JP4037054B2 - 立軸ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐出しエルボの吐出し中心の高さを低く設定することのできる立軸ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
排水機場において、排水ポンプとして従来は横軸ポンプまたは立軸ポンプが適宜に採用されていた。これは、従来にあっては、横軸ポンプも立軸ポンプもそれぞれ一長一短を有するためである。すなわち、横軸ポンプにあっては、設置する建屋が一床構造で良く、建屋は低くて足りるが、始動時には揚水管およびポンプケーシング内に水を充満させる満水操作が必要であり、この満水操作のために始動までに5〜10分以上の時間を必要とする。一方、立軸ポンプにあっては、気中運転も可能であり迅速な始動ができるが、これを設置する建屋は、2床構造を必要とし、高いものでなければならず、建設費が高額となる。
【0003】
ところが、近年、都市化が進むのに伴い、多くの雨水などが地面に吸収されずに下水として排水機場に流入する傾向にある。そこで、降雨により排水機場の吸込水槽に急激な増水を生じる。この結果、横軸ポンプが設置される排水機場では、迅速な始動ができずに充分に機能を果たすことができなくなりつつある。かかる排水機場にあっては、既存の横軸ポンプを、迅速に始動できる立軸ポンプに交換する要望が強い。しかし、横軸ポンプと立軸ポンプでは、上述のごとく、設置に必要となる建屋の高さが異なり、建屋までも立て替えなければならなかった。
【0004】
本出願人は、先に特開平11−193799号公報に示される立軸ポンプを提案している。これは、立軸ポンプの吐出しエルボの外壁に減速装置を付設し、この減速装置から水平方向に入力駆動軸を突出させたものである。入力駆動軸に駆動連結する駆動機と、吐出しエルボを同じ床に配設することができ、建屋が一床構造で良く、横軸ポンプと同様のもので良い。
【0005】
そこで、既存の横軸ポンプを立軸ポンプに交換する際に、上記特開平11−193799号公報で提案した技術を立軸ポンプに採用するならば、既存の建屋を用いることができて経済的である。これらの観点から、先に提案にした立軸ポンプで横軸ポンプを置き換えた一例の構造を図5に示す。図5において、床10より揚水管12と羽根車ケーシング14および吸込ベル16が一体的に懸垂配設され、吸込水槽18内に吸込ベル16が開口されている。また、揚水管12の上に重ねて配設された断面円形の吐出しエルボ20の外壁に減速装置22が付設され、外壁を垂直方向に貫通突出する回転軸が適宜に減速装置22と駆動連結される。そして、減速装置22から水平方向に突出される入力駆動軸24に図示しない駆動機が駆動連結されて床10上に配設される。さらに、吐出しエルボ20の吐出し口は、S字短管26を介して既存の吐出し弁28に連通される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、同じ口径の立軸ポンプと横軸ポンプでは、吐出し中心の床10からの高さが相違する。一例として、口径1500mmの立軸ポンプの吐出し中心の高さは通常1700mm程度であるのに対して、口径1500mmの横軸ポンプの吐出し中心の高さは通常1300mm程度であり、400mm程度の差が生ずる。そこで、図5に示す構造では、S字短管26を設けて吐出し中心の高さのずれを吸収せざるを得ない。
【0007】
立軸ポンプの吐出し中心の高さを、S字短管26を用いずに横軸ポンプの吐出し中心の高さに一致させる便法として、吐出しエルボ20の流路の曲率半径をより小さくできれば良い。しかし、断面円形の筒体を小さな曲率半径で形成すると、曲げの内側となる外壁を円滑に湾曲させることができずに、大幅に小さな曲率半径で形成することが困難である。
【0008】
また、断面円形の吐出しエルボ20を鋼管で製造するならば、図6に示すごとく、端面を斜めに切った複数の短いパイプを連結溶接して形成する。流路内の流れを円滑とするには短い多数のパイプを連接すれば良いが、それだけパイプの端面を斜めに切断する工程および溶接する工程が多くなり、製造が煩雑となる。また、図6のごとく、3つの数の少ないパイプを連接しただけのものでは、製造は簡単であるが、流路内の流れが円滑でない、という不具合を生じる。
【0009】
さらに、図5に示すごとく、吐出しエルボ20に減速装置を付設すると、吐出しエルボ20には減速装置22の重量およびポンプ運転により回転軸に生じる垂直下方への荷重が加わる。そこで、かかる重量および荷重に耐え得るように、吐出しエルボ20に補強部材(図示せず)を設けて機械的強度を大きくする必要がある。しかし、吐出しエルボ20は断面円形であって、その外側断面形状も円であり、補強部材をリブなどとして付設しにくい。
【0010】
本発明は、上述のごとき従来技術を改善すべくなされたもので、吐出しエルボの吐出し中心の高さを低く設定できる立軸ポンプを提供することを目的とする。また、吐出しエルボに補強部材を簡単に付設できて、所望の機械的強度に簡単になし得る立軸ポンプを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の立軸ポンプは、吐出しエルボの外壁を垂直方向に貫通突出する回転軸に減速装置を駆動連結するとともに該減速装置を前記外壁に付設し、前記減速装置の入力駆動軸を水平方向に突出する立軸ポンプであって、前記吐出しエルボを対向する2つの垂直な側壁を備えた断面矩形にするとともに前記側壁と平行な面上の流路の中心線の曲率半径を小さくして吐出し中心の高さを低く設定するように構成されている。
【0012】
そして、前記吐出しエルボを上下に分割し得る2部材を組み合わせて構成しても良い。
【0013】
また、前記吐出しエルボを鋼板を溶接して構成することもできる。
【0014】
さらに、前記吐出しエルボの前記側壁に補強部材をリブとして配設して、前記減速装置の重量およびポンプ運転により前記回転軸に加わる垂直下方への荷重を支持するための機械的強度を得るように構成することができる。
【0015】
そしてさらに、既存の横軸ポンプの吐出し中心の高さに前記吐出しエルボの吐出し中心の高さが一致するように設定し、前記横軸ポンプに代えて設置しても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図3を参照して説明する。図1は、本発明の立軸ポンプの全体構造図である。図2は、図1の要部の断面矩形の吐出しエルボの構造を示す縦断面図である。図3は、本発明の断面矩形の吐出しエルボの吐出し中心の高さが、従来の断面円形の吐出しエルボの吐出し中心の高さと比較して低く設定できることを説明する図であり、(a)は断面矩形の吐出しエルボを示し、(b)は断面円形の吐出しエルボを示す。図1ないし図3において、図5および図6に示す部材と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。なお、図2において、減速装置22内の減速機構の図示は省略されている。
【0017】
図1に示す本発明の立軸ポンプにおいて、図5に示す従来の立軸ポンプと相違するところは、以下の構造にある。まず、揚水管12の上に重ねて、断面矩形の吐出しエルボ30が配設され、その吐出し口が直管32を介して吐出し弁28に連通される。この断面矩形の吐出しエルボ30は、矩形エルボ34とその吸込側と吐出し側にそれぞれ設けられた異形管36,38からなる。異形管36,38は断面矩形の矩形エルボ34と、断面円形の揚水管12および直管32を連通させるものである。なお、本発明にて、矩形は、4つの角がそれぞれ直角である4辺形を意味し、正方形および長方形のいずれをも含むものとして使用している。
【0018】
この矩形エルボ34は、平行に対向する2つの垂直な側壁34a,34aを備え、この側壁34a,34aとこれに直交する2つの曲面34bと34cにより断面矩形の流路が形成される。そして、曲率半径の大きな曲面34bからなる外壁に、減速装置22が適宜に付設される。そこで、本発明における矩形エルボ34は、図3(a)に示すごとく、曲面34b,34cの曲率半径を任意に設定でき、流路の中心線の曲率半径R1を任意に設定して吐出し中心の高さC1を適宜に設定し得る。これに対して、従来の断面円形の吐出しエルボ20は、図3(b)に示すごとく、流路の中心線の曲率変形R2を任意に設定できず、これにより吐出し中心の高さC2を任意に設定できない。これは、断面円形の筒体を小さな曲率半径で形成すると、曲げの内側となる外壁が円滑に湾曲させることが困難なためである。そこで、例えば従来の断面円形の吐出しエルボ20が、口径1500mmで吐出し中心の高さが1700mmであったものを、本発明の断面矩形で従来と略同じ断面積を有する1330mm×1330mmの正方形とした矩形エルボ34では、吐出し中心の高さを1300mmにでき、従来の横軸ポンプの吐出し中心の高さと一致させ得る。そこで、図1のごとく、既存の横軸ポンプに代えて、従来例のごときS字短管26を用いることなしに、立軸ポンプを設置することができる。
【0019】
さらに、本発明の矩形エルボ34は、鋼板を溶接することによって簡単に製造し得る。これは、図6に示す従来の鋼管を溶接して製造するものよりも容易である。しかも、矩形エルボ34にあっては、垂直な側壁34a,34aを備えており、これらに適宜に補強部材をリブとして配設すれば、減速装置22の重量およびポンプ運転により回転軸に生ずる荷重に、充分に耐える機械的強度を有する構造を容易に得ることができる。
【0020】
なお、図6に示す従来の鋼管を溶接して製造した吐出しエルボ2にあっては、減速装置22およびポンプ運転により回転軸に生ずる荷重に耐え得る機械的強度を得るためには、一例として吐出しエルボ20を囲むようにして補強部材を組み立てなければならず、単に吐出しエルボ20の外壁に補強部材を付設するだけでは足りない。そこで、所望の強度の構造を得るのか煩雑であった。
【0021】
次に、本発明の立軸ポンプの第2実施例を、図4を参照して説明する。図4は、本発明の立軸ポンプの第2実施例の要部の断面矩形の吐出しエルボの分解斜視図である。
【0022】
図4において、吐出しエルボ40は、水平方向のほぼ吐出し中心で上下にエルボ上部分42とエルボ下部分44に2分割できるように構成されたものである。そして、エルボ上部分42とエルボ下部分44の分割面にはフランジが設けられ、組み付けられた状態ではフランジに設けたシール材などで水密的に接合されるようになされる。そして、エルボ上部分42に適宜に減速装置22が付設される。
【0023】
かかる、上下2分割できる吐出しエルボ40にあってはそれぞれの部材の重量が軽減でき、立軸ポンプを据え付けおよび分解するために必要となるクレーン容量が小さくて足りる。
【0024】
なお、上記実施例の説明では、断面矩形の吐出しエルボ30,40を鋼板で製造するように説明しているが、これに限られず、従来と同様に鋳造により製造しても良いことは勿論である。そして、吐出しエルボ30,40の流路断面積は、揚水管12や直管32の流路断面積と必ずしも同じでなくても良く、所望する吐出し中心の高さが設定できるならば、流路断面積を大きくしても良く、またその断面形状は正方形に限られず長方形であっても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の立軸ポンプを構成するので、以下のごとき格別な効果を奏する。
【0026】
請求項1記載の立軸ポンプにあっては、吐出しエルボの吐出し中心の高さを、従来の断面円形の吐出しエルボよりも低く設定できる。
【0027】
請求項2記載の立軸ポンプにあっては、吐出しエルボを上下に2分割できるようにしたので、据え付けや分解に必要となるクレーン容量が小さくて足りる。
【0028】
請求項3記載の立軸ポンプにあっては、吐出しエルボを鋼板を溶接して製造できるので、簡単な板金加工機械などを用いて製造でき、少量生産に好適である。
【0029】
請求項4記載の立軸ポンプにあっては、吐出しエルボの垂直な平面状の側壁などに簡単に補強部材をリブなどとして配設して機械的強度を大とすることができ、減速装置の重量およびポンプ運転による回転軸への荷重に充分に耐える機械的強度が容易に得られる。
【0030】
請求項5記載の立軸ポンプにあっては、断面矩形の吐出しエルボの吐出し中心の高さを、既存の横軸ポンプと一致させて設定することで、横軸ポンプに代えて本発明の立軸ポンプを比較的に経済的に設置することができる。しかも、従来のごとくS字短管を必要とせず、外観的にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立軸ポンプの全体構造図である。
【図2】図1の要部の断面矩形の吐出しエルボの構造を示す縦断面図である。
【図3】本発明の断面矩形の吐出しエルボの吐出し中心の高さが、従来の断面円形の吐出しエルボの吐出し中心の高さと比較して低く設定できることを説明する図であり、(a)は断面矩形の吐出しエルボを示し、(b)は断面円形の吐出しエルボを示す。
【図4】本発明の立軸ポンプの第2実施例の要部の断面矩形の吐出しエルボの分解斜視図である。
【図5】先に提案した立軸ポンプで、既存の横軸ポンプを置き換えた構造図である。
【図6】 従来の鋼管で吐出しエルボを製造する一例を示す図である。
【符号の説明】
10 床
12 揚水管
14 羽根車ケーシング
16 吸込ベル
18 吸込水槽
20,30 吐出しエルボ
22 減速装置
24 入力駆動軸
28 吐出し弁
32 直管
34 矩形エルボ
34a 側壁
34b,34c 曲面
36,38 異形管

Claims (5)

  1. 吐出しエルボの外壁を垂直方向に貫通突出する回転軸に減速装置を駆動連結するとともに該減速装置を前記外壁に付設し、前記減速装置の入力駆動軸を水平方向に突出する立軸ポンプであって、前記吐出しエルボを対向する2つの垂直な側壁を備えた断面矩形にするとともに前記側壁と平行な面上の流路の中心線の曲率半径を小さくして吐出し中心の高さを低く設定するように構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
  2. 請求項1記載の立軸ポンプにおいて、前記吐出しエルボを上下に分割し得る2部材を組み合わせて構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
  3. 請求項1または2記載の立軸ポンプにおいて、前記吐出しエルボを鋼板を溶接して構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
  4. 請求項3記載の立軸ポンプにおいて、前記吐出しエルボの前記側壁に補強部材をリブとして配設して、前記減速装置の重量およびポンプ運転により前記回転軸に加わる垂直下方への荷重を支持するための機械的強度を得るように構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
  5. 請求項1ないし4記載のいずれかの立軸ポンプにおいて、既存の横軸ポンプの吐出し中心の高さに前記吐出しエルボの吐出し中心の高さが一致するように設定し、前記横軸ポンプに代えて設置したことを特徴とする立軸ポンプ。
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