JP4036787B2 - 自動販売機の断熱構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前面に開閉自在な扉を有する商品収納庫が、板金製の外箱とその外箱の内面に沿って配設された断熱板により構成され、かつ、上下方向に沿う断熱仕切り板によって前面が開口する複数の商品収納室に区画されている自動販売機の断熱構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような自動販売機の断熱構造は、断熱仕切り板により区画された各商品収納室において、冷熱や温熱が逃げないように密封するためのもので、従来、図18の(イ)に示すような構造が採用されていた。
すなわち、従来では、商品収納庫7の背面に配設される断熱背板3が、1枚の板状体で構成されて外箱1の背板14に沿って取り付けられ、また、商品収納庫7の底面に配設される断熱底板4も、1枚の板状体で構成されて外箱1の収納庫底板18に沿って取り付けられ、その断熱背板3と断熱底板4の庫内側の面に対して、断熱仕切り板8の端面が当接されて取り付けられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、外箱1の背板14や収納庫底板18は、比較的薄い金属製の板材で構成されることが多く、外力の作用などによって「反り」が生じる可能性があり、特に、面積の大きな背板14側では、その「反り」の発生も顕著である。
背板14に「反り」が生じると、断熱背板3が前後方向に変形や位置ズレを起こし、図18の(ロ)に示すように、断熱背板3と断熱仕切り板8の端面との間に隙間Sが生じて、各商品収納室における密封性が阻害されるおそれがある。
そこで、断熱背板3と断熱仕切り板8端面との間の隙間Sを埋めるため、特別にパッキンを取り付けたり、図17に示すように、外箱1の背板14にスポット溶接などによって固着された板金部品から形成された階段状のチャンネル材42に対して、断熱仕切り板8の後端縁に固着された金属製の板からなる横倒しL字状の固定金具43を、複数のネジ止めによって一体連結したりするなどして、断熱背板3と断熱仕切り板8端面との間に隙間Sが生じないような対策を講じていたのが実情であり、場合によっては、断熱底板4と断熱仕切り板8との間でも同様な対策を講じる必要がある。
したがって、上述した従来構造によれば、パッキンや、チャンネル材42、固定金具43などが必要で、部品点数が多くなり、しかも、そのパッキンや、チャンネル材42、固定金具43の取り付け作業も必要となって、コストアップを招くおそれがあった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、部品点数の増加を抑制し、かつ、取り付け作業の簡素化を図りながら、各商品収納室における密封性を確保できる自動販売機の断熱構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、前面に開閉自在な扉を有する商品収納庫が、板金製の外箱とその外箱の内面に沿って配設された断熱板により構成され、かつ、上下方向に沿う断熱仕切り板によって前面が開口する複数の商品収納室に区画されている構成において、前記商品収納庫の背面に配設される断熱背板が、前記複数の商品収納室に対応して断熱背板の厚み分の前後方向長さを有する断熱仕切板用の配置空間を対向端面間に形成する状態で複数に分割され、前記断熱仕切板が、前記配置空間において、分割された前記断熱背板の隣接端面間に挟み込まれた状態で配設されている。
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、商品収納庫の背面に配設される断熱背板が、複数の商品収納室に対応して複数に分割され、商品収納庫を複数の商品収納室に区画する断熱仕切り板が、その分割された断熱背板間に挟み込まれた状態で配設されているので、たとえ外箱の背板に「反り」が生じて、断熱背板が前後方向に変形や位置ズレを起こしても、その変形や位置ズレが断熱背板の厚みの範囲内であれば、断熱背板と断熱仕切り板との間に従来のような顕著な隙間が生じるおそれはない。
したがって、従来のような特殊なパッキンや固定金具などを必要とせず、また、断熱背板と断熱仕切り板との取り付けも、左右に位置する断熱背板間に断熱仕切り板の端部を挟み込ませるだけの簡単な作業で済み、それでいて各商品収納室における密封性を良好に確保することができる。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、前記断熱仕切り板が、その断熱仕切り板挿入用の開口部とその開口部に沿って左右に延出するフランジを備えた背板用ガスケットを介して前記断熱背板間に挟み込まれているところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成によれば、断熱仕切り板が、その断熱仕切り板挿入用の開口部を備えた背板用ガスケットを介して断熱背板間に挟み込まれているので、背板用ガスケットの介在によって、左右に位置する断熱背板間への断熱仕切り板の挿入が極めて容易で確実となる。
しかも、背板用ガスケットが、断熱仕切り板挿入用の開口部に沿って左右に延出するフランジを備えているので、それらフランジが、左右に位置する断熱背板の端部を覆い隠すことになり、たとえ断熱背板の端部と背板用ガスケットとの間に隙間があっても外側から見えることはなく、外観的に美麗であるとともに、その背板用ガスケットを断熱効果に優れた材料で構成する場合には、背板用ガスケットによる断熱作用も期待できる。
【0009】
請求項3の発明の特徴構成は、前記商品収納庫の底面に配設される断熱底板が、前記複数の商品収納室に対応して複数に分割され、前記断熱仕切り板が、その分割された断熱底板間に挟み込まれた状態で配設されているところにある。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成によれば、商品収納庫の底面に配設される断熱底板が、複数の商品収納室に対応して複数に分割され、断熱仕切り板が、その分割された断熱底板間に挟み込まれた状態で配設されているので、たとえ外箱の収納庫底板に「反り」が生じて、断熱底板が上下方向に変形や位置ズレを起こしても、断熱底板の厚みの範囲内であれば、断熱底板と断熱仕切り板との間に顕著な隙間が生じるおそれはない。
したがって、断熱底板と断熱仕切り板との間にも特殊なパッキンや固定金具などを必要とせず、また、その取り付けも、左右に位置する断熱底板間に断熱仕切り板の端部を挟み込ませるだけの簡単な作業で済み、各商品収納室における密封性をより一層確実に確保することができる。
請求項4の発明の特徴構成は、前面に開閉自在な扉を有する商品収納庫が、板金製の外箱とその外箱の内面に沿って配設された断熱板により構成され、かつ、上下方向に沿う断熱仕切り板によって前面が開口する複数の商品収納室に区画されている自動販売機の断熱構造において、前記商品収納庫の背面に配設される断熱背板が、前記複数の商品収納室に対応して複数に分割され、前記断熱仕切り板が、その分割された断熱背板の隣接端面間に挟み込まれた状態で配設されているとともに、分割された前記断熱背板と前記断熱仕切り板との対向面間には、弾性部材が弾性変形状態で介装されている
【0011】
ところで、前記断熱仕切り板が、その断熱仕切り板挿入用の開口部とその開口部に沿って左右に延出するフランジを備えた底板用ガスケットを介して前記断熱底板間に挟み込まれていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、断熱仕切り板が、その断熱仕切り板挿入用の開口部を備えた底板用ガスケットを介して断熱底板間に挟み込まれているので、底板用ガスケットの介在によって、左右に位置する断熱底板間への断熱仕切り板の挿入が極めて容易で確実となる。
そして、その底板用ガスケットが、断熱仕切り板挿入用の開口部に沿って左右に延出するフランジを備えているので、それらフランジが、左右に位置する断熱底板の端部を覆い隠し、たとえ断熱底板の端部と底板用ガスケットとの間に隙間があっても外側から見えずに外観的に美麗であり、さらに、背板用ガスケットを断熱効果に優れた材料で構成する場合には、底板用ガスケットによる断熱作用も期待できる。
【0013】
請求項5の発明の特徴構成は、前面に開閉自在な扉を有する商品収納庫が、板金製の外箱とその外箱の内面に沿って配設された断熱板により構成され、かつ、上下方向に沿う断熱仕切り板によって前面が開口する複数の商品収納室に区画されている構成において、前記外箱の背面を形成する背板と、前記商品収納庫に配設される断熱仕切り板との間には、背板に配設された前記断熱板を貫通して商品収納庫内に係止受け部が配置される状態で背板に固着された係止受け部材の前記係止受け部に対して、背板と断熱仕切り板との間に介在する弾性手段を圧縮変形することにより、断熱仕切り板の側板に固着された係止部材を係合可能な歪矯正手段が設けられている。
【0014】
請求項5の発明の特徴構成によれば、弾性手段を弾性変形して背板に固着された係止受け部材に対して、断熱仕切り板の係止部材を係合して、外箱の背板と断熱仕切り板とを一体的な連結状態にすることによって、外箱の背板に「反り」が生じることが抑えられることになる。ここで、弾性手段を弾性変形するとは、弾性変形部材を弾性力に抗して押圧しての圧縮変形、圧縮変形する弾性変形部材の押圧を解除して元の状態に復元変形を意味する。
したがって、弾性手段を弾性変形する簡単な組付け作業を実施するだけで、係止受け部材に対して、簡単に係止部材を係合することができ、従来のように背板側のチャンネル材に断熱仕切り板側の固定金具を複数のビス止めなどによって作業手間をかけて連結していたものに比べて、部品点数の増加を抑制し、かつ、取り付け作業の簡素化を図りながら、各商品収納室における密封性を確保できる。
【0015】
請求項6の発明の特徴構成は、前記弾性手段が、少なくとも断熱仕切り板の後端縁に装着された弾性素材からなる弾性変形部材から構成されている。
【0016】
請求項6の発明の特徴構成によれば、例えば、前記商品収納庫内で断熱仕切り板を外箱の背板側に押付けて、弾性変形部材を弾性力に抗して圧縮変形することで背板に固着された係止受け部材に対して、断熱仕切り板の係止部材を係入し、続いて、背板側に押付けを解除して復元変形を作用させて再び元の状態に戻して、係止受け部材に対して、断熱仕切り板の係止部材を係合することにより、外箱の背板と断熱仕切り板とを一体的な連結状態にすることができる。
したがって、断熱仕切り板を背板側に押付けることに続いて、断熱仕切り板の押付けを解除するといった簡単な連続作業によって、係止受け部材に対して、断熱仕切り板の係止部材を係合することができるので、作業性や組立性が良く製作性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項7の発明の特徴構成は、前記弾性手段が、断熱仕切り板の後端に当接配備された背板側の弾性素材からなる断熱板から構成されている。
【0018】
請求項7の発明の特徴構成によれば、例えば、前記商品収納庫内で断熱仕切り板を外箱の背板側に押付けて、背板側の断熱板を弾性復元力に抗して圧縮変形することで背板に固着された係止受け部材に対して、断熱仕切り板の係止部材を係入するか、又は、係止受け部材を冶具を用いて商品収納庫の開口側に引張り、背板側の断熱板を弾性復元力に抗して圧縮変形することで背板に固着された係止受け部材に対して、断熱仕切り板の係止部材を係入し、続いて、背板側への押付けを解除して復元変形を作用させて再び元の状態に戻して、係止受け部材に対して、断熱仕切り板の係止部材を係合することにより、外箱の背板と断熱仕切り板とを一体的な連結状態にすることができる。
したがって、断熱仕切り板を背板側の断熱板に押付けるか、又は、外箱の背板を背板側の断熱板に押付けることに続いて、このような押付けを解除するといった簡単な連続作業によって、係止受け部材に対して、断熱仕切り板の係止部材を係合することができるので、作業性や組立性が良く製作性の向上を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
本発明による自動販売機の断熱構造につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
自動販売機は、図1および図2に示すように、前面が開口する板金製の外箱からなるキャビネット1を備え、そのキャビネット1の前面開口部は、キャビネット1に回動自在に取り付けられた前面扉2により開閉自在に構成されている。
【0020】
キャビネット1の内側には、発泡スチロールやウレタンフォームなどの断熱材からなる断熱板3〜6が配設され、具体的には、背面側に位置する断熱背板3、底面側に位置する断熱底板4、左右の側面側に位置する断熱側板5、天井面に位置する断熱天板6が配設されて商品収納庫7が形成されている。
【0021】
このキャビネット1と断熱板3〜6により構成される商品収納庫7は、発泡スチロールやウレタンフォームなどの断熱材からなる上下方向に沿う断熱仕切り板8によって、前面が開口する2つの商品収納室7a,7bに区画されて、各商品収納室7a,7bには、缶入りや壜入り飲料などの商品を収納するサーペンタイン式の商品コラム9と、商品コラム9から払い出した商品を前面扉2に設けた商品取り出し口10に向けて滑降させるシュート11が設けられている。そのシュート11下方の庫内には、庫内を設定温度に保つ冷却装置の室内機12aが、庫外には室外機12bが収納配置され、図2において矢印で示すように、シュート11に穿設の通気孔を介して冷風が送り込まれて各商品収納室7a,7b内を循環するように構成されている。
【0022】
そして、商品収納庫7の前面には、前面扉2の内側に位置する状態で、発泡スチロールやウレタンフォームなどの断熱材からなる内扉13が配設され、その内扉13は、上部内扉13aと下部内扉13bに分割され、上部内扉13aは前面扉2に対して、下部内扉13bはキャビネット1に対して、それぞれ回動自在に取り付けられている。
【0023】
キャビネット1は、図3に示すように、金属製の板材からなる背板14、底板15、左右の側板16、天板17などにより矩形の箱状に構成され、底板15の上方には、商品収納庫7の底板となる収納庫底板18が取り付けられていて、この収納庫底板18、背板14、側板16、天板17などにより商品収納庫7の外枠が形成されている。
【0024】
収納庫底板18の前端部は、上方に向けてL字状に折曲されていて、その折曲部18aのうち、左右の商品収納室7a,7bの区画相当箇所には、切欠き18bが設けられ、さらに、室内機12aからのドレンの排出などに利用する左右一対の開口19a,19bも設けられている。
【0025】
商品収納庫7の外枠の内側に配設される断熱背板3、断熱底板4、左右の断熱側板5、および、断熱天板6のうち、断熱背板3と断熱底板4は、図3〜図5に示すように、それぞれ左右に分割されていて、断熱背板3は、左側断熱背板3aと右側断熱背板3bにより、断熱底板4は、左側断熱底板4aと右側断熱底板4bにより構成され、両断熱底板4a,4bには、収納庫底板18の開口19a,19bに対応するように、それぞれ開口20a,開口20bが設けられている。詳しくは、前記断熱背板3は、断熱背板3の厚み分の前後方向長さを有する断熱仕切り板8用の配置空間を対向端面間に形成する状態で複数に分割されている。
【0026】
そして、各断熱背板3a,3b、断熱底板4a,4b、断熱側板5、および、断熱天板6は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂シート21により全面が覆われている。
【0027】
これら断熱板3a,3b,4a,4b,5,6のうち、断熱背板3a,3b、断熱側板5、および、断熱天板6は、各表面が庫内側に直接露出する状態で取り付けられ、残りの断熱底板4a,4bについては、キャビネット1の収納庫底板18上に載置され、かつ、その上面が補強用底板22a,22bにより覆われて取り付けられる。
【0028】
各補強用底板22a,22bは、金属製の板材により形成されていて、その背面側には、冷風循環用のダクト(図2参照)を形成する断面コの字状のダクト形成部材23a,23bがそれぞれ一体的に形成され、さらに、収納庫底板18の開口19a,19bと左右断熱底板4a,4bの開口20a,20bに対応する開口24a,24bが、各補強用底板22a,22bに設けられている。
【0029】
断熱仕切り板8は、左右の断熱背板3a,3bと断熱底板4a,4bとの間にわたって挟み込まれて、商品収納庫7を左右の商品収納室7a,7bに区画する大きさに設定され、断熱背板3a,3bなどと同様に、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂シート21で覆われ、断熱仕切り板8の前端縁には、内扉13との間を密封する扉密封用ガスケット25が取り付けられている。
【0030】
扉密封用ガスケット25は、例えば、軟質塩化ビニルなどで形成されていて、図5に示すように、ポリプロピレン(PP)あるいは硬質塩化ビニルからなる断面コの字状の固定具26と共に押出し成形により一体的に形成され、その固定具26を介して断熱仕切り板8の前端縁に取り付けられている。
【0031】
なお、図示はしないが、断熱底板4a,4b、断熱側板5、および、断熱天板6の前端縁にも、同様な扉密封用ガスケット25が取り付けられる。
【0032】
左右の断熱背板3a,3b、断熱側板5、および、断熱天板6は、商品収納庫7の外枠となるキャビネット1の内側に設けられた係止片(図示せず)などへの係止によってキャビネット1の背板14、側板16、および、天板17に沿って取り付けられ、断熱底板4a,4bは、収納庫底板18上に載置され、その上面に補強用底板22a,22bが載置されている。
【0033】
各補強用底板22a,22bは、ビスなどにより収納庫底板18に連結固定され、それによって収納庫底板18が補強されて、冷却装置の室内機12aやシュート11などを保持するのに十分な構造体となるように構成されている。
【0034】
断熱仕切り板8は、左右の断熱背板3a,3bと断熱底板4a,4b間に挟み込まれて取り付けられ、そのため、左右の断熱背板3a,3b間には、断熱仕切り板8を挟み込むための背板用ガスケット27が配設されている。
【0035】
背板用ガスケット27は、図6にも示すように、その長手方向に沿って、断熱仕切り板8を挿入するための断面コの字状の開口部28を備え、かつ、その開口部28に沿って左右に延出する一対のフランジ29を備えている。さらに、開口部28を形成する左右の側壁板28aと底壁板28bのうち、左右の側壁板28aの内側には、弾性変形可能なヒレ部材30も設けられ、例えば、ヒレ部材30が軟質塩化ビニルなどで形成され、その他がポリプロピレンあるいは硬質塩化ビニルで形成されて、全体が押出し成形により一体的に形成されている。つまり、弾性変形可能なヒレ部材30は、分割された断熱背板3a、3bと断熱仕切り板8との対向面間に弾性変形状態で介装される弾性部材に相当する。
【0036】
左右の断熱底板4a,4b間にも、断熱仕切り板8を挟み込むための底板用ガスケット31が配設され、この底板用ガスケット31は、上述した背板用ガスケット27において、底壁板28bをなくしたような構成とされている。
【0037】
すなわち、底板用ガスケット31は、図7にも示すように、左右一対のガスケット対31a,31bにより構成され、各ガスケット対31a,31bは、断熱仕切り板8を挿入するための開口部32を形成する側壁板32aとフランジ33を備え、さらに、側壁板32aに弾性変形可能なヒレ部材34を備え、背板用ガスケット27と同じように、例えば、ヒレ部材34が軟質塩化ビニルなどで、その他がポリプロピレンあるいは硬質塩化ビニルで形成されて、全体が押出し成形により一体的に形成されている。
【0038】
このようにして、断熱仕切り板8の背板側端部は、背板用ガスケット27を介して左右の断熱背板3a,3b間に挟み込まれているので、たとえキャビネット1の背板14に「反り」が生じて、断熱背板3a,3bが前後方向に変形や位置ズレを起こしても、断熱背板3a,3bと断熱仕切り板8との間に隙間が生じることはない。
【0039】
同様に、断熱仕切り板8の底板側端部は、底板用ガスケット31を介して左右の断熱底板4a,4b間に挟み込まれているので、収納庫底板18の「反り」に伴って断熱底板4a,4bが位置ズレなどを起こしても、断熱底板4a,4bと断熱仕切り板8との間に隙間が生じることはない。
【0040】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、上記第1実施形態と異なる構成を説明し、第1実施形態と同様構成部分には同符号を付してその説明を省略する。
また、上記実施形態では、断熱仕切り板8によって、前面が開口する2つの商品収納室7a,7bに区画されている商品収納庫7が形成された自動販売機について説明したが、第2実施形態では、2枚の断熱仕切り板8、8によって、前面が開口する3つの商品収納室7a,7b,7cに区画されている商品収納庫7が形成された自動販売機を図8〜図12の図面に基づいて説明する。
【0041】
この実施形態の自動販売機において、図9、図10に示すように、商品収納庫7の外箱であるキャビネット1の内側に配設される断熱背板3、断熱底板4、左右の断熱側板5、および、断熱天板6は、各板に対応する夫々1枚の断熱板3,4,5,6から形成され、各断熱板3,4,5,6は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂シート21により全面が覆われている。
【0042】
これら断熱板3,4,5,6のうち、断熱背板3、断熱側板5、および、断熱天板6は、各表面が庫内側に直接露出する状態で取り付けられ、残りの断熱底板4については、キャビネット1の収納庫底板18上に載置され、かつ、その上面が補強用底板22により覆われて取り付けられる。
【0043】
各断熱仕切り板8は、商品収納庫7を左右の商品収納室7a,7b、7cに区画する大きさに設定され、断熱背板3などとは異なり、少なくとも両側面板8a,8aが薄肉な鋼板で覆われ、前端縁には、内扉13との間を密封する扉密封用ガスケット25が取り付けられ、後端縁と上端縁に対応して、断熱背板3との間、及び、断熱天板6との間で圧縮変形する弾性素材からなる弾性変形部材であるスポンジ部材35A,35Bが取り付けられており、商品収納庫7を左右に3つの商品収納室7a,7b,7cに区画する位置上に、開口側から奥側にスポンジ部材35A,35Bの弾性付勢力に抗して差し入れることによって、商品収納庫7に各断熱仕切り板8を組み込むことができるようになっている。
【0044】
前記キャビネット1の背面を形成する背板14と、前記商品収納庫7に配設される断熱仕切り板8との間には、図8、図11、図12に示すように、背板14に配設された断熱背板3を貫通して商品収納庫18内に係止受け部としての先端板部37bが配置される状態で背板14に固着された係止受け部材37の先端板部37bに対して、背板14と断熱仕切り板8との間に配置された弾性手段38である後端側スポンジ部材35Aを弾性変形することにより、断熱仕切り板8の片面の側面板8aに固着された係止部材39を係合可能にする歪矯正手段41が設けられている。弾性手段38は、断熱仕切り板8を後方に押付けることによって、強制的に後端側スポンジ部材35Aを圧縮変形する状態にするとともに、押付けを解除することによって、弾性復帰状態に戻る。
【0045】
断熱仕切り板8側の係止部材39は、軸部39aの先端に半球形状の係止部39bを形成する杆状体から形成され、この実施形態においては、丸ネジを断熱仕切り板8の側面板8aにネジ止めして構成されている。
【0046】
これに対して、背板14側の係止受け部材37は、金属製の板材を折り曲げて形成され、基端板部37aがキャビネット1の背板14に固着され、先端板部37bが断熱背板3に形成された孔3aから商品収納庫7内側に突抜き状態で配置されている。
そして、この先端部37bには、内径が異なる大小の孔が前後に連接する異形孔状の受け孔37cが形成されている。
【0047】
また、前記断熱背板3の孔3aには、図8に示すように、孔形状に対応する円柱形状で、孔3aを貫通する係止受け部材37の中間部分を挿通可能なスリット3bが形成された綴じ栓3Aが嵌め込まれて、商品収納庫7内の熱が庫外に逃げにくくなる工夫がなされている。
【0048】
商品収納庫7に組み込まれた断熱仕切り板8は、図11に示すように、後端側スポンジ材35Aが圧縮変形する状態になるように背板14側に押し込みながら、係止部材39の係止部39aが背板14側の係止受け部材37の先端板部37bの受け孔37cの大径孔に対応位置させて挿入し、続いて、断熱仕切り板8の押し込みを解除することにより、弾性変形部材35を圧縮変形する状態から元の状態に復元変形させて、断熱仕切り板8を商品収納庫7の開口側に押戻すことにより、図12、図13に示すように、大径孔側から小径孔に係止部材39の係止板部39bを係合して、断熱仕切り板8側の係止部材39を背板14側の係止受け部材37に係合状態にすることができる。この係合状態で、断熱仕切り板8は、商品収納庫7に対して拘束された装着状態となる。
【0049】
この実施形態の係止受け部材37は、図8に示すように、長方形状の基端板部37aの両端の夫々に同方向配置に形成され、商品収納庫7に組み込まれる2枚の断熱仕切り板8,8の係止部材39に係合可能になっており、一つの部品に2つの係止受け部材37が形成されると言うように一部品化が図られており、部品点数の増加の抑制などを可能にする構成になっている。ここで、第1実施形態のように、商品収納庫7内を1枚の断熱仕切り板8によって区画する場合は、一部品が一つの係止受け部材であるものを用いるのが合理的である。
【0050】
このようにして、弾性変形部材35を弾性変形して背板14に固着された係止受け部材37に対して、断熱仕切り板8の係止部材39を係合することによって、キャビネット1の背板14と断熱仕切り板8とを一体的な連結状態にすることによって、キャビネット1の背板14に「反り」が生じることが抑えられることになる。
【0051】
また、商品収納庫7に対して断熱仕切り板8は、商品収納庫7の開口側から奥側にスポンジ部材35A,35Bの弾性付勢力に抗して差し入れることによって、商品収納庫7に各断熱仕切り板8を簡単に組み込むことができるようになっているので、例えば、金属製の板からなる断熱仕切り板8側の係止部材と、金属製の板からなる背板側の係止受け部材の重なり部分をネジ止めして両者を連結する構造で、部品点数があり、組付け構造にネジ止めなどの構造で、しかも、作業個所が商品収納庫の奥方で作業性の悪い組付け構造のものに比べて、製作コストの低減化、組立て作業性の迅速化、組立て時間の短縮化などの製作性の向上を図ることができる。
【0052】
さらに、この実施形態においては、背板14側から庫内に突出する係止受け部材37部分に受け孔37cの孔面積の占める割合も大きく、この受け孔37cに係止部材39が係合して両部材37,39が連結される構造になっているので、庫内と庫外につながっている板金部分の表面積が少ない構造になっており、例えば、金属製の板からなる断熱仕切り板8側の係止部材と、金属製の板からなる背板側の係止受け部材の重なり部分をネジ止めして両者を連結する構造に比べて、庫内と庫外につながる金属製の板部分の表面積を減らすことができるので、断熱性能の向上を図ることができる。
【0053】
〔別実施形態〕
(1)先の第1実施形態では、左右の断熱背板3a,3b間に断熱仕切り板8を挟み込むに際して背板用ガスケット27を使用し、同様に、左右の断熱底板4a,4b間に断熱仕切り板8を挟み込むに際しても底板用ガスケット31を使用した例に断熱仕切り板8を直接挟み込むように構成したり、底板用ガスケット31を使用せず、左右の断熱底板4a,4b間に断熱仕切り板8を直接挟み込むように構成したりすることもできる。
また、背板用ガスケット27や底板用ガスケット31を使用する場合、先の実施形態のように両ガスケット27,31の形状を異ならせることなく、両ガスケット27,31をいずれか一方の形状に統一して実施することもできる。
【0054】
(2)先の第2実施形態では、前記商品収納庫7内で断熱仕切り板8を背板14側に押付けて、弾性手段38である断熱仕切り板8の後端側スポンジ材35Aを弾性復元力に抗して圧縮変形することを利用して、背板14に固着された係止受け部材37(詳しくは、係止受け部材37の先端板部37b)に対して、断熱仕切り板8の係止部材39を係合する歪矯正手段41の例を説明したが、本発明はこれに限らず、図14に示すように、係止受け部材37に形成された引っ掛け孔37dに対応する鉤状の引っ掛け片41aを先端に形成する矯正補助冶具41を用いて図15に示すように、商品収納庫7の開口側に引張り、背板14側の断熱背板3を弾性復元力に抗して圧縮変形することで背板14に固着された係止受け部材37に対して、断熱仕切り板8の係止部材39を係入し、続いて、引張りを解除して弾性変形部材を復元変形させて再び元の状態に復元させて、図16に示すように、係止受け部材37(詳しくは、係止受け部材37の先端板部)に対して、断熱仕切り板8の係止部材39を係合することにより、キャビネット1の背板14と断熱仕切り板8とを一体的な連結状態にする歪矯正手段41であってもよい。ここで、この実施形態においては、断熱背板3が弾性手段38を構成している。
また、断熱仕切り板8の後端縁に第2実施形態のような弾性変形部材37を取り付けた構成にしなくてもよくなるので、部品点数の削減化を可能にすることができる。
【0055】
さらに、背板14に固着された係止受け部材37としては、図示すように、扁平な板片に構成することによって、背板側の断熱板にスリット状の切れ込み3bを形成するだけで、係止受け部材37の先端部を商品収納庫7内側に突抜き状態に配置することができるので、構造が簡単で加工性が良く、製作性の向上を図ることができる。
【0056】
(3)先の各実施形態では、室内機12aと室外機12bを備えた冷却装置により商品収納庫7全体を低温に維持する自動販売機を示したが、加温装置により商品収納庫7全体を高温に維持する自動販売機、または、商品収納庫7の一部を温に維持し、残りを高温に維持する自動販売機においても実施可能である。
また、第1実施形態では商品収納庫7を1枚の断熱仕切り板8により2つの商品収納室7a,7bに区画した例を、第2実施形態では商品収納庫7を2枚の断熱仕切り板8,8により3つの商品収納室7a,7b,7cに区画した例を示したが、3枚以上の断熱仕切り板8を使用して、商品収納庫7を4つ以上の商品収納室に区画して実施することもでき、さらに、商品収納庫7の前面に設ける扉に関しても、前面扉2に断熱機能を持たせることにより、内扉13をなくして実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動販売機の斜視図
【図2】自動販売機の縦断側面図
【図3】キャビネットと断熱板の分解斜視図
【図4】断熱構造を示す要部の分解斜視図
【図5】断熱構造を示す要部の分解斜視図
【図6】断熱構造を示す要部の横断平面図
【図7】断熱構造を示す要部の縦断正面図
【図8】第2実施形態の背板側の係止受け部材と断熱間仕切り板側の係止部材を示す分解斜視図
【図9】第2実施形態における組付け前の商品収納庫と断熱間仕切り板を示す分解斜視図
【図10】第2実施形態における組付け後の商品収納庫と断熱間仕切り板を示す簡略斜視図
【図11】背板側の係止受け部材に対して断熱間仕切り板側の係止部材を係合する直前の状態を示す要部断面図
【図12】背板側の係止受け部材に断熱間仕切り板側の係止部材を係合した状態を示す要部断面図
【図13】背板側の係止受け部材に断熱間仕切り板側の係止部材を係合した状態を示す要部側面図
【図14】その他の実施形態の背板側の係止受け部材と断熱間仕切り板側の係止部材を示す分解斜視図
【図15】背板側の係止受け部材に対して断熱間仕切り板側の係止部材を係合する直前の状態を示す要部断面図
【図16】背板側の係止受け部材に断熱間仕切り板側の係止部材を係合した状態を示す要部断面図
【図17】従来の断熱構造を示す要部斜視図
【図18】従来の断熱構造を示す要部斜視図と横断平面図
【符号の説明】
1 外箱
2 扉
3 断熱背板
4 断熱底板
7 商品収納庫
7a,7b 商品収納室
8 断熱仕切り板
14 背板
27 背板用ガスケット
28 背板用ガスケットの開口部
29 背板用ガスケットのフランジ
31 底板用ガスケット
32 底板用ガスケットの開口部
33 底板用ガスケットのフランジ
35 スポンジ部材(弾性変形部材)
37 係止受け部材
38 弾性手段
39 係止部材

Claims (7)

  1. 前面に開閉自在な扉を有する商品収納庫が、板金製の外箱とその外箱の内面に沿って配設された断熱板により構成され、かつ、上下方向に沿う断熱仕切り板によって前面が開口する複数の商品収納室に区画されている自動販売機の断熱構造であって、
    前記商品収納庫の背面に配設される断熱背板が、前記複数の商品収納室に対応して断熱背板の厚み分の前後方向長さを有する断熱仕切板用の配置空間を対向端面間に形成する状態で複数に分割され、
    前記断熱仕切板が、前記配置空間において、分割された前記断熱背板の隣接端面間に挟み込まれた状態で配設されている自動販売機の断熱構造。
  2. 前記断熱仕切り板が、その断熱仕切り板挿入用の開口部とその開口部に沿って左右に延出するフランジを備えた背板用ガスケットを介して前記断熱背板間に挟み込まれている請求項1に記載の自動販売機の断熱構造。
  3. 前記商品収納庫の底面に配設される断熱底板が、前記複数の商品収納室に対応して複数に分割され、前記断熱仕切り板が、その分割された断熱底板間に挟み込まれた状態で配設されている請求項1または2に記載の自動販売機の断熱構造。
  4. 前面に開閉自在な扉を有する商品収納庫が、板金製の外箱とその外箱の内面に沿って配設された断熱板により構成され、かつ、上下方向に沿う断熱仕切り板によって前面が開口する複数の商品収納室に区画されている自動販売機の断熱構造であって、
    前記商品収納庫の背面に配設される断熱背板が、前記複数の商品収納室に対応して複数に分割され、前記断熱仕切り板が、その分割された断熱背板の隣接端面間に挟み込まれた状態で配設されているとともに、
    分割された前記断熱背板と前記断熱仕切り板との対向面間には、弾性部材が弾性変形状態で介装されている自動販売機の断熱構造。
  5. 前面に開閉自在な扉を有する商品収納庫が、板金製の外箱とその外箱の内面に沿って配設された断熱板により構成され、かつ、上下方向に沿う断熱仕切り板によって前面が開口する複数の商品収納室に区画されている自動販売機の断熱構造であって、
    前記外箱の背面を形成する背板と、前記商品収納庫に配設される断熱仕切り板との間には、背板に配設された前記断熱板を貫通して商品収納庫内に係止受け部が配置される状態で背板に固着された係止受け部材の前記係止受け部に対して、背板と断熱仕切り板との間に介在する弾性手段を圧縮変形することにより、断熱仕切り板の側板に固着された係止部材を係合可能な歪矯正手段が設けられている自動販売機の断熱構造。
  6. 前記弾性手段が、少なくとも断熱仕切り板の後端縁に装着された弾性素材からなる弾性変形部材から構成されている請求項5に記載の自動販売機の断熱構造。
  7. 前記弾性手段が、断熱仕切り板の後端に当接配備された背板側の弾性素材からなる断熱板から構成されている請求項5に記載の自動販売機の断熱構造。
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