースは、ミシン主軸31の回転に伴い、グリース供給穴31B,31Cからミシン主軸31の外部に移動し、二重環カム91との間の摺動部および送り上下角駒95との間の摺動部へそれぞれ供給される。なお、グリースを充填した後、開口部31Dはねじ32により蓋をされる。
【0034】
次に上下送り機構を図11を参照して説明する。主送り揺動桿98および副送り揺動桿99はその一端側の二又部98A,99A内に揺動桿支え角駒101を嵌合し、その他端側の二又部98B,99B内に送り上下角駒95を嵌合している。揺動桿支え角駒101は揺動桿支え軸100の先端に摺動自在に装着され、送り上下角駒95はニードルベアリング96を介してミシン主軸31の偏心部に装着される。ミシン主軸31が回転すると送り上下角駒95は上下に偏心運動をするので、主送り揺動桿98および副送り揺動桿99は揺動桿支え軸100の回りに揺動し、その他端側に固定された主送り歯103および副送り歯104が上下動する。
【0035】
揺動桿支え軸100はその先端付近に円環状の溝部100Aを形成され、この溝部100A内にグリースを収納可能としている。揺動桿支え角駒101と揺動桿支え軸100との摺動運動部位は上記溝部100A内のグリースによって潤滑される。
【0036】
ニードルベアリング96は、ミシン主軸31のグリース供給穴31Cからのグリースが入り込むことにより、潤滑される。また、ニードルベアリング96の両側面の開放部に蓋105A,105Bを設け、送り上下角駒95および蓋105A,105Bにより形成される空間にグリースを封入することによりニードルベアリング96は更に潤滑される。
【0037】
次に前後送り機構を図11を参照して説明する。副送り腕107はその下端を送り駆動軸61に抱き締め固定されるとともにその上端側に副送りピン110が上下方向に摺動可能に装着されている。副送りピン110の円筒部110Aには副送りピン角駒109が装着され、この副送りピン角駒109は副送り揺動桿99の嵌合溝99C内に嵌合している。従って、送り駆動軸61が揺動すると、副送り腕107が前後(矢印方向)に揺動し、副送りピン110を介して副送り揺動桿99も前後(矢印方向)に揺動するので、副送り歯104も前後動する。
【0038】
副送りピン110の円筒部110Aには、その軸方向のグリース貯蔵穴(図示せず)と、該貯蔵穴と交差する方向の供給穴110Bを形成され、副送りピン角駒109の内面と副送りピン110の摺動部位をグリース潤滑している。副送りピン角駒109に小孔109Aが設けられていて、副送りピン角駒109と副送りピン110との摺動運動の際に、この小孔109Aを介してグリースが移動し、副送りピン角駒109と副送り揺動桿99の摺動部位が潤滑される。また、副送り腕107にも長手方向のグリース貯蔵穴107Aと、このグリース貯蔵穴107Aに直交する方向の小孔107Bを設けるとともにグリース貯蔵穴107Aを塞ぐための蓋107Cを設けることにより、副送り腕107と副送りピン110の摺動部位のグリース潤滑を行なう。
【0039】
次に差動送り機構を図11を参照して説明する。差動調節軸113に固定される差動調節腕114の先端部が差動調節リンク115の下端部に連結されている。差動調節リンク115の上端部は副送りピン110に連結されている。差動調節軸113と一体的に構成されたレバー116を操作することにより差動調節腕114を回動してその先端部を上昇させると、差動調節リンク115および副送りピン110が上昇する。このため、送り駆動軸61を中心に前後揺動する副送りピン110の揺動半径が大きくなる。従って、副送りピン110および副送り揺動桿99を介して前後動される副送り歯104の前後送り量も大きくなる。これとは逆に差動調節腕114を反対方向に回動してその先端部を下降させると、副送りピン110の揺動半径が小さくなり、副送り歯104の前後送り量も小さくなる。このようにして副送り歯104の前後送り量を変化させることができる一方、主送り歯103の前後送り量は一定となる構成とされているので、差動送りが可能となる。
【0040】
差動調節軸113はメタル117によって支持されているが、このメタル117内にグリースを収納することにより、メタル117と差動調節軸113の摺動部位をグリース潤滑する。
【0041】
次に主送り機構を図12を参照して説明する。送り駆動軸61には主送り腕120の基端部が接続されている。主送り腕120の先端部には主送り腕ピン121が連結され、主送り腕ピン121は、主送りリンク122の一端側の連結穴122Aに連結され、この主送りリンク122の他端側の連結穴122Bは主送りピンカラー123を介して図11の主送り揺動桿98に連結されている。
【0042】
送り駆動軸61には軸方向にグリース貯蔵穴62が設けられるとともにこのグリース貯蔵穴62に交差する方向に供給穴63が設けられている。このグリース貯蔵穴62および供給穴63は、送り駆動軸61と第3送り軸用軸受102C(図7)の摺動部位、後述する送り駆動軸61と二重環前後腕126(図13)の摺動部位等をグリース潤滑するためのものである。送り軸メタル102C内部にもグリース収納部が設けられ、送り駆動軸61との摺動部位をグリース潤滑できるようになっている。
【0043】
また、主送り腕ピン121には軸心方向にグリース貯蔵穴121Aを、軸心方向と交差する方向に貯蔵穴121Aに連通するグリース供給穴121Bを設けている。これらのグリース貯蔵穴121Aおよびグリース供給穴121Bは主送り腕ピン121と主送りリンク122の摺動部位を潤滑するためのものである。グリース貯蔵穴121Aは蓋121Cによって閉じられている。
【0044】
主送りリンク122は凹部122Cを備え、この凹部122Cにグリースを貯蔵可能とされている。凹部122Cは連結穴122A,122Bと連通し、主送りリンク122と主送り腕ピン121の摺動部位および主送りリンク122と主送りピンカラー123の摺動部位をグリース潤滑する。
【0045】
次に二重環ルーパ機構について図13を参照して説明する。ミシン主軸31に固定される二重環カム91は偏心している。この二重環カム91と二重環ロッド94の間にニードルベアリング92が配されている。二重環ロッド94の先端側は二重環ロッドピン125を介して二重環前後腕126に連結されている。二重環前後腕126は嵌合穴126A内に送り駆動軸61を嵌合することにより、送り駆動軸61に対して回動可能とされている。この二重環前後腕126には、その下端部に二重環角駒127および二重環角駒ピン128が設けられている。二重環角駒127の下方には二重環駆動軸140に抱き締め固定された二重環角駒抱き141が配され、この二重環角駒抱き141は二重環角駒127と嵌合している。
【0046】
ミシン主軸31が回転すると、二重環カム91、ニードルベアリング92を介して二重環ロッド94が揺動し、その先端側が前後(図の矢印方向)に動き、二重環ロッドピン125を介して二重環前後腕126が送り駆動軸61を中心に前後方向に揺動する。すると、二重環角駒127、二重環角駒ピン128、二重環角駒抱き141を介して二重環駆動軸140が前後動する。
【0047】
二重環カム91には軸心方向に貯蔵穴が設けられるとともに軸心方向と交差する方向に前記貯蔵穴に連通するグリース供給穴91Aが設けられている。前述のようにミシン主軸31のグリース供給穴31B(図10)からのグリースがグリース供給穴91Aを介して二重環カム91とニードルベアリング92の間の摺動部を潤滑するが、二重環カム91内の貯蔵穴内のグリースも、グリース供給穴91Aを介して二重環カム91とニードルベアリング92の間の摺動部を潤滑する。また、ニードルベアリング92の開放部の両側面に蓋142,143を設け、二重環カム91と二重環ロッド94および蓋142,143により形成される空間にもグリースを封入することによりニードルベアリング92は潤滑される。更に二重環ロッド94の二重環カム91との連結穴部の内面に円環状の溝94Aを形成してグリースを保持可能としている。
【0048】
また、二重環ロッド94の内部には、ニードルベアリング92との摺動部と二重環ロッドピン125との摺動部を連通する溝94Bを設け、この溝94Bにグリースを貯留する構成としている。なお、穴94Cは、溝94B内にグリースを充填するための穴である。これにより、二重環ロッド94とニードルベアリング92の摺動部および二重環ロッド94と二重環ロッドピン125の摺動部をグリース潤滑している。特に、ニードルベアリング92に対しては、ミシン主軸31内部から供給されるグリース、二重環ロッド94の溝94A内に保持されるグリース、二重環カム91と二重環ロッド94および蓋142,143により形成される空間内に封入されるグリースに加え、ニードルベアリング92の外周部へ向けてグリースを供給可能となり、潤滑が完全となる。
【0049】
二重環ロッドピン125の軸心方向には貯蔵穴125Aを、軸心方向と交差する方向に前記貯蔵穴125Aに連通するグリース供給穴125Bを設けるとともに、貯蔵穴125Aを閉じる蓋125Cを設けている。この貯蔵穴125Aおよびグリース供給穴125Bからのグリースは二重環ロッドピン125と二重環ロッド94の摺動部を潤滑する。
【0050】
二重環角駒ピン128の軸心方向に貯蔵穴128Aを、軸心方向と交差する方向に前記貯蔵穴128Aに連通するグリース供給穴128Bを設けている。これにより二重環角駒ピン128と二重環角駒127の摺動部位をグリース潤滑する。また、二重環角駒127の内部に摺動穴127Aを設け、この摺動穴127Aと交差する方向に前記摺動穴127Aに連通するグリース供給穴127Bを設けるとともに、この貯蔵穴128Aを閉じる蓋128Cを設けている。これにより、二重環角駒ピン128と二重環角駒127の摺動部位のグリース潤滑に加え、二重環角駒127と二重環角駒抱き141の摺動部のグリース潤滑を行なう。
【0051】
また、二重環前後腕126の嵌合穴126A内に図示しない溝部を設け、送り駆動軸61内部から供給されるグリースを保持するようにして、送り駆動軸61との摺動部を確実にグリース潤滑できるようにしている。
【0052】
送り機構収納部17内には、駆動軸であるミシン主軸31および送り駆動軸61の一部分と、駆動軸31,61からの駆動力を所定の運動に変換して送り歯103,104に伝達する送り機構および二重環駆動軸140を前後動する二重環ルーパ機構が収納されているが、本実施形態においては以上説明したように、駆動軸31,61および各機構の所定箇所にグリース貯蔵穴を設けることにより、送り機構収納部17内の各摺動部位にグリースが供給され、焼付を防止している。
【0053】
なお、グリース貯蔵穴と、そのグリース貯蔵穴に連通するグリース供給穴が設けられている機構部品や駆動軸31,61においては、グリース貯蔵穴から一度に大量のグリースが流出するのを防ぎ、少量ずつ安定してグリースを供給可能とするため、グリース供給穴には、フェルト等の多孔性部材を装着することが好ましい。あるいは、グリース貯蔵穴内の、グリース供給穴付近に多孔性部材を配しても同様の効果が得られる。
【0054】
次に、図14および15に基づいて第3主軸用軸受におけるメタル軸受33Cの詳細構造を説明する。このメタル軸受33Cは前述のように連結機構収納部16と送り機構収納部17とを分離するミシンフレーム分離壁(中間壁)2MWに固定されている。
【0055】
この第3主軸用軸受においては、メタル軸受33Cでミシン主軸31を支持し、オイルシール150bによって連結機構収納部16内の潤滑油が送り機構収納部17へ漏洩するのを防止することもできる。しかしながら、すべり軸受の場合は、その構造上、ミシン主軸31との間にある程度のクリアランスを与えなければならない。このため、連結機構収納部16内の潤滑油がそのクリアランスを通って移動してしまう。このクリアランスを通過する潤滑油の量が多くなると、オイルシール150bによる漏洩防止手段を越えて送り機構収納部17へ漏洩することになる。
【0056】
そこで、本実施形態では、第3主軸用軸受においても、第1、2、4主軸用軸受と同様、ころがり軸受を用いてミシン主軸31を支持する構造として、軸受とミシン主軸31との間のクリアランスを小さくすることとした。
【0057】
本実施形態におけるメタル軸受33Cは、その軸方向中央部付近に凸部170が形成され、この凸部170に給油孔33Caが設けられている。一方、ミシン主軸31には環状溝部172が形成され、この環状溝部172に潤滑油給油口88aが開口している。メタル軸受33Cの凸部170は、その幅をミシン主軸31の環状溝部172の幅よりも大きく形成されて、環状溝部172を塞ぐような位置に配されている。このような構成により、給油孔33Caからの潤滑油が潤滑油給油口88aを介してミシン主軸31内の潤滑油供給路88へ供給されるようになっている。
【0058】
メタル軸受33Cの内部空間(装着溝部)は、凸部170を境に連結機構収納部側溝部174と、送り機構収納部側溝部176に2分されていて、連結機構収納部側溝部174にはボールベアリング178が装備され、送り機構収納部側溝部176にはボールベアリング180とオイルシール150bが凸部170側から順に装備されている。ボールベアリング178,180はいずれも片側接触シール付きのもので、連結機構収納部16側のボールベアリング178は連結機構収納部16側に接触シール178Aが設けられ、送り機構収納部17側のボールベアリング180は送り機構収納部17側に接触シール180Aが設けられている。
【0059】
接触シール178A,180Aは、潤滑油がボールベアリング178,180の内輪と外輪との間を通過するのを防ぐためのものである。したがって、送り機構収納部側溝部176のボールベアリング180の場合には、送り機構収納部17へ潤滑油が洩れるのを防止するために接触シール180Aを設けている。一方、連結機構収納部側溝部174のボールベアリング178の場合には、給油孔33Ca、潤滑油給油口88aを通ってミシン主軸31内部へ給油すべき潤滑油が連結機構収納部16へ大量に流出すると、ミシン主軸31内への給油機能が減じてしまうため、これを防ぐため、接触シール178Aを設けている。上記の構成の場合、ボールベアリング178,180自体の潤滑は、給油孔33Caから入り込む適量の潤滑油によって常時なされる。なお、送り機構収納部側溝部176側のボールベアリング178の接触シール178Aは、上記とは反対側の凸部170側に設けたものでも良い。この場合は、ボールベアリング178自体の潤滑は、連結機構収納部16側から入り込む潤滑油によって行なわれる。
【0060】
ボールベアリング180はその構造上、外輪とメタル軸受33Cの間および内輪とミシン主軸31の間のクリアランスを、ミシン主軸31とのすべり軸受との間のクリアランスよりも小さくすることができるが、それでもそのクリアランスから僅かの潤滑油が通るため、オイルシール150bによって、潤滑油が送り機構収納部17へ洩れるのを防いでいる。
【0061】
メタル軸受33Cには、送り機構収納部側溝部176と連結機構収納部16とを連通する油還流穴184が設けられている。すなわち、送り機構収納部側溝部176のボールベアリング180と凸部170との間の空間176Aと、オイルシール150bとボールベアリング180との間の空間176Bは、それぞれ油還流穴184によって連結機構収納部16と連通している。メタル軸受33Cの凸部170とミシン主軸31との間の隙間から送り機構収納部側溝部176内へ移動する潤滑油は先ず空間176Aに入り込み、その一部は油還流穴184から連結機構収納部16へと還流され、他の一部はボールベアリング180の潤滑に使用され、残余の僅かな部分がボールベアリング180の内輪とミシン主軸31との間およびボールベアリング180の外輪とメタル軸受33Cとの間を通って空間176Bへ潤滑油が侵入する。この空間176B内の潤滑油はオイルシール150bによって送り機構収納部17への侵入を阻止されるとともに、油還流穴184によって連結機構収納部16へ還流される。
【0062】
以上のように、本実施形態においては、メタル軸受33Cに、接触シール178A,180A付きボールベアリング178,180、オイルシール150b等を装備したので、オイルシール150bから送り機構収納部17への油の漏洩をほぼ完全に防止している。なお、オイルシール150bは、送り機構収納部17からメタル軸受33C内部へのグリースの漏洩を防止する機能も有している。
次に図6、16および17に基づいて上ルーパ機構収納部21内の構成を説明する。
【0063】
図6に示すように上ルーパ駆動軸46は、ミシンフレーム2をミシン主軸31の長手方向に対して直交する方向において同軸上に貫通するようにして形成された上ルーパ軸支持孔118A,118Bにそれぞれ配置されている軸受(図示せず)によって回転自在に保持されている。この上ルーパ駆動軸46の正面側FSに位置する先端部は、正面壁2FWの外側に形成されている上ルーパ機構収納部21内に突出されている。
【0064】
図16および17に示すように、上ルーパ機構収納部21内において、上ルーパ駆動軸46の先端部には上ルーパ腕76の一端が固定されている。上ルーパ腕76の他端は、上ルーパ抱きピン77を介して上ルーパ抱き78に連結されている。上ルーパ抱き78はその先端に上ルーパ74を支持するもので、上ルーパガイド79によって摺動自在に支持されている。上ルーパガイド79は上ルーパガイド支え72により、その中心の回りを図の矢印方向に回動自在に支持されている。
【0065】
本実施形態においては、上ルーパ抱きピン77内に軸心方向に貯蔵穴77Aを、軸心方向と交差する方向に前記貯蔵穴77Aに連通するグリース供給穴77Bを設けるとともに、貯蔵穴77Aを塞ぐ蓋77Cを設けている。蓋77Cからのグリースは、上ルーパ抱きピン77と上ルーパ抱き78の摺動部をグリース潤滑して焼付を防止することができる。
【0066】
なお、グリース貯蔵穴77Aから一度に大量のグリースが流出するのを防ぎ、少量ずつ安定してグリースを供給可能とするため、グリース供給穴77Bには、フェルト等の多孔性部材を装着することが好ましい。あるいは、グリース貯蔵穴77A内の、グリース供給穴77B付近に多孔性部材を配しても同様の効果が得られる。
次に図4、18および19に基づいて針機構収納部18内の構成を説明する。
【0067】
針駆動軸50は、図4に示すように基部2Aの上方においてミシンフレーム2の孔133A,133B内に配置された軸受(図示せず)に回転自在に支持されている。この針駆動軸50の先端部は、図18および19に示すように、ミシンフレーム2の針機構収納部18内に突出して、針駆動腕55の一端が固定されている。針駆動腕55の他端は第1針駆動リンクピン56を介して針駆動リンク57に連結され、針駆動リンク57は第2針駆動リンクピン58を介して針棒129に連結されている。針棒129は、ミシンフレーム2の頭部2Cに配設された上下一対の軸受である針棒上メタル130Aおよび針棒下メタル130Bにより往復動可能に支持されている。この針機構により、針棒129が上下動する。
【0068】
針棒上メタル130Aおよび針棒下メタル130Bの内部にはグリースを保持可能な溝部(図示せず)が形成され、この溝部に貯留されたグリースにより、針棒129との摺動部を潤滑する。また図19に示すように、第1針駆動リンクピン56の内部に、その軸心方向に貯蔵穴56Aを、軸心方向と交差する方向に前記貯蔵穴56Aに連通するグリース供給穴56Bを設けるとともに貯蔵穴56Aを塞ぐ蓋56Cを設けている。これにより、第1針駆動リンクピン56と針駆動リンク57の摺動部位をグリース潤滑している。同様に、第2針駆動リンクピン58の内部に、その軸心方向に貯蔵穴58Aを、軸心方向と交差する方向に前記貯蔵穴58Aに連通するグリース供給穴58Bを設けるとともに貯蔵穴58Aを塞ぐ蓋58Cを設けている。これにより、第2針駆動リンクピン58と針駆動リンク57の摺動部位をグリース潤滑している。このように、針機構収納部18内の各摺動部位(各運動部位)にグリースが供給されるので、焼付を防止することができる。
【0069】
なお、グリース貯蔵穴56A,58Aから一度に大量のグリースが流出するのを防ぎ、少量ずつ安定してグリースを供給可能とするため、グリース供給穴56B,58Bには、フェルト等の多孔性部材を装着することが好ましい。あるいは、グリース貯蔵穴56A,58A内の、グリース供給穴56B,58B付近に多孔性部材を配しても同様の効果が得られる。
【0070】
なお、図4,6において、132A,132Bは下ルーパ駆動軸52を回転自在に支持する軸受を収納する支持孔であり、ミシンフレーム2をミシン主軸31の長手方向に対して直交する方向において同軸上に貫通するようにして形成されている。また、135A,135Bは二重環駆動軸140を回転自在に支持する軸受を収納する支持孔であり、ミシンフレーム2をミシン主軸31の長手方向に対して直交する方向において同軸上に貫通するようにして形成されている。
【0071】
以上本発明を図面に示した実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されず、種々変更することができる。
【0072】
【発明の効果】
請求項1記載のミシンによれば、送り機構収納部をグリース潤滑としたことにより、送り機構収納部からの潤滑油の漏洩という問題をなくすることができる。また、メタル軸受の内部にミシン主軸を回動可能に支持するボールベアリングを装備しているので、軸受け部とミシン主軸との間のクリアランスを小さくすることができ、従って、送り機構収納部へ向けて該クリアランスを通過する潤滑油を極力少なくすることができる。また、該ボールベアリングは接触シール付きであるので、潤滑油が内輪と外輪の間を通って送り機構収納部へ漏洩することを防止することができる。
【0073】
請求項2記載のミシンによれば、メタル軸受は、凸部を境に送り機構収納部側と連結機構収納部側に2分された装着溝部を有し、送り機構収納部側溝部において接触シール付きボールベアリングとオイルシールが凸部側から順に装備されているので、ボールベアリングとミシン主軸との間の僅かなクリアランスを通過した潤滑油が送り機構収納部へ漏洩するのを、オイルシールによって防止することができる。
【0074】
請求項3記載のミシンによれば、送り機構収納部側溝部と連結機構収納部とを連通する油還流穴を設けたので、オイルシールによる送り機構収納部への潤滑油漏洩防止効果を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のミシンの要部を示す外観斜視図
【図2】 本実施形態のミシンのミシンフレームおよびその近傍の要部の分解斜視図
【図3】 本実施形態のミシンのミシンフレームを簡略化して示す左側面図
【図4】 図3のX−X線に沿った断面図
【図5】 図3のY−Y線に沿った断面図
【図6】 図3の下面図
【図7】 本実施形態のミシンのミシン主軸および送り駆動軸近傍を示す下面図
【図8】 本実施形態のミシンのミシン主軸の構造を示す正面図
【図9】 本実施形態のミシンの正面図
【図10】 本実施形態の送り機構収納部内に配される主軸のグリース貯蔵穴を示す図
【図11】 本実施形態の送り機構収納部内に配される各機構を示す斜視図
【図12】 本実施形態の送り機構収納部内に配される各機構を示す斜視図
【図13】 本実施形態の送り機構収納部内に配される各機構を示す斜視図
【図14】 本実施形態のミシンの要部を示す一部断面図
【図15】 本実施形態のミシンのメタル軸受およびミシン主軸を示す図14のZ−Z断面図
【図16】 本実施形態のミシンの上ルーパ機構収納部の構造を示す正面図
【図17】 本実施形態のミシンの上ルーパ機構収納部内に配される各機構を示す斜視図
【図18】 本実施形態のミシンの針機構収納部の構造を示す左側面図
【図19】 本実施形態のミシンの針機構収納部部内に配される各機構を示す斜視図
【符号の説明】
2 ミシンフレーム
2MW ミシンフレーム分離壁
16 連結機構収納部
17 送り機構収納部
31 ミシン主軸
33C メタル軸受
33Ca 給油孔
46 上ルーパ駆動軸
50 針駆動軸
61 送り駆動軸
88a 潤滑油給油口
103,104 送り歯
150b オイルシール
170 凸部
174 連結機構収納部側溝部
176 送り機構収納部側溝部
178,180 ボールベアリング
178A,180A 接触シール
184 油還流穴

Claims (3)

  1. ミシンフレームに配置されたミシン主軸の駆動力を針駆動軸、送り駆動軸、上ルーパ駆動軸に伝達して、少なくとも二重環縫いまたは縁かがり縫いを行なうミシンにおいて、
    前記送り駆動軸の先端側に配置され前記送り駆動軸から出力される駆動力を所定の運動に変換して送り歯に伝達する送り機構が収納される送り機構収納部と、
    ミシンフレームに、ミシン主軸の駆動力を少なくとも針駆動軸、送り駆動軸、上ルーパ駆動軸に伝達する連結機構が収納される連結機構収納部と、
    前記連結機構収納部から送り機構収納部に向けて配置されるとともに潤滑油給油口を形成されたミシン主軸と、
    前記連結機構収納部と送り機構収納部とを分離するミシンフレーム分離壁と、
    前記ミシンフレーム分離壁に固定され、ミシン主軸を支持するとともに給油孔を形成されたメタル軸受と、を設け、
    前記メタル軸受の給油孔および前記ミシン主軸の潤滑油給油口を介して前記連結機構収納部へ油を供給することによって前記連結機構収納部を油潤滑にし、
    前記送り機構収納部をグリース潤滑とし、
    前記メタル軸受は、前記ミシン主軸の前記潤滑油給油口を覆う位置に設けられた凸部に前記給油孔を形成されるとともに、前記メタル軸受の内部にミシン主軸を回動可能に支持する接触シール付きボールベアリングを装備していることを特徴とするミシン。
  2. 請求項1記載のミシンにおいて、
    前記メタル軸受は、前記凸部を境に送り機構収納部側と連結機構収納部側に2分された装着溝部を有し、
    送り機構収納部側溝部において前記接触シール付きボールベアリングとオイルシールが前記凸部側から順に装備されていることを特徴とするミシン。
  3. 請求項2記載のミシンにおいて、
    前記送り機構収納部側溝部と前記連結機構収納部とを連通する油還流穴を設けたことを特徴とするミシン。
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