JP4037049B2 - ２行程層状掃気内燃機関用気化器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は刈払い機などの携帯作業機に搭載される２行程層状掃気内燃機関用気化器、特に機関の加速特性を高めた２行程層状掃気内燃機関用気化器に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
特開平９−２６８９１７号公報などに開示されるように、２行程層状掃気内燃機関用気化器として、気化器にそれぞれ絞り弁を備えた混合気通路と掃気用空気通路とを設け、混合気通路を逆止弁を経て機関のクランク室へ接続し、空気通路を逆止弁を経てクランク室と燃焼室を結ぶ掃気通路の途中に接続したものが提案されている。
【０００３】
２行程層状掃気内燃機関は排ガス対策（低エミツシヨン）のために希薄燃焼をしており、冷間時の加速運転や暖機中の加速運転で機関停止を生じることがある。そこで、冷間時の加速運転で機関停止が生じるのを防止するために、燃料流量を多くする（リツチとする）と排ガス成分が規制値を超えることとなる。
【０００４】
また、従来の２絞り弁式の２行程層状掃気内燃機関は、アイドル運転で混合気通路に作用する吸気負圧が弱く、機関が傾くと機関停止を生じやすい。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上述の問題に鑑み、排ガス成分の悪化を招くことなく、機関の加速特性を高めた２行程層状掃気内燃機関用気化器を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の構成は掃気用空気通路と混合気通路にそれぞれ絞り弁を備えた気化器本体の出口側端壁面に、前記掃気用空気通路の下縁から前記混合気通路の側方を迂回して前記混合気通路の下縁に接続する溝通路を設けたことを特徴とする。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明では小型の２行程層状掃気内燃機関において、低速運転で掃気用空気通路へ燃料を供給することにより、機関の加速特性を向上させる。高速運転では掃気用空気通路へ空気のみを供給し、排ガス成分の悪化を避ける。
【０００８】
詳しくは、機関のアイドル運転で混合気通路の絞り弁室の内部に溜る燃料を、溝通路を経て掃気用空気通路へ供給することにより、アイドル運転での機関の傾斜特性を向上させる。機関の低速運転では、掃気用空気通路の強い吸気負圧を利用し、混合気通路から溝通路を経て吸い上げた燃料を、掃気用空気通路を経て機関へ供給することにより、機関の加速特性を向上させる。
【０００９】
一方、機関の高速運転では掃気用空気通路のベンチユリ部の吸気負圧が、混合気通路の吸気負圧と同等、または混合気通路の吸気負圧よりも弱くなり、混合気通路の絞り弁室の内部に溜る燃料が、溝通路を経て掃気用空気通路へ吸い上げられることはないので、層状掃気内燃機関としての特性が損われることはない。
【００１０】
【実施例】
図１に示すように、本発明による気化器は、気化器本体２の端部フランジ３に左右１対の通孔４が設けられ、通孔４に挿通したボルトにより公知の断熱管とともに機関の吸気ポートへ接続される。気化器本体２は上側に掃気用空気通路９が、下側に混合気通路１０がそれぞれ貫通され、気化器本体２の軽量化とアルミニウム合金から鋳造する時の歪みをなくすために、厚肉となる部分には空部５，６，７が設けられる。混合気通路１０は逆止弁を経て機関のクランク室の吸気ポートへ接続される一方、空気通路９は機関のクランク室と、ピストンの下死点付近で開く燃焼室の底部の掃気ポートとを結ぶ掃気通路の途中へ接続される。
【００１１】
本発明によれば機関の加速特性を高めるために、気化器本体２の出口側端壁面（断熱管を介して機関に接続される端壁面）に、空気通路９の下縁と混合気通路１０の上縁とを結ぶ上下方向の溝通路１２が設けられる。
【００１２】
上述のように構成することにより、機関の低速運転と加速運転では、混合気通路１０に働く吸気負圧よりも空気通路９に働く吸気負圧が強くなるので、混合気通路１０に溜まつた燃料が円滑に空気通路９へ吸い上げられて混合気として燃焼室へ供給され、機関の加速特性か高められる。一方、機関の高速運転では、混合気通路１０の吸気負圧が空気通路９の吸気負圧よりも強くなるので、混合気通路１０に燃料が溜まることはなくなり、また混合気通路１０に燃料が溜まつても、溝通路１２を経て空気通路９へ吸引されることはない。
【００１３】
図２に示す実施例では、空気通路９の下縁から混合気通路１０の側方を迂回して、混合気通路１０の下縁に接続する溝通路１３が設けられる。溝通路１３は混合気通路１０の両側を迂回するように設けてもよいが、機関が搭載される携帯作業機の作業特性に応じて、機関が一側方へ傾けられることが多いので、携帯作業機の作業特性に応じて何れか一側方へ選択される。図２に示すように、溝通路１３を混合気通路１０の左側に設けた時、機関が左側へ傾けられても、混合気通路１０の絞り弁室に溜まつた燃料は、やがて混合気通路１０の出口側下縁と円弧状の溝通路１３の下部に溜まることとなる。溝通路１３の燃料は混合気通路１０よりも強い吸気負圧が作用する空気通路９へ吸引され、空気と混合して機関の燃焼室へ供給される。この混合気は掃気行程の終期に燃焼室へ供給され、続く圧縮行程で点火されるので、機関の傾斜特性と加速特性か高められる。
【００１４】
【発明の効果】
本発明は上述のように、掃気用空気通路と混合気通路にそれぞれ絞り弁を備えた気化器本体の出口側端壁面に、前記掃気用空気通路と前記混合気通路とを接続する溝通路を設けたものであり、機関のアイドル運転で混合気通路の絞り弁室の内部に溜つた燃料が、溝通路を経て掃気用空気通路へ供給されるので、アイドル運転での機関の傾斜特性が向上される。
【００１５】
機関の低速運転では、掃気用空気通路の強い吸気負圧により、混合気通路から溝通路を経て吸い上げられた燃料が、掃気用空気通路を経て機関へ供給されるので、機関の加速特性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る２行程層状掃気内燃機関用気化器の正面図である。
【図２】本発明の変更実施例に係る２行程層状掃気内燃機関用気化器の正面図である。
【符号の説明】
２：気化器本体 ３：フランジ ４：通孔 ５：空部 ６：空部 ７：空部 ８：軸孔 ９：掃気用空気通路 １０：混合気通路 １２：溝通路 １３：溝通路

Claims (1)

1. 掃気用空気通路と混合気通路にそれぞれ絞り弁を備えた気化器本体の出口側端壁面に、前記掃気用空気通路の下縁から前記混合気通路の側方を迂回して前記混合気通路の下縁に接続する溝通路を設けたことを特徴とする２行程層状掃気内燃機関用気化器。

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